JP2008143070A - プラスチック燃料タンク部材用積層体及びそれを用いたプラスチック燃料タンク - Google Patents

プラスチック燃料タンク部材用積層体及びそれを用いたプラスチック燃料タンク Download PDF

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Abstract

【課題】プラスチック燃料タンクからの燃料の透過を確実に防止でき、しかも、高強度で結合し、耐久性に優れた合成樹脂製燃料タンクを簡便な方法で提供する。
【解決手段】アルミニウム層(I)と、キトサン類(a)と周期表の第3族〜第16族かつ第4〜第6周期の元素を含む化合物(b)とを含有してなる処理剤でアルミニウムを処理することによって形成された皮膜層(II)と、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリエチレン接着性樹脂層(III)とを含むことを特徴とするプラスチック燃料タンク部材用積層体、及びそれを用いたプラスチック燃料タンクなどを提供した。
【選択図】図2

Description

本発明は、プラスチック燃料タンク部材用積層体及びそれを用いたプラスチック燃料タンクに関し、さらに詳しくは、車両用のプラスチック燃料タンクの透過防止用部材として好適な積層体及びそれを用いたプラスチック燃料タンクに関する。
近年、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリアミド樹脂等のバリア材をバリア層に用い、最外層にポリオレフィンを用いる多層容器、多層シートなどの多層積層構造体が各分野で利用されており、例えば、自動車用の燃料タンクは、軽量化、大容量化、成形加工性、防錆性などの観点から、金属製のものから合成樹脂製の多層積層構造体のものへ急速に移行している。このような合成樹脂製の燃料タンクにおいては、耐燃料油性、耐衝撃性及び耐久接着性などが要求されている。
さらに、近年燃料タンクに対する要求性能は、より厳しくなっており、長期間にわたって多層積層構造体の各層に剥離などが生じないことや、バリア層の脱落や層異常などがなく燃料成分の大気への揮散が抑制されること、多層中空成形の場合、中空成形特有の金型食い切り部であるピンチオフ部の剥離などによる燃料揮散がないこと、衝突などに対するダメージを最小限にするため低温耐衝撃性をあるレベル以上に保つことなどが求められている。
合成樹脂製の燃料タンクを製造する方法の一つとして、合成樹脂中空成形方法がある。この合成樹脂中空成形には、円筒状の溶融樹脂であるパリソンを金型で挟み込み、その内部に空気を吹き込み賦形する方法がある。この成形方法は、中空体を簡便に成形できるという特徴を有しているが、樹脂を金型で挟み込み成形するために、ピンチオフ部と呼ばれる樹脂同士の溶着部が成形品に存在し、この部分が成形品の強度面での弱点となっており、この強度面改善のため、ピンチオフ部形状の最適化が行なわれている。
また、合成樹脂中空成形品の内容物が成形品を透過しないようにするため、内容物の透過防止性能を有する層を含む多層中空成形品が成形されている。例えば、燃料タンクを例にとれば、合成樹脂製の内層と合成樹脂製の外層との間に燃料透過防止層を積層して、タンク本体を構成し、燃料の透過防止効果を高めた合成樹脂製燃料タンクが知られており、この合成樹脂製燃料タンクは、吹込中空成形法により、多層構造の中空容器として製造されている。
この多層中空成形品においても、ピンチオフ部が存在し、そのピンチオフ部から内容物、燃料タンクの場合はガソリン等の燃料が透過するという問題がある。即ち、ピンチオフ部においては、ピンチオフ部の本質的な構造に由来するものであるが、ごく僅かではあるが透過防止層が存在しない部分がある。
このピンチオフ部からの内容物の透過を防止するため、例えば、透過防止層が存在しない部分(遮断不連続区域)を含むピンチオフ部を、必要な遮断特性を有する漏れ止めビードでシールすることが提案されている(特許文献1参照。)が、ある程度の透過防止効果は得られるものの、更に高度な透過防止効果としては不十分であり、かつピンチオフ部の強度改善も不十分である。
さらに、ポリオレフィン樹脂の内層及び外層を有し、中間層として透過防止層を有する多層容器であって、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリオレフィンからなる接着性樹脂層を有する金属シート又は箔からなる透過防止用部材を、透過防止層の不連続部分に溶着した燃料タンク用多層容器が提案されている(特許文献2参照。)が、さらなる透過防止性能の改善やアルコール含有率の高い燃料等に対する耐久性等の改善が求められるようになってきた。
したがって、合成樹脂中空成形品、特にプラスチック燃料タンクには、そのピンチオフ部における内容物透過防止性能及び強度の更なる改善が求められており、アルコール含有率の高い燃料に対する透過を十分に妨げるようにシールされ、ピンチオフ部が高強度であって、耐久性に優れた合成樹脂製燃料タンクが強く求められている。
特表2003−523876号公報 特開2006−182013号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、プラスチック燃料タンクからの燃料の透過を確実に防止でき、しかも、高強度で結合し、耐久性に優れた合成樹脂製燃料タンクを簡便な方法で提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の積層体部材を用いて溶着を行なうことにより、燃料透過防止効果に優れ、強度、耐久性にも優れた合成樹脂製燃料タンクを簡便に得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、アルミニウム層(I)と、キトサン類(a)と周期表の第3族〜第16族かつ第4〜第6周期の元素を含む化合物(b)とを含有してなる処理剤でアルミニウムを処理することによって形成された皮膜層(II)と、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリエチレン接着性樹脂層(III)とを含むことを特徴とするプラスチック燃料タンク部材用積層体が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記処理剤は、キトサン類(a)の含有量が0.001〜10質量%、周期表の第3族〜第16族かつ第4〜第6周期の元素を含む化合物(b)の含有量が0.001〜10質量%であることを特徴とするプラスチック燃料タンク部材用積層体が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記周期表の第3族〜第16族かつ第4〜第6周期の元素は、Ti、Hf、Mo、W、Se、Ce、Fe、Cu、Zn、V及びCrからなる群より選ばれた1種以上の元素であることを特徴とするプラスチック燃料タンク部材用積層体が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、ポリエチレン接着性樹脂層(III)の樹脂は、メルトフローレート(MFR)(試験条件:190℃、2.16kg荷重)が0.1〜100g/10分であり、密度が0.910〜0.965g/cmであることを特徴とするプラスチック燃料タンク部材用積層体が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、前記不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリエチレン接着性樹脂は、未変性ポリエチレン(B)を含む組成物であることを特徴とするプラスチック燃料タンク部材用積層体が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明に係るプラスチック燃料タンク部材用積層体を、プラスチック燃料タンクの表面の少なくとも一部に溶着してなることを特徴とするプラスチック燃料タンクが提供される。
さらに、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、アルコールが5質量%以上含まれる燃料用のタンクであることを特徴とするプラスチック燃料タンクが提供される。
