JP2012083281A - アブソリュート型リニアエンコーダとアクチュエータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 変形が容易な素材によりスケールを製造しても、良好な絶対位置制度が得られるように、ソフトウェア補正による方法で絶対精度の改善を行い、それによって、信頼性が高くてコンパクト化が可能であり、且つ、低コスト化が容易であってアブソリュート信号を安定して検出することが可能なアブソリュート型リニアエンコーダとそのアブソリュート型リニアエンコーダを搭載したアクチュエータを提供すること。
【解決手段】 ソフトウェア補正を施すことにより絶対位置精度を向上させることを特徴とするもの。
【選択図】 図6

Description

本発明は、例えば、精密位置決めシステムに用いられるアブソリュート型リニアエンコーダとそのアブソリュート型リニアエンコーダを使用したアクチュエータに係り、特に、リニアスケールをPETフィルムのような変形容易な素材から構成した場合も、必要な絶対位置精度を得ることができるように工夫したものに関する。
精密位置決め装置において、位置決めフィードバック用のセンサーとして、例えば、リニアエンコーダが使用される。これはリニアエンコーダが高精度であって低コストであることに起因する。ところが、現在多く用いられているリニアエンコーダは原点復帰動作の必要なインクリメンタル型である。この種のインクリメンタル型のリニアエンコーダの場合には、装置立ち上げ時或いはトラブル発生時には原点復帰動作を行う必要がある。その為、装置の稼働率が低下してしまうという問題があった。
そこで、インクリメンタル型のリニアエンコーダに代わってアブソリュート型のリニアエンコーダの使用が提案されている。この種のアブソリュート型のリニアエンコーダの場合には上記原点復帰動作が不要になるからである。
尚、本件特許出願人も装置起動時に短い距離だけ動くことにより絶対位置を知ることができる簡易型のアブソリュート型リニアエンコーダに関する出願を行っている(特許文献1)。そこに開示されているアブソリュート型リニアエンコーダは、PN符号系列の必要ビット数のデータを読み込むセンサーが搭載されている装置可動部を必要ビット数動かす構成になっていて、それによって、一個のセンサーで済むように構成したものであり、簡易な構成で絶対位置を知ることができるというものである。
しかしながら、装置によっては装置起動時に僅かでも動くとワークやジグ類等を破損させてしまう装置もあり、そのような場合には上記簡易型のアブソリュート型リニアエンコーダが適用できないという問題があった。
一方、全く動かなくてもよいアブソリュート型リニアエンコーダの提案も多くなされている。そのようなアブソリュート型リニアエンコーダを開示するものとして、例えば、特許文献2、特許文献3等がある。
上記従来の構成によると次のような問題があった。
すなわち、上記特許文献2、特許文献3に開示されているアブソリュート型リニアエンコーダの場合には、信頼性の確保が不十分であり、コストが高く、検出ヘッドのコンパクト化が困難であるという問題があった。具体的に説明すると、まず、上記特許文献2に記載されているアブソリュート型リニアエンコーダの場合には、1ビットエラー或いは奇数項のエラーについてはこれを検出することはできるが、2ビットエラー或いは偶数項のエラーについてはこれを検出することができないという問題があった。又、全てのビットのエラー検出を行うためには必要ビット数の約2倍のビット長の検査が必要であり、その為多くのセンサー(受光素子)が必要となってしまい、コンパクト化及び低コスト化が困難になってしまうという問題もあった。
因みに、特許文献3に記載された発明の場合には、コンパクトなセンサー部が開示されているが、その場合には所定の検出に必要なビット数分の受光素子しか搭載されておらず、結局、限定的なエラー検出ができるだけである。
又、特許文献2に記載された発明の場合には、そこに開示されているエラー検出方法によってエラーが検出された場合、装置が停止したままとなってしまうという問題もあった。
そこで、本件特許出願人は、この種の問題を解決するものとして特許出願を行っている(特許文献4)。
その際、低コスト化のためにPETフィルム基材を用いて、熱転写印刷によりアブソリュートリニアスケールを形成している。ところが、PETフィルム基材を用いたアブソリュートリニアスケールの場合には容易に変形してしまうため、印刷中や貼付中にアブソリュートリニアスケールに負荷された張力により容易に変形してしまうことがあり、それによって、リニアスケールの絶対精度が低下してしまうという問題があった。
特開2009−68978号公報 特開平03−274414号公報 特開2005−121593号公報 特開2010−217160号公報
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、変形が容易な素材によりリニアスケールを製造しても、良好な絶対位置精度が得られるように、ソフトウェア補正による方法で絶対精度の改善を行い、それによって、信頼性が高くてコンパクト化が可能であり、且つ、低コスト化が容易であってアブソリュート信号を安定して検出することが可能なアブソリュート型リニアエンコーダとそのアブソリュート型リニアエンコーダを搭載したアクチュエータを提供することにある。
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1によるアブソリュート型リニアエンコーダは、ソフトウェア補正を施すことにより絶対位置精度を向上させることを特徴とするものである。
又、請求項2によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項1記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、有限個の補正データを使用してソフトウェア補正を行い、対応する補正データがない領域では近傍2個の補正データにより線形補間するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項3によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項2記載のアブソリュート型リニアエンコーにおいて、補正データは一定のピッチにて取得されることを特徴とするものである。
