JP2010009828A - 塗料およびそれを用いた塗膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】蛍光ランプの電極に保護用の塗膜を形成するために用いられ、電極に対する密着性および機械的強度に優れ、長期に渡って電極に耐スパッタリング性を付与することができる電極保護用の塗料およびそれを用いた塗膜を提供する。
【解決手段】本発明の電極保護用の塗料は、金属酸化物と、無機バインダと、溶媒とを含有してなることを特徴とする。前記金属酸化物は、アルミニウム、ジルコニウム、イットリウム、ランタンの群から選択される1種または2種以上の元素を含む無機化合物である。前記無機バインダは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムの群から選択される1種または2種以上の元素を含む有機金属化合物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗料およびそれを用いた塗膜に関し、さらに詳しくは、パソコンなどのOA機器などにおける液晶表示装置に適用されるバックライトユニットとしての冷陰極蛍光ランプを構成する電極を保護するための塗料およびそれを用いた塗膜に関するものである。
OA機器などにおける液晶表示装置に適用されるバックライトユニットとして、冷陰極蛍光ランプが多用されている。この冷陰極蛍光ランプは、ガラス管の内側両端に冷陰極を設けるとともに、ガラス管の内部にアルゴンガスなどの希ガスを封入した構成をなしている。冷陰極としては、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、タングステン(W)などの金属板が用いられている。
しかしながら、ニッケルなどの金属板を冷陰極として用いた場合、陰極降下電圧(Vk)が140〜160Vと高いため、金属板がガラス管内部の希ガスの衝撃を受けると、金属原子がたたき出されて、飛散する。この現象はスパッタリングと呼ばれる。飛散した金属原子がガラス管の内壁に付着すると、ガラス管を黒化するばかりでなく、陰極におけるエネルギー損失が大きいため、冷陰極蛍光ランプは、他の熱電極放電ランプよりも発光効率が悪いという問題があった。
そこで、例えば、冷陰極におけるスパッタリングに対する耐久性(耐スパッタリング性)を向上させるために、ニッケル電極基体の表面に、蒸着により、保護膜として、6−ほう化ランタン(LaB)層を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、放電ランプの電極の耐スパッタリング性を向上させるために、金属または金属化合物からなる2層が圧延され一体化された2層複合体を用い、その第1層はニッケルなどの金属基体からなり、第2層は希土類酸化物(Y、La)などからなる電極が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この2層複合体では、第2層が保護膜をなしている。
また、放電ランプの電極の耐スパッタリング性を向上させるために、ニッケルまたはニッケル合金の基材に、ハフニウムが添加された材料からなる電極が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平07−045235号公報 特開2005−183172号公報 特開2007−128917号公報
しかしながら、上記の従来の電極は、保護膜の機械的強度が十分でなく、長期の使用において、耐スパッタリング性が低下するという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、蛍光ランプの電極に保護用の塗膜を形成するために用いられ、電極に対する密着性および機械的強度に優れ、長期に渡って電極に耐スパッタリング性を付与することができる電極保護用の塗料およびそれを用いた塗膜を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、金属酸化物とともに無機バインダを含む塗料を調製して、この塗料を用いて電極の表面に塗膜を形成することによって、電極に対する密着性および機械的強度に優れ、長期に渡って電極に耐スパッタリング性を付与することができる塗膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の電極保護用の塗料は、金属酸化物と、無機バインダと、溶媒とを含有してなることを特徴とする。
前記金属酸化物は、アルミニウム、ジルコニウム、イットリウム、ランタンの群から選択される1種または2種以上の元素を含む無機化合物であることが好ましい。
前記無機バインダは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムの群から選択される1種または2種以上の元素を含む有機金属化合物であることが好ましい。
