JP2016189234A - 電極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱抵抗、電気抵抗などの増加を防止し得るとともに、製造コストを低減し得る電極の製造方法を提供する。【解決手段】垂直配向性のカーボンナノチューブ2が多数並置されてなる繊維層(繊維群)3を金属から成る被覆材4にて被覆する被覆工程と、この被覆工程で得られた繊維層3を加熱により軟化させた金属板5の表面に押圧して転写する転写工程とを有する方法である。【選択図】図3
Description
本発明は、炭素系繊維を用いた電極の製造方法に関する。
一次電池、二次電池、キャパシタなどの電極として、導電性が優れているカーボンナノチューブを用いたものがある。
従来、このような炭素系材料であるカーボンナノチューブを用いた電極を製造する方法としては、基板の表面に熱CVD法(熱化学気相成長法)により多数のカーボンナノチューブを垂直方向で生成しておき、そしてこれらのカーボンナノチューブ群を、例えば集電体となる金属板の表面に、導電性接着剤を介して転写することにより製造されていた(例えば、特許文献1参照)。
従来、このような炭素系材料であるカーボンナノチューブを用いた電極を製造する方法としては、基板の表面に熱CVD法(熱化学気相成長法)により多数のカーボンナノチューブを垂直方向で生成しておき、そしてこれらのカーボンナノチューブ群を、例えば集電体となる金属板の表面に、導電性接着剤を介して転写することにより製造されていた(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上記従来の製造方法によると、接着剤を介してカーボンナノチューブを金属板に接合しているため、カーボンナノチューブを金属板に直接転写させるものに比べて、強度や耐熱性の点で劣るという問題がある。また、接着剤を用いるため、熱抵抗および電気抵抗が増加するとともに製造コストが増加するという問題があった。
そこで、本発明は、熱抵抗、電気抵抗などの増加を抑えるとともに、製造コストを低減し得る電極の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る電極の製造方法は、炭素系繊維から成る繊維群を金属またはその化合物から成る被覆材にて被覆する被覆工程と、この被覆工程で得られた繊維群を加熱により軟化させた板状または箔状の金属部材の表面に押圧して転写する転写工程とを有する電極の製造方法である。
また、本発明の請求項2に係る電極の製造方法は、請求項1に記載の製造方法における繊維群の金属部材への転写工程において放電プラズマ焼結法を用いる方法である。
また、本発明の請求項3に係る電極の製造方法は、請求項1または2に記載の製造方法において、繊維群の金属部材への押圧力を、1MPa〜50MPaの範囲にて行う方法である。
また、本発明の請求項3に係る電極の製造方法は、請求項1または2に記載の製造方法において、繊維群の金属部材への押圧力を、1MPa〜50MPaの範囲にて行う方法である。
また、本発明の請求項4に係る電極の製造方法は、請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法における炭素系繊維としてカーボンナノチューブ若しくはカーボンファイバー、またはこれらの混合物を用いる方法である。
また、本発明の請求項5に係る電極の製造方法は、請求項1乃至4のいずれかに記載の製造方法における被覆材として、シリコン、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、タンタル、亜鉛、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、錫、鉛、銅、パラジウム、イリジウム、白金および金のうちいずれかの元素、若しくはこれらのうち2種以上の元素から成る化合物、若しくはこれらの複合酸化物、またはこれらの複合炭化物を用いる方法である。
さらに、本発明の請求項6に係る電極の製造方法は、請求項1乃至5のいずれかに記載の製造方法における金属部材として、チタン、アルミニウム、銅、銀、金、タングステン、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、クロムおよびマグネシウムのうちいずれかの金属、またはいずれかを主成分とする合金を用いる方法である。
上記電極の製造方法によれば、炭素系繊維から成る繊維群に被覆材を被覆した後、この繊維群を板状または箔状の金属部材の表面に押圧して転写することにより電極を製造するようにしたので、例えば接着剤を用いて転写させるものに比べて、熱抵抗および電気抵抗の面で有利であるとともに製造コストも低減できる。
