JP2008133380A - アクリル系エマルジョンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】未反応モノマーが少なく、かつ、経時粘度上昇の少ないアクリル系エマルジョンの製造方法、および前記製造方法により得られるアクリル系エマルジョンを提供することにある。
【解決手段】界面活性剤を使用してラジカル重合性モノマー(A)を水媒体中で乳化重合するアクリル系エマルジョンの製造方法であって、ラジカル重合性モノマー(A)の反応率が99.0%以上となった後にレドックス系重合触媒の還元剤を添加し、酸化剤を添加しないことを特徴とするアクリル系エマルジョンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、反応率に優れ、経時粘度上昇の少ないアクリル系エマルジョンの製造方法に関するものであり、前記製造方法により得られるアクリル系エマルジョンは、主として繊維加工用途、建築塗料用途、紙加工用途、粘着剤用途、接着剤用途に好ましく使用される。
従来からアクリル系エマルジョンは、水性塗料や水性インキ用などの各種コーティング剤、不織布用バインダ−などの繊維加工剤、紙加工用バインダ−、水性粘着剤、接着剤などの用途に使用されている。近年、環境面への配慮から水性化が急速に進み、従来溶剤系樹脂の使用されていた種々の用途にまで水性化品が拡大されつつある。そしてここ数年、環境面への影響がよりクローズアップされる状況下で、界面活性剤はノニルフェノールを原料とした種類のものから、非ノニルフェノール系界面活性剤に置き換わりつつある。また、シックハウス症候群など人体への影響の大きい物質のひとつであるホルマリンを発生する可能性のある原料の代替や、揮発性有機化合物について徐々に使用量が減少の方向(低VOC化)へと移行しているのが現状である。
また、水性アクリル系エマルジョンにおいては、臭気の低減に関する種々の検討も従来からなされている。臭気低減にはモノマーの反応率のアップが必須であり、主反応工程での重合触媒の増量や、熟成工程での重合触媒の添加及び増量、反応時間の延長などが一般的に実施されている。また装置面からは、減圧蒸留による未反応モノマーの除去なども試みられている。(特許文献1)
主反応工程での重合触媒量は目的とする物性への影響度が大きく、ある程度その使用量が限定される。また、アクリル系エマルジョンの乳化重合で採用されている公知の残留モノマー低減手法としては、モノマー滴下終了後の熟成工程中に、酸化剤と還元剤とを組合せたレドックス系重合触媒を添加する方法が一般的に行われている。そしてその酸化剤、および還元剤の使用量を増量したり、添加方法を工夫したりすることで反応率が向上し残存モノマー量が減少する傾向にはある。(特許文献2)
しかし、アクリル樹脂組成によっては、残存重合触媒の影響のため、反応終了後もしくは、製造後の保管中に経時で粘度上昇することが発生し、品質上大きな問題となる場合がしばしば見られる。この傾向は、特に、アクリル系エマルジョンから得られる硬化物に耐水性を付与するため、または、合成面での重合安定性、機械攪拌安定性や化学的安定性向上を目的に、従来、好ましく用いられている、アマイド系モノマーを含む場合に顕著に現れる。
アクリル系エマルジョンの粘度が経時的に上昇する理由として、主反応工程、あるいは、熟成工程中で使用した重合触媒成分の残存による影響が大きいと推測され、室温あるいは低温でも徐々に反応が継続し粘度上昇するものと考えられる。
このようなアクリル系エマルジョンの経時粘度の上昇を改善するために、エマルジョン粒子自体の安定性を向上させることが行われている。例えば、特定の界面活性剤を使用する方法(特許文献3)や、界面活性剤の添加方法を工夫する方法(特許文献4)が開示されている。しかし、これらの方法を用いても使用した重合触媒成分に起因すると推測される経時での粘度上昇は充分に解消されていないのが現状である。
特開2003−147016号公報 特表2001−516774号公報 特開平5−70510号公報 特開平7−233208号公報
本発明の課題は、未反応モノマーが少なく、かつ、経時粘度上昇の少ないアクリル系エマルジョンの製造方法、および前記製造方法により得られるアクリル系エマルジョンを提供することである。
すなわち、第1の発明は、界面活性剤を使用してラジカル重合性モノマーを水媒体中で乳化重合するアクリル系エマルジョンの製造方法であって、ラジカル重合性モノマーの反応率が、99.0%以上となった後にレドックス系重合触媒の還元剤を添加し、酸化剤を添加しないことを特徴とするアクリル系エマルジョンの製造方法に関する。
また、第2の発明は、ラジカル重合性モノマーが、アマイド系モノマーを0.1〜10重量%含有することを特徴とする第1の発明に記載のアクリル系エマルジョンの製造方法に関する。
