JP4109595B2 - エマルション樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ホルムアルデヒドの発散が問題となる用途に有用なエマルション樹脂組成物およびその製造方法に関する。
従来から、いわゆるシックハウス対策については重要視されており、ホルムアルデヒドを発散しないか、もしくは発散量の低い塗料や樹脂材料が求められていた。
そこで、従来、ホルムアルデヒドの発散が問題となる用途に用いるエマルション樹脂組成物を得る際には、その原材料のうち、ホルムアルデヒド(ホルマリン)およびそれ自身の分解によりホルムアルデヒドを生じる化合物(具体的には、例えば、架橋性モノマーとして用いられるn−メチロールアクリルアミドや、還元剤として用いられるロンガリット(ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート)等)を、他の材料に代替するか、もしくはその使用量を低減するといった対策が採られていた。
しかしながら、これまでから、ホルムアルデヒド(ホルマリン)および/またはそれ自身の分解によりホルムアルデヒドを生じる化合物を原材料として全く用いないようにしても、ホルムアルデヒドの発生が認められる場合があった。従来はホルムアルデヒドの発散許容量が比較的高いレベルに設定されていたので、このような場合であっても使用が制限されることはなかった。しかし、近年、ホルムアルデヒド発散材料の使用規制が法制化され、ホルムアルデヒド発散量の許容レベルがますます厳しくなるなか、これまでのように、ホルムアルデヒド(ホルマリン)および/またはそれ自身の分解によりホルムアルデヒドを生じる化合物を原材料として用いないことだけでは、ホルムアルデヒドが発散量を満足しうるレベルに抑制することができず、その使用が制限される場合が生じるようになった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ホルムアルデヒドの発散量を確実に極めて低いレベルに抑制しうるエマルション樹脂組成物およびその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、ホルムアルデヒド(ホルマリン)および分解によりホルムアルデヒドを生じる化合物を原料として用いない場合であってもホルムアルデヒドが発生する場合があることの原因をつきとめた。すなわち、エマルション樹脂組成物を得る際に用いる原材料としてアルコール性水酸基含有化合物が使用されていると(例えば、成膜助剤としてのブチルセロソルブ、凍結防止剤としてのエチレングリコールやプロピレングリコール、乳化剤としてのエチレンオキサイド鎖含有化合物などが一般に使用されている)、該アルコール性水酸基含有化合物が、例えばエマルション樹脂の重合時に重合開始剤として使用した過硫酸塩などの酸化剤となりうる化合物によって酸化され、その結果、ホルムアルデヒドが発生するのである。これは、例えば下記のような反応によって起こるものと推測される。
2CHOH+S -2→2HSO -+2CH
本発明者は、前述した知見に基づき、エマルション樹脂組成物中に存在する酸化剤となりうる化合物の残存含有量が特定量以下となるようにして、アルコール性水酸基含有化合物の酸化を抑制すれば、前記原因によるホルムアルデヒドの発生を抑制することができ、結果として、ホルムアルデヒドの発散量を確実に極めて低いレベルに低減できることを見出した。さらに、エマルション樹脂組成物中に存在する酸化剤となりうる化合物の残存含有量を特定量以下にする手段を検討した結果、重合性の点から、過硫酸塩を重合開始剤として用いるようにするとともに重合率が一定以上となったのちに還元剤を添加するようにする方法が最適であることを見出した。本発明はこれらの知見により完成されたものである。
すなわち、本発明にかかるエマルション樹脂組成物は、エマルション樹脂が(メタ)アクリル酸アルキルエステル類および/または酸性官能基を有する(メタ)アクリレート類を重合性単量体とし重合開始剤として過硫酸塩を用いてなるものであり、エマルション樹脂組成物を得る際に用いる材料の一部としてアルコール性水酸基含有化合物を使用しているエマルション樹脂組成物において、前記過硫酸塩の残存含有量が組成物中0.02重量%以下となっている、ことを特徴とする。
本発明にかかるエマルション樹脂組成物の別の態様は、重合開始剤として過硫酸塩を用いてなるエマルション樹脂のほかに、アルコール性水酸基含有化合物をも含むエマルション樹脂組成物において、前記アルコール性水酸基含有化合物が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの縮合物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキサイドと脂肪族アミンの縮合生成物、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルおよびアリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種のノニオン性乳化剤であり、前記過硫酸塩の残存含有量が組成物中0.02重量%以下となっている、ことを特徴とする。
