JP2008144056A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた機械的特性、特に高い流動性、剛性を有し、且つ靱性に優れた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A) 異方性溶融相を形成しないポリエステル系樹脂100重量部に、(B) 異方性溶融相を形成し得る液晶性樹脂20〜70重量部、(C) リン化合物0.01〜0.5重量部、(D) アミノシランにより表面処理され、且つビスフェノール型エポキシ樹脂により収束されてなるガラス繊維であり、且つ1000℃における加熱減量が0.6〜1.2%であるガラス繊維20〜100重量部を配合する。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた機械的特性を有する樹脂組成物に関する。
異方性溶融相を形成し得る液晶性樹脂(LCP)は、高強度、高剛性、高耐熱、高流動性といった数多くの特性を有する熱可塑性樹脂であるが、非常に高価であるという商業上の不利がある。一方、ポリカーボネート樹脂(PC)等の異方性溶融相を形成しないポリエステル系樹脂は、比較的安価であるが、耐熱性、剛性等の物性がLCPよりも劣るという不利がある。そこで、LCPと異方性溶融相を形成しないポリエステル系樹脂の利点を活かし、両者の持つ欠点を補うため、これらを混合して使用する試みが行われている(特許文献1、2)。これらの樹脂組成物は、射出成形することにより容易にLCPが繊維化し、従来にない極めて高い補強効果を発現することによって、機械強度、特に曲げ弾性率が著しく向上する。また、更なる機械強度の向上を意図し、特許文献3では異方性溶融相を形成しない熱可塑性樹脂とLCPと充填剤とからなる射出成形体が提案されている。
特開平7−179743号公報 特開昭62−116666号公報 特開平10−53654号公報
上記従来技術によれば、ある程度機械強度の向上した樹脂組成物が得られるが、靱性に関わる特性、特に引張り伸度や衝撃強度の向上が十分でないという問題があった。
本発明者等は上記問題点に鑑み、より高い機械特性を有する樹脂組成物を得るべく鋭意探索検討した結果、異方性溶融相を形成しないポリエステル系樹脂とLCPとからなる樹脂成分に対し、リン化合物と特定の処理が施されたガラス繊維を配合した樹脂組成物は、高い流動性、剛性を有し、且つ靱性に優れたものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
(A) 異方性溶融相を形成しないポリエステル系樹脂100重量部に、
(B) 異方性溶融相を形成し得る液晶性樹脂20〜70重量部、
(C) リン化合物0.01〜0.5重量部、
(D) アミノシランにより表面処理され、且つビスフェノール型エポキシ樹脂により収束されてなるガラス繊維であり、且つ1000℃における加熱減量が0.6〜1.2%であるガラス繊維20〜100重量部
を配合してなる樹脂組成物である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明で使用する(A) 異方性溶融相を形成しないポリエステル系樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂及びこれらの樹脂を主体とする樹脂が挙げられる。これらの中でもポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が好ましい。特に流動性に劣るポリカーボネート樹脂の場合、本発明による効果が顕著である。
次に、本発明で使用する液晶性樹脂(B) とは、光学異方性溶融相を形成し得る性質を有する溶融加工性樹脂を指す。異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法により確認することが出来る。より具体的には、異方性溶融相の確認は、Leitz偏光顕微鏡を使用し、Leitzホットステージに載せた溶融試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観察することにより実施できる。本発明に適用できる液晶性樹脂は直交偏光子の間で検査したときに、たとえ溶融静止状態であっても偏光は通常透過し、光学的に異方性を示す。
