JP2008133409A - 有色無機質粒子及びその製造方法 - Google Patents

有色無機質粒子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】建築材料、土木材料、プラスチック材料、設備機器等の分野で使用される着色骨材用である深みのある色彩を有する有色無機質粒子を提供する。
【解決手段】直径100μm以下の独立気泡を複数内包し、空隙率が1%〜50%である粒子内層部、透明性を有する粒子外層部からなることを特徴とする有色無機質粒子。および金属含有微粒子の凝集体を、粒子径0.1mm以上10mm以下で形成させ、該凝集体を200℃以上1500℃以下で熱処理して多孔質無機粒子を得る工程、得られた多孔質無機粒子の表面に、無機結合材を被覆する工程、を含むことを特徴とする有色無機質粒子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、深みのある色彩を有する有色無機質粒子に関するものである。
従来から、着色骨材は建築材料、土木材料、プラスチック材料、設備機器等の分野で、美観性を付与する目的で広範に用いられている。
一般に、着色骨材としては、天然石粒、または、珪砂、寒水石、マイカ、ガラスビーズ等の基体粒子に着色を施した加工粒子等が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2等)。
特公平7−116391号公報 特開平7−269062号公報
しかし、天然石粒は、天然由来のために、材料自体の色相にバラツキがあり、一部の光沢を有するものは大変高価である。一方、加工粒子は、色相は一定であるが、単調な色彩のものが多く、色彩に深みを付与するには限界があった。
本発明は、上述のような問題を解決するために、鋭意検討した結果、直径100μm以下の独立気泡を複数内包し、特定の空隙率を有する無機質粒子内層部、透明性を有する無機質粒子外層部からなる有色無機質粒子によって、深み、奥ゆきのある色彩を付与することに成功し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.直径100μm以下の独立気泡を複数内包し、空隙率が1%以上50%以下である粒子内層部、透明性を有する粒子外層部からなることを特徴とする有色無機質粒子。
2.粒子外層部の空隙率が、粒子内層部の空隙率に比べて小さいことを特徴とする1.に記載の有色無機質粒子。
3.粒子外層部の厚みが、該有色無機質粒子の厚みの0.1%以上30%以下であることを特徴とする1.または2.に記載の有色無機質粒子。
4.比重が0.5以上2.7以下の範囲であることを特徴とする1.から3.のいずれかに記載の有色無機質粒子。
5.粒子径が、0.1mm以上10mm以下であることを特徴とする1.から4.のいずれかに記載の有色無機質粒子。
6.粒子の厚みが0.1mm以上10mm以下、短径及び長径が0.1mm以上50mm以下であることを特徴とする1.から4.のいずれかに記載の扁平状有色無機質粒子。
7.粒子全体の空隙率が0.1%以上50%以下であることを特徴とする1.から6.のいずれかに記載の有色無機質粒子。
8.粒子内層部が、金属含有微粒子の凝集体に由来するものであることを特徴とする1.から7.のいずれかに記載の有色無機質粒子。
9.粒子内層部の独立気泡が、金属含有微粒子の凝集体の間隙に由来するものであることを特徴とする1.から8.のいずれかに記載の有色無機質粒子。
10.金属含有微粒子の凝集体を、粒子径0.1mm以上10mm以下で形成させ、該凝集体を200℃以上1500℃以下で熱処理して多孔質無機粒子を得る工程、得られた多孔質無機粒子の表面に、無機結合材を被覆する工程、を含むことを特徴とする1.から9.のいずれかに記載の有色無機質粒子の製造方法。
11.金属含有微粒子の凝集体を、粒子径0.1mm以上10mm以下で形成させ、該凝集体の表面に無機結合材を被着させ、200℃以上1500℃以下で熱処理することを特徴とする1.から9.のいずれかに記載の有色無機質粒子の製造方法。
12.金属含有微粒子の凝集体を、厚み0.1mm以上10mm以下、短径及び長径0.1mm以上50mm以下で形成させ、該凝集体を200℃以上1500℃以下で熱処理して多孔質無機粒子を得る工程、得られた多孔質無機粒子の表面に、無機結合材を被覆する工程、を含むことを特徴とする1.から9.のいずれかに記載の扁平状有色無機質粒子の製造方法。
13.金属含有微粒子の凝集体を、厚さ0.1mm以上10mm以下、粒子の短径及び長径0.1mm以上50mm以下で形成させ、該凝集体の表面に無機結合材を被着させ、200℃以上1500℃以下で熱処理することを特徴とする1.から9.のいずれかに記載の扁平状有色無機質粒子の製造方法。
本発明の有色無機質粒子は、深みのある色彩を有することを特徴とする。
また、本発明の有色無機質粒子は、比較的比重が小さく、軽量化を図ることができるため、例えば、建築材料、土木材料、プラスチック材料、設備機器等として用いた場合、基材へかかる重量負荷を低減することができ、脱落等を抑制することができる。また、輸送費用等のコストも低減することができる。
さらに、本発明の有色無機質粒子は、混合、攪拌しても破壊されにくい。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明の有色無機質粒子は、直径100μm以下の独立気泡を複数内包する粒子内層部、透明性を有する粒子最外層部からなることを特徴とする。
本発明では、粒子内層部に、複数の独立気泡が存在することにより、光の反射(乱反射)・屈折効果によって、粒子の色相を際立たせるとともに、深み、奥ゆきのある色彩を付与することができる。