本発明にかかるエマルション樹脂組成物の製造方法は、アルコール性水酸基含有化合物を材料の一部として使用するとともに、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類および/または酸性官能基を有する(メタ)アクリレート類を重合性単量体とするエマルション樹脂を得るための重合段階で、重合開始剤として過硫酸塩を用いる、エマルション樹脂組成物の製造方法において、前記重合における重合率が98%以上となったのちに還元剤を添加することにより前記過硫酸塩の残存含有量が組成物中0.02重量%以下となるよう調整にする、ことを特徴とする。
本発明にかかるエマルション樹脂組成物の製造方法の別の態様は、エマルション樹脂を得るための重合段階で、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの縮合物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキサイドと脂肪族アミンの縮合生成物、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルおよびアリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種のノニオン性乳化剤であるアルコール性水酸基含有化合物を使用するとともに、重合開始剤として過硫酸塩を用いる、エマルション樹脂組成物の製造方法において、前記重合における重合率が98%以上となったのちに還元剤を添加することにより前記過硫酸塩の残存含有量が組成物中0.02重量%以下となるよう調整にする、ことを特徴とする。
本発明にかかるエマルション樹脂組成物によれば、ホルムアルデヒドの発散量を確実に極めて低いレベルに抑制することができる。
以下、本発明にかかるエマルション樹脂組成物およびその製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
〔エマルション樹脂組成物〕
本発明のエマルション樹脂組成物は、エマルション樹脂組成物を得る際に用いる材料の一部としてアルコール性水酸基含有化合物を使用しているため、エマルション樹脂のほかにアルコール性水酸基含有化合物をも含有するものである。前記アルコール性水酸基含有化合物は、エマルション樹脂組成物を得る際に用いる材料の一部として使用されるものであり、その種類や含有量は、各材料としての目的を充分に達することができるよう適宜設定すればよく、特に制限されるものではない。例えば、成膜助剤として用いられるブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート、2−エチルヘキシルジグリコール(ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル)、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル等;凍結防止剤として用いられるエチレングリコール、プロピレングリコール等;乳化剤として用いられるポリビニルアルコール、エチレンオキサイド鎖含有化合物等;水性媒体として用いられるメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール等;重合性単量体として用いられる2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(α−ヒドロキシメチル)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート(市販品では、例えば、ダイセル化学工業(株)製のプラクセルFシリーズなど)、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等;等が挙げられる。アルコール性水酸基含有化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明のエマルション樹脂組成物は、酸化剤となりうる化合物の残存含有量が組成物中0.02重量%以下、好ましくは0.01重量%以下となっているものである。これにより、本発明のエマルション樹脂組成物が含有するアルコール性水酸基含有化合物が酸化によってホルムアルデヒドに変化することを抑制し、ホルムアルデヒドの発散量を確実に低減することができるのである。
前記酸化剤となりうる化合物の具体例としては、例えば、エマルション樹脂を得る際の重合で重合開始剤として用いられる過硫酸塩(具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩など)や過酸化水素等が挙げられる。
本発明のエマルション樹脂組成物は、エマルション樹脂を含有するものである。前記エマルション樹脂の組成や樹脂粒子径等および本発明のエマルション樹脂組成物に占めるエマルション樹脂の含有量については、特に制限されるものではなく、用途に応じて適宜設定すればよい。本発明のエマルション樹脂組成物に含有させるエマルション樹脂は、例えば、エマルション樹脂組成物の製造方法の項で後述する方法によって得ることができるが、これに限定されるものではない。
本発明のエマルション樹脂組成物は、必要に応じて、例えば、多官能イソシアネートや多官能ヒドラジンなどの硬化剤、成膜助剤、凍結防止剤、顔料、分散剤、増粘剤、防腐剤、充填剤、帯電防止剤、艶消し剤等の各種添加剤を含有するものであってもよい。ただし、後述するように、添加剤として用いる化合物は、ホルムアルデヒドおよび分解によりホルムアルデヒドを生じる化合物以外のものから選択することが望ましい。