さらに、シランカップリング剤を含んでなることが好ましい。
本発明の塗膜は、本発明の塗料を用いて形成してなることを特徴とする。
本発明の電極保護用の塗料によれば、金属酸化物と、無機バインダと、溶媒とを含有してなるので、蛍光ランプに用いられる電極に対する密着性および機械的強度に優れ、長期に渡って電極に耐スパッタリング性を付与することができる塗膜を形成することができる。
本発明の塗膜によれば、本発明の塗料を用いて形成したので、電極の表面に対する密着性が向上し、機械的強度に優れている。したがって、製造後、塗膜が剥離することがなく、この塗膜を設けた電極を用いた蛍光ランプは、ランプ内において電極からのスパッタの発生を抑制できる。
本発明の電極保護用の塗料およびそれを用いた塗膜の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
「電極保護用の塗料」
本発明の電極保護用の塗料は、金属酸化物と、無機バインダと、溶媒とを含有してなる塗料である。
本発明の電極保護用の塗料は、例えば、蛍光ランプを構成する電極などを保護するために用いられる塗料である。
金属酸化物としては、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、ランタン(La)の群から選択される1種または2種以上の元素を含む無機化合物が好ましい。
この無機化合物の具体例としては、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ランタン(La)、水酸化ランタン(La(OH))などが挙げられる。
無機バインダとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)の群から選択される1種または2種以上の元素を含む有機金属化合物が好ましい。
ケイ素系の有機金属化合物の具体例としては、例えば、ケイ酸メチル(TMOS)、ケイ酸エチル(TEOS)、ジメチルジメトキシシラン(DMDMOS)、ジメチルジエトキシシラン(DMDEOS)、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、メチルトリエトキシシラン(MTES)、テトラメチルシラン(4MS)、ヘキサメチルジシラン(HMDSO)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS(N))、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ビストリエトキシシリルエタン(BTESE)などが挙げられる。
アルミニウム系の有機金属化合物の具体例としては、例えば、トリエトキシアルミニウム、トリ−i−プロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−t−ブトキシアルミニウム、トリス−1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシチタン、トリスジエチルアミノアルミニウム、アルミニウムアセチルアセトン、アルミニウムテトラメチルヘプタンジオン、アルミニウムヘキサフルオロアセチルアセトンなどが挙げられる。
ジルコニウム系の有機金属化合物の具体例としては、例えば、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−i−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−t−ブトキシジルコニウム、テトラキスジエチルアミノジルコニウム、テトラ−1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトン、ジルコニウムテトラメチルヘプタンジオン、ジルコニウムヘキサフルオロアセチルアセトンなどが挙げられる。
この塗料では、金属酸化物と無機バインダの合計の含有率が3質量%以上かつ20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上かつ15質量%以下である。
金属酸化物と無機バインダの合計の含有率が3質量%以上かつ20質量%以下であることが好ましい理由は、3質量%未満では、金属酸化物および無機バインダの電極表面への密着性や結着力が不十分であるからであり、一方、20質量%を超えると、蛍光ランプに一定電流を流し、点灯させるときの電圧が高くなってしまう不具合が生じるからである。
また、この塗料では、金属酸化物と無機バインダとの比率において、無機バインダの比率が1質量%以上かつ25質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以上かつ15質量%以下である。