このような粒子内層部の独立気泡の割合は、空隙率が体積比率で1%以上50%以下(好ましくは2%以上40%以下、さらには3%以上30%以下)である。このような範囲であることによって、色相を際立たせ、深みのある色彩を付与することができる。空隙率が1%より小さい場合、粒子内層部の透明性が高くなり、光の反射・屈折効果が得られにくく、単調な色彩となってしまう。空隙率が50%より大きい場合、粒子の強度が低下する。
また、粒子内層部の独立気泡が1個以下の場合、光の反射(乱反射)・屈折効果が得られにくく、単調な色彩となってしまう。
このような独立気泡の直径としては、特に限定されないが、100μm以下、さらには0.1μm以上80μm以下、さらには0.2μm以上50μm以下であることが好ましい。このような直径100μm以下の独立気泡が空隙率1%以上50%以下にて存在していれば、本発明の効果を損なわない程度に直径100μm超の独立気泡が存在していてもよい。但し、直径100μm超の独立気泡が多すぎる場合、光の反射・屈折効果が効果的に得られず、深みのある色彩が得られにくい。
粒子内層部の厚さは、粒子の厚みの40.0%以上99.8%以下(さらに50.0%以上99.0%以下)であることが好ましい。99.8%を超えると、粒子外層部の色相が不明瞭となり、強度にも劣るおそれがある。40.0%未満では、単調な色相となるおそれがある。なお、粒子の厚みとは、最も安定な姿勢で水平面に置かれた粒子を水平な面ではさんだときの面間隔である。
粒子内層部は、独立気泡を有するものであるが、本発明の効果を損なわない程度に、連通気泡が存在してもよい。但し、連通気泡が多すぎる場合、光の反射・屈折効果が効果的に得られず、深み、奥ゆきのある色彩が得られにくい場合が多く、粒子の強度も低下するおそれがある。
本発明の有色無機質粒子における粒子外層部は、透明性を有することを特徴とする。このような粒子外層部は、入射光を粒子内層部へと通過させやすく、また、粒子内層部または粒子内層表層部での反射光や屈折光を通過させることによって、粒子の色相を際立たせるとともに、深み、奥ゆきのある色彩を呈することができる。
このような粒子外層部の透明性としては、粒子内層部が視認できる程度であればよいが、具体的には、波長550nmの光に対する光透過率が、20%以上99%以下(さらには、30%以上98%以下)であることが好ましい。
なお、粒子外層部の光透過率は、外層部の剥離片を、分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−3100)で測定した値である。
さらに有色無機質粒子における粒子外層部は、粒子内層部に比べて独立気泡が少ないことが好ましい。粒子外層部は、粒子内層部に比べて独立気泡が少ないことにより、優れた強度を有している。よって、混合、攪拌したとしても、破壊されにくく、全体としては、軽量でありながら、優れた強度を有することができる。
具体的に粒子外層部の空隙率は、10%以下、さらには5%以下、さらには1%以下であることが好ましい。空隙率が10%を超えると、強度に劣る場合があり、透明性が低下し、色彩の深み、奥ゆき等の点でも不利である。
粒子外層部の厚みとしては、深みのある色彩を得ることができれば、特に限定されないが、有色無機質粒子の厚みの0.1%以上30%以下(さらには0.5%以上25%以下)であることが好ましい。0.1%より薄いと、粒子外層部の色相が得られにくく、強度も劣るおそれがある。30%より厚いと、単調な色相となるおそれがある。
有色無機質粒子の形状としては、例えば、球状や楕円状、りん片状、板状、円盤状、半球状、星型状、花弁状、リボン状、ヒトデ状、不定形状、多角板状、楕円板状等の扁平状、その他に、棒状、針状、紡錘状等があげられる。このうち、りん片状や板状等のような扁平状の場合、多彩感がより効果的に発現される。この場合、本発明の効果が得られる限り、必ずしも粒子外層部は、粒子内層部を完全に覆う必要はなく、粒子の表裏に設けられていればよい。
有色無機質粒子の粒子径は、球状の場合は、粒子径が0.1以上10mm以下、扁平状の場合は、厚さが0.1mm以上10mm以下、さらには0.5mm以上5mm以下であることが好ましい。このような粒子径または厚さであることにより、深みのある色彩が発現されやすい。粒子径または厚さが0.1mmより小さい場合、本発明有色無機質粒子の独特の深みのある色彩が効果的に発現されにくい。粒子径または厚さが10mmより大きい場合、それ単独で用いることはできるが、建築材料、土木材料、プラスチック材料、設備機器等の材料として扱いにくい。また、扁平状の短径及び長径は0.1mm以上50mm以下、さらには0.3mm以上30mm以下であることが好ましく、建築材料、土木材料、プラスチック材料、設備機器等として用いた場合、独特の色彩を奏でることができる。
本発明有色無機質粒子の比重は、使用する成分にもよるが、0.5以上2.7以下であることが好ましい。通常の独立気泡を有さない無機質粒子の比重は、2.0以上4.5以下程度であるが、本発明の有色無機質粒子は、独立気泡を有しているため、通常の独立気泡を有さない無機粒子に比べて、軽量となっている。
よって、軽量であるが故、建築材料、土木材料、プラスチック材料、設備機器等として用いた場合、基材へかかる重量負荷を低減することができ、脱落やずれ落ち等を抑制することができる。また、輸送費用等のコストも低減することができる。
なお、比重は、JIS Z 8807−1976 固体比重測定方法 「6.体積からの測定方法」に準じて測定した値である。
本発明有色無機質粒子の空隙率は、0.1%以上50%以下、さらには1%以上40%以下であることが好ましい。このような有色無機質粒子は、深み、奥ゆきのある色彩を発現するとともに、軽量でありながら、優れた強度を有することができる。
