JP2008155489A - 炭素繊維接合体及びそれを用いた物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定した電気伝導が得られ、接合強度の高い炭素繊維接合体及びそれを用いた物品を提供する。
【解決手段】炭素繊維と、炭素との間で化合物を形成する金属又は合金とを接合してなり、炭素繊維と金属又は合金との間に化合物が形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】炭素繊維と、炭素との間で化合物を形成する金属又は合金とを接合してなり、炭素繊維と金属又は合金との間に化合物が形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、カーボンファイバーやカーボンナノチューブ等の炭素繊維を他の部材と接合した接合体及びそれを用いた物品に関する。
近年、繊維状のカーボンナノ材料が数多く発見され、研究が進んでいる。代表的なカーボンナノ材料としては、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)、フラーレンナノウィスカー(FNW)、フラーレンナノチューブ(FNT)、フラーレンシェルチューブ、カーボンアモルファスチューブ(グラッシーカーボンチューブ)が知られている。また、厳密には繊維状ではないがその派生材料として、カーテン状のカーボンナノウォール(CNW)などが報告されている。
これらのカーボンナノ材料は、従来の材料に比べて優れた強度・電気伝導・熱伝導・触媒担体特性などを示すことが知られており、種々の分野における部材やアプリケーションへの応用が期待されている。
又、カーボンナノチューブの導電性を改善する技術として、カーボンナノチューブと導電性金属とを接触加熱させ、カーボンナノチューブに金属を含有させる技術が開示されている(特許文献1参照)。
一方、カーボンナノチューブをAu−Sn合金及びAg−Sn合金に埋設させ、これらの間の電気的接触を改善させる技術が開示されている(非特許文献1参照)。
ところで、上記したカーボンナノ材料やカーボンファイバーを種々の分野に応用することを考えると、これらカーボンナノ材料を単独で使用することは少なく、強度や取り扱い等の点からカーボンナノ材料を金属等の基材と接合させることが必要となると予想される。
しかしながら、通常、カーボンナノ材料は金属等の基材から容易に剥離することが知られている。例えば、CNTの製造方法として、Fe,Co,Ni等の触媒上にプラズマCVD法でCNTを成長させる技術がよく用いられているが、この技術においては、CNTが触媒から容易に剥離する性質を用いて、CNTを単離回収している。
又、例えば、カーボンナノ材料と基材との接合体を電気伝導材料として用いる場合、両者が単に物理的に接触しているだけであると、両者間には微小な空隙が残り、導通の際にその空隙部分で放電が起こることから、接触部の発熱・焼損や電気抵抗の増大・不安定化を招くことが考えられる。
このようなことから、カーボンナノ材料と基材とを原子・分子レベルで結合させることが好ましい。
従って、本発明の目的は、安定した電気伝導が得られ、接合強度の高い炭素繊維接合体及びそれを用いた物品を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の炭素繊維接合体は、炭素繊維と、炭素との間で化合物を形成する金属又は合金とを接合してなり、前記炭素繊維と前記金属又は合金との間に前記化合物が形成されている。このようにすると、炭素繊維と、金属又は合金との間が化合物によって化学的に結合されるため、接合部に空隙が生じず、両者間の導通時に放電が発生しない。その結果、接触部の発熱・焼損が生じにくく、安定した電気伝導が得られる。さらに、接合部が化学的に結合しているため接合強度が高くなる。
前記金属又は合金は、3〜6族及びAlの群から選ばれる1種以上の元素を含むことが好ましい。このようにすると、前記化合物が形成され易くなる。
前記金属又は合金が基材表面に形成されていてもよい。このようにすると、基材として前記金属又は合金と異なるものを用いることができる。
本発明の物品は、前記炭素繊維接合体を用いてなる。
