JP2008162181A - 積層膜、その積層膜を有する光学素子、および積層膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性及び耐擦傷性に優れた積層膜及びこの積層膜を備える光学素子を提供する。
【解決手段】基材10上に少なくとも2層の薄膜を積層した積層膜20であって、積層される薄膜の最上層21のビッカース硬度を1200Hv以上2500Hv以下の範囲としたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】基材10上に少なくとも2層の薄膜を積層した積層膜20であって、積層される薄膜の最上層21のビッカース硬度を1200Hv以上2500Hv以下の範囲としたものである。
【選択図】 図1
Description
本発明は基材の表面に形成される積層膜にかかり、特に、耐摩耗性及び耐擦傷性に優れた積層膜、この積層膜を備える光学素子、及び積層膜の製造方法に関する。
従来、透過率の向上を図るためレンズ、プリズム、表示パネル、太陽電池や固体撮像素子等の光学素子を構成する基材上に積層膜が多く使用されている。積層膜は、基材上に少なくとも2層の薄膜を積層した構造を有しており、最上層には低屈折率のMgF2やSiO2又はそれらを主成分とした混合物が使用されることが多い(特許文献1)。
特開平7−72304号公報
しかし、MgF2やSiO2は硬度が比較的低い材料であるため、表面が傷つきやすく積層膜を構成する薄膜が基材から剥がれやすい。そのため積層膜の反射率を維持できず、透過率が悪化するという問題があった。
本発明は上述の問題を解決すべく、耐摩耗性、耐擦傷性に優れ、反射防止特性を維持できる積層膜、その積層膜を有する光学素子、及び積層膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は前記目的を達成するために、本発明の積層膜は、基材上に少なくとも2層の薄膜を積層した反射防止機能を有する積層膜であって、積層された薄膜の最上層のビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲であることを特徴とする。
積層膜の最上層のビッカース硬度を1200Hv以上2500Hv以下の範囲とすることで、耐摩耗性、耐擦傷性に優れ、反射率を維持できる積層膜を実現することができる。
本発明の積層膜においては、最上層は、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲の材料を組成比で80%以上含むものであることが好ましい。
本発明の積層膜においては、最上層と接する下部層は該最上層のビッカース硬度の40%以上であることが好ましい。
本発明の積層膜においては、前記下部層は、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲の材料を組成比で40%以上含むものであることが好ましい。
本発明の積層膜においては、基材上に積層される薄膜が基材側から順に下部層及び最上層とからなり、前記下部層が10nmから100nmの膜厚と1.4から1.8の屈折率を有し、前記最上層が50nmから200nmの膜厚と1.9から2.2の屈折率を有するものであることが好ましい。
本発明の積層膜においては、基材上に積層される薄膜が基材から順に第一層、下部層及び最上層とからなり、前記第一層が25nmから100nmの膜厚と1.5から2.5の屈折率を有し、前記下部層が50nmから200nmの膜厚と1.4から1.9の屈折率を有し、前記最上層が150nmから300nmの膜厚と1.7から2.5の屈折率を有するものであることが好ましい。
本発明の積層膜においては、最上層は、TiN,SiN及びZrO2から成る群から選ばれた一つの材料を含むものであることが好ましい。
本発明の積層膜においては、下部層は、SiO2及びAl2O3から成る群から選ばれた一つの材料を含むものであることが好ましい。
本発明の積層膜においては、第一層は、TiO2,SiON,SiN,TiN,Ta2O2,ZrO2及びCeO2から成る群から選ばれた一つの材料を含むものであることが好ましい。
本発明の光学素子においては、上述の本発明の積層膜を有することを特徴とする。本発明の光学素子によれば、積層膜が耐摩耗性、耐擦傷性に優れているので、積層膜が剥がれ落ちにくい。その結果、積層膜の剥がれによる透過率の低下を防止することができる。本発明の光学素子においては、光学素子は固体撮像装置、太陽電池モジュール、又はレンズであることが好ましい。
本発明の積層膜の製造方法においては、基材上に少なくとも2層の薄膜を積層する積層膜の製造方法であって、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲を持つ最上層を形成する工程を少なくとも備えることを特徴する。
