JP2008145299A - 回転変位補正装置、および、変位検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原点パターン部を有する円盤スケール110の原点からの回転に対応して基準ロータリーエンコーダ151から出力する基準位相角θRと、円盤スケール110の原点からの回転に対応して回転検出部から出力する測定位相角θとの位相角差δθと、測定位相角θとを関連付けて生成した補正値を補正値記憶部131へ複数記憶するテーブル構造に記憶させ、較正する。円盤スケール110の回転により、測定値補正部132で測定位相角θに対応した補正値に基づいて位相角差δθで補正して出力する。原点パターン部を設ける簡単な構成で適切に補正のための補正値記憶部131を容易に形成できる。
【選択図】図6
Description
しかしながら、特許文献1に記載のものは、複数の検出部を配設する必要があり、大型化や構造の複雑化、製造性の低下などの不都合を生じるおそれがある。
しかしながら、特許文献2に記載のものも、複数の検出部を配設する必要があり、大型化や構造の複雑化、製造性の低下などの不都合を生じるおそれがある。
しかしながら、特許文献3に記載のものは、偏心状況を認識するために、偏心検出スケールおよび偏心検出部を別途設けるので、構造の複雑化や製造性の低下などの不都合を生じるおそれがある。
しかしながら、特許文献4に記載のものは、信号の振幅の大小、すなわち信号の強弱に基づいて補正するので、偏心状態を信号の強弱による間接的な認識となり、誤差を生じるおそれがある。すなわち、信号の強弱は、偏心のみならず、外部からの衝撃、電源電圧の変動、経年変化などでも生じる。このため、偏心以外の因子により信号の強弱が生じた場合、この信号の強弱に基づく補正値で補正することにより、回転角に補正分の誤差が付加されることとなり、誤差を生じてしまうおそれがある。
しかしながら、この特許文献5に記載のものでは、回転体の回転に伴って出力される絶対値データを誤差補正するための対応する真値のデータテーブルを構築することが極めて煩雑である問題がある。
しかしながら、この特許文献6に記載のものでは、パルス係数毎に補正データのデータテーブルを構築する必要があり、データ構築が煩雑であるとともに、パルス計数およびパルス計数毎に補正データを読み出すので、演算負荷が大きく、迅速な補正データが得られないおそれがある。
しかしながら、この特許文献7に記載のものでは、位置に対応する既知のコータリーエンコーダ誤差を生成することが煩雑であり、構築が煩雑となるおそれがある。
この発明では、変位検出装置の回転体に周方向における基準となる基準位置を設け、基準変位検出装置に接続する。そして、回転体の回転に対応して基準変位検出装置から出力される基準位相角と、回転体の基準位置からの回転に対応して変位検出装置の回転検出部から出力される回転変位信号の測定位相角との位相角差に、対応する測定位相角と1つのデータ構造に関連付けて生成される補正値を、補正値記憶部へ複数記憶するテーブル構造に記憶させておく。そして、変位検出装置の回転体を回転することにより、回転検出部から出力される測定位相角は、測定値補正部により、この測定位相角に対応した補正値記憶部に記憶された補正値に基づいて位相差角で補正して出力される。
このことにより、回転体に基準位置を設け、この基準位置からの基準位相角と測定した測定位相角との位相格差を測定位相角毎に関連付けて補正値として複数記憶させるテーブル構造の補正値記憶部を構成しているので、基準位置を設ける簡単な構成で適切に補正のための補正値記憶部を形成できる。
この発明では、測定値比較部により、変位検出装置の回転体に周方向における基準となる基準位置を設け、基準変位検出装置に接続する。そして、回転体の回転に対応して基準変位検出装置から出力される基準位相角と、回転体の回転に対応して変位検出装置の回転検出部から出力される回転変位信号の測定位相角との位相角差を演算する。そして、この演算した位相格差に測定位相角と関連付けて補正値を生成させて補正値記憶部に格納している。
このことにより、基準変位検出装置を利用して補正値を生成でき、補正値記憶部を別構成を用いることなく補正値記憶部のテーブル構造を構築できる。
この発明では、回転検出部から出力される測定位相角と同一の値を有する補正値が補正値記憶部に記憶されていない場合、測定値補正部により、測定位相角の値に最も近似する値および次に近似する値を有する2つの補正値に基づいて、線形補間またはスプライン関数補間により補正値を演算し、得られた補正値により測定位相角を補正して出力させる。
このことにより、測定位相角と同一の値となる測定位相角を有する補正値がない場合でも演算により補正できるので、補正値記憶部のテーブル構造として、細かい位相角毎に生成した補正値にて構築しなくても適切に補正でき、補正値記憶部の構成の簡略化および補正値記憶部の形成が容易にできる。
この発明では、回転検出部で出力される回転変位信号における測定位相角の最小の位相角間隔より大きな間隔の測定位相角に位相格差を関連付けた補正値を複数記憶するテーブル構造に補正値記憶部を構成している。
このため、測定位相角と同一の値となる測定位相角を有する補正値がない場合でも演算により補正できるので、測定位相角の最小の位相角間隔より大きな間隔の測定位相角毎の補正値で補正値記憶部を構成することで構成が簡略化でき、補正値記憶部の形成が容易にできる。
この発明では、変位検出装置の回転体に周方向における基準となる基準位置を設け、基準変位検出装置に接続する。そして、回転体の回転に対応して基準変位検出装置から出力される基準位相角と、基準位置からの回転体の回転に対応して変位検出装置の回転検出部から出力される回転変位信号の測定位相角との位相角差に基づいて演算された正弦波の補正値波形に関する補正波形情報を、補正値記憶部へ記憶させておく。そして、変位検出装置の回転体を回転することにより、回転検出部から出力される測定位相角は、測定値補正部に記憶された補正波形情報の補正値波形に基づいて補正して出力される。
このことにより、回転体に基準位置を設け、この基準位置からの基準位相角と測定した測定位相角との位相格差に基づいてあらかじめ演算した正弦波の補正値波形を補正値記憶部に記憶、あるいは位相格差に基づいて逐次演算して得られた補正値波形を補正値記憶部に記憶させることで、測定された測定位相角を補正値波形で適切に補正されて出力されるので、補正値波形の正弦波の例えば関数式に関する情報を記憶しておく簡単な構成で適切に補正できる。
この発明では、補正値波形として、変位検出装置の回転体が一体的に接続された基準変位検出装置から回転体の回転に対応して出力される基準位相角と、回転体の回転に応じて変位検出装置の回転検出部から出力される回転変位信号の測定位相角との位相格差から、最小二乗法による演算結果の正弦波を補正値波形とし、この補正値波形の例えば関数式に関する補正波形情報を補正値記憶部に記憶しておく。
