JP2008167630A - 電力変換器の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電圧調整手段に比例積分演算手段を備えて電流制限機能の高速化、高精度化を図ると共に、始動時や負荷急変時における異常停止を未然に防止する高信頼性の制御装置を提供する。
【解決手段】交流電動機の電流制限値と電流検出値とを用いて、前記電圧指令値の各軸成分に対する電圧補正値を演算する電圧調整手段を備えた制御装置において、電圧調整手段3Aは、電動機60の電流制限値ベクトルの大きさと電流検出値から求めた電流ベクトルの大きさとの偏差を用いて、電圧補正値の振幅を演算するPI制御手段33と、回転座標系の電流検出値の各軸成分i,iを用いて電圧補正値の位相を調整するための乗算手段と、を備え、振幅及び位相が調整された電圧補正値を用いて元の電圧指令値の各軸成分を補正することにより、交流電動機の電流を制限値以下に制限する。
【選択図】図3

Description

本発明は、交流電動機を可変速駆動するための電力変換器の制御装置に関し、詳しくは、電動機電流を所定値以下に抑制するための制御装置に関するものである。
一般に電力変換器を用いて電動機を可変速駆動する場合、いかなる状況が生じたとしても、電力変換器は極力運転を継続することがユーザーから望まれている。ところが、電動機を急加減速させる場合や負荷の急変時には、電力変換器に過大な電流が流れることとなるため、これを見込んで電力変換器の電流定格を増加させる必要が生じ、装置の高コスト化、高体積化を招くという問題が生じる。
この問題を解決するため、従来では、例えば特許文献1に記載されている方法(以下、第1の従来技術という)により電動機電流の増加を抑制している。
以下に、第1の従来技術を説明する。
図9は、特許文献1に記載されている電圧形PWMインバータの電流制限を行うためのブロック図である。図9において、301は直流電源、302はトランジスタTr〜Tr及び環流ダイオードD〜Dからなる三相電圧形PWMインバータ、IMは負荷としての三相誘導電動機を示している。
上記インバータ302では、周知のV/f(電圧/周波数)一定制御が行われている。すなわち、周波数設定器307による周波数設定値に基づいて、電圧指令値演算回路308によりインバータ302の出力電圧指令値が生成される。この電圧指令値は各相(U,V,W相)のPWMパターン発生回路309〜311に入力され、加算器309b及びコンパレータ309cによりキャリア波形312と比較されて各相の上下アームのトランジスタに対するPWM信号が生成される。なお、309dは符号反転器である。
上記PWM信号に従ってトランジスタTr〜Trを駆動することにより、インバータ302の出力電圧がその指令値に一致するような制御が行われている。
ここで、インバータ302の出力電流は以下のようにして制限される。
インバータ302の各相出力電流は電流検出器303により検出され、電流制限値に相当する不感帯を持つ係数器304〜306によって前記電流制限値を超える偏差がその極性と共に検出される。この偏差は、各相のPWMパターン発生回路309〜311内の加算器309aに入力され、出力電圧指令値に対するオフセットとして作用することにより、出力電圧指令値が補正される。
例えば、各相の電流が正(インバータ302から電動機IMの方向へ流れる向きとする)の制限値を超えた場合には、係数器304〜306を介した負のオフセットにより出力電圧指令値が補正され、正の電流を減少させる方向に制御が働いて当該相の上アームのトランジスタをオフさせることにより電流を減少させる。逆に、各相の電流が負の制限値を超えた場合には、係数器304〜306を介した正のオフセットにより出力電圧指令値が補正され、負の電流を減少させる方向に制御が働いて当該相の下アームのトランジスタをオフさせることにより電流を減少させる。
第1の従来技術では、このようにして電動機電流を制限する方法が採られていた。
しかしながら、上述した方法によると、電動機IMの誘起電圧ベクトルの属する領域によっては電流を制限できない場合が生じる。以下、このことを図10〜図12を参照しつつ説明する。
