JP2008150548A - ポリカーボネート樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】変色や熱線遮蔽効果の低下が少ない良好な熱安定性を有し、成形品を偏光板観察した際の不均一な陰影が低減され、成形品の割れが改善され、並びに成形品とハードコート層との密着性に優れた、殊に車輌用グレージング材に好適なポリカーボネート樹脂成形体を提供する。
【解決手段】 (A)ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部、(B)タングステン酸化物、および/または、複合タングステン酸化物からなる平均粒径2〜100nmの微粒子(B成分)0.0005〜0.03重量部、および(C)ホスファイト化合物(C1成分)およびホスホナイト化合物(C2成分)から選択される少なくとも1種のリン化合物(C成分)0.0005〜0.3重量部からなるポリカーボネート樹脂組成物から射出成形により形成された成形品の表面にハードコート層を有するポリカーボネート樹脂成形体。
【選択図】図1
Description
本発明は、タングステン酸化物、および/または、複合タングステン酸化物を含有する熱線遮蔽剤が分散された成形体に対しハードコート層を付与してなる成形体であり、成形時の耐熱性に優れ、成形品の偏光観察により認められる不均一な陰影が低減されかつハードコート層が付与された、殊に車輌用グレージング材に好適なポリカーボネート樹脂成形体に関する。
ポリカーボネート樹脂は、優れた透明性、耐熱性、機械的強度等を有するため電気、機械、自動車、医療用途等に幅広く使用されている。例えば、光学情報記録媒体、光学レンズ、建築物・車輌用グレージング材料などの用途を挙げることができる。
建築物・車輌用グレージング材料、いわゆる窓材は生産効率の向上や、より自由度の高いデザインが求められている。従来、窓材の分野では押出成形により製造されたシートを曲げ加工などの2次加工によって目的の成形体とする製造方法が一般的であった。これに対し上記要求を満足するため射出成形により任意の形状の窓材を製造する方法が近年盛んに試みられている。しかしながら射出成形方法により製造された成形品は、押出成形品に対して種々の問題点を有する。
その1つはハードコート剤に対する耐性が不足することである。すなわちハードコート剤に接触させることにより割れ(クラック)が生ずる場合が多いことが知られている。
その1つは、高い熱負荷による樹脂の劣化である。成形時の熱負荷は成形品が大きくなると、長い充填時間、長い流路(特にホットランナーなど)、および高いせん断発熱の影響によって著しく大きくなる。該熱負荷は成形品にヤケやシルバーストリークを発生させ、またさらに滞留などによる過大な熱負荷は、成形品の著しい変色を生ずる場合もある。上記現象として生ずる樹脂の熱劣化は、ハードコート処理におけるクラックをより生じやすくさせ、結果としてハードコートの密着性を低下させる。
その1つは、押出成形品ではあまり観察されない成形品中の不均一な陰影である。該陰影は直交する2枚の偏光板中に成形品を配置することで観察されるものであり、自然光下で直接観察されることはないものの、窓材などの品質上好ましいものではない。
一方、窓材には窓材に覆われた内部の温度を上昇させないため、赤外線や近赤外線などの熱線を内部に透過し難い性質が求められる場合がある。該要求に対して熱線遮蔽剤を使用して対処する場合がある。しかしながら該熱線遮蔽剤の多くは、上記の陰影が生成しやすく、窓材、殊に車輌用グレージング材に好適なポリカーボネート樹脂射出成形体が得られていないのが現状である。
尚、上記の従来技術は、窓材をその好適な一例として例示したが、ハードコート層を有する他のポリカーボネート樹脂成形体についても同様の問題を少なからず有する。該成形体としては、例えば、ヘッドランプレンズおよびメーターカバーなどの車両用透明部材、照明灯カバー、太陽電池カバーまたは太陽電池基材、ディスプレー装置用カバー、および遊技機(パチンコ機など)用部品などが例示される。
ポリカーボネート樹脂、ATOおよびITOなどの金属酸化物からなる熱線遮蔽性無機化合物、およびステアリン酸モノグリセリドなどの分散剤からなり、かつ該無機化合物と該分散剤との含有量が特定式を満足する透明性を有する樹脂組成物が提案されている。さらに該無機化合物および該分散剤を含有しないポリカーボネート樹脂フィルムの表面にシリコーン系ハードコートを被覆したフィルムを装填した金型内に、該樹脂組成物を充填することにより形成された成形体が提案されている(特許文献1参照)。
ホウ化ランタンなどの特定の金属ホウ化物を含有する熱線遮蔽剤、タングステン酸化物、および/または複合タングステン酸化物を含有する熱線遮蔽剤、並びにこれら遮蔽剤を含有するコート液、および該コート液を塗布した樹脂フィルム、並びに該遮蔽剤はプラズマ波長が近赤外域の比較的長波長側にあるATOやITOに比べて可視光に近い近赤外域の反射・吸収効果に優れること、および導電性の低い膜を形成できる点で優れることは公知である(特許文献2、特許文献3参照)。しかしながら上記公報は、熱線遮蔽剤を有するポリカーボネート樹脂の大型成形品や、該成形品に直接にハードコート処理する際の技術的課題については開示していなかった。
特開2000−234066号公報
特開2000−072484号公報
国際公開WO2005/087680号公報
本発明の目的は、熱線遮蔽剤を含有する成形品に対しハードコート層を付与してなる成形体であって、高い熱負荷のかかる大型成形品の成形においても変色や熱線遮蔽効果の低下が少ない良好な熱安定性を有し、成形品を偏光板観察した際の不均一な陰影が低減され、成形品の割れが改善され、並びに成形品とハードコート層との密着性に優れた、殊に車輌用グレージング材に好適なポリカーボネート樹脂成形体を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、タングステン酸化物、および/または、複合タングステン酸化物を含有する熱線遮蔽剤およびホスファイト等の化合物をポリカーボネート樹脂へ特定量配合することにより、並びにより好適には、特定のハードコート剤でハードコート処理することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。上記ホスファイト等の化合物の配合によって、ポリカーボネート樹脂の熱安定性が大幅に改善され、その結果成形品を偏光板観察した際に認められる不均一な陰影(以下単に“不均一な陰影”と略称することがある)が低減され、また熱線遮蔽効果も優れており、さらに熱安定性の改善によりハードコート剤に対する耐性が向上し、良好なハードコートの密着性が達成されるためと考えられる。
本発明の第1の発明は、(A)ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部、(B)一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.0≦z/y<3.0)で表記されるタングステン酸化物の微粒子、および/または、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0<z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物からなる平均粒径2〜100nmの微粒子(B成分)0.0005〜0.03重量部、および(C)ホスファイト化合物(C1成分)およびホスホナイト化合物(C2成分)から選択される少なくとも1種のリン化合物(C成分)0.0005〜0.3重量部からなるポリカーボネート樹脂組成物から射出成形により形成された成形品の表面にハードコート層を有するポリカーボネート樹脂成形体である。
上記構成とすることによって、上記課題の解決された成形体が提供される。すなわち、熱線を内部に透過し難い性質を有するポリカーボネート樹脂成形体において、大型成形品の射出成形時およびその滞留時においても変色や熱線遮蔽効果の低下が少なく、成形品の不均一な陰影が低減され、かつハードコート層の密着性に優れた成形体が提供される。このような本発明の成形体の特性は特に車輌用グレージング材に好適である。
本発明の第2の発明は、該ハードコート層は、下記式(i)および(ii)を満足する量の紫外線吸収剤を含有する層を有する第1の発明に記載のポリカーボネート樹脂成形体である。
式(i):0.1≦c≦0.5
式(ii):0.6≦d×c≦3
(ここでcはハードコート層中のg/cm3で表される紫外線吸収剤の濃度であり、dは該紫外線吸収剤を含有する層のμmで表される厚さを表す。)
上記ポリカーボネート樹脂組成物は、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.0≦z/y<3.0)で表記されるタングステン酸化物の微粒子、および/または、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0<z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物からなる平均粒径2〜100nmの微粒子(B成分)の熱線遮蔽効率の高い化合物を含有することから、使用時の熱応力が通常の成形品に比較して生じやすい。一方、本発明の成形体を構成する各層の化合物は、使用時の紫外線によって徐々に劣化する。熱応力の作用と劣化とが影響しあうことにより、ハードコート層の密着性、また、特にその耐久性は低下しやすくなる。上記の構成によれば、上記課題を解決すると共に、さらに密着性、耐久性に優れた良好なハードコート層を有するポリカーボネート樹脂成形体が提供される。
式(ii):0.6≦d×c≦3
(ここでcはハードコート層中のg/cm3で表される紫外線吸収剤の濃度であり、dは該紫外線吸収剤を含有する層のμmで表される厚さを表す。)
上記ポリカーボネート樹脂組成物は、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.0≦z/y<3.0)で表記されるタングステン酸化物の微粒子、および/または、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0<z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物からなる平均粒径2〜100nmの微粒子(B成分)の熱線遮蔽効率の高い化合物を含有することから、使用時の熱応力が通常の成形品に比較して生じやすい。一方、本発明の成形体を構成する各層の化合物は、使用時の紫外線によって徐々に劣化する。熱応力の作用と劣化とが影響しあうことにより、ハードコート層の密着性、また、特にその耐久性は低下しやすくなる。上記の構成によれば、上記課題を解決すると共に、さらに密着性、耐久性に優れた良好なハードコート層を有するポリカーボネート樹脂成形体が提供される。
本発明の第3の発明は、その最大投影面積が500cm2以上である第1〜2の発明に記載のポリカーボネート樹脂成形体である。樹脂流動の乱れにより生じる成形品の不均一な陰影は、特に射出成形時の熱負荷が大きくなる大型成形品において生じやすい。したがって該陰影の少ない成形品の成形が可能な本発明のポリカーボネート樹脂組成物は大型の成形品、殊に大型の射出成形品においてその効果をより発揮する。尚、該投影面積の上限は装置上の上限であり、装置の大型化によって対応可能であるので一義的には決定されない。しかしながら現状では40,000cm2を上限とするのが適切である。
本発明の第4の発明は、その厚さ(D(mm))に対するゲート部から流動末端までの距離(L(mm))の比L/Dが、75以上である第1〜2の発明に記載のポリカーボネート樹脂成形体である。L/Dの大きい射出成形品は概してより高温の成形条件を必要とし熱安定性の課題が生じやすい。また相対的な流動長が長くなることで樹脂の流動の乱れによる不均一な陰影が生じやすくなる。本発明のポリカーボネート樹脂成形体においては、上記課題の解決されたL/Dの大きいハードコート層を有する成形体が提供される。尚、L/Dの上限は好ましくは1,000、より好ましくは800、さらに好ましくは600である。また厚さDは好ましくは0.5〜10mm、より好ましくは0.8〜7mm、さらに好ましくは1〜5mmである。
本発明の第5の発明は、さらにA成分100重量部当たり0.0001〜0.1重量部のSi、Zr、TiおよびAlの群から選択される少なくとも1種または2種以上の金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物(B’成分)を含有する第1〜4の発明記載のポリカーボネート樹脂成形体である。
本発明の第6の発明は、上記ポリカーボネート樹脂組成物は、さらに炭素フィラー(D成分)を、該樹脂組成物中0.1〜20ppm(重量割合)含有する第1〜5の発明記載のポリカーボネート樹脂成形体である。該(5)の構成によれば、上記課題を解決しさらに効率的に熱線遮蔽し、良好な透明性を有する成形体が提供される。
本発明の第6の発明は、上記ポリカーボネート樹脂組成物は、さらに炭素フィラー(D成分)を、該樹脂組成物中0.1〜20ppm(重量割合)含有する第1〜5の発明記載のポリカーボネート樹脂成形体である。該(5)の構成によれば、上記課題を解決しさらに効率的に熱線遮蔽し、良好な透明性を有する成形体が提供される。
本発明の第7の発明は、さらに紫外線吸収剤を、上記A成分100重量部に対し0.05〜3重量部含有する第1〜6の発明記載のポリカーボネート樹脂成形体である。本発明の成形体は熱線を内部に透過し難い性質を必要とされる分野に好適であり、該分野の多くは同時に良好な耐候性が必要とされる。上記構成によれば上記課題を解決しさらに良好な耐候性も有する成形体が提供される。
