JP2019139975A - リチウム硫黄二次電池用正極の形成方法、リチウム硫黄二次電池用正極 - Google Patents
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Abstract
【課題】重量エネルギー密度の向上とインピーダンス特性、充放電特性の向上とを呈するリチウム硫黄二次電池を提供する。【解決手段】金属箔とされる基体を準備する基体準備工程S1と、基体の表面にこの基体表面側を基端として基体主面に略直交する方向に配向するように複数本のカーボンナノチューブを成長させる成長工程S2と、カーボンナノチューブの成長端側から硫黄を溶融拡散させて各カーボンナノチューブの表面を硫黄で覆う被覆工程S3と、を有し、基体準備工程が、金属箔に多数の凹凸を形成するエンボス加工工程S11を有するリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法。【選択図】図4
Description
本発明はリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法、リチウム硫黄二次電池用正極に用いて好適な技術に関する。
リチウム二次電池は高エネルギー密度を有することから、携帯電話やパーソナルコンピュータ等の携帯機器等だけでなく、ハイブリッド自動車、電気自動車、電力貯蔵蓄電システム等にも適用が拡がっている。このようなリチウム二次電池の1つとして、近年、リチウムと硫黄の反応により充放電するリチウム硫黄二次電池が注目されている。
リチウム硫黄二次電池は、硫黄を含む正極活物質を有する正極と、リチウムを含む負極活物質を有する負極と、正極と負極との間に配置されるセパレータとを備えるものが例えば特許文献1で知られている。
このようなリチウム硫黄二次電池の正極として、集電体と、集電体表面にこの集電体表面側を基端として集電体表面に直交する方向に配向するように成長される複数本のカーボンナノチューブと、各カーボンナノチューブの表面を夫々覆う硫黄とを備えるもの(一般に、カーボンナノチューブの密度が60mg/cm3で、硫黄の重量は、カーボンナノチューブの重量の0.7〜3倍とされている)が例えば特許文献1で知られている。この正極をリチウム硫黄二次電池に適用すると、電解液が広範囲で硫黄に接触して硫黄の利用効率が向上するため、充放電レート特性に優れ、リチウム硫黄二次電池としての比容量(硫黄単位重量当たりの放電容量)が大きいものとなる。
二次電池はモバイル製品などで使用されるため、軽量小型化が求められているが、特に、重量辺りのエネルギー密度を大きくすることが求められている上、同時に陽極としての強度を維持することが必要であるが、上記の技術では充分でないため、さらなる重量エネルギー密度の向上が要求されていた。
また、現状ではインピーダンス特性、充放電特性も充分なものであるとはいえず、これらを向上したいという要求もあった。
充放電特性としては、充放電容量の増加、充放電効率低下防止が重要である。
また、現状ではインピーダンス特性、充放電特性も充分なものであるとはいえず、これらを向上したいという要求もあった。
充放電特性としては、充放電容量の増加、充放電効率低下防止が重要である。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、リチウム硫黄二次電池において、重量エネルギー密度の向上とインピーダンス特性、充放電特性の向上とを図るという目的を達成しようとするものである。
本発明のリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法は、金属箔とされる基体を準備する基体準備工程と、
前記基体の表面にこの基体表面側を基端として前記基体主面に略直交する方向に配向するように複数本のカーボンナノチューブを成長させる成長工程と、
前記カーボンナノチューブの成長端側から硫黄を溶融拡散させて各カーボンナノチューブの表面を硫黄で覆う被覆工程と、
を有し、
前記基体準備工程が、前記金属箔に多数の凹凸を形成するエンボス加工工程を有することにより上記課題を解決した。
本発明において、前記エンボス加工工程が、前記金属箔を隣接する位置で互い違いに押圧することで表裏方向それぞれに突出する凹凸を交互に形成することがより好ましい。
本発明は、前記エンボス加工工程が、前記凹凸の頂部に貫通する部分を形成することが可能である。
また、本発明において、前記エンボス加工工程が、前記凸頂部および凹頂部間の箔厚さ方向距離で設定される加工後基体厚さが、加工前基体厚さに比べて10〜50倍の範囲とされる手段を採用することもできる。
また、前記被覆工程前に、前記エンボス加工された前記金属箔に対して、前記凹凸を圧縮する方向にプレスするプレス工程を有することができる。
また、前記プレス工程が、前記エンボス加工工程で形成された凹凸の頂部で貫通する部分を閉塞する部分を形成することができる。
また、前記プレス工程が、前記エンボス加工工程における前記凸頂部および凹頂部間の距離で設定される加工後基体厚さに対して、プレス加工後のプレス後厚さが1/4〜1倍の範囲とされることができる。
また、前記プレス工程が、前記基体準備工程中、前記成長工程後、あるいは、前記被覆工程後におこなわれることができる。
また、前記プレス工程が、ロールプレス、または、平板圧縮プレスとされることが可能である。
また、前記成長工程は、触媒層が形成された基体を加熱炉内に配置し、加熱炉内に炭化水素ガスと希釈ガスとを含む原料ガスを導入して熱CVD法を用いてカーボンナノチューブを成長させることができる。
また、前記成長工程前に、表面に前記複数本のカーボンナノチューブを成長させる触媒層を前記基体の表面に形成する触媒層形成工程を有することができる。
本発明のリチウム硫黄二次電池用正極は、上記のいずれか記載のリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法によって形成され、
互いに逆方向に形成された多数の凹凸を有する金属箔からなる基体表面に、前記基体表面側を基端として前記基体主面に略直交する方向に配向するように成長させた複数本のカーボンナノチューブと、各カーボンナノチューブの表面を夫々覆う硫黄とを備えることができる。
前記基体の表面にこの基体表面側を基端として前記基体主面に略直交する方向に配向するように複数本のカーボンナノチューブを成長させる成長工程と、
前記カーボンナノチューブの成長端側から硫黄を溶融拡散させて各カーボンナノチューブの表面を硫黄で覆う被覆工程と、
を有し、
前記基体準備工程が、前記金属箔に多数の凹凸を形成するエンボス加工工程を有することにより上記課題を解決した。
本発明において、前記エンボス加工工程が、前記金属箔を隣接する位置で互い違いに押圧することで表裏方向それぞれに突出する凹凸を交互に形成することがより好ましい。
本発明は、前記エンボス加工工程が、前記凹凸の頂部に貫通する部分を形成することが可能である。
また、本発明において、前記エンボス加工工程が、前記凸頂部および凹頂部間の箔厚さ方向距離で設定される加工後基体厚さが、加工前基体厚さに比べて10〜50倍の範囲とされる手段を採用することもできる。
また、前記被覆工程前に、前記エンボス加工された前記金属箔に対して、前記凹凸を圧縮する方向にプレスするプレス工程を有することができる。
また、前記プレス工程が、前記エンボス加工工程で形成された凹凸の頂部で貫通する部分を閉塞する部分を形成することができる。
また、前記プレス工程が、前記エンボス加工工程における前記凸頂部および凹頂部間の距離で設定される加工後基体厚さに対して、プレス加工後のプレス後厚さが1/4〜1倍の範囲とされることができる。
