JP2008150456A - 導電性液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)重量平均分子量が5,000〜80,000であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、(b)導電性カーボンブラック、(c)無機質充填剤、(d)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び(e)ヒドロシリル化反応触媒を含んでなる導電性液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を製造するに当り、初めに、前記(a)の一部又は全部、(b)及び(c)成分からなる配合物を超音波により分散する工程、及び3本ロールミルを用いて分散する工程に供して、これら(a)、(b)及び(c)成分からなる前駆組成物を製造する。次に、該前駆組成物に、前記(a)の残部がある場合にはその残部、(d)成分及び(e)成分を配合する。
【選択図】なし
Description
導電性液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を調製するための
(a)一分子中に珪素原子と結合するアルケニル基を2個以上含有しかつ重量平均分子量が5,000〜80,000であるオルガノポリシロキサン、
(b)導電性カーボンブラック、及び
(c)無機質充填剤、
からなる前駆組成物(ベースコンパウンド)を製造する方法にして、
前記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を配合して配合物を調製し、
該配合物を超音波により分散する工程、及び該工程の後に、3本ロールミルを用いて分散する工程に供することを特徴とする上記前駆組成物の製造方法を提供するものである。
(a)一分子中に珪素原子と結合するアルケニル基を2個以上含有しかつ重量平均分子量が5,000〜80,000であるオルガノポリシロキサン、
(b)導電性カーボンブラック、
(c)無機質充填剤、
(d)一分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(e)ヒドロシリル化反応触媒
を含んでなる導電性液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を製造する方法にして、
前記(a)の一部又は全部、(b)及び(c)成分を配合して配合物を調製し、
該配合物を超音波により分散する工程、及び3本ロールミルを用いて分散する工程に供して、これら(a)、(b)及び(c)成分からなる前駆組成物(ベースコンパウンド)を製造し、
次に、該前駆組成物に、前記(a)成分の残部が存在する場合にはその残部、(d)成分及び(e)成分を配合する、
ことを特徴とする上記導電性液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の製造方法を提供するものである。
まず、本発明の組成物に用いられる成分について説明する。
本発明で用いられる(a)成分は、一分子中に珪素原子と結合するアルケニル基を2個以上、通常、2〜50個、好ましくは2〜20個含有し、重量平均分子量が5,000〜80,000、好ましくは10,000〜50,000であるオルガノポリシロキサンである。このアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、付加硬化型シリコーンゴム組成物のベースポリマーとして通常使用されている公知のオルガノポリシロキサンを用いることができる。但し、上記の重量平均分子量を有することにより、通常常温で0.05〜100Pa.sの粘度を有する。
R1 aSiO(4-a)/2 (1)
(式中、R1は炭素原子数1〜12、好ましくは1〜8の置換又は非置換の1価炭化水素基であり、R1の0.001〜20モル%はアルケニル基である。aは1.8〜2.5の正数である。)
で示され、一分子中に少なくとも2個、通常、2〜50個、好ましくは2〜20個のアルケニル基を含有する実質的に直鎖状のオルガノポリシロキサンが好ましい。中でも、特に分子鎖両末端がトリビニルシリル基、ジビニルメチルシリル基又はビニルジメチルシリル基等のトリオルガノシリル基で封鎖されたオルガノポリシロキサンがより好ましい。これらのオルガノポリシロキサンは1種単独でも2種以上の組合わせでも使用することができる。
また、分子中のアルケニル基は分子鎖末端あるいは分子鎖非末端(分子鎖途中)の珪素原子のいずれに結合したものであっても、また両方に結合していてもよいが、硬化性、硬化物の物性等の点から、少なくとも分子鎖両末端の珪素原子にアルケニル基が結合していることが好ましい。
で表されるものが好ましく、具体的には下記に示すものが挙げられる。
本発明に使用される(b)成分のカーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等を挙げることができる。これらの中でも、硫黄及びアミンの含有量が少ない点でアセチレンブラック及びファーネスブラックが好適に使用される。硫黄やアミンは本発明の付加反応によるシリコーンゴム組成物の硬化を阻害する作用を有するからである。
(c)成分の無機質充填剤は、本発明の硬化性組成物から得られる硬化物の物理的強度を高める作用を有する。無機質充填剤としては、例えば、結晶性シリカ(石英粉末)、補強性シリカ、非補強性充填剤が挙げられる。