本発明のエマルション樹脂組成物の好ましい実施態様は、ホルムアルデヒドおよび/または分解によりホルムアルデヒドを生じる化合物を含有しない態様である。ホルムアルデヒドおよび/または分解によりホルムアルデヒドを生じる化合物、言い換えれば直接的にホルムアルデヒドの発生源となる化合物をも含有しないことにより、本発明のエマルション樹脂組成物はホルムアルデヒドの発散量をより確実に低減することができる。ここで、ホルムアルデヒドとはホルマリンをも含む概念であり、分解によりホルムアルデヒドを生じる化合物の具体例としては、例えば、架橋性モノマーとして用いられるn−メチロールアクリルアミドや、還元剤として用いられるロンガリット(ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート)等が挙げられる。
本発明のエマルション樹脂組成物は、後述する本発明のエマルション樹脂組成物の製造方法によって好ましく得ることができるが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、エマルション樹脂を得る際の重合で用いる重合開始剤として、前記酸化剤となりうる化合物である過硫酸塩の代わりに、アゾ系重合開始剤(例えば、2,2−アゾビス(2―ジアミノプロパン)ハイドロクロライドなど)や、レドックス系重合開始剤(例えば、過酸化水素とアスコルビン酸塩など)を用いるようにして得られたエマルション樹脂を用いた樹脂組成物も本発明のエマルション樹脂組成物となりうる。ただし、アゾ系重合開始剤やレドックス系重合開始剤を用いてエマルション樹脂を重合しようとすると、重合性が芳しくない場合があるので、本発明のエマルション樹脂組成物は、重合開始剤として過硫酸塩を用いた本発明のエマルション樹脂組成物の製造方法によって得ることが望ましい。
本発明のエマルション樹脂組成物は、ホルムアルデヒドの発散量が極めて低いものであり、例えば、本発明のエマルション樹脂組成物により形成された塗膜からのホルムアルデヒド発散量は0.12mg/リットル以下といった極めて低いレベルとなる。なお、前記塗膜からのホルムアルデヒド発散量の値は、JIS−K−5601−4−1に準じたデシケータ法により測定された値とする。
本発明のエマルション樹脂組成物は、例えば、室内用塗料、屋外用塗料、建材用塗料等の塗料や接着剤などホルムアルデヒドの発散が問題となる用途に用いることができ、とりわけエマルション塗料として好適である。なお、本発明のエマルション樹脂組成物は、例えば、塗料自体であることができるし、塗料に用いるバインダー等として用いることもできる。すなわち、各種用途の最終物品であったり、最終物品の原料等として用いることもできるのである。
〔エマルション樹脂組成物の製造方法〕
本発明のエマルション樹脂組成物の製造方法は、アルコール性水酸基含有化合物を材料の一部として使用するとともに、エマルション樹脂を得るための重合段階で重合開始剤として過硫酸塩を用いるものである。
本発明のエマルション樹脂組成物の製造方法において、材料の一部として使用する前記アルコール性水酸基含有化合物の具体例は、本発明のエマルション樹脂組成物の項で前述した通りである。
本発明のエマルション樹脂組成物の製造方法において、重合段階で重合開始剤として用いる過硫酸塩の具体例は、本発明のエマルション樹脂組成物の項で前述した通りである。前記重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、用いる重合性単量体成分の合計使用量に対して0.05〜1重量%とするのが好ましく、0.1〜0.5重量%とするのがより好ましい。過硫酸塩の使用量が0.05重量%未満であると、重合速度が遅くなって未反応の重合性単量体が残存しやすくなり、一方、1重量%を超えると、耐水性が低下したり重合安定性が低下したりする傾向がある。
本発明のエマルション樹脂組成物の製造方法においては、前記重合における重合率が98%以上となったのちに還元剤を添加することにより前記過硫酸塩の残存含有量が組成物中0.02重量%以下、好ましくは0.01重量%以下となるよう調整にすることが重要である。これにより、材料の一部として用い組成物中に残存することとなるアルコール性水酸基含有化合物が酸化によってホルムアルデヒドに変化することを抑制し、得られるエマルション樹脂組成物のホルムアルデヒド発散量を充分に低減することができるのである。重合率が98%以上となる前に還元剤を添加すると、重合が不充分となり、得られるエマルション樹脂組成物に残存する重合性単量体の臭気等が問題になる。
前記還元剤としては、特に制限されないが、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、ハイドロサルファイト、ヒドロキシメタンスルホン酸、二酸化チオ尿素;グリコール酸、クリオキシル酸水和物、アスコルビン酸、乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸、酒石酸;塩化第一鉄;等が挙げられる。これらの中でも特に、L−アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、二酸化チオ尿素が好ましい。還元剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のエマルション樹脂組成物の製造方法において、前記エマルション樹脂を得るための重合段階は、水性媒体の存在下、重合開始剤として過硫酸塩を用いて行なう乳化重合によって行なうことが好ましい。以下、前記エマルション樹脂を得るための乳化重合の実施態様の一例を詳しく説明する。
