JP2008150290A - チタン系複合酸化物粉末 - Google Patents

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Abstract

【課題】 誘電特性に優れ、しかも微細なチタン系複合酸化物粉末を提供する。
【解決手段】 広域X線吸収端微細構造分析法を用いて決定したTi─Oの結合状態として、アナターゼ型結合の含有率Aとルチル型結合の含有率Rの比率A/Rが2.2以下である四塩化チタン水溶液を、シュウ酸塩法によるチタン系複合酸化物の粉末製造における原料溶液に使用する。結晶型が誘電特性に優れた正方晶であり、且つ平均粒径が0.2μm以下であるチタン系複合酸化物粉末が製造される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子部品用セラミックス材料として用いられるチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムなどのチタン系複合酸化物粉末、特に結晶型が正方晶のチタン系複合酸化物粉末に関する。
近年、電気回路に用いられるセラミックス素子の小型化、高機能化が高度に進められており、これに伴って微細かつ高純度で組成の均一な、複合酸化物からなる原料粉末が要求されている。このため、複合酸化物粉末の製造方法として、粉末を混合して高温で反応させる固相反応法から、微細化、高純度化及び組成の均一化が容易なシュウ酸塩法への転換が図られている。
固相反応法は、各原料粉末を混合した後、1000℃以上の高温で反応させ、得られた反応物を機械的に粉砕する方法である。例えばチタン酸バリウムの場合、炭酸バリウム粉末と二酸化チタン粉末が使用される。そのプロセスからして、粒子の微細化や高純度化、組成の均一化には限界がある。
一方、シュウ酸塩法は、各原料溶液を混合し、シュウ酸溶液と混合して均一な沈殿物を析出させ、これを濾過し洗浄した後、得られた混合シュウ酸塩を一般的には大気中で700℃以上の温度で熱分解(転位)し、更に熱処理を行うことにより、目的とする正方晶チタン系複合酸化物粉末を得る方法である。例えばチタン酸バリウムの場合は、塩化バリウム水溶液、四塩化チタン水溶液、シュウ酸水溶液が使用される。この方法は液相反応であるので、均一な組成の沈殿物を得ることができ、固相反応法に比較して粒子の微細化や高純度化、組成の均一化を図ることができる。
液相反応法としては、シュウ酸塩法の他に、水熱法、加水分解法、共沈法などかある。これらの方法でチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムなどのチタン系複合酸化物からなる微細粉末が製造される。これらの場合、チタン源となる原料溶液としては四塩化チタン水溶液が使用される。そして、この四塩化チタン水溶液は以下のようにして製造される。
四塩化チタン水溶液は、基本的に四塩化チタンを水と接触させることにより製造される。しかし、四塩化チタンの反応性が高いために、水溶液の製造は容易でない。四塩化チタン水溶液の製造における問題点の一つは白濁である。四塩化チタンを水と接触させることによる激しい反応熱により水温が上昇し、その結果、四塩化チタンの加水分解によって生じる酸化チタンの水和物などの析出物による白濁が発生し、水溶液の品質が低下してしまうのである。
この問題を解決し、合わせて生産性を上げるために、特開2002−29746号公報及び特開2002−29747号公報に記載されるような連続式の四塩化チタン水溶液製造方法が有効とされている。
