JP2008142588A - 水中油滴型エマルション及びその製造方法、並びに機能性粉末及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】機能性油性成分を含む油相と水相とを混合してエマルションを得る水中油滴型エマルションの製造方法であって、前記油相及び水相の少なくとも一方がHLB10以上でHLB18以下の非イオン性界面活性剤を含み、かつ、それぞれ独立にマイクロミキサ−の微小空間に分けられた前記油相及び水相を、別な微小空間において80℃以下の温度でミクロ混合することを特徴とする水中油滴型エマルションの製造方法。
【選択図】なし
Description
しかし、ここで行われている乳化方法では主として非常に粒径の大きなエマルションしか調製出来ず、安定性も不十分なものであった。また、一部に透明エマルションの例が示されてはいるが、これは大量のグリセリンを添加して100℃付近まで加熱するという過酷な条件でしか微細化が出来ない特殊な方法であり、食品等も含め一般的に適用するのは困難な方法であった。特に加熱や、酸化に弱い機能性油性成分の微細乳化には適さない方法であった。
即ち、本発明は下記の手段により達成されるものである。
<2> 機能性油性成分を含む油相と水相とを混合してエマルションを得る水中油滴型エマルションの製造方法であって、前記機能性成分を含有する油相中に水溶性有機溶媒を含み、前記油相及び水相の少なくとも一方が非イオン性界面活性剤を含み、かつ、それぞれ独立にマイクロミキサ−の微小空間に分けられた前記油相及び水相を、別な微小空間において80℃以下の温度でミクロ混合することを特徴とする水中油滴型エマルションの製造方法。
<4> 前記マイクロミキサ−の微小空間に分けられた水相、油相及びマイクロミキサーの保温温度がそれぞれ80℃以下であることを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の水中油滴型エマルションの製造方法。
<6> 前記油性成分がカロテノイド類を含むことを特徴とする上記<1>〜<5>のいずれか1項に水中油滴型エマルションの製造方法。
<8> 前記水中油滴型エマルションがタンパク質類及び糖類から選択される1種以上含むことを特徴とする上記<1>〜<7>のいずれか1項に水中油滴型エマルションの製造方法。
<10> 機能性油性成分を含む油相と水相とを有する水中油滴型エマルションであって、前記エマルションがHLB10以上でHLB18以下の非イオン性界面活性剤を含み、かつ、油滴の体積平均粒径が40nm以上200nm以下であることを特徴とする水中油滴型エマルション。
<12> 前記機能性油性成分が水に不溶性または難溶性の化粧品用機能性材料を含むことを特徴とする上記<10>に記載の水中油滴型エマルション。
<14> 前記油性成分がカロテノイド類を含むことを特徴とする上記<10>〜<13>のいずれか1項に記載の水中油滴型エマルション。
<16> 前記水中油滴型エマルションがタンパク質類及び糖類から選択される1種以上を含有することを特徴とする上記<10>〜<15>のいずれか1項に記載の水中油滴型エマルション。
<18> 上記<10>〜<17>のいずれか1項に記載の水中油滴型エマルションを乾燥して水易分散性乾燥粉末を製造することを特徴とする機能性粉末の製造方法。
<19> 上記<18>に記載の機能性粉末の製造方法を用いて製造された機能性粉末。
また、本発明によれば、機能性油性成分の微細油滴状態を保持したまま、水易分散性の乾燥粉末、及びその製造方法を提供することができる。
本発明の水中油滴型エマルションの製造方法は、機能性油性成分を含む油相と水相とを混合してエマルションを得る水中油滴型エマルションの製造方法であって、前記油相及び水相の少なくとも一方がHLB10以上でHLB18以下の非イオン性界面活性剤を含み、かつ、それぞれ独立にマイクロミキサ−の微小空間に分けられた前記油相及び水相を、別な微小空間において80℃以下の温度でミクロ混合することを特徴とする(第1の態様)。
本発明の水中油滴型エマルションの製造方法は、機能性油性成分を含む油相と水相とを混合してエマルションを得る水中油滴型エマルションの製造方法であって、前記機能性成分を含有する油相中に水溶性有機溶媒を含み、前記油相及び水相の少なくとも一方が非イオン性界面活性剤を含み、かつ、それぞれ独立にマイクロミキサ−の微小空間に分けられた前記油相及び水相を、別な微小空間において80℃以下の温度でミクロ混合することを特徴とする(第2の態様)。
本発明の製造方法は、前記第1の態様又は第2の態様の構成を有することにより、機能性油性成分を劣化させることなく、乳化粒子の粒径が小さく透明性に優れ、且つ保存安定性に優れた、水中油滴型エマルションを製造することが出来るものである。
本発明におけるミクロ混合とは、後述するマイクロミキサーを所定の混合条件下で使用して、少なくとも300nm以下の体積平均粒径となる微細粒子を生成可能な混合をいう。
本発明において用いられるマイクロミキサーとは、独立した微小空間中で異なる液同士を均一混合する装置を表す。
本発明に於けるマイクロミキサーは、主に2つの異なる液を微小空間中で混合するもので、一方の液が機能性油性成分を含有する油相であり、もう一方が水を主成分とする水相である。
本発明者はマイクロ化学プロセスの一つである粒径が小さなエマルション調製にマイクロミキサーを適用した場合、比較的低エネルギーで発熱が少なく、通常の攪拌乳化方式や高圧ホモジナイザー乳化に比べて、粒径が揃っていて、保存安定性にも優れる良好なエマルションが得られることを見出した。熱劣化し易い機能性油性成分(特に、カロテノイド等)を含む乳化に最適な方法であることも明らかになった。
