JPH10259301A - 樹脂組成物およびそれを用いた多層構造体 - Google Patents

樹脂組成物およびそれを用いた多層構造体

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JPH10259301A
JPH10259301A JP6434097A JP6434097A JPH10259301A JP H10259301 A JPH10259301 A JP H10259301A JP 6434097 A JP6434097 A JP 6434097A JP 6434097 A JP6434097 A JP 6434097A JP H10259301 A JPH10259301 A JP H10259301A
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JP
Japan
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polyketone
resin composition
ethylene
gas barrier
multilayer structure
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JP6434097A
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English (en)
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Naoyuki Himi
直之 氷見
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一酸化炭素−エチレン系共重合体のガスバリ
ア性を向上させること。また、溶融成形性とガスバリア
性を両立できる一酸化炭素−エチレン系共重合体を提供
すること、さらには、良好なガスバリア性が得られる積
層体を提供すること。 【解決手段】 一酸化炭素−エチレン系共重合体からな
るポリケトン(a)および酸化触媒(b)からなる樹脂
組成物を提供することによって目的達成される。特に、
ポリケトン(a)が炭素数3以上のα−オレフィンをポ
リケトン重量に対して0.5〜7重量%共重合してなる
場合に有用である。また、上記樹脂組成物はポリケトン
(a)以外の熱可塑性樹脂(c)を含んでいてもよく、
なかでも熱可塑性樹脂(c)がポリオレフィンあるいは
エチレン−ビニルアルコール共重合体であることが好ま
しい。さらに、このような樹脂組成物は酸素バリア性包
装材料として有用であり、熱可塑性樹脂層からなる多層
構造体、なかでも共押出成形あるいは共射出成形されて
なる多層構造体としたときに有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスバリア性に優
れた樹脂組成物とそれを用いた多層構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂は、溶融押出成形、射出成
形、中空成形など様々な方法で成形加工が可能であるこ
とから、例えば包装用のフィルム、シート、ボトル、容
器などに広く利用されている。特に食品など、酸素によ
る酸化を嫌う内容物の包装用としては、エチレン−ビニ
ルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアク
リロニトリルなどに代表される、ガスバリア性に優れた
熱可塑性樹脂が広く利用されている。
【0003】一酸化炭素−エチレン系共重合体であるポ
リケトンは、各種の用途に用いられることが知られてお
り、容器としても有用である旨が、例えば特開平1−1
58036号などに記載されている。かかるポリケトン
はガスバリア性が比較的良好であり、内容物の保存性に
優れることが知られている。なかでも、一酸化炭素とエ
チレンが交互に配列した構造の交互共重合体は、結晶性
が高く、良好なガスバリア性を有している。ところがこ
の交互共重合体は、融点が高く分解温度に近いために溶
融安定性に問題を有しており、それに対してエチレン単
位の一部をプロピレンなどの炭素数3以上のαーオレフ
ィンで置き換えて、融点を低下させることで溶融安定性
を改善することが行われている。しかしながら、かかる
α−オレフィンの共重合によって溶融安定性は向上する
ものの、α−オレフィンの導入量にしたがって結晶化度
が低下し、それに伴いガスバリア性が低下してしまう。
【0004】また一酸化炭素−エチレン交互共重合体を
熱処理等によって高度に結晶化させることで、未処理品
に比べてガスバリア性が改善されることも知られてい
る。この熱処理によるガスバリア性の改善は、融点以下
のできるだけ高い温度で処理することが有効であるが、
ポリオレフィン等の比較的融点の低い樹脂と積層使用す
ることの多いガスバリア材においては、ポリオレフィン
等の融点以上に加熱処理することができないという問題