本発明の積層膜の製造方法においては、最上層が、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲の材料を組成比で80%以上含むものであることが好ましい。
本発明の積層膜の製造方法においては、最上層のビッカース硬度の40%以上である、該最上層と接する下部層を形成する工程を備えるものであることが好ましい。
本発明の積層膜の製造方法においては、下部層が、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲の材料を組成比で40%以上含むものであることが好ましい。
本発明の積層膜の製造方法においては、基材上に積層される薄膜が基材側から順に下部層及び最上層とからなり、10nmから100nmの膜厚と1.4から1.8の屈折率を有する下部層を形成する工程と、50nmから200nmの膜厚と1.9から2.2の屈折率を有する最上層を形成する工程を備えるものであることが好ましい。
本発明の積層膜の製造方法においては、基材上に積層される薄膜が基材から順に第一層、下部層及び最上層とからなり、25nmから100nmの膜厚と1.5から2.5の屈折率を有する第一層を形成する工程と、50nmから200nmの膜厚と1.4から1.9の屈折率を有する下部層を形成する工程と、150nmから300nmの膜厚と1.7から2.5の屈折率を有する最上層を形成する工程を備えるものであることが好ましい。
本発明の積層膜の製造方法においては、基材上に少なくとも2層の薄膜を積層する積層膜の製造方法であって、前記薄膜が、物理気相成長法、化学気相成長法、スパッタ法、ゾルゲル法又は金属有機酸塩溶液の塗布熱分解法のいずれか、あるいは複数を組み合わせにより形成されるのが好ましい。
最上層のビッカース硬度を1200Hv以上2500Hv以下の範囲とする方法であれば、積層膜が形成される基材、光学素子の製造の諸条件にあわせて、上述の方法のいずれか、または複数を組み合わせて積層膜を適宜製造することができる。
本発明の積層膜によれば耐摩耗性、耐擦傷性の向上、及び積層膜の反射率の劣化を防止できる。本発明の光学素子によれば、積層膜の剥がれに起因する透過率の低下を防止することができる。本発明の積層膜の製造方法によれば、耐摩耗性、耐擦傷性の向上、積層膜の反射率の維持を実現できる積層膜を製造することができる。
以下添付図面に従って本発明の積層膜及び光学素子の好ましい実施の形態を説明する。
〔積層膜〕
(1)最上層
図1は、本発明に係る積層膜の第1の実施形態の断面構造を示している。図1に示すように、積層膜は、シリコンやガラス等の基材10上に、基材1側から順に2(n)、2(n−1)・・・の薄膜層、さらに下部層22、及び最上層21を有している。積層膜20は薄膜層が多層積層された構造を有しており、多層薄膜の最上位の位置に最上層21が形成される。本発明の積層膜の最上層21は、従来に比して高いビッカース硬度の値、具体的には1200Hv以上2500Hv以下の範囲となるよう形成されている。その結果、耐摩耗性、耐擦傷性に優れ、基材から剥がれ落ちにくい積層膜を得ることができる。最上層21の剥がれに起因する反射防止率の劣化を防止できる。
(1)最上層
図1は、本発明に係る積層膜の第1の実施形態の断面構造を示している。図1に示すように、積層膜は、シリコンやガラス等の基材10上に、基材1側から順に2(n)、2(n−1)・・・の薄膜層、さらに下部層22、及び最上層21を有している。積層膜20は薄膜層が多層積層された構造を有しており、多層薄膜の最上位の位置に最上層21が形成される。本発明の積層膜の最上層21は、従来に比して高いビッカース硬度の値、具体的には1200Hv以上2500Hv以下の範囲となるよう形成されている。その結果、耐摩耗性、耐擦傷性に優れ、基材から剥がれ落ちにくい積層膜を得ることができる。最上層21の剥がれに起因する反射防止率の劣化を防止できる。
ここで、ビッカース硬度 とは、JISZ2244「ビッカース硬さ試験−試験方法」に準拠した測定により得られた数値である。具体的には、正四角錐のダイヤモンド圧子を、試験片の表面に押し込み、その試験力を解除したの、表面に残ったくぼみの対角線の長さから、試験力をくぼみの表面積で割った値から得られる硬さの物性値である。
本発明の積層膜においては、最上層は、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲の材料を組成比で80%以上含むものであることが好ましい。例えば、ゾルゲル法等を用いて薄膜を積層する場合、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲の材料以外に不純物を含むことがある。形成された最上層21が、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下である限り、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の材料を組成比で100%含む必要はない。
