従来のレーザープリンタや電子写真装置に用いられる光学走査装置について、図21を参照して説明する。
光学走査装置300は、画像情報に基づいて光ビームLを出射する光源302と、この光源302から出射された光ビームLを所定の方向へ偏向させるポリゴンミラー304と、結像レンズ系306と、被走査体308に光ビームLを導く反射ミラー310とから構成され、各部品が図示しないカバーで閉塞されるハウジング312内に配設されるものである。このハウジング312は、フレーム314にスクリュー316で固定されて電子写真装置内に組み込まれるものである。
なお、光学走査装置300が配設された電子写真装置は、被走査体308の周囲に、周知の帯電手段、現像手段、転写手段がフレーム314上に配設され、被走査体308上に形成されたトナー像を記録紙に転写し、定着手段によってトナー像が定着されることによって、記録紙に画像形成するものである。
このように電子写真装置内部に配設された光学走査装置300では、ポリゴンミラー304や被走査体308の駆動モータや電子写真装置内部の用紙搬送手段の振動がハウジング312に伝達される。この結果、ハウジング312に配設された反射ミラー310が、図22の模式図に示すように、正規の実線位置に対して破線位置間を振動するたわみ振動を生じ、反射面310Aの変動によって光ビームLの光路が正規位置からずれて被走査体308上で走査線ずれを起こし、画質不良となる問題があった。
この問題を解決する手段として、例えば、特開平11−187224号公報(以下、従来例1という)の光学走査装置では、図23(A)、(B)に示すように、ハウジング内に形成された一対の支持体320A、320Bの孔部322A、322Bに反射ミラー324が挿通され、反射ミラー324の反射面324A側を孔部322A内に突出形成された突起326Aと、孔部322B内に突出形成された突起326B、326Cによって支持されると共に、反射ミラー324の反射面324Aと反対側の面(以下、裏面という)324Bを孔部322A、322B内に挿入された板バネ328A、328Bによって押圧する。さらに、支持体320Aの孔部322Aに反射面324Aに対して所定のクリアランスX(図23(B)参照)を隔てて突出した支持部330A、330Bを設け、支持部330A、330Bと反射面324Aの間に接着剤332を塗布したものである。
従来は、図24(A)に示すように、反射面324Aを突起326A〜326Cでのみ支持していたために、振動の伝達によって反射ミラー324(反射面324A)が突起326Aとの当接位置を中心として矢印B方向に揺動してしまう(図24(B)参照)が、本構成では支持部330A、330Bと接着剤332で固定しているため、前記揺動を防止できるとしている。
特開平9−120039号公報(以下、従来例2という)に開示された別の例を図25(A)、(B)に示す。この光学走査装置では、反射ミラ-342の裏面342B側に錘344を取付けて、反射ミラ-342の共振周波数を変更して電子写真装置、ポリゴンミラーの駆動モータの入力周波数からおおむね20Hz回避することで、高画質化を図っている。
特開平2−253274号公報(以下、従来例3という)に開示された別の例について、図26を参照して説明する。
この光学走査装置では、一対の支持部材350上に載置され、板バネ352で固定された反射ミラー354の反射面354Aと直交する下面354Cとハウジング356の間にゴム、発泡ポリウレタンなどの緩衝部材358を配設して、反射ミラー354のたわみ振動を抑制する。
次に、特開2000−241735号公報(以下、従来例4という)を図27(A)〜(D)を参照して説明する。この光学走査装置では、図27(A)に示すように、反射ミラー362の反射面362Aを、反射面362Aの光ビーム走査領域Sの外側の一端側を1点、他端側を二点で支持する一対の支持部材364A、364Bと、さらにその外側の反射ミラー362Aの両端を支持部材366A、366Bで支持する。反射ミラー362の裏面362Bは、図27(B)に示すように、両端を板バネ368A、368Bで支持されている。板バネ368Aは、2つに分岐した当接部370、372を有しており、それぞれ支持部材364A、364Bに反射ミラー362を押圧するものである。板バネ368Bも同様である。
このような構成をとることにより、従来、支持部材364A、364Bとこれに対応する弾性部材による両端二点支持であった反射ミラーの走査領域Sの最大振幅W1(図27(C)参照)が、支持部材364A、支持部材364Bの外側に支持部材366A、366Bが配置され、裏面362B側から板バネ368A、368Bの当接部372によって押圧されることによって、最大振幅W2まで抑制されるとしている(図27(D)参照)。また、板バネ368A、368Bは、当接部370、372を一体的に設けることによって、コスト低減を図っている。
またさらに、特開平6−324253公報(従来例5という)に開示された別の例を図28(A)〜(C)を参照して説明する。このミラー支持機構380は、図28(B)に示すように、反射ミラー382を壁面384の孔部386に挿入して固定する際に、V字形状の弾性体388を差し込んで固定するものである。
V字形状弾性体388は、図28(A)に示すように、V字型に折り返された一方の面にその一部が下方に折り曲げられた係止部390が設けられると共に、他方の面(以下、当接面という場合がある)に大小2個の突起392、394が設けられている。さらにこの当接面の先端に折り返し部396が設けられている。
このように構成されたミラー支持機構380は、図28(C)に示すように、反射ミラー382が孔部386に挿入された後、弾性体388を孔部386(反射ミラー382の下部)に挿入して係止部390で壁面384に係止することによって、当接面の大突起392が反射ミラー382を支持するとともに壁面384に押しつける。また、弾性体382の折り返し部396が反射ミラー382の端面を支持する。この状態で反射ミラー382が振動する(端面が二点鎖線位置から実線位置に移動する)と、弾性体388は折り返し部396が押圧されて変形することにより、大突起392を支点に二点鎖線位置から実線位置に回転する。この結果、小突起394が反射ミラー382に対する圧接力が増大して反射ミラー382の変位を拘束することにより、反射ミラー382の振動(振幅)を抑制できるとしている。
上記各従来例には、以下の不都合があった。
従来例1の実施例では、反射ミラー324の走査領域近傍の反射面324Aに接着を施すので、走査領域に誤って接着剤を塗布せぬようにしなければならず、塗布作業が困難であった。
また、従来例2の光学走査装置では、反射ミラー342の裏面342Bに錘344を貼り付けるため、反射ミラ-342の反射面342Aを歪ませ、被走査体308上の光ビーム特性を悪化させてしまうことがあった。
さらに、従来例4の光学走査装置では、従来からある支持部材364A、364Bの外側を支持部材366A、366Bで支持するため反射ミラー362を長尺化しなければならず、ハウジング(光学走査装置)が大型化してしまうという不都合があった。