又、請求項4によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項2記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、ストローク1mあたり100点以上の補正データを用いることを特徴とするものである。
又、請求項5によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項2記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、アクチュエータ内に補正データ保存のためのメモリ又はメモリ機能が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項6によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項1記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、アブソリュートリニアスケールをアクチュエータに貼り付ける又は設置した後に補正データを取得することを特徴とするものである。
又、請求項7によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項1記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、アブソリュートリニアスケール素材としてPETフィルムのような変形容易な材料を用いることを特徴とするものである。
又、請求項8によるアクチュエータは、請求項1〜請求項7の何れかに記載のアブソリュート型リニアエンコーダを用いたことを特徴とするものである。
以上述べたように、本願発明の請求項1によるアブソリュート型リニアエンコーダは、ソフトウェア補正を施すことにより絶対位置精度を向上させる構成になっているので、 例えば、低コスト化のためにPETフィルム基材を用い、熱転写印刷によりアブソリュートリニアスケールを構成しても、その絶対位置精度を向上させることができる。
又、請求項2によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項1記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、有限個の補正データを使用してソフトウェア補正を行い、対応する補正データがない領域では近傍2個の補正データにより線形補間するように構成しているので、比較的簡単な方法で上記効果を得ることができる。
又、請求項3によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項2記載のアブソリュート型リニアエンコーにおいて、補正データは一定のピッチにて取得される構成になっているので、比較的簡単な方法で上記効果を得ることができる。
又、請求項4によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項2記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、ストローク1mあたり100点以上の補正データを用いる構成になっているので、メモリ容量を大きくすることなく、十分に高い精度の補正を行うことができる。
又、請求項5によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項2記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、アクチュエータ内に補正データ保存のためのメモリ又はメモリ機能が設けられている構成になっているので、他のアクチュエータのデータを誤って用いてしまう不具合が避けられ、信頼性を向上させることができる。
又、請求項6によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項1記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、アブソリュートリニアスケールをアクチュエータに貼り付ける又は設置した後に補正データを取得する構成になっているので、寸法安定性が良好で、信頼性を向上させることができる。
又、請求項7によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項1記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、アブソリュートリニアスケール素材としてPETフィルムのような変形容易な材料を用いることができる構成になっているので、低コストで高い精度のアブソリュート型リニアエンコーダを得ることができる。
又、請求項8によるアクチュエータは、請求項1〜請求項7の何れかに記載のアブソリュート型リニアエンコーダを用いた構成になっているので、低コストで高い精度のアクチュエータを得ることができる。
本発明の一実施の形態を示す図で、アクチュエータの構成を示す平面図である。 本発明の一実施の形態を示す図で、アブソリュート型リニアエンコーダの構成を示すブロック図である。 本発明の一実施の形態を示す図で、LFSRの構成を示すブロック図である。 本発明の一実施の形態を示す図で、位相検出用リニアスケール部とPN符号系列アブソリュートリニアスケール部の構成を示す側面図である。 本発明の一実施の形態を示す図で、図4のV−V矢視図である。 本発明の一実施の形態を示す図で、アブソリュートリニアエンコーダの演算値と誤差量との関係を示す線図である。 本発明の一実施の形態を示す図で、補正点数と最大誤差との関係を占めす線図である。
