JP2008156539A - 近赤外線吸収フィルム用バインダー樹脂およびこれを利用する近赤外線吸収フィルター - Google Patents

近赤外線吸収フィルム用バインダー樹脂およびこれを利用する近赤外線吸収フィルター Download PDF

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Abstract

【課題】 近赤外線吸収剤を安定に含有しながら、基材である透明フィルムとの密着性が良く、しかもそれ自身硬化しにくい近赤外線フィルム用バインダー樹脂およびこれを使用した近赤外線吸収フィルムを提供することである。
【解決手段】 ポリマー(A)および(B)
(A)Tgが−65〜20℃、重量平均分子量が10万以下の(メタ)アクリル系ポリ マー 20〜80質量%
(B)Tgが50〜180℃の(メタ)アクリル系ポリマー 80〜20質量%
を含む樹脂組成物に、
(C)800〜1200nmに吸収極大波長を有する近赤外線吸収染料
を含有せしめてなる近赤外線吸収フィルム用バインダー樹脂であって、
前記ポリマー(A)が、ポリマー鎖の2以上の末端に架橋性官能基を有するポリマー(a)を含有するものであることを特徴とする近赤外線吸収フィルム用バインダー樹脂。
【選択図】 なし

Description

本発明は、近赤外線吸収フィルム用バインダー樹脂に関し、更に詳細には、プラズマディスプレイパネルなどの近赤外線を放出するデバイスの表面や、建物のガラスに貼付し、近赤外線を吸収する近赤外線吸収フィルムに使用される近赤外線吸収フィルム用バインダー樹脂およびこれを利用する近赤外線吸収フィルターに関する。
近年、プラズマディスプレイパネルや、液晶パネルを利用した薄型テレビが普及されつつある。このうち、プラズマディスプレイパネルは、大型の薄型テレビに有利に使用されているが、このものは、近赤外線(以下、「NIR」という)を不要輻射として放出するという問題があり、テレビのリモコンなど周辺機器の誤作動を招くという問題があった。
このNIRを有効に遮蔽し、可視光のみを透過させるために、近赤外線吸収フィルム(NIRフィルム)が使用されている。このNIRフィルムは、色素等のNIR吸収剤をマトリックス樹脂中に均一分散させ、これを透明プラスチックフィルム上に塗布することによって得られるものであるが、以下のような問題があった。
すなわち、NIRフィルムのマトリックス樹脂として、ポリエステル系、メタクリル系等の透明性が高く、かつ染料安定性の高いものを使用した場合、このものはガラス転移点温度(Tg)が高く、柔軟性に劣るため、クラックや基材への密着性(浮き、ハガレ)の問題が生じるという欠点があった。また、機能性フィルムとして多層化する必要があるため、粘着材層をさらに積層する必要があるという問題もあった。
一方、柔軟性が高く、粘着剤層の積層不要な低Tgバインダー樹脂を使用し、その粘着剤層にNIR染料を添加することも行われていたが、染料安定性が悪化し、近赤外線吸収能が低下し、樹脂が着色するという問題が生じていた。また、比較的高分子量の低Tgバインダー樹脂を使用しているため、塗工時に比較的多量の溶剤で希釈する必要があり、厚膜塗工が困難であった。
最近、染料耐久性の良好なバインダー樹脂として、いくつかのものが報告されている。例えば、粘着性ポリマーに染料と多量の多官能モノマーを添加したバインダー樹脂を調製し、これを塗工した後に紫外線を照射することで瞬時に硬化させ染料を安定化させる技術が報告されている(特許文献1)。しかしこの技術は、多量の多官能モノマーで硬化させるものであるため、樹脂の柔軟性が失われ、クラックを生じるおそれがあるものである。
また、粘着性ポリマー中に紫外線吸収剤を添加することで、染料退色を引き起こす原因の一つである紫外線をカットし染料の効果を持続させる技術も報告されている(特許文献2)。しかしこの技術では、紫外線吸収剤の劣化にしたがって、染料退色が生じるものであり、更に、紫外線以外の要因による染料退色を抑制できないという問題がある。
更に、染料を、柔軟性を有する樹脂中に含有せしめた場合には、染料の劣化による樹脂の着色が顕著であるため、染料の添加量が制限されてしまうという問題があった。
特開2001−207142 特開2004−182936
従って、本発明の課題は、NIR吸収剤を安定にしかも比較的多量に含有できながら、基材である透明フィルムとの密着性が良く、しかも柔軟性を有するNIR用バインダー樹脂およびこれを使用したNIRフィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、種々のポリマーをブレンドし、その接着性および柔軟性の他、各種NIR吸収用染料に対する褪色抑制作用を検索していたところ、特定のアクリル系ポリマーの組み合わせにより、有効にNIR吸収染料の褪色を防止することができ、しかも、接着性および柔軟性等の基本的機能も十分なものであることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、