ところで、最近の光学走査装置では、図30に示す特願2000−345698に代表されるように、光ビームの光路が複雑な光学走査装置が提案されている。この電子写真装置400の光学走査装置402は、1つのポリゴンミラー403でイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックに対応する4本の光ビームLY、LM、LC、LK(以下、LY〜LKという、他の参照符号も同様)を各被走査体404Y〜404Kに走査し、各被走査体404Y〜404Kから転写ベルト406に多重転写されることでカラー画像を形成する。このような光学走査装置402において配置される各反射ミラー408Y〜408Kの下側には各光ビームLY〜LKの光路があり、上側にはハウジング410を閉塞するカバー412が位置する。このような構成の光学走査装置においても、良好なカラー画像形成を行うために反射ミラー408Y〜408Kの振動を抑制する必要がある。しかしながら、光ビームの光路が複雑故、従来例の方法では困難である。
例えば、従来例3の方法(緩衝部材の設置)を適用しようとすると、光学走査装置402の反射ミラー408Y〜408Kの下側には各光ビームLY、LM、LC、LKの光路があって緩衝部材の設置スペースを確保することが困難である。また、反射ミラー408Y〜408Kの上側にはハウジング410を閉塞するカバー412があるが、ハウジングの開放面を閉塞する部材であるため剛性をあげることが困難であり、剛性の低いカバー412と反射ミラー408Y〜408Kの間に緩衝部材を介在させても上記緩衝作用を達成することが困難である。
また、従来例5のミラー支持機構380は反射ミラーの上下方向(走査方向と直交する方向)の位置に部材を配置する必要がないので反射ミラー408Y〜408Kに適用可能であるが、図29に示すように、下(−y)方向への変位に対しては小突起394が反射ミラー382の変位を規制して反射ミラー382の振動を抑制する(図29(A)→(B)参照)が、上(y)方向への変位に対しては小突起394と反射ミラー382の振動方向が同一(いずれも上方向)となって反射ミラー382の振動を抑制できない(図29(A)→(C)参照)という不都合があった。
また、従来例2の方法は、上述のように、反射ミラー342の裏面342Bに錘344を貼り付けることで反射ミラー342の厚さが増してしまうので、光路が反射ミラーの下側または上側に存在する場合には、光路に干渉するというおそれがある。
本発明の目的は上記課題を解決するために、反射部材の走査領域(反射面、裏面、反射面直交面)に、振動抑制部材を介在させることなく反射部材の振動を抑制する光学走査装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、請求項1記載の光学走査装置は、光源から出射された光ビームをポリゴンミラーで偏向させ、結像レンズ系を介して反射部材で反射させて被走査体に走査させる光学走査装置において、前記各光学部品を収納するハウジングと、前記反射部材における光ビーム走査方向において、光ビーム走査領域外の両側端部で光ビームの反射面あるいは前記反射面の裏面を支持し前記ハウジングに設けられた第1、第2支持手段と、前記支持手段が支持する前記反射部材の前記反射面あるいは前記裏面の反対面を前記支持手段側に押圧する押圧手段と、前記反射部材の光ビーム走査方向両端部のうち少なくとも前記第1支持手段側端部の変位を規制する変位規制手段と、を備えることを特徴とする。
請求項1記載の光学走査装置の作用について説明する。
この光学走査装置は、ハウジング内部に各光学部品が配設され、光源から出射した光ビームをポリゴンミラーで偏向させ、結像レンズ系を介して反射部材で反射させることによって、光ビームを被走査体上に走査させる。
この装置において、反射部材はハウジングに設けられた第1、第2支持手段によって反射面または反射面の裏面のビーム走査方向の両端部(光ビーム走査領域外)を支持され、反対面側から押圧手段にて支持体側に押圧されることにより位置決めされる。
また、反射部材のビーム走査方向両端部のうち少なくとも1個所の端部の変位を変位規制部材で規制するようにしたので、反射部材を厚くしたりせず、また、反射ミラーの走査領域近傍に部材を介在させないで反射ミラーの固有振動数を高域に移動することができる。
その理由は、従来の反射部材の支持部に着目すると、図3(A)のように、反射部材が振動すると、反射部材の走査方向端部は図3(B)のような動きをする。この時の反射部材の固有振動数(Hz)は、
f(Hz)=λ2/2πL2×(EI/ρA)1/2
ここで、L:ハリの長さ 、
E:ハリ材料の縦弾性係数 、
I:断面2次モーメント、
ρ:密度 、
A :断面積、
の式から求められ、λは両端支持のハリと考えられるので
1次のλ:π、2次のλ:2π 、 3次のλ:3π
となるのに対し、本発明の構成(図3(C)参照)にするとλは片側支持、片側固定の状態に近づくので、片側支持、片側固定のλは1次のλ:3.927 、2次のλ:7.069、3次のλ:10.210となる。したがって、例えば1次で比較すると、本発明の構成の固有振動数の方が高くなる。すなわち、従来より簡易な構成で反射部材の固有振動数を高くすることができるので、光学走査装置のコストを低減できる。
請求項2に係わる光学走査装置は、請求項1記載の光学走査装置において、前記ハウジング内部において、前記反射部材の光ビーム走査領域の上下の少なくとも一方に前記光ビームの光路が形成されていることを特徴とする。
請求項2記載の光学走査装置の作用について説明する。
反射部材の光ビーム走査方向端部を変位規制手段によって規制する構成を採用することによって、反射部材の光ビーム走査領域近傍に部材を介在させないで反射部材の振動を抑制ができるため、反射部材の光ビーム走査領域の上下方向(走査方向と直交する方向)における光ビーム光路の設計自由度が高まる。すなわち、光学走走査装置断面で考えたとき、反射面の鉛直上下方向に介在物が存在しないため、光路を反射部材の少なくとも一方に設けて複雑に折り曲げることができ、光学走査装置を小型化できる。
請求項3記載の光学走査装置は請求項1または2記載の光学走査装置において、前記反射部材の光ビーム走査方向において、前記第1支持手段側端部から第1支持手段の支持位置までの距離をα、前記第2支持手段側端部から前記第2支持手段の支持位置までの距離をβとしたとき、β<αであることを特徴とする。
請求項3記載の光学走査装置の作用について説明する。
反射部材の光ビーム走査方向において、第1支持手段(変位規制手段)側端部から第1支持手段までの距離をα、第2支持手段(変位規制手段)側端部から第2支持手段までの距離をβとしたとき、β<αの関係としたので、反射部材の固有振動数をより高域に移動できる。その理由は、第1支持手段から規制手段(第1支持手段側端部)までの距離が長いほうが規制手段と反射部材の当接に必要な力が少なくて済む。言い換えると、当接させる力が同じ場合は、第1支持手段から規制手段すなわち、反射部材の第1支持手段側端部までの距離が長いほうが第1支持手段側端部の拘束力を上げることになる。したがって、ハリの固定状態に一層近づき、反射ミラーの固有振動数が一層高くなって振動を確実に抑制できる。