以下、図1乃至図7を参照して本発明の一実施の形態を説明する。この実施の形態は本願発明を一軸アクチュエータに適用した例を示すものである。図1は本実施の形態によるアクチュエータの全体の構成を示す平面図であり、まず、ハウジング1がある。このハウジング1にはスライダ3が図1中左右方向(矢印a方向)に移動可能な状態で取り付けられている。上記ハウジング1内にはボールねじ5が内装されていると共に駆動モータ7が設置されている。上記ボールねじ5は上記駆動モータ7の出力軸に連結されていて、駆動モータ7によって回転駆動されるように構成されている。
尚、図示したアクチュエータはボールねじ5と駆動モータ7の出力軸が一体化されたものもあるが、そのような構成のアクチュエータに限定されるものではない。
上記ボールねじ5には図示しないボールナットがその回転を規制された状態で螺合・配置されている。既に説明したスライダ3はこのボールナットに固着されている。上記ハウジング1にはガイド9、11が設置されていて、これらガイド9、11によって上記スライダ3の図1中左右方向(矢印a方向)への移動をガイドする。そして、駆動モータ7を適宜の方向に回転させることによりボールねじ5が同方向に回転し、それによって、ボールナットを介してスライダ3が上記ガイド9、11によってガイドされながら図1中左右方向(矢印a方向)に移動する。
上記ガイド11側にはリニアスケール部21が設置されており、一方、上記スライダ3には検出ヘッド部23が取り付けられている。又、アクチュエータに対して離間した場所にはコントローラ部25が設置されている。
次に、上記リニアスケール部21、検出ヘッド部23、コントローラ部25の構成について詳しく説明する。図2は図1の中から上記リニアスケール部21、検出ヘッド部23、コントローラ部25を抽出して示す図である。まず、リニアスケール部21は、位相検出用リニアスケール31、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33とから構成されている。上記PN符号系列アブソリュートリニアスケール33だけでも必要な機能を奏することは可能であるが、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33の分解能はアブソリュート信号の1ビットに等しく、よって、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33だけで長いストロークと高分解能を両立させることは応答速度やコスト面で困難であった。
そこで、本実施の形態の場合には、ややラフな幅のPN符号系列アブソリュートリニアスケール33を用いて、ストロークに対して必要PN符号系列ビット数を適度に抑え、且つ、アブソリュート1ビットをさらに高分解能に分割できる位相検出用リニアスケール31を別途設けているものである。
因みに、ストローク2.6mで分解能0.1μmを実現するためには、アブソリュート1ビット幅80μmで15ビットのPN符号系列で800分割(位相0.45°)可能な位相検出用リニアスケール31が必要となる。
上記位相検出用リニアスケール31は縞状をなしていて、例えば、80μmピッチの光学反射式のものとして構成されている。すなわち、上記位相検出用リニアスケール31は、40μmの高反射率領域31aと、40μmの低反射領域31bが交互に配置されて連なった構成をなしている。
一方、上記PN符号系列アブソリュートリニアスケール33は1ビットが80μmに構成されていて、高反射率領域33aと低反射領域33bがPN符号系列に基づいて配置された構成になっている。
尚、図2ではアブソリュートリニアスケール33のパターンを、説明を容易にするために、PN符号系列に1:1に対応するように、高反射率領域(黒)33aと低反射率領域(白)33bにて表示している。
上記PN符号系列とは擬似ランダム系列(Pseudo Random Noise、その一部はM系列とも呼ばれる)であり、この擬似ランダム系列とは、例えば、スペクトラム拡散通信、白色雑音生成、暗号化、エラー訂正等に広く使われているものである。上記PN符号系列の生成にはLFSR(Linear Feedback Shift Register)と称されるシフトレジスタが使用される。このシフトレジスタは、図3に示すような構成になっており、XORゲート(又は、XNORゲート)50によって帰還をかける構成になっている。
尚、このLFSRについては追って詳細に説明する。
図2に戻って検出ヘッド部23側の構成をみてみると、まず、上記位相検出用リニアスケール31に対応する位相検出用リニアスケール用光学検出器(CMOSリニアアレイを使用したもの)35と、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33に対応するPN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器(CMOSリニアアレイを使用したもの)37が夫々設置されている。上記位相検出用リニアスケール31と位相検出用リニアスケール用光学検出器35とによって位相検出リニアスケール部を構成している。又、上記PN符号系列アブソリュートリニアスケール33とPN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37とによってアブソリュートリニアスケール部を構成している。
上記位相検出用リニアスケール用光学検出器35とPN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37は、例えば、図4及び図5に示すような状態で設置される。図4及び図5中符号39はLED光源であり、このLED光源39より位相検出用リニアスケール31に対してLED光を投光する。位相検出用リニアスケール31にて反射した光は上記位相検出用リニアスケール用光学検出器35によって受光される。これは、上記PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37の場合も同様である。すなわち、LED光源39よりPN符号系列アブソリュートリニアスケール33に対してLED光が投光される。PN符号系列アブソリュートリニアスケール33にて反射した光は上記PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37によって受光されることになる。位相検出用リニアスケール31、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33の反射率に応じて位相検出用リニアスケール用光学検出器35、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37に入光する光の強度が異なり、これにより位相検出用リニアスケール31、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33の信号を読むことができる。