また、前記プレス工程が、前記基体準備工程中、前記成長工程後、あるいは、前記被覆工程後におこなわれることができる。
また、前記プレス工程が、ロールプレス、または、平板圧縮プレスとされることが可能である。
また、前記成長工程は、触媒層が形成された基体を加熱炉内に配置し、加熱炉内に炭化水素ガスと希釈ガスとを含む原料ガスを導入して熱CVD法を用いてカーボンナノチューブを成長させることができる。
また、前記成長工程前に、表面に前記複数本のカーボンナノチューブを成長させる触媒層を前記基体の表面に形成する触媒層形成工程を有することができる。
本発明のリチウム硫黄二次電池用正極は、上記のいずれか記載のリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法によって形成され、
互いに逆方向に形成された多数の凹凸を有する金属箔からなる基体表面に、前記基体表面側を基端として前記基体主面に略直交する方向に配向するように成長させた複数本のカーボンナノチューブと、各カーボンナノチューブの表面を夫々覆う硫黄とを備えることができる。
本発明のリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法は、金属箔とされる基体を準備する基体準備工程と、
前記基体の表面にこの基体表面側を基端として前記基体主面に略直交する方向に配向するように複数本のカーボンナノチューブを成長させる成長工程と、
前記カーボンナノチューブの成長端側から硫黄を溶融拡散させて各カーボンナノチューブの表面を硫黄で覆う被覆工程と、
を有し、
前記基体準備工程が、前記金属箔に多数の凹凸を形成するエンボス加工工程を有することにより、エンボス加工された金属箔からなる基体にカーボンナノチューブを成長させることにより、カーボンナノチューブの配向性を改善し、金属箔そのものの厚みを薄くできるので軽量化を図り、電池の重要な特性である重量エネルギー密度を向上することができるとともに、交流インピーダンス特性および高い電流密度での充放電特性を向上することができる。
前記基体の表面にこの基体表面側を基端として前記基体主面に略直交する方向に配向するように複数本のカーボンナノチューブを成長させる成長工程と、
前記カーボンナノチューブの成長端側から硫黄を溶融拡散させて各カーボンナノチューブの表面を硫黄で覆う被覆工程と、
を有し、
前記基体準備工程が、前記金属箔に多数の凹凸を形成するエンボス加工工程を有することにより、エンボス加工された金属箔からなる基体にカーボンナノチューブを成長させることにより、カーボンナノチューブの配向性を改善し、金属箔そのものの厚みを薄くできるので軽量化を図り、電池の重要な特性である重量エネルギー密度を向上することができるとともに、交流インピーダンス特性および高い電流密度での充放電特性を向上することができる。
本発明において、前記エンボス加工工程が、前記金属箔を隣接する位置で互い違いに押圧することで表裏方向それぞれに突出する凹凸を交互に形成することにより、隣接する凹凸のうち凹部内側にもカーボンナノチューブを成長することが可能になり、活物質との接触面積を増加でき、金属箔そのものの厚みを薄くできるので軽量化を図り、重量エネルギー密度を向上することができるとともに、交流インピーダンス特性および高い電流密度での充放電特性を向上することができる。
本発明は、前記エンボス加工工程が、前記凹凸の頂部に貫通する部分を形成することにより、基体の表面積を増加させ、カーボンナノチューブの成長面積も増加させるため、活物質との接触面積を増加でき、金属箔そのものの厚みを薄くできるので軽量化を図り、重量エネルギー密度を向上することができるとともに、交流インピーダンス特性および高い電流密度での充放電特性を向上することが可能となる。
また、本発明において、前記エンボス加工工程が、前記凸頂部および凹頂部間の箔厚さ方向距離で設定される加工後基体厚さが、加工前基体厚さに比べて10〜50倍の範囲とされることにより、基体の表面特性を向上して、カーボンナノチューブの配向性を改善し、活物質との接触面積を増加でき、金属箔そのものの厚みを薄くできるので軽量化を図り、重量エネルギー密度を向上することができるとともに、交流インピーダンス特性および高い電流密度での充放電特性を向上することができる。
また、前記被覆工程前に、前記エンボス加工された前記金属箔に対して、前記凹凸を圧縮する方向にプレスするプレス工程を有することにより、箔そのものの厚さが薄くても、エンボス加工により形成された凹凸が大きすぎて正極そのものの厚さが大きくなりすぎることがなく、カーボンナノチューブの配向性を維持したまま、重量エネルギー密度を向上することができるとともに、交流インピーダンス特性および高い電流密度での充放電特性を向上することができる。
また、前記プレス工程が、前記エンボス加工工程で形成された凹凸の頂部で貫通する部分を閉塞する部分を形成することにより、エンボス加工により形成された凹凸頂部の貫通した部分を閉塞して担持される硫黄が裏面側に移動することを防止し、充放電試験における放電容量を増加するとともに繰り返し時の放電電圧低下を防止して、交流インピーダンス特性および高い電流密度での充放電特性を向上することができる。
ここで、凹凸の頂部で貫通する部分を閉塞する部分を形成するとは、すべての貫通する部分が閉塞するものでなくてもよく、あるいは、すべての貫通する部分が閉塞してもよい。また、閉塞とは、貫通部分の両側が互いに接触する程度を意味することができる。
ここで、凹凸の頂部で貫通する部分を閉塞する部分を形成するとは、すべての貫通する部分が閉塞するものでなくてもよく、あるいは、すべての貫通する部分が閉塞してもよい。また、閉塞とは、貫通部分の両側が互いに接触する程度を意味することができる。
また、前記プレス工程が、前記エンボス加工工程における前記凸頂部および凹頂部間の距離で設定される加工後基体厚さに対して、プレス加工後のプレス後厚さが1/4〜1倍の範囲とされることにより、基体の表面特性を維持し、エンボス加工により形成された凹凸頂部の貫通した部分を閉塞して担持される硫黄が裏面側に移動することを防止し、放充電試験における放電容量を増加するとともに繰り返し時の放電電圧低下を防止して、交流インピーダンス特性および高い電流密度での充放電特性を向上することができる。
また、前記プレス工程が、前記基体準備工程中、前記成長工程後、あるいは、前記被覆工程後におこなわれることにより、基体準備工程中にプレス工程がおこなわれる場合には、カーボンナノチューブが形成されていない基体のハンドリング性を向上することができるとともに、基体表面状態を適切に制御しつつプレス加工をおこなうことができるとともに、被覆工程後にプレス工程がおこなわれることにより、成長したカーボンナノチューブによって、プレス加工の加工力をそのまま基体である金属箔に伝達することが可能であり、エンボス加工による配向性を変化させることなくカーボンナノチューブを成長した後に基体の厚みを減少させることができるため、正極の厚さを所定の範囲とすることが容易となる。
また、前記プレス工程が、ロールプレス、または、平板圧縮プレスとされることにより、配向特性、正極としての厚さ範囲、重量エネルギー密度、交流インピーダンス特性および充放電特性を所定の状態に設定することが可能である。
また、前記成長工程は、触媒層が形成された基体を加熱炉内に配置し、加熱炉内に炭化水素ガスと希釈ガスとを含む原料ガスを導入して熱CVD法を用いてカーボンナノチューブを成長させることにより、重量エネルギー密度、交流インピーダンス特性および充放電特性を所定の状態に設定することが可能なリチウム硫黄二次電池の正極を形成することができる。