連続式とは、溶媒を循環させながら、この溶媒に水や四塩化チタンを添加して、四塩化チタン水溶液を連続的に製造する方法である。循環による液攪拌により溶媒の温度及び組成が均一化し、非循環式により高能率とされている。そして、特開2002−29746号公報及び特開2002−29747号公報に記載された四塩化チタン水溶液の製造方法では、溶媒としての四塩化チタン水溶液が製造槽に循環され、製造槽で四塩化チタン水溶液に四塩化チタン及び水を同時添加することにより、四塩化チタン水溶液が製造される。
このような方法を用いて製造された四塩化チタン水溶液を、シュウ酸塩法によるチタン系複合酸化物の粉末製造に用いた場合、前述したとおり、目的とする粉末を得るためには、700℃程度の比較的高温の熱処理による熱分解(転位)が必要である。また、最終的に得られる正方晶の粉末粒径は、その後の熱処理での粒成長のために最小でも0.5μm程度である。例えば、特開平2002−53320号公報には、粉砕性が良好であり、粒子が均一で電気特性が優れたチタン酸バリウムを、シュウ酸塩法により製造する方法が記載されているが、得られた粒径は0.52〜0.88μmである。
他の液相反応法においても、正方晶の最小粉末粒径は0.5μm程度である。このようなことから、シュウ酸塩法においては熱分解温度の低温化、その後の熱処理温度の低温化、正方晶チタン系複合酸化物の微細化が求められている。他の液相反応法においても、得られる正方晶チタン系複合酸化物の微細化が求められている。
正方晶チタン系複合酸化物の微細化については、チタン酸バリウムの平均粒径と結晶型の関係が「Jounal of American Ceramic Society Vol.11 P3426 (1990) Table III」に示されている。これによると、平均粒径が75nm、140nm、220nmの場合は立方晶であり、平均粒径が250nm(0.25μm)の場合は正方晶である。
このように、チタン系複合酸化物の一つであるチタン酸バリウムにおいては、誘電特性が良好な正方晶を示す最小粒径は0.2μm程度であり、それ以下の粒径では立方晶となり、強誘電性が大幅に低下する現象が見られる。その理由については、立方晶では粒径が微細になれば比表面積が増大し、Ba/Ti比のズレの影響が顕著に現れ、強誘電性の低下を招くと考えられている。このようなことから、粒径が0.2μm以下の正方晶チタン酸バリウムが求められている。また、他の正方晶チタン系複合酸化物についても、粒径が0.2μm以下のものが求められている。
本発明の目的は、結晶型が正方晶でありながら、平均粒径が小さいチタン系複合酸化物粉末を提供することにある。
本発明者らは、四塩化チタン水溶液の新しい製造方法として、溶媒としての四塩化チタン水溶液を製造槽に循環させ、製造槽の上流側の配管で四塩化チタンを添加すると共に、製造槽内の溶媒の液面に水を噴霧して添加する連続式の製造方法を開発した。この新連続法の本来の目的は、製造速度を上げた場合の製造槽での白濁を防止することによる製造速度の引き上げにある。しかるに、この新連続法で製造された四塩化チタン水溶液をシュウ酸塩法によるチタン系複合酸化物の粉末製造に用いたところ、従来より熱分解(転位)の温度が低下する傾向のあること、及び正方晶のまま平均粒径が0.2μm以下に微細化されることが判明した。
そして、この知見事実を背景として、新連続法で製造された四塩化チタン水溶液の構造上の相違点、とりわけ熱分解温度の低下に影響する構造的因子を調査したところ、広域X線吸収端微細構造分析法を用いて決定したTi─Oの結合状態としての、アナターゼ型結合の含有率Aとルチル型結合の含有率Rの比率A/Rが、シュウ酸塩法によるチタン系複合酸化物の粉末製造での熱分解温度に影響していること、及びその比率A/Rは製造槽に噴霧する水滴の細かさによってコントロールできることが判明した。