また、第3の発明は、アマイド系モノマーが、(メタ)アクリルアマイドであることを特徴とする第2の発明に記載のアクリル系エマルジョンの製造方法に関する。
また、第4の発明は、レドックス系重合触媒の還元剤が、無機塩であることを特徴とする第1ないし第3の発明いずれかに記載のアクリル系エマルジョンの製造方法に関する。
また、第5の発明は、レドックス系重合触媒の還元剤が、メタ重亜硫酸ソーダであることを特徴とする第1ないし第4いずれかの発明に記載のアクリル系エマルジョンの製造方法に関する。
さらに、本発明は、第1ないし第5いずれかの発明に記載の製造方法により得られるアクリル系エマルジョンに関する。
本発明によれば、反応率が高くモノマー臭気の少ない、かつ、経時粘度上昇の少ない水性アクリル系エマルジョンを得ることができる。さらにこの水性アクリル系エマルジョンは重合安定性をはじめ各種安定性にすぐれ、得られる乾燥皮膜の耐水性も良好で、繊維用、建築塗料用樹脂、その他の各種用途樹脂としても有用である。
本発明は、界面活性剤を使用し水媒体中でラジカル重合性モノマーを乳化重合する合成方法において、実質的に反応終了後に、レドックス系重合触媒の還元剤のみを添加し、酸化剤を添加しないことを特徴とする、経時粘度上昇の少ないアクリル系エマルジョンの製造方法である。なお、ここでいう「実質的に反応終了後」とは、ラジカル重合性モノマーの反応率が99.0%以上となったことを意味するものとする。
工業的に合成されるエマルジョンは、一般的に反応熱の制御、反応釜の汚れなど生産性の点から、ラジカル重合性モノマー、あるいは界面活性剤を含んだモノマープレエマルジョンを滴下する滴下工程と、滴下終了後に未反応モノマーの反応率を向上させる熟成工程と呼ばれている工程とに分けられる。滴下工程は主反応工程とも呼ばれ、この段階で使用する重合触媒の使用量は反応率向上への効果が大きいが、得られる樹脂の分子量への寄与も大きく、目的とする要求物性に応じてその使用量はある程度限定される。また、主反応工程だけで重合を終了した場合、反応系中に残存する未反応モノマー量が多く、実用上、不適切な場合が多い。そこで、滴下工程の後の熟成工程で、未反応モノマーの反応率をあげる所作をおこなうのが一般的である。また上記で、滴下工程をとらずに、反応釜に全量モノマーを仕込んで反応させるいわゆるバッチ一括反応方式もあるが、この場合でも未反応モノマーの反応率を向上させるために熟成工程があるのが通常である。
熟成工程で使用される重合触媒量は、主反応工程で使用する場合と比較して、得られる樹脂の分子量への影響度はそれほど大きくない。そこで反応率の向上を目的として、熟成工程での重合触媒量を増量して未反応モノマーを少なくすることもよく行われている。熟成工程で使用する重合触媒は、主反応工程で使用する重合触媒と同一であってもよく、あるいは熟成工程用に、異なる種類の重合触媒を使用してもどちらでもかまわない。現在、工業的には、主反応工程と熟成工程とで異なった種類の重合触媒を使用するのが一般的であり、熟成工程では酸化剤と還元剤とからなるレドックス系重合触媒の使用が一般的である。
レドックス系重合触媒の酸化剤、還元剤としては次のような物質が使用される。まず、酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの無機系過酸化物や、過酸化水素水、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物が挙げられる。
また、還元剤としては メタ重亜硫酸ソーダ、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の無機塩や、エリソルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、チオ尿素、二酸化チオ尿素などが上記の酸化剤と組み合わされて使用される。
これらの中で 特に熟成工程で使用される重合触媒としては、t−ブチルハイドロパーオキサイドとエリソルビン酸塩とのレドックス系重合触媒の組合せが反応率向上には良好であるが、経時での粘度上昇があるのが欠点である。その使用量などの調整で、経時粘度上昇を少なくする事はある程度可能にはなるが、根本的に粘度上昇を抑制することはできていないのが実情である。
そこで鋭意検討の結果、乳化重合の最終熟成工程でレドックス系重合触媒の還元剤のみを使用し、酸化剤を使用しないことによりエマルジョンの粘度上昇が抑制されることを見出した。すなわち、粘度上昇を抑制するために、ラジカル重合性モノマーの反応率が99.0%以上となった後の乳化重合の熟成工程中に、レドックス系重合触媒の還元剤のみを使用することでエマルジョンの粘度上昇が抑制されることを見出した。さらに、ラジカル重合性モノマーの反応率は、99.5%以上となった後であることがより好ましい。