また、最上層は、TiN,SiN及びZrO2からから成る群から選ばれた一つの材料を含むものであることが好ましい。
(2)下部層
最上層21に接する下部層22は、最上層21のビッカース硬度の40%以上であることが好ましい。かかる構成とすることで最上層21と相まって下部層22も積層膜の耐摩耗性、耐擦傷性の向上に寄与する。下部層22は最上層21より基材10側に形成されているので、最上層21に求められるビッカース硬度までは要求されない。具体的には最上層21のビッカース硬度の40%以上であれば、耐摩耗性、耐擦傷性の向上に充分寄与する。
最上層21に接する下部層22は、最上層21のビッカース硬度の40%以上であることが好ましい。かかる構成とすることで最上層21と相まって下部層22も積層膜の耐摩耗性、耐擦傷性の向上に寄与する。下部層22は最上層21より基材10側に形成されているので、最上層21に求められるビッカース硬度までは要求されない。具体的には最上層21のビッカース硬度の40%以上であれば、耐摩耗性、耐擦傷性の向上に充分寄与する。
下部層22が、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲の材料を組成比で40%以上含むものであることが好ましい。最上層21と同様、製造方法によっては、下部層22にビッカース硬度の40%以上の材料を100%含ませることができない場合があるからである。
また、下部層はSiO2及びAl2O3から成る群から選ばれた一つの材料を含むものであることが好ましい。
(3)2層構造の積層膜
図2は、本発明に係る積層膜の第2の実施形態の断面構造を示している。2層構造の積層膜30は、基材10上に積層された下部層32、及び下部層32と接するように設けられた最上層31を有している。最上層31は、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲で、且つ50nmから200nmの膜厚と1.9から2.2の屈折率を有している。また、下部層32は、10nmから100nmの膜厚と1.4から1.8の屈折率を有している。本発明係る積層膜は、基材10側から順に低屈折率の下部層32と高屈折率の最上層31の2層構造であることが好ましい。
図2は、本発明に係る積層膜の第2の実施形態の断面構造を示している。2層構造の積層膜30は、基材10上に積層された下部層32、及び下部層32と接するように設けられた最上層31を有している。最上層31は、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲で、且つ50nmから200nmの膜厚と1.9から2.2の屈折率を有している。また、下部層32は、10nmから100nmの膜厚と1.4から1.8の屈折率を有している。本発明係る積層膜は、基材10側から順に低屈折率の下部層32と高屈折率の最上層31の2層構造であることが好ましい。
最上層31のビッカース硬度に加えて、最上層31と下部層32が上述の膜厚と屈折率を有することで低反射率の積層膜を得ることできる。
最上層31及び下部層32は、(1)(2)で上述した材料群から選ばれた一つ材料を含むものであることが好ましい。
(4)3層構造の積層膜
図3は、本発明に係る積層膜の第3の実施形態の断面構造を示している。3層構造の積層膜40は、基材10上に積層された第一層43、下部層42、及び下部層42と接するように設けられた最上層41を有している。最上層41は、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲で、且つ150nmから300nmの膜厚と1.9から2.5の屈折率を有している。また、下部層42は、50nmから200nmの膜厚と1.4から1.9の屈折率を有している。さらに、第一層は、25nmから100nmの膜厚と1.7から2.5の屈折率を有している。本発明係る積層膜は、基材10側から順に高屈折率の第一層43、低屈折率の下部層42と高屈折率の最上層41の3層構造であることが好ましい。
図3は、本発明に係る積層膜の第3の実施形態の断面構造を示している。3層構造の積層膜40は、基材10上に積層された第一層43、下部層42、及び下部層42と接するように設けられた最上層41を有している。最上層41は、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲で、且つ150nmから300nmの膜厚と1.9から2.5の屈折率を有している。また、下部層42は、50nmから200nmの膜厚と1.4から1.9の屈折率を有している。さらに、第一層は、25nmから100nmの膜厚と1.7から2.5の屈折率を有している。本発明係る積層膜は、基材10側から順に高屈折率の第一層43、低屈折率の下部層42と高屈折率の最上層41の3層構造であることが好ましい。
最上層41のビッカース硬度に加えて、最上層41、下部層42、及び第一層43が上述の膜厚と屈折率を有することで低反射率の積層膜を得ることできる。 最上層41及び下部層42は、(1)(2)で上述した材料群から選ばれた一つ材料を含むものであることが好ましい。
