JP2008163066A - バッグインボックス用内袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性、耐ピンホール性に優れると共に、低臭性に優れたエチレン系共重合体組成物から形成されたことを特徴とするバッグインボックス用内袋の提供。
【解決手段】密度が0.900〜0.930g/cm、MFRが0.1〜20g/10分、Mw/Mnが3.5以下のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)100重量部に対して、Alに対するSiOの割合が20以上のハイシリカ型ゼオライト(D)0.03〜2重量部を含むエチレン系共重合体組成物(X)からなる層を含むことを特徴とするバッグインボックス用内袋。
【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン系共重合体組成物を用いたバッグインボックス用内袋に関し、更に詳しくは、耐熱性、耐ピンホール性、低臭性に優れたバッグインボックス用内袋に関する。
従来から、飲料等の液体を収納し、流通するために用いるバッグインボックス用の内袋(ダンボール等の箱の内側に設置される内袋)には、低温ヒートシール性、耐ピンホール性等の諸性能が要望されていた。
これらの諸性能のうち、耐ピンホール性の解決のため、また、ガスバリヤー性、耐擦傷性を新たに付与するために、多重袋とする方法がとられており、更に、内容量が5リットル、10リットル、20リットルのように多い場合は、バッグインボックスの内袋の損傷による内容物の漏れを防ぐために、フィルムを適宜、二重ないし三重に重ねあわせて、製袋し、多重袋形式の内袋とする方法がとられてきた。
このようなバッグインボックスの内袋において、接液するフィルムが多層フィルムであった場合、接液面、即ち、シーラント層には、ヒートシール強度のほか、低温ヒートシール性等に優れたエチレン−酢酸ビニル共重合体、あるいは、線状低密度ポリエチレン等が用いられてきた。
しかしながら、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体や、線状低密度ポリエチレンを用いて内袋を作成した場合、そのヒートシール性については、良好であるが、耐ピンホール性、低臭性等が十分でなかった。
このような点を解決するために、例えば、積層フィルムで形成されており、その該積層フィルムの少なくとも最内層が、シングルサイト触媒を用いて重合した、エチレン−α−オレフィン共重合体と、中密度ポリエチレン及び/又は高密度ポリエチレンとの混合樹脂で形成されていることを特徴とするバッグインボックスの内袋が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、特定のエチレン単独重合体またはエチレン−α−オレフィン共重合体と他のエチレン系(共)重合体の樹脂または、樹脂組成物から形成されたことを特徴とするバッグインボックス用内袋が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、少なくとも1層の中間層(III)と、この両面に形成された外層(I)、外層(II)を有する3層以上の複数層からなるバッグインボックス内袋用フィルムであって、該少なくとも1層の中間層(III)が、特定のエチレン−α−オレフィン共重合体と他のエチレン系(共)重合体からなるバッグインボックス内袋用フィルムが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、特許文献1〜3に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体は共に、フィルム自身が臭う、そのフィルム臭の内容物への移行、或いは、内容物の味の変化原因となる等、問題があった。
かかる問題を解決するために、樹脂臭の臭い原因物質を、無機物を添加する方法等で低減化する方法が用いられてきた。
例えば、特定のエチレン−α−オレフィン共重合体、特定の高圧ラジカル法による低密度ポリエチレン及び特定の無機化合物粒子からなる飲料容器用ポリエチレン系樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
また、特定のエチレン−α−オレフィン共重合体と特定の無機化合物粒子からなる飲料容器用ポリエチレン系樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
さらに、特定のエチレン−α−オレフィン共重合体とα−トコフェロール、特定の無機化合物粒子からなる飲料容器用ポリエチレン系樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
さらにまた、ポリオレフィン系樹脂、特定の含アルミニウムケイ酸金属塩、無定形二酸化ケイ素からなる防臭樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。
また、ポリオレフィン、滑剤、特定のゼオライトからなる組成物が提案されている(例えば、特許文献8参照。)。
しかしながら、いずれの場合も、多少の臭いは低減するものの、根本的な臭いの低減につながることは無かった。
特開平11−227787号公報 特開平9−240731号公報 特開2000−326463号公報 特開2001−81252号公報 特開2001−81253号公報 特開2001−123022号公報 特開2002−78785号公報 特開平8−3381号公報
本発明は、上記問題に鑑みて、耐熱性、耐ピンホール性に優れると共に、低臭性に優れたエチレン系共重合体組成物から形成されたことを特徴とするバッグインボックス用内袋を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため種々の研究を重ねた結果、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、特定の高密度ポリエチレン(B)と、特定の高圧法低密度ポリエチレンと、特定のハイシリカ型ゼオライト(D)を、特定の割合で含有したエチレン系共重合体組成物とすることにより、従来材料に比べて、耐熱性に優れると共に、耐ピンホール性、低臭性に優れる組成物が得られることを見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記成分(A)100重量部に対して、下記成分(D)0.03〜2重量部を含むエチレン系共重合体組成物(X)からなる層を含むことを特徴とするバッグインボックス用内袋が提供される。