請求項4に係わる光学走査装置は請求項1〜3のいずれか1項記載の光学走査装置において、前記反射部材は、ハウジング内部において光ビームが最終的に反射されて被走査体に至る最終反射部材であることを特徴とする。
請求項4記載の光学走査装置の作用について説明する。
反射部材を、ハウジング内部で最終的に光ビームを反射させて被走査体に至らせる最終反射部材としたものである。光学走査装置は光ビームをポリゴンミラーで走査する構造上、被走査体に近づくに従って走査幅が広がっていくため、最終反射部材の光ビーム走査領域(部材長さ)が光学走査装置内の反射部材の中では一番長い。すなわち、最終反射部材の長さが最も長くなるため、振動を抑制することが困難になる。したがって、従来は最終反射部材の厚さを厚くしたり、最終反射部材の質量を上げるため最終反射部材の裏側に金属部材を貼る必要があったが、請求項1〜3の構成にすることで、反射部材の厚さを厚くすることが不要になり、また、金属部材を削除することができるので反射部材(光学走査装置)の軽量化が可能になる。反射部材の軽量化は、押圧手段の押圧力を減少させることに結びつき、押圧手段を小型化することができる。よって、光学走査装置のコストを低減することができる。また、反射部材の厚さ方向寸法減少にともない、光学走査装置の小型化にも寄与する。
請求項5記載の光学走査装置は、請求項1〜4のいずれか1項記載の光学走査装置において、前記押圧手段は、反射部材の長手方向において前記各支持手段が当該反射部材を支持する位置に対してそれぞれ両側に所定距離オフセットした2個所の位置で押圧することを特徴とする。
請求項5記載の光学走査装置の作用について説明する。
反射部材のビーム走査方向において、支持手段が支持する位置に対してその両側に所定距離オフセットした2個所の位置で押圧手段が押圧しているため、図5(D)に示すように、支持位置(28または30、34)を軸に撓もうとする反射部材の両方向への振動を一対の押圧手段(46A、46B)がそれぞれ抑制する。この結果、反射部材の振動を抑制でき、しかもその固有振動数を高域に移動させることができる。
請求項6記載の光学走査装置は、請求項5記載の光学走査装置において、前記押圧手段は、前記ハウジングに当接され固定される取付部と、前記反射部材の前記反射面または前記裏面を2個の当接部で押圧する押圧部と、前記取付部と押圧部との間に配設され、弾性変形することによって前記押圧部を一体的に所定方向に変位させる弾性部と、を備え、前記所定方向が前記反射部材の反射面と直交するようにハウジングに配設されたことを特徴とする。
請求項6記載の光学走査装置の作用について説明する。
押圧手段は、反射部材の長手方向において、反射部材に対する支持手段の支持位置に対して両側にオフセットした2個所の位置を押圧部の2個の当接部で押圧できる。また、反射部材の振動によって2個の当接部に異なる力が作用した(2個の当接部間に捩じり作用があった)場合、弾性部の弾性変形による押圧部の変位方向が反射面と直交する方向とされているため、一体的に変位する押圧部によって2個の当接部間に作用する捩じり動作が規制され、反射部材のたわみ振動が一層抑制される。
請求項7に係わる光学走査装置は、請求項1〜6のいずれか1項記載の光学走査装置において、前記第1支持手段が前記反射部材の前記反射面または前記裏面を1点で支持し、前記第2支持手段が前記反射部材の前記反射面または裏面を2点で支持することを特徴とする。
請求項7記載の光学走査装置の作用について説明する。
反射部材の光ビーム走査方向において、反射面または裏面を一点支持する第1支持手段側の端部を変位規制手段で拘束するため、反射部材の撓み振動以外に1点支持側で生ずる回転振動も抑制することができ、さらに良好な画質とすることができる。
請求項8記載の光学走査装置は、請求項1〜7のいずれか1項記載の光学走査装置において、前記変位規制手段は、前記反射部材の前記光ビーム走査方向端面に当接するハウジングに設けられた規制部を有し、前記規制部の反射部材当接面に鋭利形状部分を設けたことを特徴とする。
請求項8記載の発明の作用について説明する。
変位規制手段は、前記反射部材の前記光ビーム走査方向端面に当接しハウジングに設けられた規制部であり、前記規制部の反射部材当接面に鋭利形状部分を設けた。ここで、鋭利形状部分とは、反射部材との当接面において突出形成された部分であり、当該部分に反射部材を押しつけることによって反射部材の角部が食い込む部分をいう。
したがって、反射部材の光ビーム走査方向端部を規制部に食い込ませることで、反射部材の光ビーム走査方向端部の動きを固定する。この結果、電子写真装置の各部の振動のみならず、特に、輸送時の異常な外的衝撃に対しても、反射部材の位置を安定して保つことができる。
請求項9に係わる光学走査装置は、請求項1〜8のいずれか1項記載の光学走査装置において、前記反射部材の光ビーム走査方向における前記第2支持手段側端部から前記変位規制手段側に向かって押圧する押圧部材を備えることを特徴とする。
請求項9記載の発明の作用について説明する。
反射部材の光ビーム走査方向において押圧部材にて第2支持手段側端部を第1支持手段側端部(変位規制手段)側に押圧することで、反射部材の断面を微妙ではあるが変化させて断面積、すなわち断面2次モーメントを増加させる。したがって、反射部材の固有振動数をさらに高域に移動でき、特に、輸送時の異常な外的衝撃に対しても、反射部材の位置を安定して保つことができる。
請求項10記載の光学走査装置は、請求項9の光学走査装置において、前記押圧部材による前記反射部材の押圧量を調整する調整手段を設けたことを特徴とする。
請求項10記載の光学走査装置の作用について説明する。
調整手段によって押圧部材による反射部材の押圧量を調整可能としたため、反射部材の固有振動数を微調整できる。
請求項11記載の光学走査装置は、請求項10記載の光学走査装置において、前記調整手段を前記ハウジングの外部から操作可能としたことを特徴とする。
請求項11記載の光学走査装置の作用について説明する。
押圧部材の反射部材に対する押圧量をハウジングの外部から調整可能としたため、ハウジングを開放せずに反射部材の固有振動数の微調整、特に、電子写真装置の加振源の個々のバラツキに対応させて調整することができる。したがって、電子写真装置の加振源の製造要求基準を緩和できるので、加振源の製造コストを低減できる。
請求項12記載の光学走査装置は、請求項1〜11のいずれか1項記載の光学走査装置において、前記変位規制手段または前記押圧部材の少なくとも一方と反射部材の光ビーム走査方向端部を接着したことを特徴とする。
請求項12記載の光学走査装置の作用について説明する。