マイクロミキサーにおけるミキシング方法としては、層流を維持してミキシングする方法と、流れを乱して、すなわち乱流でミキシングする方法の2種を挙げることができる。
層流を維持してミキシングする方法では、流路幅より流路深さの寸法を大きくとることで、2液の境界面積をなるべく大きくし、両層の厚さを薄くすることが微細粒子とする点で効果的である。また、2液の入り口を多数に分割して交互に流す多層流にすることも微細粒子とする点で効果的である。
一方、乱流でミキシングする方法では、それぞれの液を狭い流路に分けて比較的高速で流す方法が一般的である。アレイ化したマイクロノズルを用いて片方の液を、微小空間に導入されたもう一方の液中に噴出させる方法も微細粒子とする点で効果的である。また、高速で流れる液同士を種々の手段を用いて強制的に接触させる方法は特に好ましい方法である。
前者の層流を用いた方法は、粒子サイズ分布をシャープにするということができ、後者の乱流を用いた方法は、非常に微細なエマルションが得ることができる。安定性及び透明性の点で、乱流を用いた方法がより好ましい。
前記櫛歯型マイクロミキサーとしては、IMM社製に代表されるように、2つの櫛歯状の流路が対面して交互に入り組むように配置された構造となっている。櫛歯状流路の幅は、25〜50μmを選択することができ、この中でも、流路幅は狭い方が好ましく、最も狭い25μmのものが好ましい(例えば、SSIMM−SS−Ni25、IMM社製)。
前記乳化温度0℃以上とすることにより、分散媒の主体が水であるため、乳化温度管理でき好ましい。
前記保温温度を100℃以下とすることにより、保温温度の管理が容易に制御でき、また、乳化性能に悪影響があるミクロな突沸現象を無くすことができる。前記保温温度は80℃以下の温度で制御することがさらに好ましい。
マイクロミキサーの前記微小空間に分けられた油相、水相、及びマイクロミキサーの前記微小空間の保温温度は、水相及び油相に添加される成分によっても異なるが、それぞれ独立に0〜80℃が好ましく、5〜75℃が特に好ましい。
油相に水溶性有機溶媒を含む場合、マイクロミキサーの前記微小空間に分けられた油相、水相、及びマイクロミキサーの前記微小空間の保温温度は、それぞれ独立に、0〜50℃が好ましく、5〜25℃が特に好ましい。
マイクロミキサーの前記微小空間の保温温度と、マイクロミキサーの前記微小空間に分けられた油相および水相の保温温度と、マイクロミキサーの前記微小空間に分けられる前の油相および水相の保温温度(即ち、油相および水相供給タンクの保温温度)がそれぞれ異なっていても良いが、同じ温度にする事が混合の安定性の点で好ましい。
油相の流量としては、エマルション粒径の微細化および混合安定性の観点から、1〜70ml/min(が好ましく、3〜60ml/minがより好ましく、7〜40ml/minが特に好ましい。
前記水相の送液圧力を50〜5000KPaとすることにより、安定な送液流量を維持出来る傾向となり、油相の送液圧力が10〜1000KPaとすることにより、均一な混合性が得られる傾向となり好ましい。
環状チャンネル108の断面形状、幅/深さ/直径:矩形、1.5/1.5/25mm
環状チャンネル110の断面形状、幅、深さ、直径:矩形、1.5/1.5/20mm
ボア112の直径、長さ:1.5/10mm(円形断面)
ボア114の直径、長さ:1.5/10mm(円形断面)
ボア116の直径、長さ:0.5/4mm(円形断面)
ボア118の直径、長さ:0.5/4mm(円形断面)
マイクロチャンネル124の断面形状、幅、深さ、長さ:矩形、100μm/100μm/12.5mm
マイクロチャンネル126の断面形状、幅、深さ、長さ:矩形、100μm/100μm/10mm
ボア130の直径、長さ:500μm、10mm(円形断面)
また、これらの含有成分等の記載については、特に断りがない限りは、前述の本発明の水中油滴型エマルションの製造方法(第1、第2の態様)において用いる油相、水相等の含有成分等と同様であり、好ましい例、添加量等も同様である。
本発明の水中油滴型エマルションは、機能性油性成分を含む油相と水相とを有する水中油滴型エマルションであって、前記エマルションがHLB10以上でHLB18以下の非イオン性界面活性剤を含み、かつ、油滴の体積平均粒径が40nm以上200nm以下であることを特徴とする。
本発明の水中油滴型エマルションは、前記構成とすることにより、機能性油性成分を劣化させることなく、乳化粒子の粒径が小さく且つ保存安定性に優れたエマルションとすることができる。
本発明の水中油滴型エマルションは、ミクロ混合による乳化分散向上のためHLB10以上でHLB18以下の非イオン性界面活性剤(単に、非イオン性界面活性剤ともいう。)を含有する。
前記非イオン性界面活性剤は、油相及び水相のいずれか一方に含有しても、また、双方に含有してもよいが、少なくとも1つは水相に添加すること好ましい。
本発明においては、下記川上式を採用する。
ここで、Mwは親水基の分子量、M0は疎水基の分子量である。
これらの非イオン性界面活性剤をそれぞれ単独または、それらの2種以上を任意の割合で併用する事も出来る。
また、上記の非イオン性界面活性剤は蒸留などで高度に精製されたものであることは必ずしも必要ではなく、反応混合物であってもよい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ヘキサグリセリンモノパルミチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。