本発明は、上記した如く、プラスチック燃料タンク部材用積層体及びプラスチック燃料タンクなどに係るものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
(1)アルミニウム層(I)であるアルミニウムシート又は箔の少なくとも片面に、キトサン類(a)と周期表の第3族〜第16族かつ第4〜第6周期の元素を含む化合物(b)とを含有してなる処理剤で表面処理し、皮膜層(II)を形成させる工程と、該皮膜層(II)に、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された変性ポリエチレン(A)と未変性ポリエチレン(B)とを含むポリエチレン接着性樹脂組成物を積層し、ポリエチレン接着性樹脂層(III)を形成させる工程とを含むことを特徴とする上記のプラスチック燃料タンク部材用積層体の製造方法。
(2)第1〜5のいずれかの発明に係るプラスチック燃料タンク部材用積層体を、プラスチック燃料タンクの表面の少なくとも一部に溶着することを特徴とする上記のプラスチック燃料タンクの製造方法。
(3)前記化合物(b)は、3価Crを含む金属化合物、特に、硫酸クロム、硝酸クロム、フッ化クロム、蓚酸クロム、又は酢酸クロムであることを特徴とする上記のプラスチック燃料タンク部材用積層体。
(4)前記処理剤は、キトサン類(a)と化合物(b)との混合比がキトサン類(a)100質量部に対して、化合物(b)1〜1000質量部、特に10〜100質量部であることを特徴とする上記のプラスチック燃料タンク部材用積層体。
(5)前記処理剤は、さらに、分子内にカルボキシル基を少なくとも1個有する有機化合物(c)を含有することを特徴とする上記のプラスチック燃料タンク部材用積層体。
(6)キトサン類(a)のアルミニウム表面に対する乾燥時付着量は、キトサン換算で1〜500mg/mの範囲、特に10〜100mg/mの範囲であり、前記化合物(b)のアルミニウム表面に対する乾燥時付着量は、周期表の第3族〜第16族かつ第4〜第6周期の元素換算で1〜500mg/mの範囲、特に5〜50mg/mの範囲であることを特徴とする上記のプラスチック燃料タンク部材用積層体。
(7)前記ポリエチレン接着性樹脂は、変性ポリエチレン(A)と未変性ポリエチレン(B)とを含む組成物であることを特徴とする上記のプラスチック燃料タンク部材用積層体。
本発明によれば、燃料タンクとしての多層中空成形品本体のピンチオフ部からの燃料の透過を有効に防止することができ、しかも、ピンチオフ部の強度改善を図ることができ、さらに、透過防止性能、特にアルコール含有率の高い燃料の透過防止性能に優れた合成樹脂製燃料タンクを簡便に製造することができる。また、ピンチオフ部に限らず、多層中空成形品(タンク)本体と付属部品との溶着部からの燃料の透過を有効に防止することができ、しかも、耐久性に優れたプラスチック燃料タンクを簡便に製造することができる。
本発明のプラスチック燃料タンク部材用積層体は、アルミニウム層(I)と、特定の処理剤でアルミニウムを処理することによって形成された皮膜層(II)と、ポリエチレン接着性樹脂層(III)とを含むことを特徴とするものである。
以下、本発明について、項目毎に詳細に説明する。
1.プラスチック燃料タンク部材用積層体
(1)アルミニウム層(I)
本発明のプラスチック燃料タンク部材用積層体は、アルミニウム層(I)であるアルミニウムシート又は箔の少なくとも片面、或いは必要に応じて両面に、接着性樹脂層(III)を有するものである。積層体のアルミニウム層(I)は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるものであり、燃料油等の透過防止性能を有するものである。アルミニウム層の厚みは、特に限定されないが、0.001〜1.0mm、好ましくは0.005〜0.30mm、さらに好ましくは0.01〜0.15mmである。
アルミニウムシート又は箔の表面は、JIS B0601:2001の「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ」に準拠して、測定した表面粗さ(Rz又はRmax)が1000μm以下であり、好ましくは560μm以下であり、さらに好ましくは0.01〜100μm、更には0.05〜10μmである。
(2)皮膜層(II)
本発明の積層体は、アルミニウム層(I)と接着性樹脂層(III)との間に、アルミニウム層の表面を処理したアルミニウム表面処理層(皮膜層)(II)を有する。
皮膜層(II)は、キトサン類(a)と周期表の第3族〜第16族かつ第4〜第6周期の元素を含む化合物(b)とを含有してなる処理剤でアルミニウムを処理することによって形成された皮膜層である。該皮膜が存在することにより、アルミニウム層(I)と接着樹脂層(III)との接着強度が向上する。皮膜層(II)は、アルミニウム層の片面又は両面に形成される。
上記アルミニウムの処理剤は、キトサン類(a)を含有する。
キトサン類とは、キトサン及びキトサン誘導体からなる群より選ばれた1種以上の化合物をいう。
キトサンは、キチンを濃アルカリ溶液と加熱して得られる脱アセチル化物であり、β−1,4−ポリ−D−グルコサミンなる高分子構造を有し、分子式(C11NOで示される化合物である。キトサンは、例えばカニやエビ等の甲殻類から抽出される天然高分子キチンを60〜100モル%脱アセチル化することで得られる。なお、キチンとは、カニやエビ等の甲殻類の殻から室温で塩酸処理等により調製できるもので、ムコ多糖の一種で、分子式(C13NOで示される化合物(平均重合度850)である。
また、キトサン誘導体は、キトサンに存在する水酸基又は/及びアミノ基に対して、カルボキシル化、グルコール化、トシル化、硫酸化、リン酸化、エーテル化、アルキル化などして得られた化合物である。
前記キトサン類(a)としては、中でも、キトサン、グリセリル化キトサン、カルボキシメチルキトサン、カチオン化キトサン、ヒドロキシアルキルキトサン及びこれらの酸との塩からなる群より選ばれた1種又は2種以上のキトサン類を用いるのが好ましい。
アルミニウムの処理剤は、周期表の第3族〜第16族かつ第4〜第6周期の元素を含む化合物(b)を含有する。元素の周期表は、IUPAC命名規則による1〜18族方式(長周期型周期表)による。例えば、第4族第4周期の元素はTi、第6族第4周期の元素はCrを意味する。これらの元素を含む化合物は、その酸化物、水酸化物、錯体化合物、有機酸塩、無機酸塩などが挙げられる。
周期表の第3族〜第16族かつ第4〜第6周期の元素を含む化合物(b)の中でも、Ti、Hf、Mo、W、Se、Ce、Fe、Cu、Zn、V及びCrからなる群より選ばれた1種以上の元素を含む化合物を含有するものが好ましい。Ti、Hf、Mo、W、Se、Ce、Fe、Cu、Zn、V及びCrからなる群より選ばれた1種以上の元素を含む化合物としては、特に限定されるものではないが、例えばこれら元素の酸化物、水酸化物、錯体化合物、有機酸塩、無機酸塩などが挙げられる。
前記化合物(b)の中でも、3価Crを含む金属化合物を用いるのが好ましく、この場合には、接着強度をより向上させることができる。前記3価Crを含む金属化合物としては、例えば硫酸クロム、硝酸クロム、フッ化クロム、蓚酸クロム、酢酸クロム等が挙げられる。
前記処理剤には、前記キトサン類及び前記化合物に加えて、さらに分子内にカルボキシル基を少なくとも1個有する有機化合物(c)を含有せしめるのが好ましい。このような有機化合物を含有せしめることによって、キトサン類の溶解性を向上できるし、キトサン類の金属架橋度を向上させる(高分子量化する)ことができる。
前記分子内にカルボキシル基を少なくとも1個有する有機化合物(c)としては、特に限定されないが、例えば酢酸、蓚酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、メリト酸、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、セバチン酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、エチレンジアミンテトラカルボン酸、トリメリット酸等が挙げられる。
前記処理剤には、必要に応じて、さらにpH調整剤、各種添加剤などを含有せしめても良い。