このことにより、適切に測定位相角を補正するための補正値記憶部の構成として、最小二乗法の演算結果である正弦波の補正値波形の補正波形情報を記憶しておくのみでよく、適切に補正するための補正値記憶部の構成が簡略化し補正値記憶部を容易に形成できる。
この発明では、変位検出装置の回転体に周方向における基準となる基準位置を設ける。また、回転体の機械的寸法に基づいて回転体の偏芯回転による回転検出部のスケールにおける検出位置のずれに対応した正弦波となる補正値波形に関する補正波形情報を、補正値記憶部へ記憶させておく。そして、変位検出装置の回転体を回転することにより、回転検出部から出力される測定位相角は、測定値補正部に記憶された補正波形情報の補正値波形に基づいて補正して出力される。
このことにより、基準位置を設けた回転体の機械的寸法に基づいてあらかじめ生成した正弦波となる補正値波形に関する補正波形情報を補正値記憶部に記憶させることで、測定された測定位相角が補正値波形で適切に補正されて出力されるので、偏芯による較正のための特別な構成が不要で、補正値波形の正弦波の例えば関数式に関する情報を記憶しておく簡単な構成で適切に補正でき、補正値記憶部を容易に構築できる。
この発明では、正弦波の補正値波形の振幅量、相対位相角およびオフセット量を関数式に関する情報である補正波形情報として補正値記憶部に記憶し、これら振幅量、相対位相角およびオフセット量に基づいて算出される補正値により、測定値補正部により回転検出部から出力される測定位相角を補正して出力する。
このことにより、基準位相角と測定した測定位相角との位相格差に基づいてあらかじめ演算した正弦波の補正値波形に関する正弦波を特定する振幅量、相対位相角およびオフセット量のみを補正値記憶部に記憶しておくのみで適切な補正ができ、補正値記憶部の構成を簡略化でき、補正値記憶部を容易に形成できる。
この発明では、補正値算出部により補正値記憶部に記憶された補正値波形の振幅量、相対位相角およびオフセット量に基づいて、回転検出部で検出された測定位相角に対応する補正値を算出し、測定値補正部により、算出された補正値で回転検出部から出力される測定位相角を補正して出力する。
このことにより、補正値算出部により補正する補正値を算出するので、補正値波形の振幅量、相対位相角およびオフセット量を記憶しておくのみで、適切に補正するための補正値が得られ、適切に補正できる構成の簡略化が容易に得られる。
H=OD+AD×(sin(θ+θD))……(1)
この発明では、測定値算出部により、補正値記憶部に記憶された補正値波形における振幅量ADと、相対位相角θDと、オフセット量ODとに基づいて、補正値Hを上述した式(1)に基づいて算出し、この補正値Hにより、測定値位相角を補正する。
このことにより、補正値波形の振幅量ADと、相対位相角θDと、オフセット量ODとを記憶する簡単な補正値記憶部の構成でも、簡単な演算で容易に迅速に適切な補正ができる。
この発明では、合成波の補正値波形である場合、合成された各正弦波の補正値波形における振幅量、相対位相角およびオフセット量をそれぞれ補正値記憶部に記憶させ、測定値補正部により、正弦波の補正値波形の振幅量、相対位相角およびオフセット量に基づく各補正値の総和を演算し、得られた補正値の総和により回転検出部から出力される測定位相角を補正して出力する。
このことにより、例えば回転体の偏芯や回転体固有の周期誤差など、複数の周期誤差を有する回転体についても、各周期誤差に対応する各正弦波の補正値波形の振幅量、相対位相角およびオフセット量をそれぞれ記憶する簡単な補正値記憶部の構成で、適切な補正が容易かつ迅速に得られる。
なお、この合成波の補正値波形である場合についても、例えば、補正値算出部により補正値をそれぞれ算出して総和を算出し、この総和を補正値として演算されればよい。
この発明では、適切な補正のための簡単で容易に形成できる補正値記憶部を備えた請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の回転変位補正装置により、回転体の回転により回転検出部で検出する回転変位量を補正する。
このため、単に補正するための補正値記憶部および補正の演算を実施する測定値補正部を設ける簡単な構成で、偏芯などの誤差を有する回転体でも適切に補正された回転変位量を出力できる。
〔ロータリーエンコーダの構成〕
以下、本発明に係る一実施形態である第一実施形態の変位検出装置としてのロータリーエンコーダについて説明する。
なお、本第一実施形態では、本発明の回転変位補正装置を備えたロータリーエンコーダの構成を例示するが、回転変位補正装置を独立した構成として、ロータリーエンコーダに別途組み付けるなどしてもよい。
図1は、本第一実施形態におけるロータリーエンコーダの概略構成を示すブロック図である。図2は、円盤スケールおよび検出部との関係を示す平面図である。図3は、補正値記憶部のテーブル構造を示す概念図である。図4は、測定値補正部による補正値の演算内容を説明するためのグラフである。
そして、ロータリーエンコーダ100は、回転体としての円盤スケール110と、検出部120と、回転変位補正装置としての演算部130と、を備えている。
そして、円盤スケール110の一面側の周縁近傍には、図1および図2に示すように、周方向に略沿って目盛112Aが付されたスケール部112が設けられている。
さらに、円盤スケール110には、図2に示すように、スケール部112の内周側に位置して、周方向における基準となる基準位置である原点パターン部113が設けられている。この原点パターン部113は、円盤スケール110の中心から放射状に長手状の目盛状に形成されている。
なお、図1および図2は、説明の都合上、スケール部112の目盛112Aとして、放射状の線として所定の間隔で設けた状態で示す。
そして、回転検出部121は、対向する位置にスケール部112の目盛112Aが位置することでその目盛112Aを検出し、回転変位量に関する所定の回転検出信号を出力する。
同様に、原点検出部122は、対向する位置に原点パターン部113が位置するとその原点パターン部113を検出し、原点である旨の原点位置に関する所定の原点位置信号を出力する。
なお、検出部120は、磁気や光など各種方法により検出する構成が利用できる。
すなわち、補正値記憶部131は、ロータリーエンコーダ100が装着された詳細は後述する較正用ロータリーエンコーダ150から円盤スケール110の回転により出力される基準位相角と、回転される円盤スケール110の回転に応じて検出部120の回転検出部121から出力される回転変位信号の測定位相角との位相角差を、対応する測定位相角と1つのデータ構造に関連付けて生成される補正値を複数記憶するテーブル構造に構成されている。具体的には、各補正値135を特定する例えばいわゆるID(identification)番号である識別番号135Aと、測定位相角に関する測定位相角データ135Bと、補正するための位相角差である補正値に関する補正値データ135Cと、を1つのデータ構造である補正値135として関連付け、これら補正値135を複数記憶するテーブル構造に構築されている。
