以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、本発明の実施の形態における画像処理システムの全体概要を示す図である。図1を参照して、画像処理システム1は、ネットワーク2にそれぞれ接続された画像処理装置としての複合機(以下、「MFP」という)100,100A,100B,100Cおよびパーソナルコンピュータ(以下「PC」という)200を含む。PC200は、一般的なコンピュータである。
なお、本実施の形態においては画像処理装置の一例としてMFP(Multi Function Peripheral)100,100A,100B,100Cを例に説明するが、MFP100,100A,100B,100Cに代えて、画像を処理する機能を備えた装置であれば、たとえば、スキャナ、プリンタ、ファクシミリ、パーソナルコンピュータ等であってもよい。ネットワーク2は、ローカルエリアネットワーク(LAN)であり、接続形態は有線または無線を問わない。またネットワーク2は、LANに限らず、ワイドエリアネットワーク(WAN)、公衆交換電話網(PSTN)、インターネット等であってもよい。
MFP100,100A,100B,100C各々が有する機能は異なる場合があるが、ここではMFP100がすべての機能を有するものと仮定して、MFP100の構成を説明する。
図2は、MFPの外観を示す斜視図である。図2を参照して、MFP100は、自動原稿搬送装置(ADF)10と、画像読取部20と、画像形成部30と、給紙部40と、を含む。ADF10は、原稿台に搭載された複数枚の原稿をさばいて1枚ずつ順に、画像読取部20に搬送する。画像読取部20は、写真、文字、絵等の画像情報を原稿から光学的に読み取って画像データを取得する。
画像形成部30は、画像データが入力されると、画像データに基づいて用紙上に画像を形成する。画像形成部30は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナーを用いて画像を形成する。給紙部40は、用紙を格納しており、格納した用紙を1枚ずつ画像形成部30に供給する。後処理部50は、画像が形成された用紙を排紙する。後処理部50は、複数の排紙トレイを有し、記録シートをソートして排紙することが可能である。また、後処理部50は、パンチ穴加工部、ステープル加工部を備えており、排紙された記録シートにパンチ穴加工、またはステープル加工することが可能である。MFP100は、その上面に操作パネル9を備える。
図3は、MFPのハード構成の一例を示すブロック図である。図3を参照して、MFP100は、メイン回路101と、ファクシミリ部60と、通信制御部61と、ADF10と、画像読取部20と、画像形成部30と、給紙部40と、後処理部50とを含む。メイン回路101は、中央演算装置(CPU)111と、CPU111の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)112と、CPU111が実行するプログラム等を記憶するためのEEPROM(Electronically Erasable Programmable Read Only Memory)113と、表示部114と、操作部115と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)116と、データ通信制御部117と、を含む。CPU111は、表示部114、操作部115、HDD116およびデータ通信制御部117とそれぞれ接続され、メイン回路101の全体を制御する。また、CPU111は、ファクシミリ部60、通信制御部61、ADF10、画像読取部20、画像形成部30、給紙部40および後処理部50と接続され、MFP100の全体を制御する。
表示部114は、液晶表示装置(LCD)、有機ELD(Electro Luminescence Display)等のディスプレイであり、ユーザに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。操作部115は、複数のキーを備え、キーに対応するユーザの操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受付ける。操作部115は、表示部114上に設けられたタッチパネルを含む。表示部114と操作部115とで、操作パネル9が構成される。
データ通信制御部117は、TCP(Transmission Control Protocol)またはFTP(File Transfer Protocol)等の通信プロトコルで通信するためのインターフェースであるLAN端子118と、シリアル通信するためのシリアル通信インターフェース端子119とを有する。データ通信制御部117は、CPU111からの指示に従って、LAN端子118またはシリアル通信インターフェース端子119に接続された外部の機器との間でデータを送受信する。
