JP2008138033A - 環境対応型粘着剤 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】本発明の環境対応型粘着剤は、反応溶媒中にアクリル系モノマーの少なくとも一部を溶解させて、重合開始剤の存在下に、該アクリル系モノマーを重合させてなる環境対応型粘着剤であって、該重合開始剤として、重合開始剤の分子量が共に200〜250の範囲内にあり、該重合開始剤のラジカル側鎖のアルキル基の炭素数が共に4〜9の範囲内にあり、かつ該重合開始剤の10時間半減期温度が共に45〜55℃の範囲内にある異なる構造を有する少なくとも二種類の重合開始剤を多段に分けて添加するとともに、該重合反応温度を使用する重合開始剤の10時間半減期温度よりも15℃以上高い温度で反応させることを特徴としている。
【効果】本発明によれば、揮発性有機化合物の発生の少なく、環境対応性に優れた粘着剤が提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、未反応単量体、さらに揮発性有機化合物(VOC=Volatile Organic Compounds)の少ない環境対応型粘着剤に関する。
アクリル系粘着剤は、建築物の内装材の接着、自動車の内装の接着、電子部品の接着など非常に幅広い分野で使用されている。このようにアクリル系粘着剤は非常に優れた接着性を有することから広汎に使用されているけれども、アクリル系粘着剤が常に有している問題点として臭気の問題がある。
このようなアクリル系粘着剤の臭気は、一般に粘着剤中に含有される残存モノマーによると考えられており、こうしたアクリル系粘着剤の臭気を低減するために種々の方法が提案されている。たとえば、アクリル系モノマーの重合条件を変えて多段重合により残留するモノマーを低減するなどの方法が採用されている。また、多段重合を行う際に、使用する重合開始剤を変えて未反応モノマーの含有率を下げることも行われている。たとえば、特開2000-234079号公報(特許文献1)の電子部品を加工する際に用いられる粘着シート
として、たとえば合成例2に示すように、酢酸エチルとヘプタンとを反応溶媒として用いて、これに2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレートに、反応開始剤であるトリゴノックス23-C70(化薬アクゾ(株)製)を加えて55℃で30分間攪拌後、80℃に昇温し、カヤエステルHP-700(重合開始剤)を加えてさらに2時間反応させて重
量平均分子量600,000のポリマーを得たことが示されている。
粘着剤は、上記のようにして得られた粘着剤の酢酸エチル溶液を塗布し、溶媒である酢酸エチルを除去して使用される。したがって、得られたアクリル系粘着剤には、必然的に揮発性有機溶媒である酢酸エチルおよびヘプタンが含有されている。さらに、ここで使用しているトリゴノックス23-C70およびカヤエステルHP-700は、いずれも重合開始剤であるが重合初期のトリゴノックス23-C70を加えた後の重合温度が55℃と低いために、重合初期に添加した開始剤に由来する揮発性の低分子量体が系内に残存し、開始剤由来の臭気が観測される。
また特開2002-105415号公報(特許文献2)には、反応開始剤としてアゾ化合物を用い
て反応を前段と後段とに分けて、前段の温度をアゾ系開始剤の10時間半減期温度よりも10℃低い温度から、10時間半減期温度よりも5℃高い温度にするとともに、後段の反応温度をアソ系開始剤の10時間半減期温度よりも5℃低い温度から、10時間半減期温度よりも20℃高い温度にすることが記載されている。しかしながら、この特許文献2では、アゾ系重合開始剤を単独で使用している。すなわち、この特許文献2には、アゾ化合物を用いて当初の反応温度を低く抑えて未反応のモノマーの残存率が低くなるように反応させ、その後の工程(熟成工程)で、反応温度を10時間半減温度より5℃低い温度から20℃高い温度にまで昇温して重合反応をさらに続けて未反応モノマーの残存率の低下を図っているが、後段の熟成工程で、有効に反応を進めるためには、最初に添加したアゾ系の重合開始剤の一部を、後段の熟成工程で有効に使用できるように、前段の反応温度を低く設定する必要がある。このように特許文献2に開示されている方法では、後段の熟成工程を有効に行うためには、最初の工程で消費されるアゾ系の重合開始剤の量を制限する必要があり、このために反応当初の工程では、反応温度を低い温度に制御しなければならず、その制御操作が非常に煩雑になるとともに、重合中に生成する開始剤由来の低分子量体が残存し臭気の原因となる。
また、特開2002-306650号公報(特許文献3)の実施例には、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリエート、アクリル酸、および2-ヒドロキシエチルメタアクリレートからなる混合物を酢酸エチルに溶解し、還流点において、重合開始剤としてラウロイルパーオキサイド(10 時間半減期温度:62℃)を加えて反応させ、さらに4時間後に最初に使用したラウロイルパーオキサイドの半分の量の重合開始剤を加えてさらに重合を続けてアクリル系ポリマー溶液を製造することが記載されている。