なお、これら各補正値135の測定位相角データ135Bの位相角間隔は、スケール部112の最小の位相角間隔である目盛112Aの間隔としてもよいが、本実施形態では、目盛112Aの間隔より広い0.50°毎を例示する。すなわち、ロータリーエンコーダ100の分解能よりも大きなピッチの位相角間隔で補正値135を構築している。また、本発明は、この間隔に限られるものではなく、より細かい間隔や広い間隔でもよい。
具体的には、測定値補正部132は、回転検出部121からの回転検出信号の測定位相角と同一の測定位相角データ135Bを有する補正値135を補正値記憶部131から検索し、同一の測定位相角データ135Bを有した補正値135を検出した場合、その補正値135の補正値データ135Cの補正値で補正する演算をする。すなわち、図1に示すように、回転検出部121で検出した測定位相角がθ、補正値データ135Cの補正値がδθである場合、θ−δθを演算し、その演算結果を補正後出力データAとして出力する。
また、同一の測定位相角データ135Bを有した補正値135がない場合、図4に示すように、測定位相角θに最も近似する測定位相角データ135B(図4中θ1)を有した補正値135と、次に近似する測定位相角データ135B(図4中θ2)を有した補正値135を検索する。そして、各補正値135の補正値データ135C(図4中のδθ1、δθ2)に基づいて、補正値δθを線形補間またはスプライン関数補間により演算する。そして、演算した補正値δθで上述したように補正(A=θ−δθ)し、補正後出力データAとして出力する。
なお、線形補間に比してスプライン関数補間の場合では、より円盤スケール110の偏芯などによる周期誤差の曲線である正弦波に近い状態となることから、より高精度に補正できる。
次に、上記第一実施形態における動作として、ロータリーエンコーダの較正処理である補正値記憶部の構築処理について、図面を参照して説明する。
なお、本実施形態では、0.50°間隔で補正値135を設ける、すなわち全部で360[°]/0.05[°]=720[個]の補正値135を設けた構成を例示するが、上述したように、補正値135を設ける位相角の間隔としては、適宜設定できる。
図5は、補正するための補正値記憶部を形成する動作を示すフローチャートである。図6は、ロータリーエンコーダを補正するための概略装置較正を示す概念図である。なお、図6は、説明の都合上、スケール部112の目盛112Aとして、放射状の線として所定の間隔で設けた状態で示す。
ここで、較正用ロータリーエンコーダ150は、基準ロータリーエンコーダ151と、較正用演算部152とを備えている。そして、基準ロータリーエンコーダ151は、既に較正されたもので、回転軸151Aの回転に応じた基準位相角の基準位相角データを出力する。
また、較正用演算部152は、測定値比較部152Aを備えている。この測定値比較部152Aは、基準ロータリーエンコーダ151から回転軸151Aの回転により回転軸151Aの回転に対応した位相角となる基準位相角θRに関する基準位相角信号を受信するとともに、検出部120の回転検出部121から出力される回転検出信号を受信する。そして、測定値比較部152Aは、受信した基準位相角データの基準位相角θRと、受信した回転検出信号の測定位相角θとの位相格差を演算し、この位相格差を補正値δθに関する補正値データ135Cとして、演算部130へ出力する。
この後、測定値比較部152Aから補正値データ135Cを受信した補正値記憶部131は、検出部120の回転検出部121から出力される測定位相角θの回転検出信号を受信し、測定位相角θの回転検出信号を測定位相角データ135Bとして、セットされた識別番号135Aに補正値データ135Cとともに1つの補正値135として関連付けて記憶する(ステップS7)。
このステップS8において、また最後の識別番号135Aの補正値135の設定が完了していない場合には、識別番号135Aとして次の番号の設定のために「+1」にセットする(ステップS9)。例えば、識別番号135Aの「0」の補正値135の設定がステップS7で完了したので、次の番号となる「1」にセットする。この後、補正すべき角度に円盤スケール110を回転させる(ステップS10)。具体的には、0.50°間隔で補正値を設定するので、原点位置から0.50°進めた0.50°に設定する。
この後、ステップS4に進んで、設定した角度で順次位相角差を演算し、その測定位相角θと関連付けて補正値135を順次生成して補正値記憶部131に記憶させる。
そして、較正対象のロータリーエンコーダ100を較正用ロータリーエンコーダ150の基準ロータリーエンコーダ151から外し、ロータリーエンコーダ100の較正処理が完了する。
上述したように、上記第一実施形態では、ロータリーエンコーダ100の円盤スケール110に周方向における基準となる原点パターン部113を設け、較正用ロータリーエンコーダ150に接続する。そして、円盤スケール110の原点位置からの回転に対応して較正用ロータリーエンコーダ150の基準ロータリーエンコーダ151から出力される基準位相角θRと、円盤スケール110の原点位置からの回転に対応してロータリーエンコーダ100の回転検出部121から出力される回転変位信号の測定位相角θとの位相角差δθを測定値比較部152Aで演算する。さらに、演算した位相角差δθを測定位相角θと関連付けて生成した補正値135を、補正値記憶部131へ複数記憶するテーブル構造に記憶させておく。そして、ロータリーエンコーダ100の円盤スケール110を回転することにより、回転検出部121から出力される測定位相角θは、測定値補正部132により、この測定位相角θに対応した補正値記憶部131に記憶された補正値135に基づいて位相角差δθで補正して出力される。
このため、円盤スケール110に原点パターン部113を設け、この原点パターン部113からの基準位相角θRと測定した測定位相角θとの位相格差δθを測定位相角θ毎に関連付けて補正値135として複数記憶させるテーブル構造の補正値記憶部131を構成しているので、原点パターン部113を設ける簡単な構成で適切に補正のための補正値記憶部131を容易に形成できる。
また、原点パターン部としては、周方向における1箇所に目盛状に設けている。このため、基準位置を特定するための構成が簡単で、容易に基準位置の形成が容易にできる。
このため、測定位相角θと同一の値となる測定位相角θの測定位相角データ135Bを有する補正値135が補正値記憶部131に記憶されていない場合でも演算により補正値135を算出して補正できるので、補正値記憶部131のテーブル構造として、細かい位相角毎に生成した補正値135のテーブル構造に構築しなくても適切に補正でき、補正値記憶部131の構成の簡略化および補正値記憶部131の形成が容易にできる。