前記のような液晶性樹脂(B) としては特に限定されないが、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドであることが好ましく、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドを同一分子鎖中に部分的に含むポリエステルもその範囲にある。これらは60℃でペンタフルオロフェノールに濃度0.1重量%で溶解したときに、好ましくは少なくとも約2.0dl/g、さらに好ましくは2.0〜10.0dl/gの対数粘度(I.V.)を有するものが使用される。
本発明に適用できる液晶性樹脂(B) として好ましい芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドの内、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミンの群から選ばれた少なくとも1種以上の化合物を構成成分として有する芳香族ポリエステル、芳香族ポリエステルアミドが特に好ましい。
より具体的には、
(1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上からなるポリエステル;
(2)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオールおよびその誘導体の少なくとも1種又は2種以上、とからなるポリエステル;
(3)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミンおよびその誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上、とからなるポリエステルアミド;
(4)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミンおよびその誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上と、(d)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオールおよびその誘導体の少なくとも1種又は2種以上、とからなるポリエステルアミドなどが挙げられる。さらに上記の構成成分に必要に応じ分子量調整剤を併用してもよい。
本発明に適用できる前記(B) 液晶性樹脂を構成する具体的化合物の好ましい例としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、下記一般式(III)および下記一般式(IV)で表される化合物等の芳香族ジオール;テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および下記一般式(V)で表される化合物等の芳香族ジカルボン酸;p−アミノフェノール、p−フェニレンジアミン等の芳香族アミン類が挙げられる。
Figure 2008144056
(但し、X :アルキレン(C1〜C4)、アルキリデン、-O- 、-SO-、-SO- 、-S-、-CO-より選ばれる基、Y :-(CH)-(n =1〜4)、-O(CH)O-(n =1〜4)より選ばれる基)
本発明が適用される特に好ましい(B) 液晶性樹脂としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を主構成単位成分とする芳香族ポリエステルである。
(B) 液晶性樹脂の配合量は、(A) 異方性溶融相を形成しないポリエステル系樹脂100重量部に対し20〜70重量部である。20重量部未満であると流動性の向上効果が小さく、70重量部より多いと靱性の低下が大きく、且つ経済的に好ましくない。
本発明における(C) リン化合物は、ブレンド樹脂中において(B) 液晶性樹脂を島状分散させ、射出成形により繊維化させるために必要な成分である。この(C) リン化合物としては、下記一般式(I)、(II)で示されるりんオキソ酸モノエステル及びジエステルから選ばれる1種又は2種以上の化合物が好ましい。
(X)nP(=O)(OR)3-n (I)
(X)nP(OR)3-n (II)
〔式中、n は1または2であり、X は水素原子、水酸基、または一価の有機基であり、複数の場合同一でも異なっていてもよい。R は一価の有機基であり、複数の場合同一でも異なっていてもよい。〕
一般にホスホネート化合物、ホスフィネート化合物、ホスホナイト化合物、ホスフィナイト化合物およびこれらの構造要素を分子内に含む有機りん化合物が該当する。
