JP6776983B2 - 低味低臭フィルム - Google Patents

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Description

本発明はエチレン系共重合体組成物を用いた低味低臭フィルム、さらに詳しくは低味低臭性に加え耐ピンホール性、ヒートシール強度に優れた低味低臭フィルムに関する。
従来から、食品、飲料を包装するフィルムには、低温ヒートシール性、耐ピンホール性等の諸性能が要望されていた。多層フィルムであった場合、シーラント層には、ヒートシール強度のほか、低温ヒートシール性等に優れたエチレン−酢酸ビニル共重合体、あるいは、線状低密度ポリエチレン等が用いられてきた。
しかしながら、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体や、線状低密度ポリエチレンを用いてシーラント層を作成した場合、そのヒートシール性については、良好であるが、耐ピンホール性、低臭性等が十分でなかった。
このような点を解決するために、例えば、上記性能が特に要求されるバックインボックスでは、積層フィルムで形成されており、その該積層フィルムの少なくとも最内層が、シングルサイト触媒を用いて重合した、エチレン−α−オレフィン共重合体と、中密度ポリエチレン及び/又は高密度ポリエチレンとの混合樹脂で形成されていることを特徴とするバッグインボックスの内袋が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、特定のエチレン単独重合体またはエチレン−α−オレフィン共重合体と他のエチレン系(共)重合体の樹脂または、樹脂組成物から形成されたことを特徴とするバッグインボックス用内袋が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、少なくとも1層の中間層(III)と、この両面に形成された外層(I)、外層(II)を有する3層以上の複数層からなるバッグインボックス内袋用フィルムであって、該少なくとも1層の中間層(III)が、特定のエチレン−α−オレフィン共重合体と他のエチレン系(共)重合体からなるバッグインボックス内袋用フィルムが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、特許文献1〜3に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体は共に、フィルム自身が臭うという問題があり、そのフィルム臭の内容物への移行、或いは、内容物の味の変化原因となる等の問題があった。
かかる問題を解決するために、樹脂臭の臭い原因物質を、無機物を添加する方法等で低減化する方法が用いられてきた。
例えば、特定のエチレン−α−オレフィン共重合体、特定の高圧ラジカル法による低密度ポリエチレン及び特定の無機化合物粒子からなる飲料容器用ポリエチレン系樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
また、特定のエチレン−α−オレフィン共重合体と特定の無機化合物粒子からなる飲料容器用ポリエチレン系樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
さらに、特定のエチレン−α−オレフィン共重合体とα−トコフェロール、特定の無機化合物粒子からなる飲料容器用ポリエチレン系樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
さらにまた、ポリオレフィン系樹脂、特定の含アルミニウムケイ酸金属塩、無定形二酸化ケイ素からなる防臭樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。
また、ポリオレフィン、滑剤、特定のゼオライトからなる組成物が提案されている(例えば、特許文献8参照。)。
しかしながら、いずれの場合も、多少の臭いは低減するものの、根本的な臭いの低減につながることは無かった。
特開平11−227787号公報 特開平9−240731号公報 特開2000−326463号公報 特開2001−81252号公報 特開2001−81253号公報 特開2001−123022号公報 特開2002−78785号公報 特開平8−3381号公報
本発明は、上記問題に鑑みて、低温ヒートシール性、耐ピンホール性に優れると共に、低味低臭性に優れたエチレン系共重合体組成物から形成されたことを特徴とする低味低臭フィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため種々の研究を重ねた結果、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、特定の高圧法低密度ポリエチレン(B)と、特定の無機化合物であるハイシリカ型ゼオライト(C)及びフェノール系酸化防止剤を、特定の割合で含有したエチレン系共重合体組成物による多層フィルムによって、従来材料に比べて、低味低臭性に優れると共に、低温ヒートシール、耐ピンホール性に優れる組成物が得られることを見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一の発明によれば、少なくとも、最内層と、最外層と、その間に位置する中間層を有する多層フィルムであって、該最内層および該最外層が、下記成分(A)100重量部に対し、下記成分(C)を0.03〜2重量部、フェノール系又はフェノールリン系酸化防止剤を0.03〜1.1重量部を含む層であり、該中間層が、下記成分(B)100重量部に対し、下記成分(C)を0.03〜2重量部、フェノール系又はフェノールリン系酸化防止剤を0.03〜1.1重量部を含む層であることを特徴とする低味低臭フィルムが提供される。