まず、図10は三相電圧形インバータの等価回路であり、出力側のU,V,W各相の上アームのスイッチング素子がオンしている状態を“1”、下アームのスイッチング素子がオンしている状態を“0”として、これらのスイッチングパターンS,S,Sの選択をスイッチにより表してある。
例えば、U相の上アームのスイッチング素子がオン、V相、W相の下アームのスイッチング素子がオンである場合、スイッチングパターン(S)は(100)となる。なお、図10において、C,Cは図9における直流電源301としての分圧用コンデンサである。
図11は、インバータによる電動機の駆動回路を等価的に示したものであり、Vはインバータの出力電圧ベクトル、eは電動機の誘起電圧ベクトル、Lは電動機の漏れインダクタンス、iはインバータの出力電流ベクトルである。この図11から、電流ベクトルiの時間変化率di/dt(ベクトル量である)は数式1により表すことができる。
[数式1]
di/dt=(V−e)/L
いま、インバータのスイッチングパターン(S)は、(000),(001),(010),(011),(100),(101),(110),(111)というように8通りあり、各パターンに応じた出力電圧ベクトルV〜Vは図12のようになる。この図12には、誘起電圧ベクトルe、出力電流ベクトルi、電流ベクトルiの時間変化率ベクトルdi/dtの一例も図示してある。
図12においてI,II,III,IVは出力電圧ベクトルVが属する座標上の領域である。
出力電圧ベクトルVがV(スイッチングパターン(100))であるとき、図12に示すように誘起電圧ベクトルeがIIIの領域にある場合を考えてみる。この状態でu相電流iが電流制限値を超えたとすると、従来ではu相の上アームのトランジスタをオフ、下アームのトランジスタをオンにするべく、出力電圧ベクトルVをスイッチングパターン(000)による零電圧ベクトルVとするため、電流ベクトルiの時間変化率ベクトルdi/dtは、前述した数式1によって誘起電圧ベクトルeに対し逆向きとなる。
しかし、上記時間変化率ベクトルdi/dtは、図12から判るようにu相電流iの正方向成分を有しているので、出力電流ベクトルiはu相電流方向に増加することになり、結果として電流制限がかからず、インバータの電流定格を増加せざるを得ないといった問題が生じる。
このため、特許文献2に記載された従来技術(以下、第2の従来技術という)では、電動機の電流検出値が電流制限値を超過した際に電流制限値と電流検出値との偏差に基づいて電圧指令ベクトルと周波数指令とを補正することにより、電動機電流を抑制している。
以下、この第2の従来技術を、図13を参照しつつ説明する。
図13において、変流器209及び電流検出器210により求められた電流検出値Iは加算器211に入力され、電流制限値Imaxとの偏差が算出される。この偏差に基づき、リミット回路212及び電圧制限値演算手段213を介して電圧制限値(電圧制限ベクトル)ΔVが演算され、この電圧制限値ΔVと電流位相θとを用いて、または、図示されていないが電圧制限値ΔVとd軸,q軸電流I,Iとを用いて、数式2に基づき電圧制限ベクトル演算手段214によりd軸,q軸の電圧補正値ΔV,ΔVを演算し、加算器205,204を介しd軸,q軸電圧指令値V ,V にそれぞれ加算して電圧指令値を補正する。
[数式2]
ΔV=−ΔV×I/I
ΔV=−ΔV×I/I
なお、図13において、100は周波数指令演算部、101は加速指令演算手段、102は電流制限加速度補正手段、103は加速周波数積分手段、104は指令値制限手段、105は周波数指令切替手段、201は加算器、202は周波数/電圧変換手段、203は滑り周波数演算手段、206はPWM指令演算部、207はインバータ、208は位相演算手段を示す。
図14(a)は上述した第2の従来技術における力行時、図14(b)は同じく回生時の電圧制限ベクトルΔV及び電流ベクトルIを表している。
第2の従来技術では、d軸,q軸電流I,Iを用いているので、力行時と回生時とでIの符号が異なっている。よって、力行時にはΔV,ΔVは負となり(Imax−IにおいてIが大きいため、ΔVが負になる)であり、回生時にはΔVは正、ΔVは負となり、力行、回生どちらの場合でも、電流ベクトルIが減少する方向に電圧指令値が補正される。これにより、電動機電流が抑制されることになる。
特開昭62−123965号公報(第2頁右下欄第19行〜第3頁右下欄第10行、第1図〜第3図等) 特開2002−34289号公報(段落[0008]、図1等)