無機バインダの比率が1質量%未満では、機械的強度、および、耐スパッタリング性や電圧低減効果などの特性の維持が不十分である。一方、無機バインダの比率が20質量%を超えると、機械的強度、および、耐スパッタリング性や電圧低減効果などの特性の維持については十分であるが、バインダ成分は絶縁性を有するため、一定電流を流すのに必要な電圧が増大してしまう不具合が生じる。
この塗料に用いられる溶媒は、基本的には、水および/または低沸点有機溶媒である。
上記の低沸点有機溶媒は、乾燥速度を向上させるために用いられるもので、常圧(1気圧)下で150℃以下の沸点を有する有機溶媒である。この低沸点有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどの低級アルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−1−ブチル、酢酸−2−ブチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)などのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などから選択される1種または2種以上が用いられる。
これらの溶媒の中でも、水、低級アルコール類、ケトン類などが好ましく、特に、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)などが好適に用いられる。
この塗料の乾燥速度を調節するために、高沸点有機溶媒を添加してもよい。
この高沸点有機溶媒は、常圧(1気圧)下で150℃を超える沸点を有する有機溶媒であり、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
また、この塗料は、電極表面への無機バインダの密着性を向上させるために、シランカップリング剤を添加してもよい。
シランカップリング剤の具体例としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
これらのシランカップリング剤の中でも、メルカプト基を含有する、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が、電極表面への無機バインダの密着性を向上させる効果が大きいので好ましい。
この塗料は、用途や仕様に応じて、上記の成分の他に、分散剤、界面活性剤、樹脂などの有機高分子、硼珪酸亜鉛ガラスなどの低融点ガラスなどを含有していてもよい。
この電極保護用の塗料によれば、金属酸化物と、無機バインダと、溶媒とを含有してなるので、蛍光ランプに用いられる電極に対する密着性および機械的強度に優れ、長期に渡って電極に耐スパッタリング性を付与することができる塗膜を形成することができる。
「塗膜およびその製造方法」
本発明の塗膜は、本発明の塗料を用いて形成してなるものである。
本発明の塗膜を製造するには、電極の表面に、本発明の塗料を塗布して塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を大気中にて乾燥または乾燥・熱処理する。
電極の材質としては、特に限定されないが、この塗膜を蛍光ランプの電極に適用する場合には、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)などが好適に用いられる。
また、電極の形状としては特に限定されないが、例えば、カップ状、板状、パイプ状、棒状などが挙げられる。
塗料の塗布に際しては、形成された後の塗膜の膜厚が0.01μm〜10μmとなるような塗布量とすることが好ましく、特に0.05μm〜3μmとなるような塗布量とすることが好ましい。
塗料の塗布方法としては、スピンコート法、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法、ディップコート法、メニスカスコート法、吸上げ塗工法、フローコート法など、通常のウエットコート法を用いることができる。特に、カップ状あるいはパイプ状の電極の内面に塗膜を形成する場合、ディップコート法が好適に用いられる。
次いで、この塗布膜を、乾燥または乾燥・熱処理する。
乾燥条件および熱処理条件は、電極が酸化しない条件であれば特に限定されない。また、乾燥または乾燥・熱処理は、大気雰囲気下、希ガス雰囲気下、窒素雰囲気下、真空、還元雰囲気下などで行われる。
乾燥温度は、塗料に含まれる溶媒、すなわち水および/または低沸点有機溶媒が十分に散逸する温度であればよく、例えば、常温〜100℃である。
この乾燥工程では、塗布膜が十分乾燥すればよく、加熱だけの乾燥でもよく、空気を吹き付けてもよい。具体的には、常温のエアブローでも、熱風を吹き付けてもよい。
熱処理は、例えば、100℃〜800℃の範囲の温度にて、電極に不具合が生じない範囲で所定時間行う。
このようにして本発明の塗膜を得ることができる。