前記処理剤におけるキトサン類(a)の濃度は、0.001〜10質量%の範囲に設定するのが好ましく、特に0.1〜5質量%の範囲に設定するのがより好ましい。また、前記処理剤における周期表の第3族〜第16族かつ第4〜第6周期の元素を含む化合物(b)の濃度は、0.001〜10質量%の範囲に設定するのが好ましく、特に0.1〜5質量%の範囲に設定するのがより好ましい。
また、前記処理剤における両者の混合比については、前記キトサン類(a)100質量部に対して前記周期表の第3族〜第16族かつ第4〜第6周期の元素を含む化合物(b)1〜1000質量部とするのが好ましく、特に10〜100質量部とするのがより好ましい。
さらに、前記処理剤における分子内にカルボキシル基を少なくとも1個有する有機化合物(c)の濃度は、0.001〜10質量%の範囲に設定するのが好ましく、特に0.01〜5質量%の範囲に設定するのがより好ましい。
前記処理剤でアルミニウム層(I)を処理する際の処理方法としては、処理剤をアルミニウムシート又は箔の表面に塗布した後、加熱乾燥させる又は乾燥させる塗布処理や、処理剤中の成分をアルミニウム表面と化学反応させた後に表面を水洗して乾燥させる化成処理などが挙げられるが、特にこれらに限定されない。前記塗布手法としては、例えばロールコート法、スピンコート法、浸漬法、スプレー法等が挙げられる。
前記キトサン類(a)のアルミニウム表面に対する乾燥時付着量は、キトサン換算で1〜500mg/mの範囲であり、前記化合物(b)としての金属化合物のアルミニウム表面に対する乾燥時付着量は、金属換算で1〜500mg/mの範囲であるのが好ましい。中でも、前記キトサン類(a)のアルミニウム表面に対する乾燥時付着量は、キトサン換算で10〜100mg/mの範囲であるのが特に好ましい。また、前記周期表の第3族〜第16族かつ第4〜第6周期の元素を含む化合物(b)のアルミニウム表面に対する乾燥時付着量は、周期表の第3族〜第16族かつ第4〜第6周期の元素換算で5〜50mg/mの範囲であるのが特に好ましい。
(3)ポリエチレン接着性樹脂層(III)
本発明に係る接着性樹脂は、温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレートが0.1〜100g/10分のものが好ましく、さらに好ましくは0.2〜20g/10分であり、さらに好適には0.5〜10g/10分である。メルトフローレートが0.1g/10分未満であると、溶着成形が不充分となり実用的ではない。また、100g/10分を超えると、成形品の耐衝撃性が低下するようになる。
ここで、接着性樹脂のメルトフローレートは、JIS K7210:1999の「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、試験条件D:190℃、2.16kg荷重で測定されるものである。
また、本発明に係る接着性樹脂は、密度が0.910〜0.965g/cmのものが好ましく、さらに好ましくは0.920〜0.963g/cmであり、さらに好適には0.930〜0.960g/cmである。密度が0.910g/cm未満では、成形品の剛性が不足し、一方、0.965g/cmを超えると、耐衝撃性が劣る。
ここで、接着性樹脂の密度は、JIS K7112:1999の「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」に準拠して、測定されるものであり、該樹脂を温度160℃の熱圧縮成形機により溶融後25℃/分の速度で降温し厚み2mmのシートを成形し、このシートを23℃、48時間保持後、密度勾配管に入れ測定されるものである。
本発明に用いられる接着性樹脂は、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリエチレンが好ましく、変性ポリエチレン(A)と未変性ポリエチレン(B)とを含む組成物が好適に用いられる。不飽和カルボン酸又はその誘導体の具体例については後述する。
[変性ポリエチレン(A)]
不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸誘導体がグラフトしたポリエチレン(A)は、密度が0.910〜0.965g/cm、好ましくは、0.920〜0.963g/cm、より好ましくは0.930〜0.960g/cmであり、且つ温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレートが0.1〜2.0g/10分、好ましくは0.2〜1.5g/10分であるポリエチレンに、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸誘導体をグラフトしたものである。
原料となるポリエチレンとしては、エチレンのみからなるホモポリマー、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとからなる共重合体などが例示される。なお、α−オレフィンとしては、プロプレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。
これらの重合体は、通常のチーグラー触媒やクロム触媒を用いて製造してもよいし、いわゆるシングルサイト系触媒を用いて製造してもよい。また、これらの重合体は、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンが挙げられ、単独又は複数種類を用いることが可能である。
原料のポリエチレンのメルトフローレートが0.1g/10分未満であるか、2.0g/10分を超えると、最終的に得られる多層積層構造体の層間接着性、成形性、衝撃強度及び又は耐燃料油性などが低下し、本発明の目的は達成されない。
また、ポリエチレンの密度が0.910g/cm未満であると、最終的に得られる多層積層構造体の接着強度が不十分である上に、燃料油などに対する耐油性が不足する。一方、ポリエチレンの密度が0.965g/cmを超えると、最終的に得られる多層積層構造体の耐衝撃性や層間接着性が不十分となる。
このようなポリエチレンをグラフト変性する際には、ポリエチレン100質量部に対し、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸誘導体を好ましくは0.1〜40質量部、より好ましくは0.2〜30質量部、特に好ましくは0.5〜20質量部と、ラジカル開始剤とを加える。
不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸誘導体の添加量が0.1質量部未満であると、グラフト変性が不十分となり、得られる接着性樹脂組成物の接着性が不十分となることがある。一方、40質量部を超えると、得られる変性ポリエチレン(A)がゲル化したり、劣化、着色などするおそれがある上に、最終的に得られる多層積層構造体の接着強度や機械的強度が低下することがある。
また、ラジカル開始剤の添加量は、好ましくは0.001〜0.50質量部であり、より好ましくは0.005〜0.30質量部であり、特に好ましくは0.010〜0.30質量部である。ラジカル開始剤の割合が0.001質量部未満であると、グラフト変性を完全に行うには長時間を要する。又は、ポリエチレンのグラフト変性が不十分となり、接着強度が不十分になることがある。一方、0.50質量部を超えると、ラジカル開始剤によって過度に分解したり、架橋反応を起こすことがある。
グラフト変性に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えば、一塩基性不飽和カルボン酸、二塩基性不飽和カルボン酸が挙げられ、不飽和カルボン酸誘導体としては、不飽和カルボン酸の金属塩、アミド、イミド、エステル及び無水物などが挙げられる。一塩基性不飽和カルボン酸及び一塩基性不飽和カルボン酸誘導体の炭素数は、多くとも20、好ましくは15以下である。また、二塩基性不飽和カルボン酸及び二塩基性不飽和カルボン酸誘導体の炭素数は、多くとも30個、好ましくは25個以下である。