また、前記成長工程前に、表面に前記複数本のカーボンナノチューブを成長させる触媒層を前記基体の表面に形成する触媒層形成工程の条件を調整することにより、重量エネルギー密度、交流インピーダンス特性および充放電特性を所定の状態に設定することが可能なリチウム硫黄二次電池の正極を形成することができる。
本発明のリチウム硫黄二次電池用正極は、上記のいずれか記載のリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法によって形成され、
互いに逆方向に形成された多数の凹凸を有する金属箔からなる基体表面に、前記基体表面側を基端として前記基体主面に略直交する方向に配向するように成長させた複数本のカーボンナノチューブと、各カーボンナノチューブの表面を夫々覆う硫黄とを備えることにより、軽量化されてかつ正極厚さを抑制して重量エネルギー密度が高く、交流インピーダンス特性が良好で、充放電特性として放電電圧が高く複数回の放電時に電圧低下を呈さないことが可能なリチウム硫黄二次電池を形成することができる。
互いに逆方向に形成された多数の凹凸を有する金属箔からなる基体表面に、前記基体表面側を基端として前記基体主面に略直交する方向に配向するように成長させた複数本のカーボンナノチューブと、各カーボンナノチューブの表面を夫々覆う硫黄とを備えることにより、軽量化されてかつ正極厚さを抑制して重量エネルギー密度が高く、交流インピーダンス特性が良好で、充放電特性として放電電圧が高く複数回の放電時に電圧低下を呈さないことが可能なリチウム硫黄二次電池を形成することができる。
本発明によれば、重量エネルギー密度の向上とインピーダンス特性、充放電特性の向上とを呈するリチウム硫黄二次電池を提供することができるという効果を奏することが可能となる。
以下、本発明に係るリチウム硫黄二次電池、リチウム硫黄二次電池用正極、リチウム硫黄二次電池用正極の形成方法の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態におけるリチウム硫黄二次電池を示す模式図であり、図2は、本実施形態におけるリチウム硫黄二次電池の正極を示す模式図であり、図3は、本実施形態におけるリチウム硫黄二次電池用正極を示す拡大模式図であり、図において、符号Bは、リチウム硫黄二次電池である。
図1は、本実施形態におけるリチウム硫黄二次電池を示す模式図であり、図2は、本実施形態におけるリチウム硫黄二次電池の正極を示す模式図であり、図3は、本実施形態におけるリチウム硫黄二次電池用正極を示す拡大模式図であり、図において、符号Bは、リチウム硫黄二次電池である。
本実施形態に係るリチウム硫黄二次電池Bは、図1に示すように、硫黄を含む正極活物質を有する正極(リチウム硫黄二次電池用正極)Pと、リチウムを含む負極活物質を有する負極Nと、これら正極Pと負極Nの間に介在するセパレータSとを備える。
正極Pは、図1〜図3に示すように、正極集電体P1と、正極集電体P1の表面に形成された正極活物質層P2とを備える。正極集電体P1は、例えば、基体1と、基体1の表面に30〜300nmの膜厚で形成された下地膜(「バリア膜」ともいう)2と、下地膜2の上に0.5〜10nmの膜厚で形成された触媒層3とを有する。
基体1としては、例えば、Ni、Cuまたはステンレス合金からなる金属箔を用いられる。本実施形態においては、ニッケル箔を例示する。
ニッケル箔(基体)1は、図2に示すように、平板状の箔体を隣接する部分が厚さ方向逆向きに変形されて、交互に凹凸が形成されるようにエンボス加工されている。なお、図2に示す凹凸は極めて小さいので、図1においては、簡易的に基体1を平板状で示している。また、図2において、下地膜2と触媒層3とは、一層として示している。
ニッケル箔(基体)1を平面視した際に、凹部の四方位置に凸部がそれぞれ位置するように配置される。また、凹部における頂部間の平面間隔と、凸部における頂部間の平面間隔とが互いに等しく設定され、また、凹部における頂部と凸部における頂部との間の平面間隔もそれぞれ等しく設定される。
ニッケル箔(基体)1における凹凸の配置状態は、この構成に限られるものではなく、凹部と凸部とが交互に配置されていればよく、一つの凹部のまわりにおける配置が六角形状などの多角形状、あるいは、他の配置とされても構わない。
ニッケル箔(基体)1としては、箔体そのものの厚さは、例えば、数μm〜数十μm程度の厚さ寸法を有するものとされ、好ましくは、厚さ3〜40μmの範囲、より好ましくは、5〜20μmの範囲とされることができる。
ニッケル箔(基体)1における凹凸は、隣接する凹部または凸部の頂部における基体主面方向の距離が、数μm〜数mm程度とされ、例えば、隣接する凹部間の距離が数mm程度、つまり、凹部の密度1〜4個/mm2程度、また、凸部と凹部の密度はその2倍の2〜8個/mm2程度として形成されることができる。
ニッケル箔(基体)1における凹凸は、隣接する凹部の頂部と凸部の頂部とにおける厚さ方向の距離が、エンボス加工をおこなう前の平板状のニッケル箔厚さに対して、数倍〜十倍程度となるように形成されている。具体的には、後述するギャップGとして設定される凹部の頂部と凸部の頂部とにおける厚さ方向の距離は、例えば、数十μm〜数百μm程度の厚さ寸法と有するものとされ、好ましくは、厚さ15〜500μmの範囲、より好ましくは、100〜400μmの範囲とされることができる。
本実施形態においては、この隣接する凹部の頂部と凸部の頂部とにおける厚さ方向の距離を、エンボス加工後のニッケル箔(基体)1厚さと称する。
エンボス加工後のニッケル箔(基体)1厚さは、例えば、数十μm〜数百μm程度の厚さ寸法と有するものとされ、好ましくは、厚さ15〜500μmの範囲、より好ましくは、100〜400μmの範囲とされることができる。
エンボス加工後のニッケル箔(基体)1厚さは、例えば、数十μm〜数百μm程度の厚さ寸法と有するものとされ、好ましくは、厚さ15〜500μmの範囲、より好ましくは、100〜400μmの範囲とされることができる。
下地膜2は、基体1と後述するカーボンナノチューブ4との密着性を向上させるためのものであり、例えば、Al、Ti、V、Ta、Mo及びWから選択される少なくとも1種の金属またはその金属の窒化物から構成される。触媒層3は、例えば、Ni、FeまたはCoから選択される少なくとも1種の金属から構成される。正極活物質層P2は、正極集電体P1の表面、当該表面に直交する方向に配向させて成長させた多数本のカーボンナノチューブ4と、カーボンナノチューブ4の各々の表面全体を覆う硫黄5とから構成される。硫黄5で覆われたカーボンナノチューブ4相互間に間隙を有しており、この間隙に後述の電解液Lを流入させるようになっている。
ここで、電池特性を考慮して、カーボンナノチューブ4の各々は、例えば、長さが100〜1000μmの範囲内で、直径が5〜50nmの範囲内である高アスペクト比のものが有利であり、また、単位面積当たりの密度が、1×1010〜1×1012本/cm2の範囲内となるように成長させることが好ましい。そして、各カーボンナノチューブ4表面全体を覆う硫黄5の厚さは、例えば、1〜3nmの範囲とすることが好ましい。
上記正極Pは、以下の方法により形成することができる。
図4は、本実施形態におけるリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法を示すフローチャートであり、図5〜図10は、本実施形態におけるリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法を示す工程図であり、図11〜図15は、本実施形態におけるリチウム硫黄二次電池用正極の形成に用いる加工装置を示す模式図である。
