JP2008163286A - 蓄熱組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の蓄熱組成物は、(A)(b)潜熱蓄熱材が内包された蓄熱カプセル、(X)結合材を含む蓄熱組成物であって、(A)蓄熱カプセルのカプセル壁が、(a−1)炭素数が12以上のアルキル基を有する結晶性(メタ)アクリル酸エステル単量体、(a−2)炭素数が4以上12未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を含む単量体群の重合体から形成されたものであり、(X)結合材が、(a−2)炭素数が4以上12未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を含む単量体群の重合体からなる合成樹脂を含有することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
しかし、マイクロカプセルの皮膜に用いられているメラミンホルマリン樹脂は、硬い性質を有する反面、脆いという性質を有する。したがって、マイクロカプセルを樹脂と混練・攪拌した場合、カプセルが破砕しやすく、蓄熱材が漏洩しやすいという問題がある。
さらに、蓄熱材とメラミンホルマリン樹脂との相溶性は好ましいとはいえず、該マイクロカプセルを樹脂内に含有した蓄熱性樹脂組成物から形成される皮膜は、蓄熱材が漏洩しやすいおそれがあり、優れた蓄熱性を得ることは困難な場合がある。また、前記蓄熱性樹脂組成物から形成される皮膜は、透明性に欠けるものとなってしまう。
1.(A)(b)潜熱蓄熱材が内包された蓄熱カプセル、
(X)結合材、
を含む蓄熱組成物であって、
(A)蓄熱カプセルのカプセル壁が、(a−1)炭素数が12以上のアルキル基を有する結晶性(メタ)アクリル酸エステル単量体、(a−2)炭素数が4以上12未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を含む単量体群の重合体から形成されたものであり、
(X)結合材が、(a−2)炭素数が4以上12未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を含む単量体群の重合体からなる合成樹脂を含有することを特徴とする蓄熱組成物。
2.(A)蓄熱カプセルが、
(a−1)炭素数が12以上のアルキル基を有する結晶性(メタ)アクリル酸エステル単量体、
(a−2)炭素数が4以上12未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体
(b)潜熱蓄熱材、
(c)油溶性重合開始剤、
(d)界面活性剤、
(e)水、を混合して懸濁液を作製し、
該懸濁液中の液滴の平均粒子径が0.01μm〜10μmとなるように分散させ、
(a−1)成分の結晶化温度よりも高い温度で懸濁重合し、重合後、該結晶化温度よりも低い温度まで冷却して得られたものであることを特徴とする1.に記載の蓄熱組成物。
3.(A)(b)潜熱蓄熱材が内包された蓄熱カプセル、
(X)結合材、
からなる蓄熱組成物であって、
(A)蓄熱カプセルのカプセル壁が、(a−1)炭素数が12以上のアルキル基を有する結晶性(メタ)アクリル酸エステル単量体、(a−2)炭素数が4以上12未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体、(a−3)架橋性単量体を含む単量体群の重合体から形成されたものであり、
(X)結合材が、(a−2)炭素数が4以上12未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を含む単量体群の重合体からなる合成樹脂を含有することを特徴とする蓄熱組成物。
4.(A)蓄熱カプセルが、
(a−1)炭素数が12以上のアルキル基を有する結晶性(メタ)アクリル酸エステル単量体、
(a−2)炭素数が4以上12未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体、
(a−3)架橋性単量体、
(b)潜熱蓄熱材、
(c)油溶性重合開始剤、
(d)界面活性剤、
(e)水、を混合して懸濁液を作製し、
該懸濁液中の液滴の平均粒子径が0.01μm〜10μmとなるように分散させ、
(a−1)成分の結晶化温度よりも高い温度で懸濁重合し、重合後、該結晶化温度よりも低い温度まで冷却して得られたものであることを特徴とする3.に記載の蓄熱組成物。
5.カプセル壁を構成する重合体を形成する単量体において、(a−1)成分の含有量が、単量体全量の20〜60重量%であることを特徴とする1.から4.のいずれかに記載の蓄熱組成物。
6.カプセル壁を構成する重合体を形成する単量体において、(a−2)成分の含有量が、単量体全量の40重量%以上であることを特徴とする1.から5.のいずれかに記載の蓄熱組成物。
