JP2008138278A - 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 - Google Patents

熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた耐食性を有すると共に犠牲陽極材の寿命の長い熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を提供する。
【解決手段】Si:0.5−1.2mass%、Cu:0.05−1.0mass%、Mn:0.2−1.6mass%、Ti:0.05−0.2mass%を含有するAl合金を芯材とし、犠牲陽極材に含有されるZn、Mnおよび芯材に含有されるCu、Mnは、1.0≦(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)−(1/3)・(犠牲陽極材に含有されるMnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)+(1/3)・(芯材に含有されるMnのmass%)≦2.4に調整されて、芯材が犠牲陽極材によって効果的に防食されると共に犠牲陽極材と芯材の電位差が大きくなりすぎることを防止し、犠牲陽極材に含有されるMnによって形成されるAl−Mn系金属間化合物によってFeによる耐食性阻害効果を抑制する。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えばカーエアコン用コンデンサ、エバポレータ、ラジエータ、ヒーターコアなどの熱交換器の構造部材、特にチューブ材として適用されるアルミニウム合金クラッド材に関するものである。
アルミニウム合金は軽量で熱伝導性に優れること、適切処理により高耐食性が実現できること、およびブレージングシートを利用したろう付けで効率的な接合が可能であることから、自動車用などの熱交換器用材料として重用されてきた。しかし、近年、自動車の高性能化あるいは環境対応として、より軽量で高い耐久性を持つよう熱交換器の性能向上が求められており、これに対応できるアルミニウム合金材料技術が要求されている。
このような要求に対して、芯材が、Mn:0.3−2.0mass%、Cu:0.25−0.8mass%、Si:0.05−1.0mass%、Mg:0.5mass%以下、Ti:0.35以下を含有し、残部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合金で構成され、該芯材の片面に、複合された犠牲陽極材がMg:1.0−2.5mass%、Si:0.05−0.20mass%、Zn:3.0mass%以下を含有し、残部Alと不可避不純物で構成され、発明の効果を損なわない範囲で、犠牲陽極材にFe、Cu、Mn、Ti、Cr、Zrなどが含まれてよく、かつ、前記芯材の他の片面に複合された犠牲陽極材がAl−Si系合金のろう材で構成されたことを特徴とする熱交換器用高強度高耐食性アルミニウム合金クラッド材が提案されている(特許文献1)。
また、芯材の片面に犠牲陽極材、他の面にろう材をクラッドしてなるアルミニウム合金クラッド材において、芯材が、Mn:0.3−2.0mass%、Cu:0.25−1.5mass%、Si:0.2−1.0mass%、Ti:0.1−0.35mass%、必要に応じてMn:0.2mass%以下を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金で構成され、犠牲陽極材が、Mg:1.0−2.5mass%、Zn:0.1−0.6mass%、Si:0.1−1mass%を含有し、さらにIn:0.01−0.1mass%、Sn:0.01−0.1mass%のうち1種または2種を含有し、発明の効果を損なわない範囲で、犠牲陽極材にFe、Cu、Mn、Ti、Cr、Zrなどが含まれてよく、残部Alおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金で構成されるアルミニウム合金クラッド材も提案されている(特許文献2)。
さらに、芯材の片面にAl−Si系合金のろう材を、他の面に犠牲陽極材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材において、犠牲陽極材がMg:0.5−4.0mass%、In:0.005−1.0mass%、Zn:0.1−4.0mass%を含有し、さらに各々0.005−0.1mass%のTi、Ga、および0.01−1.0mass%のNiのうち1種または2種以上を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成され、芯材がSi:0.2−1.5mass%、Cu:0.1−1.0mass%、Mn:0.1−2.0mass%、Mg:0.2以下を含有し、さらに各々0.01−0.5mass%のCr、Ti、Zr、および0.01−0.2mass%のNiのうち1種または2種以上を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成されることを特徴とする、熱交換器用高強度高耐食性アルミニウム合金クラッド材が提案されている(特許文献3)が、不可避的不純物であるFeの晶出物によって耐食性が阻害され、犠牲陽極材の寿命が短いという問題がある。
