JP2008145659A - エンジン音再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 エンジンルーム内で収音した車両のエンジン音をリアルさを損なうことなく他の車両のエンジン音に変換して再生することを可能する。
【解決手段】 車両のエンジンルーム内で収音されたエンジン音を示すエンジン音信号を生成するエンジン音信号生成手段と、そのエンジン音信号にエンジンの回転数およびアクセルペダルの操作速度に応じた歪みを付与して出力する手段であって、エンジン音信号生成により生成されたエンジン音信号を2分流し、アクセルペダルの操作速度が遅い程歪みの度合いが大きい非線形歪みをその一方に付与し、歪みを付与したエンジン音信号の比率をエンジン回転数が大きいほど大きくして他方のエンジン音信号と加算して出力するディストーション手段と、ディストーション手段から出力されるエンジン音信号を受け取り、そのエンジン音信号に応じた音を再生するスピーカとを具備することを特徴とするエンジン音再生装置を提供する。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1では、エンジンの点火タイミングに同期して正弦波信号を生成し、排気音特有の低周波成分音として再生することが提案されている。また、特許文献2では、エンジン回転数に比例する稼動状態出力信号に対応した音声データをメモリ部から読み出して再生することにより、エンジン回転数に対応するエンジン音を再生することが提案されている。
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、エンジンルーム内で収音した車両のエンジン音をリアルさを損なうことなく他の車両のエンジン音に変換して再生する技術を提供することを目的としている。
以下、本実施形態に係るエンジン音再生装置の構成について詳細に説明する。
図1に示すように、ミキサ130により生成されたエンジン音信号XLは2分流され、その一方はディストーション部140に、他方は左チャネル歪み設定部170Lに与えられる。同様に、エンジン音信号XRも2分流され、一方はディストーション部140に、他方は右チャネル歪み設定部170Rに与えられる。
詳細については後述するが、アクセル操作速度Vが第1の閾値V1以下の低速であれば、図2のグラフG01に示す4次関数で示される入出力特性がアンプ141Lおよび141Rに設定される。また、アクセル操作速度Vが、V1よりも大きな第2の閾値V2と等しい中速である場合には、図2のグラフG02に示す3次関数で示される入出力特性がアンプ141Lおよび141Rに設定される。そして、アクセル操作速度VがV2よりも大きい第3の閾値V3以上の高速であれば、図2のグラフG03に示す線形の入出力特性がアンプ141Lおよび141Rに設定される。
また、アクセル操作速度VがV1より大きくかつV2未満である場合には、図2のグラフG01とグラフG02とを用いて得られる補間曲線で示される入出力特性がアンプ141Lおよび141Rに設定され、アクセル操作速度VがV2より大きくかつV3未満である場合には、図2のグラフG02とグラフG03とを用いて得られる補間曲線で示される入出力特性がアンプ141Lおよび141Rに設定される。
このように、本実施形態では、アクセル操作速度が遅いほど非線形の度合いが大きい入出力特性がアンプ141Lおよび141Rに設定される。
次いで、左チャネル歪み設定部170Lの構成および機能について詳細に説明する。なお、右チャネル歪み設定部170Rの構成および機能は、左チャネル歪み設定部170Lの構成および機能と同一であるため説明を省略する。
左チャネル歪み設定部170Lは、図1に示すように、記憶部171と補間演算部172とを含んでいる。記憶部171は、例えばEEPROM(Electronically Erasable and
Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリであり、前述した3種類の閾値に対応付けて、各閾値に対応する入出力特性(図2に示す4次、3次および1次の入出力特性)の各々を示す入出力特性テーブル(以下、「TBL」と表記、図1においても同じ)01、02および03を格納している。例えば、閾値V1に対応する入出力特性TBL01には、−1.0から1.0までの所定刻み(例えば、0.01刻み)の各入力値に対応付けて図2の入出力特性グラフG01に示す出力値が格納されている。同様に、閾値V2に対応する入出力特性TBL02には、上記各入力値に対応付けて図2の入出力特性グラフG02に示す出力値が格納されており、閾値V3に対応する入出力特性TBL03には、上記各入力値に対応付けて図2の入出力特性グラフG03に示す出力値が格納されている。また、記憶部171には、アンプ141Lの増幅率を上記各入出力特性TBLの格納内容およびアクセル操作速度Vに応じて設定する処理を補間演算部172に実行させる制御プログラムが記憶されている。なお、上記各入出力特性TBLの格納内容およびアクセル操作速度についての3種類の閾値については、エンジン音の再生対象である車両にてアクセル操作速度とエンジン音に生じる歪みとの対応関係を実測して定めるようにすれば良い。