(d)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは(a)成分と反応し、架橋剤として作用するものであるので、一分子中に少なくとも2個の珪素原子に直接結合した水素原子(即ち、SiHで示されるヒドロシリル基)を含むものとする必要がある。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンの珪素原子に結合する水素原子以外の一価の原子又は基としては、(a)成分にいて示した平均組成式(1)中のR1について説明した置換又は非置換の一価炭化水素基であり、特に脂肪族不飽和結合を除く置換又は非置換の1価炭化水素基が好ましい。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造に特に制限はなく、従来製造されている例えば線状、環状、分岐状、三次元網状構造等の各種構造のものが使用可能である。
R2 bHcSiO(4-b-c)/2 (2)
(式中、R2は炭素原子数1〜12の置換又は非置換の一価炭化水素基であり、bは0.5〜2.5の数、cは0.001〜2の数、但しb+cが0.7〜3の数である。)
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いることができる。
本発明に(e)成分として使用されるヒドロシリル化反応触媒は、(a)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンと(d)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの付加反応(ハイドロサイレーション)を促進させる作用を有する。この種の反応の触媒として公知であるいずれのものも使用することができ、具体的には白金族金属系触媒、好ましくは白金系触媒である。具体例としては、白金ブラック、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変性物、塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサン又はアセチレンアルコール類等との錯体等が例示される。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じてその他の成分を添加することができる。例えば、耐熱性向上剤、反応制御剤などが挙げられる。耐熱性向上剤としては、カーボンブラック、酸化セリウム、水酸化セリウム、酸化鉄(ベンガラ)等が挙げられ、反応制御剤としては、アセチレン化合物、リン化合物、ニトリル化合物、カルボキシレート、錫化合物、水銀化合物、硫黄化合物等を使用することができる。
次に、本発明の特徴である組成物の調製工程を説明する。
本発明では、(a)の一部又は全部、(b)及び(c)成分を配合し、得られた配合物に超音波をかけ、これら成分を相互に分散させる。次に、超音波処理した配合物を3本ロールミル機による分散処理に供する。こうして、前駆組成物が調製される。前駆体組成物を調製する際に(a)成分の一部を使用する場合には、(a)成分全体の40質量%以上(即ち、40〜99質量%)、好ましくは50質量%以上(50〜99質量%)、より好ましくは70質量%以上(70〜99質量%)を使用し、残部を硬化性組成物の調整時に配合すればよい。
本発明において、前記配合物の超音波分散処理に用いる超音波は周波数20〜100kHzの、好ましくは40〜100kHzの範囲が好ましい。超音波分散処理の時間は通常1〜24時間程度で所要の効果を達成することができるが、処理時間はケースバイケースで適切な時間を容易に設定することができる。超音波分散処理は例えば(a)、(b)及び(c)成分の配合物に超音波洗浄機によって所要の超音波をかけることにより行うことができる。かかる超音波分散処理により、(a)〜(c)の成分は相互に分散させられる。これは超音波により配合物のフィラーが振動させられる結果進行するものと考えられる。
超音波処理した配合物を3本ロールミル機で分散させることにより、シリコーンゴムコンパウンドが調製される。この処理は該配合物を3本ロールミル機のロール間を1回以上、例えば1〜3回、通常1〜2回通過させる処理である。
上記のように分散処理を経て得られた前駆組成物に室温で(a)成分の残部、(d)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(e)成分の触媒、さらに必要に応じて使用されるその他の任意成分を混合し、硬化性組成物を調製する。
(1)前駆組成物の調製
・重量平均分子量が20,000である両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖直鎖状ジメチルポリシロキサン[ビニル基含有量1.0×10-4mol/g]100 質量部、
・平均粒径5μmの結晶性シリカ30質量部、及び
・アセチレンブラック10質量部
を配合した。得られた配合物を超音波洗浄機に周波数50kHZで約8時間振動させた。次に、その配合物を3本ロールミル機のロール間を二回通過させ、液状前駆組成物(シリコーンゴムコンパウンド)を得た。
(2)液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