このため、上述したように、例えば線形補間により、測定位相角θと同一の値となる測定位相角θの測定位相角データ135Bを有する補正値135がない場合でも演算により補正できるので、円盤スケール110の測定位相角θの最小の位相角間隔より大きな間隔の測定位相角θ毎の補正値135で補正値記憶部131を構成することで構成が簡略化でき、補正値記憶部131の形成が容易にできる。
次に、本発明に係る一実施形態である第二実施形態の変位検出装置としてのロータリーエンコーダについて、図面を参照して説明する。
この第二実施形態は、第一実施形態における演算部130の補正値記憶部131として補正値135を複数記憶するテーブル構造に代えて、補正する演算式に関する補正波形情報を記憶し、この補正波形情報に基づいて補正する構成である。
図7は、較正用ロータリーエンコーダに組み付けられたロータリーエンコーダの概略構成を示すブロック図である。図8は、回転中心がずれた周期誤差を有した円盤スケールと検出部との検出位置との関係を説明するための概念図である。図9は、回転中心がずれた周期誤差を有した円盤スケールと検出部との検出位置との関係を説明するための概念図で、所定の位置と検出位置とが一致する図である。図10は、回転中心がずれた周期誤差を有した円盤スケールと検出部との検出位置との関係を説明するための概念図で、円盤スケールが90°回転された時の所定の位置と検出位置との関係を示す図である。図11は、回転中心がずれた周期誤差を有した円盤スケールと検出部との検出位置との関係を説明するための概念図で、円盤スケールが180°回転された時の所定の位置と検出位置との関係を示す図である。図12は、回転中心がずれた周期誤差を有した円盤スケールと検出部との検出位置との関係を説明するための概念図で、円盤スケールが270°回転された時の所定の位置と検出位置との関係を示す図である。図13は、回転中心がずれた周期誤差を有した円盤スケールと検出部との検出位置との関係を説明するための概念図で、円盤スケールが360°回転された時の所定の位置と検出位置との関係を示す図である。図14は、正弦波の補正値波形を特定する正弦波代表値を示すグラフである。
なお、上記第一実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を簡略化または省略する。また、図7ないし図13は、説明の都合上、スケール部112の目盛112Aとして、放射状の線として所定の間隔で設けた状態で示す。
図7において、200はロータリーエンコーダで、このロータリーエンコーダ200は、円盤スケール110と、検出部120と、回転変位補正装置としての演算部230と、を備えている。
そして、演算部230は、補正値記憶部231と、補正値算出部232と、測定値補正部233とを備えている。
そして、補正値記憶部231は、ロータリーエンコーダ200の円盤スケール110が一体的に接続され詳細は後述する較正用ロータリーエンコーダ250の基準ロータリーエンコーダ151で検出した基準位相角と、円盤スケール110の回転に応じて回転検出部121から出力される回転変位信号の測定位相角θとの位相角差に基づいて演算された正弦波の補正値波形に関する補正波形情報を記憶する。すなわち、ロータリーエンコーダ200の周期誤差を補正する補正値は、位相角に応じた値が正弦波の補正値波形となる。
具体的には、例えば図8に示すように、回転中心がずれた円盤スケール110の場合、すなわち円盤スケール110の回転中心Oと、スケール部112の中心Sとが一致しない場合、回転検出部121の検出位置Tは、スケール部112の所定の測定位置Uとなる。この測定位置Uを図9に示すように基準として円盤スケール110を回転、例えば90°回転させると、図10に示す状態となる。さらに、90°回転(図9の位置から180°回転)させると、図11に示す状態となる。そしてさらに90°回転(図9の位置から270°回転)されると、図12に示す状態となる。さらに90°回転(図9の位置から360°回転)されると、図13に示す状態となり、スケール部112の中心円sと、検出位置Tの中心円oとが一致しない。この中心円sと中心円oとのずれは、各検出位置Tと測定位置Uとのずれ幅が円盤スケール110の回転に伴って次第に大きくなったり小さくなったりするので、これらを補正する補正量が正弦波の軌跡となる。
そして、この正弦波の補正値波形に関する補正値波形情報が補正値記憶部231に格納されている。具体的には、補正値記憶部231は、振幅量記憶部231Aと、相対位相角記憶部231Bと、オフセット量記憶部231Cと、を備えている。
振幅量記憶部231Aは、例えば図14に示すように、正弦波の補正値波形を特定する正弦波代表値である振幅量ADに関する振幅量データを記憶している。
相対位相角記憶部231Bは、例えば図14に示すように、補正値波形を特定する正弦波代表値である相対位相角θDに関する相対位相角データを記憶している。
オフセット量記憶部231Cは、例えば図14に示すように、補正値波形を特定する正弦波代表値であるオフセット量ODに関するオフセット量データを記憶している。
H=OD+AD×(sin(θ+θD))……(1)
すなわち、補正値算出部232は、上記式(1)を記憶しており、この式(1)を用いて、補正値記憶部231から読み取った振幅量データ、相対位相角データおよびオフセット量データと、回転検出部121で測定した測定位相角θとに基づいて、補正値δθを演算する。
具体的には、測定値補正部233は、回転検出部121で検出した測定位相角θから補正値算出部232で算出された補正値δθを減算(θ−δθ)し、この減算結果を補正後出力データAとして出力する。
(較正処理)
次に、上記第二実施形態における動作として、ロータリーエンコーダの較正処理である補正値記憶部の構築処理について、図面を参照して説明する。
図15は、測定値比較部252Aで所定の位相角間隔の測定位相角θ毎に算出した補正値δθM2を説明するためのグラフである。図16は、測定位相角θ毎に算出した補正値δθM2に基づいて演算した正弦波の補正値波形を示すグラフである。
ここで、較正用ロータリーエンコーダ250は、基準ロータリーエンコーダ151と、較正用演算部252とを備えている。そして、基準ロータリーエンコーダ151は、既に較正されたもので、回転軸151Aの回転に応じた基準位相角の基準位相角データを出力する。
また、較正用演算部252は、測定値比較部252Aと、補正値波形生成部252Bと、を備えている。