7.結合材(X)を構成する重合体を形成する単量体において、(a−2)成分の含有量が、単量体全量の10重量%以上であることを特徴とする1.から6.のいずれかに記載の蓄熱組成物。
8.(a−1)成分の結晶化温度が40℃以上であることを特徴とする1.から7.のいずれかに記載の蓄熱組成物。
9.(A)蓄熱カプセル中に、潜熱蓄熱材が40〜70重量%内包されていることを特徴とする1.から8.のいずれかに記載の蓄熱組成物。
10.(A)蓄熱カプセルの平均粒子径が0.01μm〜10μmであることを特徴とする1.から9.のいずれかに記載の蓄熱組成物。
11.(b)潜熱蓄熱材が、n−パラフィンであることを特徴とする1.から10.のいずれかに記載の蓄熱組成物。
12.1.から11.のいずれかに記載の蓄熱組成物によって形成された皮膜を含む建材。
13.1.から11.のいずれかに記載の蓄熱組成物によって形成された皮膜を含む保温シート。
14.1.から11.のいずれかに記載の蓄熱組成物によって形成された皮膜を含む結露防止シート。
(A)蓄熱カプセルのカプセル壁が、(a−1)炭素数が12以上のアルキル基を有する結晶性(メタ)アクリル酸エステル単量体(以下「(a−1)成分」ともいう。)、(a−2)炭素数が4以上12未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体(以下「(a−2)成分」ともいう。)を含む単量体群の重合体から形成されたものであり、
(X)結合材が、(a−2)炭素数が4以上12未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を含む単量体群の重合体からなる合成樹脂を含有することを特徴とする。
(A)成分のカプセル壁は、(a−1)炭素数が12以上(好ましくは炭素数が16以上30以下、さらに好ましくは炭素数が18以上22以下)のアルキル基を有する結晶性(メタ)アクリル酸エステル単量体、(a−2)炭素数が4以上12未満(好ましくは炭素数が5以上10以下)のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を含む単量体群の重合体から形成されたものである。
これらのうち1種または2種以上を用いることができる。(a−1)成分は、潜熱蓄熱材によってカプセル壁が可塑化されることを防止し、カプセル同士の凝集を防止する成分として作用する。
炭素数が12未満であれば、潜熱蓄熱材によるカプセル壁の可塑化が防止できず、カプセル同士の凝集が起こってしまう。
なお、結晶化温度は、示差走査熱量計(DSC220CU:セイコーインスツルメンツ株式会社製)にて、昇温速度10℃/分で測定した値である。
これらのうち1種または2種以上を用いることができる。(a−2)成分は、後述する(X)成分中の(a−2)成分との組み合わせにより、蓄熱体に透明性を付与することができる成分である。さらに、蓄熱組成物中においては、蓄熱カプセルの優れた分散性、貯蔵安定性に寄与することができる成分である。炭素数が4未満である場合、たとえ(a−1)成分を組み合わせたとしても、透明性を付与することが困難であり、潜熱蓄熱材の漏洩を防止することが困難である。炭素数が12以上である場合、透明性を付与することが困難である。
(a−3)成分を用いることにより、カプセル壁に架橋ネットワークが形成され、カプセル壁がより強靭となり、混練・攪拌による安定性に優れ、カプセル同士が凝集され難くなる。さらにカプセル壁の結晶化温度以上の領域における安定性を向上させることができる。
このような(a−3)成分は、親水性が高く、カプセル粒子表面で効率良く架橋するため、得られたカプセルは優れた貯蔵安定性を示すことができる。疎水性が高い架橋性単量体を用いた場合、架橋性単量体がカプセル粒子内部に取りこまれた状態で架橋するため、貯蔵安定性を有するカプセルを得ることは、難しい場合がある。
このようなモノマーとしては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなどの低級アルキル基含有(メタ)アクリルモノマー;
(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマー;
アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ブチルビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、p−アミノスチレン、N−tブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等などのアミン含有(メタ)アクリルモノマー;
(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクロイルピロリジン、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミドなどのアミド含有(メタ)アクリルモノマー;