特開平05−230577号公報 特開平09−227977号公報 特開平06−158208号公報
特許文献1及び特許文献2のアルミニウム合金クラッド材では、ろう付加熱時に、犠牲陽極材のMgと非腐食性フラックスが反応し、ろう付不良を起こす可能性があり、犠牲陽極材にMgを添加しない場合では、Si含有量によっては、十分な強度が得られない。さらに、特に合金成分のバランスを図ることなく犠牲防食効果を向上させた場合には、犠牲陽極材の寿命が短くなってしまい、一方、犠牲陽極材の寿命を長くする観点から合金成分を調整した場合には犠牲防食効果が不十分となるという問題があった。
また特許文献3の熱交換器用高強度高耐食性アルミニウム合金クラッド材についても不可避的不純物であるFeの晶出物によって、犠牲陽極材の寿命が短いことが予想される。
本発明は、以上の事情を背景としてなされたもので、優れた耐食性を有すると共に犠牲陽極材の寿命の長い熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を提供することを目的とする。
前述の課題を解決すべく本発明者らがアルミニウム合金クラッド材の耐食性や強度と、合金成分組成との関係について詳細に実験・検討を重ねた結果、合金元素としてのSi、Fe、Mn、Cu、Tiの添加量を特に、犠牲防食効果を向上すると共に犠牲陽極材の寿命を長くするという要請を用途に応じて適切に調整して合金成分の全体バランスを図る観点から、(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)の値、もしくは(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)−(1/3)・(犠牲陽極材に含有されるMnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)+(1/3)・(芯材に含有されるMnのmass%)の値を所定の範囲内とすることによって、十分な耐食性を確保しつつ、犠牲陽極材の長寿命化を達成できることを見出した。本発明はこの知見に基づきなされるに至ったのである。
すなわち、本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、Si:0.5−1.2mass%、Cu:0.05−1.0mass%、Mn:0.2−1.6mass%、Ti:0.05−0.2mass%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなるAl合金芯材の片面に、犠牲陽極材として、Mn:0.2−1.6mass%、Zn:0.5−1.4mass%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなり、かつ、0.8≦(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)≦1.8を満たすAl−Zn系合金をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Al−Si系合金ろう材をクラッドしたことを特徴とする。
犠牲陽極材として、1.0≦(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)≦1.5を満たすAl−Zn系合金をクラッドするのがさらに好ましい。
また本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、Si:0.5−1.2mass%、Cu:0.05−1.0mass%、Mn:0.2−1.6mass%、Ti:0.05−0.2mass%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなるAl合金芯材の片面に、犠牲陽極材として、Mn:0.2−1.6mass%、Zn:0.5−1.4mass%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなり、かつ、1.0≦(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)−(1/3)・(犠牲陽極材に含有されるMnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)+(1/3)・(芯材に含有されるMnのmass%)≦2.4を満たすAl−Zn系合金をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Al−Si系合金ろう材をクラッドしたことを特徴とする。
犠牲陽極材として、1.2≦(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)−(1/3)・(犠牲陽極材に含有されるMnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)+(1/3)・(芯材に含有されるMnのmass%)≦1.8を満たすAl−Zn系合金をクラッドするのがさらに好ましい。