前述したように、第1の従来技術では、電動機の回生時に電流制限が機能しない場合がある。
また、第2の従来技術では、電動機モデルの一部(比例項)のみしか考慮していないため、制限機能の高精度化に限界があると共に、過渡項を無視しているため、電流実際値が過大になる始動時や負荷急変時などで制御遅れが発生し、電動機の運転を継続できずに異常停止する恐れもある。
そこで、本発明の解決課題は、電圧調整手段に比例積分演算手段を備えることにより電流制限機能の高速化、高精度化を図ると共に、始動時や負荷急変時における異常停止を未然に防止するようにした信頼性の高い制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に記載した発明は、交流電動機を可変速駆動する電力変換器の半導体スイッチング素子に対する駆動信号を、回転座標系の電圧指令値に従って生成する電力変換器の制御装置であって、交流電動機の電流制限値と電流検出値とを用いて、前記電圧指令値の各軸成分に対する電圧補正値を演算する電圧調整手段を備えた制御装置において、
前記電圧調整手段は、
交流電動機の電流制限値ベクトルの大きさと前記電流検出値から求めた電流ベクトルの大きさとの偏差を用いて、前記電圧補正値の振幅を演算する比例積分演算手段と、
回転座標系の電流検出値の各軸成分を用いて、前記電圧補正値の位相を調整する手段と、を備え、
振幅及び位相が調整された前記電圧補正値を用いて元の電圧指令値の各軸成分を補正することにより、交流電動機の電流を前記電流制限値以下に制限するものである。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した電力変換器の制御装置において、前記電圧調整手段は、前記偏差が入力されるハイパスフィルタまたは微分演算手段を備え、これらのハイパスフィルタまたは微分演算手段の出力を前記電圧補正値の調整に用いるものである。
請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載した電力変換器の制御装置において、前記比例積分手段、ハイパスフィルタまたは微分演算手段の出力のうち少なくとも一つの上限値を制限する手段を備えたものである。
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載した電力変換器の制御装置において、回転座標系の電流検出値の各軸成分を前記電流ベクトルの大きさにより除算して規格化し、この規格化された各軸成分を用いて前記電圧補正値を調整するものである。
請求項5に記載した発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載した電力変換器の制御装置において、前記比例積分演算手段の出力と回転座標系の電流検出値の各軸成分との積に、一次周波数に比例した係数を乗じて前記電圧補正値を生成するものである。
請求項6に記載した発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載した電力変換器の制御装置において、前記電流制限値が入力される目標値フィルタを備え、前記電流検出値から求めた電流ベクトルの大きさが電流制限値ベクトルの大きさを超過した際に、この電流制限値ベクトルの大きさよりも低い値を目標値として前記目標値フィルタから出力させ、前記目標値と前記電流検出値から求めた電流ベクトルの大きさとの偏差を比例積分演算手段に入力して電流制限動作の開始直後における電動機電流のオーバーシュートを抑制するような電圧補正値を生成するものである。
本発明によれば、従来の電流制限方法に比べて電動機の電気モデルに近いため、高速かつ高性能に制限機能を働かせることができ、電圧調整手段内に比例演算手段だけでなく積分演算手段を付加することで定常誤差を低減することができる。結果として、電動機の始動直後や負荷急変時でも電動機を異常停止させることなく継続して運転することが可能であり、しかもショックが少なく安価で信頼性の高い制御装置を提供することができる。