ホスホネート化合物の具体例としては、例えばジメチルホスホネート、ジエチルホスホネート、ジブチルホスホネート、ジ(エチルヘキシル)ホスホネート、ジデシルホスホネート、ジパルミチルホスホネート、ジステアリルホスホネート、ジラウリルホスホネート、ジフェニルホスホネート、ジベンジルホスホネート、ジトルイルホスホネート、ジ(ノニルフェニル)ホスホネート、ジオレイルホスホネート、ジメチルメチルホスホネート、ジエチルメチルホスホネート、ジ(エチルヘキシル)メチルホスホネート、ジパルミチルメチルホスホネート、ジステアリルメチルホスホネート、ジラウリルメチルホスホネート、ジフェニルメチルホスホネート、ジメチルフェニルホスホネート、ジエチルフェニルホスホネート、ジ(エチルヘキシル)フェニルホスホネート、ジパルミチルフェニルホスホネート、ジステアリルフェニルホスホネート、ジラウリルフェニルホスホネート、ジフェニルフェニルホスホネート、ジベンジルフェニルホスホネート等が挙げられる。
ホスフィネート化合物の具体例としては、たとえばメチルホスフィネート、エチルホスフィネート、ブチルホスフィネート、エチルヘキシルホスフィネート、パルミチルホスフィネート、ステアリルホスフィネート、ラウリルホスフィネート、フェニルホスフィネート、ベンジルホスフィネート、トルイルホスフィネート、ノニルフェニルホスフィネート、オレイルホスフィネート、エチルメチルホスフィネート、エチルジメチルホスフィネート、(エチルヘキシル)メチルホスフィネート、(エチルヘキシル)ジメチルホスフィネート、パルミチルメチルホスフィネート、パルミチルジメチルホスフィネート、ステアリルメチルホスフィネート、ステアリルジメチルホスフィネート、ラウリルメチルホスフィネート、ラウリルジメチルホスフィネート、フェニルメチルホスフィネート、エチルフェニルホスフィネート、(エチルヘキシル)フェニルホスフィネート、パルミチルフェニルホスフィネート、ステアリルフェニルホスフィネート、ステアリルジフェニルホスフィネート、ラウリルフェニルホスフィネート、ラウリルジフェニルホスフィネート、フェニルフェニルホスフィネート、ベンジルフェニルホスフィネート等が挙げられる。
ホスホナイト化合物の具体例としては、たとえばジメチルホスホナイト、ジエチルホスホナイト、ジブチルホスホナイト、ジ(エチルヘキシル)ホスホナイト、ジデシルホスホナイト、ジパルミチルホスホナイト、ジステアリルホスホナイト、ジラウリルホスホナイト、ジフェニルホスホナイト、ジベンジルホスホナイト、ジトルイルホスホナイト、ジ(ノニルフェニル)ホスホナイト、ジオレイルホスホナイト、ジメチルメチルホスホナイト、ジエチルメチルホスホナイト、ジ(エチルヘキシル)メチルホスホナイト、ジパルミチルメチルホスホナイト、ジステアリルメチルホスホナイト、ジラウリルメチルホスホナイト、ジフェニルメチルホスホナイト、ジメチルフェニルホスホナイト、ジエチルフェニルホスホナイト、ジ(エチルヘキシル)フェニルホスホナイト、ジパルミチルフェニルホスホナイト、ジステアリルフェニルホスホナイト、ジラウリルフェニルホスホナイト、ジフェニルフェニルホスホナイト、ジベンジルフェニルホスホナイト等が挙げられる。
ホスフィナイト化合物の具体例としては、たとえばメチルホスフィナイト、エチルホスフィナイト、ブチルホスフィナイト、エチルヘキシルホスフィナイト、パルミチルホスフィナイト、ステアリルホスフィナイト、ラウリルホスフィナイト、フェニルホスフィナイト、ベンジルホスフィナイト、トルイルホスフィナイト、ノニルフェニルホスフィナイト、オレイルホスフィナイト、エチルメチルホスフィナイト、エチルジメチルホスフィナイト、(エチルヘキシル)メチルホスフィナイト、(エチルヘキシル)ジメチルホスフィナイト、パルミチルメチルホスフィナイト、パルミチルジメチルホスフィナイト、ステアリルメチルホスフィナイト、ステアリルジメチルホスフィナイト、ラウリルメチルホスフィナイト、ラウリルジメチルホスフィナイト、フェニルメチルホスフィナイト、エチルフェニルホスフィナイト、(エチルヘキシル)フェニルホスフィナイト、パルミチルフェニルホスフィナイト、ステアリルフェニルホスフィナイト、ステアリルジフェニルホスフィナイト、ラウリルフェニルホスフィナイト、ラウリルジフェニルホスフィナイト、フェニルフェニルホスフィナイト、ベンジルフェニルホスフィナイト等が挙げられる。これらの中で、特に一般式(VI)で示されるホスホン酸エステルが好ましく用いられる。
