JP4529070B2 - アクリル系重合体水性分散液及び製造方法 - Google Patents

アクリル系重合体水性分散液及び製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、常温での硬度に優れ、且つ感温性が小さい被膜を形成する被覆剤、及び樹脂バインダー等として利用できるアクリル系重合体水性分散液、及びその製造方法に関する。
従来、(メタ)アクリレートを重合して得られるアクリル系重合体水性分散液は、アクリルエマルジョンバインダーとして塗料、接着剤、紙加工、繊維加工等の用途に利用されている。これらのアクリル系重合体水性分散液は通常、重合体粒子として存在するために、被膜形成時に重合体粒子相互間の融着による造膜過程を経て被膜化するため、比較的硬度を有する被膜を得ようとした場合、重合体粒子自体が硬質なため、被膜形成時の重合体粒子相互間の融着が十分ではなく、硬くて脆い被膜しか形成しないという欠点がある。
また、一般的にアクリル系重合体は感温性が大きく、重合体のガラス転移温度(「Tg」という)以上の温度条件下では、ある程度柔軟な被膜であっても、ガラス転移温度以下の温度条件下になると極端に硬くて脆い被膜になることが知られている。
一方、重合体粒子を軟質なものとして、重合体粒子相互間の融着を容易にした場合は、得られる被膜の硬度が不十分なものとなる。
これらの欠点を改良するために、(1)硬質な重合体粒子に重合体を可塑化させる可塑剤(「造膜助剤」という)を添加して、重合体粒子相互間の融着性を向上させる方法や、(2)重合体粒子の粒子形態を硬質な重合体と軟質な重合体とから構成される「多層構造粒子」とすることにより重合体粒子相互間の融着性を向上させる方法などが提案されている。
しかしながら、方法(1)の可塑剤(造膜助剤)を添加する方法においては、重合体粒子相互間の融着性は改善されるが、被膜化の直後には重合体自体が可塑化されているために柔軟性を有するが硬度を発現し難く、また、経時的に可塑剤が流出するため、被膜の性質(硬度や柔軟性等)が経時的に変化するという欠点を有し、さらに、重合体のガラス転移温度より低い温度条件下では極端に硬くて脆い被膜になるという欠点は改善されない。
また、方法(2)の重合体粒子の粒子形態を硬質な重合体と軟質な重合体から構成される多層構造粒子とする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この方法では優れた低温特性を有し、且つ、常温での硬度に優れた被膜を形成する被覆剤が開示されているものの、常温での硬度や、感温性の程度という点がまだ不十分であり、実用上問題であった。
特開2003−147150号公報
従って、本発明の目的は、被覆剤や接着剤として使用した場合に、常温での硬度に優れ、且つ感温性が小さく、重合体のガラス転移温度より低い温度においても柔軟性を有する被膜を形成するアクリル系重合体水性分散液を提供することである。
本発明者等は上記の課題を解決すべく、鋭意検討の結果、以下の知見を得た。
(1)アクリル系重合体水性分散液において、該重合体から形成される被膜が、示差走査型熱量計で測定したガラス転移開始温度と、ガラス転移終了温度の差が40〜150℃の範囲であると、感温性が小さいアクリル系重合体が得られる。
(2)さらに該被膜が、(1)の条件を満たし、且つ、アクリル系重合体のガラス転移温度(実測Tg)より20℃高い温度条件下での引張試験における被膜の伸び率(e1)とガラス転移温度(実測Tg)より20℃低い温度条件下での被膜の引張試験における伸び率(e2)との比(e2)/(e1)が0.3〜1.0であり、且つ、測定温度25℃での引張試験におけるヤング率が10MPa以上であると、常温での硬度が高く、且つ重合体のガラス転移温度より低い温度においても柔軟性を有する性質を発現させることができる。
(3)前記(1)または(2)を満たすアクリル系重合体水性分散液を製造する方法として、(メタ)アクリレート類を含有する重合性単量体成分を、水性媒体が存在する反応容器に一括して仕込み乳化重合する方法が、簡便且つ有用である。