そして、測定値比較部252Aは、基準ロータリーエンコーダ151から回転軸151Aの回転により回転軸151Aの回転に対応した位相角となる基準位相角θRに関する基準位相角信号を受信するとともに、検出部120の回転検出部121から出力される回転検出信号を受信する。そして、測定値比較部252Aは、受信した基準位相角データの基準位相角θRと、受信した回転検出信号の測定位相角θとの位相格差を演算し、この位相格差を対応する測定位相角θの補正値δθM2として補正値波形生成部252Bへ出力する。
また、補正値波形生成部252Bは、測定位相角θ毎に測定値比較部252Aから取得した補正値δθM2から、最小二乗法により近似する正弦波、すなわち補正値波形の関数式を演算する。そして、補正値波形生成部252Bは、補正値波形の関数式から振幅量AD、相対位相角θDおよびオフセット量ODを抽出し補正値記憶部231の振幅量記憶部231A、相対位相角記憶部231Bおよびオフセット量記憶部231Cへ適宜出力して記憶させる。
そして、測定値比較部252Aで演算された異なる測定位相角θ毎の補正値δθM2を取得した補正値波形生成部252Bは、最小二乗法により、図16の波形図に示すような近似する正弦波である補正値波形を演算する。さらに、補正値波形生成部252Bは、演算した補正値波形の関数式から振幅量AD、相対位相角θDおよびオフセット量ODを抽出する。この後、補正値波形生成部252Bは、補正値記憶部231の振幅量記憶部231A、相対位相角記憶部231Bおよびオフセット量記憶部231Cへ適宜出力して記憶させ、ロータリーエンコーダ200が較正される。
次に、上記較正されたロータリーエンコーダ200による円盤スケール110の回転による回転変位量の検出動作について説明する。
この回転検出部121で測定位相角θが検出されると、演算部230の補正値算出部232は、補正値記憶部231に記憶された振幅量AD、相対位相角θDおよびオフセット量ODと、測定位相角θとに基づいて、上述した式(1)を利用して、測定位相角θにおける補正値δθを算出する。
そして、演算部230は、測定値補正部233により、補正値算出部232で算出された補正値δθにより、回転検出部121で検出した測定位相角θを補正し、補正後出力データAとして出力する。
上述したように、上記第二実施形態では、ロータリーエンコーダ200の円盤スケール110に周方向における基準となる原点パターン部113を設け、較正用ロータリーエンコーダ250に接続する。そして、円盤スケール110の回転に対応して較正用ロータリーエンコーダ150の基準ロータリーエンコーダ151から出力される基準位相角θRと、円盤スケール110の回転に対応してロータリーエンコーダ100の回転検出部121から出力される回転変位信号の測定位相角θとの位相角差に基づいて最小二乗法により演算された正弦波の補正値波形に関する補正波形情報である振幅量AD、相対位相角θDおよびオフセット量ODを、補正値記憶部231へ記憶させておく。そして、ロータリーエンコーダ200の円盤スケール110が回転されることで回転検出部121から出力される測定位相角θは、補正部記憶部231に記憶された補正波形情報に基づいて演算される補正値δθにより補正して補正後出力データAとして出力している。
このため、円盤スケール110に原点パターン部113を設け、この原点パターン部113からの基準位相角θRと測定した測定位相角θとの位相格差δθに基づいて演算される補正値波形に関する補正値波形情報を記憶し、この補正値波形情報に基づいて補正値δθを演算して補正する簡単な構成で適切に補正でき、装置構成の構築も容易にできる。
このため、適切に測定位相角θを補正するための補正値記憶部231の構成として、最小二乗法の演算結果である正弦波の補正値波形の補正波形情報、例えば振幅量AD、相対位相角θDおよびオフセット量ODを記憶しておくのみでよく、適切に補正するための補正値記憶部231の構成が簡略化し、補正値記憶部231を容易に形成できる。
このため、基準位相角θRと測定した測定位相角θとの位相格差に基づいてあらかじめ演算した正弦波の補正値波形に関する正弦波を特定する振幅量AD、相対位相角θDおよびオフセット量ODのみを補正値記憶部231に記憶しておくのみで適切な補正ができ、補正値記憶部231の構成を簡略化でき、補正値記憶部231を容易に形成できる。
このため、補正値算出部232により補正する補正値δθを算出するので、補正値波形の振幅量AD、相対位相角θDおよびオフセット量ODのみを記憶しておく簡単な構成でも、適切に補正するための補正値δθが得られ、適切に補正でき構成の簡略化が容易な構成が容易に得られる。
このため、補正値波形の振幅量ADと、相対位相角θDと、オフセット量ODとを記憶する簡単な補正値記憶部231の構成でも、簡単な演算で容易に迅速で適切な補正ができる。
次に、本発明に係る一実施形態である第三実施形態の変位検出装置としてのロータリーエンコーダについて、図面を参照して説明する。
この第三実施形態は、第二実施形態における演算部230として、ロータリーエンコーダ200が複数の周期誤差を有している場合に対応できる構成である。なお、本第三実施形態では、偏芯誤差と、円盤スケール110固有の1回転で3周期となる周期誤差の2つの周期誤差を有した場合を例示するが、複数の周期誤差を含んでいる場合でも同様である。
図17は、ロータリーエンコーダの概略構成を示すブロック図である。図18は、正弦波の補正値波形を特定する正弦波代表値を示すグラフである。
なお、上記各実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を簡略化または省略する。また、図17は、説明の都合上、スケール部112の目盛112Aとして、放射状の線として所定の間隔で設けた状態で示す。
図17において、300はロータリーエンコーダで、このロータリーエンコーダ300は、円盤スケール110と、検出部120と、回転変位補正装置としての演算部330と、を備えている。
そして、演算部330は、補正値記憶部331と、補正値算出部332と、測定値補正部333とを備えている。
振幅量記憶部331A1は、例えば図18に示すように、合成波の補正値波形REFにおける合成成分である偏芯誤差の正弦波の補正値波形REF1を特定する正弦波代表値である振幅量AD1に関する振幅量データを記憶している。
相対位相角記憶部331B1は、例えば図18に示すように、偏芯誤差の正弦波の補正値波形REF1を特定する正弦波代表値である相対位相角θD1に関する相対位相角データを記憶している。
オフセット量記憶部331C1は、例えば図18に示すように、偏芯誤差の正弦波の補正値波形REF1を補正値波形を特定する正弦波代表値であるオフセット量OD1に関するオフセット量データを記憶している。
振幅量記憶部331A2は、例えば図18に示すように、合成波の補正値波形REFにおける合成成分である3周期誤差の正弦波の補正値波形REF2を特定する正弦波代表値である振幅量AD2に関する振幅量データを記憶している。