成分(A):下記特性(a−1)〜(a−3)を満たす直鎖状低密度ポリエチレン
(a−1)密度:0.900〜0.930g/cm
(a−2)MFR:0.1〜20g/10分
(a−3)Mw/Mn:3.5以下
成分(B):下記特性(b−1)〜(b−2)を満たす高圧法低密度ポリエチレン
(b−1)密度:0.910〜0.940g/cm
(b−2)MFR:0.5〜20g/10分
成分(C):下記特性(c−1)を満たすハイシリカ型ゼオライト
(c−1)SiO2/Al2O3モル比:20以上
更に本願の第2の発明によれば、該成分(A)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体中におけるα−オレフィン含有量が、3〜24重量%であることを特徴とする、第1発明記載の低味低臭フィルムが提供される。
本願の第3の発明によれば、該成分(C)が、(c−2)平均粒径:0.1〜30μmであることを特徴とする、第1又は第2記載の低味低臭フィルムが提供される。
本願の第4の発明によれば、第1ないし第3発明のいずれかに記載の低味低臭フィルムで構成された、バックインボックス用内袋が提供される。
本願の第5の発明によれば、第1ないし第3発明のいずれかに記載の低味低臭フィルムで構成された、飲料物包装用フィルムが提供される。
本発明の低味低臭フィルムは、低温ヒートシール性、耐ピンホール性、柔軟性に優れると共に、低臭性に優れるという顕著な効果を奏する。そのため、該低味低臭フィルムを用いることにより低温ヒートシール性、耐ピンホール性、低臭性に優れた、バックインボックス用内袋としてよく用いられる飲料水等の食品包装用フィルム、医療品包装用フィルム等を提供することができる。
本発明は、特定の直鎖状低密度ポリエチレン(A)及びハイシリカ型ゼオライト(C)、フェノール系酸化防止剤の所定量からなる最内外層、高圧法低密度ポリエチレン(B)及びハイシリカ型ゼオライト(C)、フェノール系又はフェノールリン系酸化防止剤の所定量からなる中間層を含む低味低臭フィルムである。以下に、各エチレン系共重合体組成物を構成する成分、各エチレン系共重合体組成物、その特性、それらを用いた低味低臭フィルムについて詳細に説明する。
(1)直鎖状低密度ポリエチレン(A)
本発明の直鎖状低密度ポリエチレン(A)とは、具体的にはエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとを触媒重合法により共重合して得られる、低密度かつ直鎖状の分子構造を有するエチレン・α−オレフィン共重合体である。
ここで、炭素数3〜18のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等が挙げられ、中でも、炭素数4〜12であるのが好ましく、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数4〜10であるものが特に好ましい。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンの含有量は、好ましくは3〜24重量%、より好ましくは5〜20重量%、さらに好ましくは7〜15重量%である。α−オレフィンの含有量が3重量%未満では、フィルムとしての耐ピンホール性に劣ることとなる。
さらに、本発明における成分(A)の直鎖状低密度ポリエチレンは、下記の特性(a−1)〜(a−3)を満たすことが必要である。
(a−1)密度
成分(A)の密度は、0.900〜0.930g/cmであり、好ましくは0.905〜0.925g/cmであり、より好ましくは0.910〜0.920g/cmである。密度が0.900g/cm未満では、バッグインボックス用内袋にミネラルウォーターを充填するときの、耐熱性に劣ることとなり、0.930g/cmを超えるとバッグインボックス用内袋としての耐ピンホール性に劣ることとなる。
ここで、密度は、JIS K7112−1999の「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」のD法(密度こうばい管法)に準拠して測定する値である。
(a−2)メルトフローレイト(MFR)
成分(A)のMFRは、0.1〜20g/10分であり、好ましくは0.3〜15g/10分であり、より好ましくは0.5〜10g/10分である。MFRが0.1g/10分未満では、フィルムへ成形加工するとき、樹脂圧が上がる等して加工性が劣ることとなり、一方、MFRが20g/10分超では、バッグインボックス用内袋としての機械的強度、フィルム成形加工時のバブル安定性等の加工性が劣ることとなる。
ここで、MFRは、JIS K7210−1999の「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、試験条件:190℃、21.18N(2.16kg)荷重で測定する値である。
(a−3)Mw/Mn(Q値)