本発明によれば、安定した電気伝導が得られ、接合強度の高い炭素繊維接合体及びそれを用いた物品が得られる。
本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は本発明の実施形態に係る炭素繊維接合体の断面を示す模式図である。基材2の表面に金属(又は合金)層4が形成され、金属(又は合金)層4と炭素繊維10とが接合されている。そして、金属(又は合金)層4と炭素繊維10との間に前記化合物8が形成されている。
<炭素繊維>
炭素繊維としては、例えば、直径が数μmのカーボンファイバーの他、直径が数nm〜数100nm程度であるカーボンナノ材料が挙げられる。カーボンナノ材料としては、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)、フラーレンナノウィスカー(FNW)、フラーレンナノチューブ(FNT)、フラーレンシェルチューブ、カーボンアモルファスチューブ(グラッシーカーボンチューブ)を用いることができる。また、厳密には繊維状ではないがその派生材料として、カーテン状のカーボンナノウォール(CNW)を用いることができる。
炭素繊維としては、例えば、直径が数μmのカーボンファイバーの他、直径が数nm〜数100nm程度であるカーボンナノ材料が挙げられる。カーボンナノ材料としては、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)、フラーレンナノウィスカー(FNW)、フラーレンナノチューブ(FNT)、フラーレンシェルチューブ、カーボンアモルファスチューブ(グラッシーカーボンチューブ)を用いることができる。また、厳密には繊維状ではないがその派生材料として、カーテン状のカーボンナノウォール(CNW)を用いることができる。
又、これらの炭素繊維を多数集めて圧縮したり、バインダーで固める等してバルクの固形体としたものを用いることもできる。カーボンナノ材料をバルク状にする方法としては、カーボンナノ材料を溶媒中に分散させ、溶媒を蒸発させながら圧縮する方法や、長尺の炭素繊維を配向させ束ねる方法等が挙げられる。
<金属(又は合金)>
炭素繊維と接合させる金属(又は合金)としては、炭素との間で化合物を形成するものを用いる。炭素繊維と、金属(又は合金)とを適宜加圧して圧接した後、加熱することで両者間に化合物を形成させ、炭素繊維と、金属(又は合金)とを化学的に結合させることができる。
炭素繊維と接合させる金属(又は合金)としては、炭素との間で化合物を形成するものを用いる。炭素繊維と、金属(又は合金)とを適宜加圧して圧接した後、加熱することで両者間に化合物を形成させ、炭素繊維と、金属(又は合金)とを化学的に結合させることができる。
上記した金属(又は合金)としては、基本的には炭素との間で化合物を形成するものを適宜選択することが可能である。但し、炭素との間で化合物を形成し易い元素のうちMn,Feを用いた場合、得られた化合物は酸化・還元雰囲気下及び加熱雰囲気下において不安定である。特に、Feの炭化物は遊離状態において非常に不安定であり、直ちに鉄と黒鉛に分解してしまうため、上記した金属(又は合金)の中で、炭素繊維との間で安定した接合が得られにくい元素である。
以上の点から、上記した金属(又は合金)は、3〜6族及びAlの群から選ばれる1種の単体金属、又はこれらの2種以上の元素を含む合金であることが好ましい。最も好ましくは3〜6族及びAlの群から選ばれる1種のみからなる単体金属、又は3〜6族及びAlの群から選ばれる2種以上の元素のみを組み合わせた合金である。
又、炭素繊維と接合させる基材それ自体が上記金属(又は合金)である場合は、バルク状の上記金属(又は合金)を用いることができる。又、基材が上記金属(又は合金)と異なる場合、基材表面にメッキ・スパッタ・蒸着などの膜形成プロセスにより、上記金属(又は合金)の層を形成させた後、金属(又は合金)層と炭素繊維とを積層して接合させることができる。さらに、上記した膜形成プロセスの代わりに、上記金属(又は合金)と基材とを圧接して接合したり、基材表面に金属(又は合金)層を溶射するなど、基材における炭素繊維との接合面に上記金属(又は合金)を形成することが可能な種々のプロセスを適用することができる。