アクリロニトリルなどのニトリル基含有(メタ)アクリルモノマー;
グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリルモノマー;
ジアセトン(メタ)アクリレート、ジアセトンアクリルアミド、アクロレイン、ビニルメチルケトン、アセトニルアクリレート、ジアセトンメタクリルアミド、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、アクリルオキシアルキルプロパナール類、メタクリルオキシアルキルプロパナール類、2ーヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、及びブタンジオールアクリレートアセチルアセテートなどのカルボニル基含有モノマー;
メタクリロイルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;
プロピレン−1,3−ジヒドラジン及びブチレン−1,4−ジヒドラジンなどのヒドラジノ基含有モノマー;
2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有モノマー;
スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系モノマー;
スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などのスルホン酸含有モノマー;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル等が挙げられる。
重合方法としては、特に限定されないが、乳化重合法、分散重合法、懸濁重合法等の一般的な重合方法を用いることができ、必要に応じ、公知の開始剤、乳化剤、高分子分散剤、溶媒、重合抑制剤、pH調整剤等を混合して得ることができる。
例えば、油溶性重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、2、2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩等のアゾ系開始剤等が挙げられる。
また、水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩開始剤等が挙げられる。
また、レドックス開始剤、光重合開始剤、反応性開始剤等を用いることができる。
例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンイソデシル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル、脂肪酸塩、ロジン酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル(アリール)硫酸エステル塩等のアニオン性乳化剤、
ラウリルトリアルキルアンモニウム塩、ステアリルトリアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩、第1級〜第3級アミン塩、ラウリルピリジニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、或は、ラウリルアミンアセテート等のカチオン性界面活性剤、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、
カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸型、イミダゾリン誘導体型等の両性界面活性剤等が挙げられる。
アルキレンオキサイド鎖を含有する化合物としては、上述した単量体の重合体や、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等に、アルキレンオキサイド鎖を公知の方法で導入することにより得ることができ、例えば、特願2005−262361号公報、特開2006−21191号公報、特表2005−510600号公報、特開2005−118684号公報、特開2004−290839号公報、特開2004−175861号公報、特開2004−168937号公報、特開2003−313251号公報、特開2003−236360号公報、特開2003−236361号公報、特開2001−72703号公報、特開2001−72702号公報、特開2000−154227号公報、特開平9−132648号公報等の開示の高分子分散剤等が挙げられる。
本発明では、特に、ウレタン樹脂にアルキレンオキサイド鎖を導入した高分子分散剤が好ましい。
高分子分散剤としては、具体的には、SNシックナー612等のSNシックナーシリーズ(サンノプコ株式会社製)、アデカノールUH−540、アデカノールUH−752等のアデカノールUHシリーズ(旭電化工業株式会社製)、DSX3290(コグニクスジャパン株式会社製)、プライマルRM−2020NPR(ローム・アンド・ハース・カンパニー製)等が挙げられる。