H(OH)mP(=O)(OR)2-m (VI)
〔式中、m は0または1であり、R は一価の有機基である。〕
また、(C) のりん化合物として、上述のホスホネート、ホスフィネート、ホスホナイト、ホスフィナイト構造要素を分子内に含む有機りん化合物も使用できる。その具体例として以下のような化合物が挙げられる。
Figure 2008144056
本発明において、上記リン化合物を配合することにより、樹脂成分の一部である(B) 液晶性樹脂が低い剪断速度領域でも容易に繊維化するため、成形時の射出速度が遅くても、薄肉部はもとより厚肉部の表層からかなり内部まで液晶性樹脂の繊維化した層が形成され、成形後の変形がなく高い寸法安定性を保持し、高弾性率、即ち高い剛性を有する成形品を得ることが可能になるのである。
この特定の(C) リン化合物の配合量は、(A) 異方性溶融相を形成しないポリエステル系樹脂100重量部に対し0.01〜0.5重量部である。配合量が0.01重量部未満であると成形中に液晶性樹脂を繊維化する効果が少なく、0.5重量部を超えて配合するとむしろ材料物性を低下させる。
本発明に用いる(D) 成分は、アミノシランにより表面処理され、且つビスフェノール型エポキシ樹脂により収束されてなるガラス繊維であり、且つ1000℃における加熱減量が0.6〜1.2%であるガラス繊維である。ガラス繊維としては、チョップドガラスファイバー、ガラスロービング等の形状で使用可能である。
アミノシランによる表面処理は、ガラス繊維表面の吸着水を低減し、収束剤との濡れ性を改善する。ビスフェノール型エポキシ樹脂による収束は、耐熱性を高め、高い温度での加工においてもマトリックス樹脂との密着性を悪化させない。
更に、1000℃における加熱減量が0.6%未満であると、マトリックス樹脂との密着性が改善できず、1000℃における加熱減量が1.2%より多いと、加工時にガス発生量が多くなり、成形品の外観を悪化させる。
また、このガラス繊維の平均径は8〜16μm が好ましい。本発明の樹脂組成物は後述するように、通常、押出機による溶融混練によって製造するのであるが、平均径が8μm 未満であると、樹脂組成物を製造する際にガラス繊維のフィード性が著しく劣り、16μm より大きいと、成形品外観が悪化する。そして、このガラス繊維は樹脂組成物中において、400〜600μm の平均繊維長を有することが好ましい。平均繊維長が400μm 未満であると、引張強度、シャルピー衝撃値の向上効果が小さく、600μm より長いと加工時の流動性が劣る。
押出機による溶融混練によって、ガラス繊維長を400〜600μm の平均繊維長にするためには、二軸押出機を用いてガラス繊維フィード部より下流に位置する混練部のスクリューデザイン、混練部の長さ等を調整することによって達成可能となる。一般的には、逆フライト、シーリング、順ニーディングディスク、逆ニーディングディスク、直交ニーディングディスク等のスクリューエレメントが組み合わされて構成されている。本発明の場合、所望の平均繊維長にするためには、通常のスクリューデザインよりもガラス繊維を折らない順ニーディングディスクを多用し、混練部の長さの短いスクリューデザインのものを使用して溶融混練することが望ましい。
本発明において、上記特定の(D) 成分の配合量は、(A) 異方性溶融相を形成しないポリエステル系樹脂100重量部に対し20〜100重量部である。配合量が20重量部未満であると引張強度の改善効果が小さく、100重量部より多いと靱性の低下が大きく、且つ流動性が悪化する。
尚、(D) 成分において、表面処理剤としてのアミノシランの量、収束剤としてのビスフェノール型エポキシ樹脂の量は特に制限されないが、シャルピー衝撃等の靱性に代表される機械的特性の観点から、ガラス繊維表面を充分に被覆するようなアミノシラン量が必要であり、また、加工性の観点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂は、ガラス繊維が樹脂に混練されるまでガラス繊維が充分に収束されている量が必要である。一方、必要以上の量は、ガス発生等の問題を起こし好ましくない。
以上から、アミノシランにより表面処理され、且つビスフェノール型エポキシ樹脂により収束されたガラス繊維を1000℃に加熱した場合の加熱減量が加熱前に比べて重量比率で0.6〜1.2%であることが好ましく、通常、両者の合計量がガラス繊維に対して0.6〜1.2%の範囲であることが好ましい。
