JP2008150420A - 塗料とそれを用いた塗膜及び塗膜の製造方法並びに蛍光ランプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の塗料は、イットリウム、アルミニウム、ユーロピウム、ハフニウム、ニオブ、バナジウム、ケイ素、ジルコニウムの群から選択される1種または2種以上の元素を含む無機化合物からなる保護膜形成用物質と、水と、必要に応じて低級アルコール、ケトン、エーテルの群から選択される1種または2種以上を含有し、低級アルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールの群から選択される1種または2種以上、ケトンは、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンの群から選択される1種または2種以上、エーテルは、ジエチルエーテル等である。
【選択図】なし
Description
この蛍光ランプは、例えば、ガラス管の両端が封止された透光性封止管の内面に蛍光体からなる発光層を形成し、この透光性封止管内の両端部側にそれぞれ電極を設け、この透光性封止管内に水銀及びアルゴン等の希ガスを封入したものである。
液晶表示装置は消費電力が極めて小さく、この消費電力の多くの部分を占めるのはバックライトにおける電力消費である。このため、バックライトの光源として用いられる蛍光ランプとしては、同一消費電力であればより高輝度のものが、また、同一輝度であればより省電力のものが求められている。
そこで、透光性封止管と蛍光体層との間に金属酸化物等からなる保護膜を設けることにより、水銀や紫外線に起因する黒化の発生を防止するとともに、輝度の劣化を抑制した蛍光ランプが提案されている(特許文献7参照)。
この蛍光ランプでは、透光性封止管の内壁に、有機溶媒を含む保護膜形成用塗料を塗布し、乾燥することにより保護膜が形成され、この保護膜上に蛍光体スラリを塗布し、乾燥することにより、蛍光体膜が形成される。
このような膜ハガレが生じた場合、蛍光体スラリの塗膜に塗りムラが生じたり、この塗膜に微小突起が発生したり、さらには塗膜のうちに塗工されない部分が生じたり等の不具合が生じることとなる。これらの不具合は、蛍光ランプの輝度を低下させる要因になる。
この塗料は、さらに、低沸点有機溶媒を含有してなることが好ましい。
前記低沸点有機溶媒は、低級アルコール、ケトン、エーテルの群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
前記低級アルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールの群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
本発明の塗膜の製造方法は、基材上に、本発明の塗料を塗布して塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を乾燥または乾燥・熱処理することを特徴とする。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本発明の塗料は、保護膜形成用物質と水とを含有してなる保護膜形成用塗料である。
この保護膜形成用物質としては、イットリウム、アルミニウム、ユーロピウム、ハフニウム、ニオブ、バナジウム、ケイ素、ジルコニウムの群から選択される1種または2種以上の元素を含む無機化合物であることが好ましい。
この無機化合物としては、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化ユーロピウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム等の金属酸化物が挙げられる。
この低沸点有機溶媒は、1気圧(1atm=1013.25hPa)下における沸点が100℃以下の有機溶媒であり、低級アルコール、ケトン、エーテルの群から選択される1種または2種以上が好適に用いられる。
また、ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンの群から選択される1種または2種以上が好適に用いられる。
また、エーテルとしては、沸点が100℃以下であるジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテルの群から選択される1種または2種以上が好適に用いられ、特にジエチルエーテルが好ましい。