このような有色無機質粒子を構成する成分としては、特に限定されず、公知の材料を使用することができるが、例えば、チタン、アルミニウム、セリウム、ネオジウム、タングステン、バナジウム、鉛、亜鉛、ニッケル、ビスマス、スズ、スカンジウム等の金属元素、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウム、ヒ素、テルル等の半金属元素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム等のアルカリ土類金属等の金属、または、これら金属の酸化物、塩化物、硫化物、炭酸塩、珪酸塩、燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩およびこれらの複合物等を主成分とするもの等が挙げられる。
本発明は、光の反射(乱反射)・屈折効果によって、無機質粒子に色彩を付与するものであるが、必要に応じ、着色成分を加えて、無機質粒子を着色することもできる。
このような着色成分としては、例えば、金、白金、銀、鉄、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、クロム、チタン、亜鉛、バナジウム、ジルコニウム、アルミニウム、スズ、ネオジム、セリウム、エルビウム、プラセオジム、ホルミウム等の金属や金属コロイド等、あるいはこれら金属の酸化物、塩化物、硫化物、セレン化物、炭酸塩、珪酸塩、燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩およびこれらの複合物、また、燐、セレン等の非金属元素等が挙げられる。
このような着色成分は、粒子内層部及び/または粒子外層部に付与することができるが、本発明では、粒子外層部に付与することが好ましい。
また、本発明の有色無機質粒子は、粒子内部に本発明の粒子内層部、本発明の粒子内層部の外側に本発明の粒子外層部を有するものであれば特に限定されない。例えば、本発明の効果を損なわない程度であれば、粒子外層部の外側になんらかの保護層が積層されていてもよい。
保護層としては、例えば、耐水性、耐酸性、耐塩基性、耐光性、耐候性、耐摩耗性、抗菌性等の性能を付与することができ、保護層で用いる結合材としては、ガラス、水ガラス、低融点ガラス、シリコン樹脂、アルコキシシラン、シランカップリング材等の無機結合剤や、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等の有機結合剤等が挙げられ、必要に応じ、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、難燃剤、防虫剤、化学物質吸着剤、吸放湿性物質、香料、触媒、光触媒、蓄光剤、蛍光剤、光輝性顔料等の添加剤を混合することもできる。
なお、粒子径(厚み、長径、短径)、空隙率、独立気泡の直径、粒子外層部の厚みは、走査型電子顕微鏡(日本電子製:JSM5301LV)で観察し、算出した値である。
具体的に、独立気泡の直径、粒子外層部の厚みは、粒子の断面を、走査型電子顕微鏡(日本電子製:JSM5301LV)で観察した値であり、空隙率は、観察した顕微鏡写真における独立気泡の面積から算出した値である。但し、空隙率は、独立気泡の直径が0.1μm以上のものについて測定し、算出した値である。
このような有色無機質粒子は、例えば、複数の独立気泡を有する多孔質無機粒子の表面に、無機結合材を被覆し、透明性を有する粒子外層部を形成する方法によって得ることができる。
このような方法で用いる多孔質無機粒子としては、例えば、チタン、アルミニウム、セリウム、ネオジウム、タングステン、バナジウム、鉛、亜鉛、ニッケル、ビスマス、スズ、スカンジウム等の金属元素、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウム、ヒ素、テルル等の半金属元素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム等のアルカリ土類金属等の金属、または、これら金属の酸化物、塩化物、硫化物、炭酸塩、珪酸塩、燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩、およびこれらの複合物等を主成分とする多孔質無機粒子、あるいは天然、合成粘土鉱物等が挙げられる。
その形状は、例えば、球状や楕円状、りん片状、板状、円盤状、半球状、星型状、花弁状、リボン状、ヒトデ状、不定形状、多角板状、楕円板状等の扁平状、その他に、棒状、針状、紡錘状等があげられる。
多孔質無機粒子の粒子径は、球状の場合は、粒子径が0.1以上10mm以下、扁平状の場合は、厚さが0.1mm以上10mm以下、(好ましくは0.5mm以上5mm以下)、短径及び長径は0.1mm以上50mm以下、(好ましくは0.3mm以上30mm以下)程度のものが使用できる。
このような多孔質無機粒子は、例えば、上記金属、あるいは上記金属の酸化物、塩化物、硫化物、炭酸塩、珪酸塩、燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩、アルミン酸塩等の金属含有微粒子または金属含有溶液、金属アルコキシド等を、熱処理法、乾燥法、ゾルゲル法、水和硬化法、水熱合成法、気相法等の処理を施すことによって得ることができるし、市販品を用いることもできる。
熱処理法としては、通常200℃以上1500℃以下で熱処理することによって多孔質無機粒子を得ることができる。
例えば、熱処理法として、上記金属含有微粒子を用いる方法では、金属含有微粒子と、固着材、溶剤を混合し、金属含有微粒子の粒子凝集体を形成させ、該粒子凝集体を200℃以上1500℃以下で熱処理することにより得ることができる。さらに、金属含有微粒子、固着材、溶剤に加えて、融剤、硬化剤、酸化剤、還元剤、分散剤、錯化剤、着色成分等の添加剤を混合してもよい。また、該粒子凝集体の、形成方法としては、造粒法、滴下法、型枠成形法等があげられる。特に、滴下法及び型枠成形法が好ましい。さらに、必要に応じて形成した凝集体を破砕、切断することもできる。このように作製した粒子の形状は、例えば、球状や楕円状、りん片状、板状、円盤状、半球状、星型状、花弁状、リボン状、ヒトデ状、不定形状、多角板状、楕円板状等の扁平状、その他に、棒状、針状、紡錘状等があげられ、所望の形状に調整することができる。