前記エマルション樹脂を得る際の重合性単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸等の酸性官能基を有する(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸エチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール等のオキソ基を有する重合性単量体類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のビニル化合物類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有重合性単量体類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジアセトンアクリルアミド、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の窒素原子含有重合性単量体類;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する重合性単量体類;2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−(メタ)アクロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン等の紫外線吸収性重合性単量体類;4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性単量体類;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、およびこれらの加水分解縮合物や酸反応物等のケイ素含有重合性単量体類;等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、酸性官能基を有する(メタ)アクリレート類、ビニル化合物類、紫外線吸収性重合性単量体類、紫外線安定性重合性単量体類が特に好ましい。これら重合性単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記エマルション樹脂を得る際の乳化重合において用いることのできる乳化剤としては、特に限定はなく、例えば、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤、高分子乳化剤等を使用することができる。なお、乳化剤としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アニオン性乳化剤としては、具体的には、例えば、アンモニウムドデシルスルフォネート、ナトリウムドデシルスルフォネート等のアルキルスルフォネート塩;アンモニウムドデシルベンゼンスルフォネート、ナトリウムドデシルナフタレンスルフォネート等のアルキルアリールスルフォネート塩;ポリオキシエチレンアルキルスルフォネート塩(市販品では、例えば、第一工業製薬(株)製「ハイテノール18E」など);ポリオキシエチレンアルキルアリールスルフォネート塩(市販品では、例えば、第一工業製薬(株)製「ハイテノールN−08」など);ジアルキルスルホコハク酸塩;アリールスルホン酸ホルマリン縮合物;アンモニウムラウリレート、ナトリウムステアリレート等の脂肪酸塩;等が挙げられる。
前記ノニオン性乳化剤としては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(市販品では、例えば、三洋化成工業(株)製「ナロアクティーN−200」など);ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル(市販品では、例えば、三洋化成工業(株)製「ノニポール−200」など);ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの縮合物;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセライド;ポリアミド;エチレンオキサイドと脂肪族アミンの縮合生成物;等が挙げられる。
前記カチオン性乳化剤としては、具体的には、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド等のアルキルアンモニウム塩;等が挙げられる。
前記両性乳化剤としては、具体的には、例えば、ベタインエステル型乳化剤;等が挙げられる。
前記高分子乳化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール; ポリビニルピロリドン;ポリヒドロキシエチルアクリレート等のポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;またはこれらの重合体を構成する重合性単量体のうちの1種以上を共重合成分とする共重合体;等が挙げられる。