この塗膜の製造方法によれば、電極の表面に、上記の塗料を塗布して塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を乾燥または乾燥・熱処理するので、電極の表面に対する金属酸化物と無機バインダの密着性および結着力が向上し、機械的強度に優れた塗膜を容易に形成することができ、製造後、塗膜が剥離するという不具合を解消できるので、製造コストを削減できる。
このようにして得られた塗膜は、電極の表面に対する金属酸化物と無機バインダの密着性および結着力が向上し、機械的強度に優れている。したがって、製造後、塗膜が剥離することがなく、この塗膜を設けた電極を用いた蛍光ランプは、ランプ内において電極からのスパッタの発生を抑制できる。
「蛍光ランプ」
本発明の塗料を用いて形成した塗膜が設けられた電極を備えた蛍光ランプは、気密に封止された内部空間に少なくとも希ガスと水銀ガスが封入され、その内面に蛍光体層が形成された透光性の封止管と、この封止管の内部空間の両端部に配置され、一端に底面部が、他端に開口部が形成され、この開口部同士が対向するように配置された一対の筒状電極とを備え、この筒状電極の表面に本発明の塗料を用いて形成した塗膜が設けられたランプである。
図1は、本発明の塗料を用いて形成した塗膜が設けられた電極を備えた蛍光ランプの一実施形態を示す概略断面図である。図2は、本発明の塗料を用いて形成した塗膜が設けられた電極極の一例を示す概略断面図である。
図1、2において、符号1は両端が封止されたガラス管からなる透光性の封止管、2は封止管1の内面に形成された電子放射機能を有する保護膜、3は赤色系蛍光体物質、緑色系蛍光体物質および青色系蛍光体物質の混合物からなる蛍光体層、4は封止管1の内部空間の両端部側にそれぞれ設けられた筒状電極(カップ状電極)、5は筒状電極4の内面(放電面)4a全体に本発明の塗料を用いて形成した塗膜、6は筒状電極4に電気的に接続されたリード線を示している。
筒状電極4、4は、一端に底面部4bが形成され、他端に開口部4cが形成されている。また、筒状電極4、4は、その開口部4c、4c同士が対向するように、封止管1の内部空間の両端部に配置されている。
また、Gは封止管1内に封入された封入ガスであり、この封入ガスGは、水銀、およびアルゴンなどのガスや窒素などの不活性ガスにより構成されている。
また、保護膜2は、筒状電極4、4間に高周波高電圧を印加することにより電子放射性物質から電子を放出する機能と、封止管1に含まれている物質とガスGに含まれる水銀とが反応してアマルガムを生成するのを防止する機能とを兼ね備えている膜である。
この蛍光ランプ10を製造するには、封止管1の内面に保護膜形成用塗料を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥または乾燥・熱処理して保護膜2を形成後、保護膜2上に蛍光体層形成用塗料を塗布し、乾燥・熱処理して、蛍光体層3を形成する。次いで、封止管1内に、塗膜5を設けた筒状電極4、4を取り付け、希ガスと水銀を封入して封止管1を封止し、蛍光ランプ10を得る。
この蛍光ランプ10は、筒状電極4に対する塗膜5の密着性に優れ、結果として、ランプ内において筒状電極4からのスパッタの発生を抑制できる。
なお、この実施形態では、筒状電極4の内面(放電面)4a全体に本発明の塗料を用いて形成した塗膜5が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、少なくとも筒状電極の内面(放電面)全体に、本発明の塗料を用いて形成した塗膜が設けられていればよいが、筒状電極の外面全体にその塗膜が設けられていてもよい。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
「実施例1」
(電極への電極保護用の塗料の塗工)
酸化イットリウム(Y)粉末を、分散剤を含む2−プロパノール中にビーズミルを用いて分散させ、その後ビーズを分離し、酸化イットリウムを5.0質量%含む酸化イットリウム分散液を調製した。
次いで、この酸化イットリウム分散液に、テトラメトキシシランを混合し、酸化イットリウムを9.0質量%、テトラメトキシシランを1.0質量%含む電極保護用の塗料を調製した。
次いで、ディップコート法により、筒状のニッケル電極の内面全体に、上記の塗料を、乾燥後の膜厚が0.5μmとなるように塗布し、得られた塗布膜を100℃にて15分間、乾燥させた後、600℃にて30分間、熱処理し、ニッケル電極の内面全体に塗膜を形成した。
(蛍光ランプの作製)
赤色系蛍光体物質、緑色系蛍光体物質および青色系蛍光体物質の混合物と、ニトロセルロースを含む酢酸ノルマルブチルとからなる蛍光体スラリーを調製した。
次いで、蛍光ランプ用のガラス管を用意し、このガラス管の内面に吸い上げ塗工法を用いて上記の蛍光体スラリーを膜厚が3μmになるように塗布し、塗布膜を形成した。
次いで、この塗布膜を大気中、90℃にて5分間、エアブローしながら乾燥させた。
次いで、800℃にて30分間、熱処理し、ガラス管の内面に蛍光体層を形成した。