LAN端子118に、ネットワークに接続するためのLANケーブルが接続される場合、データ通信制御部117は、LAN端子118を介して接続された電子メールサーバと通信し、電子メールサーバに電子メールを送信することが可能である。
また、CPU111は、データ通信制御部117を制御して、メモリカード119AからCPU111が実行するためのプログラムを読出し、読み出したプログラムをRAM112に記憶し、実行する。なお、CPU111が実行するためのプログラムを記憶する記録媒体としては、メモリカード119Aに限られず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)/MO(Magnetic Optical Disc/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electronically EPROM)などの半導体メモリ等の媒体でもよい。さらに、CPU111がインターネットに接続されたコンピュータからプログラムをダウンロードしてHDD116に記憶する、または、インターネットに接続されたコンピュータがプログラムをHDD116に書込みするようにして、HDD116に記憶されたプログラムをRAM112にロードしてCPU111で実行するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU111により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
通信制御部61は、CPU111をPSTN(Public Switched Telephone Networks)7に接続するためのモデムである。MFP100には、PSTN7における電話番号が予め割り当てられており、PSTN7に接続されたファクシミリ装置からMFP100に割り当てられた電話番号に発呼があると、通信制御部61がその発呼を検出する。通信制御部61は、発呼を検出すると通話を確立し、ファクシミリ部60に通信させる。
ファクシミリ部60は、PSTN7に接続され、PSTN7にファクシミリデータを送信する、またはPSTN7からファクシミリデータを受信する。ファクシミリ部60は、受信したファクシミリデータを画像形成部30でプリント可能なプリントデータに変換して、画像形成部30に出力する。これにより、画像形成部30は、ファクシミリ部60により受信されたファクシミリデータを記録シートにプリントする。また、ファクシミリ部60は、HDD116に記憶されたデータをファクシミリデータに変換して、PSTN7に接続されたファクシミリ装置または他のMFPに出力する。これにより、HDD116に記憶されたデータをファクシミリ装置または他のMFPに出力することができる。このように、MFP100は、ファクシミリ送受信機能を有する。
図4は、MFPの制御部の機能の概要をHDDに記憶する情報とともに示す機能ブロック図である。図4を参照して、CPU111は、画像データの属性を取得する属性取得部161と、属性を変更するための属性変更部163と、属性の変更可否を判定するための変更可否判定部165と、画像データをHDD116に記憶するための指示を受け付けるための記憶指示受付部166と、変更された属性の画像データを取得する取得制御部151と、出力属性を受け付ける出力属性受付部171と、変更前の属性または出力属性に画像データを変換し、出力するための出力画像データを生成する出力画像生成部173と、出力画像データを出力する出力部175とを含む。
属性取得部161は、取得制御部151が取得する予定の画像データの属性を取得する。ユーザが、操作部115を操作して、スキャンジョブ、コピージョブ、FAX送信ジョブおよびデータ送信ジョブのいずれかのジョブ条件を入力すると、属性取得部161は、操作部115からそれに入力されたジョブ条件を受け付け、そのジョブ条件に基づいて属性を決定する。データ送信ジョブは、送信方法(プロトコル)が互いに異なる複数種類のジョブを含む。ここでは、データ送信ジョブは、FTPでデータを送信するFTP送信ジョブと、SMB(Server Message Block)でデータを送信するSMB送信ジョブと、電子メールにデータを添付して送信する電子メール送信ジョブとを含む。また、属性取得部161は、データ通信制御部117が、LAN端子118を介して接続されたPC200からプリントジョブを受信すると、データ通信制御部117からプリントジョブを受け付け、そのプリントジョブに含まれるジョブ条件に基づいて属性を決定する。属性取得部161は、取得した属性を属性変更部163および出力画像生成部173に出力する。