因みに、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33の低反射率領域33bで反射される光強度は低くPN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37では低強度と検出され、信号「0」を検出することができる。
尚、図4の光学系では光学検出器上の信号ピッチはスケール上のピッチの約2倍に拡大されるが、図2の模式図ではわかり易くするためスケールと光学検出器上の信号は等倍で上下対応するように記載してある。
又、本実施の形態では、上記位相検出用リニアスケール用光学検出器(CMOSリニアアレイを使用したもの)35、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器(CMOSリニアアレイを使用したもの)37としては、プリント基板の上に汎用のパッケージ品のCMOSリニアアレイ及び汎用パッケージ品のチップLEDを表面実装して用いており、汎用品を用いているので、低コストで製造できる利点がある。
又、図4には示していないが、上記位相検出用リニアスケール用光学検出器(CMOSリニアアレイを使用したもの)35、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器(CMOSリニアアレイを使用したもの)37に迷光が入射する場合には、それを防止する遮光板を上記位相検出用リニアスケール用光学検出器(CMOSリニアアレイを使用したもの)35、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器(CMOSリニアアレイを使用したもの)37とLED光源39の間に設置すると有効であり、コントラストの低下を軽減することができる。例えば、黒色の厚み0.1mmで高さは上記位相検出用リニアスケール用光学検出器(CMOSリニアアレイを使用したもの)35、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器(CMOSリニアアレイを使用したもの)37より0.2mm高い樹脂製の板を上記位相検出用リニアスケール用光学検出器(CMOSリニアアレイを使用したもの)35、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器(CMOSリニアアレイを使用したもの)37の側面に貼り付けることで、迷光を効果的に防止することができる。
又、図4において、LED光源39が2個搭載されているのは、上記位相検出用リニアスケール用光学検出器(CMOSリニアアレイを使用したもの)35、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器(CMOSリニアアレイを使用したもの)37に比べ寿命の短いLED39が劣化した場合、他方のLED39に切替が容易であるからである。又、2個を切り替えて用いることにより、LED39の照射領域を拡大することもできるからである。
又、本実施の形態における上記位相検出用リニアスケール31とPN符号系列アブソリュートリニアスケール33は、PETフィルムの上に熱転写印刷により、アルミ蒸着層を熱転写し、さに、その上に黒色インクの熱転写印刷を行うことにより製造されている。それによって、アルミ蒸着層による高反射領域と黒インクによる低反射領域を構成し、位相検出用リニアスケール31の繰り返しパターンとPN符号系列アブソリュートリニアスケール33のPN信号系列(変調)パターンを形成している。
又、図2に示すように、上記検出ヘッド部23には、位相演算器41、絶対位置データ演算器43、絶対位置データ構成器45、トランシーバ47が設置されている。又、上記コントローラ部25には、トランシーバ49、コントローラ51が設置されている。又、上記絶対位置データ演算器43では、LFSRを介して合致する絶対位置を検出しているが、予め作成されている信号データと絶対位置の対応表より求めても良い。又、上記絶対位置データ構成器45にはメモリ46が設置されていて、このメモリ46には後述するソフトウェア補正のためのデータが記憶されることになる。
そして、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37より出力された信号は絶対位置データ演算器43に入力され、その絶対位置データ演算器43においてアブソリュートビット単位の絶対位置が求められる。一方、位相検出用リニアスケール用光学検出器35より出力された信号は位相演算器41に入力され、その位相演算器41によりアブソリュート1ビットを360度とした位相が演算され、さらに高分解能の情報が得られる。絶対位置データ構成器45では、絶対位置データ演算器43と位相演算器41より求められた結果を結合して長ストロークで、且つ、高分解能の絶対位置データを演算・出力する。上記高分解能の絶対位置データはトランシーバ47、トランシーバ49を介してコントローラ51に入力される。コントローラ51はその入力した高分解能の絶対位置データに基づいて駆動モータ7を制御してスライダ3を位置決めするものである。
尚、本実施の形態におけるアブソリュート型リニアエンコーダは、既に説明したように、位相検出用リニアスケール部とアブソリュートリニアスケール部の二つのエンコーダ機能を持っている。前述したように、本来アブソリュートリニアスケール部のみであっても必要な機能を得ることはできるが、アブソリュートリニアスケール部の長ストローク化と高分解能化で応答速度を上げ、且つ、低コスト化することは困難であった。そこで、本実施の形態の場合には、位相検出用リニアスケール部を設け、アブソリュート1ビットをさらに高分解能分割することにより、ややラフな幅のアブソリュートビットを用いることができ、それによって、高分解能、高応答速度で且つ低コストのアブソリュート型リニアエンンコーダを実現しているものである。