なお、転写工程において、炭素系繊維から成る繊維群をそのまま金属部材とともに加熱すると、繊維群が大気中の酸素あるいは金属部材と反応し消失する恐れがある。しかし、この製造方法によれば、繊維群は被覆材により保護されるので、加熱による消失を防止することができる。
以下、本発明の実施例に係る電極の製造方法を、図1〜図12に基づき説明する。
本発明に係る電極の製造方法は、炭素系繊維から成る繊維群を金属またはその化合物から成る被覆材にて被覆する被覆工程と、この被覆工程で得られた繊維群を加熱により軟化させた板状または箔状の金属部材の表面に押圧して転写する転写工程とを有する方法である。
本発明に係る電極の製造方法は、炭素系繊維から成る繊維群を金属またはその化合物から成る被覆材にて被覆する被覆工程と、この被覆工程で得られた繊維群を加熱により軟化させた板状または箔状の金属部材の表面に押圧して転写する転写工程とを有する方法である。
以下、この電極の製造方法を具体的に説明する。
本実施例では、炭素系材料から成る繊維、すなわち炭素系繊維として、垂直配向性のカーボンナノチューブを用いた場合について説明する。
本実施例では、炭素系材料から成る繊維、すなわち炭素系繊維として、垂直配向性のカーボンナノチューブを用いた場合について説明する。
まず、図1に示すように、所定形状、例えば長方形のシリコン基板1の表面にカーボンナノチューブを成長させるための触媒粒子を担持させておき、そしてこの表面に、熱CVD法(熱化学気相成長法)を用いて、当該表面に所定高さのカーボンナノチューブ2を略垂直方向で多数成長させて繊維群すなわち繊維層3を形成する。
この繊維層3は、真空容器内で、所定の真空下で且つ所定温度にてアセチレンガスなどのカーボンナノチューブ生成用ガスが供給されて、カーボンナノチューブ2がシリコン基板1の表面に担持された触媒粒子を核として垂直方向に生成されたものである。熱CVD法によるカーボンナノチューブの生成については、公知の技術であるため、詳しい説明は省略する。なお、上記繊維層3については、熱CVD法以外に、例えばアーク放電法、レーザ蒸発法などにより形成することができる。
また、このカーボンナノチューブ2は、電極用材料として用いられるため、導電性能または充電性能の向上の観点から基板の表面に垂直に配向されたものが用いられるとともに、高密度でもって形成されている。例えば、このカーボンナノチューブ2の形状については、太さが5nm〜100nmの範囲とされるとともに長さが1μm〜1000μmの範囲とされ、また密度としては、109本/cm2以上とされるのが好ましい。
次に、図2に示すように、繊維層3を構成するカーボンナノチューブ2の外面の略全体に亘って被覆層4を形成する(被覆工程である)。この被覆層4の厚さとしては、数nm〜数十nmの範囲とされ、例えば10nmとされる。なお、図2では、分かり易いように、2本のカーボンナノチューブ2を大きく示している。
この被覆層4の形成方法(所謂、コーティング法である)としては、例えば、真空熱蒸着による方法、スパッタリング法、ゾルゲル法などが用いられる。
この被覆層4としては、シリコン、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、タンタル、亜鉛、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、錫、鉛、銅、パラジウム、イリジウム、白金および金のうちいずれかの元素、若しくはこれらのうち2種以上の元素から成る化合物、若しくはこれらの複合酸化物、またはこれらの複合炭化物が用いられる。
この被覆層4としては、シリコン、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、タンタル、亜鉛、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、錫、鉛、銅、パラジウム、イリジウム、白金および金のうちいずれかの元素、若しくはこれらのうち2種以上の元素から成る化合物、若しくはこれらの複合酸化物、またはこれらの複合炭化物が用いられる。
次に、図3に示すように、被覆層4が形成された繊維層3を、放電プラズマ焼結法を用いて、厚さが100μm以上の金属板(板状の金属部材の一例)5の表面に接合させて転写する(転写工程である)。