しかしながら、この特許文献3に記載されている方法では、二度に分けて添加する重合開始剤は、同一の重合開始剤であり、最初に配合する重合開始剤と、後添加する重合開始剤とが異なるものを用いて、それぞれの重合開始剤の有する特性を利用する技術的思想は存在しない。また、特許文献3には、粘着テープを90℃で30分間で6分間以上加熱したい際に放出される揮発性成分量が150ppm以下であるアクリル系粘着剤層を有する粘
着テープが開示されている。この特許文献3には、アクリル系モノマーを重合させる際にパーオキサイド系重合開始剤、アゾ系重合開始剤を使用することができる旨記載されており、さらにこれらの重合開始剤は二種類以上を組み合わせて使用することができることが記載されており、この際に重合開始剤がラジカルとなったときの重合開始剤の分子量が30~60以上、あるいは150~300以上であり、10時間半減期が90℃以下の重合開始剤を使用することが望ましく、さらにこの重合開始剤には分子内に芳香族環を有していない化合物が未反応モノマーの量を低減する上で望ましいと記載されている。
そして、特許文献3において、アクリル系粘着剤中に含まれる揮発性成分量を150ppm以下とする具体的な方法として、重合臭気に還流溶媒中の残存モノマーを分離・除去する方法、アクリル系モノマーや改質ビニルモノマーと反応するが揮発除去されやすい低沸点のスキャベンジャーモノマーを重合装置に添加して臭気を抑えこむ方法、得られたアクリル系ポリマーを貧溶媒に投入して残存モノマーを貧溶媒中に溶解させて除去する方法などが開示されている。
例えば上記の特許文献1〜3に開示されているように、アクリル系粘着剤の臭気の発生原因の一つは残留モノマーであり、このようなモノマーの残留量を低減することによってアクリル系粘着剤の有するアクリル系モノマー特有の臭気はある程度低減されるが、残存する開始剤および開始剤に由来する揮発性低分子量体を低減させることについては全く記載されていない。
しかも、アクリル系粘着剤の臭気は、上記のような残留モノマーや開始剤由来の低分子量体による臭気だけでなく、アクリル系粘着剤から発生するトータルの揮発性有機化合物(VOC=Volatile Organic Compounds)の濃度によるものであり、重合率を上げて残留モ
ノマーの量を減らせたとしてもそれだけではアクリル系粘着剤の臭気は低減されない。
上記のような粘着剤は、一般にアクリル系モノマーを、以下に示すように反応溶媒である酢酸エチルに溶解させて反応することにより得られる。
ここで、こうしたアクリル系ポリマーを製造するに際しては、反応原料として使用される酢酸エチル中に含有されている不純物が反応装置内に持ちこまれることが多く、このような不純物の例としてはアルデヒド類、アルコール類、酢酸などである。たとえば反応溶媒として広汎に使用されている酢酸エチルには、その製造方法によって相当量のアルデヒド類およびアルコールなどが含まれることがあり、これらの成分が反応系に持ち込まれると、得られたアクリル系ポリマー中に残存して臭気の発生源となることが多い。
こうした臭気に原因となる有機物質は、シックハウス症の原因ともなることから、これらの揮発性有機物質に関して厚生労働省が定める室内空気汚染に係るガイドラインでは、室内空気汚染物質として、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラクロロベンゼン
、エチルベンゼン、スチレン、クロルピリホス、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル、ダイア
ジノン、アセトアルデヒド、フェノブカルブがあり、これらの個々の空気中における濃度、および、これらの化合物を含む総揮発性有機化合物(TVOC=Total Volatile Organic Compounds)が室内空気汚染源とされている。そして、こうした揮発性有機化合物が、シッ
クハウス症の原因となることが指摘されている。
したがって、アクリル系ポリマーを製造する際には、当然に未反応の残留モノマー、開始剤由来の低分子量体の残存量を重合反応の工程中でできるだけ低く抑えることが必要であるとともに、原料物質に含まれる不純物として反応系内に導入される成分に関しても充分に注意を要する。
たとえば、アクリル系粘着剤においては、直接的に上記化合物は使用していないが、アクリル系粘着剤から発生する有機物質を分析すると、アルデヒド類が検出される。アクリル系粘着剤の製造工程では、一般にはアルデヒド類は使用していないので、このようなアルデヒド類の由来について慎重に検討したところ、意外にも反応溶媒として使用する酢酸エチルに由来するものであることが判った。すなわち、酢酸エチルは、(1)アセトアルデ
ヒドの二量体化反応によるもの、(2)酢酸にエチレンを溶解させて直接製造されるもの、(3)酢酸とエタノールとのエステル化反応により得られるものがあり、工業的には(1)アセ
トアルデヒドの二量体化反応によるものがほとんどである。ところが、上記(1)の方法で
得られた酢酸エチルには相当量のアセトアルデヒドおよびエタノールが混在しており、(2)の方法で得られた酢酸エチルには相当量の酢酸が含有されている。