これらのポリグリセリン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL Hexaglyn 1−L,NIKKOL Hexaglyn 1−M,NIKKOL Decaglyn 1−L,NIKKOL Decaglyn 1−M,NIKKOL Decaglyn 1−SV,NIKKOL Decaglyn 1−50SV,NIKKOL Decaglyn 1−ISV,NIKKOL Decaglyn 1−O,NIKKOL Decaglyn 1−OV,NIKKOL Decaglyn 1−LN,三菱化学フーズ(株)社製リョートーポリグリエステル L−10D、L−7D、M−10D、M−7D、P−8D、S−28D、S−24D、SWA−20D、SWA−15D、SWA−10D、O−15D、理研ビタミン(株)社製ポエムJ−0381V、ポエムJ−0021Vなどが挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステルの好ましい例としては、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等が挙げられる。
本発明においては、これらのショ糖脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
市販品としては、例えば、三菱化学フーズ(株)社製リョートーシュガーエステルS−1170、S−1170S、S−1570、S−1670、P−1570、P−1670、M−1695、O−1570、OWA−1570、L−1695、LWA−1570、第一工業製薬(株)社製の、DKエステルF140、DKエステルF160、DKエステルSS等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
レシチンは、分子内に親水基と疎水基を有しているため、従来から、食品、医薬品、化粧品分野で、広く乳化剤として使用されている。
このようなレシチンの具体例としては、例えば、大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物や、卵黄、牛等の動物及び大腸菌等の微生物等から由来する各種レシチンを挙げることができる。
このようなレシチンを化合物名で例示すると、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ビスホスアチジン酸、ジホスファチジルグリセリン(カルジオリピン)等のグリセロレシチン;スフィンゴミエリン等のスフィンゴレシチン等を挙げることが出来る。
また、本発明においては、上記の高純度レシチン以外にも、水素添加レシチン、酵素分解レシチン、酵素分解水素添加レシチン、ヒドロキシレシチン等を使用することが出来る。本発明で用いることができるこれらのレシチンは、単独又は複数種の混合物の形態で用いることが出来る。
また、機能性油性成分に対しては、好ましくは10〜1000質量%、より好ましくは50〜500質量%である。
非イオン性界面活性剤の添加量を0.1質量%以上とすることにより、微細な粒径の乳化物が得られ易くなり、得られた乳化物の安定性が向上する点で好ましい。また、50質量%以下とすることにより、乳化物の泡立ちが激しくなる等の問題点を生じ難くなる点で好ましい。
本発明の水中油滴型エマルションの製造方法における第1の態様においては、前記HLB10以上でHLB18以下の非イオン性界面活性剤を含有することが必要である。 また、本発明の水中油滴型エマルションの製造方法における第2の態様においては、前記非イオン性界面活性剤を含有することが必要である。
本発明における油相には機能性油性成分を含有する。また、必要に応じて、後述の本発明における非イオン性界面活性剤、及びその他の添加物を添加することができる。
ここで、「機能性油性成分」とは、食品や化粧品に使用した際に有用な効果を示す油性成分を表す。
また、本発明における「化粧品用機能性材料」とは、前記機能性油性成分のうち、化粧品用材料として用いることができる全ての成分を言う。
本発明における「食品用機能性材料」とは、前記機能性油性成分のうち、食品用材料として用いることができる全ての成分をいう。
前記機能性油性成分として、化学構造面からは、油脂類、炭化水素、ロウ類、エステル類、脂肪酸類、高級アルコール類、高分子類、油溶性色素類、油溶性蛋白質などがある。また、それらの混合物である、各種の植物由来油、動物由来油も含まれる。
また、前記機能油性成分の機能面からは、紫外線吸収剤、抗酸化剤、抗炎症剤、保湿剤、毛髪保護剤、分散剤、溶剤、美白剤、抗シミ剤、細胞賦活剤、エモリエント剤、角質溶解剤、帯電防止剤、ビタミン類、メタボリックシンドローム改善剤、降圧剤、鎮静剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの例として、アクチニオエリスロール、アスタキサンチン、ビキシン、カンタキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、β−8’−アポ−カロテナール(アポカロテナール)、β−12’−アポ−カロテナール、α−カロテン、β−カロテン、”カロテン”(α−及びβ−カロテン類の混合物)、γ−カロテン、β−クリプトキサンチン、ルテイン、リコピン、ビオレリトリン、ゼアキサンチン、及びそれらのうちヒドロキシル又はカルボキシルを含有するもののエステル類が挙げられる。
カロテノイド類は一般に植物素材から抽出することができる。これらのカロテノイド類は種々の機能を有しており、例えば、マリーゴールドの花弁から抽出するルテインは家禽の餌の原料として広く使用され、家禽の皮膚及び脂肪並びに家禽が産む卵に色を付ける機能がある。
アスタキサンチンは、着色料としてだけでなく酸化防止効果、抗炎症効果、皮膚老化防止効果、美白効果を有することから、従来より、食品、化粧品、医薬品の原材料及びそれらの加工品等に添加されている。