このような金属含有微粒子を用いる方法では、粒子間隙に入り込んだ、固着材、溶剤等により独立気泡を生成する場合と、粒子凝集体の粒子間に存在する空孔等により独立気泡が生成される場合があり、金属含有微粒子の大きさや、固着材、溶剤等の添加剤を適宜選定することにより、所望の多孔質無機粒子を製造することができる。
金属含有微粒子の大きさとしては、粒子径が、200μm以下、さらには150μm以下、さらには100μm以下であることが好ましい。このような場合、粒子間の間隙等により独立気泡が生成しやすい。また、空隙率が高く、大きさ50μm以下の独立気泡が生成されやすい。また粒子凝集体の粒子径は、球状の場合は、粒子径が0.1以上10mm以下、扁平状の場合は、厚さが0.1mm以上10mm以下、(好ましくは0.5mm以上5mm以下)、短径及び長径は0.1mm以上50mm、以下(好ましくは0.3以上30mm以下)であることが好ましい。
処理温度は、通常200℃以上1500℃以下、さらには400℃以上1300℃以下で処理することが好ましく、処理時間は、通常1分から120以下分程度で処理することによって多孔質無機粒子を得ることができる。
固着材としては、例えば、澱粉、変性澱粉、カゼイン、大豆蛋白、セルロース誘導体、グァーガム、ガティガム、トラガントガム、キサンタンガム、プルラン、カシアガム、アラビノガラクタン、スクレロガム、カラギーナン、寒天、ローカストビーンガム、タラガム、アラビアガム、タマリンドガム、ジェランガム、寒天、ゼラチン、ペクチン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、アルギン酸、アルギン酸ソーダ、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
溶剤としては、例えば、水、アルコール類、ポリオール類、ケトン類、ポリエーテル類、エステル類、カルボン酸類、ポリカルボン酸類、セルロース類、糖類、スルホン酸類、アミノ酸類、アミン類等が挙げられ、本発明では特に、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、グルセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコール等を用いることが好ましい。
乾燥法では、例えば、上記金属含有溶液を用いる方法として、金属含有溶液と、必要に応じ、酸、溶剤、固着材、硬化剤、酸化剤、還元剤、錯化剤、触媒、着色成分等を混合して、通常20℃以上200℃以下の温度で処理することによって、多孔質無機粒子を得ることができる。また、処理時間は、選定した金属含有溶液等により適宜設定すればよく、通常1分〜24時間程度であればよい。
ゾルゲル法では、金属含有溶液、金属アルコキシド等に、必要に応じ、酸、溶剤、硬化剤、触媒、着色成分等を加えて形成された固体成分を乾燥させることによって、多孔質無機粒子を得ることができる。
無機結合材としては、無機結合剤、必要に応じ、着色成分等を混合したもの等が挙げられる。
無機結合剤としては、シリコン樹脂等、また、ガラス、水ガラス、低融点ガラス、シリコン樹脂、アルコキシシラン、シランカップリング材等が挙げられる。
その他、無機結合材には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、防虫剤、難燃剤、化学物質吸着剤、吸放湿性物質、香料、触媒、光触媒、蓄光剤、蛍光剤、光輝性顔料、増粘剤、有機結合剤等の成分を混合してもよい。
特に、本発明では、無機結合材として、ガラスや釉薬等を用いることが好ましい。
多孔質無機粒子に、無機結合材を被覆する方法としては、特に限定されないが、例えば、熱処理法、乾燥法、ゾルゲル法、蒸着法等の方法で処理することによって、被覆することができる。
熱処理法では、無機結合材を、多孔質無機粒子と混合し、200℃以上1500℃以下、さらに好ましくは400℃以上1300℃以下で熱処理することによって得ることができる。このような無機質材料としては、通常使用されている色ガラスや釉薬等を用いればよい。
乾燥法では、無機結合材を、多孔質無機粒子表面に被覆し、20℃以上200℃以下程度で乾燥、硬化させることによって得ることができる。
ゾルゲル法では、無機結合材を、多孔質無機粒子と混合し、常法により処理して得ることができる。
本発明では、製造のしやすさ、色彩の付与、及び得られる有色無機質粒子の強度等の観点から熱処理法で処理することが好ましい。
また、本発明では、多孔質無機粒子(粒子内層部)を製造する工程と、粒子外層部を製造する工程とを同時に処理することもできる。
例えば、熱処理法として、金属含有微粒子を用いる方法では、金属含有微粒子の凝集体を形成させ、該金属含有微粒子凝集体の表面に、無機結合材を被着させ、200℃以上1500℃以下で熱処理する方法等が挙げられる。
具体的に、まず、金属含有微粒子と、固着材、溶剤を混合し、金属含有微粒子の粒子凝集体を形成させる。ここでは、必要に応じ、融剤、硬化剤、酸化剤、還元剤、分散剤、錯化剤、着色成分等の添加剤を混合してもよい。
金属含有微粒子の大きさとしては、粒子径が、200μm以下、さらには150μm以下、さらには100μm以下であることが好ましい。このような場合、粒子間の間隙より独立気泡が生成しやすい。また、空隙率が高く、大きさ50μm以下の独立気泡が生成されやすい。