成分(A):下記特性(a−1)〜(a−3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体
(a−1)密度:0.900〜0.930 g/cm
(a−2)MFR:0.1〜20 g/10分
(a−3)Mw/Mn:3.5以下
成分(D):下記特性(d−1)を満たすハイシリカ型ゼオライト
(d−1)Alに対するSiOの割合(モル比):20以上
また、本発明の第2の発明によれば、下記成分(A)60〜99重量%と、下記成分(B)1〜40重量%とを含むポリエチレン樹脂組成物100重量部に対して、下記成分(D)0.03〜2重量部を含むエチレン系共重合体組成物(Y)からなる層を含むことを特徴とするバッグインボックス用内袋が提供される。
成分(A):下記特性(a−1)〜(a−3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体
(a−1)密度:0.900〜0.930g/cm
(a−2)MFR:0.1〜20 g/10分
(a−3)Mw/Mn:3.5以下
成分(B):下記特性(b−1)〜(b−2)を満たす高密度ポリエチレン
(b−1)密度:0.940〜0.980g/cm
(b−2)MFR:2〜30 g/10分
成分(D):下記特性(d−1)を満たすハイシリカ型ゼオライト
(d−1)Alに対するSiOの割合(モル比):20以上
また、本発明の第3の発明によれば、下記成分(A)50〜98重量%と、下記成分(B)1〜40重量%と、下記成分(C)1〜40重量%とを含むポリエチレン樹脂組成物100重量部に対して、下記成分(D)0.03〜2重量部を含むエチレン系共重合体組成物(Z)からなる層を含むことを特徴とするバッグインボックス用内袋が提供される。
成分(A):下記特性(a−1)〜(a−3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体
(a−1)密度:0.900〜0.930 g/cm
(a−2)MFR:0.1〜20 g/10分
(a−3)Mw/Mn:3.5以下
成分(B):下記特性(b−1)〜(b−2)を満たす高密度ポリエチレン
(b−1)密度:0.940〜0.980g/cm
(b−2)MFR:2〜30 g/10分
成分(C):下記特性(c−1)〜(c−2)を満たす高圧法低密度ポリエチレン
(c−1)密度:0.910〜0.940g/cm
(c−2)MFR:0.5〜20 g/10分
成分(D):下記特性(d−1)を満たすハイシリカ型ゼオライト
(d−1) Alに対するSiOの割合(モル比):20以上
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、エチレン系共重合体組成物(X、Y、Z)が、成分(A)〜(C)の合計量100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤0.03〜0.4重量部含むことを特徴とするバッグインボックス用内が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、エチレン系共重合体組成物(X、Y、Z)からなる層が、下記特性(p−1)〜(p−2)を有することを特徴とするバッグインボックス用内袋が提供される。
(p−1)炭素数2〜10の脂肪酸総量:20μg/ml以下
(p−2)炭素数2〜10のアルデヒドの総量:30μg/ml以下
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、気体遮断性材料層を含むことを特徴とするバッグインボックス用内袋が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、成形加工時の樹脂温度が200℃以上で成形されたことを特徴とするバッグインボックス用内袋が提供される。
本発明のエチレン系共重合体組成物は、耐熱性、耐ピンホール性、柔軟性に優れると共に、低臭性に優れるという顕著な効果を奏する。そのため、該エチレン系共重合体組成物を用いることにより耐熱性、耐ピンホール性、低臭性に優れたバッグインボックス内袋を提供することができる。
本発明は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)及びハイシリカ型ゼオライト(D)を含有するエチレン系共重合体組成物(X)からなる層、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、高密度ポリエチレン(B)及びハイシリカ型ゼオライト(D)を含有するエチレン系共重合体組成物(Y)からなる層、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、高密度ポリエチレン(B)、高圧法低密度ポリエチレン(C)及びハイシリカ型ゼオライト(D)を含有するエチレン系共重合体組成物(Z)からなる層、を含むバッグインボックス用内袋である。以下に、各エチレン系共重合体組成物を構成する成分、各エチレン系共重合体組成物、その特性、それらを用いたバッグインボックス用内袋について詳細に説明する。
1.エチレン系共重合体組成物(X)、(Y)、(Z)を構成する成分
(1)エチレン・α−オレフィン共重合体(A)
本発明のエチレン系共重合体組成物を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、直鎖状であり、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や超低密度ポリエチレン(VLDPE)とも称され、エチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとからなる。