例えば、(a−1)成分、(a−2)成分(必要に応じ、(a−3)成分、他の単量体)、(b)成分、(c)油溶性重合開始剤(以下、「(c)成分」ともいう。)、(d)界面活性剤(以下、「(d)成分」ともいう。)、(e)水、を混合して懸濁液を作製し、該懸濁液中の液滴の平均粒子径が0.01μm〜10μm(好ましくは、0.1〜1μm)となるように分散させ、(a−1)成分を重合して得られる重合体の結晶化温度よりも高い温度で懸濁重合し、重合後、該結晶化温度よりも低い温度まで冷却して製造することが好ましい。
なお、液滴の粒子径は、光学顕微鏡で測定した値である。
また、このような製造法で得られた蓄熱カプセルの水分散体は、蓄熱カプセルの平均粒子径が0.01〜10μm(好ましくは0.1〜1μm、さらに好ましくは0.3〜0.8μm)となり、長期的な貯蔵安定性にも優れる。
なお、蓄熱カプセルの粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製:マイクロトラック粒度分析計UPA150)を用いて測定した値である。
蓄熱カプセルの水分散液体の固形分としては、20重量%以上80重量%以下、さらには30重量%以上70重量%以下であることが好ましい。
潜熱蓄熱材の内包量が40重量%以下の場合では、十分な蓄熱性を有する蓄熱カプセルが得れらず、また、70重量%以上では、カプセル壁の結晶性が低下し、静置時および攪拌時にカプセル同士の凝集が見られ、長期的な貯蔵安定性が得られない。
炭素数が4未満である場合、蓄熱組成物中における分散性、貯蔵安定性を付与することが困難である。炭素数が12以上である場合、透明性を付与することが困難である。
また、樹脂形態としては、水分散型、水可溶型、溶剤型、NAD型、無溶剤型、粉体型等特に限定されないが、(A)成分の形態が水分散型である場合は、(X)成分は、水分散型および/または水可溶型の形態であることが好ましい。
重合方法としては、特に限定されないが、乳化重合法、分散重合法、懸濁重合法、溶液重合法等の一般的な重合方法を用いることができ、必要に応じ、公知の開始剤、乳化剤、高分子分散剤、溶媒、重合抑制剤、pH調整剤等を混合して得ることができる。
得られた蓄熱組成物は、刷毛、ローラー、こて、スプレー等で基材に塗付積層すればよい。この際にも、蓄熱カプセルには、せん断応力等の力が加えられるが、カプセル壁が破砕し難く、潜熱蓄熱材の漏れを防止することができる。
アルミニウム、銅、クロム、タングステン、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、銀、金等からなる金属板、金属箔等の金属材料、
アクリル樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル・酢酸ビニル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、アクリル・シリコン樹脂、シリコン変性アクリル樹脂、エチレン・酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム等の合成ゴム等の有機材料、
ガラス繊維、パルプ繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維、テトロン繊維、ポリエステル繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維等の合成繊維、綿、木綿、石綿、麻、ヤシ、コルク、ケナフ等の天然繊維等の繊維材料、
松、ラワン、ブナ、ヒノキ、合板等の木質材料、その他、紙、合成紙、セラミックペーパー、あるいはこれらの複合材料等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
(1)壁材、天井材、床材等の内・外装材用の建材として使用する場合は、上述した無機材料や金属材料の基材表面に、蓄熱組成物によって形成された皮膜を積層し、さらにその上に表面材を積層して使用することができる。表面材としては、特に限定されず、公知のものを使用することができ、例えば、上塗塗料、建材シート、建材ボード、タイル、マット、床材等広範に使用することができる。また、必要に応じ断熱材や難燃・不燃材、さらには床暖房システムで使用する発熱体等を積層してもよい。
(2)保温シートとして用いる場合は、上述した金属材料、有機材料、繊維材料等の基材表面に、蓄熱組成物によって形成された皮膜を積層し、さらにその上に上述した金属材料、有機材料、繊維材料等の基材を積層して使用することができる。
またこのような保温シートは、冷蔵・冷凍庫、浴槽・浴室、クーラーボックス、衣類等に応用することができ、様々な分野で使用することができる。