本実施形態におけるリチウム硫黄二次電池用正極の形成は、図4に示すように、基体準備工程S1と、エンボス加工工程S11と、プレス工程S12と、下地膜形成工程S21と、触媒層形成工程S22と、成長工程S2と、被覆工程S3と、を有する。
図4は、本実施形態におけるリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法を示すフローチャートであり、図5〜図10は、本実施形態におけるリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法を示す工程図であり、図11〜図15は、本実施形態におけるリチウム硫黄二次電池用正極の形成に用いる加工装置を示す模式図である。
本実施形態におけるリチウム硫黄二次電池用正極の形成は、図4に示すように、基体準備工程S1と、エンボス加工工程S11と、プレス工程S12と、下地膜形成工程S21と、触媒層形成工程S22と、成長工程S2と、被覆工程S3と、を有する。
本実施形態におけるリチウム硫黄二次電池用正極の形成は、まず、図4に示す基体準備工程S1として、図5に示すように、基体1となる平板状の箔体とされるニッケル箔(基体)1Aを準備する。
次いで、図4に示すエンボス加工工程S11として、図6に示すように、平板状の箔体とされるニッケル箔(基体)1Aにエンボス加工を施すことにより多数の凹凸が形成されたニッケル箔1Bとする。
このエンボス加工工程S11においては、図11に示すように、凸部に対応する位置に多数の突起E1を有する平板状のエンボス型E1Aと、凹部に対応する位置に多数の突起E2を有する平板状のエンボス型E2Aとを突起E1,E2が対向するように設けた平板エンボス加工装置EAを用いることができる。平板エンボス加工装置EAにおいては、エンボス型E1A,E2Aの間に、平板状のニッケル箔1Aを位置した状態でエンボス型E1A,E2Aを互いに近接させることで、エンボス加工をおこなうことができる。
この際、図12に示すように、ニッケル箔1Aの厚さ方向となるエンボス型E1A,E2Aの近接方向において、エンボス型E1A,E2Aが最近接する距離を、突起E1,E2の頂部の間の距離(ギャップ)Gとして設定する。これにより、ニッケル箔1Bにおける凹凸形状を設定することが可能となる。
ここで、距離Gは、図12に示すように、互いに近接する突起E1,E2の頂部が、平板状のニッケル箔1Aを越えて、平板状のニッケル箔1Aの面を互いに突き抜けて飛び出して押圧した状態での距離として設定される。したがって、ニッケル箔1Bには、図6に示すように、凹凸の頂部付近に破断されてニッケル箔1Bの表裏面を貫通する貫通部分1Baが形成されていてもよい。
なお、図6に示す凹凸の頂部付近においてニッケル箔1Bが破断せず、貫通部分1Baが形成されてなくてもよい。ニッケル箔1Bが破断されない条件として、図12に示す距離Gよりも小さくなるように、突起E1,E2の頂部の間の距離が設定される。このように、ニッケル箔1Bが破断しなくても、図12に示す場合と同様の効果が得られるが、貫通部分1Baが形成されることが好ましい。
なお、図6に示す凹凸の頂部付近においてニッケル箔1Bが破断せず、貫通部分1Baが形成されてなくてもよい。ニッケル箔1Bが破断されない条件として、図12に示す距離Gよりも小さくなるように、突起E1,E2の頂部の間の距離が設定される。このように、ニッケル箔1Bが破断しなくても、図12に示す場合と同様の効果が得られるが、貫通部分1Baが形成されることが好ましい。
あるいは、エンボス加工工程S11においては、図13に示すように、凸部に対応する位置に多数の突起E1を有する円筒状のエンボス型E1Bと、凹部に対応する位置に多数の突起E2を有する円筒状のエンボス型E2Bとを、軸線が平行となるように近接配置したロールエンボス加工装置EBを用いることができる。ロールエンボス加工装置EBにおいては、エンボス型E21,E2Bを互いに逆方向に回転させ、同期して回転するこれらエンボス型E21,E2Bの間にニッケル箔1Aを回転方向に沿って挿入することで、同様にして突起E1,E2により、エンボス加工をおこなうことができる。
次いで、図4に示すプレス工程S12として、図7に示すように、エンボス加工されたニッケル箔1Bに対して、凹凸を圧縮する方向に押圧して、貫通部分1Baを閉塞するようにプレスしてニッケル箔1を形成する。プレス工程S12によって、ニッケル箔1の厚さは、エンボス加工工程S11直後のニッケル箔1Bの厚さに比べて減少する。
ここで、ニッケル箔1,1Bの厚さは、距離Gの大きさとして設定される。また、ニッケル箔1Bにおける貫通部分1Baは、閉塞されて切れ目1aとなる。
ここで、ニッケル箔1,1Bの厚さは、距離Gの大きさとして設定される。また、ニッケル箔1Bにおける貫通部分1Baは、閉塞されて切れ目1aとなる。
このプレス工程S12においては、図14に示すように、平板状のプレス型E3C,E4Cを対向するよう配置した平板プレス加工装置ECを用いることができる。平板プレス加工装置ECにおいては、プレス型E3C,E4Cの間に、エンボス加工済みのニッケル箔1Bを位置した状態でプレス型E3C,E4Cを互いに近接させることで、プレス加工をおこなうことができる。
あるいは、プレス工程S12においては、図15に示すように、ロール状のプレス型E3D,E4Dを、軸線が平行となるように近接配置したロールプレス加工装置EDを用いることができる。ロールプレス加工装置EDにおいては、ロール状のプレス型E3D,E4Dを互いに逆方向に回転させ、同期して回転するこれらロール状のプレス型E3D,E4Dの間に、エンボス加工済みのニッケル箔1Bを回転方向に沿って挿入することで、プレス加工をおこなうことができる。
これらエンボス加工工程S11と、プレス工程S12とは、基体準備工程S1に含有されることができる。
次いで、図4に示す下地膜形成工程S21と、図8に示すように、エンボス加工されて多数の凹凸を有するニッケル箔(基体)1の表面に、下地膜2としてのアルミニウム膜を形成する。
次いで、図4に示す触媒層形成工程S22と、図8に示すように、下地膜2の形成されたニッケル箔(基体)1の表面に、触媒層3としての鉄膜を形成して正極集電体P1を得る。
下地膜2と触媒層3の形成方法としては、例えば、公知の電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、触媒金属を含む化合物の溶液を用いたディッピングを用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
次いで、図4に示す成長工程S2として、得られた正極集電体P1を公知のCVD装置の処理室内に設置し、処理室内に原料ガス及び希釈ガスを含む混合ガスを100Pa〜大気圧の作動圧力下で供給し、600〜800℃の温度に正極集電体P1を加熱することにより、図9に示すように、集電体P1の表面に、当該表面に直交する方向に配向させてカーボンナノチューブ4を成長させる。
この結果、正極集電体P1においては、凹凸の表面に対して直交する方向に配向するカーボンナノチューブ4が、正極集電体P1の多数の凹凸の表面に沿うように形成される。特に、正極集電体P1の凹凸のうち、凹部においては、凹部の曲面から垂直に延びるように複数のカーボンナノチューブ4が形成され、複数のカーボンナノチューブ4の先端が密集する。換言すると、凹部においては、曲面から垂直に延びるカーボンナノチューブが林立した状態となり、カーボンナノチューブの密度が高くなる。