本発明のアルミニウム合金クラッド材は、腐食環境下でも極めて良好な耐食性を示すと共に、犠牲陽極材の長寿命化を達成することができ、従って熱交換器の構造部材として、薄肉化しても十分な耐久性を示すことができ、過酷な腐食環境下にさらされる熱交換器の構造部材として最適である。
以下に本発明で限定する事項について説明する。
本発明のアルミニウム合金クラッド材において、犠牲陽極材に含有されるZn、Mnおよび芯材に含有されるCu、Mnは、次の条件i又は条件iiを充足するものとされる。
(条件i)0.8≦(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)≦1.8
(条件ii)1.0≦(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)−(1/3)・(犠牲陽極材に含有されるMnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)+(1/3)・(芯材に含有されるMnのmass%)≦2.4
さらに本発明のアルミニウム合金クラッド材において、犠牲陽極材に含有されるZn、Mnおよび芯材に含有されるCu、Mnは、条件iを充足するものについてはさらに次の条件iii、条件iiを充足するものについてはさらに次の条件ivを充足するものとすることが好ましい。
(条件iii)1.0≦(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)≦1.5
(条件iv)1.2≦(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)−(1/3)・(犠牲陽極材に含有されるMnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)+(1/3)・(芯材に含有されるMnのmass%)≦1.8
以上のように本発明のアルミニウム合金クラッド材において、犠牲陽極材に含有されるZn、Mnおよび芯材に含有されるCu、Mnを条件i〜条件ivの少なくとも一を充足するものとするのは次の理由による。
芯材を犠牲陽極材によって効果的に防食するためには、犠牲陽極材と芯材の電位差を大きくする必要がある。犠牲陽極材と芯材の電位差を大きくするための手法は、犠牲陽極材Znを増加させて表面の電位を卑にすること、および、芯材Cuを増加させて芯材の電位を貴にすることがある。したがって条件iを充足する様に、(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)を0.8以上とすれば、犠牲陽極材と芯材の電位差が大きくなり、芯材が犠牲陽極材によって効果的に防食される。
一方、犠牲陽極材に含有されるMnによって形成されるAl−Mn系金属間化合物は、Feを取り込んでFeによる耐食性阻害効果を抑制し、その結果、犠牲材が長寿命化する。また、条件iiを充足する様に、(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)−(1/3)・(犠牲陽極材に含有されるMnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)+(1/3)・(芯材に含有されるMnのmass%)を1.0以上とすれば、犠牲陽極材と芯材の電位差が大きくなり、芯材が犠牲陽極材によって効果的に防食される。
一方、犠牲陽極材と芯材の電位差が大きくなりすぎると、犠牲陽極材の消費が促進され、寿命が短くなる。したがって条件i又は条件iiを充足する様に、(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)を1.8以下、もしくは、(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)−(1/3)・(犠牲陽極材に含有されるMnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)+(1/3)・(芯材に含有されるMnのmass%)を2.4以下とすれば、犠牲陽極材と芯材の電位差が大きくなりすぎず、犠牲陽極材が長寿命化する。
本発明のアルミニウム合金クラッド材の犠牲陽極材において、Mnは0.2−1.6mass%含有される。MnはAl−Mn系金属間化合物として晶出又は析出して、ろう付加熱後の強度の向上に寄与し、強度を向上させる元素である。また、Al−Mn系金属間化合物は、Feを取り込むために、Feによる耐食性阻害効果を抑制する働きがあり、この効果のために犠牲陽極材にMnを添加した。これらの効果を確実に得るためには、0.2mass%以上のMnを添加する必要がある。但し、Mn量が1.6mass%を超えれば、巨大な金属間化合物が晶出し、製造性を阻害するおそれがあり、したがって、Mn量の上限は1.6mass%とした。Mnのより好ましい添加範囲は、0.2−1.0mass%以下である。
本発明のアルミニウム合金クラッド材の犠牲陽極材において、Znは0.5−1.4mass%含有される。犠牲陽極材のZnは、犠牲防食効果を向上させる働きがあり、この効果を確実に得るためには、0.5mass%以上のZnを添加する必要がある。一方、Znが1.4mass%を越えると、犠牲陽極材の消費が促進され、寿命が短くなる。したがって、Zn量の上限は1.4mass%とした。Znのより好ましい添加範囲は、0.5−1.0mass%以下である。