成分(A)のMw/Mn(Q値)は、3.5以下であり、好ましくは3.0〜1.5であり、より好ましくは2.5〜2.0である。Q値が3.5を超えると、べた付き性が出てくるおそれがある。
ここで、Mw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で定義されるものである。Mw/Mnの測定方法は、以下の通りである。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本[カラムの較正は、東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量は、ポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いてポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数は、α=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンは、α=0.723、logK=−3.407である。
測定温度:140℃
注入量:0.2ml
濃度:20mg/10mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/min
本発明で用いる直鎖状低密度ポリエチレン(A)としては、チーグラー・ナッタ型触媒やフィリップス型触媒等の存在下に共重合されたものより、カミンスキー型触媒の存在下に共重合されたものであるのが好ましい。
カミンスキー型触媒によるエチレン・α−オレフィン共重合体は、例えば、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35005号、特開昭60−35006号、特開昭60−35007号、特開昭60−35008号、特開昭60−35009号、特開昭61−130314号、特開平3−163088号の各公報、欧州特許公開第420436号公報、米国特許第5055438号明細書、及び国際公開WO91/04257号公報等に記載されている、メタロセン系触媒、特にメタロセン・アルモキサン系触媒を用い、又は例えば、国際公開WO92/07123号公報等に記載されている、メタロセン化合物と該化合物と反応して安定なアニオンとなる化合物からなる触媒を用い、例えば、気相法、スラリー法、溶液法、高圧イオン重合法等の重合法によって製造することができる。
中でも、本発明における前記エチレン・α−オレフィン共重合体は、モノ−、ジ−、又はトリ−シクロペンタジエニル環若しくは置換シクロペンタジエニル環を配位子とした、チタン、ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、又は白金等の4価の遷移金属化合物をメタロセン化合物とする触媒を用いて重合されたものであるのが好ましい。
本発明に用いる直鎖状低密度ポリエチレンは、市販品から適宜選択して使用することもできる。市販品としては、例えば、日本ポリエチレン社製の「カーネル」(商標名)などを例示することができる。
(2)高圧法低密度ポリエチレン(B)
本発明のエチレン系共重合体組成物を構成する成分(B)の高圧法低密度ポリエチレンは、次の特性(b−1)〜(b−2)を有する、高圧ラジカル重合法により得られる枝分かれ状の多数の分岐を有する低密度ポリエチレンである。
(b−1)密度
成分(B)の密度は、0.910〜0.940g/cmであり、好ましくは0.915〜0.930g/cmであり、より好ましくは0.918〜0.925g/cmである。密度が0.940g/cmを超えるとフィルムとしての耐ピンホール性に劣ることとなる。
ここで、密度は、JIS K7112−1999の「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」のD法(密度こうばい管法)に準拠して測定する値である。
(b−2)メルトフローレイト(MFR)
成分(B)のMFRは、0.5〜20g/10分であり、好ましくは0.7〜10g/10分であり、より好ましくは0.7〜5g/10分である。MFRが0.5g/10分未満では、フィルムへ成形加工するとき、樹脂圧が上がる等して加工性が劣ることとなる。MFRが20g/10分超では、フィルムとしての機械的強度及びフィルム成形加工時のバブル安定性等の加工性が劣ることとなる。
ここで、MFRは、JIS K7210−1999の「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、試験条件:190℃、21.18N(2.16kg)荷重で測定する値である。
なお、高圧法低密度ポリエチレンの形状は限定されるものでなく、ペレット状、粉末状いずれであってもよい。
本発明に用いる高圧法低密度ポリエチレンは、市販品から適宜選択して使用することもできる。市販品としては、例えば、日本ポリエチレン社製の「ノバテックLD」(商標名)などを例示することができる。
(3)ハイシリカ型ゼオライト(C)
本発明のエチレン系共重合体組成物を構成する成分(C)ハイシリカ型ゼオライトは、次の特性(c−1)、好ましくはさらに、(c−2)を有するハイシリカ型ゼオライトである。
(c−1)シリカ/アルミナ比(モル比)
成分(C)のシリカ(SiO)/アルミナ(Al)比(モル比)は、20以上であり、好ましくは30以上、より好ましくは80以上、さらに好ましくは100以上である。Al2O3に対して、SiOの割合が20未満であると、臭い改良効果に劣る。