すなわち、シリコン基板1を上下反転させて繊維層3を(図3の左側に示す)金属板5に対向させて載置する。そして、金属板5を所定の温度まで加熱した後、繊維層3を所定の圧力にて一定時間押圧する(図3の右側に示す)。金属板5については、集電体の機能を有するものであればよく、例えば銅、アルミニウム、チタン、鉄、マグネシウムなどが用いられる。
ところで、上記放電プラズマ焼結法とは、対象物を加熱しながら加圧成形する加工法の一種であり、一般的なホットプレス法に対し、通電による抵抗発熱により対象物を加熱できる点に特徴を持つ加工方法である。
本実施例における具体的な方法としては、まず、転写対象物である金属板5とカーボンナノチューブにより形成された繊維層3とをグラファイトモールド(ダイ、パンチ)内にセットする。次に、これらを真空容器内に設置して真空引きを行う。その後、所定押圧力にて繊維層3を金属板5に押圧した状態で、通電加熱して温度を上げて行き、所定温度で且つ所定時間保持する。こうすることで、対象物同士が接合される。すなわち、転写が行われる。
なお、金属板5の加熱温度は、液相が存在することなく当該金属板5の材料が繊維群の押圧、転写に必要な変形能を発現する温度で、一般的には原子の拡散を伴う回復、再結晶現象により加工硬化がほぼ消失する温度の目安とされるTm/2(Tm:絶対温度で表した融点)から融点または固相線温度までの間である。具体的にはこれらの範囲内で他の諸条件を考慮して決定される。
また、押圧力については、金属板5を加熱して軟化させた状態で、カーボンナノチューブなどから成る繊維層3を金属板5に埋め込むことができるような圧力であり、概略、1MPa〜50MPaの範囲である。この押圧力は、金属板の材質や温度によって変化するが、好ましい範囲としては、1MPa〜20MPaの範囲である。さらに、押圧時の保持時間としては、繊維層3が金属板5に埋め込まれるのに十分な時間であり、概略、0分〜20分である。
また、押圧時に加熱する際の昇温速度は、繊維層3および金属板5の材質によって異なるが、50℃〜150℃毎分で昇温することが望ましい。また、加熱を開始するまでに繊維層3および金属板5が設置された雰囲気を真空状態にする必要があるが、この際の真空度は10Pa以下が望ましい。なお、この真空度は繊維層3および金属板5が常温まで冷却されるまで維持する必要がある。
上記転写作用を詳しく説明すると、加熱して軟化した金属板にカーボンナノチューブなどの繊維材(繊維層)を押圧すると、両者の界面で金属板表面が変形し、わずかに繊維材の先端が内部に埋め込まれた状態となり、両者の接触面積が増大する。すなわち、アンカー効果による結合力とファンデルワールス力による結合力とにより、両者が強固に結合することになる。
そして、図4に示すように、繊維層3の上方部分のシリコン基板1を、先が鋭利なカッターなどの刃物を用いて剥がすことにより、繊維層3の金属板5への転写が完了する。すなわち、電極6が得られる。
また、上記の説明では、繊維層3をシリコン基板1から直接金属板5に転写させるようにしたが、例えば図5に示すように、先が鋭利なカッターなどの刃物11を用いて繊維層3の根元をシリコン基板1から切り離し、この切り離された繊維層3を金属板5の表面に載置し、そして放電プラズマ焼結法により転写を行うようにしてもよい。この場合、繊維層3の上端面には、押圧用の部材との接合を防止するために、加熱時に繊維層3と反応しないセラミック、高融点金属箔などのバッファ材が配置される。
ここで、実際に、カーボンナノチューブから成る繊維層を金属板に転写した実験例について説明する。
この実験は、先に、繊維層を成長用のシリコン基板から切り離したものを2枚用意するとともに、この2枚の繊維層を上下に重ね、そしてその上下に金属板を配置した状態で、放電プラズマ焼結法にて各繊維層をそれぞれの金属板に転写するようにしたものである。また、この実験で使用したカーボンナノチューブは配向構造(垂直配向)のカーボンナノチューブで、直径が20nm〜40nm、長さが70μm〜80μmであった。
この実験は、先に、繊維層を成長用のシリコン基板から切り離したものを2枚用意するとともに、この2枚の繊維層を上下に重ね、そしてその上下に金属板を配置した状態で、放電プラズマ焼結法にて各繊維層をそれぞれの金属板に転写するようにしたものである。また、この実験で使用したカーボンナノチューブは配向構造(垂直配向)のカーボンナノチューブで、直径が20nm〜40nm、長さが70μm〜80μmであった。
まず、カーボンナノチューブから成る繊維層を成長用のシリコン基板からカッターで剥離し、シートの状態で被覆用のシリコン基板上に載置した。
次に、繊維層のカーボンナノチューブの表面に無機材料としてシリコン(Si)を昇華法によって被覆した。ここでのシリコンの被覆条件としては、加熱温度を1100℃、加熱時間を10時間とした。