反応率が99.0%以上となった後の熟成工程で使用できる還元剤としては、特にその種類は問わず、前記で例示した還元剤を使用することができる。本発明では、その反応性から無機塩であることが好ましく、その中でもメタ重亜硫酸ソーダが比較的反応が早く、残留酸化剤の作用をなくしてしまう効果に優れているため、より好ましい。反応率が99.0%未満の段階では、未反応モノマーが多すぎて、樹脂として目標の品質が得られないし、この段階での還元剤のみ単独添加では反応率の高い樹脂は得られない。なお、ラジカル重合性モノマーの反応率は、反応液の不揮発分の測定値から算出することができる。
酸化剤を併用せずに還元剤を添加する時期としては、熟成工程の中でも後の方の段階であることが好ましい。なお、本発明においては、熟成工程においては重合触媒の添加を複数回おこなってもよく、この場合、最後に重合触媒を添加する工程を「最終熟成工程」と称する。本発明は、この最終熟成工程で還元剤のみを添加することを特徴とする。最終熟成工程以前の熟成工程おいては、酸化剤と還元剤との組み合わせからなるレドックス系重合触媒を添加することもできる。また、添加時の温度としては、主反応の反応温度である50〜95℃で添加してもよいし、冷却しながらの30〜50℃でもかまわない。好ましくは、50〜70℃の温度範囲が最も効果がある。
最終熟成工程での還元剤の使用量は、使用するラジカル重合性モノマーに対して、0.001重量%〜0.50重量%が好ましい。より好ましくは0.01重量%〜0.10重量%が良好である。0.001重量%未満では効果が得られない場合があり、また0.5重量%を超えると、それ以上の効果が認められず、また、親水性成分量が増加するために耐水性が低下する傾向にある。還元剤を添加して15分間以上その状態、温度で撹拌を継続することが好ましい。その後は、通常のように冷却、中和などの操作を経て製造を終了する。
本発明に使用するラジカル重合性モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソボロニル、アクリル酸シクロヘキシルなどのアクリル酸アルキルエステル類;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸−isoブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸イソボロニル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのメタクリル酸アルキルエステル類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステルモノマー類;
スチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系モノマー類;
さらに、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマーや、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチルなどの水酸基含有モノマーなどの、いわゆるエマルジョン樹脂の安定化に寄与する官能基モノマーとも呼ばれている親水性のモノマーなどが挙げられる。
また、これら以外のものとして、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有モノマー類;
エチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性モノマー類;
γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのケイ素含有モノマー類;
ダイアセトンアクリルアマイド、アセトアセトシキエチルメタクリレートなどのカルボニル基含有モノマー類;
並びにアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。本発明では、これらモノマー類の1種または2種以上から選択することができる。
また、本発明においては、得られるアクリル系エマルジョンの各用途での機械安定性や、化学的安定性などの各種安定性を向上すべく、アマイド系モノマーが好ましく使用される。
アマイド系モノマーとしては、(メタ)アクリルアマイド[「アクリルアマイド」と「メタクリルアマイド」とを併せて「(メタ)アクリルアマイド」と表記する。以下同様。]、N−メチロールアルキル(メタ)アクリルアマイド、N−メトキシアルキル(メタ)アクリルアマイドなどがあるが、アクリルアマイドの使用が最も好ましい。