アスタキサンチンは、476nm(エタノール)、468nm(ヘキサン)に吸収極大を持つ赤色の色素でカロテノイドの一種キサントフィルに属している(Davies, B.H. : In “Chemistry and Biochemistry of Plant Pigments”, T. W. Goodwin ed., 2nd ed., 38−165, Academic Press, NY, 1976.)。アスタキサンチンの化学構造は3,3’−dihydroxy−β,β−carotene−4,4’−dione (C40H5204、分子量596.82)である。
本発明においては、上記のアスタキサンチン及びアスタキサンチンエステル等の誘導体を含めて「アスタキサンチン類」と称する。
ヘマトコッカス藻抽出物(ヘマトコッカス藻由来色素)は、オキアミ由来の色素や、合成されたアスタキサンチンとは異なることが知られている。
本発明に使用できるヘマトコッカス藻の培養方法は、特開平8−103288号公報等に開示された様々な方法を採用することができ、特に限定されるものではなく、栄養細胞から休眠細胞であるシスト細胞に形態変化していればよい。
本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物は、上記の原料を、必要に応じて、例えば特開平5−68585号公報等に開示された方法により細胞壁を破砕して、アセトン、エーテル、クロロホルム及びアルコール(エタノール、メタノール等)等の有機溶剤や、超臨界状態の二酸化炭素等の抽出溶剤を加えて抽出することによって得られる。
前記ヘマトコッカス藻抽出物は、特開平2−49091号公報記載の色素同様、色素純分としてはアスタキサンチンもしくはそのエステル体を含み、エステル体を、一般的には50モル%以上、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むものである。
また、本発明において、広く市販されているヘマトコッカス藻抽出物を用いることができ、例えば、武田紙器(株)製のASTOTS−S、同−2.5O、同−5O、同−10O等、富士化学工業(株)製のアスタリールオイル50F、同 5F等、東洋酵素化学(株)製のBioAstinSCE7等が挙げられる。
本発明において、ヘマトコッカス藻抽出物中のアスタキサチン類の色素純分としての含有量は、好ましくは0.001〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜25質量%である。
本発明の水中油滴型エマルションにおける油相には、機能性油性成分及びその他の成分を溶解するために、また、得られるエマルション中の油滴の平均粒径をより微細化するために有機溶媒を添加することが好ましい。
本発明に使用できる有機溶媒としては水溶性であることが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等及びそれらの混合物を挙げられる。これらの中でも、食品、化粧品等への用途を考慮したとき、エタノール、イソプロパノール、アセトンが好ましく、エタノールが特に好ましい。
また、本発明の水中油滴型エマルションの製造方法における第2の態様においては、前記水溶性有機溶媒を含有する必要がある。
本発明の第2の態様において、油相中における有機溶媒の含有量は、好ましくは30〜99質量%であり、より好ましくは40〜98質量%、さらに好ましくは60〜97質量%である。前記有機溶媒の含有量が30質量%以上であると乳化粒径の微細化に効果的であり、99質量%以下であると生産効率の点で好ましい。
本発明の水中油滴型エマルションは、機能性油性成分の安定性保持の観点から、酸化防止剤を含むことが好ましい。
前記酸化防止剤は、油相及び水相のいずれか一方に含有しても、また、双方に含有してもよいが、少なくとも1つは油相に添加することが好ましい。
また、親水性の酸化防止剤、及び/又は、油溶性の酸化防止剤を、単独又は併用して使用することが出来る。例えば、親水性の酸化防止剤としては化合物群(a)に属する化合物、油溶性の酸化防止剤としては化合物群(b)に属する化合物が挙げられる。
アスコルビン酸またはアスコルビン酸誘導体またはそれらの塩として、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸Na、L−アスコルビン酸K、L−アスコルビン酸Ca、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、L−アスコルビン酸2−グルコシド等が挙げられる。これらのうち、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸Na、L−アスコルビン酸2−グルコシド、L−アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩が特に好ましい。
エリソルビン酸またはエリソルビン酸誘導体またはそれらの塩として、エリソルビン酸、エリソルビン酸Na、エリソルビン酸K、エリソルビン酸Ca、エリソルビン酸リン酸エステル、エリソルビン酸硫酸エステル等が挙げられる。これらのうち、エリソルビン酸、エリソルビン酸Naが特に好ましい。
ポリフェノール類からなる化合物群として、フラボノイド類(カテキン、アントシアニン、フラボン、イソフラボン、フラバン、フラバノン、ルテイン)、フェノール酸類(クロロゲン酸、エラグ酸、没食子酸、没食子酸プロピル)、リグナン類、クルクミン類、クマリン類などを挙げることができる。
また、これらの化合物は、以下のような天然物由来の抽出物中に多く含まれるため、抽出物という状態で利用することができる。