記憶指示受付部166は、ユーザが、操作部115を操作して、スキャンジョブ、コピージョブ、FAX送信ジョブおよびデータ送信ジョブのいずれかのジョブ条件を入力すると、操作部115からそれに入力されたジョブ条件を受け付け、そのジョブ条件に記憶指示が含まれている場合、操作部115から記憶指示を受け付ける。また、記憶指示受付部166は、データ通信制御部117が受信するプリントジョブに含まれるジョブ条件に記憶指示が含まれている場合、データ通信制御部117から記憶指示を受け付ける。記憶指示受付部166は、記憶指示を受け付けると、その記憶指示を属性変更部163に出力する。
属性変更部163は、記憶指示受付部166から記憶指示が入力されると、HDD116に予め記憶された属性テーブル183を参照し、属性の変更が必要か否かを判断する。属性変更部163は、記憶属性の変更が必要な場合、属性を属性テーブル183に従って記憶属性に変更し、変更した記憶属性を取得制御部151に出力する。属性変更部163は、記憶属性の変更が必要でない場合、属性を変更することなくそのまま記憶属性として取得制御部151に出力する。すなわち、属性変更部163は、記憶指示受付部166から記憶指示が入力され、かつ、記憶属性の変更が必要な場合、属性取得部161から入力される属性を属性テーブル183に従って記憶属性に変更し、変更した記憶属性を取得制御部151に出力する。
図5は、属性テーブルの一例を示す図である。図5を参照して、属性テーブル183は、ジョブ条件から決定される属性と、HDD116に記憶する画像データの属性(以下「記憶属性」という)との対応を定義する。属性は、色情報と階調情報とを含む。色情報は、RGBの3色、YMCKの4色、明度、濃度のいずれかである。階調情報は、多値と2値とのいずれかである。
ここでは、ジョブ条件から決定される属性と記憶属性との組の例を6つ示しているが、組の数を限定するものではない。色情報がRGBの3色で階調情報が多値の属性に決定されるジョブ条件は、例えば、コピージョブでフルカラーの写真読み取り用の読取条件が設定された場合である。また、色情報がYMCKの4色で階調情報が多値の属性に決定されるジョブ条件は、例えば、ポストスクリプト用のプリンタドライバプログラムを実行するPC200が送信するプリントジョブであって、カラー印刷用のプリント条件が設定された場合である。色情報がYMCKの4色で階調情報が2値の属性に決定されるジョブ条件は、例えば、コピージョブでフルカラーの文字読み取り用の読取条件が設定された場合である。色情報が明度で階調情報が多値の属性に決定されるジョブ条件は、例えば、プリンタ制御言語(PCL)用のプリンタドライバプログラムを実行するPC200が送信するプリントジョブであって、グレースケール印刷用のプリント条件が設定された場合である。色情報が濃度で階調情報が多値の属性に決定されるジョブ条件は、例えば、ポススクリプト用のプリンタドライバプログラムを実行するPC200が送信するプリントジョブであって、グレースケール印刷用のプリント条件が設定された場合である。色情報が明度で階調情報が2値の属性に決定されるジョブ条件は、例えば、ファクシミリ送信ジョブの場合である。
6組のうち色情報がRGBの3色で階調情報が多値の属性と、色情報がYMCKの4色で階調情報が多値の属性と、色情報が明度で階調情報が多値の属性と、色情報が濃度で階調情報が多値の属性とは、それぞれが対応する記憶属性と同じである。
6組のうち色情報がYMCKで階調が2値のジョブ条件から決定される属性は、色情報がYMCKおよび濃度で階調が2値の記憶属性と対応付けられる。色情報がYMCKで2値の画像データは、YMCKそれぞれに対応する4つの画像データで構成されるが、これら4つの画像データは誤差拡散されているので、これらに基づいて色情報が濃度で階調が2値の画像データを生成すると、画質が低下する。YMCKそれぞれに対応する4つの2値の画像データに加えて、色情報が濃度で階調が2値の画像データを記憶しておくことにより、白黒で画像形成する出力処理を実行する場合に形成される画像の画質が低下するのを回避することができる。なお、記憶属性を、色情報がYMCKで階調が多値としてもよい。この場合には、画像データを解像度変換して白黒で画像形成する出力処理を実行する場合に形成される画像の画質が低下するのを回避することができる。
また、6組のうちジョブ条件から決定される色情報が濃度で階調が2値の属性は、色情報がRGBで階調が多値の記憶属性と対応付けられる。色情報が濃度で2値の画像データは誤差拡散されているので、それを解像度変換すると、画質が低下する。色情報がRGBで階調が多値の記憶属性で画像データを記憶しておくことにより、その画像データを解像度変換して白黒で画像形成する出力処理を実行する場合に形成される画像の画質が低下するのを回避することができる。なお、記憶属性を色情報がYMCKで階調が多値としてもよい。