アマイド系モノマーの使用量は、ラジカル重合性モノマー中、0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5.0重量%である。アマイド系モノマーが0.1重量%未満であると スケールアップなどの合成面、各種安定性の面から効果が充分には得られにくい場合があり、10重量%を超えると得られる乾燥皮膜の耐水性が低下する場合や、得られるエマルジョンの性状的に粘度が高くなる場合がある。
アクリル系エマルジョンの合成方法は、界面活性剤を使用する一般的な乳化重合であれば特に限定されない。用いる界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを併用して使用することが、重合安定性、各種安定性の面から一般的である。しかし、要求性能によっては、ノニオン性界面活性剤の単独使用、アニオン性界面活性剤の単独使用の場合もあり得る。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルなどのポリオキシ多環フェニルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの非反応性界面活性剤が挙げられる。
また、上記の非反応性界面活性剤以外に、化学的にエマルジョン粒子表面に結合し、安定化への寄与度の大きい、モノマー成分と共重合可能な反応性ノニオン性界面活性剤も使用可能である。反応性ノニオン性界面活性剤としては、市販品として、アデカリアソープER−10、ER−20(ADEKA社製)、NKエステルM−20G、M−40G(新中村化学工業社製)などが代表的なものである。乳化重合に際しては、これら1種または2種以上を併用してもよい。
アニオン性界面活性剤も同様に、非反応性のアニオン性界面活性剤、および反応性のアニオン性界面活性剤いずれでも使用できる。非反応性アニオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩などが挙げられる。
反応性のアニオン性界面活性剤としては、市販品として、アデカリアソープSR−10、SR−20(ADEKA社製)KH−05、KH−10(第一工業製薬社製)エレミノールJS−2(三洋化成工業社製)などが挙げられる。
これら界面活性剤の使用量は、ラジカル重合性モノマーに対して、0.1〜10重量%であることが好ましく、0.5〜7重量%であることがより好ましい。0.1重量%未満では、重合時のエマルジョンの安定性が悪く凝集が起こる場合がある。また、10重量%を超えると、粒子径が小さくなりすぎ化学的安定性が悪くなる場合があり、また耐水性が悪くなる場合がある。
本発明における乳化重合の主反応工程で使用する重合触媒としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの無機系過酸化物や、過酸化水素水、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物や、アゾ系開始剤が挙げられる。これら開始剤は単独で使用することもできるが、メタ重亜硫酸ソーダ、エリソルビン酸ナトリウム、チオ尿素、二酸化チオ尿素などの還元剤との併用によるレドックス型で使用してもよい。これらの重合触媒は、ラジカル重合性モノマーに対して0.1〜5.0重量%使用するのが一般的である。これらは重合開始時に必要量を一括して使用してもよいし、また、分割して任意の時間ごとに添加して用いてもよい。また、促進剤として硫酸第一鉄や硫酸銅などの物質を添加してもかまわない。
さらに必要に応じて、緩衝剤として、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどが、また保護コロイドとしてポリビニールアルコール、水溶性セルロース誘導体などが、連鎖移動剤としてのオクチルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、ステアリルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類が適量使用できる。
本発明で得られたアクリル系エマルジョンには、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、pH調整剤、粘性調整剤などを必要に応じて配合できる。
以下に実施例をもって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例中、「部」とは「重量部」を、「%」とは「重量%」をそれぞれ意味する。
また、ラジカル重合性モノマーの反応率は、反応液の不揮発分の測定値から算出した。不揮発分の測定は、反応液の約1gを精秤し、150℃で20分間乾燥させた後の重量変化から求めた。
(実施例1)