本発明はかかる知見に基づいて開発されたものであり、そのチタン系複合酸化物粉末は、結晶型が正方晶であり、且つ平均粒径が0.2μm以下であるものであり、好ましくはシュウ酸塩法、より具体的には、広域X線吸収端微細構造分析法を用いて決定したTi─Oの結合状態としての、アナターゼ型結合の含有率Aとルチル型結合の含有率Rの比率A/Rが2.2以下である四塩化チタン水溶液を原料溶液(チタン源)に用いるシュウ酸塩法により製造される。
前記比率A/Rが2.2を超えると、シュウ酸塩法によるチタン系複合酸化物の粉末製造での熱分解温度が700℃未満に低下しない。また、最終的に得られる正方晶の粉末粒径は、熱分解処理での粒成長のために平均で0.5μm未満にならない。特に好ましい比率A/Rは1.5以下であり、これにより前記熱分解温度は660℃以下になり、また最終的に得られる正方晶の粉末粒径は平均で0.2μm以下になる。
本発明のチタン系複合酸化物粉末は、結晶型が正方晶であるため誘電特性に優れると共に、平均粒径が0.2μm以下と微細であるので、電気回路に用いられるセラミックス素子の小型化、高機能化に寄与し、シュウ酸塩法により低い熱分解温度で製造されるので経済性にも優れる。
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
一般的に、四塩化チタン水溶液は、水の含有量により形態は異なるものの、一応は安定なオルトチタン酸の塩酸水溶液と考えられている。この水溶液の物理的構造を特定する指標の一つとしてTiの結合状態があり、この結合状態は、広域X線吸収端微細構造分析法を用いて知ることができる。
即ち、四塩化チタン水溶液におけるTi元素の結合状態は、Ti−O(アナターゼ型)、Ti−O(ルチル型)及びTi−Clの3種類である。ここでTi−O結合、即ちアナターゼ型結合とルチル型結合の比率に注目すると、従来の四塩化チタン水溶液では、アナターゼ型結合のTi−Oが概ね過半であり、ルチル型結合のTi−Oが1/4以下であることから、広域X線吸収端微細構造分析法を用いて決定したアナターゼ型結合の含有率Aとルチル型結合の含有率Rの比率A/Rが2.2以下になることはない。
図1は広域X線吸収端微細構造分析法の原理図である。広域X線吸収端微細構造分析法とは、X線のエネルギーを連続的に変化させ、試料の吸収スペクトルの測定を行う方法の一つである。一般的にエネルギーがある値を超えたところで急激に吸収が強くなる。このエネルギー値は吸収端と呼ばれ、元素ごとに決まっている。吸収端を超えた後の吸収スペクトルには微細構造(吸収係数の振動)が表れる。吸収端から数十eVぐらいまでの領域の吸収端近傍の微細構造をXANESと呼び、それ以降の広い領域の微細構造をEXAFS(広域X線吸収微細構造)と呼んでいる。EXAFSスペクトルから振動成分を抽出してフーリエ変換を行うことにより、試料中の特定元素周辺のオングストロームオーダーの局所構造、つまり隣接原子の種類、距離、配位数などの構造情報が得られる。
図2は、四塩化チタン水溶液におけるEXAFS(広域X線吸収微細構造)のフリーエ変換後のスペクトル図である。横軸はTiからの配位距離、縦軸は配位個数である。Ti−O(アナターゼ型)、Ti−O(ルチル型)、Ti−Ti(金属チタン)の結果も重ねて示している。
1.8オングストロームの大きなピークはTi−OとTi−Clが重なったものである。2.5オングストローム付近のピークはルチル、2.8オングストローム付近のピークはアナターゼに対応するピークと考えられる。2.5オングストローム付近のピークはTi−Ti結合と見ることもできるが、水溶液中に存在することは考えにくく、ルチルと見るのが妥当である。そのアナターゼ、ルチルはクラスターを形成し、一つのイオンのようになっていると考えられる。これらのピークについてカーブフィッティングを行うことにより、アナターゼ型結合とルチル型結合の含有比(A/R)を求めることができる。図2から求められる試料(四塩化チタン水溶液)におけるアナターゼ型結合の含有比Aは40%、ルチル型結合の含有比Rは30%であり、両者の比率A/Rは約1.3である。
