JP2008143607A - ワイヤロープのテンション装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】S撚りワイヤロープとZ撚りワイヤロープを仕切り材で区画して同時に1台のテンション装置で巻回することができ、ワイヤロープ同士の接触摩擦による損傷を防止し、かつ、左右巻胴の両側部に設けた広幅の制動部にバンドブレーキを接して制動力を強化して、所定のテンションを付与せしめてウインチに巻かれるワイヤロープを固くしっかり整列状態で巻回して乱巻の発生を防止するワイヤロープのテンション装置を提供する。
【解決手段】ワイヤロープRを巻いたドラムDと、そのドラムDからワイヤロープRを引き出して巻き取るウインチW等との間に配置され、ワイヤロープRの途中部を巻胴2に数回巻回してウインチW等への巻き込み時に張力を一定に付与するワイヤロープのテンション装置である。巻胴2の幅方向の中央部に上方に突出する仕切り材4を設けて左右巻胴2a、2bに区画する。両側のフランジ部5,5に向かって漸次拡大する傾斜面6,6に形成する。両フランジ部5,5の外側面を制動部7,7とし、バンドブレーキ8,8を巻き付ける。
【選択図】図5

Description

本発明は、クレーン・ホイストのドラムや船舶のウインチリールなどに新しいワイヤロープを巻付けする際に、一定の張力を付与するワイヤロープのテンション装置に関するものであり、特に、S撚りワイヤロープとZ撚りワイヤロープの2本を同時に巻き付ける時に好適に用いられるワイヤロープのテンション装置に関するものである。
従来から、クレーン・ホイストのドラムや船舶の各種のウインチリールなどに新しいワイヤロープを巻き替える際には、ドラムに巻かれた新しいワイヤロープの先端をウインチのドラムに結着させてウインチの回転力で巻き取っているが、その巻き取りの際、ワイヤロープに張力をかけてウインチのドラムにきっちりと詰めた状態で整列させて固く巻き取ることが要求される。
すなわち、ワイヤロープに充分な張力をかけないと巻き込みがスムーズにいかないばかりか、巻き乱れが生じやすくなる。また、多重層巻回すると上層のワイヤロープが下層のワイヤロープに割り込みロープの乱巻きや損傷が生じると言った問題があった。
そのような問題を解決するものとして、例えば、ワイヤロープを巻き込んだドラムとウインチとの間に、ボラードや杭を立て、それを介して巻き込むことが行われていた。この場合には、ロープに癖がついたり、傷が生じたりすると共にウインチ側での張力の調整ができないといった問題点があった。
上記のような問題点を解消するものとして、例えば、ワイヤロープを巻回するドラムの直径を、中央部から両側のフランジ部にかけて漸増するように湾曲させ、該ドラムに所定の摩擦力を付加するブレーキを設けると共に、該ドラムの軸にクラッチを介して回転力を付与するモーターを取り付け、さらに、一方のフランジ部の内側にクランプを設けて、動力でワイヤロープをドラムに巻回するワイヤロープのプリテンション装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
実開平6−39885号公報
しかしながら、上記の特許文献1のプリテンション装置は、ブレーキによってドラムの回転に負荷を与えることにより、ワイヤロープに張力を付与するものであるが、ブレーキは一方のフランジの外面に設けられていて、フランジ面に摺接してブレーキをかけるため制動力が弱く、所定のテンションを付与できなくなり、ウインチのドラムにワイヤロープを固くしっかり整列させて巻き取ることができないといった問題点があった。
また、例えばクレーン作業において、2つのウインチドラムに巻回された2本のワイヤロープにより吊り荷を上げ下げすることがある。この場合には、吊り荷を上げ下げする時に、吊り荷が振れないようにS撚りワイヤロープとZ撚りワイヤロープを用いるのが普通である。
そして、ウインチドラムにS撚りロープとZ撚りロープの新しい2本のワイヤロープを巻き付ける場合においても、テンション装置を介してテンションをかけているが、上記の特許文献1のプリテンション装置では、S撚りワイヤロープとZ撚りワイヤロープ2本を同時に巻き付けると、巻胴の中央部でS撚りワイヤロープとZ撚りワイヤロープが接触摩擦して損傷することになる。そのため、どちらか一方のロープを巻き付けた後、他方のロープを巻き付けなければならず、その巻き付け作業に時間がかかるといった問題点があった。