変位規制手段または押圧部材の少なくとも一方と反射部材の光ビーム走査方向端部を接着することで、反射部材の光ビーム走査方向端部を固定状態にする。この結果、反射部材の固有振動数を一層高域に移動させることができ、特に、輸送時の異常な外的衝撃に対しても、反射部材の位置を安定して保つことができる。また、支持手段の位置ではなく、反射部材の光ビーム走査領域から離れた光ビーム走査方向端部で接着するので、接着剤を塗布するとき、反射部材の光ビーム走査領域に誤って接着剤を塗布してしまうおそれがない。したがって、作業時間を短縮でき、光学走査装置の製造コストを低減することができる。
以上述べたように、この請求項1記載の発明によれば、反射部材を厚くしたりせずまた、反射部材の走査領域近傍に振動抑制部材を介在させないで反射部材の固有振動数を移動することができる。したがって、従来より簡易な構成で反射部材の固有振動数を高域に移動できるので、光学走査装置の製造コストを低減できる。
請求項2記載の発明によれば、従来より簡易な構成で反射部材の固有振動数を高域に移動できるので、光学走査装置の製造コストを低減できる。また、反射部材の走査領域近傍に部材を介在させないで反射部材の振動を抑制が可能になり、反射部材の上下方向空間部を有効に使うことができる。即ち、光学走走査装置断面で考えたとき、反射面の沿直上下方向に介在物がないため、光路を複雑に折り曲げることで光学走査装置を小型化できる。
請求項3記載の発明によれば、反射部材の固有振動数をより高域に移動できる。
請求項4記載の発明によれば、反射部材の板厚を薄くすることができる、また、金属部材を取付不要とすることができるので、光学走査装置の軽量化が可能になる。反射部材の軽量化は、支持に用いる押圧手段の押圧力を小さくすることに結びつき、押圧手段を小型化できる。よって、光学走査装置のコストを低減することができる。また、反射部材の板厚方向寸法減少にともない、光学走査装置を小型化できる。
請求項5記載の発明によれば、さらに反射部材の固有振動数を高域に移動できる。
請求項6記載の発明によれば、さらに確実に反射部材の振動を抑制できる。
請求項7記載の発明によれば、反射部材の撓み振動以外に、回転振動を抑制するので、さらに良好な画質を得ることができる。
請求項8記載の発明によれば、反射部材の走査方向端部の動きをより固定状態にするので、電子写真装置の各部の振動のみならず、特に、輸送時の異常な外的衝撃に対しても、反射部材の位置を安定して保つことができる。
請求項9記載の発明によれば、反射部材の断面を微妙ではあるが変化させることで断面積、断面2次モーメントが増加する。したがって、反射部材の固有振動数をさらに高域に移動でき、特に、輸送時の異常な外的衝撃に対しても、反射部材の位置を安定して保つことができる。
請求項10記載の発明によれば、反射部材の固有振動数を微調整することができる。
請求項11記載の発明によれば、反射部材の固有振動数の微調整、特に、電子写真装置の加振源の個々のバラツキに対して、調整することができる。したがって、電子写真装置の加振源の製造要求基準を緩和できるので、加振源の製造コストを低減できる。
請求項12記載の発明によれば、反射部材の終端部の動きを固定状態にする。したがって、さらに反射部材の固有振動数をさらに高域に移動でき、特に、輸送時の異常な外的衝撃に対しても、反射部材の位置を安定して保つことができる。接着剤を塗布するとき、反射部材の走査領域に誤って接着剤を塗布してしまう危険がない。よって、作業時間の短縮が可能となり、光学走査装置のコストを低減することができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る光学走査装置について図1〜図4を参照して詳細に説明する。ここで、図1は本発明を適用した光学走査装置の説明図であり、図2は図1の要部拡大図である。
光学走査装置10は、画像情報に基づいて光ビームLを出射する光源12と、光源12から出射された光ビームLを所定の方向へ偏向させるポリゴンミラー14と、結像レンズ系16と、被走査体18に光ビームLを導く反射ミラー20と、これらの光学部品を収容設置し図示しないカバーで閉塞されたハウジング22とから構成される。ハウジング22は、スクリュー24で電子写真装置のフレーム26に固定されている。この光学走査装置10を電子写真装置に組込み、画像情報に基づいて光ビームLを被走査体18に主走査させることにより、被走査体18上に静電潜像を形成する。
電子写真装置は、周知の手段、すなわち、被走査体18に均一に帯電を行う帯電手段と、静電潜像が形成された被走査体18上にトナー像を形成する現像手段と、トナー像を転写可能なタイミングで記録紙を搬送する用紙搬送手段と、被走査体上のトナー像を記録紙上に転写させる転写手段と、転写されたトナー像を記録紙に定着させる定着手段と、から構成されている。
反射ミラー20の反射面20Aは、長手(光ビーム走査)方向一端(走査領域外端部)を第1支持体28、長手方向他端を第2支持体30と反射ミラー角度調整機構32の調整スクリュー34で支持される。ここで、第1支持体28と第2支持体30は、ハウジング22に一体成形されている。一方、反射ミラー20の裏面20Bは、長手方向両端で支持体28、30と対向する位置を板バネ36A、36Bで押圧されている。したがって、板バネ36A、36Bで支持体28、30および調整スクリュー34に押圧された反射ミラー20を調整スクリュー34の螺入量を調整することによって被走査体18の所望位置に光ビームLが走査されるように調整可能である。
一方、ハウジング22には、図2に示すように、反射ミラー20の長手方向端面である端面20Cと当接する規制部材38が壁面から突出形成されている。反射ミラー角度を調整するときは、図4(A)のように規制部材38と端面20Cが当接せず、クリアランスCが確保されている状態で行なう。調整スクリュー34で角度を調整後、図4(B)に示すように反射ミラー20を長手方向(規制部材38側)にスライドさせ、規制部材38と端面20Cを当接させる。この結果、反射ミラー20の端面20Cが規制部材38によって動きを規制される。なお、反射ミラー20のスライドの際、反射ミラー20は裏面20Bを板バネ36A、36Bで押圧され、反射面20Aを第1支持体28、第2支持体30、調整スクリュー34の3点で支持されているので、反射ミラー20の調整(反射)角度が狂うことはない。また、板バネ36A、36Bの押圧力を適切に設定することによって、輸送時の不要な衝撃によって規制部材38から反射ミラーの端面20Cが離間することも防止できる。
このように構成された光学走査装置10の作用(反射ミラー20の振動抑制)について説明する。
先ず、図3(A)に示す比較例のように、反射ミラー20の両端を第1支持体28と、第2支持体30および調整スクリュー34でのみ支持している図3(A)の模式図に示す比較例の場合、ポリゴンミラー14や電子写真装置内部の用紙搬送手段、あるいは被走査体18を駆動する駆動モーターの振動がハウジング22に伝わり、反射ミラー20にたわみ振動が発生する。この結果、反射ミラー20で被走査体18上に向かって反射される光ビームLの光路がずれて被走査体18上で走査線ずれを起こし、画質を悪化させる。この際、反射ミラー20の端面20Cは、図3(B)に二点鎖線で示すように、たわみ振動によって自由に振動してしまう。