本発明は、アルキル基の炭素数が1〜12の範囲にある(メタ)アクリレートとしてブチル(メタ)アクリレート及び/またはメチル(メタ)アクリレートを単量体成分全体に対して50重量%以上含み、かつ、カルボキシル基を含有する単量体として(メタ)アクリル酸を含む単量体成分を乳化重合することによって得られるガラス転移開始温度とガラス転移終了温度との差が40〜150℃の範囲にあるアクリル系重合体を含有するアクリル系重合体水性分散液の製造方法であって、前記単量体成分を水性媒体が存在する密閉型圧力反応容器に一括して仕込み、前記密閉型圧力反応容器内の液中の溶存酸素濃度を3ppm以下とし、前記密閉型圧力反応容器内の圧力を水性媒体と前記重合性単量体成分の混合物の蒸気圧を超える状態に加圧して乳化重合することを特徴とするアクリル系重合体水性分散液の製造方法を提供する。
本発明によれば、感温性が小さい被膜を形成する被覆剤、及び樹脂バインダーとこれに用いるアクリル系重合体水性分散液を提供できる。
本発明のアクリル系重合体水性分散液から形成される被膜は、示差走査型熱量計で測定したガラス転移開始温度と、ガラス転移終了温度の差が40〜150℃の範囲であることが、被膜の感温性が小さくなることから必要である。即ち、アクリル系重合体水性分散液に含まれるアクリル系重合体を被膜化した試料を、後記の実施例に示す示差走査型熱量計で測定した際に、ガラス転移が広い温度範囲で起こる被膜であると、感温性の小さい被膜が得られるため好ましい。ここで、示差走査型熱量計で測定したガラス転移温度開始温度、ガラス転移終了温度とは、後記の実施例に示す方法で測定した値である。
前記被膜は、ガラス転移温度(実測Tg)より20℃高い温度条件下での引張試験における被膜の伸び率(e1)とガラス転移温度(実測Tg)より20℃低い温度条件下での被膜の引張試験における伸び率(e2)との比(e2)/(e1)が0.3〜1.0であり、且つ、25℃での被膜の引張試験におけるヤング率が10MPa以上ことが好ましい。前記の(e2)/(e1)が0.3〜1.0であることは、ガラス転移温度(実測Tg)より20℃高い温度条件下での引張試験における伸び率を基準として、ガラス転移温度(実測Tg)より20℃低い温度条件下での引張試験における伸び率が、伸びの保持率として30〜100%を保持していることである。このような保持率の範囲にあって、且つ、測定温度25℃での引張試験におけるヤング率が10MPa以上であれば、常温での強度が強く、且つ該重合体のガラス転移温度(実測Tg)より低い温度条件下においてもしなやかな柔軟性を示し、強度と柔軟性が要求される被覆剤や接着剤等の応用用途に適した重合体被膜が得られるため好ましい。ここで、ガラス転移温度(実測Tg)、引張試験での伸び率、ヤング率とは、後記の実施例に示す方法で測定した値である。
前記アクリル系重合体水性分散液としては、例えば、(メタ)アクリレート類を含有する重合性単量体成分を重合した重合体が挙げられ、更に、後述するガラス転移開始温度とガラス転移終了温度との差が40〜150℃の範囲にあるアクリル系重合体水性分散液の製造方法で得られるものが好ましい。
前記アクリル系重合体水性分散液の重合に使用する単量体成分は、(メタ)アクリレート類を含有するものであり、更に(メタ)アクリレート類を主成分とする、つまり単量体成分全体の50重量%以上の割合で使用するものが好ましい。前記(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらのなかでも特に重合が容易であることから、アルキル基の炭素数が1〜12の範囲にある(メタ)アクリレートが好ましい。
前記の(メタ)アクリレート類の他に、架橋性反応基を含有する(メタ)アクリレートを使用することもでき、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、N−モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルイソシアナートエチル、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、必要に応じて(メタ)アクリレート基を2つ以上持つ多官能性(メタ)アクリレートを使用することもでき、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記(メタ)アクリレート類を主成分として50重量%以上単量体成分中に含有することが好ましいが、前記(メタ)アクリレート類以外の単量体を併用することも可能であり、これらの例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチラート、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和カルボン酸のニトリル類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルアニソール、α−ハロスチレン、ビニルナフタリン、ジビニルスチレン等の芳香族環を有するビニル化合物、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類等が挙げられる。