がある。特に好適に積層されることの多いポリエチレン
やポリプロピレンの融点に比べて、一酸化炭素−エチレ
ン交互共重合体であるポリケトンの融点はずっと高温で
ある。したがって、これらの低融点の樹脂との積層体、
特に共押出成形や共射出成形してなる積層体をポリケト
ンの融点の近傍の温度で熱処理することができず、これ
らの積層体ではガスバリア性が不十分となる恐れもあ
る。
【0005】以上のごとく、ポリケトンのガスバリア性
を改善することが望まれている訳であるが、中でも成形
性の良好なα−オレフィン共重合体のガスバリア性の改
善が強く望まれている。さらに、積層使用する際、特に
共押出成形する際のように高温での熱処理が困難な場合
にもガスバリア性を改善できることが強く望まれてい
る。
【0006】ところで、ポリオレフィンやポリエステル
等の熱可塑性樹脂に酸化触媒を添加することで、ガスバ
リア性を改善することができることは、特開平5−24
7276、特開平7−101468号、特開平7−19
6248号等に記載されているとおりである。しかしな
がら、ポリケトンに対してかかる酸化触媒を添加するこ
とでガスバリア性を改善できること、特に上述のような
ポリケトンにおける問題点を解消できることについては
記載されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、一酸
化炭素−エチレン系共重合体のガスバリア性を向上させ
ることにある。また、溶融成形性とガスバリア性を両立
できる一酸化炭素−エチレン系共重合体を提供するこ
と、さらには、良好なガスバリア性が得られる積層体を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、一酸化炭素
−エチレン系共重合体からなるポリケトン(a)および
酸化触媒(b)からなる樹脂組成物を提供することによ
って達成される。特に、ポリケトン(a)が炭素数3以
上のα−オレフィンをポリケトン重量に対して0.5〜
7重量%共重合してなる場合に有用である。
【0009】また、上記樹脂組成物はポリケトン(a)
以外の熱可塑性樹脂(c)を含んでいてもよく、なかで
も熱可塑性樹脂(c)がポリオレフィンあるいはエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体であることが好ましい。
さらに、このような樹脂組成物は酸素バリア性包装材料
として有用であり、他の熱可塑性樹脂層とからなる多層
構造体、なかでも共押出成形あるいは共射出成形されて
なる多層構造体としたときに有用である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において、ポリケトン
(a)とは、一酸化炭素−エチレン系共重合体であり、
一酸化炭素−エチレン共重合体としては、一酸化炭素と
エチレンとを共重合して得たもの、または一酸化炭素と
エチレンを主体とし、これにエチレン以外の不飽和化合
物を共重合して得たものが挙げられる。ここで、エチレ
ン以外の不飽和化合物としては、炭素数3以上のα−オ
レフィン、スチレン、ジエン、ビニルエステル、脂肪族
不飽和カルボン酸エステルなどがあげられる。共重合体
としては、ランダム共重合体、交互共重合体などがあげ
られるが、結晶性が高くなる交互共重合体がバリア性の
面で好ましい。
【0011】交互共重合体のなかでは、一酸化炭素ある
いはエチレン以外の第3成分による共重合が施されてい
る方が、融点が低下するので、溶融安定性の観点から好
ましい。共重合される単量体のうち好適なものとしてα
−オレフィンがあげられ、プロピレン、ブテン−1、イ
ソブテン、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘ
キセン−1、オクテン−1、ドデセン−1などがあげら
れるが、なかでも炭素数3〜8個のα−オレフィンが好
ましく、特にプロピレンが好適である。これらα−オレ
フィンの共重合量はポリケトンに対して0.5〜7重量
%であることが、適当な結晶性と溶融安定性を確保でき
る観点から好ましい。
【0012】また、共重合されるジエンとしては炭素数
4〜12個のものが好ましく、ブタジエン、イソプレ
ン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、
1,9−デカジエンなどがあげられる。ビニルエステル
としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン
酸ビニル、などがあげられる。脂肪族不飽和カルボン
酸、その塩およびそのエステルとしては、アクリル酸、
メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン
酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレ
イン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸
モノエステル、フマル酸ジエステル、イタコン酸モノエ
ステル、イタコン酸ジエステル(これらのエステルとし
てはメチルエステル、エチルエステルなどのアルキルエ
ステルなど)、アクリル酸塩、マレイン酸塩、イタコン
酸塩(これらの塩としては1価または2価の金属塩な
ど)があげられる。これらの共重合単量体は一種のみで
なく、二種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0013】ポリケトンの製造方法としては、公知の方
法、例えば、米国特許第2,495,286号および特
開昭53−128690号、特開昭59−197427
号、特開昭61−91226号、特開昭62−2324
34号、特開昭62−53332号、特開昭63−30
25号、特開昭63−105031号、特開昭63−1
54737号、特開平1−149829号、特開平1−
201333号、特開平2−67319号などに記載さ
れている方法があげられるが、特にそれに制限されるも
のではない。
【0014】本発明に用いるポリケトンの好適なメルト
フローレート(MFR)は、0.01〜50g/10分
(230℃、2160g荷重下)、最適には0.1〜1
0g/10分である。MFRが前記範囲にある場合、樹
脂の流動性は優れ、さらに成形加工性も優れたものとな
る。
【0015】本発明において、酸化触媒(b)とは、好
ましくは遷移金属の化合物等からなる金属触媒が用いら
れる。このような遷位金属においては、金属イオンは酸
化状態から還元状態、還元状態から酸化状態へと遷移す
る過程で酸素とポリケトンが反応することを触媒するも
のと考えられる。
【0016】前記遷移金属としては、好ましくは、C
o、Mn、Fe、Cu、Ni、Ti、V、Cr等の金属
が挙げられ、これらの金属の化合物、主に有機酸の塩が
好適に用いられる。このような有機酸としては例えばス
テアリン酸やナフテン酸、リノール酸、ジメチルジチオ
カルバミン酸、オレイン酸、ギ酸、グルコン酸、蓚酸、
フマル酸などが挙げられ、また、ポルフィリン、フタロ
シアニン、キノリン、エチレンジアミン、ピリジン、プ
ロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレ
ンテトラミン、2,2’−ビピリジン、1,10−フェ
ナントロリン、エチレンジアミンテトラアセテート、ジ
メチルグリオキシメート、グリシナート、アセチルアセ
トネート、シッフ塩基などを配位子とした有機金属錯塩
も好ましく用いられる。これ以外にも塩化鉄やコバルト
ブルーなどの無機塩なども用いることができる。また、
これらの金属化合物は単独あるいは2種以上の混合物と
してもよい。
【0017】前記酸化触媒としては、衛生的であること
等の理由により、クエン酸第一鉄ナトリウム、クエン酸
第二鉄、クエン酸鉄アンモニウム、グルコン酸亜鉛、グ
ルコン酸第一鉄、グルコン酸銅、乳酸鉄、ピロリン酸第
一鉄、ピロリン酸第二鉄、硫酸第一鉄等の食品添加物も
好適に使用される。
【0018】これらの酸化触媒は前記ポリケトンに対
し、金属の原子重量換算で10〜1000ppm含有す
ればよく、より好ましくは50〜500ppmである。
【0019】また、本発明の樹脂組成物に、成形性や機
械的強度の向上の目的で該樹脂組成物以外の熱可塑性樹
脂を適量配合することも可能である。熱可塑性樹脂とし
ては各種ポリオレフィン、エチレン−ビニルアルコール
共重合体(以下、EVOHと略する)、各種ナイロン
(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66共重合
体など)、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリスチレ
ン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタンおよびポリア
セタール樹脂などが用いられる。
【0020】なかでもポリオレフィンを配合した場合、
ポリケトンの柔軟性が高まり、成形加工が容易となる。
これは、ポリオレフィンが一般的に成形性、特に絞り
性、延伸性など、特に包装材料として使用される場合に
要求される物性に優れているためである。
【0021】配合されるポリオレフィンは特に限定され
るものではなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン
−プロピレン共重合体、エチレンと炭素数4以上のα−
オレフィンとの共重合体、オレフィンと無水マレイン酸
との共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合
体、またはこれらを不飽和カルボン酸またはその誘導体
でグラフト変性した変性ポリオレフィンなどが挙げられ
る。なかでも、ポリエチレン、ポリプロピレンが価格、
性能等のバランスの面から好適である。
【0022】かかるポリオレフィンの配合量は特に限定
されるものではなく、樹脂組成物中の重量含有率とし