これに対して、本実施形態の光学走査装置10では、図3(C)のように、反射ミラー20の端面20Cを規制部材38に当接させているため、端面20Cの動きが規制される。したがって、反射ミラー20は、図3(D)に二点鎖線で示すように端面20Cから第1支持体28の支持位置まで振動しなくなり、第1支持体28から第2支持体30側のみの振動になる。すなわち、反射ミラー20を梁として見たとき、端面20Cと規制部材38が当接している部分の拘束状態は、固定状態に近づく。すなわち、端面20Cの拘束状態が支持から固定になったため、反射ミラー20の固有振動数を高域に移動させることができ、反射ミラー20のたわみ振動を抑制することができる。
また、従来のたわみ振動防止方法より簡易な構成で良好な画質を得られるので光学走査装置のコストを低減できる。
さらに、反射ミラー20と、各支持体28、30が反射ミラー20の反射面20Aを支持する位置と、反射ミラー20の光ビーム走査方向端面20C、20D(光ビーム走査方向端面20Cと反対側の端面)との位置関係は、図4(B)に示すように設定されている。すなわち、反射ミラー20の一方の端面20C(規制部材38側)から第1支持体28までの距離をα、他方の端面20Dから第2支持体30までの距離をβとしたとき、β<αの関係になっているので、上記距離が長い方が同じ力で押しつけたときに端面20Cをより固定状態に近づけることができる。すなわち、一層ハリの固定状態に近づき、反射ミラー20の固有振動数を一層高域に移動できる。
このように、反射ミラー20の端面20Cを規制部材38で拘束することによって反射ミラー20の固有振動数を増加させるため、反射ミラー20の振動を抑制するために反射ミラー20の厚さを厚くしたり、反射ミラー20の質量を増加させるために反射ミラー20の裏側に金属部材を貼る必要がない。したがって、光学走査装置10を軽量化させることが可能になる。特に、この点において、ハウジング内部において最終的に光ビームを被走査体18に反射させる最終反射ミラーに適用することが一層望ましい。これは、光ビームLがポリゴンミラー14で偏向されるため、最終反射ミラーでは光ビーム走査領域が最も長くなる。したがって、最終反射ミラーのミラー長さが最も長くなり、振動の抑制が最も困難であるが、本構成を適用すればミラーの重量化させることなく容易に振動を抑制することができる。
また、反射ミラー20の軽量化により反射ミラー20を支持する板バネ36の押圧力を小さくでき、板バネ36A、36Bの寸法(幅、板厚)を小さくすることができる。したがって、光学走査装置10のコストを低減することができる。さらに、反射ミラー20の板厚方向寸法を増加させることが不要となるため、光学走査装置10を小型化できる。
さらにまた、反射ミラー20は片側2点(第2支持体30、調整スクリュー34)、他方1点(第1支持体28)で支持され、規制部材38を1点支持(第1支持体28)側に設置したので、反射ミラー20の撓み振動の他、反射ミラー20のねじれによる回転振動(図24、矢印B参照)も抑制でき、一層良好な画質を得ることができる。なお、回転振動は円筒反射鏡を本発明に適用する場合に特に有効である。反射ミラー20のねじれによる回転振動を特段気にしない場合は、二点支持(第1支持体30、調整スクリュー34)側を規制部材38で規制する構成でも良い。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る光学走査装置について図5を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と異なる部分のみ説明し、他の部分の説明は省略する。
反射ミラー20の裏面20Bを押圧する板バネ36Aは、図5(A)〜(C)に示すように板体をV字型に折り返された形状になっており、折り返された一端側でハウジング22への取付用の取付部40と、他端側で反射ミラー20を支持する支持部42と、取付部40と支持部42の間で両者を弾性的に接続する弾性部(折り返し部分)44とから構成される。支持部42には、反射ミラー20の裏面20Bに当接される突起46A、46Bが弾性部44に沿って所定距離離間して形成されている。
また、板バネ36Aの弾性部44が反射ミラー20の長手方向と平行になるように板バネ36Aがハウジング22に固着されている。この結果、図5(B)、図5(C)に示すように、板バネ36Aの突起46A、46Bも反射ミラー20の長手方向において、第1支持体28が反射面20Aを支持する位置から長手方向両側に距離xだけ離間(オフセット)した位置で反射ミラー20の裏面20Bを押圧することになる。
なお、図5(B)、図5(C)に示すように、弾性部材36Bも同様の構成である。
このように構成された光学走査装置の作用について説明する。
図5(D)に示すように、従来、板バネ36A、36Bは、反射ミラー20の長手方向両端部で支持体28、30と対向する位置を押圧していたため、二点鎖線で示すように反射ミラー20の振幅が大きかった。これに対して本実施形態では、反射ミラー20の反射面20Aを支持体28、30が支持する位置を挟んで長手方向両側に距離xだけオフセットした位置で突起46A、46Bによって反射ミラー20の裏面20Bを押圧している(図5(B)、(C)参照)。このように裏面20Bを押圧することによって、両方向(±y方向)の振動を確実に抑制することができる。すなわち、図5(D)に示すように、反射ミラー20のy方向の変位は突起46Aによって抑制され、−y方向の変位は突起46Bによって抑制される。この結果、従来支持体28、30に対向する位置(1点)で押圧して二点鎖線のように振動していた撓み振動を破線のように抑制できる。また、反射ミラー20の固有振動数を高域に移動できる。
なお、図27(B)に示す従来例において、板バネ368A、368Bを、それぞれ反射ミラー362の長手方向中央側にずらして、当接部370、372の反射ミラー362の裏面362Bに対する当接位置を支持部材364A、364Bの支持位置を挟んだ位置とすれば本実施形態に近い構成になるが、当接部370、372が反射ミラー362の撓みに対してそれぞれ独立して動くので上述の緩衝作用を十分に発揮することができない。
これに対して本実施形態では、突起46A、46Bが1枚の支持部42上に形成されているため、反射ミラー20が撓もうとすると、板バネ36A、36Bの支持部42がねじれようとするが、反射面20Aと平行に配置された弾性部44がねじれを阻止するため、振動を効果的に抑制できる。
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態に係る光学走査装置について図6を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と異なる部分のみ説明し、他の部分の説明は省略する。
本実施形態では、規制部材38Aの形状が第1実施形態と異なる。すなわち、図6(A)に示すように、反射ミラー20の端面20Cに当接する規制部材38Aの面に断面三角形で長手方向に延在する突起(以下、鋭利部という)50A、50Bが形成されている。