不飽和カルボン酸の中でも、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸が好ましい。また、不飽和カルボン酸誘導体の中でも、酸無水物が好ましく、さらに酸無水物の中でも、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸の無水物が好ましい。特に無水マレイン酸、5−ノルボルネン酸無水物を用いると、得られる接着性樹脂組成物の接着性が極めて優れる。また、不飽和カルボン酸誘導体としては、メタクリル酸グリシジルも好ましい。
酸無水物によりグラフト変性した場合、グラフトした酸無水物は、開環率が10%以下であることが好ましい。ここで、開環率とは、(グラフト変性後に開環した酸無水物基の質量)/(グラフト変性前の酸無水物基の質量)×100(%)で求められる値のことである。酸無水物の開環率が10%以下であれば、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物等のバリア樹脂との反応が促進され、初期接着強度や燃料油浸漬後の接着強度、燃料油膨潤度等がより改良される。また、リサイクルの際に、リグラインド層として使用した場合、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリアミド系樹脂等のバリア材との相溶性がより向上する。
ラジカル開始剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキサン−3、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる
グラフト変性する方法としては、例えば、ポリエチレンと不飽和カルボン酸および/又は不飽和カルボン酸誘導体とラジカル開始剤とを、押出機、バンバリーミキサ、ニーダなどの混練機を用いて溶融状態で混練して行う溶融混練法、ポリエチレンと不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸誘導体とラジカル開始剤とを、適当な溶媒に溶解して行う溶液法などが挙げられる。これらの方法は、最終的に得られる多層積層構造体の用途に応じて選択される。さらに、変性ポリエチレンの物性を向上させる目的で、例えば、グラフト変性後に加熱や洗浄するなどして、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸誘導体の未反応モノマーや副生した成分などを除去してもよい。
グラフト変性する際の温度は、ポリエチレンの劣化、不飽和カルボン酸やその誘導体の分解、使用するラジカル開始剤の分解温度などを考慮して決定される。例えば、前記溶融混練法では、通常200〜350℃であり、好ましくは220〜300℃であり、より好ましくは250〜300℃である。
本発明に係る変性ポリエチレン(A)は、単独又は複数種類を用いることが可能である。
[未変性ポリエチレン(B)]
未変性ポリエチレン(B)は、上述した変性ポリエチレン(A)を希釈するものである。このような未変性ポリエチレン(B)は、エチレンのみからなるホモポリマー、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとからなる共重合体などが例示される。α−オレフィンとしては、例えば、プロプレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。
これらの重合体は、通常のチーグラー触媒やクロム触媒を用いて製造してもよいし、いわゆるシングルサイト触媒を用いて製造してもよい。また、これらの重合体は、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンが挙げられ、単独又は複数種類を用いることが可能である。
未変性ポリエチレン(B)は、温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレートが0.1〜3.0g/10分、密度が0.860〜0.965g/cm、好ましくは0.915〜0.960g/cmである。メルトフローレートが0.1g/10分未満であると、変性ポリエチレン(A)や、その他の樹脂との相溶性が低下し、一方、メルトフローレートが3.0g/10分を超えると、接着強度や成形性が低下する。また、密度が0.860g/cm未満であると、最終的に得られる多層積層構造体の接着強度が不十分である上に、燃料油などに対する耐油性が不足し、密度が0.965g/cmを超えると、接着性樹脂組成物の接着性が低下する。
本発明に係る未変性ポリエチレン(B)は、単独又は複数種類を用いることが可能である。
[接着性樹脂組成物(C)]
接着性樹脂組成物(C)は、上述した変性ポリエチレン(A)と未変性ポリエチレン(B)とを含む。変性ポリエチレン(A)と未変性ポリエチレン(B)との配合比は、(A)/(B)が10/90〜90/10(質量比)、好ましくは、15/85〜85/15の範囲である。(A)/(B)が10/90未満であったり、90/10を超えると、得られる接着性樹脂組成物の接着性が低下する。
接着性樹脂組成物(C)は、変性ポリエチレン(A)と未変性ポリエチレン(B)とを含む原料混合物を溶融混合することによって製造される。溶融混合する方法については、特に制限はなく、例えば、ヘンシェルミキサなどの公知の混合機によって混合した後、単軸又は二軸の押出機によって溶融混合する方法が挙げられる。
また、変性ポリエチレン(A)の温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレートをMFR(A)、未変性ポリエチレン(B)の温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレートをMFR(B)とした際に、MFR(A)/MFR(B)が1未満であることが好ましく、0.6未満であることがさらに好ましい。MFR(A)/MFR(B)が1以上であると、初期及び燃料浸漬後の接着強度が低下することがある。
得られた接着性樹脂組成物(C)は、密度が0.910〜0.965g/cm、好ましくは0.920〜0.960g/cm、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸誘導体の含有量が0.01〜30質量%、温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレートが0.01〜100g/10分、好ましくは0.2〜2.0g/10分、さらに好ましくは0.1〜1.5g/10分である。
密度が0.910g/cm未満であると、燃料油などに対する膨潤性が大きくなるので、長期耐久性が低くなる。一方、密度が0.965g/cmを超えると、多層積層成形後に固化した時の収縮が大きくなるので接着強度が低下する。
また、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸誘導体の含有量が0.01質量%未満であると、最終的に得られる多層積層構造体の接着強度が低下し、一方、30質量%を超えると、他の物性が低下する。
また、多層積層構造体を作製する際に発生した成形バリや未使用パリソンをリサイクル材として含有するリグラインド層をバリア層に接触させる場合、リグラインド層と、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物やポリアミド樹脂などのバリア材との相溶性が低下するので、最終的に得られる多層積層構造体の低温耐衝撃強度が低くなる。
また、メルトフローレートが0.01g/10分未満であったり、100g/10分を超えると、得られる接着性樹脂組成物(C)の成形性が損なわれる。
接着性樹脂組成物(C)には、一般的に酸吸収剤として使用されるステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛などの脂肪酸金属塩を100質量ppm以上は含まないことが好ましい。さらに、好ましくは50質量ppm以上含まれないことが好ましく、特に好適には蛍光エックス線分析などによる定量分析の検知限界以下の含有量が好ましい。
脂肪酸金属塩量が100質量ppm未満であると、ポリエチレンにグラフトした不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸誘導体と、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物との反応が、脂肪酸金属塩によって阻害されることが防止されるので、接着性樹脂組成物の接着強度がさらに向上し、多層積層構造体の機械的特性がさらに向上する。