一方、炭素繊維と、バルク状の上記金属(又は合金)とを予め接合しておき、接合後の上記金属(又は合金)と基材とを接合することもできる。又、炭素繊維表面に上記金属(又は合金)の層をスパッタ等で成膜した後、上記金属層と基材とを接合してもよい。更に、炭素繊維と基材との間にごく薄い箔帯(シート)状の上記金属(又は合金)を設けて接合することもできる。
炭素繊維と上記金属(又は合金)とを接合させる方法としては、両者を積層して必要に応じて適宜加圧し、加熱する方法が挙げられるが、生成した金属間化合物が熱的に安定な状態で存在するようにすることが好ましい。加熱方法としては、ヒーターなどを用いた炉体加熱や抵抗加熱、スポット加熱による方法が最も制御しやすい。
<化合物>
上記化合物は、上記金属(又は合金)を構成する元素の少なくとも1種と炭素を含む。炭素繊維と上記金属(又は合金)との間に化合物が形成されていることの確認は、例えば、
1)炭素繊維側から金属側へ向かう厚み方向をEPMA(Electron
Probe Microanalyzer:電子プローブマイクロアナライザー)によって測定し、両者の界面近傍でC及び上記金属(又は合金)の構成元素のピークが増大することを確認し、
2)両者の界面近傍の断面をXRD(X−ray Diffractometer:X線回折装置)によって測定し、Cと上記金属(又は合金)の構成元素との化合物のピークが検出されること、で行うことができる。
上記化合物は、上記金属(又は合金)を構成する元素の少なくとも1種と炭素を含む。炭素繊維と上記金属(又は合金)との間に化合物が形成されていることの確認は、例えば、
1)炭素繊維側から金属側へ向かう厚み方向をEPMA(Electron
Probe Microanalyzer:電子プローブマイクロアナライザー)によって測定し、両者の界面近傍でC及び上記金属(又は合金)の構成元素のピークが増大することを確認し、
2)両者の界面近傍の断面をXRD(X−ray Diffractometer:X線回折装置)によって測定し、Cと上記金属(又は合金)の構成元素との化合物のピークが検出されること、で行うことができる。
<基材>
基材は特に制限されないが、例えば各種の金属や合金を用いることができる。基材としては、例えば、Cu,Ag,Au等の貴金属類、YCuT(チタン銅)、C1720(ベリリウム銅)、C5210(りん青銅)などの導電性材料の他、鉄族、ステンレス鋼、超硬、サーメット、各種セラミックスなどの高強度材料、Siやダイヤモンドなどの無機機能材料を選択することが可能である。
基材は特に制限されないが、例えば各種の金属や合金を用いることができる。基材としては、例えば、Cu,Ag,Au等の貴金属類、YCuT(チタン銅)、C1720(ベリリウム銅)、C5210(りん青銅)などの導電性材料の他、鉄族、ステンレス鋼、超硬、サーメット、各種セラミックスなどの高強度材料、Siやダイヤモンドなどの無機機能材料を選択することが可能である。
なお、基材と、上記金属(又は合金)との組み合わせとしては、基材と、上記金属(又は合金)とが固溶するか、又は両者間に化合物を形成するものが好ましい。このような場合、基材と上記金属(又は合金)との接合強度が向上するからである。例えば、基材がSiである場合、上記金属(又は合金)としては特に制限されないが、基材がCuである場合、上記金属(又は合金)として3〜4族元素及びAlから選ばれる1種以上のみを用いることが好ましい。
本発明の物品は、前記炭素繊維接合体を用いてなる。本発明の物品としては、電気的特性及び熱的特性が要求されるリレー、スイッチ、ブラシ、整流子、電気配線、キャパシタ、ヒートシンク、カンチレバーなどの電気機構又は機械機構が挙げられる。本発明の物品は、通常、前記炭素繊維接合体を部品の1つとして組み込んで構成することができる。
以下、本発明の実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
(基材表面への金属層の成膜)
基材としてCu板(無酸素銅:JIS−C1020)を用い、基材表面にスパッタリング法によりTiを金属層として成膜した。スパッタリング条件は、真空度5×10−4Pa到達後にArガス圧が5Paになるまで置換を行い、RF電力250Wとし、Tiを70μm程度の厚みで形成した。