(1)で得られた液状前駆組成物に、両末端及び非末端にSiH基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度約15、珪素原子結合水素原子の含有量0.0053mol/g)を3.8質量部、白金ビニルシロキサン錯体を白金原子として10ppm(質量基準)、そして反応制御剤として1−エチニル−1−シクロヘキサノールを0.1質量部配合し、プラネタリーミキサーを使用して均一に混合し、シリコーンゴム組成物(1)を得た。
(1)前駆組成物の調製
前駆組成物の材料として、
・重量平均分子量が50,000である両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖直鎖状ジメチルポリシロキサン[ビニル基含有量4.0×10-5mol/g]100 質量部、
・BET比表面積が300m2/gである疎水性ヒュームドシリカ25質量部、
・アセチレンブラック10質量部、
・ケッチェンブラック1質量部
を使用した以外は、実施例1と同様にして前駆組成物を調製した。
(1)で調製したシリコーンゴム組成物(2)から実施例1と同様にしてシート状サンプルを作製し、5箇所の体積抵抗率を測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1の(1)において、配合物の超音波洗浄機による分散処理及び3本ロールミル機による分散処理を行わず、それらの代りに配合物をプラネタリーミキサーで均一に混合した以外は、実施例1と同様にして前駆組成物を調製した。次いで実施例1の(2)と同様にして硬化シリコーンゴムのシート状サンプルを作製し体積抵抗率を測定した。その結果を表1に示す。
実施例2の(1)において、配合物の超音波洗浄機による分散処理及び3本ロールミル機による分散処理を行わず、それらの代りに配合物をプラネタリーミキサーで均一に混合した以外は、実施例2と同様にして前駆組成物を調製した。次いで実施例1の(2)と同様にして硬化シリコーンゴムのシート状サンプルを作製し体積抵抗率を測定した。その結果を表1に示す。
実施例1の(1)において、配合物の3本ロールミル機による分散処理を行わず、超音波洗浄機による分散処理のみを行った以外は、実施例1と同様にして前駆組成物を調製した。次いで実施例1の(2)と同様にして硬化シリコーンゴムのシート状サンプルを作製し体積抵抗率を測定した。その結果を表1に示す。
Claims (6)
- 導電性液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を調製するための、
(a)一分子中に珪素原子と結合するアルケニル基を2個以上含有しかつ重量平均分子量が5,000〜80,000であるオルガノポリシロキサン、
(b)導電性カーボンブラック、及び
(c)無機質充填剤、
からなる前駆組成物を製造する方法にして、
前記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を配合して配合物を調製し、
該配合物を超音波により分散する工程、及び該工程の後に3本ロールミルを用いて分散する工程に供することを特徴とする上記前駆組成物の製造方法。 - 前記(b)成分の導電性カーボンブラックがファーネスブラックとアセチレンブラックとの組合わせであることを特徴とする請求項1に係る前駆組成物の製造方法。
- 前記(c)成分の無機質充填剤がヒュームドシリカ、湿式シリカ、結晶性シリカ、又はこれらの2種以上の組合わせであることを特徴とする請求項1又は2に係る前駆組成物の製造方法。
- (a)一分子中に珪素原子と結合するアルケニル基を2個以上含有しかつ重量平均分子量が5,000〜80,000であるオルガノポリシロキサン、
(b)導電性カーボンブラック、
(c)無機質充填剤、
(d)一分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(e)ヒドロシリル化反応触媒
を含んでなる導電性液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を製造する方法にして、
前記(a)の一部又は全部、(b)及び(c)成分を配合して配合物を調製し、
該配合物を超音波により分散する工程、及び該工程の後に3本ロールミルを用いて分散する工程に供して、これら(a)、(b)及び(c)成分からなる前駆組成物を製造し、
次に、該前駆組成物に、前記(a)成分の残部がある場合にはその残部、(d)成分及び(e)成分を配合する、
ことを特徴とする上記導電性液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の製造方法。 - 前記(b)成分の導電性カーボンブラックがファーネスブラックとアセチレンブラックとの組合わせであることを特徴とする請求項4に係る導電性液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の製造方法。
- 前記(c)成分の無機質充填剤がヒュームドシリカ、湿式シリカ、結晶性シリカ、又はこれらの2種以上の組合わせであることを特徴とする請求項4又は5に係る導電性液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の製造方法。
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