すなわち、ニッケル箔(基体)1の表面におけるカーボンナノチューブの単位面積あたりの本数に対して、凹部における単位面積あたりのカーボンナノチューブの本数が増加する。逆に、正極集電体P1の凹凸のうち、凸部においては、単位面積あたりのカーボンナノチューブの本数が減少し、カーボンナノチューブの密度が低くなる。
このように、カーボンナノチューブ4の密度が異なる立体構造を形成することができる。
この結果、正極集電体P1においては、凹凸の表面に対して直交する方向に配向するカーボンナノチューブ4が、正極集電体P1の多数の凹凸の表面に沿うように形成される。特に、正極集電体P1の凹凸のうち、凹部においては、凹部の曲面から垂直に延びるように複数のカーボンナノチューブ4が形成され、複数のカーボンナノチューブ4の先端が密集する。換言すると、凹部においては、曲面から垂直に延びるカーボンナノチューブが林立した状態となり、カーボンナノチューブの密度が高くなる。
すなわち、ニッケル箔(基体)1の表面におけるカーボンナノチューブの単位面積あたりの本数に対して、凹部における単位面積あたりのカーボンナノチューブの本数が増加する。逆に、正極集電体P1の凹凸のうち、凸部においては、単位面積あたりのカーボンナノチューブの本数が減少し、カーボンナノチューブの密度が低くなる。
このように、カーボンナノチューブ4の密度が異なる立体構造を形成することができる。
成長工程S2において、カーボンナノチューブ4を成長させるためのCVD法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、ホットフィラメントCVD法を用いることができる。原料ガスとしては、例えば、メタン、エチレン、アセチレン等の炭化水素や、メタノール、エタノール等のアルコールを用いることができ、また、希釈ガスとしては、窒素、アルゴン又は水素を用いることができる。
また、原料ガス及び希釈ガスの流量は、処理室の容積に応じて適宜設定でき、例えば、原料ガスの流量は10〜500sccmの範囲内で設定でき、希釈ガスの流量は100〜5000sccmの範囲内で設定できる。
また、原料ガス及び希釈ガスの流量は、処理室の容積に応じて適宜設定でき、例えば、原料ガスの流量は10〜500sccmの範囲内で設定でき、希釈ガスの流量は100〜5000sccmの範囲内で設定できる。
次いで、図4に示す被覆工程S3として、図10に示すように、カーボンナノチューブ4が成長した領域の全体にわたって、その上方から、1〜100μmの範囲の粒径を有する顆粒状の硫黄5Aを撒布する。この状態で、正極集電体P1を管状炉内に設置し、硫黄の融点(113℃)以上の120〜180℃の温度に加熱することで硫黄を溶融させる。
溶融した硫黄5Aはカーボンナノチューブ4相互間の間隙に流れ込み、カーボンナノチューブ4の各々の表面全体が硫黄5で覆われ、隣接するカーボンナノチューブ4相互間に間隙が存在する。これにより、図3に示すように、正極活物質層P2が形成される。
溶融した硫黄5Aはカーボンナノチューブ4相互間の間隙に流れ込み、カーボンナノチューブ4の各々の表面全体が硫黄5で覆われ、隣接するカーボンナノチューブ4相互間に間隙が存在する。これにより、図3に示すように、正極活物質層P2が形成される。
このとき、カーボンナノチューブ4の密度に応じて、上記配置する硫黄の重量を設定することができる。例えば、カーボンナノチューブ4の成長密度が1×1010〜1×1012本/cm2である場合、硫黄の重量をカーボンナノチューブ4の重量の0.7倍〜3倍に設定することが好ましい。このようにして形成された正極Pは、カーボンナノチューブ4の単位面積当たりの硫黄5の重量(含浸量)が2.0mg/cm2以上のものとなる。
以上の方法により正極(リチウム硫黄二次電池用正極)Pを形成する。
上記負極Nとしては、例えば、Li単体のほか、LiとAlもしくはInとの合金、または、リチウムイオンをドープしたSi、SiO、Sn、SnO2もしくはハードカーボンを用いることができる。
上記セパレータSは、電解質を溶媒に溶解させてなる電解液Lを保持し、電解液Lを介して正極Pと負極Nとの間でリチウムイオン(Li+)を伝導できるようになっている。セパレータSとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂製の多孔フィルムを用いることができる。
電解液Lには、電解質とこの電解質を溶解する極性溶媒とを更に含む。電解質としては、公知のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下「LiTFSI」という)、LiPF6、LiFSI等を用いることができる。また、極性溶媒としては、公知のものを用いることができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジエトキシエタン(DEE)、ジメトキシエタン(DME)などのエーテル類から選択された少なくとも1種を用いることができる。また、電解液Lに硝酸リチウムを添加してもよい。
本実施形態におけるリチウム硫黄二次電池Bは、上述した正極(リチウム硫黄二次電池用正極)Pを用いることにより、重量エネルギー密度の向上とインピーダンス特性、充放電特性の向上とを呈することができる。
以下、本実施形態の正極(リチウム硫黄二次電池用正極)Pを用いたリチウム硫黄二次電池Bにおける効果を、実験例により確認する。
<実験例1〜6>
まず、実験例1〜6として、以下のように正極Pを作成した。
基体1として、厚さ10μmの平板状ニッケル(Ni)箔1Aを用意し、エンボス加工を施すことで、厚さ370μmにまで凹凸を形成してニッケル箔1Bとした。
このエンボス加工を施したニッケル箔1Bに、圧力を変化させたプレス加工を施し、厚さの異なるニッケル(Ni)箔1を作成した。
まず、実験例1〜6として、以下のように正極Pを作成した。
基体1として、厚さ10μmの平板状ニッケル(Ni)箔1Aを用意し、エンボス加工を施すことで、厚さ370μmにまで凹凸を形成してニッケル箔1Bとした。
このエンボス加工を施したニッケル箔1Bに、圧力を変化させたプレス加工を施し、厚さの異なるニッケル(Ni)箔1を作成した。
ここで、図14に示す平板プレス加工装置ECを用いて、昇降プレスにより厚さ200μmとしたニッケル箔1を作成するとともに、図15に示すロールプレス加工装置EDを用いて、厚さ290μm、220μm、110μm、15μmとしたニッケル箔1をそれぞれ作成した。
これらのニッケル箔1の外観写真を、図17〜図22に示す。
図17に、エンボス加工のみでプレス加工なしの実験例2を示し、図18にロールプレスにより厚さ290μmとした実験例6を示し、図19にロールプレスにより厚さ220μmとした実験例5を示し、図20に昇降プレスにより厚さ200μmとした実験例3を示し、図21にロールプレスにより厚さ110μmとした実験例4を示し、図22にロールプレスにより厚さ15μmとしたものを示す。
また、比較のために、エンボス加工を施さないニッケル箔1Aも実験例1として用意した。
なお、ニッケル箔の厚さは、ミツトヨ デジマチックアップライトゲージ(547-055)にて測定した。また、昇降プレスは、テスター産業 卓上型テストプレス SA-302を使用しておこなった。