ここで、炭素数3〜18のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等が挙げられ、中でも、炭素数4〜12であるのが好ましく、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数4〜10であるものが特に好ましい。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンの含有量は、好ましくは3〜24重量%、より好ましくは5〜20重量%、さらに好ましくは7〜15重量%である。α−オレフィンの含有量が3重量%未満では、バッグインボックス用内袋としての耐ピンホール性に劣ることとなり、24重量%超では、バッグインボックス用内袋にミネラルウォーターを充填するときの、耐熱性に劣ることとなる。
さらに、本発明における成分(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、下記の特性(a−1)〜(a−3)を満たすことが必要である。
(a−1)密度
成分(A)の密度は、0.900〜0.930g/cmであり、好ましくは0.905〜0.925g/cmであり、より好ましくは0.910〜0.920g/cmである。密度が0.900g/cm未満では、バッグインボックス用内袋にミネラルウォーターを充填するときの、耐熱性に劣ることとなり、0.930g/cmを超えるとバッグインボックス用内袋としての耐ピンホール性に劣ることとなる。
ここで、密度は、JIS K7112−1999の「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」のD法(密度こうばい管法)に準拠して測定する値である。
(a−2)メルトフローレイト(MFR)
成分(A)のMFRは、0.1〜20g/10分であり、好ましくは0.3〜15g/10分であり、より好ましくは0.5〜10g/10分である。MFRが0.1g/10分未満では、フィルムへ成形加工するとき、樹脂圧が上がる等して加工性が劣ることとなり、一方、MFRが20g/10分超では、バッグインボックス用内袋としての機械的強度、フィルム成形加工時のバブル安定性等の加工性が劣ることとなる。
ここで、MFRは、JIS K7210−1999の「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、試験条件:190℃、21.18N(2.16kg)荷重で測定する値である。
(a−3)Mw/Mn(Q値)
成分(A)のMw/Mn(Q値)は、3.5以下であり、好ましくは3.0〜1.5であり、より好ましくは2.5〜2.0である。Q値が3.5を超えると、べた付き性が出てくるおそれがある。
ここで、Mw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で定義されるものである。Mw/Mnの測定方法は、以下の通りである。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本[カラムの較正は、東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量は、ポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いてポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数は、α=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンは、α=0.723、logK=−3.407である。
測定温度:140℃
注入量:0.2ml
濃度:20mg/10mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/min
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)としては、チーグラー・ナッタ型触媒やフィリップス型触媒等の存在下に共重合されたものより、カミンスキー型触媒の存在下に共重合されたものであるのが好ましい。
カミンスキー型触媒によるエチレン・α−オレフィン共重合体は、例えば、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35005号、特開昭60−35006号、特開昭60−35007号、特開昭60−35008号、特開昭60−35009号、特開昭61−130314号、特開平3−163088号の各公報、欧州特許公開第420436号公報、米国特許第5055438号明細書、及び国際公開WO91/04257号公報等に記載されている、メタロセン系触媒、特にメタロセン・アルモキサン系触媒を用い、又は例えば、国際公開WO92/07123号公報等に記載されている、メタロセン化合物と該化合物と反応して安定なアニオンとなる化合物からなる触媒を用い、例えば、気相法、スラリー法、溶液法、高圧イオン重合法等の重合法によって製造することができる。
中でも、本発明における前記エチレン・α−オレフィン共重合体は、モノ−、ジ−、又はトリ−シクロペンタジエニル環若しくは置換シクロペンタジエニル環を配位子とした、チタン、ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、又は白金等の4価の遷移金属化合物をメタロセン化合物とする触媒を用いて重合されたものであるのが好ましい。
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、市販品から適宜選択して使用することもできる。市販品としては、例えば、日本ポリエチレン社製の「カーネル」(商標名)などを例示することができる。
(2)高密度ポリエチレン(B)
本発明のエチレン系共重合体組成物を構成する高密度ポリエチレン(B)は、次の特性(b−1)〜(b−2)を有する高密度ポリエチレンである。
(b−1)密度
成分(B)の密度は、0.940〜0.980g/cmであり、好ましくは0.950〜0.975g/cmであり、より好ましくは0.960〜0.970g/cmである。密度が0.940g/cm未満では耐熱性が劣り、0.980g/cmを超えるポリエチレンの製造は困難である。
ここで、密度は、JIS K7112−1999の「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」のD法(密度こうばい管法)に準拠して測定する値である。
(b−2)メルトフローレイト(MFR)