また、第一層43はTiO2,SiON,SiN,TiN,Ta2O2,ZrO2及びCeO2から成る群から選ばれた一つの材料を含むものであることが好ましい。
〔積層膜の製造方法〕
次に本発明係る光学素子の製造方法について説明する。第一段階として、少なくとも光学素子の一部を構成する基材10を準備する。基材10が光学素子を構成してよも良いし、基材10に他の機能素子を加えて光学素子を構成しても良い。
次に本発明係る光学素子の製造方法について説明する。第一段階として、少なくとも光学素子の一部を構成する基材10を準備する。基材10が光学素子を構成してよも良いし、基材10に他の機能素子を加えて光学素子を構成しても良い。
次いで、準備された基材10上に基材10側から順に、薄膜層2n、2(n−1)・・最上層21が成膜される。本発明においては、最上層21のビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲となるよう形成される。また、前記最上層21は、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲の材料を組成比で80%以上含むよう成膜される。また、最上層21と接する下部層22が最上層21のビッカース硬度の40%以上であるに成膜される。また、下部層22は、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲の材料を組成比で40%以上含むように成膜される。
上述の積層膜は、物理気相成長法、化学気相成長法、ゾルゲル法又は塗布法のいずれか、あるいは複数を組み合わせることにより基材上に形成される。以下各方法の特徴について説明する。
(1)物理気相成長法
物理気相成長法にはスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などがある。
スパッタ法は膜をつける基板と膜の原料(ターゲット)を近くに置き、雰囲気全体を真空状態にして、試料とターゲットの間に電圧をかけて、電子やイオンを発生させ、イオンをターゲットに高速に衝突させて、ターゲットからはじき飛ばされた原料の粒子が試料に衝突、付着し、膜が形成される方法である。
物理気相成長法にはスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などがある。
スパッタ法は膜をつける基板と膜の原料(ターゲット)を近くに置き、雰囲気全体を真空状態にして、試料とターゲットの間に電圧をかけて、電子やイオンを発生させ、イオンをターゲットに高速に衝突させて、ターゲットからはじき飛ばされた原料の粒子が試料に衝突、付着し、膜が形成される方法である。
真空蒸着法は膜をつける基板と膜の原料を真空雰囲気に置き原料を熱などで加熱溶解して原料が気体分子となり、試料に衝突、付着し、膜が形成される方法である。
イオンプレーティング法は真空蒸着とほぼ同じ原理であるが、真空蒸着に加え、その蒸気にプラスの電荷を帯びさせ、基板側にマイナスの電荷を印加し、基板とプラス電荷の蒸気を引き寄せることにより密着性の良い膜を作る方式である。
イオンプレーティング法は真空蒸着とほぼ同じ原理であるが、真空蒸着に加え、その蒸気にプラスの電荷を帯びさせ、基板側にマイナスの電荷を印加し、基板とプラス電荷の蒸気を引き寄せることにより密着性の良い膜を作る方式である。
(2)化学気相成長法
化学気相成長法はCVDと呼ばれ、原料となる物質を含んだガスを熱、光によってエネルギーを与えたり、高周波によってプラズマ化したりすることで、その原料物質がラジカル化(不安定)して安定化する反応が進む過程で、基板に吸着、堆積される成膜方法である。
化学気相成長法はCVDと呼ばれ、原料となる物質を含んだガスを熱、光によってエネルギーを与えたり、高周波によってプラズマ化したりすることで、その原料物質がラジカル化(不安定)して安定化する反応が進む過程で、基板に吸着、堆積される成膜方法である。
(3)ゾルゲル法
ゾルゲル法は、加水分解、縮重合などの化学反応を行い、ゲル(ゼリー状の固体)を作製し、熱処理をすることにより内部に残された溶媒を取り除き、さらに緻密化を促進させることによりガラスやセラミックス等を形成する方法である。このため、他の方法と比較して低温で容易に作製することが可能となる。
ゾルゲル法は、加水分解、縮重合などの化学反応を行い、ゲル(ゼリー状の固体)を作製し、熱処理をすることにより内部に残された溶媒を取り除き、さらに緻密化を促進させることによりガラスやセラミックス等を形成する方法である。このため、他の方法と比較して低温で容易に作製することが可能となる。
(4)塗布法
金属酸化物ナノ微粒子(SiO2、TiO2、ZrO2、Al2O3、Ta2O5等)を溶剤中に入れた溶液を塗布、乾燥させて積層膜を形成する。