本発明のアルミニウム合金クラッド材の犠牲陽極材において、以上の各成分の残部は、Al及び不可避不純物とすればよい。Si、Fe、Cu、Mg、Tiは発明の効果を損なわない範囲で含まれても良いが、Si、FeおよびCuは、犠牲陽極材の消費を促進するため、それぞれ、0.5mass%以下、0.3mass%以下および0.2mass%以下にするのが好ましく、さらに好ましい範囲として0.1mass%以下、0.15mass%以下および0.05mass%以下にするのが望ましい。
本発明のアルミニウム合金クラッド材の犠牲陽極材において、犠牲陽極材の厚さは特に限定されないが、ろう付加熱によって芯材から犠牲陽極材表面までCuが拡散した場合、犠牲陽極材の消費が促進される。このため、犠牲陽極材は、芯材から犠牲陽極材表面までCuが拡散してこない厚さであることが好ましく、具体的には30μm以上とするのが望ましい。
本発明のアルミニウム合金クラッド材の芯材において、Siは0.5−1.2mass%含有される。Siは、マトリックスに固溶したり、Al−Mn−Si系金属間化合物を生成することによって、ろう付後の強度を向上させる元素である。さらに、Siの添加は、芯材の電位を貴にして、芯材と犠牲陽極材の電位差を大きくする働きがあり、これにより耐食性が向上する。これらのSi添加の効果を得るためには、0.5mass%以上のSiの含有が必要である。一方、過剰にSiが含有されれば、単独で晶出したSiにより耐食性を低下させるおそれがあると共に、合金の融点を低下させてろう付時に材料の溶融を招いてしまう。これら過剰なSiの含有による悪影響を回避するためには、Si量の上限は1.2mass%とする必要がある。Siのより好ましい添加範囲は、0.5−1.0mass%以下である。
本発明のアルミニウム合金クラッド材の芯材において、Cuは0.05−1.0mass%含有される。Cuはマトリックスに固溶してろう付後の強度を向上させる。さらに芯材の電位を貴にして、芯材と犠牲陽極材の電位差を大きくする働きがあり、これにより耐食性が向上する。これらのCu添加の効果を得るためには、0.3mass%以上のCuの含有がより好ましい。しかしながら、Cuを多量に添加した場合、芯材と犠牲陽極材の電位差を大きくなりすぎて、犠牲陽極材の消費が促進され、寿命が短くなる。したがって、Cu量の上限は1.0mass%とした。Cuの更に好ましい添加範囲は、0.4−1.0mass%である。さらに好ましい添加範囲として、0.5−0.8mass%が望ましい。
本発明のアルミニウム合金クラッド材の芯材において、Mnは0.2−1.6mass%含有される。MnはAl−Mn系金属間化合物として晶出又は析出して、ろう付後の強度の向上に寄与し、また、Siと共存することによりAl−Mn−Si系の金属間化合物を生成して強度を向上させる元素である。また、Al−Mn系金属間化合物は、Feを取り込むために、Feによる耐食性阻害効果を抑制する働きもある。さらに、Mnの添加は芯材の電位を貴にして、芯材と犠牲陽極材の電位差を大きくする働きがあり、これにより耐食性が向上する。これらの効果を確実に得るためには、0.2mass%以上のMnを添加する必要があり、好ましくは0.8mass%以上のMnを添加する。但し、Mn量が1.6mass%を超えれば、巨大な金属間化合物が晶出し、製造性を阻害するおそれがあり、したがって、Mn量の上限は1.6mass%とした。
本発明のアルミニウム合金クラッド材の芯材において、Tiは0.05−0.2mass%含有される。Tiは、耐食性、特に耐孔食性の向上に寄与する。すなわち、アルミニウム合金中に添加されたTiは、その濃度の高い領域と濃度の低い領域とに分かれ、それらが板厚方向に交互に積層状に分布する。そして、Ti濃度の低い領域がTi濃度の高い領域よりも優先的に腐食することにより、腐食形態が層状となり、その結果板厚方向への腐食の進行が妨げられ、耐孔食性が向上する。このような耐孔食性向上の効果を十分に得るためには、0.05mass%以上のTiが必要であり、好ましくは0.1mass%以上のTiを添加する。一方、Ti添加量が0.2mass%を超えれば、鋳造時に粗大な化合物が生成されて製造性を阻害するおそれがあり、したがって、Ti量の上限は0.2mass%とした。
本発明のアルミニウム合金クラッド材の芯材において、以上の各成分の残部は、Al及び不可避不純物とすればよいが、Fe、Mgは発明の効果を損なわない範囲で含まれても良いが、Feは、犠牲陽極材の消費を促進するため、0.3mass%以下にするのが好ましく、さらに好ましい範囲として0.15mass%以下にするのが望ましい。