滴下槽にラジカル重合性モノマーとしてスチレン:300部、アクリル酸2−エチルヘキシル:665部、アクリル酸:25部、アクリルアマイド:10部を、界面活性剤として三洋化成工業社製のエレミノールNHS−20:有効成分10部を溶解した水溶液50部、及び、花王社製のエマルゲン1118S−70:有効成分10部を溶解した水溶液40部と、さらにイオン交換水:368部とを仕込み、混合撹拌し乳化させ、モノマープレエマルジョンを得た。
温度計、滴下槽、還流冷却管を備え、窒素ガスで置換した反応槽に、イオン交換水:346部を仕込み、上記滴下槽で乳化したモノマープレエマルジョンの3.5%(52部)を反応槽に初期分割分として仕込んだ。反応槽の内温を65℃に昇温した後、重合触媒(過硫酸アンモニウムの5%水溶液:80部及びメタ重亜硫酸ソーダの2%水溶液:100部)の各々の10%相当量を添加し、反応開始させた。
反応開始5分後から乳化プレエマルジョンの残り96.5%の滴下を開始し、内温を70℃に保ち4時間かけて連続的に滴下した。並行して、重合触媒水溶液(それぞれの残りの90%)も乳化プレエマルジョンの滴下と同時に連続滴下した。
滴下終了から30分後、1時間後にt−ブチルハイドロパーオキサイドの有効成分0.41部を溶解した水溶液11.9部、エリソルビン酸ソーダ0.51部を溶解した水溶液 10.2部を2回に分割しそれぞれ添加し、その温度でさらに1時間反応した。ラジカル重合性モノマーの反応率が99.5%以上となったことを確認し、メタ重亜硫酸ソーダ0.25部を溶解した水溶液:5.0部を添加し、さらに20分間反応した。そして冷却後25%アンモニア水:18部で pHを調整した。150メッシュの濾布でろ過し、 不揮発分:50.3%、粘度(BH型粘度計・No4ローター 20rpm):3600mPa・sのアクリル系エマルジョンを得た。
(実施例2)
滴下槽にラジカル重合性モノマーとしてスチレン:400部、アクリル酸ブチル:565部、アクリル酸:25部、アクリルアマイド:10部を、界面活性剤としてエレミノールNHS−20:有効成分10部を溶解した水溶液50部、及び、エマルゲン1118S−70:有効成分10部を溶解した水溶液40部と、さらにイオン交換水:368部とを仕込み、混合撹拌し乳化させ、モノマープレエマルジョンを得た。
温度計、滴下槽、還流冷却管を備え、窒素ガスで置換した反応槽に、イオン交換水:346部を仕込み、上記滴下槽で乳化したモノマープレエマルジョンの3.5%(52部)を反応槽に初期分割分として仕込んだ。反応槽の内温を65℃に昇温した後、重合触媒(過硫酸アンモニウムの5%水溶液:80部及びメタ重亜硫酸ソーダの2%水溶液:100部)の各々の10%を添加し、反応開始させた。
反応開始5分後から乳化プレエマルジョンの残り96.5%の滴下を開始し、内温を70℃に保ち4時間かけて連続的に滴下した。並行して、重合触媒水溶液(それぞれの残りの90%)も乳化プレエマルジョンの滴下と同時に連続滴下した。
滴下終了から30分後、1時間後にt−ブチルハイドロパーオキサイドの有効成分0.41部を溶解した水溶液11.9部、エリソルビン酸ソーダ0.51部を溶解した水溶液 10.2部を2回に分割しそれぞれ添加し、その温度でさらに1時間反応した。ラジカル重合性モノマーの反応率が99.5%以上となったことを確認し、メタ重亜硫酸ソーダ0.5部を溶解した水溶液:5.0部を添加し、さらに20分間反応した。そして冷却後25%アンモニア水:18部で pHを調整した。150メッシュの濾布でろ過し、 不揮発分:50.3%、粘度(BH型粘度計・No4ローター 20rpm):2500mPa・sのアクリル系エマルジョンを得た。
(実施例3)
実施例1のラジカル重合性モノマー組成、界面活性剤の種類が異なること以外は、実施例1と同じ条件で反応した。
滴下槽にラジカル重合性モノマーとしてスチレン:455部、アクリル酸2−エチルヘキシル:520部、アクリル酸:20部、アクリルアマイド:5部を、界面活性剤として第一工業製薬社製のハイテノールNF−08:有効成分10部を溶解した水溶液50部、及び、エマルゲン1118S−70:有効成分10部を溶解した水溶液40部と、イオン交換水:368部を仕込み、混合撹拌し乳化させ、モノマープレエマルジョンを得た。なお、最終熟成工程における還元剤(メタ重亜硫酸ソーダ)を添加する前のラジカル重合性モノマーの反応率は、99.6%であった。
これ以降は、実施例1と同一の条件で実施し、不揮発分:50.4%、粘度(BH型粘度計・No4ローター 20rpm):2700mPa・sのアクリル系エマルジョンを得た。
(比較例1)
実施例1から、最終熟成工程での「メタ重亜硫酸ソーダ0.25部を溶解した水溶液5.0部を添加し、さらに20分間反応した」工程を省いた以外は、実施例1と同一条件で実施し、不揮発分:50.1%、粘度(BH型粘度計・No4ローター 20rpm):3400mPa・sのアクリル系エマルジョンを得た。