また、接着性樹脂組成物(C)には、必要に応じて、添加剤や他の樹脂やエラストマーを混合してもよい。添加剤としては、例えば、フェノール系やリン系などの酸化防止剤、タルクなどの抗ブロッキング剤、脂肪酸アミドなどのスリップ剤などが挙げられる。また、ステアリン酸系化合物に代わる酸吸収剤として、合成や天然のハイドロタルサイトなどが使用できる。
接着性樹脂組成物(C)に必要に応じて混合される他の樹脂としては、エチレンからなるホモポリマー、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとからなる共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体などのエチレンと他のビニルモノマーとの共重合体が挙げられる。なお、α−オレフィンとしては、プロプレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。
これらの重合体は、通常にチーグラー触媒やクロム触媒を用いて製造してもよいし、いわゆるシングルサイト系触媒を用いて製造してもよい。
接着性樹脂組成物(C)に必要に応じて混合されるエラストマーとしては、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴム、エチレン−ブテン−1共重合ゴムなどのエチレン−α−オレフィン系共重合ゴム;ポリイソブチレンゴム、ポリウレタンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴムなどの合成ゴム、及び天然ゴムが挙げられる。
接着性樹脂組成物(C)に必要に応じて混合される他の樹脂及びエラストマーは、グラフト変性されるポリエチレン樹脂に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下の割合で使用することができる。この使用量が10質量%を超えると、グラフト変性されるポリエチレン樹脂の基本特性を損なうおそれがある。
本発明に係る接着性樹脂は、フィルムまたはシート状に成形して形成される。成形方法は、押出成形、インフレーション成形など公知の成形方法が採用できる。
(4)その他の層
本発明の積層体の皮膜層(II)と接着性樹脂層(III)との間には、必要に応じてプライマー層を設けてもよい。
プライマーとしては、エポキシ系、ウレタン系、エポキシウレタン系、イミン系、チタネート系、ポリエステル系又はシラン系の熱硬化型プライマーを使用することができる。。これらの中ではエポキシ系プライマーが、アルミニウム層(I)と接着性樹脂層(III)との接着性および耐久性が優れるため好ましい。
(5)プラスチック燃料タンク部材用積層体の構成
本発明の積層体は、アルミニウム層(I)の表面に表面処理を施して皮膜層(II)を形成し、皮膜層上に上記の接着性樹脂層(III)を積層するか、あるいは皮膜層上にプライマーを塗布してプライマー層を形成し、さらにプライマー層上に接着性樹脂層(III)を積層して製造することができる。プライマー層を形成する際、加熱硬化させた後、接着性樹脂層を積層して加熱により融着するのが好ましいが、プライマーの塗布後硬化前に接着性樹脂層を積層し、融着の際の熱を利用して硬化を行ってもよい。
本発明の積層体は、図1に示すように、アルミニウム層/皮膜層/接着性樹脂層を基本の構成とし、アルミニウム層/皮膜層/プライマー層/接着性樹脂層の構成としても差し支えない。
プライマー層が存在する場合、このプライマー層の存在によりアルミニウム層(皮膜層)と接着性樹脂層との接着性が高くなる。
また、本発明の積層体の接着性樹脂層には、更にポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルなどの1種又は数種の基材樹脂からなる1層または複層の基材樹脂層を積層することができる。この場合の層構成は、アルミニウム層/皮膜層/接着性樹脂層/基材樹脂層を基本の構成とする。
本発明の積層体は、アルミニウム層の皮膜層側と反対側の面に、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルなどの1種又は数種の基材樹脂からなる1層または複層の基材樹脂層を積層することができる。この場合の層構成は、基材樹脂層/アルミニウム層/皮膜層/接着性樹脂層を基本の構成とし、基材樹脂層/アルミニウム層/皮膜層/プライマー層/接着性樹脂層としても差し支えない。これらの場合、基材樹脂層とアルミニウム層との間に、皮膜層、接着性樹脂層を設けてもよい。
また、本発明に係る接着性樹脂層には、さらに、皮膜層側と反対側の面に、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルなどの1種又は数種の基材樹脂からなる1層または複層の基材樹脂層を積層することができる。この場合の層構成は、基材樹脂層/アルミニウム層/皮膜層/接着性樹脂層/基材樹脂層を基本の構成とする。
本発明の積層体は、アルミニウムシートすなわちアルミニウム層(I)の少なくとも片面に、皮膜層(II)をはさんで接着性樹脂層(III)を有する。アルミニウム層の厚みは、前記したように、0.001〜1.0mm、好ましくは0.005〜0.30mm、さらに好ましくは0.01〜0.15mmである。また、少なくとも片面の接着性樹脂層(III)の厚みは、0.01〜10mm、好ましくは0.05〜3mm、さらに好ましくは0.1〜1mmである。皮膜層(II)の厚みは、通常0.00005〜0.005mm、好ましくは0.0002〜0.002mmである。
本発明の積層体は、各種の方法で成形することができ、例えば、プレス法、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、ホットメルト法により製造することができる。
2.プラスチック燃料タンク
本発明のプラスチック燃料タンク部材用積層体は、燃料タンクの燃料油が透過し易い部位に、接着して用いると効果的である。本発明の積層体の接着性樹脂を、多層中空容器の合成樹脂層、接着性樹脂層、バリア層、リサイクル樹脂層のいずれにも接着することができ、特に、中空成形体のピンチオフ部に、接着して用いることができる(図2参照。)。
また、積層体の両面に接着性樹脂を配置すれば、中空成形体に積層体を接着後、もう一方の接着性樹脂を介して、他の物品を接着することもできる。
本発明の積層体は、ピンチオフ部外面に露出した透過防止層不連続部面積の少なくとも1.5倍以上の面積を有するように、溶着されることが好ましい。1.5倍未満では、燃料遮断効果が低減し、ピンチオフ部の強度補強効果も低減する。
本発明の積層体を、燃料タンク本体表面に結合する際には、タンク本体表面を予熱した後に溶着を行うことができる。また、本発明の積層体の接着性樹脂を加熱し、溶融状態で接着させることが好ましい。
本発明の積層体を溶着したプラスチック燃料タンクには、ガソリン等各種の燃料を収容できるが、中でもアルコール含有率が5質量%以上、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上の燃料に対して、優れた透過防止性、接着強度、耐久性を発揮することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例で用いた物性の測定方法等は、以下の通りである。
(1)温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR):JIS K6922−2:1997年版に準拠して測定した。
(2)密度:JIS K6922−1,2:1997年版に準拠して測定した。
(3)接着強度:接着強度測定には、テンシロンを用いた。試験片は、幅10mm、長さ100mmのものを使用し、試験片積層体のアルミニウム層と接着性樹脂層との間を長さ方向の端部から10mm剥離後、テンシロンの上部チャックにアルミニウム、下部チャックに接着性樹脂を挟み、横T字形に配置して(T剥離)、引張速度50mm/分で下部チャックを降下させて接着強度を測定した。測定点数は、各々5点とし、その平均値を採用した。