ポリマー(A)および(B)
(A)Tgが−65〜20℃、重量平均分子量が10万以下の(メタ)アクリル系ポリ マー 20〜80質量%
(B)Tgが50〜180℃の(メタ)アクリル系ポリマー 80〜20質量%
を含む樹脂組成物に、
(C)800〜1200nmに吸収極大波長を有する近赤外線吸収染料
を含有せしめてなる近赤外線吸収フィルム用バインダー樹脂であって、
前記ポリマー(A)が、ポリマー鎖の2以上の末端に架橋性官能基を有するポリマー(a)を含有するものであることを特徴とするNIRフィルム用バインダー樹脂である。
また本発明は、上記NIRフィルム用バインダー樹脂を、透明フィルムの片面に塗布してなるNIRフィルムである。
本発明のNIR用バインダー樹脂は、高Tgアクリル系ポリマーと重量平均分子量10万以下で、ポリマー鎖の複数の末端に架橋性官能基を有するポリマーを含有する低Tgアクリル系ポリマーをブレンドしたものであり、基材に対して密着性が良好で、耐久性に優れるバインダー樹脂である。
そして、この高Tgアクリル系ポリマーは、NIR吸収染料の保護材として機能するため、ジインモニウム系染料のような、非常に染料褪色を起こし易い染料であっても染料耐久性を良好とすることができ、さらに、塗膜形成時に低Tgポリマーの複数の末端にある官能基が架橋点となってポリマー鎖が連結され長鎖のポリマーを形成するとともに、架橋構造が形成されるため、NIR吸収染料を含有する高Tgアクリル系ポリマーの動きが抑制され、染料の劣化による樹脂の着色を防止できるものである。
また、低Tgポリマーを使用することにより、可撓性の高いシートが得られ、基材への密着性が良好で浮き、ハガレ、クラックを生じないとの作用効果を有する。さらに、低Tgポリマーの重量平均分子量が10万以下であるため、樹脂の流動性が良好であり、少量の希釈溶剤での塗工が可能であり、厚膜塗工が可能であるため、高価なNIR吸収染料の使用量を低減することができる。
従って、このバインダー樹脂は、NIRフィルムを製造する際の樹脂として有利に使用しうるものである。
本発明のNIRフィルム用バインダー樹脂を構成する樹脂組成物は、性質の異なる2種の(メタ)アクリル系ポリマーであるポリマー(A)およびポリマー(B)を含有するものである。
このうち、ポリマー(A)は、Tgが−65〜20℃、好ましくは、−60〜−20℃の低Tgポリマーである。このポリマー(A)のTgが20℃よりも高いと柔軟性が低下し、フィルムにした場合にクラックを生じるおそれがある。なお、本明細書中でのTgは後述する末端官能基部分及び多官能モノマーを除く、各ポリマーの重合に用いられるモノマー組成より、下記FOXの式で算出されるものである。
(FOXの式)
1/Tg=Wa/Tga+Wb/Tgb+…
Tg:共重合体のガラス転移温度
Tga,Tgb,…:モノマーa、モノマーb…のホモポリマーのガラス転移温度
Wa,Wb…:モノマーa、モノマーb…の重量分率
この低Tgであるポリマー(A)の分子量は、重量平均分子量で10万以下であり、特に、500〜7万であることが好ましい。このような分子量範囲にすることで基材に対する密着性を維持しながら、染料劣化を抑えることができる。
また、ポリマー(A)は、ポリマー鎖の2以上の末端に架橋性官能基を有するポリマー(a)を含有するものである。この架橋性官能基は、例えば、アルコキシシリル基、水酸基、カルボキシル基などが挙げられ、このうち、アルコキシシリル基、水酸基が好ましい。また両末端の架橋性官能基は同一であっても異なっていてもよいが、同一である方が好ましい。
本発明に用いる上記ポリマー(a)は、例えば、下記モノマー(α−1)等で構成されるポリマーの末端に、架橋性官能基含有重合開始剤及び/または架橋性官能基含有連鎖移動剤を使用して架橋性官能基を付加し、下記多官能モノマー(α−2)と共重合することによって得られる。このポリマー(a)としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(α−1)を主モノマーとすることが好ましい。
上記モノマー(α−1)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ペンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を混合して使用することができる。中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、i―オクチルアクリレート、ラウリルアクリレートの1種又は2種以上を、(メタ)アクリル酸アルキルエステル全体の60質量%以上になるように使用することが好ましい。