金属酸化物ナノ微粒子(SiO2、TiO2、ZrO2、Al2O3、Ta2O5等)を溶剤中に入れた溶液を塗布、乾燥させて積層膜を形成する。
〔光学素子、及び基材〕
本発明に係る積層膜が適用される光学素子、及びその基材について説明する。但し、本発明に係る光学素子、及び基材はこれらの例に限定されるものではない。
本発明に係る積層膜が適用される光学素子、及びその基材について説明する。但し、本発明に係る光学素子、及び基材はこれらの例に限定されるものではない。
(1)固体撮像装置
図4は本発明の実施の形態に係る固体撮像装置の外観形状を示す斜視図である。固体撮像装置50は、固体撮像素子52が設けられた固体撮像素子チップ51、固体撮像素子チップ51に設けられた固体撮像素子52を取り囲む枠形状のスペーサ53、及びスペーサ53に取り付けられて固体撮像素子を封止するためのカバーガラス54から構成される。外部との配線を行うため、固体撮像素子チップ51は固体撮像素子52の外側に複数のパッド55を備えている。本発明に係る第1〜第3の実施形態の積層膜が、固体撮像素子52の受光部又は/およびカバーガラス54上に形成される。固体撮像装置50において、シリコン基板が基材として使用される。カバーガラス54では、CG−1が基材として使用される。
図4は本発明の実施の形態に係る固体撮像装置の外観形状を示す斜視図である。固体撮像装置50は、固体撮像素子52が設けられた固体撮像素子チップ51、固体撮像素子チップ51に設けられた固体撮像素子52を取り囲む枠形状のスペーサ53、及びスペーサ53に取り付けられて固体撮像素子を封止するためのカバーガラス54から構成される。外部との配線を行うため、固体撮像素子チップ51は固体撮像素子52の外側に複数のパッド55を備えている。本発明に係る第1〜第3の実施形態の積層膜が、固体撮像素子52の受光部又は/およびカバーガラス54上に形成される。固体撮像装置50において、シリコン基板が基材として使用される。カバーガラス54では、CG−1が基材として使用される。
固体撮像素子52は、裏面照射のCCD型固体撮像素子、表面照射のCCD型固体撮像素子及びCMOS固体撮像素子、及び裏面照射のCMOS固体撮像素子の何れであっても良い。
(2)太陽電池モジュール
図5は、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの外観形状を示している。太陽電池モジュール60は、受光面にセル61及び表面電極62を備えている。セル61上に本発明に係る積層膜が形成される。セル61の基材として単結晶シリコン、単結晶ゲルマニウム、多結晶シリコン、微結晶シリコン、アモルファスシリコン(a−Si)、a-SiC、GaAs、InP、AlGaAs等が使用される。
図5は、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの外観形状を示している。太陽電池モジュール60は、受光面にセル61及び表面電極62を備えている。セル61上に本発明に係る積層膜が形成される。セル61の基材として単結晶シリコン、単結晶ゲルマニウム、多結晶シリコン、微結晶シリコン、アモルファスシリコン(a−Si)、a-SiC、GaAs、InP、AlGaAs等が使用される。
(3)レンズ
図6は、本発明の実施の形態に係るレンズの断面構造を示している。レンズ70は、凸状面71、凸状面71上に形成された積層膜72と凸状面71の反対側に平坦面73を備えている。レンズ70の基材としてはガラス、プラスチックが使用され、その材料の具体例としてパイレックス、CG−1、メタクリレート、アクリレート及びポリカーボネイトが使用される。図6に示すレンズ70は、一方側にのみ凸状面71を有しているが、両面が凸状面であっても良いし、その凸状面の形状自身も使用される光学機器によって適宜設計される。
図6は、本発明の実施の形態に係るレンズの断面構造を示している。レンズ70は、凸状面71、凸状面71上に形成された積層膜72と凸状面71の反対側に平坦面73を備えている。レンズ70の基材としてはガラス、プラスチックが使用され、その材料の具体例としてパイレックス、CG−1、メタクリレート、アクリレート及びポリカーボネイトが使用される。図6に示すレンズ70は、一方側にのみ凸状面71を有しているが、両面が凸状面であっても良いし、その凸状面の形状自身も使用される光学機器によって適宜設計される。
また、図6において、積層膜は凸状面71にのみ形成されているレンズ70のみを示したが、両面に積層膜を備えたものであっても良い。
本発明に係る積層膜72を備えたレンズ70は、広範囲の光学機器、例えばカメラレンズ、光ファイバの集光レンズ、プリズム等に使用される。
基材10上に3層の薄膜からなる積層膜40を設けて評価を行った。評価は分光エリプソメータによる反射方で行った。但し、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
シリコンを基材10として、表1に示す構成の積層膜40をスパッタ法により形成した。