上記酢酸エチルに含有されるエタノールは、酸化されてアセトアルデヒドになる。このような酸化反応は酢酸エチルの貯蔵、搬送時やアクリル系粘着剤を製造する工程で容易に進行するので、アクリル系粘着剤の臭気を低減するためには、反応溶媒として使用される酢酸エチル中に不純物として含有されるアセトアルデヒド、エタノールなどを除去する必要があると同時に、反応率を高めて残留モノマー量をできるだけ低くする必要がある。
特開2000-234079号公報 特開2002-105415号公報 特開2002-306650号公報
本発明は、上記のような従来技術におけるアクリル系粘着剤の臭気を低減するものであって、本発明は、揮発性有機物質の少ない環境対応型粘着剤を提供することを目的としている。
本発明の環境対応型粘着剤は、反応溶媒中にアクリル系モノマーの少なくとも一部を溶解させて、重合開始剤の存在下に、該アクリル系モノマーを重合させてなる環境対応型粘着剤であって、
該重合開始剤として、重合開始剤の分子量が共に200〜250の範囲内にあり、該重合開始剤のラジカル側鎖のアルキル基の炭素数が共に4〜9の範囲内にあり、かつ該重合開始剤の10時間半減期温度が共に45〜55℃の範囲内にある異なる構造を有する少なくとも二種類の重合開始剤を多段に分けて添加するとともに、該重合反応温度を使用する重合開始剤の10時間半減期温度よりも15℃以上高い温度で反応させることを特徴としている。
本発明の環境対応型粘着剤は、重合開始剤として特定の重合開始剤を使用するとともに、この重合開始剤を多段に分けて添加し、さらに反応温度を使用する重合開始剤の10時関
半減期温度よりも15℃以上高い温度に設定することにより、使用するモノマーを効率よく反応させることができ、モノマーの残存率を著しく低くさせるとともに、開始剤由来の臭気も著しく低減される。このようなアクリル系粘着剤において、重合せずに粘着剤中に残存するモノマーは、揮発性有機物質(VOC)として検出されるが、本発明の粘着剤中に
は、このVOCとして検出される残存モノマー、開始剤由来の低分子量体の含有率が極めて
低いのでアクリル系粘着剤特有の臭気がほとんどない。
さらに、反応溶媒に必然的に不純物として含有されるアセトアルデヒドおよびアルコールの濃度の低い酢酸エチルを使用して本発明のアクリル系粘着剤を使用することにより、粘着剤からの総VOCが少ない。
本発明の環境対応型粘着剤は、使用したアクリル系モノマーおよび開始剤由来の低分子量体の残存率が低くなるので、アクリル系粘着剤特有の臭気が少ない。さらに、本発明の環境対応型粘着剤には、揮発性有機物質(VOC)の含有率を低くすることができる。
次に本発明の環境対応型粘着剤について具体的に説明する。
本発明の環境対応型粘着剤は、アクリル系モノマーを反応溶媒中で(共)重合させたアクリル系粘着剤であり、(共)重合の際に特定の異なる少なくとも二種類の重合開始剤を使用して多段で反応を行うことにより得られる。
本発明の環境対応型粘着剤を構成するアクリル系モノマーの例としては、アルキル基の炭素数が、通常は1〜18、好ましくは4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独であるいは組み合わせて使用することができる。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、使用するアクリル系モノマー全体100重量部中に、通常は20〜100重量部、好ましくは60〜99.5重量部の範囲内の量で使用される。本発明では、ブチル(メタ)アクリレート(BA)のような炭素数4以上の直鎖状のアルキルアクリレートと、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートのような分岐を有する炭素数が、4以上の分岐を有するアルキルアクリレートとを組み合わせて使用することが好ましい。
さらに、本発明の環境対応型粘着剤には、アクリル系モノマー成分として、官能基を有するアクリル系モノマー成分と共重合していてもよい。
本発明で使用することができる官能基を有するアクリル系モノマーとして、(メタ)アクリル酸、クロトン酸のようなカルボキシル基含有アクリル系モノマー、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのような水酸基含有アクリル系モノマー、アリルグリシジルエーテルのようなエポキシ基含有モノマーを挙げることができる。このような官能基を有するアクリル系モノマーは単独であるいは組み合わせて使用することができる。このような官能基含有アクリル系モノマーは、使用するアクリル系モノマー全体100重量部中に、通常は0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部の範囲内の量で使用される。
本発明では、さらに上記のようなアクリル系モノマーと共重合可能な他のモノマー成分と共重合していてもよい。このような他のモノマーの例としては、スチレンのようなビニル化合物を挙げることができる。このような他のモノマーは単独であるいは組み合わせて使用することができる。このような他のモノマーは、使用するアクリル系モノマー全体100重部中に、通常は0〜30重量部、好ましくは0〜10重量部の範囲内の量で共重合している。