このように記憶属性は、ジョブ条件から決定される属性に比較して、画像データを出力する際に汎用性の高くなる属性となるように定義される。また、記憶属性は、ジョブ条件から決定される属性に比較して、画像データのデータ量が多くなる属性である。記憶属性は、画像データのデータ量が最も多くなる属性に比較して、データ量が少なくなるように定義されてるのが好ましい。
図4に戻って、変更可否判定部165は、属性変更部163による属性の変更が可能か否かを判断する。属性変更部163は、属性取得部161により取得された属性を記憶属性に変更するが、変更後の記憶属性で記憶された画像データを、出力するのに適した属性(以下「出力属性」という)の画像データに変換する必要がある。例えば、色情報が濃度で階調が2値の属性は、色情報がRGBで階調が多値の記憶属性に変更されるが、MFP100が解像度変換処理および色情報がRGBの画像データを色情報が明度または濃度の画像データに変換する色変換処理を実行し、画像データを出力することが前提となる。ここでは、記憶属性の画像データを出力属性の画像データに変換するために必要とされる処理を必須処理という。
変更可否判定部165は、MFP100が解像度変換処理または色変換処理の実行が可能か否かを判断し、判断結果を属性変更部163に出力する。属性変更部163は、変更可否判定部165から実行可の判定結果を受信することを条件に、上述したジョブ条件から決定される属性を記憶属性に変更する。また、MFP100自身が、必須処理を実行できない場合であっても、他の装置、例えばMFP100A,100B,100C、PC200において、必須処理をMFP100に代わって実行可能であれば、変更可否判定部165は、実行可の判定結果を属性変更部163に出力する。
取得制御部151は、画像読取部20を制御するための原稿読取制御部153と、プリントジョブを送信してきた外部装置を制御するための外部装置制御部155と、画像データ受付部157と、を含む。原稿読取制御部153は、属性変更部163から記憶属性が入力される。原稿読取制御部153は、スキャンジョブ、コピージョブ、FAX送信ジョブまたはデータ送信ジョブの場合、画像読取部20を制御して、画像読取部20に属性変更部163から入力される記憶属性の画像データを出力させる。画像読取部20が原稿をスキャンして出力する画像データは、画像データ受付部157で受け付けられる。画像データ受付部157は、画像データをHDD116に記憶する。これにより、HDD116に記憶属性の画像データ181が記憶される。
外部装置制御部155は、プリントジョブを受信し、プリントジョブを送信してきたPC200(外部装置)を制御して、PC200に属性変更部163から入力される記憶属性の画像データを出力させる。PC200が送信する記憶属性の画像データは、データ通信制御部117で受信され、画像データ受付部157で受け付けられる。画像データ受付部157は、記憶属性の画像データをHDD116に記憶する。
出力画像生成部173は、属性取得部161から変更前の属性が入力される。出力画像生成部173は、HDD116から画像データ181を読出し、画像データ181の属性を変更前の属性に変換し、出力画像データを生成する。そして、生成した出力画像データを出力部175に出力する。
出力部175は、出力画像データを属性取得部161が取得したジョブ条件に従って出力する。コピージョブまたはプリントジョブであれば画像形成部30に出力画像データを出力し、出力画像データに基づく画像を形成させる。FAX送信ジョブであれば、出力画像データをファクシミリ部60に出力し、出力画像データをファクシミリ送信させる。データ送信ジョブであれば、出力画像データをデータ通信制御部117に出力し、出力画像データを、FTP、SMBまたは電子メールで送信させる。スキャンジョブの場合は、なにもしない。これにより、ユーザが操作部115に入力したジョブ条件またはユーザがPC200に入力したプリント条件で画像データが出力される。
出力属性受付部171は、画像データを識別するための画像識別情報と、出力する画像データの属性(出力属性)を受け付ける。ユーザが、操作部115を操作して、画像データ181の指定と、印刷ジョブ、FAX送信ジョブ、データ送信ジョブそれぞれのジョブ条件を入力すると、出力属性受付部171は、操作部115から指定された画像データ181の画像識別情報とジョブ条件とを受け付け、ジョブ条件に基づいて出力属性を決定する。印刷ジョブは、HDD116に記憶された画像データ181に基づき画像形成部30で画像を形成する処理である。出力属性受付部171は、画像識別情報と出力属性とを出力画像生成部173に出力する。