て、例えば1〜99重量%の重量比で配合することがで
きる。なかでもポリオレフィンの配合量が1〜40重量
%、好ましくは5〜30重量%の時には、ポリケトンの
柔軟性を改善できる観点から好ましい。また、逆にポリ
オレフィンの含有量が60〜99重量%、好ましくは7
0〜95重量%の時にはポリオレフィンのガスバリア性
を改善できる観点から好ましい。
【0023】また、EVOHはガスバリア性が高く、該
樹脂組成物に添加することで更なるバリア性の改善が可
能となる点で好ましい。
【0024】配合されるEVOHは、エチレン−ビニル
エステル共重合体をケン化することにより製造され、そ
のエチレン含有量は好適には20〜60モル%であり、
より好適には25〜50モル%である。また、ビニルエ
ステル成分のケン化度は好適には90%以上であり、よ
り好適には95%以上、さらに好適には98%以上であ
る。エチレン含有量が20モル%未満では、溶融成形性
も悪化することがあり、60モル%を越えると十分なガ
スバリア性の改善効果が得られないことがある。一方、
ケン化度が90モル%未満では、ガスバリア性が低下す
ることがあるだけでなく、熱安定性も悪化することがあ
る。ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なもの
としてあげられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル
(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用
できる。
【0025】かかるEVOHの配合量は特に限定される
ものではなく、樹脂組成物中の重量含有率として、例え
ば1〜99重量%の重量比で配合することができる。な
かでもEVOHの配合量が1〜40重量%、好ましくは
5〜30重量%の時には、ポリケトンのガスバリア性を
さらに改善できる観点から好ましい。また、逆にEVO
Hの含有量が60〜99重量%、好ましくは70〜95
重量%の時にはEVOHのガスバリア性をさらに改善で
きる観点から好ましい。
【0026】なお、本発明の樹脂組成物には、次のよう
な添加剤を配合することもできる。このような添加剤の
例としては、可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防
止剤、滑剤、着色剤、フィラー、を挙げることができ
る。添加剤の具体的な例としては次の様なものが挙げら
れる。 可塑剤:フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル
酸ジオクチル、ワックス,流動パラフィン、リン酸エス
テル等。 紫外線吸収剤:エチレン−2−シアノ−3,3’−ジフ
ェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−
メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒ
ドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)
ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−
t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾ
トリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフ
ェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−4−オキトシキベンゾフェ
ノン等。 帯電防止剤:ペンタエリスリットモノステアレート、ソ
ルビタンモノパルミテート、硫酸化ポリオレフィン類、
ポリエチレンオキシド、カーボワックス等。 滑剤:エチレンビスステアロアミド、ブチルステアレー
ト等。 着色剤:カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリ
ドン、インドリン、アゾ系顔料、ベンガラ等。 充填剤:グラスファイバー、アスベスト、バラストナイ
ト、ケイ酸カルシウム等。
【0027】さらに、該組成物層を含む多層構造体の積
層構成については特に限定されるものではないが、前記
樹脂組成物以外の熱可塑性樹脂からなる層、とくにポリ
オレフィン層、とりわけポリエチレン層あるいはポリプ
ロピレン層を接着性樹脂層を介して積層することが好ま
しい。このような構成とすることで、樹脂組成物を単層
で用いる場合に比べて強度、保形性が改善され、高湿度
下でのガスバリア性が改善される。
【0028】このようなポリオレフィン層を樹脂組成物
層の内層または内外層に積層することにより、酸素バリ
ア性の優れた多層体を得ることができる。ポリオレフィ
ン層は、最内層、または最内層−最外層にあることが好
適な態様であるが、他の樹脂層が最内層、または最内層
−最外層に積層されることは、本発明の目的が阻害され