成分(B)のMFRは、2〜30g/10分であり、好ましくは5〜20g/10分であり、より好ましくは6〜15g/10分である。MFRが2g/10分未満では、フィルムへ成形加工するとき、樹脂圧が上がる等して加工性が劣ることとなり、また、成分(A)中への分散性に欠け、耐熱性に劣ることとなる。一方、MFRが30g/10分超では、バッグインボックス用内袋としての機械的強度及びフィルム成形加工時のバブル安定性等の加工性が劣ることとなる。
ここで、MFRは、JIS K7210−1999の「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、試験条件:190℃、21.18N(2.16kg)荷重で測定する値である。
本発明の成分(B)の製造は、目的の物性を有する重合体を製造し得る限りその重合方法や触媒について特に制限はないが、中圧法プロセスによって得られるポリエチレンが好適である。
触媒については、チーグラー型触媒(すなわち、担持または非担持ハロゲン含有チタン化合物と有機アルミニウム化合物の組み合わせに基づくもの)、カミンスキー型触媒(すなわち、担持または非担持メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物、特にアルモキサンの組み合わせに基づくもの)が挙げられる。
チーグラー型触媒としては、例えば、ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化チタン、および電子供与体化合物を成分とする固体触媒成分と有機アルミニウム化合物との組み合わせ触媒を用いて通常の重合方法により得ることができる。
ポリエチレンの形状は限定されるものでなく、ペレット状、粉末状いずれであってもよい。
本発明に用いる高密度ポリエチレンは、市販品から適宜選択して使用することもできる。市販品としては、例えば、日本ポリエチレン社製の「ノバテックHD」(商標名)などを例示することができる。
(3)高圧法低密度ポリエチレン(C)
本発明のエチレン系共重合体組成物を構成する成分(C)の高圧法低密度ポリエチレンは、次の特性(c−1)〜(c−2)を有する高密度ポリエチレンである。
(c−1)密度
成分(C)の密度は、0.910〜0.940g/cmであり、好ましくは0.915〜0.930g/cmであり、より好ましくは0.918〜0.925g/cmである。密度が0.910g/cm未満では、耐熱性が劣り、0.940g/cmを超えるとバッグインボックス用内袋としての耐ピンホール性に劣ることとなる。
ここで、密度は、JIS K7112−1999の「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」のD法(密度こうばい管法)に準拠して測定する値である。
(c−2)メルトフローレイト(MFR)
成分(C)のMFRは、0.5〜20g/10分であり、好ましくは0.7〜10g/10分であり、より好ましくは0.7〜5g/10分である。MFRが0.5g/10分未満では、フィルムへ成形加工するとき、樹脂圧が上がる等して加工性が劣ることとなり、また、成分(A)中への分散性に欠け、耐熱性に劣ることとなる。一方、MFRが20g/10分超では、バッグインボックス用内袋としての機械的強度及びフィルム成形加工時のバブル安定性等の加工性が劣ることとなる。
ここで、MFRは、JIS K7210−1999の「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、試験条件:190℃、21.18N(2.16kg)荷重で測定する値である。
なお、高圧法低密度ポリエチレンの形状は限定されるものでなく、ペレット状、粉末状いずれであってもよい。
本発明に用いる高圧法低密度ポリエチレンは、市販品から適宜選択して使用することもできる。市販品としては、例えば、日本ポリエチレン社製の「ノバテックLD」(商標名)などを例示することができる。
(4)ハイシリカ型ゼオライト(D)
本発明のエチレン系共重合体組成物を構成する成分(D)ハイシリカ型ゼオライトは、次の特性(d−1)、好ましくはさらに、(d−2)を有するハイシリカ型ゼオライトである。
(d−1)シリカ/アルミナ比(モル比)
成分(D)のシリカ(SiO)/アルミナ(Al)比(モル比)は、20以上であり、好ましくは30以上、より好ましくは80以上、さらに好ましくは100以上である。Alに対して、SiOの割合が20未満であると、臭い改良効果に劣る。
ここで、シリカ(SiO)/アルミナ(Al)比(モル比)は、蛍光X線で検量線を用いて求める値である。
このようなハイシリカ型ゼオライトには、ベータ型、モルデナイト型、ZSM型等があるが、好ましくは、ZSM型である。
(d−2)平均粒径
成分(D)の平均粒径は、0.1〜30μmであり、好ましくは1〜20μmであり、より好ましくは2〜10μmである。平均粒径が0.1μm未満であると、樹脂に混合する際、十分まぜあわせることができず、分散性が低下する。また、平均粒径が30μmを超えると、バッグインボックス用内袋としたとき、透明性が低下する。
(5)その他の添加剤
本発明のエチレン系共重合体組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂やゴム、並びに、熱可塑性樹脂に通常用いられる各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、造核剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、防曇剤、分散剤、流動性改良剤、離型剤、接着性付与剤、難燃剤、着色剤、充填材等が添加されていてもよい。これらの成分は、各成分に含まれていても良いし、エチレン系共重合体組成物の製造時に配合しても良い。
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が好ましい。フェノール系酸化防止剤の添加量は、成分(A)及び成分(B)または、成分(A)〜成分(C)の合計量100重量部に対し、0.03〜0.4重量部であり、好ましくは、0.04〜0.3重量部であり、より好ましくは0.04〜0.2重量部である。フェノール系酸化防止剤の添加量が0.03重量部未満であると、フィルム加工時にフィルムにブツが発生し、外観不良が生じる。一方、0.4重量部超であると、フェノール系酸化防止剤由来成分の水への流出可能性が増える。