尚、本発明のアルミニウム合金クラッド材の合金組成は、犠牲陽極作用により防食される芯材と犠牲陽極材とがクラッドされている状態を考慮して所望の電位差を得るために規定したものであり、例えば熱交換器においてベアチューブ材とベアチューブを防食するための犠牲陽極フィン材とがろう付されて使用されるような場合に設定される電位差とは異なるものである。すなわち、材料を防食する場合、一定の犠牲防食効果を得るためには、防食する材料と防食される材料の距離に比例させて電位差を変える必要がある。前記ろう付されたベアチューブ材と犠牲陽極フィン材の場合には、犠牲陽極フィン材から近いところにあるベアチューブ材は小さい電位差でも防食できるが、犠牲陽極フィン材から離れたところにあるベアチューブ材を防食するためにはより大きな電位差が必要となり、結果として電位差を大きく設計することになる。
また、本発明のアルミニウム合金クラッド材は、熱交換器を組み立てる際のろう付時に犠牲陽極材から芯材へのZnの拡散及び芯材から犠牲陽極材へのCuの拡散が起こるため、クラッド材表面から芯へ向かって電位勾配が形成され、ベアチューブ材と犠牲陽極フィン材とをろう付して作製された熱交換器の場合よりも、効果的に防食することができる。
本発明のアルミニウム合金クラッド材のろう材において、成分、厚さ等は、特に限定されるものでなく、用途によって自由に変更可能である。
本発明のアルミニウム合金クラッド材の製造方法は特に限定されず通常の方法で製造してよい。まず、クラッドの構成要素となる芯材、犠牲陽極材およびろう材の素材をそれぞれ通常の半連続鋳造法で鋳造する。必要に応じて均質化処理を行い、その後、面削や予備熱間圧延などで厚さを調整する。その後、組み合わせた芯材、犠牲陽極材およびろう材は、熱間圧延によりクラッド接合され3層材となる。この後、冷間圧延、中間焼鈍および最終冷間圧延にて所定の板厚および加工調質状態とする。
以上のようにして得られたアルミニウム合金は、熱交換器用の材料として使用されるものであり、通常は冷媒(熱媒体)を流通させるチューブ材として用いられる。このようなチューブ材は、熱交換器用部品として使用するに際して、他部材(例えばフィン材やヘッダー)と組み付けて、ろう付により接合するのが一般的である。ここで、ろう付に際しての雰囲気や加熱温度、時間等の条件については特に限定されるものではなく、また、ろう付方法も特に限定されない。このようにして得られる熱交換器は、高耐圧特性を有しており、しかも良好な耐食性を有しているから、例えば厳しい腐食環境下で使用される自動車等においても、良好な耐久性を発揮することができる。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
表1、表2に示す合金組成の犠牲陽極材と表3、表4に示す合金組成の芯材を用い、表5、表6、表7に示す犠牲陽極材と芯材の組合せで構成させたクラッド材を作製した。なお、表1、表2に示す合金組成の犠牲陽極材及び表3、表4に示す合金組成の芯材は各表に示された成分以外はAlおよび不可避不純物からなる。
表5は本発明の実施例のクラッド材であり、表6及び表7は比較例のクラッド材である。
Figure 2008138278
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実施例の表1に示す合金組成の犠牲陽極材にあっては、Mnの最大添加量はHの1.42mass%であり、また最小添加量はEの0.27mass%であって、犠牲陽極材のMn添加量を0.2−1.6mass%とする本発明の条件を充足する。さらに、Znの最大添加量はJの1.32mass%であり、また最小添加量はFの0.55mass%であって、犠牲陽極材のZn添加量を0.5−1.4mass%とする本発明の条件を充足する。
一方、比較例である表2に示す合金組成の犠牲陽極材にあっては、何れもTiの添加はあるもののZnの有意の添加はなく、Znの添加を0.5−1.4mass%とする本発明の条件を充足しない。またKについてはMnの添加量は0.03であり、一方LにあってはMnの添加量が1.94であって、犠牲陽極材のMn添加量を0.2−1.6mass%とする本発明の条件を充足しない。
実施例の表3に示す合金組成のAl合金芯材にあっては、Siの最大添加量はウの1.10mass%であり、また最小添加量はアの0.58mass%であって、いずれも芯材のSi添加量を0.5−1.2mass%とする本発明の条件を充足する。またCuの最大添加量はケの0.96mass%であり、また最小添加量はオの0.08mass%であって、芯材のCu添加量を0.05−1.0mass%とする本発明の条件を充足する。さらにMnの最大添加量はシの1.42mass%であり、また最小添加量はコの0.43mass%であって、芯材のMn添加量を0.2−1.6mass%とする本発明の条件を充足する。加えてTiの最大添加量はオの0.18mass%であり、また最小添加量はスの0.08mass%であって、芯材のTi添加量を0.05−0.2mass%とする本発明の条件を充足する。
これに対し比較例である表4のセに示す合金組成のAl合金芯材にあっては、Siの添加量が0.29mass%であり、一方、ソに示す合金組成のAl合金芯材にあっては、Siの添加量が1.42mass%であり、いずれも芯材のSi添加量を0.5−1.2mass%とする本発明の条件を充足しない。また表4のタに示す合金組成のAl合金芯材にあっては、Cuの添加量が1.09mass%であり、一方、チに示す合金組成のAl合金芯材にあっては、Cuの添加量が1.33mass%であり、いずれも芯材のCu添加量を0.05−1.0mass%とする範囲を超えており、本発明の条件を充足しない。