本発明の第8の発明は、上記ポリカーボネート樹脂(A成分)は粘度平均分子量が20,000〜30,000である第1〜7の発明記載のポリカーボネート樹脂成形体である。粘度平均分子量の高いポリカーボネート樹脂は、ハードコート剤などの薬品耐性に優れるが、より高い成形温度が必要になることから不均一な陰影も発生しやすかった。本発明は成形品の不均一な陰影を低減できることから有用な特性を十分に活かすことができる。また、良好な薬品耐性を有することから、より樹脂に対する反応性が高く密着性に優れたハードコート剤の適用を可能となる。該A成分の粘度平均分子量は、より好ましくは22,000〜28,000、さらに好ましくは23,000〜26,000である。好ましい範囲では、さらに成形体の耐衝撃性と成形加工性とを良好に両立させることができる。
本発明の第9の発明は、上記射出成形されたポリカーボネート樹脂成形体の表面に第1層が形成され、第1層の表面に第2層が形成された構成のハードコート層であって、
第1層は、架橋したアクリル共重合体(アクリル共重合体−I)および紫外線吸収剤からなり、第2層は、架橋したオルガノシロキサン重合体からなり、
該架橋したアクリル共重合体(アクリル共重合体−I)は、50モル%以上の下記式(E−1)
第1層は、架橋したアクリル共重合体(アクリル共重合体−I)および紫外線吸収剤からなり、第2層は、架橋したオルガノシロキサン重合体からなり、
該架橋したアクリル共重合体(アクリル共重合体−I)は、50モル%以上の下記式(E−1)
で表される繰り返し単位、および
0〜30モル%の下記式(E−3)
該架橋したオルガノシロキサン重合体は、下記式(F−4)〜(F−6)
で表される繰り返し単位からなり、該繰り返し単位の全量を100モル%としたとき、式(F−4):80〜100モル%、式(F−5):0〜20モル%、および式(F−6):0〜20モル%である架橋したオルガノシロキサン重合体である、ハードコート層である第1〜8の発明記載のポリカーボネート樹脂成形体である。上記該構成とすることにより、耐擦傷性、色相および密着性などの長期の耐久性に優れたハードコート層を有するポリカーボネート樹脂成形体が提供される。
本発明の第10の発明は、曲面部を有する車輌用グレージング材である第1〜9の発明記載のポリカーボネート樹脂成形体である。該車輌用グレージング材は、大型かつL/Dが大きく、曲面であることで成形時の樹脂流動は複雑化し成形品の不均一な陰影が生じやすい。加えて該グレージング材は極めて良好なハードコート層を必要とする。上記のような成形体は本発明の樹脂成形体の適用対象として極めて好適であり、したがって本発明のポリカーボネート樹脂成形体であれば、曲面部を有する良好な車輌用グレージング材が提供される。
本発明のポリカーボネート樹脂成形体は、タングステン酸化物、および/または、複合タングステン酸化物を含有する熱線遮蔽剤およびホスファイト等の化合物をポリカーボネート樹脂へ特定量配合することにより、さらには、特定のハードコート剤でハードコート処理することにより、熱線遮蔽効果も優れており、上記ホスファイト等の化合物の配合によって、ポリカーボネート樹脂の熱安定性が大幅に改善され、その結果成形品を偏光板観察した際に認められる不均一な陰影が低減され、またさらに熱安定性の改善によりハードコート剤に対する耐性が向上し、良好なハードコートの密着性が達成されている。このため、大型成形品の成形時およびその滞留時においても変色や熱線遮蔽効果の低下が少なく、成形品の不均一な陰影が低減され、かつハードコート層の密着性に優れた成形体が提供される。該本発明の成形体の特性は特に車輌用グレージング材に好適である。
以下、本発明の各構成成分の詳細について説明する。
(A成分:ポリカーボネート樹脂)
本発明でA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
(A成分:ポリカーボネート樹脂)
本発明でA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどが挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでも耐衝撃性の点からビスフェノールAが特に好ましい。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、炭酸ジエステルまたはハロホルメートなどが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法によってポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤などを使用してもよい。また本発明のポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂、芳香族または脂肪族(脂環族を含む)の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂、二官能性アルコール(脂環族を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート樹脂、並びに該二官能性カルボン酸および二官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネート樹脂を含む。また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが使用できる。
分岐ポリカーボネートを生ずる多官能性化合物を含む場合、該量は、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、該分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%であるものが好ましい。尚、該割合については1H−NMR測定により算出することが可能である。
脂肪族の二官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の二官能性のカルボン酸としては例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸などの直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。二官能性アルコールとしては脂環族ジオールがより好適であり、例えばシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、およびトリシクロデカンジメタノールなどが例示される。
さらにポリオルガノシロキサン単位を共重合した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
界面重合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、ピリジンなどが用いられる。
有機溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。
また、反応促進のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩などの触媒を用いることができ、分子量調節剤として、例えば、フェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールなどの単官能フェノール類を用いるのが好ましい。さらに単官能フェノール類としては、デシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノールなどを挙げることができる。これらの比較的長鎖のアルキル基を有する単官能フェノール類は、流動性や耐加水分解性の向上が求められる場合に有効である。
反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間、反応中のpHは通常10以上に保つのが好ましい。
溶融法による反応は、通常二価フェノールと炭酸ジエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールと炭酸ジエステルを混合し、減圧下通常120〜350℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には133Pa以下にして生成したフェノール類を系外に除去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
重合速度を速めるために重合触媒を使用することができ、重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、ホウ素やアルミニウムの水酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第4級アンモニウム塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩、亜鉛化合物、ホウ素化合物、ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、有機錫化合物、鉛化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物などの通常エステル化反応やエステル交換反応に使用される触媒があげられる。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、14,000〜100,000であり、2
0,000〜30,000が好ましく、22,000〜28,000がより好ましく、23,000〜26,000がさらに好ましい。上記範囲を超えて分子量が低すぎる場合にはハードコート剤に対する耐性が不十分となりやすく、上記範囲を超えて分子量が高すぎる場合には射出成形が困難となり成形品の割れや不均一な陰影が生じやすくなる。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、14,000〜100,000であり、2
0,000〜30,000が好ましく、22,000〜28,000がより好ましく、23,000〜26,000がさらに好ましい。上記範囲を超えて分子量が低すぎる場合にはハードコート剤に対する耐性が不十分となりやすく、上記範囲を超えて分子量が高すぎる場合には射出成形が困難となり成形品の割れや不均一な陰影が生じやすくなる。
上記の好適な範囲においてはハードコート剤に対する耐性が十分な分子量において、本発明の樹脂組成物は樹脂流動の乱れにより生じる成形品の不均一な陰影が低減可能であり、ハードコート層を有する良好なポリカーボネート樹脂成形体の形成を可能とする。さらにより好ましい範囲においては、耐衝撃性と成形加工性との両立に優れる。尚、上記ポリカーボネート樹脂は、その粘度平均分子量が上記範囲外のものを混合して得られたものであってもよい。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液から20℃で求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
本発明におけるポリカーボネート樹脂の態様として以下のものを挙げることができる。すなわち、粘度平均分子量70,000〜300,000の芳香族ポリカーボネート(PC−i)、および粘度平均分子量10,000〜30,000の芳香族ポリカーボネート(PC−ii)からなり、その粘度平均分子量が15,000〜40,000、好適には20,000〜30,000である芳香族ポリカーボネート(以下、“高分子量成分含有芳香族ポリカーボネート”と称することがある)も使用できる。
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
本発明におけるポリカーボネート樹脂の態様として以下のものを挙げることができる。すなわち、粘度平均分子量70,000〜300,000の芳香族ポリカーボネート(PC−i)、および粘度平均分子量10,000〜30,000の芳香族ポリカーボネート(PC−ii)からなり、その粘度平均分子量が15,000〜40,000、好適には20,000〜30,000である芳香族ポリカーボネート(以下、“高分子量成分含有芳香族ポリカーボネート”と称することがある)も使用できる。
(B成分:タングステン酸化物の微粒子、および/または、複合タングステン酸化物微粒子)
一般に、WO3中には有効な自由電子が存在しないため、WO3は近赤外線領域の吸収反射特性が少なく、赤外線遮蔽材料としては有効ではない。ここで、WO3のタングステンに対する酸素の比率を3より低減することによって、WO3中に自由電子が生成されることが知られているが、本発明者等は、該タングステンと酸素との組成範囲の特定部分において、赤外線遮蔽材料として特に有効な範囲があることを見出した。
一般に、WO3中には有効な自由電子が存在しないため、WO3は近赤外線領域の吸収反射特性が少なく、赤外線遮蔽材料としては有効ではない。ここで、WO3のタングステンに対する酸素の比率を3より低減することによって、WO3中に自由電子が生成されることが知られているが、本発明者等は、該タングステンと酸素との組成範囲の特定部分において、赤外線遮蔽材料として特に有効な範囲があることを見出した。