2.エチレン系共重合体組成物(X)、(Y)、(Z)
本発明のエチレン系共重合体組成物(X)は、上記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)とハイシリカ型ゼオライト(D)を含有する組成物である。エチレン系共重合体組成物(X)における成分(D)の組成割合は、成分(A)100重量部に対し、0.03〜2重量部であり、好ましくは0.05〜1重量部であり、さらに好ましくは、0.1〜0.5重量部である。成分(D)の添加量が0.03重量部未満であると、低臭性に劣るため好ましくない。一方、2重量部を超えるとフィルムの透明性が悪化する傾向となるため、好ましくない。
本発明のエチレン系共重合体組成物(Y)は、上記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、高密度ポリエチレン(B)及びハイシリカ型ゼオライト(D)を含有する組成物である。高密度ポリエチレン(B)を含有させることにより、耐熱性を向上させることができる。
エチレン系共重合体組成物(Y)における各成分の組成割合は、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量%としたとき、成分(A)は、60〜99重量%であり、好ましくは70〜93重量%であり、より好ましくは80〜90重量%である。また、成分(B)は、1〜40重量%であり、好ましくは7〜30重量%、より好ましくは10〜20重量%である。成分(B)が1重量%未満であると、耐熱性の向上の効果が少ない。一方、成分(B)が40重量%を超えると、柔軟性に劣る傾向となる、また、耐ピンホール性が劣る傾向となる。
また、成分(D)は、成分(A)と成分(B)の合計量100重量部に対し、0.03〜2重量部であり、好ましくは0.05〜1重量部であり、さらに好ましくは、0.1〜0.5重量部である。成分(D)の添加量が0.03重量部未満であると、低臭性に劣るため好ましくない。一方、2重量部を超えるとフィルムの透明性が悪化する傾向となるため、好ましくない。
本発明のエチレン系共重合体組成物(Z)は、上記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、高密度ポリエチレン(B)、高圧法低密度ポリエチレン(C)及びハイシリカ型ゼオライト(D)を含有する組成物である。高密度ポリエチレン(B)を含有させることにより、耐熱性を向上させることができる。高圧法低密度ポリエチレン(C)を含有させることによりフィルム成形加工時のバブル安定性などの加工性を向上させることができる。
エチレン系共重合体組成物(Z)における各成分の組成割合は、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合計量を100重量%としたとき、成分(A)は、50〜98重量%であり、好ましくは70〜85重量%であり、より好ましくは75〜83重量%である。また、成分(B)は、1〜40重量%であり、好ましくは7〜15重量%、より好ましくは8〜13重量%である。さらに、成分(C)は、1〜40重量%であり、好ましくは7〜15重量%、より好ましくは8〜13重量%である。成分(B)が1重量%未満であると、耐熱性の向上の効果が少ない。一方、成分(B)が40重量%を超えると、柔軟性に欠ける傾向となる。さらに、成分(C)が1重量%未満であると、フィルム成形加工時のバブル安定性等の加工性の向上効果が乏しくなる。一方、成分(C)が40重量%を超えると、バッグインボックス内袋としての耐ピンホール性、耐衝撃性に欠ける傾向となる。
また、成分(D)は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量100重量部に対し、0.03〜2重量部であり、好ましくは0.05〜1重量部であり、さらに好ましくは、0.1〜0.5重量部である。成分(D)の添加量が0.03重量部未満であると、低臭性に劣るため好ましくない。一方、2重量部を超えるとフィルムの透明性が悪化する傾向となるため、好ましくない。
3.エチレン系共重合体組成物(X)、(Y)、(Z)からなる層の特性
本発明のエチレン系共重合体組成物(X)、(Y)、(Z)からなる層は、次の特性(p−1)〜(p−2)を有することが好ましい。
(p−1)炭素数2〜10の脂肪酸総量
本発明のエチレン系共重合体組成物(X)、(Y)、(Z)からなる層の炭素数2〜10の脂肪酸総量は、20μg/ml以下が好ましく、より好ましくは15μg/ml以下、さらに好ましくは10μg/ml以下である。炭素数2〜10の脂肪酸総量が20μg/mlを超えるとフィルムの臭いが悪化し、また当該化合物が内容物の味にも影響を与える可能性がある。
(p−2)炭素数2〜10のアルデヒドの総量
本発明のエチレン系共重合体組成物(X)、(Y)、(Z)からなる層の炭素数2〜10のアルデヒドの総量は、30μg/ml以下が好ましく、より好ましくは20μg/ml以下、さらに好ましくは10μg/ml以下である。炭素数2〜10のアルデヒドの総量が30μg/mlを超えるとフィルムの臭いが悪化し、また当該化合物が内容物の味にも影響を与える可能性がある。
ここで、炭素数2〜10の脂肪酸総量、炭素数2〜10のアルデヒドの総量は、以下の方法で測定される。
バッグインボックス内袋に加工前の50μm厚フィルム2.0gを20ml容ヘッドスペースバイアルに量り取った後、バイアルをキャップし、このバイアルを80℃のオーブンに入れ、SPMEファイバーを挿入し、試料から発生した揮発成分を1時間ファイバーに吸着させた。この後ファイバーはGCの注入口の温度で熱脱着した。この脱着によって揮発した成分は、GCカラムの先端を−150℃に冷却して捕集した。捕集した成分を、GC/MSで測定した。
尚、GCカラムは、脂肪酸測定、アルデヒド測定にそれぞれ適したカラムを選択し、GCの注入口の温度は、脂肪酸測定の場合250℃、アルデヒド測定の場合300℃とした。
また、定量するために、別途検量線を作製した。
すなわち、炭素数2〜10の各アルデヒドと各有機酸をn−ヘキサン(関東化学社製、水質試験用)で希釈して、約10、20、および30μg/mlの混合標準溶液を調製した。この溶液の1μLを試料測定と同様にHS/SPME−GC/MS測定を行った。GC/MSチャートより得られる面積から、検量線を作製した。