Access Memory)などの不揮発性メモリをワークエリアとして上記制御プログラムを実行する。上記制御プログラムにしたがって作動している補間演算部172は、以下の処理を実行する。
一方、ステップaにて2つの入出力特性TBLが選択されている場合、例えば、入出力特性TBL01と入出力特性TBL02がステップaにて選択された場合には、以下の数(1)にしたがって出力値を算出する。
出力値=
{ (V2−V)×入出力TBL01から読み出した出力値
+(V−V1)×入出力TBL02から読み出した出力値}/(V2−V1)
・・・(1)
なお、エンジン音信号XLの信号レベルに該当する入力値が上記各入出力特性テーブルに格納されていない場合には、線形補間などの適当な補間処理を行ってその出力値を算出した後に上記数(1)に示す演算を行うようにすれば良い。
以上に説明したステップaからステップcまでの処理を補間演算部172が実行することによって、アクセル操作速度Vの値に応じた入出力特性がアンプ141Lおよび141Rに設定されることになる。
バランス制御部180は、エンジン回転数Nを表す運転情報をECU200から受け取り、そのエンジン回転数が高いほど歪みが付与されたエンジン音信号の加算比率が高くなるようにアンプ143Lおよび144Lと、アンプ143Rおよび144Rの増幅率を設定する。
より詳細に説明すると、バランス制御部180は、例えばCPU、不揮発性メモリおよび揮発性メモリ(図1では何れも図示省略)を含んでいる。不揮発性メモリには、図3のグラフG04に示すエンジン回転数と増幅率rの対応関係を示すバランス管理テーブルと、このバランス管理テーブルの格納内容とECU200から引き渡される運転情報とにしたがって、上記各アンプに増幅率を設定する処理を上記CPUに実行させる制御プログラムが予め記憶されている。上記CPUは上記揮発性メモリをワークエリアとして上記制御プログラムを実行することにより、上記運転情報の示すエンジン回転数NとグラフG04から定まる値rをアンプ143Lおよび143Rの増幅率としてそれらアンプに設定するとともに、アンプ144Lおよび144Rの増幅率として1−rをそれらアンプに設定する処理を実行する。その結果、アンプ143Lおよび143Rの増幅率とエンジン回転数とは図3のグラフG04に示す対応関係を満たし、アンプ144Lおよび144Rの増幅率とエンジン回転数とは図3に示すグラフG05の対応関係を満たすことになる。
以上が本実施形態に係るエンジン音再生装置の構成である。
次いで、本実施形態に係るエンジン音再生装置が行う動作について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すエンジン音再生装置が搭載されている車両においては、その走行中のエンジン音がマイク110aおよび110bにより収音され、それらマイクの出力信号に応じたエンジン音信号XLおよびXRがミキサ130により生成されディストーション部140に引き渡される。ディストーション部140に引き渡されたエンジン音信号XLおよびXRには、運転者のアクセル操作速度Vおよびそのアクセル操作が為された時点のエンジン回転数Nに応じた歪みが付与される。以下、アクセル操作速度VがV1以下である場合、VがV1より大きくかつV2未満である場合、VがV2に等しい場合、VがV2より大きくV3より小さい場合、VがV3以上である場合の各々についてそのアクセル操作を行った時点のエンジン回転数Nが、第1の閾値N1未満である場合、N1以上かつN2未満である場合およびN2以上である場合に上記車両の車室内に再生されるエンジン音について説明する。
これに対して、エンジン回転数NがN1以上かつN2未満の値である状態では、バランス制御部180は上記rの値をエンジン回転数の増加に伴って増加させるため、係る状態でアクセル操作が為された場合には、上記rの値に応じた割合で4次の非線形歪みを含むエンジン音が上記車室内に再生されることになる。
そして、エンジン回転数Nが更に増加しN2以上の値となった状態では、バランス制御部180は上記rの値を“1”にセットするため、係る状態でアクセル操作が為されると4次の非線形歪みを最大限に含むエンジン音が上記車室内に再生されることになる。