本発明の環境対応型粘着剤は、上記のようなアクリル系モノマーを有機溶媒中に溶解もしくは分散して(共)重合さることにより得られる。
本発明で反応溶媒として使用する有機溶媒は、酢酸エチルである。本発明の環境対応型粘着剤を製造する際に反応溶媒として使用される酢酸エチルは、酢酸とエタノールとのエステル化反応により製造することができるが、工業的には酢酸にエチレンを溶解してエタノールを経ずに直接製造された酢酸エチルであるか、あるいは、アセトアルデヒドの二量体化反応により製造された酢酸エチルがある。このような酢酸エチルには、製造方法に起因して、アセトアルデヒド、エタノールなどの他の成分が含有されている。このような成分は、酢酸エチルを製造した後、蒸留により除去されるのが一般的であるが、このような蒸留によりアセトアルデヒドなどのアルデヒド類は除去されるが、アルコール成分が残存してしまう。アルコール類は、酸化されることにより最終的にはアルデヒド類になり、蒸留された酢酸エチル中に含有されるアルコール類は、粘着剤の製造に使用されるまでの貯蔵、運搬中およびアクリル系モノマーから粘着剤を製造する過程で酸化されてアルデヒド類になることから、本発明の環境対応型粘着剤の製造方法では、酢酸エチル中に含有されるアルデヒド類の含有率をできるだけ低くするだけではなく、さらにアルコールの含有率もできるだけ低く抑える。
特に本発明では反応溶媒として使用する酢酸エチル中に含有されるアルデヒド類の含有率を通常は10ppm以下にするだけでなく、アルコール成分含有率が100ppm以下である酢酸エチルを使用し、さらに、好ましくはアルデヒド:5ppm以下であり、アルコール5
0ppm以下である酢酸エチルを使用する。
具体的には、たとえば、それぞれの方法で製造された粗酢酸エチルを蒸留した蒸留酢酸エチルを蒸留して、さらに粘着剤製造時の酢酸エチル中のアルデヒド化合物が10ppm以
下、アルコール成分が100ppm以下になるまで繰り返し蒸留して、蒸留酢酸エチルに含
有されるアルデヒド類だけでなくアルコール成分までも除去する方法が挙げられる。
本発明では、上記の酢酸エチルの製造方法の内で、酢酸とエチレンとから直接酢酸エチルを製造する方法で得られた酢酸エチルを使用すると残存するアルデヒド類、アルコール成分が少ないことから有利であり、この酢酸エチル中に含有されるアルデヒド類、アルコール類、酢酸などを除去して使用することが望ましい。
このようにアルデヒド類だけでなく、アルコール成分も除去することにより、アクリル系モノマーを重合する過程でアルデヒド類が生成せず、得られた粘着剤の総VOC(総揮発
性有機化合物)の濃度を低減することができる。
上記のような酢酸エチルは、アクリルモノマー100重量部に対して、通常は20〜200重量部の範囲内の量、好ましくは70〜100重量部の範囲内の量で使用される。
このような量で酢酸エチルを使用することにより、アクリル系モノマーの少なくとも一部、好ましくはアクリル系モノマーの全部が酢酸エチルに溶解する。
本発明の環境対応型粘着剤では、酢酸エチル中でアクリル系モノマーを(共)重合させる際に、種類の異なる特定の重合開始剤を使用する。
本発明で使用される重合開始剤の分子量は共に200〜250の範囲内にあり、この重合開始剤のラジカル側鎖の炭素数が共に4〜9の範囲内にあり、かつこの重合開始剤の10時間半減期温度が45〜55℃の範囲内にある異なる構造を有する重合開始剤を使用する。
このような重合開始剤は、重合反応時の反応性が高く、ラジカルの分散性が良好であるため効率よく残存モノマーを低減することが可能であり、また、反応温度を限定すること
により、残存する開始剤を減らすことができ、揮発性低分子量体の生成を低減することができる。
このような重合開始剤の例としては、下記式(1)で表される過酸化物系開始剤を挙げることができる。
Figure 2008138033
ただし、上記式(1)において、R1、R2は、それぞれ独立に炭素数4〜9のアルキル基を表すとともに、この式(1)で表される化合物の分子量は200〜250である。
このような重合開始剤の例としては、t-ブチルペルオキシデカエート(BPND、分子量:244℃、ラジカル側鎖のアルキル基の炭素数:4,9、10時間半減温度:47℃)、t-
ヘキシルペルオキシピバレート(HPP、分子量:202、ラジカル側鎖のアルキル基の炭
素数:6,5、10時間半減温度:53℃)のような過酸化物系開始剤、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル(分子量:248、ラジカル側鎖のアルキル基の炭素数:6,
6、10時間半減期温度:51℃)のようなアゾ系開始剤を挙げることができるが、ラジカル反応性、開始剤由来の低分子量体の残存しやすさ、臭気の点から、過酸化物系開始剤を使用することが好ましい。本発明では上記の重合開始剤を組み合わせて使用する。