この検量線を元に、各試料のヘッドスペース中に発生した各脂肪酸、アルデヒド成分の定量を行い、2.0gの樹脂から発生したヘッドスペースバイアルの単位体積あたりの発生量として、「μg/ml」との単位で表した。
4.バッグインボックス用内袋
本発明のエチレン系共重合体組成物(X)、(Y)、(Z)からなるバッグインボックス用内袋は、単層であってもよく、積層体であってもよい。
また、本発明のバッグインボックス用内袋が二重袋等の多重袋構成となる場合、その内側に使われても、外側に使われてもよい。また、三重袋構成以上となる場合、中間に使われてもよい。
また、本発明のバッグインボックス用内袋が、積層体である場合、気体遮断性材料からなる層を設けることができる。
上記気体遮断性材料は、酸素等の気体を遮断して内容物の劣化を防ぐ材料であり、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物、塩化ビニリデン系樹脂等の樹脂フィルムまたはアルミニウム箔等の金属箔等が挙げられる。とくに気体透過性が小さく加工性の良好なエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物が好ましい。さらにはエチレン含有量20〜50モル%、酢酸ビニル部分のケン化度90モル%以上の組成を有するものがより好ましい。
また、気体遮断性材料層を積層する場合は、エチレン系共重合体組成物からなる層と気体遮断性材料層との層間に接着剤や接着性樹脂を介在させてもよい。接着性樹脂としてはアイオノマー樹脂すなわちエチレンとアクリル酸等との共重合体を金属カチオンにより架橋したポリマー、あるいは各種のポリオレフィンまたはゴムに不飽和カルボン酸またはその誘導体を反応させた変性ポリオレフィンまたは変性ゴム等が挙げられ、中でも変性ポリオレフィンを含む重合物が好ましい。
上記の変性ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチル−ペンテン−1等のポリオレフィンに無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸あるいはその誘導体を有機過酸化物の存在下で加熱して反応変性させたものや溶媒の存在でグラフト変性したもの等が用いられる。
気体遮断性材料を用いるフィルムの積層体は、エチレン系共重合体組成物層/接着剤層/気体遮断性材料層/接着剤層/エチレン系共重合体組成物層とすることが好ましい。
また、バッグインボックス内袋に用いられる単層あるいは積層フィルム全体の厚さは50〜500μmが用いられるが、特に70〜200μmの範囲が好ましい。
本発明におけるバッグインボックス用内袋には、特に多重袋となったときに、外側層にはフィルムの肌荒れや透明性を損なわない程度の範囲で抗ブロッキング剤を添加することにより、フィルム同士のブロッキングを防ぎ、製袋時の作業性を向上させることができる。
用いられる抗ブロッキング剤、無機物としてシリカ、炭酸カルシウム、タルク、ゼオライト、炭酸マグネシウム等、有機物としては、アルキレンビス(不)飽和高級脂肪酸アミド等が挙げられ成分(A)〜成分(C)の合計100重量部に対して0.01〜0.5重量部程度、好ましくは0.02〜0.35重量部である。また滑剤の添加により、フィルムに適度の滑性を与えることも同様の効果がある。用いられる滑剤としては、(不)飽和脂肪酸アミド、(不)飽和高級脂肪酸の金属塩等が挙げられる。
さらに、本発明においては、内層、外層を構成する各フィルムに対し、防曇剤、有機あるいは無機フィラー、酸化防止剤、帯電防止剤、有機あるいは無機系顔料、紫外線防止剤、分散剤、核剤、発泡剤、難燃剤、架橋剤などの公知の添加剤を、本発明の特性を本質的に阻害しない範囲で添加することができる。
5.バッグインボックス用内袋の成形
バッグインボックス用内袋に用いられるフィルムの製造方法は、単層構成の場合、通常のインフレーション成形法、Tダイ成形法、積層体の場合は多層ダイを用いて押出機で溶融された樹脂をダイス先端で接合させ積層構造とする多層インフレーション成形法、多層Tダイ成形法等の共押出成形法の他に、多層ブロー成形法等の通常の成形法が適用され特に限定されない。
また、積層体の場合、別々に成形されたフィルムを接着剤を用いて張り合わせることによっても得ることができる。フィルムの厚さは、50〜500μmが用いられるが、特に70〜200μmの範囲が好ましい。
本発明のエチレン系共重合体組成物からフィルムを作製し、バッグインボックス内袋に加工する際、気体遮断性層を設ける場合、樹脂温度を200℃以上にして成形することが好ましい。
本発明におけるバッグインボックス内袋が多重袋となる場合、当該多層が前面にわたって接着されておらず要部のみの接着、具体的には2枚の袋を重ねた4辺の全てあるいは一部をシールしたサイドシール、あるいはフィルムの全範囲あるいは一部を点接着したものである。このような形態の袋は外部からの衝撃を吸収し、特に好ましいものである。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して、さらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例で用いた試験・評価方法、材料は以下の通りである。
1.試験、評価方法
(1)密度:JIS K7112−1999の「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」のD法(密度こうばい管法)に準拠して測定した。
(2)MFR:JIS K7210−1999の「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、試験条件:190℃、21.18N(2.16kg)荷重で測定した。
(3)Mw/Mn:前述の方法で測定した。
(4)シリカ(SiO)/アルミナ(Al)比:蛍光X線測定することにより求めた。別途作製した検量線を用いて求めた。
(5)脂肪酸発生量、アルデヒド発生量:前述の方法で測定した。
(6)耐熱性:得られたチューブ状のインフレーションフィルムを用いて底部をヒートシールし、容量5Lの袋状フィルムを得た。前記袋状フィルム5個に95℃の熱水を満たして放冷し、シール面の剥離等破損の有無を目視で観察した。5個中の破損個数を測定し、次の基準で判断した。