(3)結露防止シートとして用いる場合は、有機材料のフィルム・シート等の基材表面に、蓄熱組成物によって形成された皮膜を積層したり、さらにその上に有機材料フィルム・シート等を積層して使用することができる。特に結露防止シートとして用いる場合は、有機材料のフィルム・シート及び蓄熱層が透明性を有することが好ましく、このような透明性結露防止シートは、窓やドア、車輌等で使用されるガラス、ミラー等へ好適に使用することができる。
また、車輌等の内装材として用いる場合は潜熱蓄熱材の融点が15℃〜30℃付近のものを使用すればよい。また、冷蔵庫に用いる場合は潜熱蓄熱材の融点が−10℃〜5℃付近のものを使用すればよい。また、冷凍庫に用いる場合は潜熱蓄熱材の融点が−30℃〜−10℃付近のものを使用すればよい。また、保温シートとして用いる場合は保温する温度に合わせて潜熱蓄熱材の融点を適宜選定するものを使用すればよい。また、結露防止シートに用いる場合は潜熱蓄熱材の融点が5℃〜20℃付近のものを使用すればよい。
通常2種以上の潜熱蓄熱材を混合すると、見かけ上融点は一つとなってしまい、より幅広い温度域での蓄熱性能を発揮することが、困難な場合がある。
本発明では、潜熱蓄熱材の融点が異なる2種以上の蓄熱カプセルを混合することで、見かけ上融点が2つ以上の材料を簡便に得ることができる。
例えば、融点が5℃〜15℃付近の潜熱蓄熱材を含有する蓄熱カプセルと、融点が16℃〜28℃付近の潜熱蓄熱材を含有する蓄熱カプセルとを組み合わせることにより、見かけ上2つの融点を有し、一年を通してその蓄熱性能(夏期は冷熱蓄熱性能、冬期は温熱蓄熱性能)を発揮することができ、また、昼と夜の温度差に対しても、前記冷熱蓄熱性能、温熱蓄熱性能を発揮することができる。例えば、建材、保温シート、結露防止シート等、また、衣類、カーテン、じゅうたん、寝具、日用雑貨等に適用することができる。
また、融点が−15〜0℃付近の潜熱蓄熱材を含有する蓄熱カプセルと、融点が0℃〜5℃付近の潜熱蓄熱材を含有する蓄熱カプセルとを組み合わせることにより、冷蔵庫やクーラーボックス等に適用することができる。
<蓄熱カプセル1>
表1に示すように、シクロヘキシルメタクリレート100重量部、メタクリル酸1重量部、ポリエチレングリコールジメタクリレート5重量部、n−ヘキサデカン(融点:18℃)150重量部、ベンゾイルパーオキサイド2.5重量部を均一に混合し、さらに、ポリオキシエチレンオレイルエーテルアンモニウム塩4重量部、ポリオキシエチレンステアリルエーテル2重量部、ベンゾイルパーオキサイド2.5重量部、イオン交換水250重量部を加え、ホモジナイザー(Heidoph製:ホモジナイザーDIAX900)を用いて攪拌速度15000rpmで攪拌を行い、懸濁液を作製した。
この懸濁液の平均粒子径を、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製:マイクロトラック粒度分析計UPA150)により観察した結果、平均粒子径は0.30μmであった。
作製した懸濁液を、脱気、窒素雰囲気下にした重合槽に投入し、80℃で3時間懸濁重合を行い、蓄熱カプセル1の水分散体(平均粒子径:0.32μm、固形分50重量%)を得た。
得られた蓄熱カプセル1の水分散体について、次の評価を行った。
蓄熱カプセル1の水分散体を、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製:マイクロトラック粒度分析計UPA150)を用いて平均粒子径を測定した。結果は表1に示す。
蓄熱カプセル1の水分散体0.8リットルを、1リットル容器に入れ、温度23℃、相対湿度50%下(以下、「標準状態」ともいう。)において1ヶ月間静置させた。分離した蓄熱カプセル1の体積(リットル)を測定し、下記の式により、分離率を算出することにより評価した。評価は下記に示す。結果は表1に示す。
分離率(%)=分離した蓄熱カプセル1の体積(リットル)×100/0.8(リットル)
◎:分離率0.5%未満
○:分離率0.5%以上1%未満
△:分離率1%以上5%未満
×:分離率5%以上
蓄熱カプセル1の水分散体を卓上攪拌機(IKA社製:RW20.n)を用いて、標準状態下において、攪拌速度2400rpmで30分間攪拌を行い、
攪拌前後の粘度より、以下の基準より評価を行った。結果は表1に示す。
◎:攪拌前後の粘度変化が、5%未満
○:攪拌前後の粘度変化が、10%未満
△:攪拌前後の粘度変化が、50%未満
×:攪拌前後の粘度変化が、50%以上
蓄熱カプセル1の水分散体を雰囲気温度5℃下に設定した恒温槽内に24時間静置させ、静置前後の粘度より、以下の基準より評価を行った。結果は表1に示す。
◎:静置前後の粘度変化が、5%未満
○:静置前後の粘度変化が、10%未満
△:静置前後の粘度変化が、50%未満
×:静置前後の粘度変化が、50%以上
DSC220CU(セイコーインスツルメンツ株式会社製)を用いて、示差走査熱量測定(DSC測定)により、得られた蓄熱カプセル1の物性値(潜熱量)を測定した。測定条件としては、アルミニウムをリファレンスとし、昇温温度10℃/min、−20〜60℃の温度領域で測定した。