本発明のチタン系複合酸化物粉末の製造に製造原料として使用される四塩化チタン水溶液は、このようにして測定されるアナターゼ型結合とルチル型結合の含有比(A/R)が2.2以下のTi元素結合状態をもつものである。このような四塩化チタン水溶液は、シュウ酸塩法によるチタン系複合酸化物の粉末製造にチタン源の原料溶液として用いて、目的物質への熱分解温度の引き下げ、及び製造される正方晶チタン系複合酸化物の粉末粒径の微細化を可能にする。
図3は目的物質への熱分解温度の測定法の説明図であり、示差熱分析装置の出力図である。示差熱分析装置により被測定物質を加熱していったときのTGA(熱重量分析)及びDTA(示差熱分析)が調査される。TGAとDTAを合わせてTG−DTA(示差熱重量分析)という。目的物質への熱分解温度(転位温度)は、重量減少に伴う吸熱ピークの頂点温度として求めることができる。
図4は、本発明のチタン系複合酸化物粉末の製造に製造原料として使用される四塩化チタン水溶液を製造するのに適したシステムの構成図である。このシステムでは、製造槽2内に収容された四塩化チタン水溶液からなる溶媒1が、ポンプ3により槽底部から抜き出され、冷却器4を経て槽頂部から製造槽2に戻されることにより、製造槽2に溶媒1が循環する。溶媒1は、予め製造された、製品と同等濃度の四塩化チタン水溶液である。
製造槽2内には、槽内の溶媒1に水を添加するために散水器5が設けられている。散水器5は、水平なヘッダー管に取付けられた複数のコーン型噴霧ノズルから槽内の溶媒1の液面の広い範囲、望ましくは液面のほぼ全体(具体的には50%以上)に純水を散布する。一方、製造槽2の上流側の配管では、その配管を流通する溶媒1に図示されないノズルを介して四塩化チタンが注入される。他方、ポンプ3の下流側(冷却器4との間)からは、系内を循環する溶媒1の一部が製品として逐次系外へ抜き出される。
四塩化チタンの注入箇所は、配管途中でも製造槽2でもよいが、注入に伴う四塩化チタン水溶液の白濁を防止する点からは配管途中が好ましく、四塩化チタン注入に伴う液温上昇を考慮すると、冷却器4から製造槽2までの配管途中、即ち製造槽2の上流側配管が特に好ましい。
目標とする製品濃度を得るために、水及び四塩化チタンの添加量は、製品の濃度に応じた比率及び製品の製造速度に応じた流量に設定される。
このようなシステムにおいて、製造槽2内の散水器5に装備されたコーン型噴霧ノズルのノズル径(噴霧粒径)を変更するすることにより、製造される四塩化チタン水溶液でのアナターゼ型結合とルチル型結合の含有比(A/R)が調節される。具体的には、ノズル径を小さくし、噴霧粒径を細かくするほど、含有比(A/R)が下がり、シュウ酸塩法によるチタン系複合酸化物の粉末製造における原料溶液として好ましい傾向となる。
製造される四塩化チタン水溶液の濃度は特に限定はないが、取り扱い上、Ti分として7〜17wt%が好ましい。
次に、本発明の実施例を示し、比較例及び従来例と対比することにより、本発明の効果を明らかにする。
(実施例1)
図4に示すシステムにおいて、Ti分9.3wt%、Cl分27.3wt%、重量1.7トンの四塩化チタン水溶液を溶媒として循環させた。製造槽の上流側で循環流に四塩化チタン2.5リットル/分を添加すると共に、製造槽内の液面に水8.4リットル/分を噴霧供給した。噴霧に使用したコーン型ノズルのノズル径は3mmとした。数時間の運転により、6000kgの四塩化チタン水溶液が得られた。得られた四塩化チタン水溶液に白濁はなく、組成はTi分9.3wt%、Cl分27.4wt%であった。