また、特に耐水性を重視する場合には、前記乳化剤として、重合性基を有する乳化剤を用いることが好ましい。重合性基を有する乳化剤としては、例えば、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート過硫酸エステル塩、プロペニルアルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンサルフェート塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンホスフォオト塩、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンの硫酸エステル塩やアリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンの硫酸エステル塩などのアリル基を有する硫酸エステル塩等の重合性基を有するアニオン性乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン等の重合性を有するノニオン性乳化剤;等が挙げられる。
前記乳化剤の使用量は、特に限定はされないが、例えば、重合性単量体の合計使用量に対して、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%とするのがよい。乳化剤の使用量が多すぎると、耐水性を低下させる恐れがあり、一方、少なすぎると、重合安定性が低下しやすい。
前記エマルション樹脂を得る際の乳化重合で用いることのできる水性媒体としては、通常、水が使用されるが、必要に応じて、例えばメタノールのような低級アルコール等の親水性溶媒を併用することもできる。なお、水性媒体の使用量は、得ようとするエマルション樹脂が所望の樹脂固形分となるよう適宜設定すればよい。
前記エマルション樹脂を得る際の乳化重合においては、必要に応じて、pH緩衝剤、キレート剤、連鎖移動剤(例えば、t−ドデシルメルカプタン等のチオール基を有する化合物など)、成膜助剤等の公知の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
前記エマルション樹脂を得る際の乳化重合における重合温度としては、特に限定はなく、好ましくは0〜100℃、より好ましくは40〜95℃とするのがよい。重合時間についても、特に限定はなく、反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、例えば、重合開始から終了まで2〜8時間の範囲とするのが好ましい。重合時の雰囲気については、重合開始剤の効率を高めるため窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うのが一般的である。
本発明のエマルション樹脂の製造方法においては、前記重合により得られた反応生成物をそのままエマルション樹脂組成物としてもよいし、前記重合により得られた反応生成物に本発明のエマルション樹脂組成物の項で前述した各種添加剤を添加してエマルション樹脂組成物としてもよい。また、前記重合により得られた反応生成物に対して、必要に応じて、洗浄、固形分調整、粘度調整などを行なうこともできる。
本発明のエマルション樹脂の製造方法においては、使用する全ての材料は、ホルムアルデヒドおよび/または分解によりホルムアルデヒドを生じる化合物以外から選択することが好ましい。ホルムアルデヒドおよび/または分解によりホルムアルデヒドを生じる化合物、言い換えれば直接的にホルムアルデヒドの発生源となる化合物を使用しないことにより、得られるエマルション樹脂組成物のホルムアルデヒド発散量をより確実に低減することができる。ここで、ホルムアルデヒドの定義および分解によりホルムアルデヒドを生じる化合物の具体例は、本発明のエマルション樹脂組成物の項で前述した通りである。
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、特に断りのない限り、「重量部」を「部」と、「重量%」を「%」と記す。
実施例および比較例におけるエマルション樹脂組成物(反応液)の分析および評価は下記のようにして行なった。
<重合率>
各実施例および比較例で得られたエマルション樹脂組成物およびこれを得る際の反応液をサンプリングして固形分濃度A(%)を測定し、この固形分濃度Aと、仕込み量から算出される理論固形分濃度B(%)[(モノマーや乳化剤などの固形分の仕込み総重量/全ての仕込み総重量)×100]とから、下記式により求めた。
重合率(%)=(A/B)×100
<固形分>
各実施例および比較例で得られたエマルション樹脂組成物1.0gを105℃のオーブンで60分間乾燥し、乾燥前後の重量から、下記式により求めた。
固形分(%)=(乾燥後の重量/乾燥前の重量)×100
<粘度>
BM型粘度計を用いて25±0.5℃、30min−1で測定した。
<pH>
pHメーターを用いて25±0.5℃で測定した。
<酸化剤となりうる化合物の残存含有量>
S(mL)のエマルション樹脂組成物に、0.1N硫酸第一鉄アンモニウム水溶液50mLおよびリン酸5mLを加え、0.1N過マンガン酸カリウム溶液で滴定して、滴定値A(mL)を得た。他方、ブランクとして、0.1N硫酸第一鉄アンモニウム水溶液50mLのみを0.1N過マンガン酸カリウム溶液で滴定して、滴定値B(mL)を得た。そして、これら滴定値を用いて下記式により算出した。
残存含有量(%)=〔(B−A)×f×M×0.05〕/(S×1000)
f:過マンガン酸カリウムのファクター
M:酸化剤となりうる化合物の分子量
<ホルムアルデヒド発散量>
各実施例および比較例で得られたエマルション樹脂組成物に白色塗料として用いる際に一般に配合される配合成分を添加、混合し、得られたエマルション樹脂組成物(白色塗料)により形成される塗膜のホルムアルデヒド発散量を測定した。