以上が本実施の形態によるアクチュエータ及びそこに使用されているアブソリュート型リニアエンコーダの概略の構成である。以下、各部の構成をその作用・効果を交えながら説明する。
まず、前述したLFSRについて詳細に説明する。LFSRは、図3に示されているように、15個(0〜14の15ビット)のシフトレジスタによって構成されている。このような構成をなすLFSRにおいて、発生可能なPN符号系列の周期長(PN符号系列長、L)は次の式(I)に示すようなものである。
L=2−1―――(I)
但し、
L:PN符号系列長
m:ビット数(検出連続信号数)
である。
PN符号系列は二値「0/1(ここでは白黒)」の擬似ランダム系列の一つであって、比較的短い連続したm個の信号によって長大な信号周期(L)を得ることができる信号系列である。例えば、m=15個であればPN符号系列長(L)は、既に説明した式(I)によれば、次の式(II)に示すようなものとなる。
L=215−1=32767―――(II)
又、本実施の形態における上記LFSRの場合には、前述したように、0ビットと1ビットの信号がXORゲート50を介して14ビットへフィードバックされるように構成されている。
図2に示した位相検出用リニアスケール31は、既に説明したように、80μmピッチである。又、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33も1ビットが80μmであり、よって、m=15でのPN符号系列アブソリュートスケール33のストローク(S)は次の式(III)に示すようなものとなる。
S=80μm×32767=約2.6m―――(III)
尚、式(I)、(II)から明らかなように、アブソリュートリニアスケール部側のPN符号系列の上記検出連続信号数mを増加させることにより長いストロークが実現できる。
上記PN符号系列アブソリュートリニアスケール33からの信号検出には、既に説明したように、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37を使用しているが、このPN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37は、ストロークに対して必要なPN符号系列ビット数以上の検出素子が必要となる。例えば、前記の例では、ストローク2.6mに対して15ビットのPN符号系列が必要であり、検出素子は15個以上必要となる。このようにアブソリュート用検出器37は多くの検出素子を必要とし、そのコンパクト化のためには専用の半導体ICを開発して使用される。しかしながら、専用の半導体ICは非常に高価という難点がある。一方CMOSリニアアレイはチャージアンプにより出力を増大させることできるため受光面積を小さくしても容易に出力を確保でき信頼性が高く、又、小型で低コストである。そこで、本実施の形態の場合には、汎用のCMOSリニアアレイを用いることにより、コンパクト化と低コスト化を実現するようにしている。
上記CMOSリニアアレイは、例えば、12.5μmピッチで512個の検出素子が並んでいる検出器であり、多くの検出素子を内蔵している。又、その信号出力は同時に行うことはできず1個ずつの信号出力となるため、例えば、512個の検出素子の信号出力を得ようとすると、略500倍の時間を要することになり、よって、高速の信号出力が困難である難点がある。そこで、本実施の形態の場合には、連続的に(あるいは極めて短時間応答で)位置データを出力する方式ではなく、ある一定時間間隔(又は、ある応答時間)にて位置データを出力する方式を用いることにより、ある一定サンプリング時間内にてCMOSリニアアレイの検出素子の出力を得てエラーチェックや絶対位置データの演算等を行う方式を採用している。
例えば、CMOSリニアアレイの検出素子1つ当りの出力時間が170nsec(6MHz)であれば、全検出素子512個の出力を得るのに略100μsec(10KHz)要することになる。よって、他のロス時間を無視すると、この略10KHzが最大応答周波数となり、高々100Hz程度のアクチュエータの応答周波数に比べ十分高応答であり実用上問題ない。
又、位相検出用リニアスケール31は、図2に示すように、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33の1ビットをさらに分割し高分解能を得るものであり、既に説明したように、PN符号系列アブソソリュートリニアスケール33の1ビットに対して略1/2ビットの高反射率部31aと略1/2ビットの低反射率部31bが対応する構成になっている。PN符号系列アブソリュートリニアスケール33の1ビットを360度とした時、これら高反射率部31a、低反射率部31bよりの光反射強度が略正弦波1周期(360度)になるよう位相検出用リニアスケール用光学検出器35によって検出する。
又、位相検出用リニアスケール用光学検出器35においては、少なくとも2個の検出素子が必要であり、互いに略90度の位相差(アブソリュート1/4ビット相当)を持つものである。そして、90度位相差を持つ2個の信号強度が得られれば、次の式(IV)、(V)に基づいて位相演算器41によって位相が算出される。
tanθ=sinθ/cosθ
={α・sinθ}/{α・sin(θ−90°)}―――(IV)
θ=arctan-1θ ―――(V)
そして、アブソリュート1ビット内における位置が位相で求められる。アブソリュート1ビットで360度に相当するので、例えば、位相45度が算出されたら、次の式(VI)に示すような位置となる。
80μm×45°/360°=10μm ―――(VI)
つまり、アブソリュート1ビットの内側10μmの位置ということになる。このようにして、位相検出用リニアスケール部を用いてややラフなアブソリュートスケール部の分解能を向上させることができるものである。