本発明は、上記のような問題点を解決することを課題として研究開発されたもので、S撚りワイヤロープとZ撚りワイヤロープを仕切り材で区画して同時に1台のテンション装置で巻回することができ、ワイヤロープ同士の接触摩擦による損傷を防止し、かつ、左右巻胴の両側部に設けた広幅の制動部にバンドブレーキを接して制動力を強化して、所定のテンションを付与せしめてウインチに巻かれるワイヤロープを固くしっかり整列状態で巻回して乱巻の発生を防止するワイヤロープのテンション装置を提供することを目的とするものである。
上記の課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明では、ワイヤロープを巻いたドラムと、そのドラムからワイヤロープを引き出して巻き取るウインチ等との間に配置され、ワイヤロープの途中部を巻胴に数回巻回してウインチ等への巻き込み時に張力を一定に付与するワイヤロープのテンション装置であって、巻胴の幅方向の中央部に上方に突出する仕切り材を設けて左右巻胴に区画すると共に、両側のフランジ部に向かって漸次拡大する傾斜面に形成し、両フランジ部の外側面を制動部とし、バンドブレーキを巻付けるように構成したことを特徴とするワイヤロープのテンション装置を開発し、採用した。
また、上記のように構成したワイヤロープのテンション装置において、前記バンドブレーキは、両端部にターンバックルを取り付け側杆の一端部に連結し、その側杆の他端部に梃子作用によるバンドブレーキを締め付ける調整具を設けたことを特徴とするワイヤロープのテンション装置、およびテンション装置の引き込み側に、左右巻胴に案内するための2個のワイヤロープのガイド装置を設けたことを特徴とするワイヤロープのテンション装置を開発し、採用した。
本発明の請求項1によれば、ワイヤロープを巻いたドラムと、そのドラムからワイヤロープを引き出して巻き取るウインチ等との間に配置されるテンション装置の巻胴の幅方向の中央部に上方に突出する仕切り材を設けて左右巻胴に区画してあるから、Z撚りワイヤロープはドラムD側から見て中心より右側へ、S撚りワイヤロープは左側へと区別して同時に巻き付けることができ、右巻胴に巻かれたZ撚りワイヤロープおよび左巻胴に巻かれたS撚りワイヤロープに張力がかかると撚りの戻る方向に移動しょうとするため、右巻胴に巻かれたZ撚りワイヤロープは傾斜の低い方向に動き、従って、中央谷底部3に向かって摩擦力が強くなり、ウインチへ巻き付ける時の張力が増す。また、S撚りワイヤロープの場合は、逆の動きをするために左側に巻きつける。そうすることにより、中央部でZ撚りワイヤロープとS撚りワイヤロープ同士による接触摩擦を防ぎ損傷することがなくなる。
また、テンション装置の左右巻胴の両側部に形成された広幅の制動部にバンドブレーキを巻き付けてあるから、左右巻胴の両側でバランスよくブレーキがかかり巻胴の回転を制御して巻胴とワイヤロープとの摩擦が増加する。それと相俟って、巻胴の中央部が両側部より小径となっているため、数回巻回させたワイヤロープはウインチの引張力が作用して中央部に集中し、巻回させた互いに隣接するワイヤロープ同士が接触摩擦して制動作用が働き、ウインチへの巻き込み時の張力を一定とし、固くしっかりとした整列状態で巻き取ることができる。また、ウインチの引張力を巻胴で受けてワイヤロープを巻いてあるドラム側にウインチの引張力が直接伝わらなくなり、そのためにワイヤロープを巻いてあるドラムの下層に食い込むようなことがなく、またドラムのワイヤロープが乱巻きしたりすることがない。
本発明の請求項2によれば、バンドブレーキの両端部に取り付けたターンバックルが側杆の一端部に連結すると共に、その側杆の他端部に梃子作用によるバンドブレーキを締め付ける調整具を設けてあるから、その調整具を締め付けることにより巻胴全体に均一な制動力をかけることができる。
本発明の請求項3によれば、テンション装置の引き込み側に2個のワイヤロープのガイド装置を設けてあるから、左右巻胴に真っ直ぐに確実に導入できる。
以下に、本発明の実施の形態を添付の図1〜図5に基づいて説明すれば、図1はテンション装置の正面図、図2は側面図、図3は平面図、図4は巻胴の一部拡大平面図、図5は使用状態の説明図である。
図5に示すように、テンション装置1は、S撚りワイヤロープR1を巻いたドラムD1とZ撚りワイヤロープR2を巻いたドラムD2の近い位置で、S撚りワイヤロープR1,Z撚りワイヤロープR2を引き出して巻き取るウインチW1,W2との間に配設され、ドラムD1,D2から見て巻胴2の右側にZ撚りワイヤロープR2,左側にS撚りワイヤロープR1の途中部が数回巻きつけられ、S撚りワイヤロープR1,Z撚りワイヤロープR2のウインチW1,W2への巻き込み時に充分な張力を一定に付与できるようになっている。