さらに表4のツに示す合金組成のAl合金芯材にあっては、Mnの添加量が0.05mass%であり、一方、テに示す合金組成のAl合金芯材にあっては、Mnの添加量が2.02mass%であり、いずれも芯材のMn添加量を0.2−1.6mass%とする本発明の条件を充足しない。
加えて表4のトに示す合金組成のAl合金芯材にあっては、Tiの添加量が0.01mass%であり、一方、ナに示す合金組成のAl合金芯材にあっては、Tiの添加量が0.33mass%であり、いずれも芯材のTi添加量を0.05−0.2mass%とする本発明の条件を充足しない。
以上の表1に示す本発明の条件を充足する犠牲陽極材及び表3に示す本発明の条件を充足する合金組成のAl合金芯材を用いて表5に示す本発明実施例のクラッド材を製造した。
また以上の表2に示す本発明の条件を充足しない犠牲陽極材及び表4に示す本発明の条件を充足しない合金組成のAl合金芯材を用いて表6に示す本発明実施例に対する比較例のクラッド材を製造した。
さらには表1に示す本発明の条件を充足する犠牲陽極材及び表3に示す本発明の条件を充足する合金組成のAl合金芯材を用いて製造されてはいるものの、条件i〜ivの何れも充足しない結果として、本発明実施例のクラッド材には該当せず、比較例として評価される表7に示すクラッド材を製造した。
ろう材にはJIS4045合金を用い、クラッド率は犠牲陽極材は15%、ろう材は5%である。クラッド材の製造に際しては、芯材、犠牲陽極材およびろう材をそれぞれ、半連続鋳造法で鋳造し、均質化処理を行わず、両面を10mmずつ面削した。その後、所定のクラッド率に芯材、犠牲陽極材およびろう材を組合せ、熱間圧延予備加熱、熱間圧延、中間焼鈍、冷間圧延を行い、板厚0.3mmのクラッド材を作製した。ただし、表2に示す犠牲陽極材のL、表4に示す芯材のテおよびナは、巨大化合物が晶出したため、熱間圧延時に割れが発生し製造することができなかった(表6に示す比較例クラッド材のNo.32、44、46)。
得られたクラッド材は、ろう付相当加熱後、電位測定、耐食性試験および引張試験を行った。ろう付相当加熱では、非腐食性フラックスを塗布したクラッド材を、窒素雰囲気中で600℃、3分加熱した。表4に示す芯材のソを使用したクラッド材はろう付相当加熱によって溶融してしまいその後の評価を行うことができなかった(表6に示す比較例クラッド材のNo.40)。
電位測定では、前処理として、60℃の5%NaOH溶液に30s浸漬し、30%HNO溶液に60s浸漬を行い表面を洗浄した。その後、5%NaCl溶液中において、犠牲陽極材表面の電位およびアルカリエッチングにより芯材を露出させて芯材の電位を測定し、犠牲陽極材表面と芯材の電位差を求めた。耐食性試験は、犠牲陽極材の表面中央部のみを露出させ、他の面を全てシールし、pH:2.8−3.0の49℃の人工海水(ASTMD 1141)の30分噴霧と49℃で相対湿度98%以上の高湿度下に90分保持するSWAAT1000hを実施した。
試験終了後、各クラッド材はリン酸・クロム酸混合溶液で腐食生成物を除去した後、最大孔食深さを光学顕微鏡を用いて焦点深度法により求めた。さらに、耐食性試験前後の重量を測定し、耐食性試験による腐食減量を求めた。
表5〜表7においては、引張強度については140MPa以上を可(○)とし、140MPa未満を不可(△)とする基準に基づき評価した。また孔食深さについては68μm未満を可(○)とし、68μm以上79μm未満を不可(△)とし、79μm以上を不良(×)とする基準に基づき評価した。さらに腐食減量については28mg/cm 未満を可(○)とし、28mg/cm 以上31mg/cm 未満を不可(△)とし、31mg/cm 以上を不良(×)とする基準に基づき評価した。
以上の基準に基づき、表5に示す各実施例クラッド材及び表6、表7の各比較例クラッド材につき、不良(×)がある場合又は2以上の不可(△)がある場合には(不適)とし、不良(×)がなく、かつ不可(△)が1以下である場合には(適)とするという指針で総合評価を行った。
表5に示すように、本発明実施例のクラッド材は、引張強度、孔食深さおよび腐食減量の各評価項目において、すぐれた特性を示し、不良(×)がなく、かつ不可(△)が2以以上のものはない。
これに対し、表6、表7の比較例クラッド材は、引張強度、孔食深さおよび腐食減量のいずれかにおいて、本発明クラッド材より特性が劣り、不良(×)の評価項目が存在するかもしくは2以上の不可(△)の評価項目が存在した。
以下に先ず、表5に示す各実施例クラッド材の評価につき具体的に説明する。
No.1、No.2、No.3、No.4は条件iii及び条件ivを充足し、犠牲陽極材表面と芯材の電位差は93〜105mVの範囲にあり、芯材が犠牲陽極材によって効果的に防食されると共に犠牲陽極材と芯材の電位差が特に過剰ではない結果、犠牲陽極材の消費が抑制され、長寿命を期待することができる。また、No.1、No.3、No.4については引張強度、孔食深さおよび腐食減量の各評価項目が可(○)であり、No.2についても孔食深さにおいて不可(△)の下限に該当する値となるのみである。