該粒子凝集体の、形成方法としては、造粒法、滴下法、型枠成形法等があげられる。特に、滴下法及び型枠成形法が好ましい。さらに、必要に応じて形成した凝集体をさらに破砕、切断することもできる。このように作製した粒子の形状は、例えば、球状や楕円状、りん片状、板状、円盤状、半球状、星型状、花弁状、リボン状、ヒトデ状、不定形状、多角板状、楕円板状等の扁平状、その他に 、棒状、針状、紡錘状等があげられ、所望の形状に調整することができる。粒子径としては、球状の場合は、粒子径が0.1以上10mm以下、扁平状の場合は、厚さが0.1mm以上10.0mm以下、(好ましくは0.5mm以上5mm以下)、短径及び長径は0.1mm以上50mm以下、(好ましくは0.3mm以上30mm以下)程度のものが好ましい。
次に、金属含有微粒子凝集体の表面に、無機結合材を被着させ、200℃以上1500℃以下で熱処理することによって、有色無機質粒子を得ることができる。処理温度は、通常200℃以上1500℃以下、さらに好ましくは400℃以上1300℃以下で処理することが好ましく、処理時間は、通常1分〜120分程度で処理することによって有色無機質粒子を得ることができる。
また、乾燥法として、金属含有溶液を用いる方法では、金属含有溶液と、必要に応じ、酸、溶剤、固着材、硬化剤、酸化剤、還元剤、錯化剤、触媒、着色成分等を混合して得られた前駆体に、さらに無機結合材を混合して、通常20℃以上200℃以下の温度で処理することによって、有色無機質粒子を得ることができる。また、処理時間は、選定した金属含有溶液等により適宜設定すればよく、通常1分〜24時間程度であればよい。
このような方法では、本発明有色無機質粒子の製造工程を短縮できるとともに、粒子内層部と、粒子外層部とがあいまって、より深みのある色彩を付与することができる。特に、熱処理法では、より強度に優れた有色無機質粒子を得ることができるため好ましい。
本発明の有色無機質粒子は、建築材料、土木材料、プラスチック材料、設備機器等の分野で使用することが可能であり、例えば塗料、舗装材、シート建材、プラスチック成形物等を構成する成分として用いることができる。また、本発明の有色無機質粒子は、その独特の色彩、強度に加えて、耐火性、防火性等にも優れており、このような性能が要求される材料にも使用することができる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
(実施例1)
ガラス粉(粒子径:15μm、空隙率:0%、比重2.7)50重量%とアルギン酸ナトリウム1重量%を含む水溶液を、5重量%の塩化カルシウムを含む溶液に滴下し、50℃で3時間乾燥させ、粒子径5.5mmの球状ガラス粒を得た。このガラス粒100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.6重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)55重量部、水20重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子1を得た。
得られた有色無機質粒子1は、粒子外層部が透明緑色を有する深み、奥ゆきのある色彩を示した。
有色無機質粒子1は、空隙率が9%(粒子内層部の空隙率:13%(平均サイズ2μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.3、平均粒子径が4.8mmであった。また、粒子外層部は、厚みが0.29mm(平均粒子径の6%)、光透過率は56%であった。
なお、平均粒子径、空隙率、独立気泡の直径、粒子外層部の厚みは、走査型電子顕微鏡(日本電子製:JSM5301LV)で測定した値である。
比重は、JIS Z 8807−1976 固体比重測定方法 「6.体積からの測定方法」(溶液:イソプロピルアルコール)に準じて測定した値である。
粒子外層部の光透過率は、外層部の剥離片を、分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−3100)で測定した値である。
<強度試験>
また、得られた有色無機質粒子1の強度を評価するため、得られた有色無機質粒子1を100個用意し、プレス機にて0.2kN/cmの加重を加え、10秒間加圧した。圧を取り除いた後、割れた粒子の数を求めることによって、その強度を評価した。その結果、有色無機質粒子1では、割れた粒子は5個未満であり、それ以外のものは初期の形状が保たれており、優れた強度を有していた。
(実施例2)
ガラス粉(粒子径:15μm、空隙率:0%、比重2.7)50重量%とアルギン酸ナトリウム1重量%を含む水溶液を、5重量%の塩化カルシウムを含む溶液に滴下し、50℃で3時間乾燥させ、粒子径5.5mmの球状ガラス粒を得た。このガラス粒100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.6重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)300重量部、水20重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子2を得た。
得られた有色無機質粒子2は、粒子外層部が透明緑色を有する深み、奥ゆきのある色彩を示した。
有色無機質粒子2は、空隙率が4%(粒子内層部の空隙率:13%(平均サイズ2μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.5、平均粒子径が5.0mmであった。また、粒子外層部は、厚みが1.0mm(平均粒子径の20%)、光透過率は36%であった。
また、有色無機質粒子2について、実施例1と同様の強度試験を行った結果、有色無機質粒子2は、割れた粒子は無く、全ての粒子の初期の形状が保たれており、優れた強度を有していた。
(実施例3)