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図1は本発明の実施形態を示すブロック図である。図1において、50は電圧形インバータ等の電力変換器、60は誘導電動機等の交流電動機であり、電動機60の制御方法としては、印加電圧の大きさと周波数との比を一定に保つことにより電動機60の主磁束の大きさを一定にして可変速駆動する一般的なV/f一定制御を用いている。
図1において、一次周波数指令値(電動機60の速度指令値)f に応じて、F/V変換手段1により一次周波数fに応じた回転座標系のq軸電圧指令値v が生成される。ここで、q軸は一次磁束に平行なd軸に直交しており、d軸,q軸はd−q回転座標を構成するものである。なお、d軸電圧指令値v は常に0となっている。
上記q軸電圧指令値v は、一次周波数指令値f を積分手段2により積分して得た角度指令値θ を用いて、座標変換手段4により静止座標系の三相交流電圧指令値v ,v ,v に座標変換される。
上記電圧指令値v ,v ,v は、PWMパルス発生手段5により、電力変換器50を構成する電力用半導体スイッチング素子のオンオフ指令に変換される。電力変換器50は、上記オンオフ指令に基づいて所定のスイッチング素子をオンオフすることにより、直流入力端子P,Nの直流電圧を三相交流電圧に変換して電動機60に供給する。
このとき、回転座標上の電圧方程式は、電動機60の誘起電圧の各軸成分をe,eとすれば、数式3によって表される。
Figure 2008167630
なお、数式3において、pは微分演算子、Rは電動機60の固定子巻線抵抗、また、電動機60が誘導電動機であれば、ωは一次角周波数であり、Lσ=L−M/L,L=M+l,L=M+l、Mは固定子,回転子(一次二次巻線間)の相互インダクタンス、l,lはそれぞれ固定子、回転子(一次、二次巻線)の漏れインダクタンスを示している。
ここで、定常状態における回転座標上の電圧,電流ベクトル図は、図2のようになる。
さて、これまで説明したようなV/f一定制御により電力変換器50が電動機60を運転している定常状態において、例えば、電動機60の負荷が変化して過負荷電流が流れようとする場合を想定する。
この時、電動機電流の大きさを制限するためには、電力変換器50の出力電圧ベクトルVが電動機60の誘起電圧ベクトルeに近付くようにその大きさ及び位相を調整すれば、図2から明らかなようにi,iを減少させることができ、電動機電流の増加を抑制することができる。
数式3や図2のベクトル図からわかるように、電動機60の回転数や磁束が判っていなくとも、電力変換器50が出力した電圧v,vと電動機60に流入した電流i,iから誘起電圧e,eを推測することができる。
従って、この実施形態では、図1の電圧調整手段3において、電流検出手段6及び座標変換手段7を介して検出した回転座標系の各軸電流i,iのベクトル和である電流の大きさIが予め設定した電流制限値Ilim を超えた場合には、上記電流i,iや電流制限値Ilim に応じて生成した各軸の電圧補正値Δv,Δvにより回転座標系の電圧指令値v ,v を補正し、電力変換器50の出力電圧ベクトルVの大きさ及び位相を調整することにより、電動機電流Iを電流制限値Ilim 以下の所望の値に制限する。
図3は、上記電圧調整手段3の第1実施例であり、参照符号3Aにて示してある。この実施例は請求項1,2に係る発明に相当する。
図3において、図1の座標変換手段7から出力された回転座標上のd軸,q軸電流i,iは演算手段31に入力され、数式4によって電流ベクトルの大きさIが演算される。ここで、Iは座標変換を行う前の静止座標上の電流成分から演算しても良い。
Figure 2008167630
次に、電流制限値ベクトルの大きさIlim と前記Iとの偏差Ierrを加算手段32により求め、数式5により、上記偏差IerrをPI制御手段(比例積分演算手段)33に入力して電圧補正値の振幅ΔVを求める。なお、数式5において、K:比例定数、T:積分定数である。
Figure 2008167630
前記ΔVは乗算手段352d,352qにより各軸電流i,iと乗算されて電圧指令値の位相が調整され、その乗算結果は加算手段3d,3q,3d,3qにそれぞれ図示の符号で入力される。
これにより、数式6で示される電圧補正値Δv(=ΔVi−ΔVi)によりv が補正されて最終的なd軸電圧指令値v **として図1の座標変換手段4に出力され、同じく電圧補正値Δv(=ΔVi+ΔVi)によりv が補正されて最終的なq軸電圧指令値v **として座標変換手段4に出力される。