ここで、シリカ(SiO)/アルミナ(Al)比(モル比)は、蛍光X線で検量線を用いて求める値である。
このようなハイシリカ型ゼオライトには、ベータ型、モルデナイト型、ZSM型等があるが、好ましくは、ZSM型である。
(c−2)平均粒径
成分(C)の平均粒径は、0.1〜30μmであり、好ましくは1〜20μmであり、より好ましくは2〜10μmである。平均粒径が0.1μm未満であると、樹脂に混合する際、十分まぜあわせることができず、分散性が低下する。また、平均粒径が30μmを超えると、フィルムとしたとき、透明性が低下する。
(4)フェノール系又はフェノールリン系酸化防止剤
本発明で用いるフェノール系酸化防止剤としては、分子内にフェノール誘導体を有する酸化防止剤であり、従来より樹脂用のフェノール系酸化防止剤として知られているものを用いることができる。例えば、BASFジャパンのイルガノックスシリーズ等が挙げられる。
一方、本願発明のフェノールリン系酸化防止剤としては、分子中にフェノール基とリン部位の双方を有する化合物であり、フェノールリン系酸化防止剤として知られているものを用いることができる。
市販品としては例えば、スミライザー(登録商標)GP(住友化学株式会社製)などがある。
フェノール系又はフェノールリン系酸化防止剤の添加量は、成分(A)及び成分(B)の各々100重量部に対し、0.03〜1.1重量部であり、特にフェノール系酸化防止剤を用いる場合の好ましい添加量は0.03〜0.4重量部であり、更に好ましくは、0.04〜0.3重量部であり、より好ましくは0.04〜0.2重量部である。フェノール系酸化防止剤の添加量が0.03重量部未満であると、フィルム加工時にフィルムにブツが発生し、外観不良が生じる。一方、0.4重量部超であると、フェノール系酸化防止剤由来成分の水への流出可能性が増えやすい。
一方、フェノールリン系酸化防止剤を用いる場合の好ましい添加量は0.08〜1.1重量部であり、更に好ましくは0.1〜0.8重量部である。
(5)その他の添加剤
本発明の各層を構成するエチレン系共重合体組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂やゴム、並びに、熱可塑性樹脂に通常用いられる各種の添加剤、例えば、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、造核剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、防曇剤、分散剤、流動性改良剤、離型剤、接着性付与剤、難燃剤、着色剤、充填材等が添加されていてもよい。これらの成分は、各成分に含まれていても良いし、エチレン系共重合体組成物の製造時に配合しても良い。
(6)フィルムの成形
フィルムの製造方法は、多層ダイを用いて押出機で溶融された樹脂をダイス先端で接合させ積層構造とする多層インフレーション成形法、多層Tダイ成形法等の共押出成形法の他に、多層ブロー成形法等の通常の成形法が適用され特に限定されない。
(7)多層フィルムの構成
本願発明の低味低臭フィルムは、少なくとも、最内層、最外層、及びその間に位置する中間層の3層以上で構成される。最内層及び最外層とは、フィルム表面に位置する層であり、該フィルムで袋等を構成する際に内側に位置する層を最内層、外側に位置する層を最外層という。多層構成においては、最内層と中間層、中間層と最外層の間に、バリア性又は接着性等を有する他の任意の層を設けてもよいが、好ましくはシンプルな構成の3層構成である。
本願発明においては、最内層と最外層が、同一の樹脂組成物で構成されていることが、フィルムの製造効率上も、カール等の問題を発生しない点でも好ましい。
本願発明の最内層と最外層は、特定の直鎖状低密度ポリエチレン成分(A)100重量部に対し、成分(C)を0.03〜2重量部、フェノール系酸化防止剤0.03〜0.4重量部を含む層であり、本願発明の中間層は、特定の高圧法低密度ポリエチレン(B)100重量部 に対し、成分(C)を0.03〜2重量部、フェノール系酸化防止剤0.03〜0.4重量部を含む層であることを特徴とする。最内層及び最外層に用いる樹脂主成分と中間層に用いる樹脂主成分の種類が異なることにより、本願発明のフィルムに要する種々の性能を両立することが可能となる。なお、該層には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂成分や添加剤成分を添加してもよい。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して、さらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例で用いた試験・評価方法、材料は以下の通りである。
1.試験、評価方法
(1)密度:JIS K7112−1999の「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」のD法(密度こうばい管法)に準拠して測定した。
(2)MFR:JIS K7210−1999の「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、試験条件:190℃、21.18N(2.16kg)荷重で測定した。