したがって、図4(A)、(B)に示すように、反射ミラー20を長手方向にスライドさせて規制部材38Aに押圧すると、反射ミラー20の端面20Cと反射面20Aのなす角部(稜線)52、および端面20Cと裏面20Bがなす角部(稜線)54が規制部材38Aの鋭利部50A、50Bの一部を破壊して食い込む(破壊して食い込んだ位置を食い込み部56Aという)。なお、破壊された鋭利部50A、50Bは、エアーで清掃して除去する。
本実施形態の光学走査装置では、このようにして反射ミラー20の長手方向一端(端面20C)を規制部材38Aに対して固定しているため、電子写真装置の各部の振動のみならず、特に、輸送時の異常な外的衝撃に対しても、反射ミラー20の位置を安定して保つことができる。
変形例を図7に示す。ハウジング22の深さが深く、鋭利部に抜き勾配を要する場合に好適である。
規制部材38Bは三角錐形状であり、断面三角形の頂点である鋭利部50Bが上側に向かって抜き勾配を有するように形成されている。規制部材38Bと平行に配置される規制部材30Cも三角錐形状であるが、断面三角形の頂点である鋭利部50Cが下側に向かって抜き勾配を有するように形成されている。なお、鋭利部50Cの下側ハウジング面には、図示しない金型抜き穴が形成されている。
このように構成された規制部材38B、38Cに対して反射ミラー20を長手方向にスライドさせて端面20Cを押しつけることによって、図7(B)〜(D)に示すように、反射ミラー20の角部52が規制部材38Cの鋭利部50Cに、角部54が鋭利部50Bに押し付けられる。この結果、図7(D)に示すように、角部52によって鋭利部50Cに食い込み部56Cができ、角部54によって鋭利部50Bに食い込み部56Bができる。この場合も、反射ミラー20の端面20C、すなわち長手方向一端の動きを固定状態にできる。
(第4実施形態)
続いて、本発明の第4実施形態に係る光学走査装置について図8を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と異なる部分のみ説明し、他の部分の説明は省略する。
本実施形態では、図8に示すように、反射ミラー20の長手方向において規制部材と反対側の端面20Dにハウジング22に固着された押圧部材60の直立面61に形成された押圧突起62が当接して反射ミラー20を規制部材38(他端)側に押圧するように配設される。
また、第1実施形態と異なる構成として、ミラー角度調整機構が省かれ、第1支持体30Bの支持部64、66が反射ミラー20の短手方向に所定距離離間されて2個所形成されている。この支持部64、66に反射面20Aが支持されることにより、反射ミラー20の角度が決定される。
このように角度調整機構を持たない反射ミラー20においても本発明は有効である。また、反射ミラー20の端面20Dを押圧部材60の押圧突起62で押圧する(押圧力P1を作用させる)ことによって、図8(B)において実線から破線の変化で示すように、反射ミラー20の断面を微妙ではあるが変化させる(厚さt→t1)ことができる。この結果、反射ミラー20の断面積が増加して断面2次モーメントが増加する。したがって、反射ミラー20の固有振動数をさらに高域に移動でき、特に、輸送時の異常な外的衝撃に対しても、反射ミラー20の位置を安定して保持することができる。
押圧部材60は、取付時に反射ミラー20の長さ方向の寸法公差を吸収可能で上記作用を達成できるものであれば良く、たとえば弾性体、板金製のブラケット、図10に示す押圧部材60Bの形状でプラスチック製のものでもよい。
(第5実施形態)
続いて、本発明の第5実施形態に係る光学走査装置について図9、図10を参照して説明する。なお、第4実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、第4実施形態と異なる部分のみ説明し、他の部分の説明は省略する。
第4実施形態と異なる構成は、図9(A)のように、押圧部材60Aの直立面61にネジ孔68が形成され、反射ミラー20の端面20Dを押圧する調整スクリュー70がネジ孔68に螺入されている。
このように構成したため、調整スクリュー70のネジ孔68に対する螺入量を調整することで反射ミラー20に対する押圧力P2(図9(B)参照)を変化させ、反射ミラー20の断面積(厚さt2)、断面2次モーメントを微調整する。すなわち、反射ミラー20の固有振動数を微調整することができる。また、調整スクリュー70の螺入量を調整することによって反射ミラー20の長手方向の公差を吸収できる。
図10は図9の変形例を示す。押圧部材60Bの直立面61を反射ミラー20の端面20Dに直接当接させる構成としたものであり、押圧部材60Bの基礎部72に長孔74が形成され、長孔74に挿入されたスクリュー76がハウジング22の図示しないネジ孔に螺入されて押圧部材60Bをハウジング22に固定可能とされている。すなわち、長孔74に沿って押圧部材60Bを移動調整可能に構成したものである。
なお、押圧部材60Bの形状は特に限定されるものではなく、プラスチック製で特に、反射ミラー20の端面20Dに対する当接部分を図8に示す押圧突起62のように形成しても良いし、規制部材38(図2参照)、38A(図6参照)、38B、38C(図7参照)の形状にしても良い。
(第6実施形態)
続いて、本発明の第6実施形態に係る光学走査装置について図11(A)、(B)を参照して説明する。なお、第5実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、第5実施形態と異なる部分のみ説明し、他の部分の説明は省略する。
第5実施形態と異なる構成は、図11(A)、(B)に示すように押圧部材60Cは、ハウジング22の壁面に形成されたネジ孔80に螺入された調整スクリュー70Aから構成されている。ハウジング22の外部に位置する調整スクリュー70Aの一端には、オペレータが外部から押圧力を調整できるように調整ダイアル82が形成されている。また、ハウジング22の壁面において調整ダイアル82の周囲には、調整量の目安として目盛84が形成されている。
したがって、オペレータがハウジング22の図示しないカバーを開くことなく、調整ダイアル82を目盛84にしたがって回転させることにより、調整スクリュー70Aによる反射ミラー20に対する押圧力を簡単に精度良く調整できる。
ところで、第5実施形態および本実施形態のように調整可能であると、反射ミラー20を走査線法線方向に歪ませて、被走査体上での光ビームが湾曲(BOW)するおそれがある。しかしながら、第5実施形態の場合には光学走査装置調整時にBOWのスペック範囲内で調整すれば良いし、本実施形態の場合には調整ダイアル82の調整範囲を決めておけばよい。例えば、光学走査装置調整時に調整スクリュー70Aを端面20Dに接触させた状態で出荷する。それを電子写真装置に組み込み、反射ミラー20の固有振動数を移動させたい場合、調整範囲をハウジングの目盛り84の数で決めておけば良い。このように押圧部材60Cを光学走査装置の外部から調整可能としたことで、反射ミラー20の固有振動数の微調整、特に、電子写真装置の加振源の個々のバラツキに対応して調整することができる。したがって、電子写真装置の加振源の製造要求基準を緩和できるので、加振源のコストを低減できる。