この四塩化チタン水溶液を前記分析法により構造分析してアナターゼ型結合とルチル型結合の含有比(A/R)を調査した。その含有比(A/R)は1.1であった。構造分析には下記の装置を使用した。
測定施設:文部科学省高エネルギー加速器研究機構放射光研究施設
実験ステーション:BL12C
モノクロメーター:Si(111)二結晶モノクロメーター
ミラー:湾曲集光ミラー
測定吸収端:Ti−K吸収端
測定モード:蛍光法
製造された四塩化チタン水溶液を使用し、シュウ酸塩法によりシュウ酸バリウムチタニル粉末を経由して、チタン酸バリウム粉末を製造した。
即ち、塩化バリウム・2水和物27.2gを水200mlに溶解し、これに先の四塩化チタン水溶液57.3gを混合し攪拌して均一溶液とした。またシュウ酸・2水和物28.1gを水200mlに混合して40℃にて加熱溶解した。この溶液に先の塩化バリウムと四塩化チタンの均一混合溶液を攪拌しつつ添加し、60℃で2時間保持し、シュウ酸バリウムチタニルの沈殿物を得た。この沈殿物を濾過し、濾過液が中性を示すまで水洗を繰り返した。その後、100℃で15時間乾燥し、シュウ酸バリウムチタニル粉末45gを得た。
得られたシュウ酸バリウムチタニル粉末に前述した示差熱分析を実施したところ、650℃にチタン酸バリウムへの転位を示すピークが観察された。使用した示差熱分析装置はマックサイエンス社製TG─DTA2000である。また、得られたチタン酸バリウム粉末の粒径を走査型電子顕微鏡で測定したところ平均0.1μmであった。また、その結晶型は正方晶であった。
(実施例2)
噴霧に使用したコーン型ノズルのノズル径を5mmにした以外は実施例1と同じ条件で四塩化チタン水溶液を製造した。アナターゼ型結合とルチル型結合の含有比(A/R)は1.3であった。
製造された四塩化チタン水溶液を使用し、シュウ酸塩法によりシュウ酸ストロンチウムチタニル粉末を経由して、チタン酸ストロンチウム粉末を製造した。
即ち、塩化ストロンチウム・2水和物33.4gを水200mlに溶解し、これに先の四塩化チタン水溶液57.3gを混合し攪拌して均一溶液とした。またシュウ酸・2水和物28.1gを水200mlに混合して40℃にて加熱溶解した。この溶液に先の塩化ストロンチウムと四塩化チタンの均一混合溶液を攪拌しつつ添加し、60℃で2時間保持し、シュウ酸ストロンチウムチタニルの沈殿物を得た。この沈殿物を濾過し、濾過液が中性を示すまで水洗を繰り返した。その後、100℃で15時間乾燥し、シュウ酸ストロンチウムチタニル粉末45gを得た。
得られたシュウ酸ストロンチウムチタニル粉末に前述した示差熱分析を実施したところ、660℃にチタン酸ストロンチウムへの転位を示すピークが観察された。また、得られたチタン酸ストロンチウム粉末の粒径を走査型電子顕微鏡で測定したところ平均0.2μmであった。結晶型は正方晶であった。
(実施例3)
噴霧に使用したコーン型ノズルのノズル径を7mmにした以外は実施例1と同じ条件で四塩化チタン水溶液を製造した。アナターゼ型結合とルチル型結合の含有比(A/R)は2.0であった。
製造された四塩化チタン水溶液を使用し、シュウ酸塩法によりシュウ酸カルシウムチタニル粉末を経由して、チタン酸カルシウム粉末を製造した。
即ち、塩化カルシウム・2水和物20.9gを水200mlに溶解し、これに先の四塩化チタン水溶液57.3gを混合し攪拌して均一溶液とした。またシュウ酸・2水和物28.1gを水200mlに混合して40℃にて加熱溶解した。この溶液に先の塩化カルシウムと四塩化チタンの均一混合溶液を攪拌しつつ添加し、60℃で2時間保持し、シュウ酸カルシウムチタニルの沈殿物を得た。この沈殿物を濾過し、濾過液が中性を示すまで水洗を繰り返した。その後、100℃で15時間乾燥し、シュウ酸カルシウムチタニル粉末45gを得た。