この高沸点有機溶媒は、1気圧(1atm=1013.25hPa)下における沸点が100℃を越える水溶性の有機溶媒であり、例えば、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル等のケトン類から選択される1種または2種以上を用いることができる。
本発明の塗膜の製造方法は、基材上に、本発明の塗料を塗布して塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を、大気中にて乾燥または乾燥・熱処理する方法である。
基材としては、熱処理温度に耐える基材であればよく、ガラス基材、透光性のセラミックス基材等が好適に用いられる。
特に、この塗膜を蛍光ランプに適用する場合には、蛍光ランプの仕様に適合可能なガラス管が好適に用いられる。
塗布方法としては、平面バックライトでも使用できることから、スピンコート法、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法、ディップコート法、メニスカスコート法、吸上げ塗工法、フローコート法等、通常のウエットコート法を用いることができる。特に、蛍光ランプのようにガラス管の内面に塗膜を形成する場合、吸上げ塗工法、フローコート法等が好適に用いられる。
乾燥温度は、塗料に含まれる溶媒が充分に散逸する温度であればよく、例えば、常温(25℃)〜100℃である。
この乾燥工程では、塗布膜が充分乾燥すればよく、加熱だけの乾燥でもよく、空気を吹き付けてもよい。具体的には、常温のエアブローでも、熱風を吹き付けてもよい。
熱処理は、500℃〜800℃の範囲の温度にて、蛍光ランプに不具合が生じない範囲で所定時間行う。
この場合、基材上に、本発明の塗料を塗布して塗布膜を形成し、次いで、蛍光体スラリを塗布して第2の塗布膜を形成し、この2層構造の塗布膜を大気中にて乾燥または乾燥・熱処理すればよい。
本発明の塗膜を透光性封止管の内部に形成することで、空隙(ポア)の少ない緻密な保護膜とすることができ、この保護膜上に塗工される蛍光体塗膜を空隙(ポア)の少ない緻密な膜とすることができる。よって、蛍光体層における蛍光発光が安定化した蛍光ランプを得ることが可能である。
図1は、本発明の一実施形態の蛍光ランプを示す縦断面図、図2は同横断面図であり、図において、1は両端が封止されたガラス管からなる透光性封止管、2は本発明の塗膜であり透光性封止管1の内壁全体(内面)に形成された保護膜、3は赤色系発光蛍光体、緑色系発光蛍光体及び青色系発光蛍光体の混合物からなる蛍光体層、4は透光性封止管1内の両端部側にそれぞれ設けられた電極、5は電極4に電気的に接続されたリード線である。
また、保護膜2は、電極4、4間に高周波高電圧を印加した場合に、透光性封止管1に含まれている物質とガスGに含まれる水銀とが反応してアマルガムを生成するのを防止する機能を備えている膜である。
以上により、蛍光体層における蛍光発光が安定化した蛍光ランプを提供することができる。
「実施例1」
酸化イットリウム(Y2O3)粉末を、分散剤を含む水中にビーズミルを用いて分散させ、その後ビーズを分離し、酸化イットリウム(Y2O3)を5重量%含む実施例1の酸化イットリウム塗料を作製した。
酸化イットリウム(Y2O3)粉末を、分散剤を含む水と2−プロパノールの混合液(水:2−プロパノール=1:4)中にビーズミルを用いて分散させ、その後ビーズを分離し、酸化イットリウム(Y2O3)を5重量%含む実施例2の酸化イットリウム塗料を作製した。
酸化イットリウム(Y2O3)粉末を、分散剤を含む2−プロパノール中にビーズミルを用いて分散させ、その後ビーズを分離し、酸化イットリウム(Y2O3)を5重量%含む比較例1の酸化イットリウム塗料を作製した。
酸化イットリウム(Y2O3)粉末を、分散剤を含む酢酸−n−ブチル中にビーズミルを用いて分散させ、その後ビーズを分離し、酸化イットリウム(Y2O3)を5重量%含む比較例2の酸化イットリウム塗料を作製した。
実施例1、2及び比較例1、2各々の塗料の乾燥速度と、透明性の評価項目である全光線透過率及び曇り度とを下記の方法により評価した。
塗料を、1辺10cmで厚さ2mmのガラス板に膜厚が0.3μmになるように塗布し、得られた塗布膜を室温20℃、湿度50%の条件下に放置し、この塗布膜が全て乾燥するまでの時間を測定した。この塗布膜の評価は、下記の4段階で行った。
◎:60秒未満で乾燥
○:60秒以上〜120秒未満で乾燥
△:120秒以上〜180秒未満で乾燥
×:180秒以上で乾燥
上記の塗布膜の全光線透過率をHaze Meter NDH2000(日本電色工業社製)を用いて測定した。ここでは、塗布膜が形成されていないガラス板の全光線透過率を100%として補正し、評価を下記の4段階で行った。