ガラス粉(粒子径:15μm、空隙率:0%、比重2.7)50重量部と3号水ガラス溶液100重量部の混合溶液を、1Mの塩酸中に滴下し、50℃で3時間乾燥させて粒子径4.4mmの球状ガラス粒を得た。このガラス粒100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.6重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)40重量部、水20重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子3を得た。
得られた有色無機質粒子3は、粒子外層部が透明緑色を有する深み、奥ゆきのある色彩を示した。
有色無機質粒子3は、空隙率が8%(粒子内層部の空隙率:11%(平均サイズ4μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.4、平均粒子径が4mmであった。また、粒子外層部は、厚みが0.2mm(平均粒子径の5%)、光透過率は66%であった。
また、有色無機質粒子3について、実施例1と同様の強度試験を行った結果、有色無機質粒子3は、割れた粒子は無く、全ての粒子の初期の形状が保たれており、優れた強度を有していた。
(実施例4)
ガラス粉(粒子径:15μm、空隙率:0%、比重2.7)50重量%とアルギン酸ナトリウム1重量%を含む水溶液を、5重量%の塩化カルシウムを含む溶液に滴下し、50℃で3時間乾燥させ、粒子径5.5mmの球状ガラス粒を得た。このガラス粒100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.6重量部、透明性の青色釉薬(着色成分:酸化コバルト)25重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)30重量部、水20重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子4を得た。
得られた有色無機質粒子4は、粒子外層部が透明青緑色を有する深み、奥ゆきのある色彩を示した。
有色無機質粒子4は、空隙率が9%(粒子内層部の空隙率:13%(平均サイズ2μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.3、平均粒子径が4.8mmであった。また、粒子外層部は、厚みが0.29mm(平均粒子径の6%)、光透過率は56%であった。
また、有色無機質粒子4について、実施例1と同様の強度試験を行った結果、有色無機質粒子4は、割れた粒子は無く、全ての粒子の初期の形状が保たれており、優れた強度を有していた。
(実施例5)
ガラス粉(粒子径:15μm、空隙率:0%、比重2.7)50重量%とアルギン酸ナトリウム1重量%を含む水溶液を、5重量%の塩化カルシウムを含む溶液に滴下し、50℃で3時間乾燥させ、粒子径5.5mmの球状ガラス粒を得た。このガラス粒100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.6重量部、透明性の青色釉薬(着色成分:酸化コバルト)50重量部、水20重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子5を得た。
得られた有色無機質粒子5は、粒子外層部が透明青色を有する深み、奥ゆきのある色彩を示した。
有色無機質粒子5は、空隙率が10%(粒子内層部の空隙率:13%(平均サイズ2μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%、粒子内層部には直径(平均サイズ)2μmの複数の独立気泡有)、比重2.3、平均粒子径4.8mm、粒子外層部は、厚みが0.27mm(平均粒子径の6%)、光透過率は55%であった。
また、有色無機質粒子5について、実施例1と同様の強度試験を行った結果、有色無機質粒子5は、割れた粒子は無く、全ての粒子の初期の形状が保たれており、優れた強度を有していた。
(実施例6)
ガラス粉(粒子径:160μm、空隙率:0%、比重2.7)50重量%とアルギン酸ナトリウム1重量%を含む水溶液を、5重量%の塩化カルシウムを含む溶液に滴下し、50℃で3時間乾燥させ、粒子径6.5mmの球状ガラス粒を得た。このガラス粒100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.6重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)50重量部、水20重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子6を得た。
得られた有色無機質粒子6は、粒子外層部が透明緑色を有する深み、奥ゆきのある色彩を示した。
有色無機質粒子6は、空隙率が10%(粒子内層部の空隙率:15%(平均サイズ26μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.2、平均粒子径が4.9mmであった。また、粒子外層部は、厚みが0.3mm(平均粒子径の6%)、光透過率は54%であった。
また、有色無機質粒子6について、実施例1と同様の強度試験を行った結果、有色無機質粒子6は、割れた粒子は無く、全ての粒子の初期の形状が保たれており、優れた強度を有していた。
(実施例7)
酸化ケイ素100重量部(粒子径:5μm、空隙率:0%、比重2.2)、酸化アルミ40重量部(粒子径:5μm、空隙率:0%、比重4.0)、酸化鉄4重量部(粒子径:1μm、空隙率:0%、比重5.2)、炭酸カリウム8重量部(粒子径:3μm、空隙率:0%、比重2.3)、ベントナイト6重量部(粒子径:1μm、空隙率0%、比重3.5)、水100重量部を混錬し、5mmの球状粒子を成形した。得られた球状粒子100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.6重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)55重量部、水20重量部を混合し、1200℃で15分間焼成し、有色無機質粒子7を得た。