次に、繊維層のカーボンナノチューブの表面に無機材料としてシリコン(Si)を昇華法によって被覆した。ここでのシリコンの被覆条件としては、加熱温度を1100℃、加熱時間を10時間とした。
この処理を行った後に、EPMA(電子プローブマイクロアナライザ)により定性分析を行った結果、カーボンナノチューブの上面と側面にシリコンが多く被覆されていることが確認された。図6にEPMAによる分析結果である電子顕微鏡写真を示す。図6の左上は分析を行わない通常の状態を示し、右上は炭素分を示し、左下は酸素分を示し、右下はシリコン(Si)分を示している。この右下の写真より、カーボンナノチューブの上面および側面に、シリコン(白色部分で示されている)が被覆されていることが分かる。
次に、上述の処理によりシリコンが被覆された繊維層を2つ用意するとともに、これら2つの繊維層を上下に重ね、そしてその上下にチタン(Ti)より成る金属板をそれぞれ配置した状態で、放電プラズマ焼結法を行い、各繊維層をそれぞれ金属板に転写した。
すなわち、図7に示すように、2枚のシート状の被覆カーボンナノチューブから成る繊維層21を、上下の金属板22で挟んだ状態で、円筒型のダイ31の内側に配置した後、上下のパンチ(プレスピン)32にて加圧するとともに直流のパルス通電により加熱を行った(プラズマ放電)。この加熱によると、ホットプレス法のような外部の熱源から時間をかけて行うものとは異なり、短時間で金属板とカーボンナノチューブとを接合するとともに、金属板(チタン)とカーボンナノチューブとの化学反応が抑制される。また、金属板は加熱される時間が短いので、金属(チタン)の相変態による劣化が抑制される。
この放電プラズマ焼結法による接合時(焼結時)の条件は以下の通りである。
すなわち、接合温度は800℃、保持時間はゼロ、接合時の圧力は20MPa、真空度は5Paである。昇温速度は、図8に示すように、3段階で行われ、ステップ1では100℃/min、ステップ2では30℃/min、ステップ3では10℃/minとした。なお、保持時間がゼロというのは、800℃に達した後、温度を保持しないで、直ぐに、冷却(炉冷)したことを意味している。
すなわち、接合温度は800℃、保持時間はゼロ、接合時の圧力は20MPa、真空度は5Paである。昇温速度は、図8に示すように、3段階で行われ、ステップ1では100℃/min、ステップ2では30℃/min、ステップ3では10℃/minとした。なお、保持時間がゼロというのは、800℃に達した後、温度を保持しないで、直ぐに、冷却(炉冷)したことを意味している。
そして、放電プラズマ焼結法による接合後は、図9に示すように、2枚の金属板22,22同士が離れ、図10に示すように、金属板22の表面にカーボンナノチューブの繊維層21が転写されていることが確認された。なお、図9は写真による斜視図であり、図10は電子顕微鏡写真による要部斜視図である。
また、図11に接合部のEPMAによる定性分析の結果を示す。図11の左上は、通常の状態を示し、右上に炭素分を示し、左下にはシリコン(Si)分を示し、右下にはチタン(金属板)分を示す。これらより、チタンの上にカーボンが確かに存在していることが分かり、すなわちカーボンナノチューブが金属板の表面に転写されていることが分かる。
ところで、比較実験として、シリコンが被覆されていないカーボンナノチューブを用い、上記と同じ条件にて転写を行った。その結果、図12に示すように、放電プラズマ後は、金属板22,22同士が凝着していた。これは、被覆されていないカーボンナノチューブが金属板22と反応して一部が消失したことにより、金属板22,22同士が接触したものと考えられる。
上述したように、カーボンナノチューブなどの炭素系繊維が多数並置されて成る繊維層を無機材料の被覆材にて被覆した後、この繊維層を金属板の表面に放電プラズマ焼結法により転写することにより、電極を製造するようにしたので、例えば接着剤を用いて転写させるものに比べて、熱抵抗および電気抵抗の面で有利であるとともに製造コストが低減できる。
特に、炭素系繊維から成る繊維群をそのまま金属板とともに加熱すると、繊維群が大気中の酸素あるいは金属板と反応し消失する恐れがある。しかし、この製造方法によれば、繊維群は被覆材により保護されるので、加熱による消失を防止することができる。
また、電極に接着剤を用いていないので、例えば接着剤が用いられた電極を電解液などの導電性を有する溶液に接触させる必要がある場合で且つ電解液が接着剤にダメージを与えるように場合に、言い換えれば、電解液が使用できない場合にも使用することができ、したがって電極の用途を広くすることができる。