(基材表面への金属層の成膜)
基材としてCu板(無酸素銅:JIS−C1020)を用い、基材表面にスパッタリング法によりTiを金属層として成膜した。スパッタリング条件は、真空度5×10−4Pa到達後にArガス圧が5Paになるまで置換を行い、RF電力250Wとし、Tiを70μm程度の厚みで形成した。
Tiを成膜した基材をDSC(Differential Scanning Calorimeter:示差走査熱量計)測定したところ、融解開始温度はCu−Tiの2元系合金の共晶温度に近い900℃付近を示した。これより、TiとCu基材との間にはCu−Ti化合物が形成されていると考えられる。
(炭素繊維の固形体の形成)
市販の多層カーボンナノチューブ(MWNT:マルチウォールナノチューブ)として、直径1.4nm〜数10nm程度、長さが数μm〜数100μm程度で95wt%純度のものをエタノール中に投入し、超音波を用いて目視レベルで均一になるまで分散させた。
市販の多層カーボンナノチューブ(MWNT:マルチウォールナノチューブ)として、直径1.4nm〜数10nm程度、長さが数μm〜数100μm程度で95wt%純度のものをエタノール中に投入し、超音波を用いて目視レベルで均一になるまで分散させた。
MWNTを分散させた溶液を、油圧式加圧成形機の成形金型部に装入し、常温下で4.9×108Pa(5t/cm2)の荷重を加え、エタノールを蒸発させて固形化した。これにより、2mm(横)×3mm(縦)×0.5mm(厚み)の炭素繊維固形体を得た。
(炭素繊維と金属との積層及び熱処理)
上記炭素繊維固形体を上記金属層の上に積層し、加圧して固定し電気炉内に設置した。電気炉内を真空引きし、真空度5×10−3Pa到達後にArガス圧が大気圧になるまで置換を行った。次いで、電気炉内の温度を室温から1000℃まで昇温速度40℃/分で加熱し、1000℃にて10分放置した後、200℃まで平均降温速度10℃/分で冷却した。炉内が200℃以下になった時点で試料を取り出した。
上記炭素繊維固形体を上記金属層の上に積層し、加圧して固定し電気炉内に設置した。電気炉内を真空引きし、真空度5×10−3Pa到達後にArガス圧が大気圧になるまで置換を行った。次いで、電気炉内の温度を室温から1000℃まで昇温速度40℃/分で加熱し、1000℃にて10分放置した後、200℃まで平均降温速度10℃/分で冷却した。炉内が200℃以下になった時点で試料を取り出した。
<比較例1>
Cu板の表面にTiを成膜しなかったものを基材に用いたこと以外は、実施例1と全く同様にして炭素繊維と基材とを積層して加熱処理した。加熱処理後、電気炉から試料を取り出したところ、炭素繊維と基材とはまったく接合していなかった。
Cu板の表面にTiを成膜しなかったものを基材に用いたこと以外は、実施例1と全く同様にして炭素繊維と基材とを積層して加熱処理した。加熱処理後、電気炉から試料を取り出したところ、炭素繊維と基材とはまったく接合していなかった。
<比較例2>
Cu板の表面にTiを成膜しなかったものを基材に用い、炭素繊維と基材とを積層した後の加熱処理の最高温度を1100℃(Cuの融点以上)としたこと以外は、実施例1と全く同様にして実験を行った。加熱処理後、電気炉から試料を取り出したところ、Cuの融解が確認されたにもかかわらず、炭素繊維と基材とはまったく接合しておらず、Cuが炭素繊維との界面で濡れなかったものと考えられる。
Cu板の表面にTiを成膜しなかったものを基材に用い、炭素繊維と基材とを積層した後の加熱処理の最高温度を1100℃(Cuの融点以上)としたこと以外は、実施例1と全く同様にして実験を行った。加熱処理後、電気炉から試料を取り出したところ、Cuの融解が確認されたにもかかわらず、炭素繊維と基材とはまったく接合しておらず、Cuが炭素繊維との界面で濡れなかったものと考えられる。
(評価)
1)金属間化合物の存在の確認
炭素繊維と上記金属層(各比較例の場合は基材)との間の化合物の有無は、1)炭素繊維側から金属層(基材)側へ向かう厚み方向をEPMA(Electron Probe Microanalyzer:電子プローブマイクロアナライザー)によって測定し、2)両者の界面近傍の断面をXRD(X線回折)によって測定し、判定した。