出力画像生成部173は、出力属性受付部171から画像識別情報と出力属性とが入力されると、HDD116から画像識別情報で特定される画像データ181を読出し、画像データ181の属性を出力属性に変換し、出力画像データを生成する。そして、生成した出力画像データを出力部175に出力する。出力部175は、出力画像データを出力属性受付部171が取得したジョブ条件に従って出力する。また、出力画像生成部173は、HDD116に記憶されている画像データ181の属性が出力属性と同じならば、読み出した画像データを出力画像データとし、その出力画像データを出力部175に出力する。
図6は、ジョブ実行処理の流れの一例を示すフローチャートである。ジョブ実行処理は、CPU111がEEPROM113に記憶されたプログラムを実行することによりCPU111により実行される処理である。図6を参照して、CPU111は、ジョブ条件を受け付けたか否かを判断する(ステップS01)。ユーザによるスキャンジョブ、コピージョブ、FAX送信ジョブ、データ送信ジョブそれぞれのジョブ条件が操作部115に入力されたか否かを判断する。ジョブ条件を受け付けるまで待機状態となり(ステップS01でNO)、ジョブ条件を受け付けたならば処理をステップS02に進める。
ステップS02においては、ジョブの実行指示を受け付けたか否かを判断する。操作部115に予め設けられたジョブの実行指示を受け付けるためのボタンが押下されたか否かを判断する。ジョブの実行指示を受け付けたならば処理をステップS03に進め、そうでなければ処理をステップS05に進める。
ステップS03においては、BOXデータ出力ジョブか否かを判断する。ステップS01で受け付けたジョブ条件が、画像データ181の画像識別情報を含むならばBOXデータ出力ジョブと判断する。BOXデータ出力ジョブならば処理をステップS04に進め、そうでなければ処理をステップS05に進める。ステップS04においては、BOXデータ出力処理を実行し、処理を終了する。
ステップS05においては、BOX蓄積モードに設定されているか否かを判断する。BOX蓄積モードの設定は、ユーザにより予めMFP100に設定され、EEPROM113の予め定められた領域にBOX蓄積モードフラグが記憶される。CPU111は、BOX蓄積モードフラグを参照して、BOX蓄積モードに設定されているか否かを判断する。BOX蓄積モードに設定されていれば処理をステップS06に進め、そうでなければ処理をステップS07に進める。ステップS06においては、BOX蓄積処理を実行し、処理を終了する。ステップS07においてはジョブ出力処理を実行し、処理を終了する。
図7は、BOX蓄積出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。BOX蓄積出力処理は、図6のステップS06において実行される処理である。図7を参照して、CPU111は、受け付けたジョブ条件から属性を決定する(S11)。属性は、画像データの属性であり、解像度、色情報および階調を含む。次のステップS12においては、ジョブ条件から決定された属性の解像度を最高の値に変更する。解像度が高いほど画質が良くなるため、画質が最も良くなる解像度に設定する。
ステップS13においては、属性テーブル183を参照して、ジョブ条件から決定された属性の色情報および階調が所定の組合せか否かを判断する。ここでは、所定の組合せは、色情報がYMCKで階調が2値の組合せと、色情報が濃度で階調が2値の組合せである。ジョブ条件から決定された属性の色情報および階調が所定の組合せならば処理をステップS14に進め、そうでなければ処理をステップS23に進める。
ステップS14においては、ジョブ条件から決定された属性の色情報と階調とを属性テーブル183で定義された記憶属性に変更し、処理をステップS15に進める。ステップS15においては、ジョブ条件がスキャン処理を含むか否かを判断する。プリントジョブ以外のスキャンジョブ、コピージョブ、データ送信ジョブは、スキャン処理を含む。ジョブ条件がスキャン処理を含むならば処理をステップS16に進め、そうでなければ処理をステップS17に進める。ステップS16においては、画像読取部20に記憶属性の画像データを出力するように指示する。具体的には、画像読取部20が変更された記憶属性の画像データを出力するための読取条件を決定し、その読取条件で画像読取部20に原稿を読み取らせる。画像読取部20が読取条件に従って原稿を読み取ると、変更された記憶属性の画像データを出力するので、ステップS18において、記憶属性の画像データを受け付ける。
一方、ステップS17においては、プリントジョブを送信してきた外部装置、ここではPC200に記憶属性の画像データ送信を要求する。この画像データ送信要求を受信したPC200は、記憶属性の画像データを返信するので、ステップS18において、PC200が送信した記憶属性の画像データをデータ通信制御部61で受信し、受け付ける。