ところで、上記実験例では、成長用のシリコン基板から切り離された2枚の繊維層を重ねた状態で、その上下に金属板を配置して転写するように説明したが、成長用のシリコン基板に成長された繊維層を2組重ねた状態で、その上下に金属板を配置して転写するようにしてもよい。この場合、シリコン基板同士が対向するように配置される。
ところで、上記実施例においては、炭素系繊維であるカーボンナノチューブがシリコン基板の表面に垂直に成長された垂直配向性のものである場合について説明したが、例えばカーボンナノチューブを粉末状にした繊維群(繊維層)を用いてもよい。この場合でも、繊維群の一部は、金属板の表面に略垂直方向で接触する状態となっており、放電プラズマ焼結法により、金属板の表面に喰い込むようにされている。
また、上記実施例においては、厚さ100μm以上の金属板を用いる場合について説明したが、厚さが0.1μmから100μmまでの金属箔(箔状の金属部材の一例)を用いてもよい。なお、このような金属箔に繊維層を転写する場合、金属箔の変形を防ぐため十分な剛性を有する支持板を配置して、繊維層への押圧力を受けるようにすればよい。
また、上記実施例においては、炭素系繊維として、カーボンナノチューブである場合について説明したが、高比表面積または高導電性を有する材料であればよく、具体的には、カーボンファイバーを用いてもよい。
さらに、上記実施例においては、炭素系繊維であるカーボンナノチューブの略全体を被覆材にて覆うように説明したが、金属板との反応を防止するためには少なくとも、金属板との接触部分が被覆されていればよい。すなわち繊維層における各カーボンナノチューブの先端部、または先端部から少し基板側よりの表面を被覆材で覆うようにすればよい。なお、このことは、放電プラズマ焼結法のように真空下で加熱する場合に適用し得るもので、例えば大気中で加熱する場合には、酸化防止のため炭素系繊維全体を被覆材で覆う必要がある。
1 シリコン基板
2 カーボンナノチューブ
3 繊維層
4 被覆層
5 金属板
6 電極
2 カーボンナノチューブ
3 繊維層
4 被覆層
5 金属板
6 電極
Claims (6)
- 炭素系繊維から成る繊維群を金属またはその化合物から成る被覆材にて被覆する被覆工程と、この被覆工程で得られた繊維群を加熱により軟化させた板状または箔状の金属部材の表面に押圧して転写する転写工程とを有する電極の製造方法。
- 転写工程において放電プラズマ焼結法を用いることを特徴とする請求項1に記載の電極の製造方法。
- 転写工程における押圧力が、1MPa〜50MPaの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の電極の製造方法。
- 炭素系繊維としてカーボンナノチューブ若しくはカーボンファイバー、またはこれらの混合物を用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
- 被覆材として、シリコン、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、タンタル、亜鉛、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、錫、鉛、銅、パラジウム、イリジウム、白金および金のうちいずれかの元素、若しくはこれらのうち2種以上の元素からなる化合物、若しくはこれらの複合酸化物、またはこれらの複合炭化物を用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
- 金属部材として、チタン、アルミニウム、銅、銀、金、タングステン、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、クロムおよびマグネシウムのうちいずれかの金属、またはいずれかを主成分とする合金を用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2019139975A (ja) * | 2018-02-09 | 2019-08-22 | 株式会社アルバック | リチウム硫黄二次電池用正極の形成方法、リチウム硫黄二次電池用正極 |
NL2030074B1 (en) * | 2021-12-08 | 2023-06-22 | Lionvolt B V | Electrode with embeded pillar structure |
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