得られた有色無機質粒子7は、粒子外層部が透明緑色を有する深み、奥ゆきのある色彩を示した。
有色無機質粒子7は、空隙率が12%(粒子内層部の空隙率:19%(平均サイズ5μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.3、平均粒子径が4.2mmであった。また、粒子外層部は、厚みが0.3mm(平均粒子径の7%)、光透過率は54%であった。
また、有色無機質粒子7について、実施例1と同様の強度試験を行った結果、有色無機質粒子7は、割れた粒子は無く、全ての粒子の初期の形状が保たれており、優れた強度を有していた。
(実施例8)
テトラエトキシシラン100重量部に、エタノール45重量部、5M塩酸25重量部を混合して50℃で30分間撹拌し、50℃で2時間、続いて100℃で1時間乾燥させた後、200℃で1時間焼成し、粒子径2mm、空隙率40%(独立気泡35%、連通気泡65%)、比重1.3のシリカゲル粉末を得た。
得られたシリカゲル粉末100重量部と、カルボキシメチルセルロース1.5重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)200重量部、水150重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子8を得た。
得られた有色無機質粒子8は、粒子外層部が透明緑色を有する深みのある色彩を示した。
なお有色無機質粒子8は、空隙率が21%(粒子内層部の空隙率:40%(平均サイズ0.2μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.0、平均粒子径が2.4mmであった。粒子外層部は、厚みが0.24mm(平均粒子径の10%)、光透過率は59%であった。
また、有色無機質粒子8について、実施例1と同様の強度試験を行った結果、有色無機質粒子8は、割れた粒子は10個未満であり、それ以外のものは初期の形状が保たれており、優れた強度を有していた。
(実施例9)ガラス粉(粒子径:15μm、空隙率:0%、比重2.7)50重量%とアルギン酸ナトリウム1重量%を含む水溶液を、厚さ1mm、長径7mm、短径4mmの型枠に流し込み板状に成型後、5重量%の塩化カルシウムを含む溶液を噴霧し、50℃で3時間乾燥させ、りん片状ガラス粒子を得た。このガラス粒子100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.6重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)30重量部、水20重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子9を得た。
得られた有色無機質粒子9は、粒子外層部が透明緑色を有する深み、奥ゆきのある色彩を示した。
有色無機質粒子9は、空隙率が4%(粒子内層部の空隙率:13%(平均サイズ2μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.5、厚さ0.7mm、粒子長径が5.0mm、短径が3mmであった。また、粒子外層部は、厚みが0.1mm(厚さの14%)、光透過率は68%であった。
また、有色無機質粒子9について、実施例1と同様の強度試験を行った結果、有色無機質粒子9は、割れた粒子は無く、全ての粒子の初期の形状が保たれており、優れた強度を有していた。
(実施例10)酸化ケイ素100重量部(粒子径:5μm、空隙率:0%、比重2.2)、酸化アルミ40重量部(粒子径:5μm、空隙率:0%、比重4.0)、酸化鉄4重量部(粒子径:1μm、空隙率:0%、比重5.2)、炭酸カリウム8重量部(粒子径:3μm、空隙率:0%、比重2.3)、ベントナイト6重量部(粒子径:1μm、空隙率0%、比重3.5)、水300重量部を混合し、厚さ1.5mm、長径7mm、短径4mmの型枠に流し込み板状に成型後、50℃で3時間乾燥させ、りん片状粒子を得た。この粒子100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.6重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)50重量部、水20重量部を混合し、1200℃で15分間焼成し、有色無機質粒子10を得た。
得られた有色無機質粒子10は、粒子外層部が透明緑色を有する深み、奥ゆきのある色彩を示した。
有色無機質粒子10は、空隙率が12%(粒子内層部の空隙率:19%(平均サイズ5μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.3、厚さが0.8mm、粒子長径が5mm、短径が3mmであった。また、粒子外層部は、厚みが0.13mm(厚さの16%)、光透過率は67%であった。
また、有色無機質粒子10について、実施例1と同様の強度試験を行った結果、有色無機質粒子10は、割れた粒子は無く、全ての粒子の初期の形状が保たれており、優れた強度を有していた。
(比較例1)
透明ガラス粒子(粒子径:2mm、空隙率:0%、比重2.7)100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.3重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)35重量部、水30重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子11を得た。
得られた有色無機質粒子11は、単調で透明な緑色の色相を示していた。