また、本発明では重合開始剤の分子量が上記の範囲内にあり、ラジカル側鎖のアルキル基の炭素数が上記範囲内にあり、かつ10時間半減期の温度が上記範囲内にある重合開始剤を二種類以上使用する。二種類以上の重合性開始剤を使用することで、反応溶媒である酢酸エチルに溶解もしくは分散したアクリル系モノマーを非常に高い反応率で(共)重合させることができ、アクリル系モノマーおよび開始剤由来の低分子量体の残留量が著しく少なくなる。このために本発明の方法により得られた粘着剤では未反応モノマーおよび開始剤に起因するVOC濃度が非常に低く抑えられる。
重合開始剤として分子量の小さい開始剤を使用した場合、重合中におけるラジカルの分散性が高いためモノマーの重合率がよく、未反応の残存モノマー量を低減させることができる。さらに重合中に生成する開始剤由来の低分子量体も、分子量が小さいために反応中に留去され、粘着剤中に残存する可能性は低い。ただし、粘着剤中に残存した場合、分子量が小さく揮発性であることから粘着剤の臭気の原因になりやすい。また、重合開始剤の分子量が大きい場合は、重合中にラジカル分散性が低く、初期の段階では残存物モノマーの量が多くなる、こうした重合開始剤の分子量についての特性を考慮すると、重合開始剤の分子量を共に200〜250の範囲内にすることにより、上述のような不利益が生じにくく、臭気の少ない粘着剤とすることができる。
本発明において、種類の異なる複数の重合開始剤を使用する場合は、複数の開始剤を全部まとめて一括して反応液中に添加することもできるが、分割して反応液中に添加することが好ましい。
このように分割して反応液中に添加する場合、重合開始剤の添加順序などに特に制限はないが、たとえばR1-O-O-CO-R2の構造を有する開始剤を用いる場合には、R1で表されるラジカル側鎖の炭素数の小さい化合物から使用することが好ましい。このように重合開始剤に配合順序を設けてこれに従って重合開始剤を配合することにより、アクリル系モノマーを効率よく重合させることができ、得られる粘着剤において臭気の原因となるアクリル系モノマー及び開始剤由来の揮発性低分子量体の残存率が極めて低くなるため、得られた粘
着剤の総VOCが低い値を示す。
また、上記のようにして複数の重合開始剤を添加することにより、反応溶液中のアルデヒド類の著しい増加も見られない。
本発明で使用する重合開始剤としては、前述のように、特定の分子量、特定のラジカル側鎖のアルキル基の炭素数、特定の10時間半減期温度を有する重合開始剤を使用する。このような重合開始剤を使用することにより、重合中のラジカルの分散が良好になり、残存モノマーを低減することができ、さらに重合後に僅かに残留する重合開始剤由来の化合物も揮発性が低いために重合開始剤由来の臭気を低減できる。また、重合温度を重合処理から終盤まで高く保つことで、残存開始剤および揮発性を有する開始剤由来成分の低分子量体は、重合中にこの反応系から除去され、得られる粘着剤中に残存させないようにすることができる。
上記のような重合開始剤は、合計で、反応溶媒である酢酸エチル中に溶解もしくは分散しているアクリル系モノマー100重量部に対して、通常は、0.05〜1重量部、好ましくは0.4〜0.7重量部の範囲内の量で使用される。二種類の重合開始剤を使用する場合、それぞれの重合開始剤の使用量は、たとえば、重合開始剤の合計量を1:10〜10:1の範囲内の割合で内分した値にすることが好ましい。
本発明では、上述のように反応溶媒である酢酸エチル中にアクリル系モノマーを溶解もしくは分散させた反応液を攪拌下に加熱し、この反応液に重合開始剤を添加することにより、反応が開始される。このときの加熱温度は、反応溶媒である酢酸エチルの沸点が76.8℃であることから、この沸点±10℃の範囲内に設定される。
さらに反応温度は、使用する重合開始剤の10時間半減温度よりも15℃以上高い温度に設定する。このような温度で反応を行うことにより、臭気の少ない粘着剤を得ることができる。
反応温度が上記範囲を逸脱して低い場合、重合中に生成する開始剤由来の揮発成分を除去することができないことがあり、これらの成分が粘着剤中に残留して臭気の原因ともなることがある。また、上記の範囲を逸脱して反応温度が高いと、この反応を有効に制御することが難しくなる。
上記の反応は空気中で行うこともできるが、窒素ガス、ヘリウムガスのような不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。このような不活性ガス雰囲気下で反応を行うことにより、酸化によるアルデヒド類の生成を抑制することができ、得られる粘着剤の総VOCを低
く抑えることができる。
このようにして最初の重合開始剤の添加から3〜12時間後に上述のような酢酸エチルを添加するかあるいは反応液の温度を下げることにより、この重合反応を終了させることができる。
このようにして環境対応型粘着剤の酢酸エチル溶液を得ることができる。この酢酸エチル溶液は、酢酸エチルの量を調整して固形分含有率を通常は10〜70重量%の範囲内、好ましくは30〜60重量%の範囲内に調整することにより、そのまま環境対応型粘着剤の塗布液とすることができる。
こうして得られる環境対応型粘着剤は、GPCにより測定した重量平均分子量が通常は3