○:破袋個数が0個
△:破袋個数が1個
×:破袋個数が2個以上
尚、シールは、インパルスシーラー(富士インパルス社製 形式:P−300 接着部温度:250℃)にて行った。
(7)耐ピンホール性:得られたフィルムを成形時の流れ方向に幅200mm、長さ300mm切り取ってこれを試験片とし、5枚用意した。試験片を理学工業(株)製ゲルボテスターに取り付け5000ストローク負荷後、試験片を白色のろ紙上で試薬(塩基性染料1%と界面活性剤1%を含む着色界面活性剤水溶液)を筆により塗付し、ろ紙への試薬の透過の有無により汚染性を調べ、次の基準で判断した。
○:汚染枚数が0枚
△:汚染枚数が1枚
×:汚染枚数が2枚以上
(8)臭気官能試験:得られたフィルムを10mm×10mm程度の形状に裁断し、500ml三角フラスコに40gを入れた後、栓をして45℃に加温したギアオーブンに1時間入れ加熱した。その後取り出し、室温になったところで、フラスコの栓を外し、内部の臭いを嗅いだ。次の臭いの基準に従い、パネラー5人による官能評価を行い、次の基準で判断した。
0:無臭、何か臭う
1:弱く臭う
2:はっきり臭う
3:強く臭う
2.材料
(1)成分(A)
成分(A)として、製造例1〜3で得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A−1)〜(A−3)を用いた。
(製造例1)
(i)触媒調製
触媒の調製は、特表平7−508545号公報に記載された方法で実施した。即ち、錯体ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル2.0ミリモルに、トリペンタフルオロフェニルホウ素を上記錯体に対して等モル加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調製した。
(ii)重合
内容積1.5リットルの撹拌式オートクレーブ型連続反応器を反応器内の圧力130MPaに保ち、エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が50重量%となるように40kg/時の割合で原料ガスを連続的に供給した。また、上記触媒溶液を連続的に供給し、重合温度が156℃を維持するようにその供給量を調整した。1時間あたりのポリマー生産量は約2.6kgであった。反応終了後、1−ヘキセン含有量=11重量%、MFR=2.2g/10分、密度=0.910g/cm、Mw/Mn=2.3であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(A−1)を得た。
(製造例2)
重合時の1−ヘキセンの組成を39重量%にし、重合温度を164℃に代えた以外は製造例1と同様の製法で触媒調整及び重合を行った。1時間あたりのポリマー生産量は約2.6kgであった。反応終了後、1−ヘキセン含有量=7重量%、MFR=2.2g/10分、密度=0.918g/cm、Mw/Mn=2.3であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(A−2)を得た。
(製造例3)
重合時の1−ヘキセンの組成を20重量%にし、重合温度を178℃に代えた以外は製造例1と同様の製法で触媒調整及び重合を行った。1時間あたりのポリマー生産量は約2.7kgであった。反応終了後、1−ヘキセン含有量=1.5重量%、MFR=2.2g/10分、密度=0.935g/cm、Mw/Mn=2.3であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(A−3)を得た。
(2)成分(B)
(i)B−1:密度が0.964g/cm、MFRが7.0g/10分である高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製「ノバテックHD HJ562」)
(3)成分(C)
(i)C−1:密度が0.919g/cm、MFRが1.0g/10分である高圧法低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製「ノバテックLD LE306」
(4)成分(D)
(i)D−1:ハイシリカ型ゼオライト(水澤化学社製ミズカシーブス EX−122)、化学式;NaO・ Al・33SiO・nHO(n=0〜7)、SiO/Al比;33、平均粒径;2.1μm
(ii)D−2:シリカ(水澤化学社製ミズカシル P−73)、化学式;SiO・nHO、平均粒径;4μm
(iii)D−3:シリカ(水澤化学社製ミズカシル P−527)、化学式;SiO・nHO、平均粒径;2μm
(iv)D−4:シリカ(水澤化学社製ミズカシル P−605)、化学式;SiO・nHO、平均粒径;2.5μm
(v)D−5:ソジウムアルミノシリケート(水澤化学社製シルトンAMT−100S2)、化学式;2SiO・Al・0.4NaO・nHO、SiO/Al比;2、平均粒径;7.5μm
(実施例1)
成分(A)として(A−1)を81重量%、成分(B)として(B−1)を9重量%、成分(C)として(C−1)を10重量%含有する混合物100重量部に対して、成分(D)として(D−1)0.2重量部、フェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製 商品名:IRGANOX 1076)0.045重量部を配合し、二軸押出機で、シリンダー温度180℃、スクリュー回転数220rpmで1分間溶融混練して、ストランド状に溶融押出し、冷却固化させカッティングしてエチレン系共重合体組成物のペレットを調製した。
次に、得られたペレットを用いて、単層インフレーション成形機(ダイ径;75mmφ、ダイリップ;3mm、ダイス温度;210℃)を用い、厚み50μmのチューブ状フィルムを成形した。得られたフィルムにおいて、脂肪酸発生量、アルデヒド発生量の定量を行い、結果を表1に示す。また、耐熱性、耐ピンホール性、臭気官能試験を評価した。その結果を表1に示す。
(実施例2)
成分(A)として(A−2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製した。その結果を表1に示す。
(比較例1)