そのテンション装置1は、図2、図3に示すように、幅方向の中央谷底部3が小径部になっており、その谷底部3から上方に突出する仕切り材4を設けて左右巻胴2a,2bに区画すると共に、谷底部3から両側のフランジ部5,5に向かって75度の傾斜角で漸次拡大する傾斜面6,6とし、両側フランジ部5,5の外周面を制動部7,7としてバンドブレーキ8,8を巻きつけて構成されている。
制動部7の幅は左右巻胴2a,2bの幅と略同じで広くなっている。このテンション装置1は、基台フレーム9と一体的に固着した支持台10,10の上部に設けた軸受け部11,11に回転軸12が挿通され巻胴2が回転可能になっている。
バンドブレーキ8は、内面を摩擦係数の高い合成樹脂製や皮革製とし、外面を鋼製としてリベットで接合された帯状体で、制動部7の外周面に沿って略3/4周添接し、一端部を巻胴2の側方部から垂直に下ろし、その先に取り付けたターンバックル13と結合する連結具14を基台フレーム9の上部に設けた側杆15の一端部に連結してある。また、他端部は巻胴2の下方部からやや下向きにし、その先に取り付けたターンバックル13と結合する連結具14で側杆15の一端部に連結してある。この側杆15の他端部には梃子作用によりバンドブレーキ8を締め付けるスプリング押圧による調整具16を取り付けてある。
16はテンション装置1の引き込み側の下方部に設けたS撚りワイヤロープR1,Z撚りワイヤロープR2のガイド装置であり、左右巻胴2a,2bの前に設置してあり、ワイヤロープR1,R2の巻かれたドラムD1,D2からテンション装置1に真っ直ぐ導入させるものであり、前後2個の縦ロールと左右2個の横ロールとで構成されており、その縦ロールと横ロールに挟まれて導入されるようになっている。このガイド装置16はワイヤロープR1,R2の径に応じて縦ロールと横ロールの間隔を調整して使用できるようになっている。
このように構成された本発明のワイヤロープのテンション装置の使用状態を作用、効果と共に説明すると、S撚りワイヤロープR1とZ撚りワイヤロープR2を巻いたドラムD1,D2と、そのS撚りワイヤロープR1とZ撚りワイヤロープR2を引き出して巻き取るウインチW1,W2との間にテンション装置1を配置するが、テンション装置1は、ドラムD1,D2の近くに設置して、ガイド装置17,17を介してS撚りワイヤロープR1を左巻胴2aに、Z撚りワイヤロープR2を右巻胴2bに導入される。S撚りワイヤロープR1,Z撚りワイヤロープR2は、このガイド装置17,17の前後2個の縦ロールと左右2個の横ロールに挟まってスムーズに左右巻胴2a,2bに導入される。
S撚りワイヤロープR1とZ撚りワイヤロープR2を巻いたドラムD1,D2は図示していないが、適度なブレーキがかかる装置を付設してあり、ドラムD1,D2からS撚りワイヤロープR1,Z撚りワイヤロープR2が常に一定の張力でテンション装置1に入るようにするのが望ましい。
テンション装置1の左右巻胴2a,2bへのS撚りワイヤロープR1とZ撚りワイヤロープR2の巻回数は、ウインチW1,W2への巻き込み張力によって調整するが、数回巻回すればよく、Z撚りワイヤロープR2は、中心より右側の右巻胴2bへ、S撚りワイヤロープR1は、中心より左側の左巻胴2aヘ巻きつけることにより、S撚りワイヤロープR1,Z撚りワイヤロープR2に張力がかかると、撚りの戻る方向に移動しようとするため、右巻胴2bに巻いたZ撚りワイヤロープR2は傾斜の低い方向に動き、従って、中央谷底部3に向かって摩擦力が強くなり、ウインチW1へ巻き付ける時の張力が増す。また、S撚りロープR1の場合は、逆の動きをするために左側に巻きつける。
テンション装置1よりウインチW1,W2への巻き込みは、S撚りワイヤロープR1,Z撚りワイヤロープR2がウインチW1,W2に真っ直ぐに導入するようにするのが望ましいが、真っ直ぐに設置できない場合は、シーブ等を使用して、ウインチW1,W2へ真っ直ぐにS撚りワイヤロープR1,Z撚りワイヤロープR2が繰り出せるように設置する。
S撚りワイヤロープR1とZ撚りワイヤロープR2がウインチW1,W2に達するまで左右巻胴2a,2bの制動部7,7のバンドブレーキ8,8は緩めた状態にしておく。巻き込み開始後、バンドブレーキ8,8の先端部に取付けたターンバックル13,13を締め付けることにより制動力の調節ができるようになっている。