以上が、アクセル操作速度VがV1以下である場合の動作である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、係る実施形態に以下に述べる変形を加えても良いことは勿論である。
(1)上述した実施形態では、アクセル操作速度に応じた種類の歪みをエンジン回転数Nに応じた度合いで付与することによって、他の車種のエンジン音を車両の運転状況に応じてリアルに再生する場合について説明した。しかしながら、アクセル操作速度の変化量に応じた種類の歪みをエンジン回転数の変化量に応じた度合いで付与するようにしても良い。具体的には、図5に示すように、ECU200から出力される運転情報の表すアクセル操作速度の差分を算出する差分算出部310aとその出力結果を積和して上記アクセル操作速度の変化量を検出するエンベロープ部320aを設け、アクセル操作速度に代えてその変化量を左チャネル歪み設定部170Lおよび右チャネル歪み設定部170Rに与え、その変化量に応じて入出力特性テーブルを選択させるようにすれば良い。同様に、ECU200から出力される運転情報の表すエンジン回転数の差分を算出する差分算出部310cとその出力結果を積和して上記エンジン回転数の変化量を検出するエンベロープ部320cを設け、エンジン回転数に代えてその変化量をバランス制御部180に与え、その変化量に応じてアンプ143L、143R、144Lおよび144Rの増幅率を設定させるようにすれば良い。
また、上述した実施形態では、エンジン音再生装置が搭載されている車両とは車種が異なる1の車両のエンジン特性を表す入出力特性テーブルを記憶部171に格納しておくとともに、そのエンジン特性に応じたエンジン回転数―歪み割合を表すバランス管理テーブルをバランス制御部180の不揮発性メモリに格納しておく場合について説明した。しかしながら、エンジン音再生装置が搭載されている車両とは車種が異なる複数の車両の各々を示す識別子に対応付けてその車両のエンジン特性を表す入出力特性テーブルを記憶部171に格納しておくとともに、それら識別子の各々に対応付けてその識別子で示される車両のエンジン特性に応じたエンジン回転数―歪み割合を表すバランス管理テーブルをバランス制御部180の不揮発性メモリに格納しておき、それら複数の識別子のうちユーザにより選択された識別子に対応する入出力特性テーブルおよびバランス管理テーブルを用いてエンジン音の再生制御を行わせるようにしても良い。このようにすると、1つのエンジン音再生装置で複数種の車両のうちユーザにより選択された車両のエンジン音を、そのエンジン音再生装置が搭載されている車両の運転状況に応じてその車室内に再生することが可能になる。
Claims (2)
- エンジンを動力源として走行する車両のエンジンルーム内で収音されたエンジン音を示すエンジン音信号を生成するエンジン音信号生成手段と、
前記エンジン音信号にエンジンの回転数およびアクセルペダルの操作速度に応じた歪みを付与して出力する手段であって、前記エンジン音信号生成手段により生成されたエンジン音信号を2分流し、前記操作速度が遅い程歪みの度合いが大きい非線形歪みをその一方に付与し、歪みを付与したエンジン音信号の比率を前記回転数が大きいほど大きくして他方のエンジン音信号と加算して出力するディストーション手段と、
前記ディストーション手段から出力されるエンジン音信号を受け取り、そのエンジン音信号に応じた音を再生するスピーカと、
を具備することを特徴とするエンジン音再生装置。 - エンジンを動力源として走行する車両のエンジンルーム内で収音されたエンジン音を示すエンジン音信号を生成するエンジン音信号生成手段と、
前記エンジン音信号にエンジンの回転数の変化量およびアクセルペダルの操作速度の変化量を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出されたエンジン回転数の変化量およびアクセルペダルの操作速度の変化量に応じた歪みを付与して出力する手段であって、前記エンジン音信号生成手段により生成されたエンジン音信号を2分流し、前記操作速度の変化量が大きい程歪みの度合いが大きい非線形歪みをその一方に付与し、歪みを付与したエンジン音信号の比率を前記回転数の変化量が大きいほど大きくして他方のエンジン音信号と加算して出力するディストーション手段と、
前記ディストーション手段から出力されるエンジン音信号を受け取り、そのエンジン音信号に応じた音を再生するスピーカと、
を具備することを特徴とするエンジン音再生装置。
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