No.5、No.6、No.7、No.8は条件iii及び条件ivを充足し、犠牲陽極材表面と芯材の電位差は77〜89mVの範囲にあり、芯材を犠牲陽極材によって効果的に防食することが期待できると共に犠牲陽極材と芯材の電位差が特に過剰ではない結果、犠牲陽極材の消費が抑制され、長寿命を期待することができる。また、引張強度、腐食減量の各評価項目が可(○)であった。ただし、犠牲陽極材表面と芯材の電位差がNo.1〜No.4の実施例クラッド材に比して低く、孔食深さについては不可(△)という評価となった。しかし、このNo.1〜No.4のクラッド材についても不可(△)が1以下であり、総合評価指針に照らし、(適)として評価することができる。
No.9及びNo.10については条件i、条件iii、条件ivは充足しないが条件iiを充足し、かつ犠牲陽極材表面と芯材の電位差はそれぞれ118mV、105mVである。したがって、犠牲陽極材表面と芯材の電位差は条件iii及び条件ivを充足するNo.1〜No.4の実施例クラッド材に比して高く芯材が犠牲陽極材によって効果的に防食されることが期待できる。また引張強度、孔食深さおよび腐食減量の各評価項目が可(○)であった。
No.11、No.12、No.13、No.14、No.15については条件iii及び条件ivを充足し、犠牲陽極材表面と芯材の電位差は93〜102mVの範囲にあり、芯材が犠牲陽極材によって効果的に防食されると共に犠牲陽極材と芯材の電位差が特に過剰ではない結果、犠牲陽極材の消費が抑制され、長寿命を期待することができる。また、引張強度、孔食深さおよび腐食減量の各評価項目が可(○)であった。
No.16、No.17、No.18については条件iii及び条件ivを充足し、引張強度、腐食減量の各評価項目が可(○)であった。ただし、犠牲陽極材表面と芯材の電位差は87〜95mVの範囲にあり、No.1〜No.4の実施例クラッド材に比して低く、孔食深さについては不可(△)という評価となった。しかし、このNo.16〜No.18のクラッド材についても不可(△)が1以下であり、総合評価指針に照らし、(適)として評価することができる。
No.19については条件iii〜条件ivは充足しないが条件iは充足し、かつ犠牲陽極材表面と芯材の電位差は74mVであり、No.1〜No.4の実施例クラッド材に対し比較的に小さい。したがって、犠牲陽極材の消費が抑制され、長寿命を期待することができる。また、引張強度、腐食減量の各評価項目が可(○)であった。ただし、孔食深さについては不可(△)という評価となった。しかし、このNo.19のクラッド材についても不可(△)が1以下であり、総合評価指針に照らし、(適)として評価することができる。
No.20、No.21、No.22、No.23No.24、No.25、No.26、No.27、No.28、No.29は条件iii及び条件ivを充足し、犠牲陽極材表面と芯材の電位差は79〜111mVの範囲にあり、No.23及びNo.26〜No.28を除き、引張強度、孔食深さ、腐食減量の各評価項目が可(○)であった。ただし、犠牲陽極材表面と芯材の電位差がNo.1〜No.4の実施例クラッド材に比して低い79〜86mVの範囲にあるNo.23及びNo.26〜No.28では孔食深さについて不可(△)という評価となった。しかし、このNo.23及びNo.26〜No.28のクラッド材についても不可(△)が1以下であり、総合評価指針に照らし、(適)として評価することができる。
No.30については条件i、条件iii、条件ivは充足しないが条件iiを充足し、かつ犠牲陽極材表面と芯材の電位差は120mVであって、No.1〜No.29の実施例クラッド材に比して最も高く芯材が犠牲陽極材によって効果的に防食されることが期待できる。また腐食減量は不可(△)であるが引張強度、孔食深さが可(○)であった。したがって、このNo.30のクラッド材についても不可(△)が1以下であり、総合評価指針に照らし、(適)として評価することができる。
次に表6に示す比較例クラッド材の評価につき詳述する。
No.31は犠牲陽極材Kを使用しMnの添加量は0.03でありMn添加量を0.2−1.6mass%とする本発明の条件を充足せず耐食性に劣る。そのため、孔食深さ及び腐食減量共に不可(△)であり、総合評価指針に基づき、(不適)として評価される。
No.32は犠牲陽極材Lを使用しており、Mnの添加量が本発明基準よりも多く、巨大化合物が晶出したため、熱間圧延時に割れが発生しクラッド材を製造することができず、評価の対象とすることはできなかった。
No.33は犠牲陽極材Mを使用しており、Znの添加量が本発明基準よりも少く、孔食不良(×)が生じ、総合評価指針に基づき、(不適)として評価される。
No.34は犠牲陽極材Nを使用しており、Znの添加量が本発明基準よりも少く、孔食不良(×)が生じ、総合評価指針に基づき、(不適)として評価される。
No.35は犠牲陽極材Oを使用しており、Znの添加量が本発明基準よりも多く、腐食減量不良(×)が生じ、総合評価指針に基づき、(不適)として評価される。
No.36は犠牲陽極材Pを使用しており、Znの添加量が本発明基準よりも多く、腐食減量不良(×)が生じ、総合評価指針に基づき、(不適)として評価される。