(4)接着強度耐久性試験:積層体を、2,2,4−トリメチルペンタン47.5容量部、トルエン47.5容量部及びエチルアルコール5容量部の混合溶媒(20℃、5質量%エチルアルコール含有)に入れ、65℃の温度で2000時間浸漬前後の接着強度を測定した(測定点数は、各々5点とし、その平均値を採用した)。
(5)容器透過性試験:容器に、エチルアルコール10容量%含有ガソリン(20℃、11質量%エチルアルコール含有)5Lを充填、密閉し、40℃の温度で1000時間静置した。その後、新しいエチルアルコール10容量%含有ガソリン5Lに、入れ替え、密閉し、40℃、1000時間放置後の重量変化を測定した。
(6)容器耐久性試験I:容器に、エチルアルコール10容量%含有ガソリン(20℃、11質量%エチルアルコール含有)5Lを充填、密閉し、65℃の温度で6000時間静置した後、容器の外観観察を行った。
(7)容器耐久性試験II:容器に、エチルアルコール50容量%含有ガソリン(20℃、53質量%エチルアルコール含有)5Lを充填、密閉し、65℃の温度で6000時間静置した後、容器の外観観察を行った。
実施例および比較例において、使用した変性ポリエチレン(以下、変性PEともいう)や接着性樹脂は、以下のようにして製造した。
[変性ポリエチレンの製造]
(変性PE−1)
密度0.956g/cm、メルトフローレート0.80g/10分の高密度ポリエチレン(以下「HDPE−I」と略す)85質量部及び密度0.928g/cm、メルトフローレート0.80g/10分の直鎖状低密度ポリエチレン(以下「LLDPE−I」と略す)15質量部に、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンを0.02質量部添加し、ヘンシェルミキサで1分間ドライブレンドした。
次いで、無水マレイン酸0.4質量部加え、更に2分間ドライブレンド後、モダンマシナリー社製50mm単軸押出機を用い290℃で溶融混練し、グラフト変性して変性ポリエチレン(変性PE−1)を得た。
この変性ポリエチレンにおいてグラフトされた無水マレイン酸量は0.3質量%、密度は0.951g/cm、メルトフローレートは0.30g/10分であった。
[接着性樹脂(I)の製造]
変性ポリエチレン(変性PE−1)40質量部及び未変性ポリエチレン(密度0.923g/cm、メルトフローレート0.80g/10分の直鎖状低密度ポリエチレン(以下「LLDPE−II」と略す)60質量部に対して、フェノール系酸化防止剤イルガノックス1330(チバスペシャルティケミカルズ社製)0.15質量部及びイルガノックス1076(チバスペシャルティケミカルズ社製)0.05質量部を加え、モダンマシナリー社製50mm単軸押出機を用い200℃で溶融混練して、密度が0.935g/cm、メルトフローレートが0.5g/10分の接着性樹脂(I)を製造した。
[接着性樹脂(II)の製造]
変性ポリエチレン(変性PE−1)40質量部及び未変性ポリエチレン(密度0.902g/cm、メルトフローレート1.0g/10分の直鎖状低密度ポリエチレン(以下「LLDPE−III」と略す)60質量部に対して、フェノール系酸化防止剤イルガノックス1330(チバスペシャルティケミカルズ社製)0.15質量部及びイルガノックス1076(チバスペシャルティケミカルズ社製)0.05質量部を加え、モダンマシナリー社製50mm単軸押出機を用い200℃で溶融混練して、密度が0.920g/cm、メルトフローレートが0.6g/10分の接着性樹脂(II)を製造した。
[接着性樹脂(III)の製造]
変性ポリエチレン(変性PE−1)40質量部及び高密度ポリエチレン(HDPE−I)60質量部に対して、フェノール系酸化防止剤イルガノックス1330(チバスペシャルティケミカルズ社製)0.15質量部及びイルガノックス1076(チバスペシャルティケミカルズ社製)0.05質量部を加え、モダンマシナリー社製50mm単軸押出機を用い200℃で溶融混練して、密度が0.954g/cm、メルトフローレートが0.5g/10分の接着性樹脂(III)を製造した。
[接着性樹脂(IV)]
変性ポリプロピレンとして、密度が0.91g/cm、メルトフローレートが3.0g/10分(測定条件;温度230℃,荷重2.16kg)の三井化学社製QF500を用い、接着性樹脂(IV)とした。
[接着性樹脂(V)の製造]
変性ポリエチレン(変性PE−1)40質量部及び未変性ポリエチレン(密度0.870g/cm、メルトフローレート1.0g/10分の直鎖状低密度ポリエチレン(以下「LLDPE−IV」と略す)60質量部に対して、フェノール系酸化防止剤イルガノックス1330(チバスペシャルティケミカルズ社製)0.15質量部及びイルガノックス1076(チバスペシャルティケミカルズ社製)0.05質量部を加え、モダンマシナリー社製50mm単軸押出機を用い200℃で溶融混練して、密度が0.902g/cm、メルトフローレートが0.6g/10分の接着性樹脂(V)を製造した。
[実施例1]
[アルミニウムの表面処理]
水500質量部、グリセリル化キトサン10質量部、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸10質量部を混合した液を、4時間撹拌することによって、グリセリル化キトサンを十分に溶解させた。
得られた溶解液にフッ化クロム(3価Cr)5質量部を添加して、処理剤を得た。
次いで、表面粗さ3μm、厚さ100μmのアルミニウムの片面に、前記処理剤をロールコーターで塗布した後、200℃で30秒間加熱乾燥することによって、アルミニウムの片面に、表面処理層(皮膜層)を形成せしめ、アルミニウムシート(I−A)とした。
また別に、表面粗さ3μm、厚さ50μmのアルミニウムの片面に前記処理剤をロールコーターで塗布した後、200℃で30秒間加熱乾燥することによって、アルミニウムの片面に、表面処理層(皮膜層)を形成せしめ、アルミニウムシート(I−B)とした。
[積層体の製造及び評価]
幅10mm、厚さ100μm、長さ40mmのアルミニウムシート(I−A)の皮膜層上に、上記の接着性樹脂(I)を厚さ200μmとなるように、190℃でプレス法にて成形し、積層体を得た。
得られた積層体を2,2,4−トリメチルペンタン47.5容量部、トルエン47.5容量部及びエチルアルコール5容量部の混合溶媒(20℃、5質量%エチルアルコール含有)に入れ、65℃の温度で2000時間浸漬前後の接着強度を測定した。
その結果、混合溶媒浸漬前の接着強度は、5.8kg/10mm、混合溶媒浸漬2000時間後の接着強度は、5.8kg/10mm以上(アルミニウムシートと接着性樹脂の界面での剥離不可)であり、浸漬後の接着強度は、高くなった。また、混合溶媒浸漬後の試験片の外観に変化はなかった。
[多層中空成形容器の製造及び評価]
3種5層の多層中空成形機を用い、成形温度210℃で、層構成が高密度ポリエチレン(HDPE)層(主材層)/接着性樹脂組成物層(接着層)/エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物層(バリア層)/接着性樹脂組成物層(接着層)/高密度ポリエチレン層(主材層)の厚み比率が45.5/3/3/3/45.5、全膜厚が6mm、内容積が10Lである細口を有する立方体状の3種5層積層容器(容器I)を成形した。この時、高密度ポリエチレン層には、密度が0.947g/cm、温度190℃、荷重21.6kgにおけるメルトフローレートが6g/10分の高密度ポリエチレンを使用し、接着性樹脂層には、接着性樹脂(I)を使用し、エチレン−酢酸ビニル共重合けん化物層には、クラレ社製エバールF101Bを使用した。
厚さ50μmのアルミニウムシート(I−B)の皮膜層上に、厚さ0.5mmの上記接着性樹脂(I)を配した積層体をプレス法にて成形し、幅20mm、長さ100mmの透過防止用部材を作製した。
容器Iのピンチオフ部のすべてを覆い、かつ透過防止用部材の接着性樹脂が接着するように配置し、190℃の成形用ヒーターでプレスし、透過防止用部材をピンチオフ部に接着した容器II−1を成形した。
この容器II−1に、エチルアルコール10容量%含有ガソリン(20℃、11質量%エチルアルコール含有)5Lを充填、密閉し、40℃の温度で1000時間静置した。その後、新しいエチルアルコール10容量%含有ガソリン5Lに入れ替え、密閉し、40℃、1000時間放置後の重量変化を測定したところ、35mgの重量減少であった。