また、上記モノマー(α−2)は、重合性不飽和基を2つ有するモノマーであり、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコール構造を有する2官能モノマー、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール構造を有する2官能モノマー、ジビニルベンゼン等が挙げられ、これらのうち、ジビニルベンゼンが多分岐ポリマーを生成しにくく、2つの末端に官能基を有するポリマーを選択的に得られるため好ましく用いられる。
上記ポリマー(a)の調製には、更に上記モノマー(α−1)および(α−2)と共重合可能なモノマーを使用することができ、例えば、官能基含有ビニルモノマー(α−3)を用いることができる。このモノマー(α−3)としては、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基含有(メタ)アクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸、β―カルボキシエチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水フマル酸、無水マレイン酸等の酸無水物残基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルヘキシル)―メチルアクリレート、クロロー2−ヒドロキシブロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、カブロラクトン変性(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマー;オキセタニル(メタ)アクリレート、3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、(3−メチルー3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチルー3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート等のオキセタニル基含有モノマー等が挙げられる。
上記モノマー(α−3)のうち、塗膜の耐久性をより向上させるためにはアルコキシシリル基含有モノマーを共重合することが好ましく、また、イソシアネート系架橋剤を使用する場合には、イソシアネート基との反応性が良好である水酸基含有モノマーを共重合させることで、より架橋密度を高くし、塗膜の強度を上げることができる。なお、アミノ基含有モノマー等の窒素含有モノマーを使用することは染料の劣化を引き起こす可能性があるため好ましくない。
さらに、その他の使用可能なモノマー(α−4)として、スチレン、ビニルトルエン、α―メチルスチレン、酢酸アリル等のビニル基含有化合物;エチレンーブチレンマクロモノマー(シェル化学製;L−1253)、MMAマクロマー(東亞合成(株)製;AA6)などの末端や側鎖に不飽和基を有するマクロモノマー等が挙げられる。
上記ポリマー(a)の調製にあたっての、モノマー(α−1)、(α−3)および(α−4)のそれぞれの配合量は、これらのモノマーの合計の配合量において、モノマー(α−1)50〜100質量%、モノマー(α−3)0〜30質量%、モノマー(α−4)0〜30質量%の範囲であることが好ましい。
さらに、モノマー(α−4)は、モノマー(α−1)および(α−3)の合計100重量部に対して、0〜20重量部の量で使用することが好ましく、特に、0〜10重量部の量で使用することが好ましい。20重量部より多量に使用すると、染料の劣化を引き起こし、樹脂の着色、NIR吸収能の低下を引き起こす可能性があるため好ましくない。
一方、多官能モノマー(α−2)の配合量は、モノマー(α−1)、(α−3)および(α−4)の合計100重量部に対して、0.1〜30重量部の範囲で使用することが好ましく、さらに、1〜20重量部の範囲が好ましい。
本発明に用いる上記ポリマー(a)は、前記モノマー(α−1)ないし(α−4)から構成されるポリマーの末端に、架橋性官能基含有重合開始剤及び/または架橋性官能基含有連鎖移動剤を使用し、架橋性官能基を付加すること等によって得られるものであるが、上記架橋性官能基含有重合開始剤としては、水酸基やカルボキシル基を有するアゾ系重合開始剤が挙げられる。また本発明に用いる上記アクリル系ポリマー(a)の重合には、架橋性官能基を含有しない通常のアゾ系、過酸化物系等の重合開始剤を使用することもできる。このような重合開始剤を使用する場合には、架橋性官能基含有連鎖移動剤を用いてポリマー鎖の末端に官能基を導入する必要がある。