(3)Mw/Mn:前述の方法で測定した。
(4)シリカ(SiO2)/アルミナ(Al2O3)比:蛍光X線測定することにより求めた。別途作製した検量線を用いて求めた。
(5)耐ピンホール性:得られたフィルムを成形時の流れ方向に幅200mm、長さ300mm切り取ってこれを試験片とし、4枚用意した。試験片を理学工業(株)製ゲルボテスターに取り付け2000ストローク負荷後、試験片を白色のろ紙上で試薬(塩基性染料1%と界面活性剤1%を含む着色界面活性剤水溶液)を筆により塗付し、ろ紙への試薬の透過の有無により汚染性を調べ、次の基準で判断した。
○:汚染枚数が0枚
△:汚染枚数が1枚
×:汚染枚数が2枚以上
(6)臭気官能試験:得られたフィルムを10mm×10mm程度の形状に裁断し、500ml三角フラスコに40gを入れた後、栓をして40℃に加温したギアオーブンに1時間入れ加熱した。その後取り出し、室温になったところで、フラスコの栓を外し、内部の臭いを嗅いだ。次の臭いの基準に従い、パネラー5人による官能評価を行い、次の基準で判断した。
0:無臭
1:弱く臭う
2:はっきり臭う
3:強く臭う
2.材料
(1)成分(A)
(i)A−1:密度が0.913g/cm、MFRが2.4g/10分である線状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製「カーネル KF271」)
(2)成分(B)
(i)B−1:密度が0.919g/cm、MFRが1.0g/10分である高圧法低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製「ノバテックLD LE306」
(3)成分(C)
(i)C−1:ハイシリカ型ゼオライト(水澤化学社製Mizukasieves EX122)、SiO/Al比;32、平均粒径;3.8μm
(ii)C−2:ハイシリカ型ゼオライト(水澤化学社製Silton MT-100)、SiO/Al比;105、平均粒径;4.0μm
(4)フェノール系酸化防止剤
BASFジャパン株式会社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤
(5)AB剤(アンチブロッキング剤)
(実施例1)
表1の配合に従い多層インフレーション成形機(ダイ径;200mmφ、ダイリップ;3mm、ダイス温度;180℃)を用い、3層の合計厚み100μmのチューブ状フィルムを成形した。最内層:中間層:最外層の厚みは45μm:10μm:45μmであった。得られたフィルムにおいて耐ピンホール性、臭気官能試験を評価した。その結果を表2に示す。
(実施例2)
表1の配合に従い、実施例1と同様にしてフィルムを作製した。結果を表2に示す。
(比較例1)
表1の配合に従い、実施例1と同様にしてフィルムを作製した。結果を表2に示す。
(比較例2)
表1の配合に従い、実施例1と同様にしてフィルムを作製した。結果を表2に示す。
Figure 0006776983
Figure 0006776983
本発明のエチレン系共重合体組成物からなる低味低臭フィルムは、柔軟性に優れると共に、耐ピンホール性、低臭性に優れるので、特に好ましくは、お茶や、ミネラルウォーター等の比較的、味の薄い飲料物等の内容物向けの包装袋用の包装用フィルムとして、好適に用いられる。

Claims (5)

  1. 少なくとも、最内層と、最外層と、その間に位置する中間層を有する多層フィルムであって、該最内層および該最外層が、下記成分(A)100重量部に対し、下記成分(C)を0.03〜2重量部、フェノール系又はフェノールリン系酸化防止剤を0.03〜1.1重量部を含む層であり、該中間層が、下記成分(B)100重量部に対し、下記成分(C)を0.03〜2重量部、フェノール系又はフェノールリン系酸化防止剤を0.03〜1.1重量部を含む層であることを特徴とする低味低臭フィルム。
    成分(A):下記特性(a−1)〜(a−3)を満たす直鎖状低密度ポリエチレン
    (a−1)密度:0.900〜0.930g/cm
    (a−2)MFR:0.1〜20g/10分
    (a−3)Mw/Mn:3.5以下
    成分(B):下記特性(b−1)〜(b−2)を満たす高圧法低密度ポリエチレン
    (b−1)密度:0.910〜0.940g/cm
    (b−2)MFR:0.5〜20g/10分
    成分(C):下記特性(c−1)を満たすハイシリカ型ゼオライト
    (c−1)SiO/Alモル比:20以上
  2. 該成分(A)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体中におけるα−オレフィン含有量が、3〜24重量%であることを特徴とする、請求項1記載の低味低臭フィルム。
  3. 該成分(C)が、(c−2)平均粒径:0.1〜30μmであることを特徴とする、請求項1又は2記載の低味低臭フィルム。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の低味低臭フィルムで構成された、バックインボックス用内袋。
  5. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の低味低臭フィルムで構成された、飲料物包装用フィルム。
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