0万〜100万の範囲内にあるアクリル系粘着剤であり、このアクリル系粘着剤についてFoxの式により求めたガラス転移温度は、通常は−70〜0℃の範囲内にある。
こうして得られた本発明の環境対応型粘着剤(酢酸エチル溶液)をガスクロマトグラフィを用いて残存するアクリル系モノマーの量を測定すると、使用したそれぞれのアクリル系モノマーの残存量が通常は60ppm以下、多くの場合50ppm以下である。一般にアクリル系粘着剤を、市販の酢酸エチルを用いた溶液重合法で、重合開始剤として本発明で使用するような特定の重合開始剤を用いないで製造されるアクリル系粘着剤中には、使用したアクリル系モノマーが50〜2000ppm程度の量で残存することが知られており、本発
明の方法で得られた粘着剤に残存するアクリル系モノマーの量は著しく低い値を示す。
また、本発明の環境対応型粘着剤(酢酸エチル溶液)を塗布して得られた粘着剤(テストピース、厚さ:70μm(dry))を用いて、サンプリングバック法により65℃で2時間加熱した後の蒸気中におけるVOCを求めると、ホルムアルデヒドのVOCは通常は0.06μg/テストピース以下、好ましくは0.03μg/テストピース以下、アセトアルデヒドのVOCは通常は0.07μg/テストピース以下、好ましくは0.04μg/テストピース以
下、総揮発性有機化合物(TVOC)は、通常は300μg/テストピース以下、好ましくは
200μg/テストピース以下である。
ここで、本発明においてVOCの測定に用いられるテストピースは、80mm×100mm×
厚さ70μm(dry)のものであり、VOCの測定においては広く使用されているサンプルサイ
ズである。またこのテストピースを用いて行われるサンプリングバック法とは、上記のような一定の大きさのテストピースをSUSメッシュに貼り付けた後、規格化されたバッグ(
例えばテドラーバック、GSサイエンス社製AA-10)に入れ、この中の空気を高純度窒素ガ
ス(純度99.999%)で置換した後、この窒素ガスが充填されたバックにテストピースを入れて65℃で2時間加熱して、加熱により粘着剤から揮発性成分をバック内に放出させ、
こうしてバック内に放出された揮発性成分を採取する。総VOCの測定は、採取した成分をGC-MSで分析することで行う。また、アルデヒド化合物の分析は採取した成分を所定の溶剤に溶解させた後、この溶液を高速液体クロマトグラフィを用いて分析するこれらは、粘着剤層に含有されている揮発性成分の分析方法であり、VOCの測定方法としては一般的な方
法である。
なお本発明では分析装置でああるGC-MSとして、Agilent Technology 社製ガスクロマトグラフ6890N、質量検出器5973Nを使用した。
また、分析装置である高速液体クロマトグラフィとして、日本ウォーターズ(株)製のAlltanceを使用し、使用カラムはGLサイエンス(株)製ODS-80A、75×4.6mm、3μmを使用し、検出器には、波長360nmのUVを用いた。
このように本発明の環境対応型粘着剤は、個々の成分のVOCが低い値を示すとともに、TVOCも低い値を示す。特にこの粘着剤は、アルデヒド類の含有率が低いという特性を有し
ている。さらに、本発明の方法で製造することにより、残存モノマーおよび開始剤由来の低分子量体の量も著しく低くなる。したがって、本発明の方法で製造した環境対応型粘着剤は、室内空気汚染(シックハウス)の汚染源となりにくい。また、本発明の方法で製造した環境対応型粘着剤は、たとえば電子部品の接合に使用した場合であっても、VOCによ
って電子部品の汚染が生じにくく、安定に電子部品を接合することができる。
なお、本発明の方法で製造した環境対応型粘着剤の製造に際しては、上記の成分のほかに、ドデシルメルカプタンなどの連鎖移動剤を配合してアクリル系モノマーの(共)重合を行うこともできる。
また、得られた酢酸エチル溶液を粘着剤として使用する際に、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などの架橋剤を配合することもできる。
さらに、得られた酢酸エチル溶液を粘着剤として使用する際には、無機充填剤、有機充填剤、複合充填剤などの充填剤を配合することもできるし、色材を配合することもでき、さらに粘着剤に一般的に配合される成分を添加して使用することができる。
次に本発明のアクリル系粘着剤について、実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔実施例1〕
窒素導入管、攪拌手段、温度計および還流装置を備えた反応容器に、ブチルアクリレート(BA)57.7重量部、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)40重量部、アクリル酸(AA)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)0.30重量部、n-ドデシルメルカプタン0.03重量部、および、精製酢酸エチル(2-2)90重量部を入れ、さらに