本発明においては、ガラス繊維以外の繊維状充填剤を使用することも、更なる機械的強度の改善の観点で好ましい。具体的には、炭素繊維、炭素ミルドファイバーとしては、ポリアクリロニトリルを原料とするPAN系、ピッチを原料とするピッチ系繊維が用いられる。ウィスカーとしては、窒化珪素ウィスカー、三窒化珪素ウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、炭化珪素ウィスカー、ボロンウィスカー等が用いられ、金属繊維としては、軟鋼、ステンレス、銅及びその合金、黄銅、アルミニウム及びその合金、鉛等の繊維が用いられる。無機系繊維としては、ロックウール、ジルコニア、アルミナシリカ、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、炭化珪素、アルミナ、シリカ、高炉スラグ等の各種繊維が用いられる。
また、粒状充填剤を使用することは寸法精度を向上させることができるので、本発明の効果を悪化させない範囲で使用することができる。具体的には、カオリン、クレー、バーミキュライト、タルク、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、長石粉、酸性白土、ロウ石クレー、セリサイト、シリマナイト、ベントナイト、ガラス粉、ガラスビーズ、スレート粉、シラン等の珪酸塩、炭酸カルシウム、胡粉、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩、バライト粉、沈降性硫酸カルシウム、焼石膏、硫酸バリウム等の硫酸塩、水和アルミナ等の水酸化物、アルミナ、酸化アンチモン、マグネシア、酸化チタン、亜鉛華、シリカ、珪砂、石英、ホワイトカーボン、珪藻土等の酸化物、二硫化モリブデン等の硫化物、金属粉粒体等の材質からなるものである。その中でも価格と性能の面から、マイカ、タルク、酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上が好ましくい。
弾性率向上を達成するためには、上記繊維状充填剤及び粒状充填剤の添加量、特に繊維状充填剤の添加量は多いほど良いが、添加量過多は比重の増加、押出性特に流動性を悪化させ、更に機械的強度を低下させる。また、添加量が少なすぎても添加量に見合った弾性率が発現されない。
本発明に使用する繊維状充填剤、粒状充填剤はそのままでも使用できるが、一般的に用いられる公知の表面処理剤、収束剤を併用することができる。
尚、本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、核剤、カーボンブラック等の顔料、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤および難燃剤等の添加剤を添加することもできる。
このような樹脂組成物を製造するには、各成分を前記割合で配合し、溶融混練すればよい。通常、押出機で溶融混練し、ペレット状に押出し、射出成形等に用いるが押出機による押出しに限定されるものではない。
尚、溶融混練温度、成形時の樹脂温度については、液晶性樹脂の融点以上とし、液晶性樹脂が完全に溶融した状態で行うのが好ましい。融点以上で押出ししないと液晶性樹脂の分散が悪く、微分散させるのが困難になり、融点以上で成形しないと微分散した液晶性樹脂が繊維化せず、且つ表面剥離という現象が起こり易く好ましくない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜5、比較例1〜5
ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製パンライトL1225L)100重量部に対して、液晶性樹脂(ポリプラスチックス(株)製A950)、ジステアリルハイドロゲンホスファイト(城北化学工業(株)製JP218SS)、各種チョップドガラスファイバーを表1に示す所定量添加し、30mmの二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX−1)にて樹脂温度300℃にて表1に示す条件で溶融混練し、ペレット化して目的の樹脂組成物を得た。尚、スクリュー形状としては、下記のA又はBを用いた。
押出し工程は、押出し中、混練物に空気が混入し酸化条件とならないように注意を払い、ベントから減圧操作により揮発分を除去しながら目的樹脂組成物の調製を行った。次いで、該ペレットから下記試験片を成形し評価した。結果を表1に示す。