表1に示す原料、配合比率にて、蓄熱カプセル1と同様の方法で蓄熱カプセルの水分散体を作製した。得られた蓄熱カプセルの水分散体(固形分50重量%)について、蓄熱カプセル1と同様の評価を行った。結果は表1に示す。
結合材1:合成樹脂エマルション(固形分50重量%、組成:シクロヘキシルメタクリレート60重量%、メチルメタクリレート20重量%、メタクリル酸10重量%、ポリエチレングリコールジメタクリレート10重量%)
結合材2:合成樹脂エマルション(固形分50重量%、組成:シクロヘキシルメタクリレート5重量%、メチルメタクリレート45重量%、スチレン30重量%、メタクリル酸10重量%、ポリエチレングリコールジメタクリレート10重量%)
結合材3:合成樹脂エマルション(固形分50重量%、組成:スチレン50重量%、メチルメタクリレート30重量%、メタクリル酸10重量%、ポリエチレングリコールジメタクリレート10重量%)
表2に示す配合にて、結合材1を50重量部、蓄熱カプセル1を50重量部、添加剤(2,2,4,−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)1重量部を混合攪拌し、蓄熱組成物1を得た。
得られた蓄熱組成物1について、次の試験を行った。
PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(210mm×297mm×45μm)の上に、標準状態にて、蓄熱組成物1を刷毛にて、乾燥膜厚が0.1mmとなるように塗付し、24時間養生させた。その後、PETフィルムから、蓄熱フィルムを剥がし、試験体を得た。
得られた蓄熱フィルムを、標準状態で、7日間静置させ、蓄熱材の漏洩を目視にて、評価した。評価基準は以下に示す。結果は表2に示す。
◎:蓄熱材の漏洩がみられなかった
○:蓄熱材の漏洩がほとんどみられなかった
×:蓄熱材の漏洩がみられた
PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(210mm×297mm×45μm)の上に、標準状態にて、蓄熱組成物1を刷毛にて、乾燥膜厚が0.1mmとなるように塗付し、24時間養生させた。その後、PETフィルムから、蓄熱フィルムを剥がし、試験体を得た。
得られた蓄熱フィルムを、標準状態で、50日間静置させ、DSC220CU(セイコーインスツルメンツ株式会社製)を用いて、示差走査熱量測定(DSC測定)により、潜熱量を測定した。評価基準は以下に示す。結果は表2に示す。
◎:潜熱量が、100(kJ/kg)以上
○:潜熱量が、80(kJ/kg)以上100(kJ/kg)未満
×:潜熱量が、80(kJ/kg)未満
PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(210mm×297mm×45μm)の上に、標準状態にて、蓄熱組成物1を刷毛にて、乾燥膜厚が0.1mmとなるように塗付し、24時間養生させた。その後、PETフィルムから、蓄熱フィルムを剥がし、試験体を得た。
得られた蓄熱フィルムを、紫外可視分光光度計(株式会社 島津製作所社製:SHIMAZU UV−220 UV−VIS RECORDING SPECTRO PHOTO METER)を用いて、可視光(550nm)における透過率を算出する事により、透明性を評価した。評価は以下に示す。結果は表2に示す。
◎:透過率80%以上
○:透過率60%以上80%未満
×:透過率60%未満
表2に示す配合にて、実験例1と同様の方法にて蓄熱組成物2〜19を得た。
得られた蓄熱組成物2〜19について、それぞれ実験例1と同様の実験を行った。結果は表2に示す。
得られた蓄熱組成物2、蓄熱組成物18、蓄熱組成物19を、それぞれPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(210mm×297mm×30μm)の上に、標準状態で刷毛にて、乾燥膜厚が0.1mmとなるように塗付し、24時間養生させ、試験シートをそれぞれ得た。
外気温度が5℃の雰囲気下に、一箇所に窓ガラス(900mm×900mm)が設置された試験棟(1850mm×1850mm×1850mm)(壁面:石膏ボード)を設置した。次に、試験棟内の温度・湿度を表3(試験1〜6)に示すように保ち、試験棟内部から窓ガラス全面に試験シートをそれぞれ貼り付けた。
結露評価試験では、試験シート貼り付け後1時間経過後の窓ガラスの様子を目視にて観察した。評価は次のとおりである。結果は表3に示す。
なお、ブランクとして、試験シートを貼り付けない場合の窓ガラスの様子も目視にて評価した。
◎:結露の発生なし
○:ほとんど結露の発生なし
△:水滴が発生
×:流れ落ちる量の水滴が発生
Claims (14)
- (A)(b)潜熱蓄熱材が内包された蓄熱カプセル、
(X)結合材、