次のステップS19においては、受け付けた画像データをHDD116に記憶する。これにより、変更後の記憶属性の画像データ181がHDD116に記憶される。
ステップS20においては、ジョブ条件がBOX蓄積処理を含む否かを判断する。BOX蓄積処理は、画像データをHDD116のBOXに記憶する処理である。BOX蓄積処理は、スキャンジョブのみが含む。ジョブ条件がBOX蓄積処理を含むならば処理を終了し、そうでなければ処理をステップS21に進める。ジョブ条件がBOX蓄積処理を含む場合、既にステップS19において画像データ181をHDD116に記憶しているので、ステップS21およびステップS22を実行する必要がない。
ステップS21においては、HDD116に記憶された画像データ181を、ジョブ条件から決定された属性の出力画像データに変換する。ジョブ条件から決定された属性は、ステップS11で決定した変更前の属性である。例えば、ジョブ条件から決定された属性の色情報が濃度、階調が2値、解像度が200dpiの場合、変更後の記憶属性は、色情報がRGB、階調が多値、解像度が600dpiである。このため、色情報がRGB、階調が多値、解像度が600dpiの画像データ181を、色情報が濃度、階調が2値、解像度が200dpiの出力画像データに変換する。このため、出力画像の画質が向上する。
そして、ステップS22においては、ジョブ条件に従って出力画像データを出力する。コピージョブまたはプリントジョブであれば画像形成部30に出力画像データを出力し、出力画像データに基づく画像を形成させる。FAX送信ジョブであれば、出力画像データをファクシミリ部60に出力し、出力画像データをファクシミリ送信させる。データ送信ジョブであれば、出力画像データをデータ通信制御部117に出力し、出力画像データをFTP、SMBまたは電子メールで送信させる。
一方、ステップS23においては、ステップS15と同様にジョブ条件がスキャン処理を含むか否かを判断する。ジョブ条件がスキャン処理を含むならば処理をステップS24に進め、そうでなければ処理をステップS25に進める。ステップS24においては、ステップS16と同様に画像読取部20に画像データを出力するように指示する。そして、ステップS26において、画像読取部20が出力する画像データを受け付け、処理をステップS19に進める。ここでは、画像読取部20にステップS11においてプリント条件から決定された属性であって、ステップS12において解像度が最高に変更された属性の画像データを出力する指示を出力する。ステップS25においては、ステップS17と同様にプリントジョブを送信してきたPC200に画像データ送信を要求する。ここでは、画像読取部20にステップS11においてプリント条件から決定された属性であって、ステップS12において解像度が最高に変更された属性の画像データの送信を要求する。そして、ステップS26において、データ通信制御部61がPC200から受信する画像データを受け付け、処理をステップS19に進める。ステップS26から処理をステップS19に進める場合、受け付けられる画像データの属性は、ジョブ条件から決定された属性と解像度のみが異なる場合がある。この場合は、ステップS21において画像データ181に解像度変換が実行され、画像データ181が出力画像データに変換される。
図8は、BOXデータ出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。BOXデータ出力処理は、図6のステップS04において実行される処理である。BOXデータ出力処理が実行される場合、ユーザが、操作部115を操作して、画像データ181の指定と、印刷ジョブ、FAX送信ジョブ、データ送信ジョブそれぞれのジョブ条件が操作部115に入力され、図6のステップS01において、そのジョブ条件が受け付けられる。
図8を参照して、CPU111は、BOXデータ出力処理において、ジョブ条件に基づいて出力属性を決定する(ステップS31)。そして、ジョブ条件に含まれる画像識別情報で特定される画像データ181をHDD116から読み出し(ステップS32)、読み出した画像データ181を受け付ける(ステップS33)。さらに、画像データ181の属性を変換する必要があるか否かを判断する(ステップS34)。画像データ181の属性と出力属性とを比較する。両者が異なれば変換が必要と判断し、処理をステップS35に進める。両者が同じであれば変換が不要と判断し、画像データ181を出力画像データとして処理をステップS36に進める。