No.37は芯材セを使用しており、芯材におけるSiの添加量が本発明基準よりも少く、引張強度につき不可(△)が生じ、また孔食不良(×)が生じて総合評価指針に基づき、(不適)として評価される。
No.38は 芯材ソを使用しており、芯材におけるSiの添加量が本発明基準よりも多く、ろう付相当加熱によって溶融してしまいその後の評価を行うことができなかった。
No.39、No.40はそれぞれ芯材タ、芯材チを使用しており、芯材におけるCuの添加量が本発明基準よりも多く、腐食減量不良(×)が生じただけではなく、孔食も大きく不可(△)であり、総合評価指針に基づき、(不適)として評価される。
No.41は芯材ツを使用しており、芯材におけるMnの添加量が本発明基準よりも少く、孔食不良(×)が生じ、総合評価指針に基づき、(不適)として評価される。
No.42は芯材テを使用しており、芯材におけるMnの添加量が本発明基準よりも多く、巨大化合物が晶出したため、熱間圧延時に割れが発生しクラッド材を製造することができなかった。
No.43は芯材トを使用しており、芯材におけるTiの添加量が本発明基準よりも少く、孔食不良(×)が生じ、総合評価指針に基づき、(不適)として評価される。
No.44は芯材ナを使用しており、芯材におけるTiの添加量が本発明基準よりも多く、鋳造時に粗大な化合物が晶出したため、熱間圧延時に割れが発生し、クラッド材を製造することができなかった。
次に表7に示す比較例クラッド材の評価につき詳述する。
No.45は犠牲陽極材Fを使用し、芯材オを使用して犠牲陽極材及び芯材共に合金組成は本発明基準に適合する。しかしこのNo.45では(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)及び(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)−(1/3)・(犠牲陽極材に含有されるMnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)+(1/3)・(芯材に含有されるMnのmass%)の値が小さく、本発明条件i〜ivの何れも充足しない結果として、孔食深さが102μmに達する不良(×)を生じ、また引っ張り強度も134MPa程度にとどまり不可(△)であり、総合評価指針に基づき、(不適)として評価される。
No.46は犠牲陽極材Jを使用し、芯材ケを使用して犠牲陽極材及び芯材共に合金組成は本発明基準に適合する。しかしこのNo.46については(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)及び(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)−(1/3)・(犠牲陽極材に含有されるMnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)+(1/3)・(芯材に含有されるMnのmass%)の値が大きく、本発明条件i〜ivの何れも充足しない結果として、腐食減量不良(×)が生じ、総合評価指針に基づき、(不適)として評価される。
本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、熱交換器としてはコンデンサ、エバポレータ、ヒーターコアなど種類を問わず適用でき、特にチューブの中を通る気体状の冷媒が冷やされて液体となるコンデンサのチューブ材として適している。

Claims (2)

  1. Si:0.5−1.2mass%、Cu:0.05−1.0mass%、Mn:0.2−1.6mass%、Ti:0.05−0.2mass%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなるAl合金芯材の片面に、犠牲陽極材として、Mn:0.2−1.6mass%、Zn:0.5−1.4mass%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなり、かつ、1.0≦(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)−(1/3)・(犠牲陽極材に含有されるMnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)+(1/3)・(芯材に含有されるMnのmass%)≦2.4を満たすAl−Zn系合金をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Al−Si系合金ろう材をクラッドしたことを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  2. 犠牲陽極材として、1.2≦(犠牲陽極材に含有されるZnのmass%)−(1/3)・(犠牲陽極材に含有されるMnのmass%)+(芯材に含有されるCuのmass%)+(1/3)・(芯材に含有されるMnのmass%)≦1.8を満たすAl−Zn系合金をクラッドする請求項1記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
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