例えば、カンゾウ抽出物、キュウリ抽出物、ケイケットウ抽出物、ゲンチアナ(リンドウ)抽出物、ゲンノショウコ抽出物、コレステロール及びその誘導体、サンザシ抽出物、シャクヤク抽出物、イチョウ抽出物、コガネバナ(オウゴン)抽出物、ニンジン抽出物、マイカイカ(マイカイ、ハマナス)抽出物、サンペンズ(カワラケツメイ)抽出物、トルメンチラ抽出物、パセリ抽出物、ボタン(ボタンピ)抽出物、モッカ(ボケ)抽出物、メリッサ抽出物、ヤシャジツ(ヤシャ)抽出物、ユキノシタ抽出物、ローズマリー(マンネンロウ)抽出物、レタス抽出物、茶抽出物(烏龍茶、紅茶、緑茶等)、微生物醗酵代謝産物、羅漢果抽出物等が挙げられる(かっこ内は、植物の別名、生薬名等を記載した。)。
これらのポリフェノール類のうち、安定化効果の大きさの点で特に好ましいものとしては、カテキン、ローズマリー抽出物、グルコシルルチン、エラグ酸、没食子酸を挙げることができる。
ラジカル捕捉剤は、ラジカルの発生を抑えるとともに、生成したラジカルをできる限り速やかに捕捉し、連鎖反応を断つ役割を担う添加剤である。
本発明において用いることができるラジカル捕捉剤としては、ラジカル捕捉剤としての機能を有するものであればいずれでもよい。
ラジカル捕捉剤としての機能を確認する直接的な方法としては、試薬と混合して、ラジカルを捕捉する様子を分光光度計やESR(電子スピン共鳴装置)によって測定する方法が知られている。これらの方法では、試薬として、DPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)や、ガルビノキシルラジカルが使用される。
エマルションの安定化剤および、後述するような乾燥粉末化のキャリア素材として、種々の水溶性高分子化合物や水分散性微粒子を用いることが出来る。以下、前記安定化剤およびキャリア素材を併せて安定化剤というものとする。
本発明では水溶性高分子化合物の中でも、安定性及び粉末化の容易性の観点から、特に糖類、タンパク質類およびそれらの複合体が好ましい。
これらの中で、代表的なものは、アガロース、アラビノース、アミロース、アミロペクチン、アカシアガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、アルキルグリコシド、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルドース、イヌリン、オリゴ糖、ガッティガム、カードラン、カラギーナン、ガラクトマンナン、ガラクトース、キサンタンガム、キシロース、キシログルカン、キチン、キトサン、グアーガム、クラスターデキストリン、β−グルカン、グルクロン酸、グリコーゲン、グリコサミノグリカン、グリセルアルデヒド、グルコサミン、グルコース、グルコマンナン、ケトース、コンドロイチン硫酸、サイリウムシードガム、ジェランガム、シクロデキストリン、スクロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、セロビオース、ソルビトール、デオキシリボース、デキストリン、マルトデキストリン、転化糖、デンプン、大豆多糖類、糖アルコール、糖タンパク質、トラガントガム、トレハロース、ヒアルロン酸、フコース、フルクトース、プルラン、ペクチン、ヘパリン、ヘミセルロース、マルトース、マンニトール、マンナン、ラクトース、リボース等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
これらの糖類の中では、粉末の取り扱い性の観点から、特に多糖類が好ましい。多糖類の中でも、乳化粒径の微細化および粉末の取り扱い性の点で、安定化および粉末化素材として、アラビアガム、イヌリン、デキストリン、マルトデキストリンが好ましく、アラビアガム、イヌリンが特に好ましい。
タンパク質にはアミノ酸からなる単純タンパク質と、アミノ酸以外の構成成分を含む複合タンパク質とがあり、いずれも用いることが出来る。
単純タンパク質の例としては、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、フィブロイン、セリシン、ケラチン、プロタミン等が挙げられる。
また複合タンパク質としては、炭水化物に結合したタンパク質である糖タンパク質、脂質に結合したタンパク質であるリポタンパク質、金属イオンに結合したタンパク質である金属タンパク質、リボ核酸に結合したタンパク質である核タンパク質、リン酸基に結合したタンパク質であるリンタンパク質等がある。
一方、一般的には、タンパク質原料から呼称される場合も多く、動物性筋肉タンパク質、乳タンパク質、卵タンパク質、米タンパク質、小麦タンパク質(小麦グルテン)、大豆タンパク質、酵母タンパク質、細菌タンパク質等が挙げられる。
これらは、いくつかのタンパク質の混合物である事が多いが、本発明でそのまま使用することも出来る。
これらのタンパク質類の中では、特にゼラチンと水溶性コラーゲンが好ましい。
本発明の水中油滴型エマルションの粒径は市販の粒度分布計等で計測することができる。エマルションの粒度分布測定法としては、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が知られており、それぞれの原理に対応した装置が市販されている。
本発明における粒径範囲および測定の容易さから、本発明のエマルション粒径測定では動的光散乱法が好ましい。動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))等が挙げられる。
本発明における粒径は、前記動的光散乱式粒径分布測定装置を用いて測定した値を採用する。
本発明の機能性粉末の製造方法は、前記本発明の水中油滴型エマルションを乾燥して水易分散性乾燥粉末を得ることを特徴とする。