成分(D)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製した。その結果を表1に示す。
このものは、耐熱性、耐ピンホール性には優れるが、臭気官能評価には劣る。
(比較例2)
成分(D)として(D−2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製した。その結果を表1に示す。
このものは、耐熱性、耐ピンホール性には優れるが、臭気官能評価には劣る。
(比較例3)
成分(D)として(D−3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製した。その結果を表1に示す。
このものは、耐熱性、耐ピンホール性には優れるが、臭気官能評価には劣る。
(比較例4)
成分(D)として(D−4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製した。その結果を表1に示す。
このものは、耐熱性、耐ピンホール性には優れるが、臭気官能評価には劣る。
(比較例5)
成分(D)として(D−4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製した。その結果を表1に示す。
このものは、耐熱性、耐ピンホール性には優れるが、臭気官能評価には劣る。
(比較例6)
成分(A)として(A−3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製した。その結果を表1に示す。
このものは、耐熱性、臭気官能評価には優れるが、耐ピンホール性に劣る。
Figure 2008163066
本発明のエチレン系共重合体組成物からなるバッグインボックス用内袋は、柔軟性に優れると共に、耐熱性、耐ピンホール性、低臭性に優れるので、お茶や、ミネラルウォーター等の比較的、味の薄い内容物向けの包装袋として、好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 下記成分(A)100重量部に対して、下記成分(D)0.03〜2重量部を含むエチレン系共重合体組成物(X)からなる層を含むことを特徴とするバッグインボックス用内袋。
    成分(A):下記特性(a−1)〜(a−3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体
    (a−1)密度:0.900〜0.930 g/cm
    (a−2)MFR:0.1〜20 g/10分
    (a−3)Mw/Mn:3.5以下
    成分(D):下記特性(d−1)を満たすハイシリカ型ゼオライト
    (d−1)Alに対するSiOの割合(モル比):20以上
  2. 下記成分(A)60〜99重量%と、下記成分(B)1〜40重量%とを含むポリエチレン樹脂組成物100重量部に対して、下記成分(D)0.03〜2重量部を含むエチレン系共重合体組成物(Y)からなる層を含むことを特徴とするバッグインボックス用内袋。
    成分(A):下記特性(a−1)〜(a−3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体
    (a−1)密度:0.900〜0.930 g/cm
    (a−2)MFR:0.1〜20 g/10分
    (a−3)Mw/Mn:3.5以下
    成分(B):下記特性(b−1)〜(b−2)を満たす高密度ポリエチレン
    (b−1)密度:0.940〜0.980g/cm
    (b−2)MFR:2〜30 g/10分
    成分(D):下記特性(d−1)を満たすハイシリカ型ゼオライト
    (d−1)Alに対するSiOの割合(モル比):20以上
  3. 下記成分(A)50〜98重量%と、下記成分(B)1〜40重量%と、下記成分(C)1〜40重量%とを含むポリエチレン樹脂組成物100重量部に対して、下記成分(D)0.03〜2重量部を含むエチレン系共重合体組成物(Z)からなる層を含むことを特徴とするバッグインボックス用内袋。
    成分(A):下記特性(a−1)〜(a−3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体
    (a−1)密度:0.900〜0.930 g/cm
    (a−2)MFR:0.1〜20 g/10分
    (a−3)Mw/Mn:3.5以下
    成分(B):下記特性(b−1)〜(b−2)を満たす高密度ポリエチレン
    (b−1)密度:0.940〜0.980g/cm
    (b−2)MFR:2〜30 g/10分
    成分(C):下記特性(c−1)〜(c−2)を満たす高圧法低密度ポリエチレン
    (c−1)密度:0.910〜0.940g/cm
    (c−2)MFR:0.5〜20 g/10分
    成分(D):下記特性(d−1)を満たすハイシリカ型ゼオライト
    (d−1) Alに対するSiOの割合(モル比):20以上
  4. エチレン系共重合体組成物(X、Y、Z)が、成分(A)〜(C)の合計量100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤0.03〜0.4重量部含むことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のバッグインボックス用内袋。
  5. エチレン系共重合体組成物(X、Y、Z)からなる層が、下記特性(p−1)〜(p−2)を有することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のバッグインボックス用内袋。
    (p−1)炭素数2〜10の脂肪酸総量:20μg/ml以下
    (p−2)炭素数2〜10のアルデヒドの総量:30μg/ml以下
  6. 気体遮断性材料層を含むことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載のバッグインボックス用内袋。
  7. 成形加工時の樹脂温度が200℃以上で成形されたことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載のバッグインボックス用内袋。
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