ないかぎり自由である。また、ポリオレフィン層に他の
樹脂などを配合することは、本発明の目的を阻害されな
い限り自由である。また、前記樹脂組成物以外の熱可塑
性樹脂としては、前記ポリオレフィン以外に、ポリアミ
ド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、あ
るいはスクラップ回収物なども使用できる。
【0029】また、樹脂組成物層とそれ以外の熱可塑性
樹脂層を接着するためにそれらの層の間に接着性樹脂を
介在させてもよい。かかる接着性樹脂は、特に限定され
るものではないが、ポリウレタン系、ポリエステル系一
液型あるいは二液型硬化性接着剤、不飽和カルボン酸ま
たはその無水物(無水マレイン酸など)をオレフィン系
重合体または共重合体[ポリエチレン{低密度ポリエチ
レン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLD
PE)、超低密度ポリエチレン(SLDPE)}、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリ
ル酸エステル(メチルエステル、またはエチルエステ
ル)共重合体]にグラフトしたものが、好適に用いられ
る。このような接着性樹脂層を設けることにより、層内
接着性の優れた、しかも本発明の目的とするガスバリア
性の優れた多層構造体を得ることができる。これらの各
層の厚みは特に限定されるものではない。
【0030】本発明の樹脂組成物層を有する多層構造体
を得る方法は特に限定されるものではなく、一般の高分
子加工の分野において実施されている積層方法、すなわ
ちドライラミネート法、押出コーティング法、溶液コー
ティング法、共押出成形法、共射出成形法等を採用する
ことができる。これらのうち、とくに共押出シート成形
法、共押出パイプ成形法、共押出フィルム成形法、共押
出ブロー成形法などの共押出成形法や、共射出成形法
は、成形が容易であり、生産性も良好であることから特
に好ましい成形法として挙げることができる。しかしな
がら従来技術の欄でも述べたように、樹脂組成物層と積
層する熱可塑性樹脂が低融点であった場合に熱処理して
ガスバリア性を改善することが困難であり、単独で熱処
理してから積層の可能なドライラミネート法などと比較
して、本発明の樹脂組成物を用いることによるガスバリ
ア性改善の有用性が高い。
【0031】このようにして得られた樹脂組成物および
それを含む多層構造体を包装材料として使用することに
より、後述する実施例に示すとおり、酸素に対して優れ
たバリア性が付与される。
【0032】
【実施例】実施例及び比較例を以下に示す。 実施例1 カルシウムヒドロキシアパタイトを1000ppm含有
し、メルトフローレート(MFR)が7.5g/10分
(230℃、2160g荷重)で、プロピレン含有量が
5モル%であるエチレン−プロピレン−一酸化炭素交互
三元共重合体からなるポリケトンペレットにステアリン
酸コバルトを0.1重量%ブレンドし、二軸押出機(T
EX30:日本製鋼所製)にて溶融混合し樹脂組成物ペ
レットを得た。このペレットと、直鎖状低密度ポリエチ
レン(LLDPE){MFR=2.1g/10分(21
0℃、2160g荷重)、三井石油化学製「ウルトゼッ
クス3520L」}と、さらに、接着層(AD)に無水
マレイン酸変性ポリエチレン{MFR=2.0g/10
分(230℃、2160g荷重)、三井石油化学製「ア
ドマーGT4」}を用い、共押出成形機にて3種5層
(LLDPE/AD/樹脂組成物/AD/LLDPE=
50/7.5/10/7.5/50μ)の多層構造体を
得た。
【0033】実施例2 実施例1に記載の方法で得たポリケトンにステアリン酸
亜鉛を0.1重量%ブレンドし、二軸押出機(TEX3
0:日本製鋼所製)にて溶融混合しペレットを得た。こ
のペレットとLLDPEとを実施例1に記載の方法で共
押出成形し、多層構造体を得た。
【0034】実施例3 カルシウムヒドロキシアパタイトを1000ppm含有
し、メルトフローレート(MFR)が6.1g/10分
(230℃、2160g荷重)のエチレン−一酸化炭素
交互共重合体からなるポリケトンペレットにステアリン
酸コバルトを0.1重量%ブレンドし、二軸押出機(T
EX30:日本製鋼所製)にて溶融混合しペレットを得
た。このペレットとLLDPEとを実施例1に記載の方
法で共押出成形し多層構造体を得た。
【0035】実施例4 実施例1に記載の方法で得たポリケトンにステアリン酸
コバルトを0.1重量%、直鎖状低密度ポリエチレン
(LLDPE){MI=2.1g/10分(210℃、
2160g荷重)、三井石油化学製「ウルトゼックス3
520L」}を20重量%ブレンドし、二軸押出機(T
EX30:日本製鋼所製)にて溶融混合しペレットを得
た。このペレットとLLDPEとを実施例1に記載の方
法で共押出成形し多層構造体を得た。
【0036】実施例5 実施例1に記載の方法で得たポリケトンにステアリン酸
コバルトを0.1重量%、直鎖状低密度ポリエチレン