本発明の水中油滴型エマルションを乾燥することにより、機能性油性成分の微細油滴状態を保持したままの水易分散性の乾燥粉末である機能性粉末とすることができる。
また、本発明の機能性粉末の製造方法により得られた粉末は、本発明の水中油滴型エマルションにおける水分の大半を除くことで、油滴の合一による粗大化を防止し、機能性油性成分の加水分解等による変質を防止し、保存中の腐敗や黴防止を図ることが出来る。
また、本発明の水中油滴型エマルションにおける水分を除いて機能性粉末を得ることで軽量化できるため、輸送コストを大幅に低減することが可能となるものである。
Aw=P/P0
前記水分活性Aw値としては、0.1〜0.8が好ましく、0.2〜0.7がより好ましく、0.3〜0.6が特に好ましい。
前記水分活性の測定は、ポータブル水分活性計Pawkit(アイネクス(株)製)で、測定することできる。本発明は、これにより測定した値を採用する。
前記水分値の範囲とすることにより、油滴合一による粗大化を防止することができ、機能性油性成分の加水分解がなくなる。また、保存中の腐敗・かび発生防止することができ、更に後述の復水性の容易性、即ち、乾燥前のエマルションの状態に復元することができる。
公知の乾燥手段としては、自然乾燥、加熱乾燥、熱風乾燥、高周波乾燥、超音波乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等が挙げられる。これらの手段は単独で用いても良いが、2種以上の手段を組み合わせて用いることも出来る。
本発明では熱に比較的弱い機能性素材を含む事が多いため、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥が好ましい。また、真空乾燥の一つであるが、0℃以下氷結温度以上の温度を保ちながら真空(減圧)乾燥する方法も好ましい。
また、突沸を防ぐために、キャリア素材の種類や添加量ならびに温度を調節することによって、高粘性あるいはゲル化させつつ乾燥する方法も好ましい方法である。この場合のエマルションの粘度は1Pa・s以上、好ましくは10Pa・sである。
市販の凍結乾燥機の例としては、凍結乾燥機VD−800F(タイテック(株))、フレキシドライMP(FTSシステムズ社)、デュラトップ・デュラストップ(FTSシステムズ社)、宝真空凍結乾燥機A型((株)宝エーテーエム)、卓上凍結乾燥機FD−1000(東京理化器械(株))、真空凍結乾燥機FD−550(東京理化器械(株))、真空凍結乾燥機((株)宝製作所)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
市販の噴霧乾燥機の例としては、噴霧乾燥機スプレードライヤSD−1000(東京理化器械(株))、スプレードライヤL−8i(大川原化工機(株))、クローズドスプレードライヤCL−12(大川原化工機(株))、スプレードライヤADL310(ヤマト科学(株))、ミニスプレードライヤB−290(ビュッヒ社)等が挙げられるがこれに限定されることはない。
また、例えば流動層造粒乾燥機MP−01((株)パウレック)のように。乾燥と造粒とを同時に行える装置で、乾燥と同時に取り扱い性の優れた顆粒状にすることも好ましい。
この機能性粉末を用いることにより、飲料、機能性食品、化粧品等を製造する場合、容易に飲料、機能性食品、化粧品等を製造することができる。
また、この機能性粉末を用いることにより、機能性成分の機能を損なうことなく、機能を発揮させることができ、また、再分散した製品の透明性など外観や保存時の安定性も良好である。
本発明の機能性粉末における復水時の粒径が、乾燥前の粒径に対し著しく粗大化している場合、乾燥過程で油滴の合一が起こっている可能性が高いと考えられる。
本発明の水中油滴型エマルションを前記乾燥装置を用いて乾燥を施すことにより、復水時の油滴粒径を200nm以下に保持することができる。
(エマルションAの調製)
下記の成分を、70℃にて1時間溶解後、超音波ホモジナイザーで5分間均質化を行い、水相組成物Aを得た。
・ショ糖オレイン酸エステル(HLB=15) 1.0g
・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 5.0g
・レシチン(大豆由来) 0.5g
・純水 272.2g
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン類含有率20質量%) 1.0g
・ミックストコフェロール 0.3g
・中鎖脂肪酸トリグリセライド 20g
水相の流量が37.7ml/min.油相の流量が2.9ml/min.となるように精密定量ポンプを設定し、水相と油相をそれぞれマイクロミキサーに導入し、ミクロ混合した。
続いて、前記流量および送液圧力が安定した段階で、エマルションを採取し直ちに室温まで冷却し、アスタキサンチン含有水中油滴型エマルションAとした。
下記の成分を、室温にて1時間溶解後、超音波ホモジナイザーで5分間均質化を行った後、6℃に冷却し、水相組成物Bを得た。
・ショ糖オレイン酸エステル(HLB=15) 1.0g
・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 1.0g
・レシチン(大豆由来) 0.5g
・純水 256.2g
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン類含有率20質量%) 1.0g
・ミックストコフェロール 0.3g
・エタノール 40g
なお、流路にそれぞれ5μmの燒結金属フィルターを設置し、不溶解物を除いた。水相の流量は35.0ml/min.油相の流量は5.6ml/min.に設定した。流量および送液圧力が安定した段階でエマルション試料を採取し、アスタキサンチン含有水中油滴型エマルションBを得た。