ここに初期重合開始剤として第1の重合開始剤であるt-ブチルペルオキシネオデカノエート(BPND、Mw=244、ラジカル側鎖の炭素数=4,9、10時間半減期温度=47℃)0.006重量部を加えて、反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、反応容器内の温度が80℃になるように加熱して反応を開始させた。
反応温度を80℃に維持しながら、上記の重合開始剤であるBPND;0.033重量部を数回に分けて添加して、二時間反応させた。
その後反応温度を81℃に昇温して、第2の重合開始剤であるt-ヘキシルペルオキシピ
バレート(HPP、Mw=202、ラジカル側鎖の炭素数=6と4、10時間半減期温度=53℃)0.6重量部を酢酸エチル(2-2)7重量部に溶解させた溶液を数回に分けて添加した後
、反応温度を81〜82℃に維持しながらさらに、3.5時間反応させた。
3.5時間経過後、酢酸エチル(2-2)を大量に反応容器内に入れて反応液を希釈して反
応を停止させた(固形分含量=43%)。得られたアクリル系粘着剤のGPCにより測定し
た重量平均分子量は50万であり、ガラス転移温度(Tg)は、−59℃であった。
こうして得られたアクリル系粘着剤を剥離加工された基材表面に塗布して厚さ70μm(dry)の粘着剤シートを製造し、この粘着剤シート中に含有されるアクリル系モノマーについて、ガスクロマトグラフィを用いて分析したところ、このアクリル系粘着剤中には、BAが30ppm、以下、AAが、30ppm以下、2EHAが20ppm以下の量で含有されていた。
なお、この実施例1で使用した精製酢酸エチル(2-2)は、酢酸に直接エチレンを導入し
て生成した粗酢酸エチルを、蒸留した後、再度精密に蒸留して得られた酢酸エチルでありその組成は次の通りである。
酢酸エチル含量・・・99.9%
アセトアルデヒド・・・1ppm以下
ホルムアルデヒド・・・1ppm
アルコール・・・・・・5ppm。
また、上記の粘着剤シートからテストピース〔80×100mm×厚さ70μm(dry)〕を切り出し、サンプリングバック法により、ホルムアルデヒドについてのVOCを測定した
ところ、0.06μg/テストピース以下であり、アセトアルデヒドについてのVOCを測定したところ、0.07μg/テストピースであり、また、このテストピースのTVOCを測定
したところ、300μg/テストピースであった。
〔実施例2〕
実施例1において、第1の重合開始剤であるBPNDの代わりにHPPを同量使用し、第2の重合開始剤であるHPPの代わりにBPNDを同量使用した以外は同様にして重量平均分子量50
万、ガラス転移温度(Tg):−59℃のアクリル系粘着剤を製造した。
こうして得られたアクリル系粘着剤を用いて、実施例1と同様にして粘着剤シートを製造し、この粘着剤シート中に含有されるアクリル系モノマーについて、ガスクロマトグラフィを用いて分析したところ、このアクリル系粘着剤中には、BAが50ppm、、AAが、4
0ppm、2EHAが50ppmの量で含有されていた。
第1の重合開始剤であるHPPのラジカル側鎖の炭素数が第2の重合開始剤であるBPNDのラジカル側鎖の炭素数よりも多いので、多少ではあるが、残存モノマー量が多くなった。
また、上記の粘着剤シートからテストピース〔80×100mm×厚さ70μm(dry)〕を切り出し、サンプリングバック法により、ホルムアルデヒドについてのVOCを測定したと
ころ、0.07μg/テストピースであり、アセトアルデヒドについてのVOCを測定したところ、0.07μg/テストピースであり、また、このテストピースのTVOCを測定したと
ころ、500μg/テストピースであり、VOCおよびTVOCともに、実施例1よりもやや高い値を示した。
〔比較例1〕
実施例1において、第1の重合開始剤であるBPNDをそのまま使用し、第2の重合開始剤
であるHPPの代わりにBPNDを同量使用した以外は同様にして重量平均分子量50万、ガラ
ス転移温度(Tg):−59℃のアクリル系粘着剤を製造した。
こうして得られたアクリル系粘着剤を用いて、実施例1と同様にして粘着剤シートを製造し、この粘着剤シート中に含有されるアクリル系モノマーについて、ガスクロマトグラフィを用いて分析したところ、このアクリル系粘着剤中には、BAが390ppm、、AAが、
40ppm、2EHAが380ppmの量で含有されていた。
この比較例では、第1の重合開始剤と第2の重合開始剤がBPNDであるために、得られた
アクリル系粘着剤中における残存モノマーの量が多かった。
また、上記の粘着剤シートからテストピース〔80×100mm×厚さ70μm(dry)〕を切り出し、サンプリングバック法により、ホルムアルデヒドについてのVOCを測定したと
ころ、0.06μg/テストピースであり、アセトアルデヒドについてのVOCを測定したところ、0.07μg/テストピースであり、また、このテストピースのTVOCを測定したと
ころ、2500μg/テストピースであり、VOCおよびTVOCともに、高い値を示した。
〔比較例2〕
実施例1において、第1の重合開始剤であるBPNDの代わりにHPPを同量使用し、第2の重合開始剤であるHPPをそのまま使用した以外は同様にして重量平均分子量50万、ガラス
転移温度(Tg):−59℃のアクリル系粘着剤を製造した。