◎:99.0%以上〜100%
○:98.0%以上〜99.0%未満
△:95.0%以上〜98.0%未満
×:95.0%以下
上記の塗布膜のヘーズ値をHaze Meter NDH2000(日本電色工業社製)を用いて測定し、このヘーズ値に基づき曇り度の評価を下記の4段階で行った。
◎:0%〜0.5%未満
○:0.5%以上〜1.0%未満
△:1.0%以上〜3.0%未満
×:3.0%以上
これらの評価結果を表1に示す。
実施例1、2及び比較例1、2各々の塗料を用いて、実施例1、2及び比較例1、2各々の蛍光ランプを作製した。
次いで、この塗膜上に、吹上げ塗工法を用いて蛍光体スラリを膜厚が3μmとなるように塗布し、大気中、90℃にて5分、エアブローしながら乾燥を行った。
次いで、大気中、800℃にて30分間、熱処理を行った。その後、このガラス管に電極やリード線を取り付けて封止し、実施例1の蛍光ランプを作製した。蛍光体層としては、赤色系発光蛍光体、緑色系発光蛍光体及び青色系発光蛍光体の混合物と、ニトロセルロースを含む酢酸−n−ブチルとの混合物を用いた。
実施例1、2及び比較例1、2各々の蛍光ランプの初期輝度及び保護作用を下記の方法により評価した。測定装置は、全光束測定装置 OSP−150(オプトシリウス社製)を用いた。
蛍光ランプを20本作製し、これらの蛍光ランプの明るさ(光束)を測定し、基準値として比較例1の蛍光ランプ20本の明るさの平均値を100としたときの数値を下記の4段階で評価した。
◎:105以上
○:102以上〜105未満
△:98以上〜102未満
×:98未満
蛍光ランプを20本作製し、これらの蛍光ランプを2000時間連続点灯した後の明るさ(光束)を測定し、基準値として比較例1の蛍光ランプ20本の明るさの平均値を100としたときの数値を下記の4段階で評価した。
◎:105以上
○:102以上〜105未満
△:98以上〜102未満
×:98未満
これらの評価結果を表1に示す。
一方、比較例1、2は、実施例1、2に比べて、乾燥速度は速いものの全光線透過率、曇り度、初期輝度共に劣っており、保護作用についてもバラツキが大きいものであった。
2 電子放射機能を有する保護膜
3 蛍光体層
4 電極
5 リード線
G 封入ガス
Claims (8)
- 保護膜形成用物質と水とを含有してなることを特徴とする塗料。
- 前記保護膜形成用物質は、イットリウム、アルミニウム、ユーロピウム、ハフニウム、ニオブ、バナジウム、ケイ素、ジルコニウムの群から選択される1種または2種以上の元素を含む無機化合物であることを特徴とする請求項1記載の塗料。
- さらに、低沸点有機溶媒を含有してなることを特徴とする請求項1または2記載の塗料。
- 前記低沸点有機溶媒は、低級アルコール、ケトン、エーテルの群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1、2または3記載の塗料。
- 前記低級アルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールの群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項4記載の塗料。
- 請求項1ないし5のいずれか1項記載の塗料を用いて形成してなることを特徴とする塗膜。
- 基材上に、請求項1ないし5のいずれか1項記載の塗料を塗布して塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を乾燥または乾燥・熱処理することを特徴とする塗膜の製造方法。
- 請求項6記載の塗膜を透光性封止管の内部に形成してなることを特徴とする蛍光ランプ。
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JP2003051284A (ja) * | 2001-05-30 | 2003-02-21 | Toshiba Lighting & Technology Corp | 蛍光ランプおよび照明器具 |
JP2003123691A (ja) * | 2001-10-12 | 2003-04-25 | Harison Toshiba Lighting Corp | 蛍光ランプおよび照明装置 |
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- 2006-12-14 JP JP2006336922A patent/JP2008150420A/ja active Pending
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