図17に、エンボス加工のみでプレス加工なしの実験例2を示し、図18にロールプレスにより厚さ290μmとした実験例6を示し、図19にロールプレスにより厚さ220μmとした実験例5を示し、図20に昇降プレスにより厚さ200μmとした実験例3を示し、図21にロールプレスにより厚さ110μmとした実験例4を示し、図22にロールプレスにより厚さ15μmとしたものを示す。
また、比較のために、エンボス加工を施さないニッケル箔1Aも実験例1として用意した。
なお、ニッケル箔の厚さは、ミツトヨ デジマチックアップライトゲージ(547-055)にて測定した。また、昇降プレスは、テスター産業 卓上型テストプレス SA-302を使用しておこなった。
これらのニッケル(Ni)箔1上に下地膜2たるアルミニウム(Al)膜を150〜225nmの膜厚で電子ビーム蒸着法により形成し、アルミニウム(Al)膜2の上に触媒層3たる鉄(Fe)膜を2〜3nmの膜厚で電子ビーム蒸着法により形成して正極集電体P1を得た。
得られた正極集電体P1を熱CVD装置の処理室内に載置し、処理室内にアセチレン200sccmと窒素1000sccmを供給し、作動圧力:1気圧、温度:720℃、成長時間:90分の条件で、正極集電体P1表面に垂直配向させてカーボンナノチューブ4を250〜600μmの長さで成長させた。成長後にカーボンナノチューブ4を直径14mmφの大きさにハンドパンチ等で打抜いて成型をした。
成型後のカーボンナノチューブ4上に顆粒状の硫黄を配置し、これをホットプレートに配置し、大気中で155℃加熱してカーボンナノチューブ4を硫黄5で覆うことにより、正極Pを作製した。
この正極Pでは、カーボンナノチューブ4の単位面積当たりの硫黄5の重量(含浸量)が10mg/cm2であった。
この正極Pを用い、負極Nは直径15mmφ、厚さ0.5mmの金属リチウムとし、これら正極Pおよび負極Nを多孔プロピレン製のセパレータSを介して対向させ、セパレータSに電解液Lを保持させてリチウム硫黄二次電池のコインセルを作製した。
ここで、電解液Lは、電解質たるLiTFSIを、極性溶媒たるジメトキシエタン(DME)とジオキソラン(DOL)との混合液(混合比9:1)に溶解させて濃度を1mol/Lに調整し、3wt%の硝酸リチウムを加えたものを用いた。 このように作製したコインセルを実験例1〜6とした。
この正極Pを用い、負極Nは直径15mmφ、厚さ0.5mmの金属リチウムとし、これら正極Pおよび負極Nを多孔プロピレン製のセパレータSを介して対向させ、セパレータSに電解液Lを保持させてリチウム硫黄二次電池のコインセルを作製した。
ここで、電解液Lは、電解質たるLiTFSIを、極性溶媒たるジメトキシエタン(DME)とジオキソラン(DOL)との混合液(混合比9:1)に溶解させて濃度を1mol/Lに調整し、3wt%の硝酸リチウムを加えたものを用いた。 このように作製したコインセルを実験例1〜6とした。
これらの実験例1〜6に対して、充放電試験前の交流インピーダンス試験をおこなった。
交流インピーダンス試験は、コールコール(Cole-Cole)プロットまたはナイキストプロットとも称される交流インピーダンス法を用いて、実験例1〜6のリチウム硫黄二次電池のコインセルにおけるインピーダンスを複数の周波数で測定した値をプロットした。
交流インピーダンス試験は、コールコール(Cole-Cole)プロットまたはナイキストプロットとも称される交流インピーダンス法を用いて、実験例1〜6のリチウム硫黄二次電池のコインセルにおけるインピーダンスを複数の周波数で測定した値をプロットした。
交流インピーダンス法は、周波数を変化させた交流電圧を実験例1〜6のリチウム硫黄二次電池に印加し、それぞれのリチウム硫黄二次電池から得られる電流信号及び電圧信号を離散フーリエ変換で周波数領域に変換することにより、インピーダンスを求めたものである。
この結果を図16に示す。
この結果を図16に示す。
図16において、横軸はインピーダンスZの実数成分Zrを示し、縦軸はインピーダンスZの虚数成分Ziを示す。
交流インピーダンス法での周波数を高周波数から低周波数へ(例えば500kHzから100Hzへ)変化させた場合、電解液バルクの抵抗Rsと界面電荷移動抵抗Rcとの合計値で表せる境界周波数域で、拡散インピーダンスZwが増加し、二次電池のインピーダンスが増加する。境界周波数域は、拡散インピーダンスZwによる影響(寄与)が少ないか無視することができる程度となる周波数域であり、図16に示した各プロットが左から右に向かってまず半円を描き、その後上昇するが、これら半円と直線との境界となる最下点付近である。
交流インピーダンス法での周波数を高周波数から低周波数へ(例えば500kHzから100Hzへ)変化させた場合、電解液バルクの抵抗Rsと界面電荷移動抵抗Rcとの合計値で表せる境界周波数域で、拡散インピーダンスZwが増加し、二次電池のインピーダンスが増加する。境界周波数域は、拡散インピーダンスZwによる影響(寄与)が少ないか無視することができる程度となる周波数域であり、図16に示した各プロットが左から右に向かってまず半円を描き、その後上昇するが、これら半円と直線との境界となる最下点付近である。
この結果から、エンボス加工をおこなっていない実験例1に対して、実験例2〜6では、いずれも境界周波数域が小さい(グラフの左半分における半円が小さい)ことがわかる。
これにより、二次電池のバルク抵抗が低下していることがわかる。
これにより、二次電池のバルク抵抗が低下していることがわかる。
さらに、これらの実験例1〜6に対して、充放電試験をおこなった。その結果を図23〜図28に示す。
充放電試験は、初回放電を0.05C(0.8mA/cm2相当)(〜1.6V)とし、それ以降を0.1C(1.7mA/cm2相当)(1.8〜2.5V)で30〜40回ほど繰り返し測定した。
充放電試験は、初回放電を0.05C(0.8mA/cm2相当)(〜1.6V)とし、それ以降を0.1C(1.7mA/cm2相当)(1.8〜2.5V)で30〜40回ほど繰り返し測定した。
図23に、エンボス加工のみでプレス加工なしの実験例2を示し、図24にロールプレスにより厚さ290μmとした実験例6を示し、図25にロールプレスにより厚さ220μmとした実験例5を示し、図26に昇降プレスにより厚さ200μmとした実験例3を示し、図27にロールプレスにより厚さ110μmとした実験例4を示し、図28にエンボスもプレスもしない平板ニッケル箔で厚さ20μmとした実験例1を示す。各グラフにおいて、右端が上向きになっている線は充電を示し、右端が下向きになっている線は放電を示している。
この結果から、エンボス加工およびプレス加工によって、ハイレート充放電試験においても、グラフに置いてプラトーとして示されるように、放電容量の減少が少なく、また、回数を重ねても放電容量の変動が少なく、特性向上を実現できていることがわかる。
また、エンボス加工およびプレス加工によって、凹凸を形成したニッケル箔1を用いて正極Pを形成することにより、充放電容量を低下化させずにニッケル箔1そのものの厚みを薄くできるので軽量化を図り、重量エネルギー密度を向上することができる。
また、エンボス加工およびプレス加工によって、凹凸を形成したニッケル箔1を用いて正極Pを形成することにより、充放電容量を低下化させずにニッケル箔1そのものの厚みを薄くできるので軽量化を図り、重量エネルギー密度を向上することができる。
本実施形態のリチウム硫黄二次電池用正極Pにおいては、エンボス加工およびプレス加工によって凹凸を形成したニッケル箔1を用いることで、ニッケル箔1が充分な強度を有することができる。これにより、平板状のニッケル箔が薄い場合には、カーボンナノチューブの成長時に基体1が成長にかかる応力によって、しわが生じてしまう、箔に収縮が生じてしまう、あるいは、正極として用いることのできない程度まで曲がってしまうという不具合が生じることを防止できる。