エマルションAと同じ組成になるように、水相組成物Aと油相組成物Aをスターラーで混合した後、直ちに攪拌式ホモジナイザー(日本精機(株)製)にて、10000rpmで5分間乳化を行う事で、アスタキサンチン含有水中油滴型エマルションCを得た。
エマルションBと同じ組成になるように、水相組成物Bと油相組成物Bをスターラーで混合した後、直ちに攪拌式ホモジナイザー(日本精機(株)製)にて、10000rpmで5分間乳化を行う事で、アスタキサンチン含有水中油滴型エマルションDを得た。
エマルションAにおいて、水相組成物Aを下記組成に変更した以外はエマルションAと同様に作製し、アスタキサンチン含有水中油滴型エマルションEを得た。
−水相組成物E−
・ショ糖ステアリン酸エステル(HLB=9) 1.0g
・モノオレイン酸ヘキサグリセリル(HLB=9) 5.0g
・レシチン(大豆由来) 0.5g
・純水 272.2g
エマルションBにおいて、水相を下記組成に変更した以外はエマルションBと同様に作製し、アスタキサンチン含有水中油滴型エマルションFを得た。
−水相組成物F−
・ショ糖ステアリン酸エステル(HLB=9) 1.0g
・モノオレイン酸ヘキサグリセリル(HLB=9) 1.0g
・レシチン(大豆由来) 0.5g
・純水 256.2g
エマルションAにおいて、水相を下記組成に変更した以外はエマルションAと同様に作製し、アスタキサンチン含有水中油滴型エマルションGを得た。
−水相組成物G−
・ショ糖オレイン酸エステル(HLB=15) 1.0g
・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 3.0g
・レシチン(大豆由来) 0.5g
・アラビアガム(アカシア由来セネガル種) 30.0g
・純水 244.2g
エマルションAにおいて、マイクロミキサー、水相組成物A、油相組成物Aをいずれも85℃に保温した以外はエマルションAと同様に作製し、アスタキサンチン含有水中油滴型エマルションHを得た。
エマルションAにおいて、水相組成物からレシチン(大豆由来)を除去した以外はエマルションAと同様に作製し、アスタキサンチン含有水中油滴型エマルションIを得た。
エマルションAにおいて、マイクロミキサーとしてSSIMM−SS−Ni25の代わりに、特開2005−288254号公報の図4に記載のKMミキサーを用いた以外はエマルションAと同様に作製し、アスタキサンチン含有水中油滴型エマルションJを得た。
エマルションBにおいて、マイクロミキサーとしてSSIMM−SS−Ni25の代わりに、特開2005−288254号公報の図4に記載のKMミキサーを用いた以外はエマルションBと同様に作製し、アスタキサンチン含有水中油滴型エマルションKを得た。
エマルションJにおいて、水相を下記組成に変更した以外はエマルションJと同様に作製した。
−水相組成物L−
・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 6.0g
・レシチン(大豆由来) 0.5g
・純水 272.2g
エマルションJにおいて、水相を下記組成に変更した以外はエマルションJと同様に作製した。
−水相組成物M−
・ジイソステアリン酸デカグリセリル(HLB=10) 6.0g
・レシチン(大豆由来) 0.5g
・純水 272.2g
ここで、ジイソステアリン酸デカグリセリルは日光ケミカルズ(株)NIKKOL Decaglyn 2−ISV(HLB=10.0)を使用した。
エマルションJにおいて、水相を下記組成に変更した以外はエマルションJと同様に作製した。
−水相組成物N−
・モノオレイン酸ヘキサグリセリル(HLB=9) 6.0g
・レシチン(大豆由来) 0.5g
・純水 272.2g
ここで、モノオレイン酸ヘキサグリセリルは日光ケミカルズ(株)製NIKKOL Hexaglyn 1−O(HLB=9)を使用した。
(粒径測定)
得られたアスタキサンチン含有水中油滴型エマルション(A〜N)各10.0gに90.0gの純水を添加して、マグネチックスターラーにて5分間攪拌を行った。得られた水希釈エマルションについて、動的光散乱粒径分散測定装置LB−550(株式会社堀場製作所社製)を使用して、25℃にて粒径測定を行った。平均粒径の値はメジアン径で示した。
エマルション中のアスタキサンチンの有効含量を見積もるため、アスタキサンチン類含有エマルション(A〜N)各10.0gに90.0gのアセトンを添加し、良く振とうした後上澄み液を濾別しアスタキサンチンのアセトン抽出液を得た。このアセトン抽出液の波長478nmの吸光度測定を、Nano Drop Technologies,Inc.社製のND−1000Spectrophotometerを用いて行った(Ce)。一方比較のため、ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン20%)の濃度が0.0333%となるようアセトンに溶かし、前記同様にこのアセトン溶液の波長478nmの吸光度(Cs)測定を行い、アスタキサンチン有効含量[%]=Ce/Cs×100を計算した。
上記で得られたエマルションA〜Nを蓋付きガラス瓶に入れて、60℃に保たれた恒温槽中に1週間保管した。
1週間保存後のエマルションA〜Nについて、油相・水相の相分離を目視観察して下記評価基準により評価した。
○: 油相と水相との分離は見られない。
△: 油相と水相との分離が僅かに見られる。
×: 油相と水相との分離がはっきりと見られる。
1週間保存前後のエマルションA〜Nにおける平均粒径について、上記粒径測定法に従い、25℃にて測定を行った。