相対位相角記憶部331B2は、例えば図18に示すように、3周期誤差の正弦波の補正値波形REF2を特定する正弦波代表値である相対位相角θD2に関する相対位相角データを記憶している。
オフセット量記憶部331C2は、例えば図18に示すように、3周期誤差の正弦波の補正値波形REF2を補正値波形を特定する正弦波代表値であるオフセット量OD2に関するオフセット量データを記憶している。
H=[OD1+AD1×{sin(θ+θD1)}]+[OD2+AD2×{sin(3×(θ+θD2))}]……(2)
すなわち、補正値算出部332は、上記式(2)を記憶しており、この式(2)を用いて、補正値記憶部331から読み取った振幅量データ、相対位相角データおよびオフセット量データと、回転検出部121で測定した測定位相角θとに基づいて、補正値δθを演算する。なお、円盤スケール110の周期誤差としてn周期である場合には、上記(2)式中の「3」を「n」とすればよい。
具体的には、測定値補正部333は、回転検出部121で検出した測定位相角θから補正値算出部332で算出された補正値δθを減算(θ−δθ)し、この減算結果を補正後出力データAとして出力する。
(較正処理)
次に、上記第三実施形態における動作として、ロータリーエンコーダの較正処理である補正値記憶部の構築処理について説明する。
すなわち、基準ロータリーエンコーダ151の回転軸151Aに円盤スケール110の取付孔111を一体的に嵌合固定する。さらに、ロータリーエンコーダ300の回転検出部121および演算部330を、較正用演算部252にデータを送受信可能に接続することで、ロータリーエンコーダ300が較正用ロータリーエンコーダ250に装着される。
そして、測定値比較部252Aで演算された異なる測定位相角θ毎の補正値δθM2を取得した補正値波形生成部252Bは、最小二乗法により、図16の波形図に示すような近似する正弦波である補正値波形REFを演算する。さらに、補正値波形生成部252Bは、演算した補正値波形REFの関数式から、合成成分である偏芯誤差の正弦波の補正値波形REF1と、合成成分である3周期誤差の正弦波の補正値波形REF2を抽出し、これら補正値波形REF1,REF2の各振幅量AD1,AD2、相対位相角θD1,θD2およびオフセット量OD1,OD2をそれぞれ抽出する。この後、補正値波形生成部252Bは、補正値記憶部331の振幅量記憶部331A1,331A2、相対位相角記憶部331B1,331B2およびオフセット量記憶部331C1,331C2へ適宜出力して記憶させ、ロータリーエンコーダ300が較正される。
次に、上記較正されたロータリーエンコーダ300による円盤スケール110の回転による回転変位量の検出動作について説明する。
この回転検出部121で測定位相角θが検出されると、演算部330の補正値算出部332は、補正値記憶部331に記憶された振幅量AD1,AD2、相対位相角θD1,θD2およびオフセット量OD1,OD2と、測定位相角θとに基づいて、上述した式(2)を利用して、測定位相角θにおける補正値δθを算出する。
そして、演算部330は、測定値補正部333により、補正値算出部332で算出された補正値δθにより、回転検出部121で検出した測定位相角θを補正し、補正後出力データAとして出力する。
上述したように、上記第三実施形態では、合成波の補正値波形REFである場合、合成成分である各正弦波の補正値波形REF1,REF2における振幅量AD1,AD2、相対位相角θD1,θD2およびオフセット量OD1,OD2をそれぞれ補正値記憶部331に記憶させ、補正部算出部332により、正弦波の補正値波形REF1,REF2の振幅量AD1,AD2、相対位相角θD1,θD2およびオフセット量OD1,OD2に基づく各補正値の総和である補正値δθを演算し、得られた補正値δθにより回転検出部121から出力される測定位相角θを補正して出力している。
このため、上記第二実施形態の作用効果に加え、例えば円盤スケール110の偏芯や円盤スケール110固有の周期誤差など、複数の周期誤差を有する円盤スケール110についても、各周期誤差に対応する各正弦波の補正値波形REF1,REF2の振幅量AD1,AD2、相対位相角θD1,θD2およびオフセット量OD1,OD2をそれぞれ記憶する簡単な補正値記憶部331の構成で、適切な補正が容易かつ迅速に得られる。
なお、この合成波の補正値波形である場合についても、例えば、補正値算出部により補正値をそれぞれ算出して総和を算出し、この総和を補正値として演算されればよい。
次に、本発明に係る一実施形態である第四実施形態の変位検出装置としてのロータリーエンコーダについて、図面を参照して説明する。
この第四実施形態は、第二実施形態における位相角差に基づいて演算した補正値波形を、円盤スケール110の構造上の特性から演算して求める構成である。
図19は、円盤スケールの機械的寸法と補正値波形代表値との関係を説明するための説明図である。図20は、円盤スケールの機械的寸法と補正値波形代表値との関係を説明するための説明図で、検出位置が原点位置の状態を示す図である。図21は、円盤スケールの機械的寸法と補正値波形代表値との関係を説明するための説明図で、図20の状態から円盤スケールが略90°回転された状態を示す図である。
なお、上記各実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を簡略化または省略する。また、図19ないし図21は、説明の都合上、スケール部112の目盛112Aとして、放射状の線として所定の間隔で設けた状態で示す。
ロータリーエンコーダ200は、円盤スケール110と、検出部120と、回転変位補正装置としての演算部230と、を備えている。
そして、演算部230は、補正値記憶部231と、補正値算出部232と、測定値補正部233とを備えている。
ここで、図19に示すように、XY座標系における原点を、偏芯誤差を有した円盤スケール110の機械的回転中心である円盤スケール110の回転中心Oとし、回転検出部121の検出中心である検出位置Tと、原点検出部122の検出中心である検出位置Vとが、X軸上に位置する状態とする。この図19に示す状態で、円盤スケール110のスケール部112の中心Sを通るX軸に対する垂直線L1と、検出位置Tにおける検出軌跡となる円盤スケール110の回転中心Oを中心とした検出中心円であるスケール部112の中心円sとの交点をC1、検出位置Vにおける検出軌跡となる円盤スケール110の回転中心Oを中心とした検出中心円である原パターンの検出中心円vと、スケール部112の中心Sおよび原点パターン部113上の検出中心円vの点を通る直線L2との交点をC2とする。そして、円盤スケール110の回転中心Oおよび交点C1を通る直線とY軸とのなす角度が振幅量AD、円盤スケール110の回転中心Oおよび交点C2とX軸とのなす角度が相対位相角θD、円盤スケール110の回転中心Oおよび交点C2を通る直線と直線L2とのなす角度がオフセット量ODとなる。