まず、各実施例および比較例で得られたエマルション樹脂組成物300部、白色ペースト135部、消泡剤(サンノプコ製「ノプコ8034L」)1.5部、ブチルセロソルブ15部、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート(チッソ社製「CS−12」)15部を混合して、白色塗料を調製した。
なお、白色ペーストは、次のようにして調製した。すなわち、分散剤(花王(株)製「デモールEP」)60部、分散剤(第一工業製薬(株)製「ディスコートN−14」)50部、湿潤剤(花王(株)製「エルマゲン909」)10部、脱イオン水210部、エチレングリコール60部、酸化チタン(石原産業製「酸化チタンCR−95」)1000部、消泡剤(サンノプコ製「ノプコ8034L」)10部に、ガラスビーズ500部を加え、ホモディスパーを用いて3000min−1で60分間攪拌して、白色ペーストを得た。
次に、前記白色塗料をアルミ板上にWET4milのアプリケータにて3時間間隔で2回塗装(各回の塗布量はwet100μm)し、室温で24時間乾燥して、試験片を得た。
得られた試験片を用いて、JIS−K−5601−4−1に準じたデシケータ法によりホルムアルデヒド発散量を測定した。
〔実施例1〕
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水38.8gを仕込んだ。他方、滴下ロートに、ポリオキシエチレンアルキルアリールスルフォネート塩(第一工業製薬(株)製「ハイテノールN−08」)の20%水溶液7.5g、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル(三洋化成工業(株)製「ノニポール−200」)の25%水溶液6.0g、脱イオン水20.0g、メチルメタクリレート55.0g、2−エチルヘキシルアクリレート40.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.0g、およびアクリル酸1.0gからなるプレエマルションを調製して仕込んだ。
次に、前記プレエマルション13.4g(プレエマルション全量の10%に相当)をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下で60℃まで昇温した。昇温後、フラスコ内に、2.5%過硫酸カリウム水溶液1.2gと2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液0.6gとを添加して重合を開始させた。添加後に反応系内を65℃まで昇温して、同温度で10分間維持した。ここまでを初期反応とする。
初期反応終了後、反応系内を65℃に維持したまま、残りのプレエマルション120.1g(プレエマルション全量の90%に相当)と、2.5%過硫酸カリウム水溶液10.8gと、2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液5.4gとを180分間かけて均一に滴下した。滴下後、脱イオン水10gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコ内に添加した。その後、65℃で30分間維持した。ここまでを本重合反応とする。この段階で、反応液をサンプリングし重合率を測定したところ重合率は99.1%であった。
次いで、2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6gを添加し、さらに65℃で30分間維持したのち、室温まで冷却した。得られた反応液に25%アンモニア水溶液0.9gを添加し、10分間攪拌したのち、100メッシュの金網でろ過して、エマルション樹脂組成物を得た。
得られたエマルション樹脂組成物を分析したところ、重合率99.6%、固形分49.8%、粘度600mPa・s、pH9.0、酸化剤となりうる化合物(過硫酸カリウム)の残存含有量0.005%であった。また、該エマルション樹脂組成物を用いてホルムアルデヒド発散量を評価したところ、ホルムアルデヒド発散量は0.02mg/リットルであった。
〔実施例2〕
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水74.8gを仕込んだ。他方、滴下ロートに、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルの硫酸アンモニウム塩(第一工業製薬社製「アクアロンHS−10」)の25%水溶液4.0g、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(第一工業製薬社製「アクアロンRN−20」)の25%水溶液4.0g、脱イオン水5.8g、メチルメタクリレート22.0g、n−ブチルメタクリレート7.0g、およびアクリル酸1.0gからなる1段目のプレエマルションを調製して仕込んだ。
次に、前記1段目のプレエマルション7.1g(1段目のプレエマルション全量の16.2%に相当)をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下で75℃まで昇温した。昇温後、フラスコ内に、5%過硫酸カリウム水溶液4.0gを添加して重合を開始させた。添加後に反応系内を80℃まで昇温して、同温度で10分間維持した。ここまでを初期反応とする。