上記の容器II−1と同様に成形した容器II−2に、エチルアルコール10容量%含有ガソリン5Lを充填、65℃、6000時間経過後の外観を観察したところ、透過防止用部材の剥離発生等の異常はなかった。
また、上記の容器II−1と同様に成形した容器II−3に、エチルアルコール50容量%含有ガソリン5Lを充填、65℃、6000時間経過後の外観を観察したところ、透過防止用部材の剥離発生等の異常はなかった。
[実施例2]
[積層体の製造及び評価]
接着性樹脂(I)の代わりに接着性樹脂(II)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果、混合溶媒浸漬前の接着強度は6.5kg/10mm、混合溶媒浸漬2000時間後の接着強度は6.5kg/10mm以上(アルミニウムシートと接着性樹脂の界面での剥離不可)であり、浸漬後の接着強度は高くなった。また、混合溶媒浸漬後の試験片の外観に変化はなかった。
[多層中空成形容器の製造及び評価]
アルミニウムシート(I−B)の皮膜層上に配した接着性樹脂(I)の代わりに接着性樹脂(II)を用いた以外は、実施例1と同様に行ない、容器III−1を成形した。
成形した多層中空成形容器III−1に、エチルアルコール10容量%含有ガソリン(20℃、11質量%エチルアルコール含有)5Lを充填、密閉し、40℃の温度で1000時間静置した。その後、新しいエチルアルコール10容量%含有ガソリン5Lに入れ替え、密閉し、40℃、1000時間放置後の重量変化を測定したところ、45mgの重量減少であった。
上記の容器III−1と同様に成形した容器III−2に、エチルアルコール10容量%含有ガソリン5Lを充填、65℃、6000時間経過後の外観を観察したところ、透過防止用部材の剥離発生等の異常はなかった。
また、上記の容器III−1と同様に成形した容器III−3に、エチルアルコール50容量%含有ガソリン5Lを充填、65℃、6000時間経過後の外観を観察したところ、透過防止用部材の剥離発生等の異常はなかった。
[実施例3]
[積層体の製造及び評価]
接着性樹脂(I)の代わりに接着性樹脂(III)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果、混合溶媒浸漬前の接着強度は5.0kg/10mm幅、混合溶媒浸漬2000時間後の接着強度は5.0kg/10mm幅以上(アルミニウムシートと接着性樹脂の界面での剥離不可)であり、浸漬後の接着強度は高くなった。また、混合溶媒浸漬後の試験片の外観に変化はなかった。
[多層中空成形容器の製造及び評価]
アルミニウムシート(I−B)の皮膜層上に配した接着性樹脂(I)の代わりに接着性樹脂(III)を用いた以外は、実施例1と同様に行ない、容器IV−1を成形した。
成形した多層中空成形容器IV−1に、エチルアルコール10容量%含有ガソリン(20℃、11質量%エチルアルコール含有)5Lを充填、密閉し、40℃の温度で1000時間静置した。その後、新しいエチルアルコール10容量%含有ガソリン5Lに入れ替え、密閉し、40℃、1000時間放置後の重量変化を測定したところ、30mgの重量減少であった。
上記の容器IV−1と同様に成形した容器IV−2に、エチルアルコール10容量%含有ガソリン5Lを充填、65℃、6000時間経過後の外観を観察したところ、透過防止用部材の剥離発生等の異常はなかった。
また、上記の容器IV−1と同様に成形した容器IV−3にエチルアルコール50容量%含有ガソリン5Lを充填、65℃、6000時間経過後の外観を観察したところ、透過防止用部材の剥離発生等の異常はなかった。
[比較例1]
[積層体の製造及び評価]
アルミニウムシート(I−A)の代わりに表面処理していないアルミニウムシート(II−A)を用い、アルミニウム層に接着性樹脂層を直接積層した以外は、実施例1と同様に行った。その結果、混合溶媒浸漬前の接着強度は2.3kg/10mm、混合溶媒浸漬2000時間後の接着強度は2.0kg/10mmであった。また、混合溶媒浸漬後の試験片の外観に変化はなかった。
[多層中空成形容器の製造及び評価]
アルミニウムシート(I−B)の代わりに表面処理していないアルミニウムシート(II−B)を用い、アルミニウム層に接着性樹脂層を直接積層した以外は、実施例1と同様に行ない、容器V−1を成形した。
成形した多層中空成形容器V−1に、エチルアルコール10容量%含有ガソリン(20℃、11質量%エチルアルコール含有)5Lを充填、密閉し、40℃の温度で1000時間静置した。その後、新しいエチルアルコール10容量%含有ガソリン5Lに入れ替え、密閉し、40℃、1000時間放置後の重量変化を測定したところ、60mgの重量減少であった。
上記の容器V−1と同様に成形した容器V−2に、エチルアルコール10容量%含有ガソリン5Lを充填、65℃、6000時間経過後の外観を観察したところ、透過防止用部材のアルミニウムシート(II−B)と接着性樹脂の一部分に剥離が見られた。
また、上記の容器V−1と同様に成形した容器V−3に、エチルアルコール50容量%含有ガソリン5Lを充填、65℃、6000時間経過後の外観を観察したところ、透過防止用部材のアルミニウムシートと接着性樹脂の一部分に剥離が見られた。
[比較例2]
[アルミニウムの表面処理]
処理剤として10質量%のリン酸クロム塩水溶液を使用した。表面粗さ3μm、厚さ100μmのアルミニウムの片面に、前記処理剤をロールコーターで塗布した後、200℃で30秒間加熱乾燥することによって、アルミニウムの片面に表面処理層(皮膜層)を形成せしめ、アルミニウムシート(III−A)とした。
また別に、表面粗さ3μm、厚さ50μmのアルミニウムの片面に、前記処理剤をロールコーターで塗布した後、200℃で30秒間加熱乾燥することによって、アルミニウムの片面に、表面処理層(皮膜層)を形成せしめ、アルミニウムシート(III−B)とした。
[積層体の製造及び評価]
アルミニウムシート(I−A)の代わりにアルミニウムシート(III−A)として用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果、混合溶媒浸漬前の接着強度は5.0kg/10mm、混合溶媒浸漬2000時間後の接着強度は2.1kg/10mmであった。また、混合溶媒浸漬後の試験片の外観に変化はなかった。
[多層中空成形容器の製造及び評価]
アルミニウムシート(I−B)の代わりにアルミニウムシート(III−B)を用いた以外は、実施例1と同様に行ない、容器VI−1を成形した。
成形した多層中空成形容器VI−1に、エチルアルコール10容量%含有ガソリン(20℃、11質量%エチルアルコール含有)5Lを充填、密閉し、40℃の温度で1000時間静置した。その後、新しいエチルアルコール10容量%含有ガソリン5Lに入れ替え、密閉し、40℃、1000時間放置後の重量変化を測定したところ、62mgの重量減少であった。
上記の容器VI−1と同様に成形した容器VI−2に、エチルアルコール10容量%含有ガソリン5Lを充填、65℃、6000時間経過後の外観を観察したところ、透過防止用部材のアルミニウムシート(III−B)と接着性樹脂の一部分に剥離が見られた。
また、上記の容器VI−1と同様に成形した容器VI−3に、エチルアルコール50容量%含有ガソリン5Lを充填、65℃、6000時間経過後の外観を観察したところ、透過防止用部材のアルミニウムシートと接着性樹脂の一部分に剥離が見られた。
[比較例3]
[アルミニウムの表面処理]
水500質量部、グリセリル化キトサン10質量部、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸10質量部を混合した液を、4時間撹拌することによって、グリセリル化キトサンを十分に溶解させ処理剤を得た。
次いで、表面粗さ3μm、厚さ100μmのアルミニウムの片面に、前記処理剤をロールコーターで塗布した後、200℃で30秒間加熱乾燥することによって、アルミニウムの片面に、表面処理層(皮膜層)を形成せしめ、アルミニウムシート(IV−A)とした。