(比較例2)
実施例1から、熟成工程での還元剤をエリソルビン酸ソーダのかわりにメタ重亜硫酸ソーダを使用した以外は同一条件で合成した。反応率が98.0%の段階で、最終熟成工程のメタ重亜硫酸ソーダを添加した。不揮発分:49.6%、粘度(BH型粘度計・No4ローター 20rpm):3000mPa・s のアクリル系共重合体エマルジョンを得た。
(比較例3)
実施例1において、熟成工程での最初のレドックス系重合触媒(酸化剤、還元剤)の量を2倍量使用し、最終熟成工程での「メタ重亜硫酸ソーダ0.25部を溶解した水溶液5.0部を添加し、さらに20分間反応した」工程を省いたこと以外は実施例1と同一条件で合成し、不揮発分:50.3%、粘度(BH型粘度計・No4ローター 20rpm):3200mPa・sのアクリル系エマルジョンを得た。
(比較例4)
実施例1において、熟成工程での最初のレドックス系重合触媒の還元剤を2倍量使用し、最終熟成工程での「メタ重亜硫酸ソーダ0.25部を溶解した水溶液5.0部を添加し、さらに20分間反応した」工程を省いたこと以外は実施例1と同一条件で合成し、不揮発分:50.3%、粘度(BH型粘度計・No4ローター 20rpm):2800mPa・sのアクリル系エマルジョンを得た。
(比較例5)
実施例3と同一のラジカル重合性モノマー組成、界面活性剤の内容で重合をおこない、ラジカル重合性モノマーの反応率が98.5%の段階で、最終熟成工程としてメタ重亜硫酸ソーダ0.25部を溶解した水溶液5.0部を添加し、さらに20分間反応したこと以外は実施例3と同一条件で合成し、不揮発分:49.8%、粘度(BH型粘度計・No4ローター 20rpm):2500mPa・sのアクリル系エマルジョンを得た。
(評価方法及び評価基準)
(1)臭気の判定
○:良好である
△:やや不快臭
×:不良である
(2)経時での粘度変化
製造直後のアクリル系エマルジョンの粘度を測定し、さらに23℃で7日間経時後、および、50℃で7日間経時後の粘度を測定し粘度上昇率を計算し判定する。
(粘度測定条件:BH型粘度計、#4ローター/20rpm、23℃)
評価基準は以下の通りである。
○:製造直後の粘度と比較して10%以内の上昇率
△:製造直後の粘度と比較して10%を超え30%以内の上昇率
×:製造直後の粘度と比較して30%以上の上昇率
評価結果を下記表に示す。
Figure 2008133380
実施例1〜3は、臭気もなく、経時での粘度変化の少ないエマルジョンであったが、比較例1〜5では、臭気、経時での粘度変化のいずれも悪いか、またはいずれか一方がよくないという結果であり、それらのバランスをとることができなかった。
本発明の製造方法により得られる水性アクリル系エマルジョンは経時粘度上昇が少ないエマルジョンである。また、各種安定性にすぐれ皮膜化したあとの耐水性も良好で、繊維用樹脂、建築塗料用樹脂など各種用途への展開が可能である。

Claims (6)

  1. 界面活性剤を使用してラジカル重合性モノマーを水媒体中で乳化重合するアクリル系エマルジョンの製造方法であって、
    ラジカル重合性モノマーの反応率が、99.0%以上となった後にレドックス系重合触媒の還元剤を添加し、酸化剤を添加しないことを特徴とするアクリル系エマルジョンの製造方法。
  2. ラジカル重合性モノマーが、アマイド系モノマーを0.1〜10重量%含有することを特徴とする請求項1記載のアクリル系エマルジョンの製造方法。
  3. アマイド系モノマーが、(メタ)アクリルアマイドであることを特徴とする請求項2記載のアクリル系エマルジョンの製造方法。
  4. レドックス系重合触媒の還元剤が、無機塩であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のアクリル系エマルジョンの製造方法。
  5. レドックス系重合触媒の還元剤が、メタ重亜硫酸ソーダであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のアクリル系エマルジョンの製造方法。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の製造方法により得られるアクリル系エマルジョン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010077253A (ja) * 2008-09-25 2010-04-08 Sekisui Plastics Co Ltd 低吸湿性アクリル系重合体粒子の製造方法

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