1)金属間化合物の存在の確認
炭素繊維と上記金属層(各比較例の場合は基材)との間の化合物の有無は、1)炭素繊維側から金属層(基材)側へ向かう厚み方向をEPMA(Electron Probe Microanalyzer:電子プローブマイクロアナライザー)によって測定し、2)両者の界面近傍の断面をXRD(X線回折)によって測定し、判定した。
2)炭素繊維と金属層(各比較例の場合は基材)との間の接合強度
得られた接合体を曲げた際、炭素繊維固形体が破損するが、この時の接合界面の状態を目視し、以下の基準で接合強度を評価した。
○:金属層表面(各比較例の場合は基材)から炭素繊維を剥離することのできないもの
×:金属層表面(各比較例の場合は基材)に炭素繊維が残らず、界面から炭素繊維が剥離したもの
得られた接合体を曲げた際、炭素繊維固形体が破損するが、この時の接合界面の状態を目視し、以下の基準で接合強度を評価した。
○:金属層表面(各比較例の場合は基材)から炭素繊維を剥離することのできないもの
×:金属層表面(各比較例の場合は基材)に炭素繊維が残らず、界面から炭素繊維が剥離したもの
以上の結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1の場合、炭素繊維と金属層との間の接合強度に優れていた。又、実施例1の場合、炭素繊維と金属層との間にC,Tiのピーク強度が高い領域が10〜20μm存在し、この領域をXRD分析したところ、CとTiとの化合物であるTiCのピークの存在が確認された。このことより、炭素繊維と金属層との間にTiC化合物が形成されていると考えられる。
一方、基材表面に金属層を形成させずに炭素繊維を積層して加熱した比較例1の場合、炭素繊維と基材との間の接合強度が劣った。又、比較例1の場合、炭素繊維と基材との間に化合物は形成されなかった。これは、CとCuが熱的に安定な化合物を形成しないためと考えられる。
加熱時の温度を基材(Cu)の融点以上とした比較例2の場合も、炭素繊維と基材との間の接合強度が劣り、炭素繊維と基材との間に化合物は形成されなかった。
次に、実施例1の炭素繊維接合体について、電圧―電流特性を評価した。その結果を図2に示す。評価は、実施例1の炭素繊維接合体のうち、陽極をなす炭素繊維の表面に30gf(2.9×10−3N)の荷重で、陰極をなす第2のCu板を接触させ、基板(Cu)と第2のCu板とを電源にそれぞれ接続した短絡回路を形成して行った。
図2より、実施例1の接合体は電流1000mAまでの範囲においてオーミックな電圧―電流特性を示し、電流1000mAでの電気抵抗は約1Ω以下(図の測定結果では0.3Ω)となり、炭素系材料として低い電気抵抗を示した。測定の間、炭素繊維と金属層との接合部付近に発熱などの兆候は見られなかった。
また、図2の領域を超えて更に電源出力を3〜4W程度に上げたところ、第2のCu板と炭素繊維との接触面に発熱に伴うCu板の変色が生じたが、炭素繊維接合体内部では変化が生じず、接合体内部の接合界面に異常が発生する兆候は見られなかった。なお、図2において、符号×は実測値を示し、直線は実測値を近似する直線を示す。
2 基材
4 金属(又は合金)層
8 化合物
10 炭素繊維
4 金属(又は合金)層
8 化合物
10 炭素繊維
Claims (4)
- 炭素繊維と、炭素との間で化合物を形成する金属又は合金とを接合してなり、前記炭素繊維と前記金属又は合金との間に前記化合物が形成されていることを特徴とする炭素繊維接合体。
- 前記金属又は合金は、3〜6族及びAlの群から選ばれる1種以上の元素を含むことを特徴とする請求項1記載の炭素繊維接合体。
- 前記金属又は合金が基材表面に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の炭素繊維接合体。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の炭素繊維接合体を用いたことを特徴とする物品。
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