該タングステンと酸素との組成範囲は、タングステンに対する酸素の組成比が3以下であり、さらには、当該赤外線遮蔽材料をWyOzと記載したとき、2.2≦z/y≦2.999であることが好ましい。このz/yの値が、2.2以上であれば、当該赤外線遮蔽材料中に目的以外であるWO2の結晶相が現れるのを回避することが出来ると伴に、材料としての化学的安定性を得ることが出来るので有効な赤外線遮蔽材料として適用できる。一方、このz/yの値が、2.999以下であれば必要とされる量の自由電子が生成され、効率よい赤外線遮蔽材料となる。
また、一般式WyOzで表記されるタングステン酸化物微粒子において、2.45≦z/y≦2.999で表される組成比を有する、所謂「マグネリ相」は化学的に安定であり、近赤外線領域の吸収特性も良いので、赤外線遮蔽材料として好ましい。
さらに、当該WO3 に、元素M(但し、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、Ba、In、Li、Sn、Ca、Sr、Naのうちから選択される1種類以上の元素)を添加することで、当該WO3中に自由電子が生成され、近赤外線領域に自由電子由来の吸収特性が発現し、1000nm付近の近赤外線吸収材料として有効となるため好ましい。ここで、元素Mが添加された当該WO3における安定性の観点からは、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、Ba、In、Li、Sn、Ca、Sr、Naのうちから選択される1種類以上の元素であることが好ましい。
この自由電子を生成する元素Mを添加した赤外線遮蔽材料は、その一般式がMxWO3(但し、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、Ba、In、Li、Sn、Ca、Sr、Naのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦X≦1)で表記される赤外線遮蔽材料が望ましい。
まず、元素Mの添加量を示すxの値について説明する。xの値が0.001より大きければ、十分な量の自由電子が生成され目的とする赤外線遮蔽効果を得ることが出来る。そして、元素Mの添加量が多いほど、自由電子の供給量が増加し、赤外線遮蔽効率も上昇するが、xの値が1程度で当該効果も飽和する。また、xの値が1より小さければ、当該赤外線遮蔽材料中に不純物相が生成されるのを回避できるので好ましい。また、元素Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上であることが好ましい。
ここで、元素Mが添加された当該MxWO 3 における、安定性の観点からは、元素Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Reのうちのうちから選択される1種類以上の元素であることがより好ましく、赤外線遮蔽材料としての光学特性、耐候性を向上させる観点からは、前記元素Mにおいてアルカリ土類金属元素、遷移金属元素、4B族元素、5B族元素に属するものが、さらに好ましい。
さらに、上述の複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を有する場合、当該微粒子の可視光領域の透過が向上し、近赤外領域の吸収が向上する。この六方晶の結晶構造の模式的な平面図である図1を参照しながら説明する。図1において、符号1で示すWO6単位にて形成される8面体が、6個集合して六角形の空隙が構成され、当該空隙中に、符号2で示す元素Mが配置して1箇の単位を構成し、この1箇の単位が多数集合して六方晶の結晶構造を構成する。
本実施形態における、可視光領域の透過率を向上させ、近赤外領域の吸収特性を向上させる効果を得るためには、複合タングステン酸化物微粒子中に、図1で説明した単位構造(WO6単位で形成される8面体が6個集合して六角形の空隙が構成され、当該空隙中に元素Mが配置した構造)が含まれていれば良く、当該複合タングステン酸化物微粒子が、結晶質であっても非晶質であっても構わない。
本実施形態における、可視光領域の透過率を向上させ、近赤外領域の吸収特性を向上させる効果を得るためには、複合タングステン酸化物微粒子中に、図1で説明した単位構造(WO6単位で形成される8面体が6個集合して六角形の空隙が構成され、当該空隙中に元素Mが配置した構造)が含まれていれば良く、当該複合タングステン酸化物微粒子が、結晶質であっても非晶質であっても構わない。
この六角形の空隙に元素Mの陽イオンが添加されて存在するとき、可視光領域の透過率が向上し、近赤外領域の吸収特性が向上する。ここで、一般的には、イオン半径の大きな元素Mを添加したとき当該六方晶が形成され、具体的には、Cs、K、Rb、Tl、In、Ba、Snを添加したとき六方晶が形成されやすく好ましい。勿論これら以外の上記元素でも、WO6単位で形成される六角形の空隙に添加元素Mが存在できるので問題ない。
六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子が均一な結晶構造を有するとき、添加元素Mの添加量は、xの値で0.2以上0.5以下が好ましく、さらに好ましくは0.33である。xの値が0.33となることで、添加元素Mが六角形の空隙の全てに配置されると考えられる。
また、六方晶以外で、正方晶、立方晶のタングステンブロンズも赤外線遮蔽材料として有効である。結晶構造によって、近赤外線領域の吸収位置が変化する傾向があり、吸収位置は、正方晶が立方晶よりも長波長側に移動し、さらに六方晶が正方晶よりも長波長側に移動する傾向がある。また、それに付随して可視光領域の吸収特性は、六方晶が最も少なく、次に正方晶であり、立方晶はこの中では最も大きい。よって、より可視光領域の光を透過して、より赤外線領域の光を遮蔽する用途には、六方晶のタングステンブロンズを用いることが好ましい。ただし、ここで述べた光学特性の傾向は、あくまで大まかな傾向であり、添加元素の種類や、添加量、酸素量によって変化するものであり、本発明がこれに限定されるわけではない。
本実施形態における、タングステン酸化物微粒子、または/および、複合タングステン酸化物微粒子は、近赤外線領域、特に1000nm付近の光を大きく吸収するため、その透過色調は青色系から緑色系となるものが多い。また、当該赤外線遮蔽材料の粒子の粒子径は、その使用目的によって、各々選定することができる。まず、透明性を保持した応用に使用する場合は、800nm以下の粒子径を有していることが好ましい。これは、800nmよりも小さい粒子は、散乱により光を完全に遮蔽することが無く、可視光領域の視認性を保持し、同時に効率良く透明性を保持することができるからである。特に可視光領域の透明性を重視する場合には、さらに粒子による散乱を考慮することが好ましい。
この粒子による散乱の低減を重視するとき、粒子径は200nm以下、好ましくは100nm以下が良い。理由は、粒子の粒子径が小さければ、幾何学散乱またはミー散乱による、400nm〜780nmの可視光領域の光の散乱が低減される結果、赤外線遮蔽膜が曇りガラスのようになって鮮明な透明性が得られなくなるのを回避できるからである。即ち、粒子径が200nm以下になると、上記幾何学散乱またはミー散乱が低減し、レイリー散乱領域になる。レイリー散乱領域では、散乱光は粒子径の6乗に反比例して低減するため、粒子径の減少に伴い散乱が低減し透明性が向上するからである。さらに粒子径が100nm以下になると、散乱光は非常に少なくなり好ましい。光の散乱を回避する観点からは、粒子径が小さい方が好ましい、粒子径が1nm以上あれば工業的な製造は容易である。
上記粒子径を800nm以下に選択することにより、赤外線遮蔽材料微粒子を媒体中に分散させた赤外線遮蔽材料微粒子分散体のヘイズ値は可視光透過率85%以下でヘイズ30%以下とすることができる。ヘイズが30%よりも大きい値であると、曇りガラスのようになり、鮮明な透明性が得られない。
上記タングステン酸化物、複合タングステン酸化物は、可視光領域の吸収が少なく、近赤外線領域の吸収が大きいので、可視光透過型の赤外線遮蔽材料として、窓等の断熱用に有効である。
(タングステン酸化物、複合タングステン酸化物の製造方法)
上記一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表記されるタングステン酸化物微粒子、および/または、MxWO3(但し、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、Ba、In、Li、Sn、Ca、Sr、Naのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦X≦1)で表記される複合タングステン酸化物微粒子は、タングステン化合物出発原料を不活性ガス雰囲気または還元性ガス雰囲気中で熱処理して得ることができる。
(タングステン酸化物、複合タングステン酸化物の製造方法)
上記一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表記されるタングステン酸化物微粒子、および/または、MxWO3(但し、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、Ba、In、Li、Sn、Ca、Sr、Naのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦X≦1)で表記される複合タングステン酸化物微粒子は、タングステン化合物出発原料を不活性ガス雰囲気または還元性ガス雰囲気中で熱処理して得ることができる。
タングステン化合物出発原料には、三酸化タングステン粉末、ニ酸化タングステン粉末、または酸化タングステンの水和物、または、六塩化タングステン粉末、またはタングステン酸アンモニウム粉末、または、六塩化タングステンをアルコール中に溶解させた後乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、または、六塩化タングステンをアルコール中に溶解させたのち水を添加して沈殿させこれを乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、またはタングステン酸アンモニウム水溶液を乾燥して得られるタングステン化合物粉末、金属タングステン粉末、から選ばれたいずれか一種類以上であることが好ましい。
ここで、タングステン酸化物微粒子を製造する場合には製造工程の容易さの観点より、タングステン酸化物の水和物粉末、三酸化タングステン、またはタングステン酸アンモニウム水溶液を乾燥して得られるタングステン化合物粉末、を用いることがさらに好ましい。また、複合タングステン酸化物微粒子を製造する場合には、出発原料が溶液である各元素は容易に均一混合可能となる観点より、タングステン酸アンモニウム水溶液や、六塩化タングステン溶液を用いることがさらに好ましい。これら原料を用い、これを不活性ガス雰囲気または還元性ガス雰囲気中で熱処理して、上述した粒径のタングステン酸化物微粒子、または/および、複合タングステン酸化物微粒子を含有する赤外線遮蔽材料微粒子を得ることができる。
また、上記元素Mを含む一般式MxWO3で表記される複合タングステン酸化物微粒子を含有する赤外線遮蔽材料微粒子は、上述した一般式WyOzで表されるタングステン酸化物微粒子を含有する赤外線遮蔽材料微粒子のタングステン化合物出発原料と同様であり、さらに元素Mを、元素単体または化合物の形態で含有するタングステン化合物を出発原料とする。
ここで、各成分が分子レベルで均一混合した出発原料を製造するためには各原料を溶液で混合することが好ましく、元素Mを含むタングステン化合物出発原料が、水や有機溶媒等の溶媒に溶解可能なものであることが好ましい。例えば、元素Mを含有するタングステン酸塩、塩化物塩、硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、酸化物、炭酸塩、水酸化物等が挙げられるが、これらに限定されず、溶液状になるものであれば好ましい。
ここで、不活性雰囲気中における熱処理条件としては、650℃以上が好ましい。650℃以上で熱処理された出発原料は、十分な近赤外線吸収力を有し赤外線遮蔽微粒子として効率が良い。不活性ガスとしてはAr、N2等の不活性ガスを用いることがよい。また、還元性雰囲気中の熱処理条件としては、まず出発原料を還元性ガス雰囲気中にて100℃以上650℃以下で熱処理し、次いで不活性ガス雰囲気中で650℃以上1200℃以下の温度で熱処理することが良い。この時の還元ガスは、特に限定されないが、H2が好ましい。また、還元ガスとしてH2を用いる場合は、還元雰囲気の組成として、例えば、Ar、N2等の不活性ガスにH2が体積比で0.1%以上を混合することが好ましく、さらに好ましくは0.2%以上を混合することが良い。H2が体積比で0.1%以上であれば効率よく還元を進めることができる。
水素で還元された原料粉末はマグネリ相を含み、良好な赤外線遮蔽特性を示し、この状態で赤外線遮蔽微粒子として使用可能である。しかし、酸化タングステン中に含まれる水素が不安定であるため、耐候性の面で応用が限定される可能性がある。そこで、この水素を含む酸化タングステン化合物を、不活性雰囲気中、650℃以上で熱処理することで、さらに安定な赤外線遮蔽微粒子を得ることができる。この650℃以上の熱処理時の雰囲気は特に限定されないが、工業的観点から、N2、Arが好ましい。当該650℃以上の熱処理により、赤外線遮蔽微粒子中にマグネリ相が得られ耐候性が向上する。
本発明の上記B成分は、それ自体単独でA成分のポリカーボネート樹脂中に配合することもできるが、樹脂中の分散性を良好にするため、上記したように各種の表面処理剤や界面活性剤で表面処理され、該剤との混合物の状態でポリカーボネート樹脂中に配合されてもよい。