なお有色無機質粒子11は、空隙率が1%(粒子内層部の空隙率:1%(平均サイズ5μmの独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.8、平均粒子径が2.2mmであった。また、粒子外層部は、厚みが0.1mm(平均粒子径の5%)、光透過率は60%であった。
また、有色無機質粒子11について、実施例1と同様の強度試験を行った結果、着色無機粒子11は、割れた粒子は無く、全ての粒子の初期の形状が保たれており、優れた強度を有していた。
(比較例2)
中空ガラス粒子(粒子径:1mm、空隙率85%、比重0.4)100重量部と、カルボキシメチルセルロース2重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)230重量部、水200重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子12を得た。
得られた有色無機質粒子12は、単調で透明な緑色の色相を示していた。
なお有色無機質粒子12は、空隙率が64%(粒子内層部の空隙率:85%(直径0.9mmの単一独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が1.0、平均粒子径1.1mmであった。また、粒子外層部は、厚みが0.05mm(平均粒子径の5%)、光透過率は60%であった。
また、得られた有色無機質粒子12について、実施例1と同様の強度試験を行った結果、着色無機粒子12は、70個の粒子が割れており、初期の形状は保持されていなかった。
(比較例3)
シリカゲル粒子(粒子径:2mm、空隙率40%(連通気泡100%)、比重1.4)100重量部と、カルボキシメチルセルロース1.5重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)180重量部、水150重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子13を得た。
得られた有色無機質粒子13は、単調で透明な緑色の色相を示していた。
なお有色無機質粒子13は、空隙率が21%(粒子内層部の空隙率:40%(連通気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.1、平均粒子径が2.4mmであった。また、粒子外層部は、厚みが0.24mm(平均粒子径の10%)、光透過率は45%であった。
また、有色無機質粒子13について、実施例1と同様の強度試験を行った結果、着色無機粒子13は、30個の粒子が割れており、初期の形状は保持されていなかった。

Claims (13)

  1. 直径100μm以下の独立気泡を複数内包し、空隙率が1%以上50%以下である粒子内層部、透明性を有する粒子外層部からなることを特徴とする有色無機質粒子。
  2. 粒子外層部の空隙率が、粒子内層部の空隙率に比べて小さいことを特徴とする請求項1に記載の有色無機質粒子。
  3. 粒子外層部の厚みが、有色無機質粒子の厚みの0.1%以上30%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有色無機質粒子。
  4. 比重が0.5以上2.7以下の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の有色無機質粒子。
  5. 粒子径が、0.1mm以上10mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の有色無機質粒子。
  6. 粒子の厚みが0.1mm以上10mm以下、短径及び長径が0.1mm以上50mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の扁平状有色無機質粒子。
  7. 粒子全体の空隙率が0.1%以上50%以下であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の有色無機質粒子。
  8. 粒子内層部が、金属含有微粒子の凝集体に由来するものであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の有色無機質粒子。
  9. 粒子内層部の独立気泡が、金属含有微粒子の凝集体の間隙に由来するものであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の有色無機質粒子。
  10. 金属含有微粒子の凝集体を、粒子径0.1mm以上10mm以下で形成させ、該凝集体を200℃以上1500℃以下で熱処理して多孔質無機粒子を得る工程、
    得られた多孔質無機粒子の表面に、無機結合材を被覆する工程、
    を含むことを特徴とする有色無機質粒子の製造方法。
  11. 金属含有微粒子の凝集体を、粒子径0.1mm以上10mm以下で形成させ、該凝集体の表面に無機結合材を被着させ、200℃以上1500℃以下で熱処理することを特徴とする有色無機質粒子の製造方法。
  12. 金属含有微粒子の凝集体を、厚み0.1mm以上10mm以下、短径及び長径0.1mm以上50mm以下で形成させ、該凝集体を200℃以上1500℃以下で熱処理して多孔質無機粒子を得る工程、
    得られた多孔質無機粒子の表面に、無機結合材を被覆する工程、
    を含むことを特徴とする扁平状有色無機質粒子の製造方法。
  13. 金属含有微粒子の凝集体を、厚さ0.1mm以上10mm以下、粒子の短径及び長径0.1mm以上50mm以下で形成させ、該凝集体の表面に無機結合材を被着させ、200℃以上1500℃以下で熱処理することを特徴とする扁平状有色無機質粒子の製造方法。
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