すなわち、円盤スケール110の回転中心Oと、スケール部112の中心Sと、検出位置Tとが、X軸上に位置するので、角度の検出には偏芯誤差が乗らないが、原点パターン部113がX軸上に位置しないので、円盤スケール110の回転中心Oおよび交点C2を通る直線とX軸とのなす角度が、正弦波の補正値波形の位相関係を規定する相対位相角θDとみなせる。
また、図20に示すように、図19の状態から円盤スケール110を時計方向に相対位相角θD分だけ回転させると、原点パターン部113の検出角度において、検出位置Tは、原点パターン部113の配置中心線(直線L2)の延長線上からずれた角度を検出することとなる。このことにより、この角度すなわちX軸と直線L2とのなす角がオフセット量ODとなる。
さらに、図21に示すように、図19の状態から円盤スケール110を時計方向に90°回転させると、X軸上に位置していた円盤スケール110の回転中心Oとスケール部112の中心Sとは、Y軸上に位置する状態となる。この図21に示す状態では、検出位置Tを基準として、円盤スケール110の回転中心Oとスケール部112の中心Sとのなす角度が一番大きくなる。すなわち∠OTSが最大となり、この∠OTSにおいて誤差が最大となる。したがって、円盤スケール110の回転中心Oおよび交点C1を通る直線とY軸(図21中ではX軸)とのなす角度が振幅量ADとみなすことができる。
このようにして機械的寸法に基づいて得られた補正値波形代表値である補正波形情報としての振幅量AD、相対位相角θDおよびオフセット量ODを、補正値記憶部231の振幅量記憶部231A、相対位相角記憶部231Bおよびオフセット量記憶部231Cに記憶させる。この補正波形情報の記憶により、ロータリーエンコーダ200は、回転検出部121で検出する測定位相角θが、補正値算出部232で演算した補正値δθに基づいて、測定値補正部233により補正できる較正された状態が得られる。
上述したように、上記第四実施形態によれば、円盤スケール110の機械的特性である機械的寸法に基づいて、補正値δθを算出するための補正値波形代表値である振幅量AD、相対位相角θDおよびオフセット量ODを生成させるので、較正用ロータリーエンコーダ250を用いることなく、較正できる。したがって、較正用ロータリーエンコーダ250を連結して測定するなどの較正作業を省略でき、容易に構築できる。
なお、以上に説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造および形状などは、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状などとしても問題はない。
また、較正処理の際、測定値比較部152Aにて、検出部120の回転検出部121から出力される測定位相角θの回転検出信号を受信するとともに(ステップS4)、基準ロータリーエンコーダ151から出力される基準位相角θRの基準位相角データを受信(ステップS5)して説明したが、例えばステップS4とステップS5との処理を逆としてもよい。
そして、補正値記憶部231として、振幅量AD、相対位相角θDおよびオフセット量ODをそれぞれ記憶する振幅量記憶部231A、相対位相角記憶部231Bおよびオフセット量記憶部231Cを備えた構成に限らず、例えば、振幅量AD、相対位相角θDおよびオフセット量ODの各データをそれぞれ記憶するデータ構造に構築するなどしてもよい。
さらに、第二実施形態と同様に、例えば補正値波形生成部252Bにより演算した合成波の補正値波形REFの関数式自体を記憶しておき、この関数式に基づいて演算した補正値δθにより補正するなどしてもよい。そしてさらには、各振幅量AD1,AD2、相対位相角θD1,θD2およびオフセット量OD1,OD2の各データをそれぞれ記憶するデータ構造に補正値記憶部331を構成してもよい。
すなわち、図22において、500は補正波形情報生成装置で、この補正波形情報生成装置500は、補正波形情報の振幅量AD、相対位相角θDおよびオフセット量ODを生成する。この補正波形情報生成装置500は、画像測定システム510と、機械的寸法演算部520と、正弦波代表値算出部530と、を備えている。
画像測定システム510は、円盤スケール110を撮像して画像処理をする。
機械的寸法演算部520は、画像処理に基づいて、例えば回転中心O、中心S、交点C1、交点C2、直線L1,L2などの機械的寸法を演算処理する。
正弦波代表値算出部530は、機械的寸法演算部520により求めた機械的寸法に基づいて、振幅量AD、相対位相角θDおよびオフセット量ODを算出する。そして、正弦波代表値算出部530は、得られた振幅量AD、相対位相角θDおよびオフセット量ODを補正値記憶部231へ出力して記憶させる。なお、正弦波代表値算出部530と演算部230とを直接接続して補正波形情報を記憶させる構成に限らず、例えば、補正波形情報生成装置500で別途画像処理して生成した補正波形情報を、作業者による入力操作にて記憶させるなどしてもよい。
この図22に示すような画像処理を利用する構成によれば、機械的寸法を容易に短時間で測定でき、容易に補正値記憶部231を構築できる。さらには、画像処理により自動的に処理するので、熟練が要求されず、較正作業者毎の誤差がない安定した特性を提供できる。
そして、基準位置となる原点パターン部113としては、周方向における1箇所に設ける構成のみならず、例えば図24および図25に示す実施形態や図26に示す実施形態のように、ランダムリード信号(ABSパターン115)のように、周方向における回転検出部121との相対的な位置関係を検出できるいずれの構成としてもよい。なお、ランダムリード信号を設けることで、上記各実施形態のように、一旦原点パターン部113を検出部120で検出させて位相角の基準位置となる原点設定を実施する構成に比して、ABSパターン115により絶対的な位相角の規定がなされているので、原点設定をする必要がなく起動後直ちに補正値δθを得ることができ、迅速な処理が得られる。
110……回転体としての円盤スケール
110A…回転体としての柱状スケール
112……スケールであるスケール部
113……基準位置としての原点パターン部
115……基準位置としてのABSパターン
121……回転検出部
130,230,330…回転変位補正装置としての演算部
131,231,331…補正値記憶部
135……補正値
132,233,333…測定値補正部
232,332…測定値比較部
Claims (12)
- 円周方向にスケールを有しこのスケールの略中心を通る中心軸を回転軸として回転される回転体と、前記スケールに対応して配設され前記スケールに基づいて前記回転体の回転変位量に関する回転変位信号を出力する回転検出部と、を備え、前記回転体の回転変位量を検出する変位検出装置における前記回転変位量を補正する回転変位補正装置であって、