また、好ましくはB成分は、A成分100重量部当たり0.0001〜0.1重量部のSi、Zr、TiおよびAlの群から選択される少なくとも1種または2種以上の金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物(B‘成分)を含有することが好ましい。B成分は、上記B’成分との混合物の状態でポリカーボネート樹脂中に配合される。該混合は水または有機溶媒中で行われること、特にアルコール中で行われることが好ましい。該混合液中にpH調整のための酸またはアルカリ、界面活性剤、およびカップリング剤などが添加されてもよい。該混合においては、ビーズミル、ボールミル、およびサンドミルなどの各種ミルや、超音波混合機などが利用できる。
樹脂バインダーは熱硬化性樹脂が好ましく、特にエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹
脂はポリカーボネート樹脂との相容性に優れ、透明性に対する悪影響が少なく、ポリカーボネート樹脂に対する攻撃性も少ないためである。
(C成分:リン化合物)
次にC成分であるリン化合物について説明する。本発明のポリカーボネート樹脂成形体に用いられるリン化合物は、ホスファイト化合物(C1成分)およびホスホナイト化合物(C2成分)から選択される少なくとも1種のリン化合物である。該リン化合物は、芳香族ポリカーボネートの熱安定剤として既に広く知られている。本発明においては、該リン化合物を添加することによって、樹脂組成物が極めて過酷な熱負荷に耐え得る程度まで、その熱安定性を高める。
樹脂バインダーは熱硬化性樹脂が好ましく、特にエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹
脂はポリカーボネート樹脂との相容性に優れ、透明性に対する悪影響が少なく、ポリカーボネート樹脂に対する攻撃性も少ないためである。
(C成分:リン化合物)
次にC成分であるリン化合物について説明する。本発明のポリカーボネート樹脂成形体に用いられるリン化合物は、ホスファイト化合物(C1成分)およびホスホナイト化合物(C2成分)から選択される少なくとも1種のリン化合物である。該リン化合物は、芳香族ポリカーボネートの熱安定剤として既に広く知られている。本発明においては、該リン化合物を添加することによって、樹脂組成物が極めて過酷な熱負荷に耐え得る程度まで、その熱安定性を高める。
ここで、ホスファイト化合物(C1成分)としては例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが例示される。
さらに他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどが例示される。
ホスホナイト化合物(C2成分)としては、例えばテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトなどが挙げられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。該ホスホナイト化合物はアルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
(樹脂組成物における各成分の割合)
ここで上記A成分、B成分、並びにC成分の組成割合について説明する。B成分の金属ホウ化物微粒子は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0005〜0.03重量部であり、好ましくは0.001〜0.01重量部、より好ましくは0.001〜0.007重量部である。B成分の金属ホウ化物微粒子が上記範囲を超えて少なすぎる場合には熱線を内部に透過し難い性質の改善が十分でない。一方B成分の金属ホウ化物微粒子が上記範囲を超えて多すぎる場合には質感の高い透明性が得られにくい。
(樹脂組成物における各成分の割合)
ここで上記A成分、B成分、並びにC成分の組成割合について説明する。B成分の金属ホウ化物微粒子は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0005〜0.03重量部であり、好ましくは0.001〜0.01重量部、より好ましくは0.001〜0.007重量部である。B成分の金属ホウ化物微粒子が上記範囲を超えて少なすぎる場合には熱線を内部に透過し難い性質の改善が十分でない。一方B成分の金属ホウ化物微粒子が上記範囲を超えて多すぎる場合には質感の高い透明性が得られにくい。
C成分のリン化合物はA成分100重量部に対して0.0005〜0.3重量部含有される。好ましくはA成分100重量部に対してC成分が0.001〜0.1重量部であり、より好ましくは0.005〜0.08重量部であり、さらに好ましくは0.01〜0.07重量部である。C成分のリン化合物が上記範囲を超えて少なすぎる場合には成形品の不均一な陰影の発生する確率が高くなりやすく、大型成形品におけるヤケやシルバーストリークなどが生じやすくなる。一方C成分のリン化合物が上記範囲を超えて多すぎる場合にも逆に成形耐熱性が低下し不均一な陰影の発生する確率が高くなりやすく、またヤケやシルバーストリークなどが生じやすくなる。
さらにB’成分の組成割合は、上記のとおりである。B成分が上記組成割合となることを基準としてB’成分の割合が決定される。
(ハードコート層)
次に本発明のハードコート層について説明する。
(ハードコート層)
次に本発明のハードコート層について説明する。
本発明では、ハードコート処理として各種のハードコート剤が使用可能であり、本発明で使用するハードコート剤としては、シリコーン樹脂系ハードコート剤や有機樹脂系ハードコート剤などが例示される。シリコーン樹脂系ハードコート剤は、シロキサン結合をもった硬化樹脂層を形成するものであり、例えば、3官能シロキサン単位に相当する化合物(トリアルコキシシラン化合物など)を主成分とする化合物の部分加水分解縮合物、好ましくはさらに4官能シロキサン単位に相当する化合物(テトラアルコキシシラン化合物など)を含む部分加水分解縮合物、並びにさらにこれらにコロイダルシリカなどの金属酸化物微粒子を充填した部分加水分解縮合物などが挙げられる。シリコーン樹脂系ハードコート剤はさらに2官能性のシロキサン単位および1官能性のシロキサン単位を含んでよい。これらには縮合反応時に発生するアルコール(アルコキシシランの部分加水分解縮合物の場合)などが含まれるが、さらに必要に応じて任意の有機溶剤、水、あるいはこれらの混合物に溶解ないしは分散させてもよい。そのための有機溶剤としては、低級脂肪酸アルコール類、多価アルコールとそのエーテル、エステル類などが挙げられる。なお、ハードコート層には平滑な表面状態を得るため各種界面活性剤、例えば、シロキサン系、フッ化アルキル系界面活性剤などを添加してもよい。
有機樹脂系ハードコート剤としては、例えば、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、多官能アクリル樹脂などが挙げられる。ここで多官能アクリル樹脂としてはポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレートなどの樹脂が挙げられる。これらハードコート剤のうち長期間の耐候性に優れ、かつ表面硬度が比較的高いシリコーン樹脂系ハードコート剤が好ましく、特に各種の樹脂からなるプライマー層(第1層)を形成した後、その上にシリコーン樹脂系ハードコート剤から調整されたトップ層(第2層)を形成したものが好ましい。
該プライマー層(第1層)を形成する樹脂としては、各種ブロックイソシアネート成分およびポリオール成分からなるウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、およびポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレート、メラミンアクリレート、アミノアクリレートなどの各種多官能アクリル樹脂を挙げることができ、これらは単独でも2種以上を併用して使用することもできる。これらの中でも好ましくはアクリル樹脂、多官能アクリル樹脂が50重量%、より好ましくは60重量%以上含有するものを挙げることができ、特にアクリル樹脂およびウレタンアクリレートからなるものが好ましい。これらは未反応状態のものを塗布後所定の反応をさせて硬化樹脂とすること、並びに反応後の樹脂を直接塗布し硬化樹脂層を形成することのいずれも適用可能である。後者は通常樹脂を溶媒に溶解し溶液とした後、塗布されその後溶媒が除去される。また前者の場合も溶媒を使用することが一般的である。
さらに、本発明のシリコーン樹脂系ハードコート剤のプライマー層を形成する樹脂には、上述したまたは後述の光安定剤や紫外線吸収剤、並びに後述するシリコーン樹脂ハードコート剤の触媒、熱・光重合開始剤、重合禁止剤、シリコーン消泡剤、レベリング剤、増粘剤、沈殿防止剤、垂れ防止剤、難燃剤、有機・無機顔料・染料の各種添加剤および添加助剤を含むことができる。
本発明のハードコート層は、特に次式(i)および(ii)を満足する量の紫外線吸収剤を含有することが、良好な耐久性(殊に密着性に対する耐久性)を有することから好適である。さらに好適なハードコート層は、次式(iii)を満足する。
即ち、
式(i):0.1≦c≦0.5
式(ii):0.6≦d×c≦3
式(iii):2≦d≦8
である。ここでcはハードコート層中のg/cm3で表される紫外線吸収剤の濃度であり、dは該紫外線吸収剤を含有する層のμmで表される厚さを表す。ハードコート層が複数の層からなる場合(プライマー層を含む)、いずれか1つの層(特にプライマー層)が上記式の条件を満足すればよい。
式(i):0.1≦c≦0.5
式(ii):0.6≦d×c≦3
式(iii):2≦d≦8
である。ここでcはハードコート層中のg/cm3で表される紫外線吸収剤の濃度であり、dは該紫外線吸収剤を含有する層のμmで表される厚さを表す。ハードコート層が複数の層からなる場合(プライマー層を含む)、いずれか1つの層(特にプライマー層)が上記式の条件を満足すればよい。
さらに本発明のハードコート層のより好適な態様は次のとおりである。すなわち、ポリカーボネート基材(A成分〜C成分からなる樹脂組成物の射出成形品)の表面に第1層が形成され、第1層の表面に第2層が形成された構成のハードコート層であって、
第1層は、架橋したアクリル共重合体(アクリル共重合体−I)および紫外線吸収剤からなり、第2層は、架橋したオルガノシロキサン重合体からなり、
該架橋したアクリル共重合体(アクリル共重合体−I)は、50モル%以上の下記式(E−1)
第1層は、架橋したアクリル共重合体(アクリル共重合体−I)および紫外線吸収剤からなり、第2層は、架橋したオルガノシロキサン重合体からなり、
該架橋したアクリル共重合体(アクリル共重合体−I)は、50モル%以上の下記式(E−1)
(式中R2は炭素数2〜5のアルキレン基である。式(E−2)で表される繰り返し単位において少なくとも一部のRaは単結合であり、残りが水素原子である。Raが単結合の場合はウレタン結合を介して、他の式(E−2)で表される繰り返し単位と結合している。)
で表される繰り返し単位、および
0〜30モル%の下記式(E−3)
(但し、式中Yは水素原子またはメチル基であり、R3は水素原子、炭素数2〜5のアルキル基、紫外線吸収残基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基である。但し、Yがメチル基であり、かつR3がメチル基またはエチル基である場合を除く。)で表される繰り返し単位からなり、ウレタン結合と式(E−1)〜(E−3)で表される繰り返し単位の合計量とのモル比が4/100〜30/100の範囲にある架橋したアクリル共重合体であり、
該架橋したオルガノシロキサン重合体は、下記式(F−4)〜(F−6)
(式中、Q1、Q2は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、またはメタクリロキシ基、アミノ基、グリシドキシ基および3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基である。)
で表される繰り返し単位からなり、該繰り返し単位の全量を100モル%としたとき、式(F−4):80〜100モル%、式(F−5):0〜20モル%、および式(F−6):0〜20モル%である架橋したオルガノシロキサン重合体である、ハードコート層である。
(第1層)
上記式(E−1)で表される繰り返し単位に対応するメタクリレートモノマーは、メチルメタクリレートまたはエチルメタクリレートである。
式(E−2)で表される繰り返し単位に対応するメタクリレートモノマーは、具体的には、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートが挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。なかでも2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましく採用される。
式(E−2)で表される繰り返し単位において少なくとも一部のRaは単結合であり、残りが水素原子である。Raが単結合の場合はウレタン結合を介して、他の式(E−2)で表される繰り返し単位と結合している。