ところで、位相検出用リニアスケール用検出器35においては、既に説明したように、少なくとも2個のお互いに略90度位相差を持つ検出素子が必要であり、そのコンパクト化のためには専用の半導体ICを開発し用いるのが一般的である。しかしながら、専用の半導体ICは非常に高価という難点がある。そこで本実施の形態では、前述したPN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37の場合と同様に汎用のCMOSリニアアレイを用いることによってコンパクト化と低コスト化を実現している。CMOSリニアアレイは、例えば、12.5μmピッチで512個の検出素子が並んでいる検出器であって多くの検出素子を内蔵しており、2個の略90度位相差の検出素子のみではなく、多数組の略90度位相差を持つ検出素子を用いることができる。各組の検出素子は位相差が等しく(360度の整数倍)、1組に多くの検出素子を用いて平均化することによって信号出力の安定化を図ることができる。例えば、位相検出用リニアスケール31のある箇所にゴミ付着等により信号出力が劣化してもより広い範囲にわたり平均化していればそのゴミの影響は軽微なものとすることができる。又、夫々の組と180°位相差を持つ検出素子を設けることにより、各信号出力との差動をとることができるので、信号出力の増大や外乱安定性を増加させることができる。
又、狭ピッチの多くの検出素子を内蔵しているので、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37との対応付けも容易にできる。PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37の固定位置と位相検出用リニアスケール用光学検出器35の固定位置が検出器の実装ばらつきに起因してずれた場合には、位相検出用リニアスケール用光学検出器35の選択する検出素子をずれ量だけずらして選択することによって調整することができる。例えば、選択する検出素子が何番目の出力かFPGAのソフトを書き替えてやれば良い。
前述したように、本実施の形態では、アブソリュートスケール部と位相用検出用スケール部との2つのスケール部を用いることにより、ややラフな幅のアブソリュートビットを用いて適度なPN符号系列ビット数にて長ストロークを実現すると共に、位相検出用スケール部によりアブソリュート1ビットを、さらに位相分割して高分解能を実現している。これらを低コストかつコンパクトに実現するために、各検出器、すなわち、位相検出用リニアスケール用光学検出器35とPN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37としてCMOSリニアアレイを使用している。前記したようにCMOSリニアアレイは多くの検出素子を内蔵していて高速での信号出力は困難である。そこであるサンプリング時間内にて検出素子の出力を得て絶対位置データ演算等を行う方式を用いることにより、低コストでかつコンパクトでありながら適度な応答周波数を確保している。
したがって、図2に示す絶対位置データ構成器45からの出力は連続的ではなくあるサンプリング時間で更新される間欠的なものとなっている。よって、絶対位置データ構成器45より受信したデータをコントローラ51側に送信するトランシーバ47は適度な送信ビットレートで十分であり、省配線化できるシリアル通信用トランシーバが望ましい。
ところで、既に説明したように、本実施の形態における位相検出用リニアスケール31、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33は、低コスト化のためにPETフィルム基材を用いた熱転写印刷により製造されている。上記PETフィルムはその熱膨張係数が金属材料に近く、フィルムの中では熱安定性が良好でフィルム表面が平滑で印刷、接着等の表面加工も可能な優れた低コスト素材である。しかしながら、あくまで樹脂フィルムであるので、アルミや鋼に較べれば1/18〜1/50程度の弾性率しかなく、例えば、幅7mm、厚み188μm程度のリニアスケールでは容易に伸び変形してしまう。
例えば、長さ1m(幅7mm、厚み188μm)のPETフィルムに0.5Nの張力を掛けると約100μmも伸びてしまう。したがって、PETフィルム製のリニアスケールは、そのスケール製造過程(印刷過程)やスケールの貼付、組込過程で、容易に変形(伸縮)してしまうこととなり、それが原因となって、その絶対精度が損なわれてしまうおそれがある。
一般的に、産業用ロボットではその大部分の使用方法は、ダイレクト教示によるプレイバック型ロボットの使用方法であるので、繰返し位置決め精度(再現性)は要求されるが、絶対精度が要求されることはない。ところが、一部のユーザにおいては、例外的に絶対精度までの要求がある。そのような場合には、ガラススケール等の変形困難で、且つ、熱膨張係数の低い材料が用いられることになるが、ガラススケール等は非常に高価である。そこで、本実施の形態の場合には、低コストのPET素材を使用しているわけである。そして、本実施の形態の場合には、このようなPET素材を使用した場合においても、必要な絶対精度を確保するように構成しているものである。
すなわち、本実施の形態の場合は、ソフトウェア補正により絶対精度の大幅改善を実現するようにしている。以下、その内容を詳細に説明する。
まず、ソフトウェア補正の手順から説明する。
最初に、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33及び位相検出用リニアスケール31が形成されているリニアスケール部21をアクチュエータに貼り付ける、又は、リニアスケール部21を厚板に貼り付けて、ねじ等により取り付ける。印刷等で製造されたPETフィルム基材のリニアスケール部21はそのままでは容易に変形してしまい、よって、アクチュエータに直接両面テープで貼り付ける、又は、リニアスケール部21を厚板に貼り付けて、ねじ等により取り付けることにより、アクチュエータに組み込むようにしている。それによって、アルミ剛体のアクチュエータと一体化されて変形困難な状態となる。
アクチュエータのフレーム(例えば、図1のガイド11が形成されているハウジング躯体部)に直接貼り付けることが、アクチュエータフレームの熱膨張変形等に対して、PETフィルム製のリニアスケール部21は伸び縮みすることで、追従することができ、最も好ましい取り付け構造となる。しかしながら、リニアスケール部21の交換メンテナンス性等を考慮すると、別の厚板に貼り付けた後、そのスケール貼付済みの厚板をアクチュエータフレームにネジ止めする取り付け方法等も有効である。