(第7実施形態)
さらに、本発明の第7実施形態に係る光学走査装置について図12、図13を参照して説明する。なお、第1〜第6実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
電子写真装置90は、図12に示すように、光学走査装置92から黒、シアン、マゼンダ、イエローの各記録色の光ビームLK、LC、LM、LY(以下LK〜LY。他の参照番号も同様)を被走査体96K〜96Yに対して出射する構成である。被走査体96K〜96Yでは、光ビームLK〜LYによって、静電潜像が形成され、光ビームLK〜LYによって露光された部分にそれぞれの画像信号に対応する色のトナー像が形成される。それぞれの被走査体96K〜96Yに形成された各トナー像は、矢印A方向に定速で搬送される中間転写ベルト98上で重ね合わせられて転写された後、搬送される用紙100上に転写される。トナー像が転写された用紙100は、図示しない定着装置によってトナー像が定着され、図示しない排紙トレーに排出される。この電子写真装置90に用いられる光学走査装置92について図13を参照して説明する。図13は光学走査装置の斜視図でカバー102を外した状態である。光学走査装置92は被走査体96K〜96Yに対して光ビームLK〜LYを走査露光するためにカバー102によって外部から遮蔽されたハウジング22Aの内部に光学部品が配置されて構成されている。すなわち、光学走査装置92は、図示しない画像処理部より出力される黒(K)シアン(C)マゼンダ(M)イエロー(Y)の各記録情報信号に応じて光ビームLK〜LYをポリゴンミラー14に入射して偏向させ、図示しない開口部から被走査体96K〜96Yに対して露光可能なようにハウジング22Aに光学部品を配置したものである。構成の詳細を光ビームLMの光路に沿って説明する。光源104Mから出射された光ビームLMは、図12に示すように、コリメーターレンズ106Mを透過してゆるい発散光にされ、シリンダーレンズ108Mを透過して小ミラー110YMによって反射され、副走査方向に絞られてポリゴンミラー14に入射する。ポリゴンミラー14によって反射された光ビームLMは結像光学系であるfθレンズ112YMを透過し、中ミラー114Mを反射後、大ミラー118Mの下側を通過しシリンダーミラー116Mで反射後、大ミラー118Mで反射されて被走査体96Mを露光する。シリンダーミラー116Mの反射面は、副走査方向にR面を構成し、ポリゴンミラー14の面倒れが生じても、副走査方向への走査線ずれが生じない働きをする。なお、光ビームLYの光路上には、シリンダーレンズ108Yと小ミラー110YMの間にもう一枚小ミラー109Yが挿入されている。光ビームLKの光路上にも同様の配置がなされている。
また、このようなトナー像を重ねてカラー画像を形成するタンデム構成の光学走査装置92は、図14(A)、(B)に示すように、SKEW補正、BOW補正(二点鎖線の画像位置を実線の画像位置に補正)する機構を設ける。SKEW補正は、図13に示すスキュー補正機構120K〜120Yでシリンダーミラー116K〜116Yをスキュー補正機構側と反対側の端部を基準にスキュー補正機構120K〜120Y内の図示しないカム機構で行なわれる。例えば、スキュー補正機構120Yによる調整によって、図12のシリンダミラー116Yの二点鎖線位置を実線位置に移動させてスキュー補正が行なわれる。
次に、BOW調整機構を備えた大ミラー118K〜118Y(4本ある中から代表して大ミラー118M)について図12〜図17を用いて説明する。図15は図13の矢視イの部分破断図である。図16は図15の矢視ウの規制部材を削除した図である。
大ミラー118Mは、図15に示すように、反射面122Mの一端側を第1支持体124Mの2個所の支持部126、128で、他端側を第2支持体130Mの1個の支持部132で支持されていると共に、裏面134Mを板バネ36A、36Bによって支持部126、128、132側に押圧されている。このように3個の支持部126、128、132に反射面122Mが支持されることによって、大ミラー118M(反射面122M)の角度が規定されている。第1支持体124M側にはBOW調整機構が設けられており、ハウジング22Aに形成された傾斜面135Mに略平行にアングル部材136Mが配設されている。図16に示すように、アングル部材136Mの傾斜面138Mには半球型の凸部140Mが形成されており、凸部140Mが大ミラー118Mの裏面134Mを支持している。なお、アングル部材136Mの傾斜面138Mにはネジ部142Mが形成され、調整スクリュー144Mを回転させることによって、アングル部材136Mの傾斜面138Mと傾斜面135Mとの距離が調整され、第1支持体124Mに2点支持された大ミラー118Mの裏面134Mに対する凸部140Mの押圧量が増減可能とされている。したがって、第1支持体124Mに2点支持された大ミラー118Mの曲げ量を変化させて、図14(B)に示すように、BOWを二点鎖線位置から実線位置に補正するものである。
一方、ハウジング22Aには、図17に示すように、大ミラー118Mの長手方向一端の端面端面146Mと当接する規制部材38が一体に設けられている。BOW補正する(調整スクリュー144Mを回転させる)ときは、図4(A)のように、規制部材38と反射ミラー端面146を離間させておく(クリアランスC)。調整スクリュー144で調整後、図4(B)に示すように大ミラー118Mを長手方向(規制部材38側)にスライドさせ、規制部材38と大ミラー118Mの端面146Mを当接させる。大ミラー118Mの反射面122Mを3点で支持しているので、調整後のスライドによって被走査体18上の走査位置が所望位置から狂うことはない。
このように構成することにより、第1実施形態と同様に、規制部材38が大ミラー118Mの端面146Mの動きを規制して固定するため、たわみ振動を抑制でき、形成される画質を向上させることができる。
また、第1実施形態と同様に、大ミラー118Mの長手方向において、支持部126、128の反射面122Mの支持位置から端面146Mまでの距離をαとし、支持部130Mの反射面122Mの支持位置から大ミラー118Mの端面146Mと反対側の端面148Mまでの距離をβとしたとき、β<αの関係になっているので、ハリの固定状態に一層近づく。この結果、大ミラー118Mの固有振動数をより高域に移動できる。
特に、最終反射ミラーである大ミラー118Mに適用することによって、大ミラー118Mの走査領域の走査方向と直交方向(以下、上下方向という場合がある)に光ビームの光路を形成する形成することができ、光学走査装置内の光路をコンパクトにすることができる。しかも、大ミラー118Mのように走査領域(ミラー長さ)が最も長い場合であっても、ミラーを厚くしたり質量の増加を図ることなく振動を抑制できるため、大ミラー118Mの軽量化(重量化の阻止)も達成することができる。