すなわち、式(E−2)で表される繰り返し単位はその一部が、−ORaの位置において後述する成分(B)のイソシアネート基と反応し、他の式(E−2)で表される繰り返し単位と結合し、架橋構造を形成している。架橋の程度は、ウレタン結合と、式(E−1)〜(E−3)で表される繰り返し単位の合計量とのモル比が4/100〜30/100の範囲にある。好ましくは該モル比が10/100〜20/100の範囲である。
式(E−3)で表される繰り返し単位中のR3の炭素数2〜5のアルキル基の具体例として、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が挙げられる。
式(E−3)で表わされる繰り返し単位中のR3が単素数2〜5のアルキル基の場合の(メタ)アクリレートモノマーとして具体的にはメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレートが挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
また、式(E−3)で表される繰り返し単位中のR3が紫外線吸収残基としては、ベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、およびヒンダードアミン骨格を有する残基が例示される(該式(E−3)においてはヒンダードアミン系の光安定剤残基を含む)。
該紫外線吸収残基の式(E−3)の繰り返し単位に対応するモノマーの具体例としては、ベンゾトリアゾール骨格を含有するモノマーにおいては、例えば、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ− 3’−tert−ブチル−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾールなどが例示される。
同様にベンゾフェノン骨格を含有するモノマーにおいては、例えば、2−ヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]ブトキシベンゾフェノン、2−2’−ジヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノンなどが例示される。
同様にトリアジン骨格を含有するモノマーにおいては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ)プロピルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ)プロピルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシ)エチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−s−トリアジン、および2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシ)エチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジンなどが例示される。
同様にヒンダードアミン骨格を含有するモノマーにおいては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、および1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが例示される。なお、上記において“(メタ)アクリロイル”の表記は、アクリロイルおよびメタクリロイルのいずれも含むことを示す。
アクリル共重合体−I中の式(E−1)で示される繰り返し単位の割合は、50モル%以上である、好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上である。アクリル共重合体−I中の式(E−2)で示される繰り返し単位の割合は、5〜30モル%である、好ましくは8〜20モル%、さらに好ましくは10〜20モル%である。アクリル共重合体−I中の(E−3)で示される繰り返し単位の割合は、0〜30モル%である。
より好適なアクリル共重合体−Iは、その全繰り返し単位100モル%を基準として、70〜95モル%(より好ましくは80〜92モル%、さらに好ましくは80〜90モル%)の式(E−1)で表される繰り返し単位、および5〜30モル%(より好ましくは8〜20モル%、さらに好ましくは10〜20モル%)の式(E−2)で表される繰り返し単位からなるアクリル共重合体である。またより好適なアクリル共重合体−Iは、式(E−1)のR1がエチル基、かつ式(E−2)のR2がエチレン基である共重合体である。
第1層は、上記の如くその紫外線吸収剤の量として、上記式(i)および(ii)を満足することが好ましく、さらに式(i)〜(iii)を満足することが好ましい。
(第2層)
第2層は、架橋したオルガノシロキサン重合体からなる。該架橋したオルガノシロキサン重合体は、上記式(F−4)〜(F−6)で表される繰り返し単位からなり、該繰り返し単位の全量を100モル%としたとき、式(F−4):80〜100モル%、式(F−5):0〜20モル%、および式(F−6):0〜20モル%である。
(第2層)
第2層は、架橋したオルガノシロキサン重合体からなる。該架橋したオルガノシロキサン重合体は、上記式(F−4)〜(F−6)で表される繰り返し単位からなり、該繰り返し単位の全量を100モル%としたとき、式(F−4):80〜100モル%、式(F−5):0〜20モル%、および式(F−6):0〜20モル%である。
上記式のQ1、Q2のアルキル基として、メチル基、エチル基等が挙げられる。各繰り返し単位の量は、好ましくは式(F−4):85〜100モル%、式(F−5):0〜15モル%、および式(F−6):0〜15モル%である。さらに好ましい架橋したオルガノシロキサン重合体は、式(F−4)と式(F−5)および/または式(F−6)とからなり、該繰り返し単位の全量を100モル%としたとき、85〜95モル%の式(F−4)、並びに5〜15モル%の式(F−5)および式(F−6)からなる重合体である。
上記本発明の好適なハードコート層における第1層は、後述するアクリル樹脂組成物をポリカーボネート基材上に積層した後、硬化することにより形成することができ、第2層は、後述するオルガノシロキサン樹脂組成物を第1層上に積層した後、硬化することにより形成することができる。即ち、本発明の好ましい態様は、A成分100重量部、B成分0.0005〜0.03重量部、およびC成分0.0005〜0.3重量部からなるポリカーボネート樹脂組成物から射出成形により形成された成形品の表面に、第1層が形成され、第1層の表面に第2層が形成されてなる積層体であって、第1層は、後述するアクリル樹脂組成物を該成形品の表面に積層した後、硬化した層であって、第2層は、後述するオルガノシロキサン樹脂組成物を第1層の表面に積層した後、硬化した層からなるポリカーボネート樹脂成形体である。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。
さらに上記紫外線吸収剤は、ラジカル重合が可能な単量体化合物の構造をとることにより、該紫外線吸収性単量体と、アルキル(メタ)アクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。上記紫外線吸収性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、環状イミノエステル骨格、およびシアノアクリレート骨格を含有する化合物が好適に例示され、該単量体としては、より具体的には式(E−3)の説明において上述した化合物が例示される。
また、他の紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、硫化亜鉛、および硫化カドミウムなどの金属酸化物微粒子類が挙げられる。
コート剤添加用の紫外線吸収剤として、例えばチバスペシャルティケミカルズ(株)からチヌビン405、チヌビン411L、CGL777MPA等が市販されており、好ましく使用できる。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤を添加することにより、基材と第1層および第1層と第2層の密着力が長期にわたり持続される。これらの剤は単独もしくは2種以上を併用してもよい。シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、また上記シランカップリング剤の部分加水分解縮合物も使用できる。
(光安定剤)
第1層に用いるアクリル樹脂組成物には、必要に応じ光安定剤を含有することができる。(樹脂組成物からなる射出成形品)
本発明のポリカーボネート樹脂成形体は、上記A成分〜C成分からなるポリカーボネート樹脂組成物から射出成形により形成された成形品の表面に、上記のハードコート層が形成されたものである。
ここで射出成形法としては、通常の射出成形法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、および超高速射出成形など利用することができる。中でも射出プレス成形は下記の理由などから好適である。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤を添加することにより、基材と第1層および第1層と第2層の密着力が長期にわたり持続される。これらの剤は単独もしくは2種以上を併用してもよい。シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、また上記シランカップリング剤の部分加水分解縮合物も使用できる。
(光安定剤)
第1層に用いるアクリル樹脂組成物には、必要に応じ光安定剤を含有することができる。(樹脂組成物からなる射出成形品)
本発明のポリカーボネート樹脂成形体は、上記A成分〜C成分からなるポリカーボネート樹脂組成物から射出成形により形成された成形品の表面に、上記のハードコート層が形成されたものである。
ここで射出成形法としては、通常の射出成形法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、および超高速射出成形など利用することができる。中でも射出プレス成形は下記の理由などから好適である。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
本発明において射出プレス成形とは、少なくともその供給完了時において目的とする成形品容量よりも大なる容量の金型キャビティ内に溶融した熱可塑性樹脂を供給し、その供給完了後に金型キャビティ容量を目的とする成形品容量まで減少し、金型キャビティ内の成形品をその取り出しが可能な温度以下まで冷却後成形品を取り出す成形方法である。尚、金型キャビティ容量の減少開始は、樹脂の供給完了前後のいずれであってもよいが、該供給完了前の開始が好ましい。すなわちキャビティ容量を減少する工程と樹脂の充填工程がオーバーラップする態様が好ましい。
射出プレス成形においては、高圧で樹脂の充填を行う必要が低減されるため、成形品中の歪みが低減する。歪みの低減はハードコート剤に対する成形品の耐性を向上させる。耐性が向上することにより密着性の高い本発明のハードコート剤の適用を可能となる。さらに低圧下での樹脂流入は、不規則な樹脂流動の生ずる確率を低減させ、不規則な樹脂流動に伴う成形品の不均一な陰影も低減されやすくなる。
成形品表面の歪みの低減の観点からは、断熱金型成形および急速加熱冷却金型成形(ハロゲンランプ照射、誘導加熱、熱媒体の高速切り替え、および超音波金型など)も組み合わせることが好適である。
また射出プレス成形は通常知られているように、極めて低い圧力での成形が可能であるため、射出成形機の型締め圧力のレベルを大幅に低減することが可能である。これは殊に大型の成形品であって、その流動長の長い成形品において製品の品質の向上と共に、設備に該コストを低減することができる。
別の観点で論じると、射出プレス成形は成形温度の低減が可能な成形法である。したがって該成形法は大型の成形品においてもその熱負荷を低くし、結果として良好な成形体の提供を可能にする。
上記の射出プレス成形、殊に大型成形品の射出プレス成形においては、その中間型締め状態および中間型締め状態から最終型締め状態までの間の金型間の平行度の維持が重要である。射出プレス成形は上記の如く型締め力の小さな成形機にその上限に近い高重量の金型を備え付け成形を行う場合が多い。したがって金型重量により成形機の型締め機構における平行度の維持が困難となりやすい。また、樹脂充填時の圧力によって偏荷重が発生し金型の平行度の維持が困難となりやすい。平行度の狂いは金型のかじりなどを生じ製品の量産を困難にする。さらに金型間の平行度の維持は、金型内の樹脂に対するより均一な圧力の負荷を達成する。これにより樹脂に負荷する圧力は全体として低い圧力を達成し、より歪みの少ない成形品の提供を可能とする。金型間の平行度が十分でない場合、樹脂成形体の箇所の違いにより負荷される圧力に差異が生じ、これは1つの歪み発生の要因となり得る。