上記の結果より、本発明を用いた試料は、乳化直後の平均粒径が小さく、60℃の強制保存経時後でもその粒径にほとんど変化が見られなかった。強制保存経時後のエマルションの目視観察においても、ネックリング等の分離現象は見られず良好であった。また、本発明の方法に従えば、乳化プロセスによってアスタキサンチンの分解等の変質もほとんど起こることなく良好であることが分かった。
実施例1のアスタキサンチン含有水中油滴型エマルションGについて、以下の3種類の乾燥法を用いて、エマルション中の水分を蒸発させ、それぞれ乾燥粉末試料を作製した。
シャーレに入れたエマルション試料50mlをヤマト科学製インキュベータIC402型を用い、80℃にて3時間乾燥させることで、乾燥粉末I(9.1g)を得た。
ナスフラスコにエマルション試料50mlを入れ、液体窒素で予備凍結した後、ヤマト科学製フリーズドライヤDC400にて、16時間凍結乾燥を行い、乾燥粉末II(9.2g)を得た。
ヤマト科学製スプレードライヤADL310型を用い、出口温度80℃の条件で、噴霧乾燥を行い、乾燥粉末III(8.9g)を得た。
B…流体
C…ストリーム
100…マイクロミキサーデバイス全体
102…供給要素
104…合流要素、
106…排出要素、
108,110…環状チャンネル
124,126…マイクロチャンネル
128…中心
Claims (19)
- 機能性油性成分を含む油相と水相とを混合してエマルションを得る水中油滴型エマルションの製造方法であって、前記油相及び水相の少なくとも一方がHLB10以上でHLB18以下の非イオン性界面活性剤を含み、かつ、それぞれ独立にマイクロミキサ−の微小空間に分けられた前記油相及び水相を、別な微小空間において80℃以下の温度でミクロ混合することを特徴とする水中油滴型エマルションの製造方法。
- 機能性油性成分を含む油相と水相とを混合してエマルションを得る水中油滴型エマルションの製造方法であって、前記機能性成分を含有する油相中に水溶性有機溶媒を含み、前記油相及び水相の少なくとも一方が非イオン性界面活性剤を含み、かつ、それぞれ独立にマイクロミキサ−の微小空間に分けられた前記油相及び水相を、別な微小空間において80℃以下の温度でミクロ混合することを特徴とする水中油滴型エマルションの製造方法。
- 前記マイクロミキサーが中心衝突型マイクロミキサーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水中油滴型エマルションの製造方法。
- 前記マイクロミキサ−の微小空間に分けられた水相、油相及びマイクロミキサーの保温温度がそれぞれ80℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中油滴型エマルションの製造方法。
- 前記非イオン性界面活性剤がレシチンを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水中油滴型エマルションの製造方法。
- 前記油性成分がカロテノイド類を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に水中油滴型エマルションの製造方法。
- 前記カロテノイド類がアスタキサンチン類を含むことを特徴とする請求項6の水中油滴型エマルションの製造方法。
- 前記水中油滴型エマルションがタンパク質類及び糖類から選択される1種以上含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に水中油滴型エマルションの製造方法。
- 前記エマルションの油滴の体積平均粒径を40nm以上200nm以下とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の水中油滴型エマルションの製造方法。
- 機能性油性成分を含む油相と水相とを有する水中油滴型エマルションであって、前記エマルションがHLB10以上でHLB18以下の非イオン性界面活性剤を含み、かつ、油滴の体積平均粒径が40nm以上200nm以下であることを特徴とする水中油滴型エマルション。
- 前記機能性油性成分が水に不溶又は水に難溶性の食品用機能性材料を含むことを特徴とする請求項10に記載の水中油滴型エマルション。
- 前記機能性油性成分が水に不溶性または難溶性の化粧品用機能性材料を含むことを特徴とする請求項10に記載の水中油滴型エマルション。
- 前記油相が有機溶媒を含有することを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の水中油滴型エマルション。
- 前記油性成分がカロテノイド類を含むことを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の水中油滴型エマルション。
- 前記HLB10以上でHLB18以下の非イオン性界面活性剤がレシチンを含むことを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の水中油滴型エマルション。
- 前記水中油滴型エマルションがタンパク質類及び糖類から選択される1種以上を含有することを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載の水中油滴型エマルション。
- 前記油相が水相の全質量に対して0.5〜30質量%であることを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載の水中油滴型エマルション。
- 請求項10〜17のいずれか1項に記載の水中油滴型エマルションを乾燥して水易分散性乾燥粉末を製造することを特徴とする機能性粉末の製造方法。
- 請求項18に記載の機能性粉末の製造方法を用いて製造された機能性粉末。
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