また、架橋性官能基含有連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール、チオグリセロール、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等の水酸基又はアルコキシシリル基を含有する連鎖移動剤が挙げられる。
この架橋性官能基含有重合開始剤及び/または架橋性官能基含有連鎖移動剤の配合量は、モノマー(α−1)ないし(α−4)の合計100重量部に対して、0.1〜50重量部であることが好ましく、さらに3〜40重量部であることが好ましい。
本発明に用いる2以上の末端に架橋性官能基を有するポリマー(a)の重合方法としては、架橋性官能基含有重合開始剤及び/または架橋性官能基含有連鎖移動剤を用いて、モノマー(α−1)ないし(α−4)を含む組成物を重合する方法が挙げられる。すなわち、架橋性官能基含有重合開始剤及び/又は架橋性官能基含有連鎖移動剤を用いて重合を行うことで、ポリマー鎖の重合開始末端に官能基が導入される。さらに、多官能モノマー(α−2)を重合していることで片末端に官能基が導入されたポリマー同士が連結されて、2つの末端に官能基を有するポリマーが得られる。また、多官能モノマーと(α−1)(α−3)(α−4)との重合反応性が良好な場合には、モノマーの重合が進行し、さらにその末端に官能基が導入された3以上の末端に官能基を有するポリマーが得られる場合もある。
本発明においては、塗膜形成時の反応性や貯蔵時の安定性のバランスが良好なことから2つの末端に官能基を有するポリマーを用いることが好ましい。
本発明に用いるポリマー(A)は、上記ポリマー(a)のみを含むものであってもよいが、さらにその他のポリマー(a')とブレンドしたものであってもよい。
上記その他のポリマー(a')に用いられるモノマーとしては、前記したポリマー(a)に用いられるモノマーと同じモノマー(α−1)ないし(α−4)を用いることができ、その配合量等もポリマー(a)の場合と同様であるが、ポリマー(a)と同一のモノマーを使用することが、樹脂の透明性を維持する上で好ましい。
さらに、ポリマー(a')のポリマー鎖の1つの末端にのみ架橋性官能基を有していると、より良好な塗膜硬度が得られるために好ましい。このようなポリマーは、例えば、上記モノマー(α−1)ないし(α―4)のうち、(α―2)の多官能モノマーを除いたモノマーを重合して分岐のないポリマーとし、架橋性官能基含有重合開始剤または架橋性官能基含有連鎖移動剤のいずれかを用いて、その片方の末端にのみ架橋性官能基を付加することによって得られる。
上記のようにして得られたポリマー(a')を、ポリマー(a)とブレンドしてポリマー(A)とする場合のポリマー(a)の含有量は、ポリマー(A)中の30質量%以上であることが好ましい。30質量%以上の割合で、2以上の末端に架橋性官能基を有するポリマー(a)が含有されていると、塗膜を形成した場合に良好な塗膜硬度が得られる。
一方、樹脂組成物を構成する他の成分であるポリマー(B)は、Tgが50〜180℃、好ましくは、90〜150℃の高Tgポリマーである。このポリマー(B)のTgが50℃より低いと染料の安定性が悪くなり、染料の劣化、劣化による樹脂の着色が生じるおそれがある。また、Tgが180℃より高いと接着性が低下するおそれがあり、また、低Tgポリマーとの相溶性が悪化し湿熱時に樹脂が白化するおそれがある。
このポリマー(B)の分子量は、特に制約されるものではないが、重量平均分子量で2万ないし50万程度であることが好ましく、特に、5万ないし30万であることが好ましい。このような分子量範囲にすることで低Tgポリマーであるポリマー(A)とブレンドした場合に、基材への接着性を維持しながら、染料の劣化を抑えることができる。
上記したポリマー(B)としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主モノマーとするポリマーが好ましく、次のモノマー(β−1)
(メタ)アクリル酸アルキルエステル 80〜100質量%
を含有する組成物を重合して得られるポリマーであることが好ましい。
上記モノマー(β−1)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を混合して使用することができる。中でも、Tgの調整と、耐熱性、耐湿熱性の向上のために、メタクリル系モノマーを使用することが好ましい。
また、モノマー(β−1)の重合に当たっては、これと共重合するその他のモノマーを使用することもできる。その他のモノマーは、ポリマー(B)の組成物中、0〜20質量%の量で使用することが好ましく、特に、0〜10質量%の量で使用することが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合するその他のモノマーの例としては、ビニル基含有モノマー、マクロモノマー、官能基含有モノマー等が挙げられる。また分子量の調整のためにメルカプタン化合物を使用してもよい。