上記の金型間の平行度の維持方法としては、(i)金型取り付け板を複数箇所、好ましくは角部4箇所の型締め機構で金型間の平行度を調整しながら金型間の平行度を維持する方法、並びに(ii)金型取り付け板(金型取り付け面)に対し複数箇所、好ましくは角部4箇所に対して矯正力を付与することにより金型間の平行度を調整しながら金型間の平行度を維持する方法が好適に例示される。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂組成物は、大型の射出成形品においても成形品の歪みが低減され、大型の射出成形品に好適である。大型の射出成形品はより高い熱負荷がかかる場合が多い。本発明のポリカーボネート樹脂成形品は、その最大投影面積が、500cm2以上であることが好ましく、より好ましくは1,500cm2以上であり、さらに好ましくは2,000cm2以上である。一方、上限としては50,000cm2以下が適切であり、40,000cm2以下が好ましく、30,000cm2以下がより好ましい。さらにその流動長としては30cm以上である成形品が本発明の効果を発揮する上で好適であり、35cm以上がより好ましい。一方、流動長の上限としては200cm以下が適切であり、180cm以下がより適切である。
さらに好適な成形品形状としては、成形品の厚さ(D(mm))に対するゲート部から流動末端までの距離(L(mm))の比L/Dが、75以上であることが好ましく、100以上がより好ましく、130以上がさらに好ましく、150以上が特に好ましい。一方、その上限は1,000以下が適切であり、800以下が好ましく、600以下がさらに好ましい。
上記の如く本発明の特定のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品とハードコート剤との組み合わせは、成形品の歪みが少なくハードコート層の密着性に優れたポリカーボネート樹脂成形体を提供する。該特性は各種の分野において好適な特性であるが、殊に車輌用グレージング材への適用が望まれるものである。該車輌用グレージング材は、従来ガラスよりなる透明部材を樹脂に代替することを可能とする。そして該グレージング材は良好な耐衝撃性を有し、軽量であり、かつ曲率が極めて小さいかまたはエッジを有することのできる意匠性に富んだ3次元的な面構成を備えた新規な形状を備える。グレージング材としては例えば、ウインドシールド(ウインドスクリーン)、フロントドアウインドウ、リアドアウインドウ、クォーターウインドウ、バックウインドウ、およびバックドアウインドウ、並びにサンルーフおよびルーフパネルなどが例示される。
(D成分および他の熱線遮蔽剤)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、B成分の効果をさらに有効に発揮させる目的で、炭素フィラー(D成分)を含むことができる。すなわち該炭素フィラーの有する熱線吸収効果との相乗作用により、本発明の樹脂成形体は成形体に覆われた内部に熱線を透過し難い性質においてさらに有効となる。
(D成分および他の熱線遮蔽剤)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、B成分の効果をさらに有効に発揮させる目的で、炭素フィラー(D成分)を含むことができる。すなわち該炭素フィラーの有する熱線吸収効果との相乗作用により、本発明の樹脂成形体は成形体に覆われた内部に熱線を透過し難い性質においてさらに有効となる。
該炭素フィラーとしては、カーボンブラック、グラファイト(天然および人工のいずれも含み、さらにウイスカーを含む)、カーボンファイバー(気相成長法によるものを含む)、カーボンナノチューブ、およびフラーレンなどが例示され、好ましくはカーボンブラックおよびグラファイトである。これらは単独でまたは2種以上併用して使用することができる。該炭素フィラーの原料形態も特に制限されるものでなく、炭素フィラーのみの粉体形態のほか、オイル中に分散された形態、バインダー樹脂によって顆粒化された形態、およびポリカーボネート樹脂や他の樹脂中に高濃度で溶融混練したマスターバッチの形態など各種の態様のものが使用可能である。D成分は本発明のポリカーボネート樹脂組成物中、0.1〜20ppm(重量割合)の範囲が好ましく、0.5〜10ppmの範囲がより好ましく、1〜5ppmの範囲がさらに好ましい。上記の範囲内においては、樹脂成形体は熱線を透過し難い性質と透明性との両立を達成する。
さらに本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲において、B成分やD成分以外の、6ホウ化物、ATO、ITOおよび酸化ルテニウムに代表される金属酸化物、金および銀等に代表される金属、並びにフタロシアニン系化合物(例えば市販品として三井化学(株)製MIR−362)に代表される他の熱線遮蔽剤を適宜併用することができる。
また本発明は上記のカーボンブラックなど炭素フィラー以外にも他の染料や顔料を配合することにより、樹脂成形体に熱線を透過し難い性質をさらに付与することができる。該染料としては、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料、紺青等のフェロシアン化物、ペリノン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系染料、およびフタロシアニン系染料などが例示され、これらの中で好ましくは、アンスラキノン系染料、ペリノン系染料、キノリン系染料、ペリレン系染料、クマリン系染料、およびチオインジゴ系染料をあげることができる。染料や顔料は本発明のポリカーボネート樹脂組成物中、0.1〜2000ppm(重量割合)の範囲が好ましく、0.5〜200ppmの範囲がより好ましく、1〜100ppmの範囲がさらに好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は上記のとおり紫外線吸収剤を含有することが好ましく、その量は100重量部のA成分に対して好ましくは0.05〜3重量部、より好ましくは0.05〜1重量部である。該紫外線吸収剤としては、上記のハードコート層に用いられるものと同様のものが使用される。これらの中でもその揮発性の低いものが好適に使用される。
また本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、光安定剤としてヒンダードアミン類を含むこともできる。該光安定剤を使用する場合は紫外線吸収剤と併用することが好ましい。該併用では両者の重量比(光安定剤/紫外線吸収剤)は95/5〜5/95の範囲が好ましく、80/20〜20/80の範囲がさらに好ましい。光安定剤は単独であるいは2種以上の混合物で用いてもよい。光安定剤の量はポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0005〜3重量部が好ましく、0.01〜2重量部がより好ましく、0.02〜1重量部がさらに好ましく、0.05〜0.5重量部が特に好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は離型剤を含むことが好ましい。例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワツクス、1−アルケン重合体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、シリコーン化合物、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。該離型剤はA成分100重量部に対して0.005〜2重量部が好ましい。
本発明の樹脂成形体は、良好な耐熱性が望まれる用途が多い。したがって本発明のポリカーボネート樹脂組成物はポリカーボネート樹脂の変色や劣化を防止するため、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含むことが好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、A成分100重量部あたり0.0002〜0.8重量部が好ましく、0.0005〜0.45重量部がより好ましく、0.002〜0.25重量部がさらに好ましく、0.005〜0.15重量部が特に好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上述した染料を含まない場合であってもブルーイング剤を樹脂組成物中0.05〜3ppm(重量割合)含んでなることが好ましい。ブルーイング剤はポリカーボネート樹脂成形体の黄色味を消すために有効である。ここでブルーイング剤とは、橙色ないし黄色の光線を吸収することにより青色ないし紫色を呈する着色剤をいい、特に染料が好ましい。ブルーイング剤の配合により本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、さらに良好な色相を達成する。ここで重要な点は該ブルーイング剤の配合量である。ポリカーボネート樹脂組成物中、ブルーイング剤が0.05ppm未満では色相の改善効果が不十分な場合がある一方、3ppmを超える場合には光線透過率が低下し適当ではない。より好ましいブルーイング剤の配合量は樹脂組成物中0.5〜2.5ppm、さらに好ましくは0.5〜2ppmの範囲である。
ブルーイング剤としては代表例として、ブルーイング剤としては代表例として、バイエル社のマクロレックスバイオレットB及びマクロレックスブルーRRや、クラリアント社のポリシンスレンブルーRLSなどが挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、他の樹脂やエラストマーを本発明の目的が損なわれない範囲で少割合使用することもできる。
他の樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
また、エラストマーとしては、例えばイソブチレン/イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンゴム、アクリル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、コアシェル型のエラストマーであるMBS(メタクリル酸メチル/スチレン/ブタジエン)ゴム、MAS(メタクリル酸メチル/アクリロニトリル/スチレン)ゴム等が挙げられる。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分、B成分(好ましくはB成分およびB’成分の混合物)およびC成分、並びに任意に他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレット化する方法が挙げられる。
他に、各成分をそれぞれ独立にベント式二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法や、各成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。予備混合する方法としては例えば、A成分としてパウダーの形態を有するものを含む場合、該パウダーの一部と配合する添加剤とをブレンドして、パウダーで希釈した添加剤のマスターバッチとする方法が挙げられる。さらに一成分を独立に溶融押出機の途中から供給する方法なども挙げられる。尚、配合する成分に液状のものがある場合には、溶融押出機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。
押出機としては、原料中の水分や、溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。また押出原料中に混入した異物などを除去するためのスクリーンを押出機ダイス部前のゾーンに設置し、異物を樹脂組成物から取り除くことも可能である。該スクリーンとしては金網、スクリーンチェンジャー、焼結金属プレート(ディスクフィルターなど)などを挙げることができる。
溶融混練機としては二軸押出機の他にバンバリーミキサー、混練ロール、単軸押出機、3軸以上の多軸押出機などを挙げることができる。
上記の如く押出された樹脂は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後該ストランドをペレタイザーで切断してペレット化される。ペレット化に際して外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。
さらに本発明のポリカーボネート樹脂成形体は、本発明の特定のプライマー層を有するハードコート層以外に、各種の機能層を有することができる。該機能層としては、図柄層、導電層(発熱層、電磁波吸収層、帯電防止層)、撥水・撥油層、親水層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、割れ防止層、並びに金属層(メタライジング層)などが例示される。これらの機能層は、ハードコート層の表面、ハードコート層とは反対側の成形品表面、成形品層が複数層ある場合の成形品層と成形品層との間、プライマー層と成形品表面との間の一部分、並びにプライマー層とハードコートのトップ層との間の一部分などにおいて設けることが可能である。
さらに本発明のポリカーボネート樹脂成形体のハードコート層の上に別途他の方法で形成されるハードコート層を積層することも可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。尚、本発明はこれら実施例などにより何ら制限されるものではない。また、以下“部”は特に断りのない限り“重量部”を、%は“重量%”を示す。
(実施例1、2および比較例1〜3)
(1)樹脂組成物の作成
(1−1)使用原料
原料として下記のものを使用した。
(A成分)