こうして得られたアクリル系粘着剤を用いて、実施例1と同様にして粘着剤シートを製造し、この粘着剤シート中に含有されるアクリル系モノマーについて、ガスクロマトグラフィを用いて分析したところ、このアクリル系粘着剤中には、BAが400ppm、、AAが、
40ppm、2EHAが410ppmの量で含有されていた。
この比較例では、第1の重合開始剤と第2の重合開始剤がHPPであるために、得られたアクリル系粘着剤中における残存モノマーの量が多かった。
また、上記の粘着剤シートからテストピース〔80×100mm×厚さ70μm(dry)〕を切り出し、サンプリングバック法により、ホルムアルデヒドについてのVOCを測定したと
ころ、0.07μg/テストピースであり、アセトアルデヒドについてのVOCを測定したところ、0.07μg/テストピースであり、また、このテストピースのTVOCを測定したと
ころ、2600μg/テストピースであり、VOCおよびTVOCともに、高い値を示した。
〔比較例3〕
実施例1において、第1の重合開始剤であるBPNDの代わりにラウロイルパーオキサイド
(LPO、Mw=398、ラジカル側鎖の炭素数=11,11、10時間半減期温度=62℃)を同量使用し、第2の重合開始剤としても上記イLPOをそのままの量で使用した以外は同様にして重量平均分子量50万、ガラス転移温度(Tg):−59℃のアクリル系粘着剤を製造した。
こうして得られたアクリル系粘着剤を用いて、実施例1と同様にして粘着剤シートを製造し、この粘着剤シート中に含有されるアクリル系モノマーについて、ガスクロマトグラフィを用いて分析したところ、このアクリル系粘着剤中には、BAが650ppm、、AAが、
40ppm、2HEAが680ppmの量で含有されており、残留モノマーの量が多かった。
また、上記の粘着剤シートからテストピース〔80×100mm×厚さ70μm(dry)〕を切り出し、サンプリングバック法により、ホルムアルデヒドについてのVOCを測定したと
ころ、0.06μg/テストピースであり、アセトアルデヒドについてのVOCを測定したところ、0.07μg/テストピースであり、また、このテストピースのTVOCを測定したと
ころ、2900μg/テストピースであり、VOCおよびTVOCともに、高い値を示した。
本発明の環境対応型粘着剤は、異なる構造を有する特定の重合開始剤を複数種類使用しているので、得られる粘着剤中における未反応モノマーの含有率が著しく低くなり、アクリル系粘着剤特有の臭気が著しく低減される。また、本発明の粘着剤には揮発性有機物質の含量が少なくVOCおよびTVOCの値も低く、密閉された室内、車内、電子部品などの粘着
に好適である。本発明の粘着剤は、臭気の原因となるアクリル系粘着剤中のアルデヒド類の量、あるいは、経時的に酸化されてアルデヒド類になるアルコールの量が少なく、しかも未反応のアクリル系モノマーの残存量および揮発性の残存開始剤量も低くなる。このため本発明のアクリル系粘着剤は、建築物の内装、自動車などの内装など、閉鎖空間において使用しても刺激性が少ない。したがって、本発明の粘着剤では臭気が低減され、シックハウス症などの原因となりにくい。また、揮発成分の発生量が少ないので、電子部品の接着に使用しても揮発性成分の侵食による電子部品の劣化などが生じにくい。

Claims (6)

  1. 反応溶媒中にアクリル系モノマーの少なくとも一部を溶解させて、重合開始剤の存在下に、該アクリル系モノマーを重合させてなる環境対応型粘着剤であって、
    該重合開始剤として、重合開始剤の分子量が共に200〜250の範囲内にあり、該重合開始剤のラジカル側鎖の炭素数が共に4〜9の範囲内にあり、かつ該重合開始剤の10時間半減期温度が共に45〜55℃の範囲内にある異なる構造を有する少なくとも二種類の重合開始剤を多段に分けて添加するとともに、該重合反応温度を使用する重合開始剤の
    10時間半減期温度よりも15℃以上高い温度で反応させることを特徴とする環境対応型粘着剤。
  2. 上記重合開始剤が、下記式(1)で表される過酸化物系開始剤であることを特徴とする請求項第1項記載の環境対応型粘着剤;
    Figure 2008138033
    (ただし、上記式(1)において、R1,R2はそれぞれ独立に炭素数4〜9のアルキル基
    を表す。)。
  3. 上記重合開始剤をR1の炭素数の少ない重合開始剤から先に添加することを特徴とする請求項第2項記載の環境対応型粘着剤。
  4. 上記環境対応型粘着剤中における残存モノマー濃度が、150ppm以下であることを特
    徴とする請求項第1項記載の環境対応型粘着剤。
  5. 上記反応溶媒が酢酸エチルであり、かつ該酢酸エチル中におけるアセトアルデヒド化合物の量が10ppm以下およびアルコール成分の含有率が100ppm以下であることを特徴とする請求項第1項記載の環境対応型粘着剤。
  6. 上記環境対応型粘着剤について、サンプリングバック法により測定した総揮発性有機物質の量(TVOC)が、500μg/テストピース以下であることを特徴とする請求項第1項
    記載の環境対応型粘着剤。
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