前記ポリマー(A)に含まれるポリマー(a)および(a')ならびにポリマー(B)は、いずれも上述した各モノマーを公知の重合法で重合することで得られる。公知の重合法としては、例えば、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、分散重合などが挙げられ、中でも、溶液重合法が反応温度の制御が容易でポリマーの設計がしやすいため好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上記の様に調製された低Tgのポリマー(A)と、高Tgのポリマー(B)を組み合わせることにより調製されるが、その場合、ポリマー(A)と、ポリマー(B)のTgの差は、50〜250℃程度、好ましくは、80〜200℃程度であることが好ましい。Tgの差がこれより小さい場合は、染料の劣化速度が速く、また、大きい場合には樹脂の柔軟性が低下しクラックを生じたり、ポリマーの相溶性の悪化から湿熱時に白化するおそれがあり、いずれも好ましくない。このように、Tgの異なるポリマーをブレンドすることで、高Tgのポリマー(B)が耐湿熱性、耐久性を向上させながら、染料を保護するように作用し、低Tgのポリマー(A)が柔軟性と密着性を付与する。
更に、上記樹脂組成物では、ポリマー(A)が20〜80質量%、ポリマー(B)が80〜20質量%となるように配合することが好ましく、特に、ポリマー(A)が70〜30質量%、ポリマー(B)が30〜70質量%とすることが好ましい。ポリマー(A)の量が80質量%を超えると、耐湿熱が劣る傾向にあり、また、20質量%を下回ると、樹脂のタックが弱くなり、被膜が脆くなる傾向がある。
前記樹脂組成物の調製においては、必要により、さらにイソシアネート系硬化剤のような硬化剤やシロキサン架橋促進剤などの架橋促進剤を配合することもできる。
このうち、イソシアネート系硬化剤としては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物が挙げられ、具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、クロルフェニレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、テトラメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物、およびこれらのジイソシアネート化合物にトリメチロールプロパンなどを付加したイソシアネート化合物、イソシアヌレート変性体、ビュレット変性体などを挙げることができる。
また、上記ジイソシアネート化合物に公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどを付加反応させたウレタン変性イソシアネート化合物などを挙げることができる。中でも、TDI、XDI、HDI等の2官能イソシアネート化合物にトリメチロールプロパン等のポリオールを付加したイソシアネート化合物が反応性が良好で塗膜の耐久性に優れることから好ましく用いられる。これらのイソシアネート硬化剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記シロキサン架橋促進剤としては、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジステアレート等のスズ系触媒や塩酸、硫酸、酢酸、フタル酸、安息香酸、リン酸、ジメチル硫酸スルホン酸等の酸系触媒が挙げられるが、NIR染料の劣化を引き起こさない酸系触媒を使用することが好ましい。
上記の中でも、ポリマー(a)中の末端の架橋性官能基が水酸基である場合には、イソシアネート系硬化剤を使用することが好ましく、ジイソシアネート化合物にトリメチロールプロパンなどを付加したイソシアネート化合物、例えばトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体等を使用することが好ましい。また、ポリマー(a)中の架橋性官能基がアルコキシシリル基の場合には、シロキサン架橋促進剤を使用することが好ましい。
硬化剤または架橋促進剤の使用量は、イソシアネート系硬化剤の場合、樹脂組成物中の水酸基量に対して0.5〜1当量使用することが好ましく、特に、0.6〜0.9当量使用することが好ましい。
一方、シロキサン架橋促進剤の使用量は樹脂組成物100重量部に対して、0.001〜10重量部の範囲で使用することが好ましく、特に0.01〜5重量部使用することが好ましい。