PC:下記製法により得られた分子量24,200のポリカーボネート樹脂パウダーバッフル付反応容器に、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。この反応容器に、ビスフェノールA45.6部、p−tert−ブチルフェノールをビスフェノールAに対して2.78モル%、ジクロロメタン265部及び水200部を入れ、反応容器内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。尚、この段階で反応容器中の内容物は、容器容量の8割弱であった。次に、上記懸濁液にナトリウムハイドロサルファイト0.09部および水酸化ナトリウム21.8部を供給するための水溶液約80部を供給し、15℃でビスフェノールAを溶解した。撹拌下、この混合物にホスゲン23.35部を30分間で供給した。その後、トリエチルアミン0.016部(ビスフェノールAに対して0.08モル%)を添加して60分間攪拌し、反応を終結させた。その後、反応混合物を静置し、有機相を分液した。得られたポリカーボネート樹脂のジクロロメタン溶液に塩化メチレンを加えて14重量%の濃度の溶液とし、さらに多孔板付遠心抽出機(川崎エンジニアリング(株)製KCC遠心抽出機)を用いて0.5%水酸化ナトリウム水溶液を流量1,000ml/min、有機相を流量1,000ml/minの速度で供給し、3,500rpmの条件で処理した後、有機相を塩酸酸性とし、その後水洗を繰り返し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで塩化メチレンを蒸発してポリカーボネート樹脂パウダーを得た。
(B成分)
タングステン酸と、炭酸セシウムと、酢酸銅を、各元素のモル比がCu:Cs:W=0.2:0.33:1となるように混合した。これを、水素3%、窒素97%の雰囲気で800℃、1時間加熱した。得られた複合タングステン酸化物は、Csの六方晶のタングステンブロンズだった。Cuは一部金属として析出していた。
(実施例1、2および比較例1〜3)
(1)樹脂組成物の作成
(1−1)使用原料
原料として下記のものを使用した。
(A成分)
PC:下記製法により得られた分子量24,200のポリカーボネート樹脂パウダーバッフル付反応容器に、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。この反応容器に、ビスフェノールA45.6部、p−tert−ブチルフェノールをビスフェノールAに対して2.78モル%、ジクロロメタン265部及び水200部を入れ、反応容器内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。尚、この段階で反応容器中の内容物は、容器容量の8割弱であった。次に、上記懸濁液にナトリウムハイドロサルファイト0.09部および水酸化ナトリウム21.8部を供給するための水溶液約80部を供給し、15℃でビスフェノールAを溶解した。撹拌下、この混合物にホスゲン23.35部を30分間で供給した。その後、トリエチルアミン0.016部(ビスフェノールAに対して0.08モル%)を添加して60分間攪拌し、反応を終結させた。その後、反応混合物を静置し、有機相を分液した。得られたポリカーボネート樹脂のジクロロメタン溶液に塩化メチレンを加えて14重量%の濃度の溶液とし、さらに多孔板付遠心抽出機(川崎エンジニアリング(株)製KCC遠心抽出機)を用いて0.5%水酸化ナトリウム水溶液を流量1,000ml/min、有機相を流量1,000ml/minの速度で供給し、3,500rpmの条件で処理した後、有機相を塩酸酸性とし、その後水洗を繰り返し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで塩化メチレンを蒸発してポリカーボネート樹脂パウダーを得た。
(B成分)
タングステン酸と、炭酸セシウムと、酢酸銅を、各元素のモル比がCu:Cs:W=0.2:0.33:1となるように混合した。これを、水素3%、窒素97%の雰囲気で800℃、1時間加熱した。得られた複合タングステン酸化物は、Csの六方晶のタングステンブロンズだった。Cuは一部金属として析出していた。
この複合タングステン酸化物粉末を8重量部、トルエン84重量部、分散剤8重量部を混合し、ビーズミルで分散処理を行い、分散液を作製した。
ここで、分散後の粉の一次粒子径を分散粒子径としたが、当該一次粒子径は、X線回折測定の半価幅の測定結果からシェラーの方法で算出した結果、約20nmであった。
(C成分)
C1−1:ホスファイト系熱安定剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製:Irgafos168)
C1−2:ホスホナイト系熱安定剤(Sandoz社製:サンドスタブP−EPQ)
(その他)
EW:脂肪酸フルエステル(理研ビタミン(株)製:リケスターEW−400)
SA:脂肪酸部分エステル(理研ビタミン(株)製:リケマールS−100A)
UVA:紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製:Tinuvin1577)
(1−2)樹脂組成物の製造(尚、以後の説明では上記原料の記号を用いる)
表1に記載の各成分を表1記載の割合で計量して混合しブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練しポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。PCに添加する添加剤はそれぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めPCとの予備混合物として作製した後、ブレンダーにより全体の混合を行った。ベント式二軸押出機を使用した。混練ゾーンはベント口手前に1箇所のタイプとした。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで270℃とした。尚、上記の樹脂組成物の製造はHEPAフィルターを通した清浄な空気が循環する雰囲気において実施し、また作業時に異物の混入がないよう十分に注意して行った。
(2)射出成形品(射出プレス成形品)の製造
上記で製造されたポリカーボネート樹脂組成物のペレットを120℃にて5時間クリーンオーブン中で乾燥した後、成形機としてシリンダー径110mmφ、型締め力12700kNの射出成形機を使用して成形を行った。さらに金型取り付け板の四隅4箇所に平行度矯正機構を設置した。該機構は油圧シリンダーの力により金型の取り付け面に矯正力を付与し金型間の平行度を維持するものである。所定の中間型締め状態において平行度の設定を行い、中間型締めの際の平行度を確保した。さらに予め成形時の型締め位置とその金型の傾き量から必要な平行度矯正機構の保持圧力を設定し、それを時間制御することにより中間型締め状態から最終型締め状態までの平行度を確保した。
(C成分)
C1−1:ホスファイト系熱安定剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製:Irgafos168)
C1−2:ホスホナイト系熱安定剤(Sandoz社製:サンドスタブP−EPQ)
(その他)
EW:脂肪酸フルエステル(理研ビタミン(株)製:リケスターEW−400)
SA:脂肪酸部分エステル(理研ビタミン(株)製:リケマールS−100A)
UVA:紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製:Tinuvin1577)
(1−2)樹脂組成物の製造(尚、以後の説明では上記原料の記号を用いる)
表1に記載の各成分を表1記載の割合で計量して混合しブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練しポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。PCに添加する添加剤はそれぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めPCとの予備混合物として作製した後、ブレンダーにより全体の混合を行った。ベント式二軸押出機を使用した。混練ゾーンはベント口手前に1箇所のタイプとした。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで270℃とした。尚、上記の樹脂組成物の製造はHEPAフィルターを通した清浄な空気が循環する雰囲気において実施し、また作業時に異物の混入がないよう十分に注意して行った。
(2)射出成形品(射出プレス成形品)の製造
上記で製造されたポリカーボネート樹脂組成物のペレットを120℃にて5時間クリーンオーブン中で乾燥した後、成形機としてシリンダー径110mmφ、型締め力12700kNの射出成形機を使用して成形を行った。さらに金型取り付け板の四隅4箇所に平行度矯正機構を設置した。該機構は油圧シリンダーの力により金型の取り付け面に矯正力を付与し金型間の平行度を維持するものである。所定の中間型締め状態において平行度の設定を行い、中間型締めの際の平行度を確保した。さらに予め成形時の型締め位置とその金型の傾き量から必要な平行度矯正機構の保持圧力を設定し、それを時間制御することにより中間型締め状態から最終型締め状態までの平行度を確保した。
成形はシリンダー温度300℃、ホットランナー温度305℃、金型温度100℃、充填時間6.5秒にて車両用グレージング材を約1/2スケールとした成形品(製品部投影面積約2,100cm2、厚さ約4.2mm)を射出プレス成形した。その他の成形条件は、射出速度:20mm/sec、金型の中間型締め状態から最終型締め状態までの期間:2秒、樹脂の供給と型締めとが同時に行われている期間:0.5秒、金型内の樹脂に加える圧力(最大圧力):25MPa、該圧力での保持時間:40秒、金型の中間型締め状態から最終型締め状態までの移動距離(前進のストローク):3mm、冷却時間:50秒である。
ランナーはモールドマスターズ社製のバルブゲート型のホットランナー(直径3mmφ)を用い、充填完了後直ちにバルブゲートを閉じて型圧縮により溶融樹脂がゲートからシリンダーへ逆流しない条件とした。成形品を取り出し後に滞留時間を設けることにより成形サイクルを6分とした。成形はすべて20ショット行い、11〜20ショットまでの10サンプルについてハードコート処理を行い、ポリカーボネート樹脂成形体として評価を行った(ゲート部分は残して処理を行った)。
(3)ハードコート剤の調整
(3−1)アクリル共重合体(EMA−HEMA(I))の製造
還流冷却器および撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にエチルメタクリレート(以下EMAと略称する)102.7部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下HEMAと略称する)13部、アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略称する)0.18部および1,2−ジメトキシエタン200部を添加混合し、溶解させた。次いで、窒素気流中70℃で6時間攪拌下に反応させた。得られた反応液をn−ヘキサンに添加して再沈精製し、EMA/HEMAの組成比90/10(モル比)のコポリマー(EMA−HEMA(I))98部を得た。該コポリマーの水酸基価は48.7mgKOH/g、重量平均分子量はGPCの測定(カラム;ShodexGPCA−804、溶離液;THF)からポリスチレン換算で90,000であった。
(3−2)第1層用アクリル樹脂組成物(HC−1)の調整
上記EMA−HEMA(I)10部および紫外線吸収剤(チバスペシャルティケミカルズ社製チヌビン411L)2.00部をメチルイソブチルケトン50部および2−ブタノール25部からなる混合溶媒に溶解し、さらにこの溶液にEMA−HEMA(I)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1当量になるようにポリイソシアネート化合物前駆体(デグサジャパン(株)製VESTANATB1358/100)2.96部を添加し、さらにジメチルチンジネオデカノエート0.005部、シランカップリング剤(日本ユニカー(株)製APZ−66335%エタノール溶液)1.5部を添加し25℃で30分間攪拌し、第1層用のアクリル樹脂組成物(HC−1)を調製した。
(3−3)第2層用オルガノシロキサン樹脂組成物(HC−2)の調整
水分散型コロイダルシリカ分散液(触媒化成工業(株)製 カタロイドSN30 固形分濃度30重量%)100部に35%塩酸0.1部を加えて攪拌し、この分散液に氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン136部、ジメチルジメトキシシラン20.3部を加えた。この混合液を25℃で6時間攪拌して得られた反応液に、硬化触媒およびpH調節剤として45%コリンメタノール溶液1部および酢酸4部を加えイソプロパノール200部で希釈してオルガノシロキサン樹脂組成物(HC−2)を調製した。
(4)ハードコート剤の塗布
上記で製造された車輌用グレージング材の約1/2スケールの成形品を、135℃で1時間クリーンオーブン中でアニール処理を行った。その後、上記で調整された第1層用アクリル樹脂組成物(HC−1)を液だまりができないようディップコート法によって両面塗布し、25℃で20分間静置後、130℃で1時間熱風循環オーブン中で熱硬化させ、4.0μmの膜厚の硬化膜を積層させた。
次いで該成形品の被膜表面上に上記で調整された第2層用オルガノシロキサン樹脂組成物(HC−2)をディップコート法によって両面塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で2時間熱風循環オーブン中で熱硬化させ、4.0μmの膜厚の硬化膜を積層させた。