初期反応終了後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの1段目のプレエマルション36.7g(1段目のプレエマルション全量の83.8%に相当)を50分間かけて均一に滴下した。滴下後、脱イオン水5gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコ内に添加した。その後、80℃で30分間維持した。ここまでを1段目の本重合反応とする。
次いで、フラスコ内に、25%アンモニア水溶液0.9gを添加し、80℃で10分間攪拌した。ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルの硫酸アンモニウム塩(第一工業製薬社製「アクアロンHS−10」)の25%水溶液2.0g、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(第一工業製薬社製「アクアロンRN−20」)の25%水溶液2.0g、脱イオン水23.2g、メチルメタクリレート5.0g、2−エチルヘキシルアクリレート22.0g、シクロヘキシルメタクリレート20.0g、n−ブチルメタクリレート22.0g、および4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン1.0gからなる2段目のプレエマルションを別途調製して滴下ロートに仕込み、これをフラスコ内に130分間かけて均一に滴下した。滴下後、脱イオン水5gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコ内に添加したのち、80℃で30分間維持した。ここまでを2段目の本重合反応とする。この段階で、反応液をサンプリングし重合率を測定したところ重合率は98.5%であった。
次いで、2.5%二酸化チオ尿素水溶液4.0gを添加し、さらに80℃で30分間維持したのち、室温まで冷却した。得られた反応液に25%アンモニア水溶液0.9gを添加し、10分間攪拌したのち、凍結防止剤としてプロピレングリコール3.0gを添加、混合し、その後、100メッシュの金網でろ過して、エマルション樹脂組成物を得た。
得られたエマルション樹脂組成物を分析したところ、重合率99.5%、固形分43.8%、粘度270mPa・s、pH9.0、酸化剤となりうる化合物(過硫酸カリウム)の残存含有量0.015%であった。また、該エマルション樹脂組成物を用いてホルムアルデヒド発散量を評価したところ、ホルムアルデヒド発散量は0.05mg/リットルであった。
参考
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水55.0gを仕込んだ。他方、滴下ロートに、ポリオキシエチレンアルキルスルフォネート塩(第一工業製薬(株)製「ハイテノール18E」)の20%水溶液7.5g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(花王(株)製「エマルゲン1118S」)の70%水溶液2.1g、脱イオン水25.0g、メチルメタクリレート65.0g、ブチルアクリレート34.0g、およびアクリル酸1.0gからなるプレエマルションを調製して仕込んだ。
次に、前記プレエマルション13.4g(プレエマルション全量の10%に相当)をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下で70℃まで昇温した。昇温後、フラスコ内に、2,2−アゾビス(2−アミノジプロパン)ジハイドロクロライドの5%水溶液0.6gを添加して重合を開始させた。添加後に反応系内を75℃まで昇温して、同温度で10分間維持した。ここまでを初期反応とする。
初期反応終了後、反応系内を75℃に維持したまま、残りのプレエマルション121.2g(プレエマルション全量の90%に相当)と、2,2−アゾビス(2−アミノジプロパン)ジハイドロクロライドの5%水溶液5.4gとを180分間かけて均一に滴下した。滴下後、脱イオン水10gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコ内に添加した。その後、75℃で60分間維持したのち、室温まで冷却した。得られた反応液に25%アンモニア水溶液0.9gを添加し、10分間攪拌したのち、凍結防止剤としてプロピレングリコール2.0gを添加、混合し、その後、100メッシュの金網でろ過して、エマルション樹脂組成物を得た。
得られたエマルション樹脂組成物を分析したところ、重合率99.4%、固形分49.7%、粘度410mPa・s、pH8.9であり、酸化剤となりうる化合物は使用していないのでその残存含有量は0.000%であった。また、該エマルション樹脂組成物を用いてホルムアルデヒド発散量を評価したところ、ホルムアルデヒド発散量は0.01mg/リットル以下であった。
〔比較例1〕
実施例1において初期反応で用いている2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液0.6gと、本重合反応で用いている2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液5.4gとを用いないようにすること以外は、実施例1と同様にして、初期反応および本重合反応を行なった。本重合反応までを終了した段階で、反応液をサンプリングし重合率を測定したところ重合率は97.2%であった。
次いで、実施例1と同様に、2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6gを添加し、さらに65℃で30分間維持したのち、室温まで冷却し、得られた反応液に25%アンモニア水溶液0.9gを添加し、10分間攪拌したのち、100メッシュの金網でろ過して、エマルション樹脂組成物を得た。