このように構成された大ミラー118Mの固有振動数の測定結果を図18に示す。大ミラー118Mは長さ310mm、幅16mm、厚さ8mmで裏面134Mの走査方向角部を1個所長さ310mmに渡ってC3面取りを施していて、図15でいうα=30mm、β=5mmである。図18(A)は図4(A)の状態でクリアランスCは0.5mmである。図4(A)の状態では、図18(A)に示すように、大ミラー118Mの固有振動数は276.9Hzであるが、本実施形態の構成の場合は、図18(B)に示すように、大ミラー118Mの固有振動数が315.9Hzと、本構成によって大ミラー118Mの固有振動数が約40Hzほど高域に移動したことが確認された。
なお、この例では、大ミラー118Mを支持する支持体は片側2点(第1支持体124M)、他方1点(第2支持体130M)で構成したが、第1支持体124Mと第2支持体130Mを逆にしても良い。一点支持側を規制部材側にすると反射部材の撓み振動の他、反射ミラーのねじれによる回転振動を抑制するので、さらに良好な画質を得ることができる。この回転振動は円筒反射鏡を本発明に適用する場合に特に有効である。また、板バネ36A、36Bに、第2実施形態(図5(A)〜(C))に示した一対の突起46A、46Bを有するものを適用しても良い。
(第8実施形態)
さらに、本発明の第8実施形態に係る光学走査装置について図18、図19を参照して説明する。なお、第7実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
本実施形態では、第7実施形態の規制部材38に換えて第3実施形態で説明した規制部材38Aを用いたものである。すなわち、図19のように、大ミラー118Mの端面146Mの動きを規制する規制部材38Aに鋭利部50A、50Bを設けている。したがって、図4(A)→(B)に従って、大ミラー118Mを長手方向にスライドさせると、この鋭利部50A、50Bと大ミラー118Mの端面146Mと反射面122Mとの角部(稜線)150および端面146Mと裏面134Mとの角部(稜線)152が、規制部材38Aの鋭利部50A、50Bに突入し、鋭利部50A、50Bの一部を破壊して食い込み部56B、56Cを形成し、反射ミラーの端面146Mを固定状態にする。したがって、電子写真装置の各部の振動のみならず、輸送時の異常な外的衝撃に対しても、大ミラー118Mの位置を安定して保つことができる。
図20は図19の変形例であって、規制部材38Aに換えて図7に示した規制部材38B、38Cを適用したものである。
図20(B)〜(D)に示すように、反射面122Mと端面146Mとの角部150Mは鋭利部50Cに、裏面134Mと端面146Mとの角部152Mは鋭利部50Bに当接する。この結果、角部150に対して鋭利部50Cに食い込み部56Cが、角部152に対して鋭利部50Bに食い込み部56Bが形成される。したがって、反射ミラーの端面146Mの動きを固定状態にする。
なお、この第7、第8実施形態には、第4実施形態に示した押圧部材で規制部材と反対側の端面を押圧する構成を適用することができる。押圧部材で大ミラー118Mの端面148Mを規制部材側に押圧することで、大ミラー118Mの断面2次モーメントを増加させて固有振動数をさらに高域に移動させることができる。したがって、輸送時の異常な外的衝撃に対しても、反射部材の位置を安定して保つことができる。押圧部材は、取付時に反射ミラーの長さ方向の寸法公差を吸収できる構造をもつという条件で上記の作用がなされるものであれば良く、たとえば弾性体、板金製のブラケット、図10に示すような形状でプラスチック製のものでもよい。
また、第7実施形態において、大ミラー118の端面148Mを図8に示す押圧部材60で規制部材38側に2kgfの押圧力を与えたときの大ミラー118Mの測定結果を図18(C)に示す。この場合には、大ミラー118Mの固有振動数は324.4Hzとなり、規制部材に当接させたのみの場合(図18(B))より固有振動数をさらに高域に移動できることが確認された。
また、第7、第8実施形態には、第5実施形態(図9参照)のように、押圧部材に調整スクリューを設けて押圧力を調整可能な構成としても良い。このように構成することによって、大ミラー118Mの固有振動数を微調整することができる。また、反射ミラーの長さ方向公差を吸収できる。同様に図10に示すように、押圧部材に長孔を設け、押圧部材自体を移動調整可能にしたものでもよい。
なお、押圧部材の大ミラー118Mの端面148Mに対する当接部分の形状は、プラスチック製で特に、図8に示す押圧突起62のようにしても良いし、規制部材38(図17参照)、38A(図19参照)、38B、38C(図20参照)の形状としても良い。
また、第7、第8実施形態は、第6実施形態のように押圧部材を調整ダイヤルによってハウジングの外側から押圧調整できるようにしても良い。このように押圧部材60dを光学走査装置の外部から調整可能としたことで、大ミラー118Mの固有振動数の微調整、特に、電子写真装置の加振源の個々のバラツキに対して調整することができる。したがって、電子写真装置の加振源の製造要求基準を緩和できるので、加振源の製造コストを低減できる。また、第7、第8実施形態は、BOW調整機構を備えた構成であるが、実施例1のように、ミラー角度調整機構を有する反射ミラーや、ミラー角度調整機構を有しないものでも効果を奏する。
ところで、前述の第1実施形態〜第8実施形態の構成に加え、規制部材または押圧部材)の少なくとも一方と反射ミラーの端面の少なくとも一方を接着して反射ミラーの端面の少なくとも一方の動きを固定状態にすることも考えられる。例えば、図4(C)に示すように、反射ミラー20の端面を規制部材38からオフセットした状態において、規制部材38の反射ミラー20に対する当接面に接着剤160を付着しておき、角度調整などを行なった後に反射ミラー20を長手方向(規制部材側)にスライドさせることによって、図4(D)に示すように、反射ミラー20の端面20Cが規制部材38の当接面に接着剤160によって固着される。この結果、反射ミラー20の端面20Cが固定状態となって、反射ミラー20の固有振動数をさらに高域に移動でき、特に、輸送時の異常な外的衝撃に対しても、反射ミラー20の位置を安定して保つことができる。また、従来例のように反射面の支持位置ではなく、反射面20Aの光ビーム走査領域から離れた反射ミラー20の端面20Dに接着するので、接着剤160を塗布するとき、反射ミラー20の走査領域に誤って、接着剤160を塗布してしまう危険がない。よって、作業時間の短縮が可能となり、光学走査装置のコストを低減することができる。
なお、第1実施形態〜第8実施形態における規制部材は、ハウジングと一体形成されたものであるが、反射ミラーの固有振動数移動作用がなされるという条件で、たとえば弾性体、板金製のブラケット、図10のような形状でプラスチック製のもの(当接部を図17の規制部材38、図19の規制部材38A、図20の規制部材38Cなど)や、光学走査装置のカバーに規制部材を設置しハウジングに連結固定するようにしてもよい。