次に、貼り付けたリニアスケール部21を用いて位置演算を行い、アクチュエータのスライダ3を所定位置に位置決めする。そして、その位置での誤差をレーザー測長器で測定して求める。このような誤差測定を測定位置を変えながら必要な補正点数分だけ行う。測定位置(アブソエンコーダ演算値)は一定ピッチで送っていくのがアクチュエータ駆動上も容易であり、且つ、リニアスケール部21全体に対して万遍無く補正を施すことができ、補正による絶対精度改善効果のバラツキをなくすことができる。
又、補正点数は多ければ多い程絶対精度改善効果は良好になるが、メモリ46の容量や補正データ測定時間等によりコストが上昇していくことになるので、それらを考慮した適正な補正点数を決定する必要がある。この補正点数について追って詳細に説明する。以上の作業は絶対精度の基準温度である20℃の恒温室で実施する。
尚、誤差測定はレーザー測長器が絶対精度が容易に得られるので好都合であるが、他の絶対精度測定可能な測定機器を用いても同様の効果を得ることができる。
そして、測定時の演算位置と誤差データをメモリ46に保存する。
尚、本実施の形態では、アクチュエータの検出ヘッド部23にある絶対位置データ構成器45に設けられたメモリ46に記憶させるようにしているが、コントローラ41のメモリに記憶するようにしてもよい。
但し、コントローラ41は他のアクチュエータと組合せられる場合もあるので、本実施の形態のように、アクチュエータ内のメモリ46にデータを保存する方が、リニアスケール部21が組付けられているアクチュエータ固有の補正データがそのアクチュエータ内のメモリ46に保存されることになるので、他のアクチュエータのデータと混同することがなく望ましい。
尚、上記のメモリは個別のメモリでなくても、CPU内蔵のメモリ機能等でもよいことはいうまでもない。
次に、図6を参照して、上記メモリ46内に記憶された誤差保存データを利用した補正の手法について説明する。図6はソフトウェア補正の原理を示す模式図であり、横軸はアクチュエータに貼付けられたリニアスケール部21を用い、アブソリュートエンコーダの検出ヘッド部23にて演算された位置を示し、縦軸はアブソリュートエンコーダの各演算位置に対する誤差量を示す。すなわち、図6中の実線はアブソリュートエンコーダ演算値に対する誤差量を示している。
最初に、アクチュエータに組込まれたリニアスケール部21を使用して位置演算する。その位置演算結果をP(x)とする。
次に、位置演算結果P(x)の最も近傍の2個(+側と−側の2個)の補正データ演算位置を探す。その二つの補正データ演算位置をP(n)、P(n+1)とする。
次に、上記補正データ演算位置P(n)、P(n+1)に対応する誤差データE(n)、E(n+1)をメモリ46から取り出す。
次に、その取り出した誤差データE(n)、E(n+1)を使用して、次の式(VII)に示す線形補間演算を行って、位置演算結果をP(x)に補正を施す。
補正された位置=P(x)+E(x)
=P(x)+{E(n+1)−E(n)}
×{P(x)−P(n)}/{P(n+1)−P(n)}―――(VII)
又、図6中P(n)及びP(n+1)はレーザー測長器にて誤差を測定した補正点のアブソエンコーダ演算値(位置)を示し、E(n)及びE(n+1)はP(n)及びP(n+1)の位置におけるレーザー測長器にて測定した誤差データである。したがって、アブソエンコーダ演算位置がP(n)であれば、真の位置は、次の式(VIII)に示すように、E(n)の補正演算を施したものとなる。
補正された位置=P(n)+E(n)―――(VIII)
尚、補正点のアブソエンコーダ演算位置と一致した位置であれば,上記式VIIIを用いた補正で、真の位置(誤差0)が求められるが、一方、補正点と演算位置が一致しない場合には、本実施の形態では高コスト化を避けるため有限な個数の補正データを用い補正データのないアブソエンコーダ位置P(n)とP(n+1)の間では、線形補間演算により補正演算を行う。
この演算式は先に示した式VIIによる。図6上では、補正データのない位置P(x)の補正は以下の手順となる。P(x)より+側(右側)の補正データのある補正点位置P(n+1)の誤差データE(n+1)とP(x)より−側(左側)の補正点位置P(n)の誤差データE(n)とを結びこの直線(破線)にて近似・線形補間すると誤差E(x)を求めることができる。この誤差E(x)をP(x)に加えることにより補正される。この補正結果は図6図中にも明示されているように、真の誤差量曲線(実線)と線形補間近似直線(破線)は必ずしも一致せず、絶対位置精度は大幅に改善されるものの誤差は残っている。この誤差量曲線に対して十分多くの補正点数を用いれば高精度な絶対位置精度が得られるが、それにはその補正データを保存する大容量のメモリや多数の補正点数の誤差測定時間が掛かることになり高いコストが発生することになる。
そこで、適正な補正点数を実験にて求めてみた。図7がその結果を示す図であり、横軸がストローク1m当りの補正点数で、縦軸は1mストローク内での最大誤差を示す。この図7に示すように、ソフトウェア補正を行わない時(図中では補正点数0に対応)は最大誤差は159μmもあるが、ソフトウェア補正を行うことで大幅に誤差が減少し、絶対精度が向上していることがわかる。補正点数10点程度でも最大誤差は1/3程度まで大幅に改善され、補正点数が100点を超えると最大誤差10μm程度に収束している。このソフトウェア補正改善効果は補正改善したい誤差うねりの最小波長(この実施例では約80mm)に略10点以上の補正点があれば、その誤差のほとんどを無くす補正ができることに起因し、それは1mあたり略100点に対応する。すなわち、補正点数は100点以上で略収束しているので、コストパフォーマンスの良好なのは補正点数100点以上ということになる。