ウインチW1,W2を駆動すると、S撚りワイヤロープR1とZ撚りワイヤロープR2は巻き取られていくが、その際、左右巻胴2a,2bの制動部7,7に巻きつけたバンドブレーキ8,8によって制動を加えることにより、左右巻胴2a,2bとS撚りワイヤロープR1とZ撚りワイヤロープR2との摩擦が増大すると共に、巻胴2の中央谷底部3が両側部より小径となっているため、数回巻回したS撚りワイヤロープR1およびZ撚りワイヤロープR2はウインチW1,W2の引張力が作用して中央谷底部3に集中し、それによって巻回された互いに隣接するS撚りワイヤロープR1およびZ撚りワイヤロープR2同士が強固に接触して制動作用が働く。
ウインチW1,W2の張力を左右巻胴2a、2bで受けてS撚りワイヤロープR1とZ撚りワイヤロープR2を巻いてあるドラムD1,D2側にウインチW1,W2の引張力が直接伝わらなくなり、そのためにワイヤロープR1,R2を巻いてあるドラムD1,D2の下層に食い込むようなことがなく、またドラムD1,D2のS撚りワイヤロープR1とZ撚りワイヤロープR2が乱巻きになることがない。
所定のテンションが得られないときには、テンション装置1の巻胴2の回転軸11を軸受け10から外し、ワイヤロープRの巻き付け本数を増減することにより調整することができる。
この実施の形態によれば、テンション装置1の巻胴2の中央谷底部3に上方に突出する仕切り材4を設けてあるから、Z撚りワイヤロープを右巻胴2bに、S撚りワイヤロープを左巻胴2aに完全に区分けして巻回できることにより、中央谷底部3でのロープ同士による接触摩擦するのを防ぎロープの損傷がなくなると共に、ロープに張力がかかると、撚りの戻る方向に移動しようとするため、Z撚りワイヤロープを右巻胴2bおよびS撚りワイヤロープを左巻胴2aに巻回すると、中央谷底部3方向に動くことによって摩擦力が強くなりウインチW1,W2へのワイヤロープR1,R2に安定した十分な張力を与えた状態でワイヤロープR1,R2をウインチW1,W2に強く巻き付けることができる。
また、バンドブレーキ8による巻胴2の制動を巻胴全体にしかも均一にかけるために梃子を利用して、コイルスプリング圧による調整具15を用いているので、より大きな制動力が得られると共に、その押圧操作が極めて簡単にできることになり作業性が向上する。
以上、本発明の実施の形態については、S撚りワイヤロープR1とZ撚りワイヤロープR2の2本をテンション装置1に巻き付ける場合で説明したが、S撚りワイヤロープR1だけの時、またはZ撚りワイヤロープR2だけの場合もあることは勿論であり、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成でき、かつ本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の設計変更が可能である。
本発明は、油圧クレーン等の建設機械に搭載されるロープウインチのドラムに新品のワイヤロープを巻き付けるのに限るものではなく、油圧以外の作業機械あるいは船舶用ウインチリールなどへの巻き取りにも有効である。
本発明の第1実施の形態を示すテンション装置の正面図である。 その側面図である。 その平面図である。 巻胴の一部拡大図である。 使用状態を示す斜視図である。
符号の説明
1 テンション装置
2 巻胴
2a 左巻胴
2b 右巻胴
3 中央部
4 仕切り材
5 フランジ部
7 制動部
8 バンドブレーキ
13 ターンバックル
15 側杆
16 調整具
17 ガイド装置
R ワイヤロープ
D ドラム
W ウインチ

Claims (3)

  1. ワイヤロープを巻いたドラムと、そのドラムからワイヤロープを引き出して巻き取るウインチ等との間に配置され、ワイヤロープの途中部を巻胴に数回巻回してウインチ等への巻き込み時に張力を一定に付与するワイヤロープのテンション装置であって、巻胴の幅方向の中央部に上方に突出する仕切り材を設けて左右巻胴に区画すると共に、両側のフランジ部に向かって漸次拡大する傾斜面に形成し、両フランジ部の外側面を制動部とし、バンドブレーキを巻き付けるように構成したことを特徴とするワイヤロープのテンション装置。
  2. 前記バンドブレーキは、両端部にターンバックルを取り付け側杆の一端部に連結し、その側杆の他端部に梃子作用によるバンドブレーキを締め付ける調整具を設けたことを特徴とする請求項1に記載のワイヤロープのテンション装置。
  3. テンション装置の引き込み側に、左右巻胴に案内するための2個のワイヤロープのガイド装置を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤロープのテンション装置。
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