なお、本発明は、ニッケル箔1にしわが生じてしまうことを限定しない。ニッケル箔1として、例えば、100μm程度の厚さを有するニッケル箔を用いることで、しわが生じることがない。
この点に関し、発明者らは、エンボス加工によって形成される周期的な凹凸の断面形状がニッケル箔1に残存する場合、カーボンナノチューブの成長時に生じる応力がニッケル箔1に加わることによる不具合を生じることが無いという知見を得ている。これは、プレス加工の後の厚みが100μm程度であるニッケル箔を用いた実験において、不具合が生じなかったことから明らかである。
この点に関し、発明者らは、エンボス加工によって形成される周期的な凹凸の断面形状がニッケル箔1に残存する場合、カーボンナノチューブの成長時に生じる応力がニッケル箔1に加わることによる不具合を生じることが無いという知見を得ている。これは、プレス加工の後の厚みが100μm程度であるニッケル箔を用いた実験において、不具合が生じなかったことから明らかである。
エンボス加工およびプレス加工によって凹凸を形成したニッケル箔1を用いることで、表面積を増加させて、重量エネルギー密度を向上することができる。特に、積層数の多いラミネートセル等を製造する場合には、おおきな軽量化を呈することが可能となる。
また、ニッケル箔1の凹凸頂部に貫通した部分を有することで、例えば、基体1両面にカーボンナノチューブを成長させるラミネートセルにおいて、電解液が万遍なく含浸できることができる。また、ニッケル箔1の凹凸頂部を形成したことで、凸部の頂部先端のほうが成長時のガス供給を受けやすく、カーボンナノチューブの密度が基体1の他の部分より高くなるという可能性がある。
同時に、ニッケル箔1の凹凸頂部に貫通した部分を有することにより、カーボンナノチューブの成長時にガスの供給を基体1全体に均一化することができる。
同時に、ニッケル箔1の凹凸頂部に貫通した部分を有することにより、カーボンナノチューブの成長時にガスの供給を基体1全体に均一化することができる。
また、エンボス加工時に、ニッケル箔1Bの凸部頂部と凹部頂部とが互いにが引き伸ばされた結果、ニッケル箔1の表面積の増加が生じて、カーボンナノチューブの成長数が増大すると考えられる。
ここで、坪量の部分でも、通常の平板箔から単純計算しても、薄くなる部位に関しては、ロールエンボス加工装置EBとして同じエンボスロールE1B,E2Bを使った場合には、おおよそ同じ位置に穴開けがされていると考えられる。
なお、エンボス加工時にロールエンボス加工装置EBにおける突起E1,E2の突起部分を、四角錐や円錐として形成することで、凹凸部の貫通した部分(穴)の形状はいろいろと変化させることができる。さらに、エンボスロールE1B,E2B間の距離(gap)を調整することにより、ギャップGをパラメータとすることで、凹凸の高さや引き伸ばされ具合を変化させることができる。例えば、ギャップGを大きくすることで、凹凸部の貫通した部分(穴)の形成される位置が変化する。また、ギャップGを小さくすることで、貫通部を有しない凹凸部を形成することもできる。
本実施形態のリチウム硫黄二次電池用正極Pにおいては、交流インピーダンス測定で示される半円を元に、等価回路を作成してフィッティングすることで実際の抵抗値を算出し、バルク(正極:S/CNT)の内部抵抗に相当するグラフの半円の部分を小さくすることができる、特性を有する。つまり、内部抵抗が小さく、高い電流密度に対応できるので有利なリチウム硫黄二次電池を提供することができる。
LiS電池は放電時にSとLiが結合する反応を繰り返し、フル放電時にLi2Sという化合物をカーボンナノチューブの内部に形成し、このとき、単純にSがLi2Sになったことで、体積が1.8倍に増加するといわれており、さらに、充放電を繰り返すことで最初にカーボンナノチューブと良好に接触していたSが脱落してしまうといわれている。
正極におけるS担持量が多いと、このサイクルに伴うSの孤立化が顕著になり、カーボンナノチューブ内部の導電パスが減少して、放電容量に寄与しないSが増加し、放電容量の低下につながると考えられる。
本実施形態のリチウム硫黄二次電池用正極Pにおいては、上記の体積膨張の部分をエンボス箔全体で軽減する効果を有すると考えられる。
正極におけるS担持量が多いと、このサイクルに伴うSの孤立化が顕著になり、カーボンナノチューブ内部の導電パスが減少して、放電容量に寄与しないSが増加し、放電容量の低下につながると考えられる。
本実施形態のリチウム硫黄二次電池用正極Pにおいては、上記の体積膨張の部分をエンボス箔全体で軽減する効果を有すると考えられる。
以上、本発明の第1実施形態について説明したが、本発明は上記のものに限定されない。特に、リチウム硫黄二次電池の形状は特に限定されず、上記コインセル以外に、ボタン型、シート型、積層型、円筒型等であってもよい。また、正極のニッケル箔(基体)1以外の条件に関しては、適宜、条件変更をおこなうことも可能である。
<実験例7>
実験例7として、実験例2と同様にカーボンナノチューブを成長させて成長工程S2を終了させた。
この硫黄を担持させていない状態で、元の箔厚さ;10μm、エンボス加工後の厚さ; 370μm(福田金属箔粉工業株式会社製 volcani)のニッケル箔に成長させたカーボンナノチューブのSEM写真を、図29,30に示す。
実験例7として、実験例2と同様にカーボンナノチューブを成長させて成長工程S2を終了させた。
この硫黄を担持させていない状態で、元の箔厚さ;10μm、エンボス加工後の厚さ; 370μm(福田金属箔粉工業株式会社製 volcani)のニッケル箔に成長させたカーボンナノチューブのSEM写真を、図29,30に示す。
図29に、厚さ10μmの箔をエンボス加工のみプレス加工なしでカーボンナノチューブを成長させた実験例7を示し、図30に、図29の倍率を大きくしたものを示した。
図29,図30に示すように、エンボス加工によって形成された凹凸の内側にもきちんとカーボンナノチューブが成長していることが確認できた。
また、通常の平板ニッケル箔成長カーボンナノチューブ電極と、エンボス加工ニッケル箔成長カーボンナノチューブ電極とを比較すると、トータルの厚みは同程度となるが、カーボンナノチューブ(CNT)部分の長さが異なっていた。
・通常平板箔CNT(600um);内訳CNT部(550〜600um)/Ni箔(20um)
・エンボス箔CNT(600um);内訳CNT部(200〜300um)/エンボス箔(370um)
・エンボス箔CNT(600um);内訳CNT部(200〜300um)/エンボス箔(370um)
このように、カーボンナノチューブ(CNT)部分の厚みが半分程度にもかかわらず、電池特性が逆に向上する。これは、詳細は不明であるが、カーボンナノチューブが垂直成分だけではないため水平方向にも導電パスが形成されている可能性や、エンボス箔自体が平板状よりも強度を有するため、放電時のリチウム硫黄化合物生成の際の体積膨張(約1.8倍)を緩和する、といった効果が考えられる。
次に、上記の実験例1〜6において、ハイレート充放電試験におけるサイクル特性を図31に示す。
これによれば、エンボス加工ニッケル箔をプレス処理することで、20サイクル、あるいは30サイクルを越えて、当初の放電容量を維持することで、サイクル劣化を防止することができるとともに、プレス処理によって、放電容量が増加していることがわかる。
これによれば、エンボス加工ニッケル箔をプレス処理することで、20サイクル、あるいは30サイクルを越えて、当初の放電容量を維持することで、サイクル劣化を防止することができるとともに、プレス処理によって、放電容量が増加していることがわかる。