(LLDPE){MI=2.1g/10分(210℃、
2160g荷重)、三井石油化学製「ウルトゼックス3
520L」}を80重量%ブレンドし、二軸押出機(T
EX30:日本製鋼所製)にて溶融混合しペレットを得
た。このペレットとLLDPEとを実施例1に記載の方
法で共押出成形し多層構造体を得た。
【0037】実施例6 実施例1に記載の方法で得たポリケトンにステアリン酸
コバルトを0.1重量%、EVOH{MI=1.6g/
10分(190℃、2160g荷重)、エチレン含量3
2モル%、ケン化度99.6%}を20重量%ブレンド
し、二軸押出機(TEX30:日本製鋼所製)にて溶融
混合しペレットを得た。このペレットとLLDPEとを
実施例1に記載の方法で共押出成形し多層構造体を得
た。
【0038】実施例7 実施例1に記載の方法で得たポリケトンにステアリン酸
コバルトを0.1重量%、EVOH{MI=1.6g/
10分(190℃、2160g荷重)、エチレン含量3
2モル%、ケン化度99.6%}を80重量%ブレンド
し、二軸押出機(TEX30:日本製鋼所製)にて溶融
混合しペレットを得た。このペレットとLLDPEとを
実施例1に記載の方法で共押出成形し多層構造体を得
た。
【0039】比較例1 実施例1でステアリン酸コバルトを添加しなかった以外
は同様の操作で多層構造体を得た。
【0040】比較例2 実施例3でステアリン酸コバルトを添加しなかった以外
は同様の操作で多層構造体を得た。
【0041】比較例3 実施例4でステアリン酸コバルトを添加せずにポリケト
ンとLLDPEとのブレンドペレットを作成し、それ以
外は同様の操作で多層構造体を得た。
【0042】比較例4 実施例6でステアリン酸コバルトを添加せずにポリケト
ンとEVOHとのブレンドペレットを作成し、それ以外
は同様の操作で多層構造体を得た。
【0043】比較例5 実施例1で用いたものと同じペレットを用い、ステアリ
ン酸コバルトを添加せずに押出機にて単層フィルム(平
均厚み25μ)を得た。このフィルムを枠に固定して収
縮しないようにしてから対流オーブンに投入し、250
℃で5分間熱処理を施した。
【0044】比較例6 実施例1で用いたものと同じペレットを用い、ステアリ
ン酸コバルトを添加せずに押出機にて単層フィルム(平
均厚み25μ)を得た。
【0045】比較例7 実施例3で用いたものと同じペレットを用い、ステアリ
ン酸コバルトを添加せずに押出機にて単層フィルム(平
均厚み25μ)を得た。このフィルムを枠に固定して収
縮しないようにしてから対流オーブンに投入し、250
℃で5分間熱処理を施した。
【0046】比較例8 実施例3で用いたものと同じペレットを用い、ステアリ
ン酸コバルトを添加せずに押出機にて単層フィルム(平
均厚み25μ)を得た。
【0047】実施例1〜7、および比較例1〜8で得ら
れた多層構造体および単層フィルムについて、酸素透過
量を、試料作成後1日後、14日後、28日後に測定し
た。測定は「モコンOX・TRAN10/50A」(モ
ダンコントロール社製)を用い、25℃、80%RHの
条件下で行った。測定結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、ガスバリア性の優れた
樹脂組成物およびそれを含む多層構造体が得られる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一酸化炭素−エチレン系共重合体からな
    るポリケトン(a)および酸化触媒(b)からなる樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】 ポリケトン(a)が、炭素数3以上のα
    −オレフィンをポリケトン重量に対して0.5〜7重量
    %共重合してなる請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリケトン(a)以外の熱可塑性樹脂
    (c)を含む請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂(c)がポリオレフィンで
    ある請求項3記載の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂(c)がエチレン−ビニル
    アルコール共重合体である請求項3記載の樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の樹
    脂組成物からなる酸素バリア性包装材料。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし5のいずれかに記載の樹
    脂組成物層と熱可塑性樹脂層からなる多層構造体。
  8. 【請求項8】 共押出成形あるいは共射出成形されてな
    る請求項7記載の多層構造体。
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