以上の構成が、請求項1の実施形態に相当する。
Figure 2008167630
一方、前記偏差Ierrは増幅手段を含むハイパスフィルタ34を介して乗算手段351d,351qにより各軸電流i,iと乗算され、その乗算結果は加算手段3d,3qにそれぞれ図示の符号で入力される。
これにより、数式7に示す如く、乗算手段351d,351qの出力信号が過渡項として数式6の右辺に加算された信号が電圧補正値Δv,Δvとなり、これらの電圧補正値Δv,Δvによりv ,v が補正されて最終的なd軸,q軸電圧指令値v **,v **が生成されて座標変換手段4に出力される。数式7において、G(s)はハイパスフィルタ34の伝達関数である。
以上の構成が、請求項2の実施形態に相当する。
Figure 2008167630
ここで、出願人は、特願2006−287223号として、図1と同様の回路構成を有する制御装置を既に出願している。
この先願発明の一実施例では、図1における電圧調整手段3が、Ilim とIとの偏差から電圧補正値の大きさを決定し、各軸電流i,i及び電動機定数に相当するゲインK〜Kを用いた演算により、出力電圧ベクトルが誘起電圧ベクトルに近付くように補正電圧ベクトルの角度を決定すると共に、上記電圧補正値の大きさ及び角度を用いて各軸の電圧補正値Δv,Δvを求めている。そして、各軸電流i,iが入力される微分演算手段またはハイパスフィルタ(伝達関数をG(s)とする)を備え、これらの出力を上記角度の調整に用いている。
数式8は、上述した先願発明における、電動機モデルに基づいた各軸電圧補正値Δv,Δvの演算式である。
Figure 2008167630
この先願発明によれば、前述した第2の従来技術に比べて、電動機モデルに基づいたクロスターム項(数式8の右辺第1項の行列内のK項)や数式8の右辺第2項に示す過渡項が含まれているため、出力電圧ベクトルを忠実に誘起電圧ベクトルに近付けることができ、第2の従来技術に比べて電流制限機能の高性能化及び高速化が図れる上に、ソフトウェアにより構成可能であるため部品の追加などコストアップを招く恐れがないという利点がある。
しかし、先願発明では、電圧調整手段が比例演算のみにより電圧補正値の振幅を求めているため定常誤差が発生し、この定常誤差が電動機の定数によって大きくなる場合がある。例えば、電流制限値を定格最大電流値未満に設定したとしても、電動機の定数や負荷により定格最大電流値を超過してしまい、装置の非常停止や損傷を引き起こす場合がある。また、定常誤差を考慮して電流制限値を低く設定すると、出力できるトルクが減少してしまう恐れもある。
図4は、上記の先願発明による電圧調整時(図4(b))と図3に示した本願の第1実施例による電圧調整時(図4(a))のシミュレーション結果を示すもので、停止状態の電動機に対してインパクト的に交流電圧を印加し、電動機に流れた突入電流を抑制するように電圧調整手段が動作した場合の電流ベクトルの大きさを示したものである。なお、図4(a),(b)における破線は、電流制限ベクトルの大きさの設定値である。
図4(b)によれば、電流制限動作が働いている間に定常的な電流偏差が存在しているが、図4(a)の第1実施例によれば、電流ベクトルの大きさが設定値によって制限されているのがわかる。
従って、第1実施例によれば、先願発明よりも高精度な電流制限が可能である。
次に、図5は電圧調整手段3の第2実施例であり、参照符号3Bにて示してある。この実施例は請求項3に係る発明に相当する。
この第2実施例では、PI制御手段33及びハイパスフィルタ34の出力側にリミッタ(上限リミッタ)361,362がそれぞれ設けられており、その他の構成は図3と同一である。なお、リミッタ361,362は何れか一方のみを設けても良い。これらのリミッタ361,362は、電流制限機能が有効になった後に負荷が変化して電流制限の必要がなくなり、電流制限機能を解除する際に働くものである。
上記リミッタ361,362は、PI制御手段33やハイパスフィルタ34の出力が0以上になった場合にこれらの出力を0に制限して電流制限機能を解除するように働くので、解除の際のショックや、設定値に収束してしまって解除できないといった問題を解決することができる。なお、図5のリミッタ361,362は上限リミッタとして構成されているが、その下限値に電圧定格値などを設定しても良いし、設定しなくても良い。