<実験例8〜10>
次に、上記の実験例1〜6と同様に、単位面積当たりの硫黄5の重量(含浸量)が15mg/cm2以上のものとして正極を作成するとともに、コインセルとして、放電電流密度を変化させて、これに対する放電容量を測定した。なお、充電時は毎回0.25mA/cm2とし、充放電時の電圧範囲を1.8〜2.5Vとした。
この結果を、図32に示す。
次に、上記の実験例1〜6と同様に、単位面積当たりの硫黄5の重量(含浸量)が15mg/cm2以上のものとして正極を作成するとともに、コインセルとして、放電電流密度を変化させて、これに対する放電容量を測定した。なお、充電時は毎回0.25mA/cm2とし、充放電時の電圧範囲を1.8〜2.5Vとした。
この結果を、図32に示す。
なお、実験例8,9は、実験例1と同様、エンボス加工もプレス加工もおこなっていないニッケル箔にカーボンナノチューブを成長させた正極であり、実験例9は実験例2と同じ成長条件で作製したもの、実験例8は本願発明者が学会で以前公表したデータを参考に記載している。実験例8から9へ成長条件を改良することで、改善した電池特性が得られることを前提としている。また、実験例10は、厚さ10μmのニッケル箔をエンボス加工し、平板圧縮プレス後にカーボンナノチューブ(CNT)を実験例2と同じ成長条件で成長させたものである。
この結果から、エンボス加工ニッケル箔をプレス処理することで、硫黄15mg/cm2という高い硫黄含浸量においても、1mA/cm2までの電流密度で高い放電容量が得られることがわかる。
<実験例11〜12>
上記の結果をもとに、実験例11と実験例12として、サイクル試験をおこなった結果を図33に示す。実験例11のCNTは実験例9に、実験例12のCNTは実験例10に相当し、充放電試験の条件のみを変更している。初回放電を0.5mA/cm2(〜1.6V)とし、それ以降を1.0mA/cm2(1.8〜2.5V)で繰り返し試験をおこなった。
上記の結果をもとに、実験例11と実験例12として、サイクル試験をおこなった結果を図33に示す。実験例11のCNTは実験例9に、実験例12のCNTは実験例10に相当し、充放電試験の条件のみを変更している。初回放電を0.5mA/cm2(〜1.6V)とし、それ以降を1.0mA/cm2(1.8〜2.5V)で繰り返し試験をおこなった。
この結果から、エンボス加工ニッケル箔をプレス処理することで、高い電流密度でも放電容量が低下してしまうことを抑制でき、良好なサイクル特性を得ることができる。また、充放電試験に必要な時間を短縮する効果もあり、高い電流密度が求められる機器への適用が期待できる。
本発明の活用例として、モバイル端末、電気自動車(EV、HEV)、ドローン、定置用電源を挙げることができる。
B…リチウム硫黄二次電池
P…正極
N…負極
L…電解液
P1…集電体
1…基体
4…カーボンナノチューブ
5…硫黄
P2…正極活物質層
P…正極
N…負極
L…電解液
P1…集電体
1…基体
4…カーボンナノチューブ
5…硫黄
P2…正極活物質層
Claims (12)
- 金属箔とされる基体を準備する基体準備工程と、
前記基体の表面にこの基体表面側を基端として前記基体主面に略直交する方向に配向するように複数本のカーボンナノチューブを成長させる成長工程と、
前記カーボンナノチューブの成長端側から硫黄を溶融拡散させて各カーボンナノチューブの表面を硫黄で覆う被覆工程と、
を有し、
前記基体準備工程が、前記金属箔に多数の凹凸を形成するエンボス加工工程を有することを特徴とするリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法。 - 前記エンボス加工工程が、前記金属箔を隣接する位置で互い違いに押圧することで表裏方向それぞれに突出する凹凸を交互に形成することを特徴とする請求項1記載のリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法。
- 前記エンボス加工工程が、前記凹凸の頂部に貫通する部分を形成することを特徴とする請求項1または2記載のリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法。
- 前記エンボス加工工程が、前記凸頂部および凹頂部間の箔厚さ方向距離で設定される加工後基体厚さが、加工前基体厚さに比べて10〜50倍の範囲とされることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載のリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法。
- 前記被覆工程前に、前記エンボス加工された前記金属箔に対して、前記凹凸を圧縮する方向にプレスするプレス工程を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか記載のリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法。
- 前記プレス工程が、前記エンボス加工工程で形成された凹凸の頂部で貫通する部分を閉塞する部分を形成することを特徴とする請求項5記載のリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法。
- 前記プレス工程が、前記エンボス加工工程における前記凸頂部および凹頂部間の距離で設定される加工後基体厚さに対して、プレス加工後のプレス後厚さが1/4〜1倍の範囲とされることを特徴とする請求項5記載のリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法。
- 前記プレス工程が、前記基体準備工程中、前記成長工程後、あるいは、前記被覆工程後におこなわれることを特徴とする請求項5から7のいずれか記載のリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法。
- 前記プレス工程が、ロールプレス、または、平板圧縮プレスとされることを特徴とする請求項5から8のいずれか記載のリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法。
- 前記成長工程は、触媒層が形成された基体を加熱炉内に配置し、加熱炉内に炭化水素ガスと希釈ガスとを含む原料ガスを導入して熱CVD法を用いて前記カーボンナノチューブを成長させることを特徴とする請求項1から9のいずれか記載のリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法。
- 前記成長工程前に、表面に前記カーボンナノチューブを成長させる触媒層を前記基体の表面に形成する触媒層形成工程を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか記載のリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法。
- 請求項1から11のいずれか記載のリチウム硫黄二次電池用正極の形成方法によって形成され、
互いに逆方向に形成された多数の凹凸を有する金属箔からなる基体表面に、前記基体表面側を基端として前記基体主面に略直交する方向に配向するように成長させた複数本のカーボンナノチューブと、各カーボンナノチューブの表面を夫々覆う硫黄とを備えることを特徴とするリチウム硫黄二次電池用正極。
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