ステップS35においては、画像データ181を出力属性の出力画像データに変換する。そして、ジョブ条件で出力画像データを出力する(ステップS36)。印刷ジョブであれば画像形成部30に出力画像データを出力し、出力画像データに基づく画像を形成させる。FAX送信ジョブであれば、出力画像データをファクシミリ部60に出力し、出力画像データをファクシミリ送信させる。データ送信ジョブであれば、出力画像データをデータ通信制御部117に出力し、出力画像データをFTP、SMBまたは電子メールで送信させる。
図9は、ジョブ出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。ジョブ出力処図6のステップS07において実行される処理である。図9を参照して、CPU111は、ジョブ実行処理のステップS01において受け付けたジョブ条件がスキャン処理を含むか否かを判断する(ステップS41)。プリントジョブ以外のスキャンジョブ、コピージョブ、データ送信ジョブは、スキャン処理を含む。ジョブ条件がスキャン処理を含むならば処理をステップS42に進め、そうでなければ処理をステップS44に進める。処理をステップS44に進める場合はプリントジョブなので、PC200から画像データが送信される。このため、ステップS44においては、PC200が送信した画像データをデータ通信制御部61で受信し、受け付ける。
ステップS42においては、ジョブ条件から画像データの属性を決定する。次のステップS43においては、決定した属性の画像データを出力するように画像読取部20に指示する。具体的には、画像読取部20が決定した属性の画像データを出力するための読取条件を決定し、その読取条件で画像読取部20に原稿を読み取らせる。画像読取部20が読取条件に従って原稿を読み取ると、ジョブ条件から決定された属性の画像データを出力するので、ステップS44において、ジョブ条件から決定された属性の画像データを受け付ける。
ステップS45においては、受け付けた画像データをジョブ条件で出力する。コピージョブまたはプリントジョブであれば画像形成部30に画像データを出力し、画像データに基づく画像を形成させる。FAX送信ジョブであれば、画像データをファクシミリ部60に出力し、画像データをファクシミリ送信させる。データ送信ジョブであれば、画像データをデータ通信制御部117に出力し、画像データをFTP、SMBまたは電子メールで送信させる。
<変形例>
変形例におけるMFP100は、画像データの属性を変換するための画像データ変換機能を有していない。ここでは、画像データ変換機能を、解像度変換処理として説明する。このため、変形例におけるMFP100は、他のMFP100A,100B,100CまたはPC200のうち解像度変換機能を有する装置(以下「代行装置」という)に、解像度変換処理を依頼する。すると代行装置がMFP100に代わって、画像データに対して解像度変換処理を実行する。ここでは、代行装置をMFP100Aとして説明する。
図10は、変形例におけるジョブ実行処理の流れの一例を示すフローチャートである。図6に示したジョブ実行処理と異なる点は、ステップS05とステップS06との間に、
ステップS51〜ステップS54を追加した点、およびステップS04のBOXデータ出力処理1を変更した点である。その他の処理は図6に示したジョブ実行処理と同じなので、ここでは主に異なる点を説明する。図13は、代行装置で実行される応答処理の流れの一例を示すフローチャートである。応答処理は、代行装置であるMFP100AのCPU111で実行される処理である。
図10および図13を参照して、図10のステップS51においては、代行装置であるMFP100Aに解像度変換機能を有するか否かの問合せを送信する。MFP100Aは、問合せを受信したか否かを判断し(ステップS81)、問合せを受信したならば、その問い合わせに含まれる画像データ変換機能を有するか否かを判断する(ステップS82)。そして、判断結果の回答を送信する(ステプS83)。
MFP100のCPU111は、その回答を受信する(ステップS52)。回答は、解像度変換機能を有するか否かを含む。なお、解像度変換機能を有するか否かでなく、MFP100AがMFP100に代わって解像度変換機能の実行が可能か否かを回答するようにしてもよい。
そして、MFP100のCPU111は、受信した回答に基づいてMFP100Aが代行して画像データを解像度変換することが可能か否かを判断する(ステップS53)。MFP100Aが代行して解像度変換することが可能であれば処理をステップS06に進め、そうでなければ処理をステップS54に進める。ステップS06においては、図7に示したBOX蓄積出力処理を実行するが、図7のステップS21においては、出力画像データへの変換をMFP100Aに依頼し、MFP100Aにおいて出力画像データへの変換が実行される。ステップS54においては、単独BOX出力処理を実行する。