図6は、電圧調整手段3の第3実施例であり、参照符号3Cにて示してある。この実施例は請求項4に係る発明に相当する。
この第3実施例は、第2実施例の構成に加えて、演算手段31の出力により「1」を除算する除算手段353を設けると共に、乗算手段351d,351qの前段に乗算手段354d,354qを設け、各軸電流i,iに除算手段353の出力を乗算することにより、各軸電流i,iを電流ベクトルの大きさにより規格化することを特徴としている。
この第3実施例における電圧補正値Δv,Δvは、数式9となる。
Figure 2008167630
上記のように各軸電流i,iを電流ベクトルの大きさによって規格化することで、各軸の電圧補正値Δv,Δvは、実際に流れているd軸電流、q軸電流の割合で分配されることになり、d軸、q軸の位相を大きく変化させることなく電流を制限することができる。
すなわち、電流ベクトルの大きさではなく電流ベクトルの位相を変化させずに電流を制限するため、電動機の磁束軸及びトルク軸を最適に制御することができる。
この第3実施例は、図3に示した第1実施例にも適用可能である。
図7は、電圧調整手段3の第4実施例であり、参照符号3Dにて示してある。この実施例は請求項5に係る発明に相当する。
この第4実施例では、第3実施例の構成に加えて、乗算手段352d,352qの出力側に乗算手段355q,355dを設け、これらの乗算手段355q,355dにより、一次周波数fに応じた係数(|ω1pu |)を乗算手段352d,352qの出力に乗算して各軸の電圧補正値Δv,Δvに加算するように構成されている。
本実施例の原理について説明すると、まず、電動機の一次側の電気モデルは数式10によって表される。
なお、数式10において、R:一次抵抗、Lσ:漏れインダクタンス、p:微分演算子、e2d,e2q:誘起電圧である。
Figure 2008167630
ここで、数式10の右辺第1項のクロスターム(行列の逆対角成分)項に着目すると、一次角周波数ωに比例した係数が存在することが分かる。従って、電動機モデルに基づいて考えた場合、電圧補正値を数式11のように一次周波数fに比例した係数(|ω1pu |)を考慮して構成すると、より電動機のモデルに近くなり、電流制限機能を高性能化することができる。
Figure 2008167630
ただし、ω1puは、一次角周波数ωをユニット量で規格化した値であり、定格周波数のときに1.0となる係数である。また、ω1puは、指令値や推定値を用いても良い。
更に、より電動機モデルに近付けるため、RやLσのパラメータを用いて数式10に近付けて構成しても良い。
この第4実施例は、図3の第1実施例,図5の第2実施例にも適用可能である。
次に、図8は電圧調整手段3の第5実施例であり、参照符号3Eにて示してある。この実施例は請求項6に係る発明に相当する。
この第5実施例では、第4実施例の構成に加えて、電流制限値Ilim が入力される目標値フィルタ37を設け、その出力を目標値として加算手段32に入力することにより、電流制限開始直後のオーバーシュート量を低減するようにした。
検出遅れや制御遅れに起因して、電流制限の開始直後にはオーバーシュートが発生する。例えば、図4(a)に示したシミュレーション結果によれば、電流制限の開始直後に電流ベクトルが若干大きくなっており、オーバーシュートが発生していることが分かる。
そこで、第5実施例では、上記オーバーシュートを低減するために目標値フィルタ37を設けている。その具体的な作用としては、電流制限が開始されると、もとの電流制限値Ilim よりも低い目標値を初期値として目標値フィルタ37に代入する。時定数は、例えば電動機の電気定数に設定し、その時定数で目標値フィルタ37の出力を上記目標値に収束させる。
PI制御手段33は、目標値フィルタ37から出力される目標値と電流ベクトルの大きさIとの偏差を抑制するように動作する。
以上の動作により、電流制限の開始直後におけるPI制御手段33の制御遅れなどを補償して特性を改善することが可能になる。
なお、この第5実施例は、前述した第1〜第3実施例にも適用可能である。