得られたエマルション樹脂組成物を分析したところ、重合率98.7%、固形分50.0%、粘度1200mPa・s、pH9.2、酸化剤となりうる化合物(過硫酸カリウム)の残存含有量0.03%であった。また、該エマルション樹脂組成物を用いてホルムアルデヒド発散量を評価したところ、ホルムアルデヒド発散量は0.30mg/リットルであった。
〔比較例2〕
実施例1において本重合反応後に添加している2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6gを用いないようにすること以外は、実施例1と同様にして、エマルション樹脂組成物を得た。
得られたエマルション樹脂組成物を分析したところ、重合率99.3%、固形分51.1%、粘度800mPa・s、pH9.0、酸化剤となりうる化合物(過硫酸カリウム)の残存含有量0.025%であった。また、該エマルション樹脂組成物を用いてホルムアルデヒド発散量を評価したところ、ホルムアルデヒド発散量は0.21mg/リットルであった。
〔比較例3〕
実施例2において2段目の本重合反応後に添加している2.5%二酸化チオ尿素水溶液4.0gを用いないようにすること以外は、実施例2と同様にして、エマルション樹脂組成物を得た。
得られたエマルション樹脂組成物を分析したところ、重合率98.7%、固形分44.2%、粘度590mPa・s、pH9.1、酸化剤となりうる化合物(過硫酸カリウム)の残存含有量0.030%であった。また、該エマルション樹脂組成物を用いてホルムアルデヒド発散量を評価したところ、ホルムアルデヒド発散量は0.25mg/リットルであった。
本発明にかかるエマルション樹脂組成物およびその製造方法は、例えば、室内用塗料、屋外用塗料、建材用塗料等の塗料や接着剤などホルムアルデヒドの発散が問題となる用途に有用である。

Claims (6)

  1. エマルション樹脂が(メタ)アクリル酸アルキルエステル類および/または酸性官能基を有する(メタ)アクリレート類を重合性単量体とし重合開始剤として過硫酸塩を用いてなるものであり、エマルション樹脂組成物を得る際に用いる材料の一部としてアルコール性水酸基含有化合物を使用しているエマルション樹脂組成物において、前記過硫酸塩の残存含有量が組成物中0.02重量%以下となっている、ことを特徴とする、エマルション樹脂組成物。
  2. 重合開始剤として過硫酸塩を用いてなるエマルション樹脂のほかに、アルコール性水酸基含有化合物をも含むエマルション樹脂組成物において、前記アルコール性水酸基含有化合物が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの縮合物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキサイドと脂肪族アミンの縮合生成物、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルおよびアリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種のノニオン性乳化剤であり、前記過硫酸塩の残存含有量が組成物中0.02重量%以下となっている、ことを特徴とする、エマルション樹脂組成物。
  3. ホルムアルデヒドおよび/または分解によりホルムアルデヒドを生じる化合物を含有しない、請求項1または2に記載のエマルション樹脂組成物。
  4. 塗料として用いられる、請求項1から3までのいずれかに記載のエマルション樹脂組成物。
  5. アルコール性水酸基含有化合物を材料の一部として使用するとともに、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類および/または酸性官能基を有する(メタ)アクリレート類を重合性単量体とするエマルション樹脂を得るための重合段階で、重合開始剤として過硫酸塩を用いる、エマルション樹脂組成物の製造方法において、
    前記重合における重合率が98%以上となったのちに還元剤を添加することにより前記過硫酸塩の残存含有量が組成物中0.02重量%以下となるよう調整にする、
    ことを特徴とする、エマルション樹脂組成物の製造方法。
  6. エマルション樹脂を得るための重合段階で、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの縮合物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキサイドと脂肪族アミンの縮合生成物、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルおよびアリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種のノニオン性乳化剤であるアルコール性水酸基含有化合物を使用するとともに、重合開始剤として過硫酸塩を用いる、エマルション樹脂組成物の製造方法において、
    前記重合における重合率が98%以上となったのちに還元剤を添加することにより前記過硫酸塩の残存含有量が組成物中0.02重量%以下となるよう調整にする、
    ことを特徴とする、エマルション樹脂組成物の製造方法。
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