シリコンを基材10として、表1に示す構成の積層膜40をスパッタ法により形成した。
表1の構成の積層膜の透過率は3%であった。
〔実施例2〕
ガラスを基材10として、表2に示す構成の積層膜40をプラズマCVD法により形成した。
ガラスを基材10として、表2に示す構成の積層膜40をプラズマCVD法により形成した。
表2の構成の積層膜の透過率は3%であった。
透過率測定の結果からも明らかなように本発明に係る積層膜の透過率は低く、最上層はビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲であるので耐摩耗性、耐擦傷性に優れている。
10…基材、20,30,40…積層膜、21,31,41…最上層、22,32,42…下部層、43…第一層
Claims (20)
- 基材上に少なくとも2層の薄膜を積層した積層膜であって、
積層膜の最上層のビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲である積層膜。 - 前記最上層は、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲の材料を組成比で80%以上含む請求項1記載の積層膜。
- 前記最上層と接する下部層が該最上層のビッカース硬度の40%以上である請求項1又は2記載の積層膜。
- 前記下部層は、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲の材料を組成比で40%以上含む請求項3記載の積層膜。
- 前記基材上に積層される薄膜が基材側から順に下部層及び最上層とからなり、
前記下部層が10nmから100nmの膜厚と1.4から1.8の屈折率を有し、前記最上層が50nmから200nmの膜厚と1.9から2.2の屈折率を有する請求項1〜4の何れか1の積層膜。 - 前記基材上に積層される薄膜が基材から順に第一層、下部層及び最上層とからなり、
前記第一層が25nmから100nmの膜厚と1.5から2.5の屈折率を有し、前記下部層が50nmから200nmの膜厚と1.4から1.9の屈折率を有し、前記最上層が150nmから300nmの膜厚と1.7から2.5の屈折率を有する請求項1〜4の何れか1の積層膜。 - 前記最上層は、TiN,SiN及びZrO2から成る群から選ばれた一つの材料を含む請求項1〜6の何れか1の積層膜。
- 前記下部層は、SiO2及びAl2O3から成る群から選ばれた一つの材料を含む請求項3〜7の何れか1の積層膜。
- 前記第一層は、TiO2,SiON,SiN,TiN,Ta2O2,ZrO2及びCeO2から成る群から選ばれた一つの材料を含む請求項6〜8の何れか1の積層膜。
- 請求項1〜9の何れか1の積層膜を有する光学素子。
- 前記光学素子は、固体撮像装置である請求項10記載の光学素子。
- 前記光学素子は、レンズである請求項10記載の光学素子。
- 前記光学素子は、太陽電池モジュールである請求項10記載の光学素子。
- 基材上に少なくとも2層の薄膜を積層する積層膜の製造方法であって、
ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲を持つ最上層を形成する工程を少なくとも備える積層膜の製造方法。 - 前記最上層は、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲の材料を組成比で80%以上含む請求項14記載の積層膜の製造方法。
- 前記最上層のビッカース硬度の40%以上である、該最上層と接する下部層を形成する工程を備える請求項14又は15記載の積層膜の製造方法。
- 前記下部層は、ビッカース硬度が1200Hv以上2500Hv以下の範囲の材料を組成比で40%以上含む請求項16記載の積層膜の製造方法。
- 前記基材上に積層される薄膜が基材側から順に下部層及び最上層とからなり、
10nmから100nmの膜厚と1.4から1.8の屈折率を有する下部層を形成する工程と、50nmから200nmの膜厚と1.9から2.2の屈折率を有する最上層を形成する工程を備える請求項14〜17の何れか1の積層膜の製造方法。 - 前記基材上に積層される薄膜が基材から順に第一層、下部層及び最上層とからなり、
25nmから100nmの膜厚と1.5から2.5の屈折率を有する第一層を形成する工程と、50nmから200nmの膜厚と1.4から1.9の屈折率を有する下部層を形成する工程と、150nmから300nmの膜厚と1.7から2.5の屈折率を有する最上層を形成する工程を備える請求項14〜17の何れか1の積層膜の製造方法。 - 基材上に少なくとも2層の薄膜を積層する積層膜の製造方法であって、前記薄膜が、物理気相成長法、化学気相成長法、ゾルゲル法又は塗布法のいずれか、あるいは複数を組み合わせにより積層される請求項14〜19の何れか1の積層膜の製造方法。
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