本発明の実施形態を示すブロック図である。 図1における定常状態の回転座標上の電圧,電流ベクトル図である。 図1における電圧調整手段の第1実施例を示すブロック図である。 本発明の第1実施例の効果を先願発明と比較して説明するためのシミュレーション結果を示す図である。 図1における電圧調整手段の第2実施例を示すブロック図である。 図1における電圧調整手段の第3実施例を示すブロック図である。 図1における電圧調整手段の第4実施例を示すブロック図である。 図1における電圧調整手段の第5実施例を示すブロック図である。 第1の従来技術を示す構成図である。 三相電圧形インバータの等価回路図である。 インバータによる電動機駆動回路の等価回路図である。 インバータのスイッチングパターンに応じた出力電圧のベクトル図である。 第2の従来技術を示す構成図である。 第2の従来技術における電流、電圧のブロック図である。
符号の説明
1:F/V変換手段
2:積分手段
3,3A,3B,3C,3D,3E:電圧調整手段
3d,3q:加算手段
31:演算手段
32:加算手段
33:PI制御手段
34:ハイパスフィルタ
351d,352d,354d,355d,351q,352q,354q,355q:乗算手段
353:除算手段
361,362:リミッタ
37:目標値フィルタ
4,7:座標変換手段
5:PWMパルス発生手段
6:電流検出手段
50:電力変換器
60:交流電動機

Claims (6)

  1. 交流電動機を可変速駆動する電力変換器の半導体スイッチング素子に対する駆動信号を、回転座標系の電圧指令値に従って生成する電力変換器の制御装置であって、交流電動機の電流制限値と電流検出値とを用いて、前記電圧指令値の各軸成分に対する電圧補正値を演算する電圧調整手段を備えた制御装置において、
    前記電圧調整手段は、
    交流電動機の電流制限値ベクトルの大きさと前記電流検出値から求めた電流ベクトルの大きさとの偏差を用いて、前記電圧補正値の振幅を演算する比例積分演算手段と、
    回転座標系の電流検出値の各軸成分を用いて、前記電圧補正値の位相を調整する手段と、を備え、
    振幅及び位相が調整された前記電圧補正値を用いて元の電圧指令値の各軸成分を補正することにより、交流電動機の電流を前記電流制限値以下に制限することを特徴とする電力変換器の制御装置。
  2. 請求項1に記載した電力変換器の制御装置において、
    前記電圧調整手段は、前記偏差が入力されるハイパスフィルタまたは微分演算手段を備え、これらのハイパスフィルタまたは微分演算手段の出力を前記電圧補正値の調整に用いることを特徴とする電力変換器の制御装置。
  3. 請求項1または2に記載した電力変換器の制御装置において、
    前記比例積分手段、ハイパスフィルタまたは微分演算手段の出力のうち少なくとも一つの上限値を制限する手段を備えたことを特徴とする電力変換器の制御装置。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載した電力変換器の制御装置において、
    回転座標系の電流検出値の各軸成分を前記電流ベクトルの大きさにより除算して規格化し、この規格化された各軸成分を用いて前記電圧補正値を調整することを特徴とする電力変換器の制御装置。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載した電力変換器の制御装置において、
    前記比例積分演算手段の出力と回転座標系の電流検出値の各軸成分との積に、一次周波数に比例した係数を乗じて前記電圧補正値を生成することを特徴とする電力変換器の制御装置。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載した電力変換器の制御装置において、
    前記電流制限値が入力される目標値フィルタを備え、
    前記電流検出値から求めた電流ベクトルの大きさが電流制限値ベクトルの大きさを超過した際に、この電流制限値ベクトルの大きさよりも低い値を目標値として前記目標値フィルタから出力させ、前記目標値と前記電流検出値から求めた電流ベクトルの大きさとの偏差を比例積分演算手段に入力して電流制限動作の開始直後における電動機電流のオーバーシュートを抑制するような電圧補正値を生成することを特徴とする電力変換器の制御装置。
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