また別に、表面粗さ3μm、厚さ50μmのアルミニウムの片面に、前記処理剤をロールコーターで塗布した後、200℃で30秒間加熱乾燥することによって、アルミニウムの片面に、表面処理層(皮膜層)を形成せしめ、アルミニウムシート(IV−B)とした。
[積層体の製造及び評価]
アルミニウムシート(I−A)の代わりにアルミニウムシート(IV−A)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果、混合溶媒浸漬前の接着強度は5.0kg/10mm、混合溶媒浸漬2000時間後の接着強度は2.5kg/10mmであった。また、混合溶媒浸漬後の試験片の外観に変化はなかった。
[多層中空成形容器の製造及び評価]
アルミニウムシート(I−B)の代わりにアルミニウムシート(IV−B)を用いた以外は、実施例1と同様に行ない、容器VII−1を成形した。
成形した多層中空成形容器VII−1に、エチルアルコール10容量%含有ガソリン(20℃、11質量%エチルアルコール含有)5Lを充填、密閉し、40℃の温度で1000時間静置した。その後、新しいエチルアルコール10容量%含有ガソリン5Lに入れ替え、密閉し、40℃、1000時間放置後の重量変化を測定したところ、58mgの重量減少であった。
上記の容器VII−1と同様に成形した容器VII−2に、エチルアルコール10容量%含有ガソリン5Lを充填、65℃、6000時間経過後の外観を観察したところ、透過防止用部材のアルミニウムシート(IV−B)と接着性樹脂の一部分に剥離が見られた。
また、上記の容器VII−1と同様に成形した容器VII−3に、エチルアルコール50容量%含有ガソリン5Lを充填、65℃、6000時間経過後の外観を観察したところ、透過防止用部材のアルミニウムシートと接着性樹脂の一部分に剥離が見られた。
[比較例4]
[積層体の製造及び評価]
接着性樹脂(I)の代わりに接着性樹脂(IV)を用いた以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ100μmのアルミニウムシート(V−A)及び厚さ50μmのアルミニウムシート(V−B)を作製した。
積層体の評価は、アルミニウムシート(I−A)の代わりにアルミニウムシート(V−A)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
その結果、混合溶媒浸漬前の接着強度は1.0kg/10mm、混合溶媒浸漬2000時間後の接着強度は0.5kg/10mm以上(アルミニウムシートと接着性樹脂の界面での剥離不可)であり、浸漬後の接着強度は高くなった。また、混合溶媒浸漬後の試験片の外観に変化はなかった。
[多層中空成形容器の製造及び評価]
アルミニウムシート(I−B)の代わりにアルミニウムシート(V−B)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。その結果、アルミニウムシート(V−B)は、多層中空成形容器に接着しなかった。
[参考例1]
[積層体の製造及び評価]
接着性樹脂(I)の代わりに接着性樹脂(V)を用いた以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ100μmのアルミニウムシート(VI−A)及び厚さ50μmのアルミニウムシート(VI−B)を作製した。
積層体の評価は、アルミニウムシート(I−A)の代わりにアルミニウムシート(VI−A)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
その結果、混合溶媒浸漬前の接着強度は7.0kg/10mm、混合溶媒浸漬2000時間後の接着強度は樹脂の膨潤により測定できなかった。また、混合溶媒浸漬後の試験片は浸漬前より膨潤しており、重量増加率は145%であった。
[多層中空成形容器の製造及び評価]
アルミニウムシート(I−B)の代わりにアルミニウムシート(VI−B)を用いた以外は、実施例1と同様に行ない、容器VIII−1を成形した。
成形した多層中空成形容器VIII−1に、エチルアルコール10容量%含有ガソリン(20℃、11質量%エチルアルコール含有)5Lを充填、密閉し、40℃の温度で1000時間静置した。その後、新しいエチルアルコール10容量%含有ガソリン5Lに入れ替え、密閉し、40℃、1000時間放置後の重量変化を測定したところ、95mgの重量減少であった。
上記の容器VIII−1と同様に成形した容器VIII−2に、エチルアルコール10容量%含有ガソリン5Lを充填、65℃、6000時間経過後の外観を観察したところ、透過防止用部材の接着性樹脂が膨潤していた。
また、上記の容器VIII−1と同様に成形した容器VIII−3に、エチルアルコール50容量%含有ガソリン5Lを充填、65℃、6000時間経過後の外観を観察したところ、透過防止用部材の接着性樹脂が膨潤していた。
上記の実施例、比較例、参考例の評価結果などを表1に示す。
Figure 2008143070
本発明のプラスチック燃料タンク部材用積層体は、燃料タンクの燃料油が透過し易い部位、例えば多層中空成形品本体のピンチオフ部に、接着して用いると、ピンチオフ部からの燃料の透過を有効に防止することができ、さらに、アルコール含有率の高い燃料の透過防止性能にも、優れているので、ピンチオフ部に限らず、多層中空成形品(タンク)本体と付属部品との溶着部からの燃料の透過を有効に防止することができ、しかも、耐久性に優れたプラスチック燃料タンクとすることができ、工業的に非常に利用価値の高いものである。
本発明のプラスチック燃料タンク部材用積層体の一実施形態を示す断面図である。 本発明のプラスチック燃料タンク部材用積層体の一使用例を示す断面図である。
符号の説明
1 プラスチック燃料タンク部材用積層体
2 アルミニウム層
3 皮膜層
4 変性ポリエチレン接着性樹脂層
5 多層中空積層体のピンチオフ部分

Claims (7)

  1. アルミニウム層(I)と、キトサン類(a)と周期表の第3族〜第16族かつ第4〜第6周期の元素を含む化合物(b)とを含有してなる処理剤でアルミニウムを処理することによって形成された皮膜層(II)と、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリエチレン接着性樹脂層(III)とを含むことを特徴とするプラスチック燃料タンク部材用積層体。
  2. 前記処理剤は、キトサン類(a)の含有量が0.001〜10質量%、周期表の第3族〜第16族かつ第4〜第6周期の元素を含む化合物(b)の含有量が0.001〜10質量%であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック燃料タンク部材用積層体。
  3. 前記周期表の第3族〜第16族かつ第4〜第6周期の元素は、Ti、Hf、Mo、W、Se、Ce、Fe、Cu、Zn、V及びCrからなる群より選ばれた1種以上の元素であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチック燃料タンク部材用積層体。
  4. ポリエチレン接着性樹脂層(III)の樹脂は、メルトフローレート(MFR)(試験条件:190℃、2.16kg荷重)が0.1〜100g/10分であり、密度が0.910〜0.965g/cmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプラスチック燃料タンク部材用積層体。
  5. 前記不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリエチレン接着性樹脂は、未変性ポリエチレン(B)を含む組成物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチック燃料タンク部材用積層体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のプラスチック燃料タンク部材用積層体を、プラスチック燃料タンクの表面の少なくとも一部に溶着してなることを特徴とするプラスチック燃料タンク。
  7. アルコールが5質量%以上含まれる燃料用のタンクであることを特徴とする請求項6に記載のプラスチック燃料タンク。
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