本発明のNIR用バインダー樹脂は、上記した樹脂組成物に、800〜1200nmに吸収極大波長を有するNIR吸収染料を加え、十分に混合することにより製造することができる。
本発明において使用される800〜1200nmに吸収極大波長を有するNIR染料(成分(C))の例としては、フタロシアニン系色素、ジインモニウム系色素、ジチオール金属錯体系色素、ナフタロシアニン系色素、アントラキノン系色素等が挙げられる。中でも、近赤外線吸収性能が高く、可視光領域の透過率の高いジインモニウム系染料を使用することが好ましい。
上記ジインモニウム系染料としては、下記式(I)で表される、850〜1200nmに吸収極大波長を有する化合物を使用することが好ましい。
Figure 2008156539
(式中、Rは互いに同一もしくは異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、フェニル基もしくはハロゲン化アルキル基を、Xは陰イオンを示し、nは1又は2の数を意味する)
上記式(I)の基Rにおいて、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso―プロピル基、n−ブチル基、iso―ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso―ペンチル基、neo―ペンチル基、シクロペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−iso―プロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−へプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチルー1−iso―プロピルプロピル基、1−エチルー3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル1−iso―プロピルブチル基、2−メチルー1−iso―プロピル基、1−t−ブチルー2―メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基が挙げられる。また、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、フリル基、ピリジル基等が、ハロゲン化アルキル基としては、フッ化アルキル基、塩化アルキル基、臭化アルキル基等が挙げられる。
更に、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が、アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、メトキシエトキシメチル基、エトキシエトキシエチル基、ジメトキシメチル基、ジエトチキシメチル基、ジメトキシエチル基、ジエトキシエチル基等がそれぞれ挙げられる。
中でも、式(I)中の基Rが、ハロゲン化アルキル基、アルキル基であるものが好ましい。
一方、式(I)の基Xの陰イオンとしては、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸イオン、硝酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、プロピル硫酸イオン、テトラフルオホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ベンゼンスルフィン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、マロン酸イオン、オレイン酸イオン、ステアリン酸イオン、クエン酸イオン、ペンタクロロスズ酸イオン、クロロスルホン酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、チタン酸イオン、ジルコン酸イオン等が挙げられる。中でも、トリフルオロメタンスルホン酸イオンなどの、ハロゲン含有陰イオンを使用することが好ましい。
上記したインモニウム系染料は、何れも公知であるか、公知方法により容易に製造し得るものである。また、これらのうちいくつかのものは、既に市販されているものである。
これらインモニウム系染料の配合量も、特に制約はないが、樹脂組成物100重量部に対し、0.05〜10重量部程度であり、好ましくは、0.1〜5重量部である。
本発明のNIRフィルム用バインダー樹脂の製造に当たっては、ポリマー(A)、ポリマー(B)および必要により硬化剤を含む樹脂組成物に、NIR吸収染料として使用される800〜1200nmに吸収極大波長を有する染料化合物を含有せしめればよいが、必要により、更に別の成分を加えることも可能である。
このような別の成分の例としては、色調補正用色素、ネオンカット色素、紫外線吸収剤、可塑剤、酸化防止剤、粘着付与剤等が挙げられる。