を含む蓄熱組成物であって、
(A)蓄熱カプセルのカプセル壁が、(a−1)炭素数が12以上のアルキル基を有する結晶性(メタ)アクリル酸エステル単量体、(a−2)炭素数が4以上12未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を含む単量体群の重合体から形成されたものであり、
(X)結合材が、(a−2)炭素数が4以上12未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を含む単量体群の重合体からなる合成樹脂を含有することを特徴とする蓄熱組成物。 - (A)蓄熱カプセルが、
(a−1)炭素数が12以上のアルキル基を有する結晶性(メタ)アクリル酸エステル単量体、
(a−2)炭素数が4以上12未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体
(b)潜熱蓄熱材、
(c)油溶性重合開始剤、
(d)界面活性剤、
(e)水、を混合して懸濁液を作製し、
該懸濁液中の液滴の平均粒子径が0.01μm〜10μmとなるように分散させ、
(a−1)成分の結晶化温度よりも高い温度で懸濁重合し、重合後、該結晶化温度よりも低い温度まで冷却して得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱組成物。 - (A)(b)潜熱蓄熱材が内包された蓄熱カプセル、
(X)結合材、
からなる蓄熱組成物であって、
(A)蓄熱カプセルのカプセル壁が、(a−1)炭素数が12以上のアルキル基を有する結晶性(メタ)アクリル酸エステル単量体、(a−2)炭素数が4以上12未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体、(a−3)架橋性単量体を含む単量体群の重合体から形成されたものであり、
(X)結合材が、(a−2)炭素数が4以上12未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を含む単量体群の重合体からなる合成樹脂を含有することを特徴とする蓄熱組成物。 - (A)蓄熱カプセルが、
(a−1)炭素数が12以上のアルキル基を有する結晶性(メタ)アクリル酸エステル単量体、
(a−2)炭素数が4以上12未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体、
(a−3)架橋性単量体、
(b)潜熱蓄熱材、
(c)油溶性重合開始剤、
(d)界面活性剤、
(e)水、を混合して懸濁液を作製し、
該懸濁液中の液滴の平均粒子径が0.01μm〜10μmとなるように分散させ、
(a−1)成分の結晶化温度よりも高い温度で懸濁重合し、重合後、該結晶化温度よりも低い温度まで冷却して得られたものであることを特徴とする請求項3に記載の蓄熱組成物。 - カプセル壁を構成する重合体を形成する単量体において、(a−1)成分の含有量が、単量体全量の20〜60重量%であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の蓄熱組成物。
- カプセル壁を構成する重合体を形成する単量体において、(a−2)成分の含有量が、単量体全量の40重量%以上であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の蓄熱組成物。
- 結合材(X)を構成する重合体を形成する単量体において、(a−2)成分の含有量が、単量体全量の10重量%以上であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の蓄熱組成物。
- (a−1)成分の結晶化温度が40℃以上であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の蓄熱組成物。
- (A)蓄熱カプセル中に、潜熱蓄熱材が40〜70重量%内包されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の蓄熱組成物。
- (A)蓄熱カプセルの平均粒子径が0.01μm〜10μmであることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の蓄熱組成物。
- (b)潜熱蓄熱材が、n−パラフィンであることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の蓄熱組成物。
- 請求項1から請求項11のいずれかに記載の蓄熱組成物によって形成された皮膜を含む建材。
- 請求項1から請求項11のいずれかに記載の蓄熱組成物によって形成された皮膜を含む保温シート。
- 請求項1から請求項11のいずれかに記載の蓄熱組成物によって形成された皮膜を含む結露防止シート。
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