その後、このガラス管に電極やリード線を取り付けて封止し、実施例1の蛍光ランプを作製した。
「実施例2」
酸化イットリウム分散液に、テトラメトキシシランとメルカプト基含有シランカップリング剤を混合し、酸化イットリウムを9.0質量%、テトラメトキシシランを0.99質量%、メルカプト基含有シランカップリング剤を0.01質量%含む電極保護用の塗料を調製し、この塗料を用いて、筒状のニッケル電極の内面全体に塗膜を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例2の蛍光ランプを作製した。
「実施例3」
酸化イットリウム分散液に、テトラメトキシシランとメルカプト基含有シランカップリング剤を混合し、酸化イットリウムを9.0質量%、テトラメトキシシランを0.95質量%、メルカプト基含有シランカップリング剤を0.05質量%含む電極保護用の塗料を調製し、この塗料を用いて、筒状のニッケル電極の内面全体に塗膜を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例3の蛍光ランプを作製した。
「実施例4」
酸化イットリウム分散液に、テトラメトキシシランとメルカプト基含有シランカップリング剤を混合し、酸化イットリウムを9.0質量%、テトラメトキシシランを0.80質量%、メルカプト基含有シランカップリング剤を0.20質量%含む電極保護用の塗料を調製し、この塗料を用いて、筒状のニッケル電極の内面全体に塗膜を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例4の蛍光ランプを作製した。
「実施例5」
水酸化ランタン(La(OH))粉末を、分散剤を含む2−プロパノール中にビーズミルを用いて分散させ、その後ビーズを分離し、水酸化ランタンを5.0質量%含む水酸化ランタン分散液を調製した。
次いで、この水酸化ランタン分散液に、テトラメトキシシランおよびメルカプト基含有シランカップリング剤を混合し、水酸化ランタンを9.0質量%、テトラメトキシシランを0.95質量%、メルカプト基含有シランカップリング剤を0.05質量%含む電極保護用の塗料を調製した。
この塗料を用いて、筒状のニッケル電極の内面全体に塗膜を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例5の蛍光ランプを作製した。
「実施例6」
酸化アルミニウム(Al)粉末を、分散剤を含む2−プロパノール中にビーズミルを用いて分散させ、その後ビーズを分離し、酸化アルミニウムを5.0質量%含む酸化アルミニウム分散液を調製した。
次いで、この酸化アルミニウム分散液に、テトラメトキシシランおよびメルカプト基含有シランカップリング剤を混合し、酸化アルミニウムを9.0質量%、テトラメトキシシランを0.95質量%、メルカプト基含有シランカップリング剤を0.05質量%含む電極保護用の塗料を調製した。
この塗料を用いて、筒状のニッケル電極の内面全体に塗膜を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例6の蛍光ランプを作製した。
「実施例7」
酸化ジルコニウム(ZrO)粉末を、分散剤を含む2−プロパノール中にビーズミルを用いて分散させ、その後ビーズを分離し、酸化ジルコニウムを5.0質量%含む酸化ジルコニウム分散液を調製した。
次いで、この酸化ジルコニウム分散液に、テトラメトキシシランおよびメルカプト基含有シランカップリング剤を混合し、酸化アルミニウムを9.0質量%、テトラメトキシシランを0.95質量%、メルカプト基含有シランカップリング剤を0.05質量%含む電極保護用の塗料を調製した。
この塗料を用いて、筒状のニッケル電極の内面全体に塗膜を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例7の蛍光ランプを作製した。
「比較例1」
筒状のニッケル電極に塗膜を形成しなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1の蛍光ランプを作製した。
「比較例2」
酸化イットリウム(Y)粉末を、分散剤を含む2−プロパノール中にビーズミルを用いて分散させ、その後ビーズを分離し、水酸化ランタンを9.0質量%含む酸化イットリウム分散液を調製した。
この酸化イットリウム分散液を電極保護用塗料として用いて、筒状のニッケル電極の内面全体に塗膜を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例2の蛍光ランプを作製した。
「蛍光ランプの評価」
実施例1〜7および比較例1、2のそれぞれの蛍光ランプについて、初期電圧、1000時間点灯後の電圧、5000時間点灯後の電圧および電極の耐スパッタリング性の評価を下記の方法により行った。
(評価1)初期電圧