図11は、単独BOX蓄積出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。単独BOX出力処理は、図10のステップS54において実行される処理である。図11を参照して、単独BOX出力処理は、図9に示したジョブ出力処理のステップS44とステップS45との間にステップS61を追加したものである。その他の処理は、図9に示したジョブ出力処理と同じなので、ここでは説明を繰り返さない。ステップS61においては、ステップS44で受け付けた画像データをHDD116に記憶する。これにより、ジョブ条件の属性の画像データ181がHDD116に記憶される。
図12は、変形例におけるBOXデータ出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。変形例におけるBOXデータ出力処理は、図10のステップS06Aにおいて実行される処理である。図12を参照して、変形例におけるBOXデータ出力処理は、図8に示したBOXデータ出力処理のステップS35に代えて、ステップS71およびステップS72を実行するようにしたものである。その他の処理は、図8に示したBOXデータ出力処理と同じなので、ここでは説明を繰り返さない。
図12および図13を参照して、図12のステップS71においては、代行装置であるMFP100Aに変換要求を送信する。変換要求は、画像データと、属性とを含む。代行装置であるMFP100Aは、変換要求を受信したか否かを判断し(ステップS84)、変換要求を受信したならば、受信した変換要求に従って、それに含まれる属性に画像データを変換して出力画像データを生成し(ステップS85)、生成した出力画像データを返信する(ステップS86)。MFP100は、ステップS72においてMFP100Aが送信する出力画像データを受信する。
このように、変形例におけるMFP100は、代行装置に画像データ変換処理(解像度変換処理)を実行させるようにしたので、MFP100が画像データ変換機能を有していない場合であっても、高画質な画像データを記憶することができる。
以上説明したように本実施の形態におけるMFP100は、画像データを出力するための属性を受け付けるが、その属性の画像データを解像度変換等の画像処理を実行すると画質が低下する場合には、その画像処理を実行しても画質が低下しない属性の画像データを入力するようにし、記憶する。画像処理後の画質が低下しない画像データを記憶するので、利用価値の高い画像データを記憶することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<付記>
(1) 前記属性は、色情報と階調とを含み、
前記属性変更手段は、前記受け付けられた色情報が明度で階調が2値の場合、明度のみの色情報を複数色の色情報に変更するとともに、2値の階調を多値の階調に変更する、請求項1に記載の画像処理装置。
この発明に従えば、受け付けられた色情報が明度で階調が2値の場合、複数色の色情報で多値の階調に変更される。明度の2値画像は誤差拡散処理されてしまうため解像度を変換すると画質が低下する。誤差拡散される前の多値の階調の画像データを記憶することで、後に画像データを解像度変換して出力する時に解像度変換処理した後に誤差拡散処理することができ、画質を低下させることなく高画質の画像を出力することができる。
(2) 前記属性は、色情報と階調とを含み、
前記属性変更手段は、前記受け付けられた色情報が黄、青紫、赤緑および黒の色で階調が2値の場合、黄、青紫、赤緑および黒の色情報を黄、青紫、赤緑、黒および明度に変更する、請求項1に記載の画像処理装置。
この発明に従えば、受け付けられた色情報が複数の色で階調が2値の場合、複数色の色情報が複数色および明度に変更される。複数色の2値データから明度の2値データを生成すると画質が低下するため受け付けられた画像データから明度の2値データを生成しておくことで、後に明度の2値データを出力する際に画質が低下するのを防止することができる。
1 画像処理システム、2 ネットワーク、9 操作パネル、 10 ADF、20 画像読取部、30 画像形成部、40 給紙部、50 後処理部、60 ファクシミリ部、61 通信制御部、100 MFP、101 メイン回路、111 CPU、112 RAM、113 ROM、114 表示部、115 操作部、116 HDD、117 データ通信制御部、118 LAN端子、119 シリアル通信インターフェース端子、119A メモリカード、151 取得制御部、153 原稿読取制御部、155 外部装置制御部、157 画像データ受付部、161 属性取得部、163 属性変更部、165 変更可否判定部、166 記憶指示受付部、171 出力属性受付部、173 出力画像生成部、175 出力部、181 画像データ、183 属性テーブル。