以上のようにして得られたNIRフィルム用バインダー樹脂は、これを透明フィルムの片面に塗布することによりNIRフィルムを製造することができる。より具体的には、NIRフィルム用バインダー樹脂を、適当な溶媒に分散させた後、これを透明フィルムの片面に塗工し、次いで溶媒を除去することによりNIRフィルムを製造することができる。
かくして得られる本発明のNIRフィルムは、800〜1200nmに吸収極大波長を有する染料化合物による十分なNIR吸収能を有するとともに、2以上の末端に官能基を有するポリマーを含有する低Tgアクリル系ポリマーと高Tgアクリル系ポリマーとをブレンドした樹脂組成物を用いる結果、この染料の効果は時間が経っても低下することがない。また、少量の希釈溶剤で厚膜塗工が可能であり、それによりNIR吸収染料の使用量を低減することもでき、さらに、樹脂組成物自身の柔軟性が高く、クラック発生の問題や、透明テープとの間で密着性の問題を生じることのないものである。
従って、本発明のNIRフィルムは、そのままで近赤外線吸収のために使用することも可能であるし、また、他のフィルム、例えば反射防止フィルムや、EMIフィルムと複合化することにより、PDP等の電子ディスプレイに貼付するフィルムとして利用することも可能である。
次に製造例および実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるものではない。
製 造 例 1
2以上の末端に架橋性官能基を有するポリマーの製造:
撹拌装置、窒素道入管、温度計及び環流冷却管を備えたフラスコに、メチルアクリレート100重量部、ジビニルベンゼン13重量部、及びチタノセンジクロリド0.01重量部を仕込み、フラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を75℃に加熱した。次いで、連鎖移動剤として、あらかじめ窒素ガス置換をした3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン40重量部を撹拌下にフラスコ内に添加した。フラスコ内の内容物の温度を75℃に維持しながら2時間反応後、アゾビスイソブチロニトリル0.3gを添加しさらに5時間反応後、冷却を行い、ポリマー鎖の2以上の末端にアルコキシシリル基を有するポリマー(a−1)を得た。得られたポリマーのTgは11℃、重量平均分子量は2000であった。
製 造 例 2
モノマーおよび連鎖移動剤を下記表1のものに代えた以外は製造例1と同様にして、ポリマー(a−2)および(a−3)を得た。表1にこれらのポリマーの末端の架橋性官能基、Tgおよび重量平均分子量(Mw)を併せて示す。
Figure 2008156539
※1 表中の配合量は重量部を意味する
※2 表中の各記号は次のものを意味する
MA:メチルアクリレート
DVB:ジビニルベンゼン
BA:n−ブチルアクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
製 造 例 3
1つの末端に架橋性官能基を有するポリマーの製造:
撹拌装置、窒素道入管、温度計及び環流冷却管を備えたフラスコに、メチルアクリレート100重量部、及びチタノセンジクロリド0.01重量部を仕込み、フラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を75℃に加熱した。次いで、あらかじめ窒素ガス置換をした3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン20重量部を撹拌下にフラスコ内に添加した。フラスコ内の内容物の温度を75℃に維持しながら2時間反応後、アゾビスイソブチロニトリル0.1gを添加しさらに5時間反応後、冷却を行い、1つの末端にアルコキシシリル基を有するポリマー(a'−1)を得た。得られたポリマーのTgは7℃、重量平均分子量は2000であった。
製 造 例 4
モノマーおよび連鎖移動剤を下記表2のものに代えた以外は製造例3と同様にしてポリマー(a'−2)ないし(a'−4)を得た。表2にこれらのポリマーの末端の架橋性官能基、Tgおよび重量平均分子量(Mw)を併せて示す。
Figure 2008156539
※1 表中の配合量は重量部を意味する
※2 表中の各記号中、MA、BA、2EHAは表1と同様であり、n−BMAはn−ブ
チルメタアクリレートを意味する
製 造 例 5
ポリマー(A)の調製:
製造例1〜2で得られたポリマー及び製造例3〜4で得られたポリマーを、下記表3の組成により混合してポリマー(A−1)〜(A−6)を調製した。
Figure 2008156539
製 造 例 6
ポリマー(B)の製造:
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管を備えた反応装置に、メチルメタクリレート100重量部、メチルエチルケトン100重量部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリル0.5重量部を加えた。窒素雰囲気下、反応温度80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1重量部をさらに添加し、4.5時間反応を行い、ポリマー(B−1)を得た。このもののTgは、105℃、重量平均分子量は、6万であった。
製 造 例 7
モノマーを下記表4のものに代えた以外は製造例6と同様にして、ポリマー(B−2)ないし(B−4)を得た。表4にこれらのポリマーのTgおよび重量平均分子量(Mw)を併せて示す。
Figure 2008156539
※1 表中の配合量は重量部を意味する
※2 表中の各記号は次のものを意味する
MMA:メチルメタアクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
i−BMA:i−ブチルメタアクリレート
n−BMA:n−ブチルメタアクリレート
実 施 例 1
NIR吸収フィルム用樹脂の調製:
製造例で得たポリマー(A−1)50重量部、ポリマー(B−1)50重量部、近赤外線吸収染料であるCIR−1085(日本カーリット(株)製)0.12重量部およびシロキサン架橋促進剤として0.05重量部の酢酸を混合し、NIR樹脂1を調製した。
得られたNIR用樹脂を、厚さ10μmのPETフィルム上に、乾燥厚が10μmになるように塗工し、80℃で5分乾燥後、40℃の乾燥機で3日間エージングを行いNIRフィルムを得た。
実 施 例 2
NIR吸収フィルム用樹脂の調製:
下記表5に示す組成により実施例1と同様にしてNIR樹脂2ないし9を調製し、NIRフィルムを得た。
Figure 2008156539
※1 表中の配合量は重量部を意味する
※2 CIR−1085(日本カーリット(株)製)
※3 コロネートL(日本ポリウレタン工業(株)製)
実施例1および2で得られたNIR吸収フィルムについて、透過率および塗膜の割れを下記方法により評価した。この結果を下記表6に示す。
評価方法:
< 透過率 >
・初期
NIRフィルムの1100nmおよび430nmの透過率を、紫外可視分光光度計UVmini―1240(島津製作所(株))で測定した。
・湿熱後
NIRフィルムを、80℃の温度、90%RHで300時間放置した後、1100nmおよび430nmの透過率を、紫外可視分光光度計UVmini―1240(島津製作所(株))で測定した。
< 塗膜の割れ >
NIRフィルムを、80℃の温度、90%RHで300時間放置した後、塗膜の状態を目視で観察した。
○:塗膜の割れは見られなかった
×:塗膜に割れが見られた
Figure 2008156539
本発明のNIRフィルム用バインダー樹脂は柔軟性、基材への良好な密着性を有し、かつ、ジインモニウム系染料のような非常に褪色をおこしやすいNIR吸収色素を安定に含有することができるものである。
従って、このバインダー樹脂を使用するNIRフィルムは、PDPディスプレイを始め、NIRを遮蔽する目的のフィルムとして利用価値の高いものである。

以 上

Claims (5)

  1. ポリマー(A)および(B)
    (A)Tgが−65〜20℃、重量平均分子量が10万以下の(メタ)アクリル系ポリ マー 20〜80質量%
    (B)Tgが50〜180℃の(メタ)アクリル系ポリマー 80〜20質量%
    を含む樹脂組成物に、
    (C)800〜1200nmに吸収極大波長を有する近赤外線吸収染料
    を含有せしめてなる近赤外線吸収フィルム用バインダー樹脂であって、
    前記ポリマー(A)が、ポリマー鎖の2以上の末端に架橋性官能基を有するポリマー(a)を含有するものであることを特徴とする近赤外線吸収フィルム用バインダー樹脂。
  2. ポリマー(a)の有する架橋性官能基が、アルコキシシリル基及び/又は水酸基である請求項第1項記載の近赤外線吸収フィルム用バインダー樹脂。
  3. さらに、(D)イソシアネート系架橋剤を含有する請求項第2項記載の近赤外線吸収フィルム用バインダー樹脂。
  4. 成分(C)の近赤外線吸収染料の配合量が、ポリマー(A)および(B)を含む樹脂組成物100重量部に対し、0.05ないし10重量部である請求項第1項ないし第3項の何れかの項記載の近赤外線吸収フィルム用バインダー樹脂。
  5. 請求項第1項ないし第4項の何れかの項記載の近赤外線吸収フィルム用バインダー樹脂を、透明フィルムの片面に塗布してなる近赤外線吸収フィルム。
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