前記回転体は、円周方向における基準となる基準位置を有し、
前記変位検出装置の回転体が一体的に接続され基準回転変位量を検出する基準変位検出装置から前記回転体の回転に対応して出力される基準位相角と、前記回転される回転体の回転に応じて前記回転検出部から出力される前記回転変位信号の測定位相角との位相角差を、対応する前記測定位相角と1つのデータ構造に関連付けて生成される補正値を複数記憶するテーブル構造の補正値記憶部と、
前記回転検出部から出力される測定位相角を、この測定位相角に対応した前記補正値記憶部に記憶された前記補正値に基づいて補正して出力する測定値補正部と、を具備した
ことを特徴とした回転変位補正装置。 - 請求項1に記載の回転変位補正装置であって、
前記変位検出装置の回転体が一体的に接続され基準回転変位量を検出する基準変位検出装置から前記回転体の回転に対応して出力される基準位相角と、前記回転される回転体の回転に応じて前記回転検出部から出力される前記回転変位信号の測定位相角との位相角差を演算する測定値比較部を具備し、
前記補正値記憶部は、この測定値比較手段で演算した前記位相角差を、対応する前記測定位相角と1つのデータ構造に関連付けて生成される補正値を複数記憶するテーブル構造に構成された
ことを特徴とした回転変位補正装置。 - 請求項1または請求項2に記載の回転変位補正装置であって、
前記測定値補正部は、前記回転検出部から出力される測定位相角と同一の値を有する前記補正値が前記補正値記憶部に記憶されていない場合、前記測定位相角の値に最も近似する値および次に近似する値を有する2つの前記補正値に基づいて、線形補間またはスプライン関数補間により補正値を算出し、得られた補正値により補正して出力する
ことを特徴とした回転変位補正装置。 - 請求項3に記載の回転変位補正装置であって、
前記補正値記憶部は、前記補正値として、前記回転検出部で出力される前記回転変位信号における測定位相角の最小の位相角間隔より大きな間隔で前記測定位相角と前記位相格差とを関連付けた前記補正値を複数記憶する
ことを特徴とした回転変位補正装置。 - 円周方向にスケールを有しこのスケールの略中心を通る中心軸を回転軸として回転される回転体と、前記スケールに対応して配設され前記スケールに基づいて前記回転体の回転変位量に関する回転変位信号を出力する回転検出部と、を備え、前記回転体の回転変位量を検出する変位検出装置における前記回転変位量を補正する回転変位補正装置であって、
前記回転体は、円周方向における基準となる基準位置を有し、
前記変位検出装置の回転体が一体的に接続され基準回転変位量を検出する基準変位検出装置から前記回転体の回転に対応して出力される基準位相角と、前記回転される回転体の回転に応じて前記回転検出部から出力される前記回転変位信号の測定位相角との位相角差に基づいて演算された正弦波の補正値波形に関する補正波形情報を記憶する補正値記憶部と、
前記回転検出部から出力される測定位相角を、前記補正値記憶部に記憶された前記補正波形情報の補正値波形に基づいて補正して出力する測定値補正部と、を備えた
ことを特徴とした回転変位補正装置。 - 請求項5に記載の回転変位補正装置であって、
前記補正値記憶部は、前記変位検出装置の回転体が一体的に接続され基準回転変位量を検出する基準変位検出装置から前記回転体の回転に対応して出力される基準位相角と、前記回転される回転体の回転に応じて前記回転検出部から出力される前記回転変位信号の測定位相角との位相角差に基づいて、最小二乗法により得られた正弦波の前記補正値波形に関する補正波形情報を記憶する
ことを特徴とした回転変位補正装置。 - 円周方向にスケールを有しこのスケールの略中心を通る中心軸を回転軸として回転される回転体と、前記スケールに対応して配設され前記スケールに基づいて前記回転体の回転変位量に関する回転変位信号を出力する回転検出部と、を備え、前記回転体の回転変位量を検出する変位検出装置における前記回転変位量を補正する回転変位補正装置であって、
前記回転体は、円周方向における基準となる基準位置を有し、
前記回転体の機械的寸法に基づいて前記回転体の偏芯回転による前記回転検出部の前記スケールにおける検出位置のずれに対応した正弦波となる補正値波形に関する補正波形情報を記憶する補正値記憶部と、
前記回転検出部から出力される測定位相角を、前記補正値記憶部に記憶された前記補正波形情報の補正値波形に基づいて補正して出力する測定値補正部と、を備えた
ことを特徴とした回転変位補正装置。 - 請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の回転変位補正装置であって、
前記補正値記憶部は、前記補正値波形の振幅量、相対位相角およびオフセット量を記憶し、
前記測定値補正部は、前記補正値波形の振幅量、相対位相角およびオフセット量に基づいて算出される補正値で前記回転検出部から出力される測定位相角を補正して出力する
ことを特徴とした回転変位補正装置。 - 請求項8に記載の回転変位補正装置であって、
前記補正値波形の振幅量、相対位相角およびオフセット量と、前記回転検出部で検出された測定位相角とに基づいて、前記測定位相角に対応する補正値を算出する補正値算出部を具備し、
前記測定値補正部は、前記補正値算出部で算出された補正値により、前記回転検出部から出力される測定位相角を補正して出力する
ことを特徴とした回転変位補正装置。 - 請求項9に記載の回転変位補正装置であって、
前記補正値算出部は、前記補正値波形における振幅量をADとし、前記相対位相角をθDとし、前記オフセット量をODとし、前記補正値をHとしたときに、以下の式(1)を用いて前記補正値を算出する
H=OD+AD×(sin(θ+θD))……(1)
ことを特徴とした回転変位補正装置。 - 請求項6ないし請求項10のいずれかに記載の回転変位補正装置であって、
前記補正値記憶部は、前記補正値波形が合成波である場合、合成された正弦波の各補正値波形の前記振幅量、前記相対位相角および前記オフセット量をそれぞれ記憶し、
前記測定値補正部は、正弦波の各補正値波形の振幅量、相対位相角およびオフセット量に基づいてそれぞれ算出される補正値の総和で、前記回転検出部から出力される測定位相角を補正して出力する
ことを特徴とした回転変位補正装置。 - 円周方向にスケールを有するとともに円周方向における基準となる基準位置を有し、前記スケールの中心を通る中心軸を回転軸として回転される回転体と、
前記スケールに対応して配設され前記スケールに基づいて前記回転体の回転変位量に関する回転変位信号を出力する回転検出部と、
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の回転変位補正装置と、
を具備したことを特徴とした変位検出装置。
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