得られたシュウ酸カルシウムチタニル粉末に前述した示差熱分析を実施したところ、670℃にチタン酸カルシウムへの転位を示すピークが観察された。また、得られたチタン酸カルシウム粉末の粒径を走査型電子顕微鏡で測定したところ平均0.2μmであった。結晶型は正方晶であった。
(実施例4)
噴霧に使用したコーン型ノズルのノズル径を10mmにした以外は実施例1と同じ条件で四塩化チタン水溶液を製造した。アナターゼ型結合とルチル型結合の含有比(A/R)は2.2であった。
製造された四塩化チタン水溶液を使用し、実施例1と同じシュウ酸塩法により、シュウ酸バリウムチタニル粉末を経由して、チタン酸バリウム粉末を製造した。得られたシュウ酸バリウムチタニル粉末に示差熱分析を実施したところ、670℃にチタン酸バリウムへの転位を示すピークが観察された。また、得られたチタン酸バリウム粉末の粒径を走査型電子顕微鏡で測定したところ平均0.2μmであった。結晶型は正方晶であった。
(実施例5)
実施例1と同じ条件で得られた四塩化チタン水溶液を使用し、水熱法によりチタン酸バリウムを製造した。
即ち、塩化バリウム・2水和物104.6gを水200mlに溶解し、これに先の四塩化チタン水溶液220.8gを混合攪拌して均一溶液とし、更にこの混合液と水酸化カリウム150.0gを水400mlに溶解した水溶液とを混合し攪拌した。この全量をオートクレーブにて150℃で3時間反応させた。反応圧力は自生圧で15kg/cm2 であった。得られた沈殿生成物の濾過水洗を濾液が中性を示すまで繰り返した。その後、100℃で15時間乾燥し、48.0gの粉末を得た。本条件の水熱法では後の熱処理なしでも結晶性のチタン酸バリウムが得られた。粒径を走査型電子顕微鏡で測定したところ平均0.1μmであった。結晶型は正方晶であった。
(比較例)
噴霧に使用したコーン型ノズルのノズル径を15mmにした以外は実施例1と同じ条件で四塩化チタン水溶液を製造した。アナターゼ型結合とルチル型結合の含有比(A/R)は2.4であった。
製造された四塩化チタン水溶液を使用し、実施例1と同じシュウ酸塩法により、シュウ酸バリウムチタニル粉末を経由して、チタン酸バリウム粉末を製造した。得られたシュウ酸バリウムチタニル粉末に示差熱分析を実施したところ、730℃にチタン酸バリウムへの転位を示すピークが観察された。また、得られたチタン酸バリウム粉末の粒径を走査型電子顕微鏡で測定したところ平均0.5μmであった。
(従来例)
市販の四塩化チタン水溶液におけるアナターゼ型結合とルチル型結合の含有比(A/R)を調査した。2.5であった。
この市販の四塩化チタン水溶液を使用し、実施例1と同じシュウ酸塩法により、シュウ酸バリウムチタニル粉末を経由して、チタン酸バリウム粉末を製造した。得られたシュウ酸バリウムチタニル粉末に示差熱分析を実施したところ、750℃にチタン酸バリウムへの転位を示すピークが観察された。また、得られたチタン酸バリウム粉末の粒径を走査型電子顕微鏡で測定したところ平均0.7μmであった。結晶型は正方晶であった。
広域X線吸収端微細構造分析法の原理図である。 四塩化チタン水溶液におけるEXAFS(広域X線吸収微細構造)のフリーエ変換後のスペクトル図である。 目的物質への熱分解温度の測定法の説明図であり、示差熱分析装置の出力図である。 本発明のチタン系複合酸化物粉末の製造に製造原料として使用される四塩化チタン水溶液を製造するのに適したシステム構成図である。
符号の説明
1 溶媒
2 製造槽
3 ポンプ
4 冷却器
5 散水器

Claims (2)

  1. 結晶型が正方晶であり、且つ平均粒径が0.2μm以下であるチタン系複合酸化物粉末。
  2. シュウ酸塩法により製造された請求項1に記載のチタン系複合酸化物粉末。
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