(5)評価項目
(5−1)不均一な陰影の有無
ハードコート処理された成形品を2枚の直交する偏光板に挟み込み、その上面部分において観察される陰影の程度を下記の基準に基づき評価した(尚、いずれのサンプルも陰影は10個の成形品において同程度の観察された)。
○:陰影は、そのコントラストが比較的薄く、わずかに観察される
△:陰影は、そのコントラストがある程度強く、明確に観察される
×:陰影は、そのコントラストが強く、極めて明確かつ大面積にわたって観察される
(5−2)成形体の割れの有無
ハードコート処理された板状成形品表面を太陽光の下、肉眼により観察し、クラックの発生の有無を評価した。10サンプル中のクラックのあるサンプル数nを“n/10”として表1に示す。
(5−3)耐候性(密着性および外観)
上記のハードコート処理された10個の成形品からそれぞれほぼ同様の位置から50mm角の試験片を切り出した。該試験片をスーパーキセノンテスト(UV照射強度180W/m2、ブラックパネル温度63℃)にて2,000時間の紫外線曝露処理を行い、該処理後の試験片の密着性の評価および外観(色相)の目視観察を行った。
(3)ハードコート剤の調整
(3−1)アクリル共重合体(EMA−HEMA(I))の製造
還流冷却器および撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にエチルメタクリレート(以下EMAと略称する)102.7部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下HEMAと略称する)13部、アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略称する)0.18部および1,2−ジメトキシエタン200部を添加混合し、溶解させた。次いで、窒素気流中70℃で6時間攪拌下に反応させた。得られた反応液をn−ヘキサンに添加して再沈精製し、EMA/HEMAの組成比90/10(モル比)のコポリマー(EMA−HEMA(I))98部を得た。該コポリマーの水酸基価は48.7mgKOH/g、重量平均分子量はGPCの測定(カラム;ShodexGPCA−804、溶離液;THF)からポリスチレン換算で90,000であった。
(3−2)第1層用アクリル樹脂組成物(HC−1)の調整
上記EMA−HEMA(I)10部および紫外線吸収剤(チバスペシャルティケミカルズ社製チヌビン411L)2.00部をメチルイソブチルケトン50部および2−ブタノール25部からなる混合溶媒に溶解し、さらにこの溶液にEMA−HEMA(I)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1当量になるようにポリイソシアネート化合物前駆体(デグサジャパン(株)製VESTANATB1358/100)2.96部を添加し、さらにジメチルチンジネオデカノエート0.005部、シランカップリング剤(日本ユニカー(株)製APZ−66335%エタノール溶液)1.5部を添加し25℃で30分間攪拌し、第1層用のアクリル樹脂組成物(HC−1)を調製した。
(3−3)第2層用オルガノシロキサン樹脂組成物(HC−2)の調整
水分散型コロイダルシリカ分散液(触媒化成工業(株)製 カタロイドSN30 固形分濃度30重量%)100部に35%塩酸0.1部を加えて攪拌し、この分散液に氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン136部、ジメチルジメトキシシラン20.3部を加えた。この混合液を25℃で6時間攪拌して得られた反応液に、硬化触媒およびpH調節剤として45%コリンメタノール溶液1部および酢酸4部を加えイソプロパノール200部で希釈してオルガノシロキサン樹脂組成物(HC−2)を調製した。
(4)ハードコート剤の塗布
上記で製造された車輌用グレージング材の約1/2スケールの成形品を、135℃で1時間クリーンオーブン中でアニール処理を行った。その後、上記で調整された第1層用アクリル樹脂組成物(HC−1)を液だまりができないようディップコート法によって両面塗布し、25℃で20分間静置後、130℃で1時間熱風循環オーブン中で熱硬化させ、4.0μmの膜厚の硬化膜を積層させた。
次いで該成形品の被膜表面上に上記で調整された第2層用オルガノシロキサン樹脂組成物(HC−2)をディップコート法によって両面塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で2時間熱風循環オーブン中で熱硬化させ、4.0μmの膜厚の硬化膜を積層させた。
(5)評価項目
(5−1)不均一な陰影の有無
ハードコート処理された成形品を2枚の直交する偏光板に挟み込み、その上面部分において観察される陰影の程度を下記の基準に基づき評価した(尚、いずれのサンプルも陰影は10個の成形品において同程度の観察された)。
○:陰影は、そのコントラストが比較的薄く、わずかに観察される
△:陰影は、そのコントラストがある程度強く、明確に観察される
×:陰影は、そのコントラストが強く、極めて明確かつ大面積にわたって観察される
(5−2)成形体の割れの有無
ハードコート処理された板状成形品表面を太陽光の下、肉眼により観察し、クラックの発生の有無を評価した。10サンプル中のクラックのあるサンプル数nを“n/10”として表1に示す。
(5−3)耐候性(密着性および外観)
上記のハードコート処理された10個の成形品からそれぞれほぼ同様の位置から50mm角の試験片を切り出した。該試験片をスーパーキセノンテスト(UV照射強度180W/m2、ブラックパネル温度63℃)にて2,000時間の紫外線曝露処理を行い、該処理後の試験片の密着性の評価および外観(色相)の目視観察を行った。
密着性は、上記処理がされた後の角板のほぼ中央部において、ハードコート層にカッターナイフで1mm間隔の100個の碁盤目を作りニチバン製粘着テープ(商品名“セロテープ(登録商標)”)を圧着し、垂直に強く引き剥がして成形品上にすべて残るか否かを評価した。10枚の試験片中、剥がれのあった試験片数nを“n/10”として表1に示す。
外観は、処理前の成形品との色相の際を目視観察し、色相の相違がほとんど認められないものを○、認められるものを×として行った(今回の実施例および比較例ではいずれも色相の相違はほとんど認められなかった)。
(5−4)熱線遮蔽効果
上記のハードコート処理された成形品から50mm角の試験片を切り出した。ブラックパネル温度が80℃となるように設定された放射ピークの波長が約1000nmである近赤外線ハロゲンランプを用い、該ブラックパネルとハロゲンランプとの間に該試験片を設置したときのブラックパネルの温度(℃)を観察した。試験片はブラックパネルから50mm離れた位置に配置された。ブラックパネルの温度が低いほど熱線遮蔽効果が高いといえ、該温度を表1に示す(尚、同じサンプル間での試験片によるバラツキはほとんど認められなかった)。
(5−5)透明性(全光線透過率)
上記のハードコート処理された成形品から50mm角の試験片を切り出した。その全光線透過率を(株)村上色彩技術研究所製ヘイズメーターHR−100を用いISO13468−1に準拠して測定した。結果を表1に示す。
(5−4)熱線遮蔽効果
上記のハードコート処理された成形品から50mm角の試験片を切り出した。ブラックパネル温度が80℃となるように設定された放射ピークの波長が約1000nmである近赤外線ハロゲンランプを用い、該ブラックパネルとハロゲンランプとの間に該試験片を設置したときのブラックパネルの温度(℃)を観察した。試験片はブラックパネルから50mm離れた位置に配置された。ブラックパネルの温度が低いほど熱線遮蔽効果が高いといえ、該温度を表1に示す(尚、同じサンプル間での試験片によるバラツキはほとんど認められなかった)。
(5−5)透明性(全光線透過率)
上記のハードコート処理された成形品から50mm角の試験片を切り出した。その全光線透過率を(株)村上色彩技術研究所製ヘイズメーターHR−100を用いISO13468−1に準拠して測定した。結果を表1に示す。
本発明は、車輌用グレージング材、特にバックドアウインドウ、サンルーフ、およびルーフパネルに好適なポリカーボネート樹脂成形体を提供するが、本発明の成形体は、その特有の特徴から車輌用グレージング材以外にも、建設機械の窓ガラス、ビル、家屋、および温室などの窓ガラス、ガレージおよびアーケードなどの屋根、照灯用レンズ、信号機レンズ、光学機器のレンズ、ミラー、眼鏡、ゴーグル、消音壁、バイクの風防、銘板、太陽電池カバーまたは太陽電池基材、ディスプレー装置用カバー、タッチパネル、並びに遊技機(パチンコ機など)用部品(回路カバー、シャーシ、パチンコ玉搬送ガイドなど)などの幅広い用途に使用可能である。したがって本発明のポリカーボネート樹脂成形体は、各種電子・電気機器、OA機器、車両部品、機械部品、その他農業資材、漁業資材、搬送容器、包装容器、遊戯具および雑貨などの各種用途に有用であり、その奏する産業上の効果は格別である。
1 WO6単位
2 M元素
2 M元素
Claims (10)
- (A)ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部、(B)一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.0≦z/y<3.0)で表記されるタングステン酸化物の微粒子、および/または、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0<z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物からなる平均粒径2〜100nmの微粒子(B成分)0.0005〜0.03重量部、および(C)ホスファイト化合物(C1成分)およびホスホナイト化合物(C2成分)から選択される少なくとも1種のリン化合物(C成分)0.0005〜0.3重量部からなるポリカーボネート樹脂組成物から射出成形により形成された成形品であって、表面にハードコート層を有することを特徴とするポリカーボネート樹脂成形体。
- 該ハードコート層は、下記式(i)および(ii)を満足する量の紫外線吸収剤を含有する層を有する請求項1に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
式(i):0.1≦c≦0.5
式(ii):0.6≦d×c≦3
(ここで、cはハードコート層中のg/cm3で表される紫外線吸収剤の濃度であり、dは該紫外線吸収剤を含有する層のμmで表される厚さを表す。) - 上記ポリカーボネート樹脂成形体は、その最大投影面積が500cm2以上である請求項1または2のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体。
- 上記ポリカーボネート樹脂成形体は、その厚さ(D(mm))に対するゲート部から流動末端までの距離(L(mm))の比L/Dが、75以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
- さらにA成分100重量部当たり0.0001〜0.1重量部のSi、Zr、TiおよびAlの群から選択される少なくとも1種または2種以上の金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物(B’成分)を含有することを特徴とする請求項1〜4記載のポリカーボネート樹脂成形体。
- 上記ポリカーボネート樹脂組成物は、さらに炭素フィラー(D成分)を、該樹脂組成物中0.1〜20ppm(重量割合)含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
- 上記ポリカーボネート樹脂組成物は、さらに紫外線吸収剤を、上記A成分100重量部に対し0.05〜3重量部含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
- 上記A成分は粘度平均分子量が20,000〜30,000である請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
- 上記ハードコート層は、上記射出成形されたポリカーボネート樹脂成形体の表面に第1層が形成され、第1層の表面に第2層が形成された構成のハードコート層であって、
第1層は、架橋したアクリル共重合体(アクリル共重合体−I)および紫外線吸収剤からなり、第2層は、架橋したオルガノシロキサン重合体からなり、
該架橋したアクリル共重合体(アクリル共重合体−I)は、50モル%以上の下記式(E−1)
で表される繰り返し単位、
5〜30モル%の下記式(E−2)
で表される繰り返し単位、および
0〜30モル%の下記式(E−3)
該架橋したオルガノシロキサン重合体は、下記式(F−4)〜(F−6)
で表される繰り返し単位からなり、該繰り返し単位の全量を100モル%としたとき、式(F−4):80〜100モル%、式(F−5):0〜20モル%、および式(F−6):0〜20モル%である架橋したオルガノシロキサン重合体である、ハードコート層である請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体。 - 上記成形体は、曲面部を有する車輌用グレージング材である請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
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