使用したガラス繊維、スクリュー形状、評価項目の詳細は以下の通りである。
(使用したガラス繊維)
C−1;日本電気硝子(株)製ECS03T−187
アミノシランにより表面が処理され、ビスフェノール型エポキシ樹脂により収束されており、1000℃における加熱減量は1.0%
C’−1(比較品);日本電気硝子(株)製ECS03T−786H
アミノシランにより表面が処理され、ウレタン樹脂により収束されており、1000℃における加熱減量は0.35%
C’−2(比較品);日本電気硝子(株)製ECS03T−511
アミノシランにより表面が処理され、ウレタン樹脂により収束されており、1000℃における加熱減量は0.6%
C’−3(比較品);日本電気硝子(株)製ECS03T−127
アミノシランにより表面が処理され、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂ウレタン樹脂により収束されており、1000℃における加熱減量は1.1%
(スクリュー形状A)
スクリュー径30mm、スクリュー全長1155mm、可塑部長さ300mm、混練部長さ300mm、混練部構成;上流側より順ニーディング、逆ニーディング、直交ニーディング、逆ニーディング
(スクリュー形状B)
スクリュー径30mm、スクリュー全長1155mm、可塑部長さ120mm、混練部長さ60mm、混練部構成;順ニーディングのみ使用
(ガラス繊維長)
樹脂組成物ペレットを600℃で3時間加熱して得られた灰分を顕微鏡で観察し、繊維長を測定した。ガラス繊維1000本を測定し、その平均値をガラス繊維長とした。
(引張強伸度)
ISO294記載の4mm厚みのダンベル試験片を用いて、ISO527に準拠し、引張強度、引張伸度を測定した。
(シャルピー衝撃値)
ISO294記載の4mm厚みのダンベル試験片から切削した試験片を用いて、ISO179に準拠し、シャルピー衝撃値を測定した。
Figure 2008144056

Claims (7)

  1. (A) 異方性溶融相を形成しないポリエステル系樹脂100重量部に、
    (B) 異方性溶融相を形成し得る液晶性樹脂20〜70重量部、
    (C) リン化合物0.01〜0.5重量部、
    (D) アミノシランにより表面処理され、且つビスフェノール型エポキシ樹脂により収束されてなるガラス繊維であり、且つ1000℃における加熱減量が0.6〜1.2%であるガラス繊維20〜100重量部
    を配合してなる樹脂組成物。
  2. (A) 異方性溶融相を形成しないポリエステル系樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂及びポリアリレート樹脂より選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. (A) 異方性溶融相を形成しないポリエステル系樹脂がポリカーボネート樹脂である請求項1記載の樹脂組成物。
  4. (C) リン化合物が、下記一般式(I)、(II)で示されるりんオキソ酸モノエステル及びジエステルから選ばれる1種又は2種以上の化合物である請求項1〜3の何れか1項記載の樹脂組成物。
    (X)nP(=O)(OR)3-n (I)
    (X)nP(OR)3-n (II)
    〔式中、n は1または2であり、X は水素原子、水酸基、または一価の有機基であり、複数の場合同一でも異なっていてもよい。R は一価の有機基であり、複数の場合同一でも異なっていてもよい。〕
  5. (D) ガラス繊維が、樹脂組成物中において繊維長400〜600μm を有している請求項1〜4の何れか1項記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか1項記載の樹脂組成物を製造するに際し、溶融混練を(B) 異方性溶融相を形成し得る液晶性樹脂の融点以上の温度で行う樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項1〜5の何れか1項記載の樹脂組成物を成形するに際し、成形を(B) 異方性溶融相を形成し得る液晶性樹脂の融点以上の樹脂温度で行う樹脂組成物成形品の製造方法。
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