又、100〜250点の補正点数であれば,ストローク4mでも400〜1000点程度であり,必要なメモリ容量は高々16Kビットと小容量で済み,且つ、誤差データ測定時間も10分程度で済み、ソフトウェア補正によるコストアップは軽微である。高い絶対精度を有するガラススケールでもその絶対精度は5μm程度であり、それに近い絶対精度まで変形容易なPETフィルムスケールでもソフトウェア補正を行うことにより高精度化することができる。又、高精度化に伴うコストアップは軽微に留めることもできる。
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、ソフトウェア補正を施すことにより絶対位置精度を向上させる構成になっているので、例えば、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33と位相検出用リニアスケール31とからなるリニアスケール部21を低コスト化のためにPETフィルム基材を用い、熱転写印刷により構成しても、その絶対位置精度を向上させることができる。
又、有限個の補正データを使用してソフトウェア補正を行い、対応する補正データがない領域では近傍2個の補正データにより線形補間するように構成しているので、比較的簡単な方法で、所望の絶対位置精度を得ることができる。
又、補正データは一定のピッチにて取得される構成になっているので、アクチュエータの駆動上容易であり、又、リニアスケール部21全体に対して万遍無く補正を施すことができ、補正による絶対精度改善効果のバラツキをなくすことができる。
又、本実施の形態の場合には、ストローク1mあたり100点以上の補正データを用いる構成になっているので、メモリ46の容量を大きくすることなく、十分に高い精度の補正を行うことができる。
又、本実施の形態の場合には、アクチュエータ内に補正データ保存のためのメモリ46が設けられているので、他のアクチュエータのデータと混同するようなこともない。
又、本実施の形態の場合には、リニアスケール部21をアクチュエータに貼り付ける又は設置した後に補正データを取得する構成になっているので、信頼性を向上させることができる。
又、本実施の形態によれば、低コストで高い精度のアクチュエータを得ることができる。
尚、本発明は前記一実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前記一実施の形態では、熱転写印刷方式にて製作したPET素材のPN符号系列アブソリュートリニアスケールを用いているが、リソグラフィー方式にて製作したPET素材のPN符号系列アブソリュートリニアスケールにも適用できる。さらに、他の樹脂やゴム素材や金属素材のPN符号系列アブソリュートリニアスケールでもソフトウェア補正による高精度化の効果はあり適用できる。
又、PN符号系列アブソリュートリニアスケールに限らずアブソリュートロータリースケールに適用し絶対精度改善を図ることもできる。
本発明は、アブソリュート型リニアエンコーダとそのアブソリュート型リニアエンコーダを使用したアクチュエータに係り、特に、装置のコンパクト化が容易であって信頼性が高く、且つ、低コスト化できてアブソリュート信号を安定して検出することができるように工夫したものに関し、例えば、精密位置決めシステムに好適である。
1 ハウジング
3 スライダ
5 ボールネジ
7 駆動モータ
9 ガイド
11 ガイド
21 リニアスケール部
23 検出ヘッド部
25 コントローラ部
31 位相検出用リニアスケール
33 アブソリュートリニアスケール
35 位相検出用リニアスケール用光学検出器
37 アブソリュートリニアスケール用光学検出器
41 位相演算器
43 絶対位置データ演算器
45 絶対位置データ構成器
46 メモリ
47 トランシーバ
49 トランシーバ
51 コントローラ

Claims (8)

  1. ソフトウェア補正を施すことにより絶対位置精度を向上させることを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  2. 請求項1記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、
    有限個の補正データを使用してソフトウェア補正を行い、対応する補正データがない領域では近傍2個の補正データにより線形補間するようにしたことを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  3. 請求項2記載のアブソリュート型リニアエンコーにおいて、
    補正データは一定のピッチにて取得されることを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  4. 請求項2記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、
    ストローク1mあたり100点以上の補正データを用いることを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  5. 請求項2記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、
    アクチュエータ内に補正データ保存のためのメモリ又はメモリ機能が設けられていることを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  6. 請求項1記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、
    アブソリュートリニアスケールをアクチュエータに貼り付ける又は設置した後に補正データを取得することを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  7. 請求項1記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、
    アブソリュートリニアスケール素材としてPETフィルムのような変形容易な材料を用いることを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  8. 請求項1〜請求項7の何れかに記載のアブソリュート型リニアエンコーダを用いたことを特徴とするアクチュエータ。
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