蛍光ランプを作製し、作製直後の蛍光ランプに一定の電流を流して、点灯させ、その時の電圧を測定し、基準値として比較例1の蛍光ランプの電圧を100としたとき、その電圧値を下記の5段階で評価した。
5点:90未満
4点:90以上〜95未満
3点:95以上〜98未満
2点:98以上〜102未満
1点:102以上
実施例1〜7および比較例1、2の結果を表1に示す。
(評価2)1000時間点灯後の電圧
蛍光ランプを作製し、この蛍光ランプに一定の電流を流して、1000時間連続点灯させた後の電圧を測定し、基準値として比較例1の蛍光ランプの電圧を100としたとき、その電圧値を下記の5段階で評価した。
5点:90未満
4点:90以上〜95未満
3点:95以上〜98未満
2点:98以上〜102未満
1点:102以上
実施例1〜7および比較例1、2の結果を表1に示す。
(評価3)5000時間点灯後の電圧
蛍光ランプを作製し、この蛍光ランプに一定の電流を流して、5000時間連続点灯させた後の電圧を測定し、基準値として比較例1の蛍光ランプの電圧を100としたとき、その電圧値を下記の5段階で評価した。
5点:90未満
4点:90以上〜95未満
3点:95以上〜98未満
2点:98以上〜102未満
1点:102以上
実施例1〜7および比較例1、2の結果を表1に示す。
(評価4)電極の耐スパッタリング性(初期)
蛍光ランプを作製して、作製直後の蛍光ランプを点灯し、ニッケル電極のスパッタ量を目視にて観察した。比較例1の未処理のニッケル電極を基準として、スパッタ量を相対比較し、スパッタ量の少ない順に、◎、○、△、×と評価した。なお、比較例1の未処理のニッケル電極は、耐スパッタリング性が良好でないため△とした。
実施例1〜7および比較例1、2の結果を表1に示す。
(評価5)電極の耐スパッタリング性(1000時間後)
蛍光ランプを作製し、この蛍光ランプを1000時間連続点灯した後、ニッケル電極のスパッタ量を目視にて観察した。比較例1の未処理のニッケル電極を基準として、スパッタ量を相対比較し、スパッタ量の少ない順に、◎、○、△、×と評価した。なお、比較例1の未処理のニッケル電極は、耐スパッタリング性が良好でないため△とした。
実施例1〜7および比較例1、2の結果を表1に示す。
(評価6)電極の耐スパッタリング性(5000時間後)
蛍光ランプを作製し、この蛍光ランプを5000時間連続点灯した後、ニッケル電極のスパッタ量を目視にて観察した。比較例1の未処理のニッケル電極を基準として、スパッタ量を相対比較し、スパッタ量の少ない順に、◎、○、△、×と評価した。なお、比較例1の未処理のニッケル電極は、耐スパッタリング性が良好でないため△とした。
実施例1〜7および比較例1、2の結果を表1に示す。
Figure 2010009828
表1の結果から、実施例1〜7の蛍光ランプは、5000時間後も耐スパッタリング性に優れていることから、電極の表面に設けた塗膜は、電極に対する密着性に優れることが分かった。さらに、一定電流を流すのに必要な電圧を低減できることが判明し、5000時間後も初期時と同程度の電圧低減効果が維持されていることが分かった。この結果より、本発明の塗膜を設けた電極を用いた蛍光ランプは、省エネルギー効果があることが判明した。
本発明の塗料を用いて形成した塗膜が設けられた電極を備えた蛍光ランプの一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の塗料を用いて形成した塗膜が設けられた電極の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 封止管
2 保護膜
3 蛍光体層
4 電極
5 塗膜
6 リード線
10 蛍光ランプ

Claims (5)

  1. 金属酸化物と、無機バインダと、溶媒とを含有してなることを特徴とする電極保護用の塗料。
  2. 前記金属酸化物は、アルミニウム、ジルコニウム、イットリウム、ランタンの群から選択される1種または2種以上の元素を含む無機化合物であることを特徴とする請求項1に記載の塗料。
  3. 前記無機バインダは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムの群から選択される1種または2種以上の元素を含む有機金属化合物であることを特徴とする請求項2に記載の塗料。
  4. さらに、シランカップリング剤を含んでなることを特徴とする請求項3に記載の塗料。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の塗料を用いて形成してなることを特徴とする塗膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011219344A (ja) * 2010-03-26 2011-11-04 Fujifilm Corp 金属水酸化物微粒子の製造方法

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