また、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、エチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン等も使用することもできる。
さらに、前記(メタ)アクリレート類またはその他の単量体以外にも、必要に応じてカルボキシル基を含有する単量体を併用することも可能であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルプロピオン酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンサクシネート、β−(メタ)ヒドロキシエチルハイドロゲンフタレートおよびこれらの塩等が挙げられ、これらの単量体を併用すると、乳化重合時の安定性や、得られるアクリル系重合体水性分散液の分散安定性が向上するため好ましい。
また、前記以外の単量体として、乳化重合時の安定性、アクリル系重合体水性分散液の貯蔵安定性を向上させることを目的として、必要に応じてスルホン酸基及び/またはサルフェート基(及び/またはその塩)、リン酸基及び/またはリン酸エステル基(及び/またはその塩)を含有するエ単量体を使用することができ、具体的には、例えばビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のビニルスルホン酸類またはその塩、アリルスルホン酸、2−メチルアリルスルホン酸等のアリル基含有スルホン酸類またはその塩、(メタ)アクリル酸2−スルホエチル、(メタ)アクリル酸2−スルホプロピル等の(メタ)アクリレート基含有スルホン酸類またはその塩、(メタ)アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸等の(メタ)アクリルアミド基含有スルホン酸類またはその塩が挙げられる。リン酸基を有するエチレン性不飽和単量体の市販品としては、「アデカリアソープPP−70、PPE−710」[旭電化工業(株)製]等が挙げられる。
前記アクリル系重合体水性分散液は、例えば、前記の単量体成分をフリーラジカル重合で製造できるが、その方法としては、特に限定されるものではなく、単量体成分を、その性状に応じて懸濁重合、乳化重合、塊状重合、溶液重合いずれの方法でも製造することができるが、特に、該重合体から形成される被膜の性状を前記の如く調整することが容易である点から、水性媒体中で行う懸濁重合または乳化重合で実施することが好ましい。
特に、前記(メタ)アクリレート類を含有する重合性単量体成分を、水性媒体が存在する反応容器に一括して仕込み乳化重合すると、本発明が目的とする被膜性能を発現し得るアクリル系重合体水性分散液が容易に得られるため好ましい。
前記アクリル系重合体水性分散液は、前記の単量体成分をフリーラジカル重合で製造するが、その方法としては、特に限定されるものではなく、単量体成分を、その性状に応じて懸濁重合、乳化重合、塊状重合、溶液重合いずれの方法でも製造することができるが、特に、該重合体から形成される被膜の性状を前記の如く調整することが容易である点から、水性媒体中で行う懸濁重合または乳化重合で実施することが好ましい。
特に、(メタ)アクリレート類を含有する重合性単量体成分を、水性媒体が存在する反応容器に一括して仕込み乳化重合すると、本発明が目的とする被膜性能を発現し得るアクリル系重合体水性分散液が容易に得られるため好ましい。
一方、アクリル系重合体の乳化重合によって製造する際には、単量体成分が重合する際の発熱量が大きいため、特に、単量体成分を一括して仕込むと重合発熱の制御が難しくなる。特に、重合発熱の制御を行わずに単量体成分を一括して仕込み乳化重合を行う場合は、重合系内の温度が重合媒体である水の沸点を大幅に越えて高温になる場合があり、通常のアクリル系重合体を乳化重合で製造する際に使用されているコンデンサー付属反応容器の場合は、反応容器から内容物が吹き出す危険性や、反応容器内が沸騰することにより凝集物が多量に発生するという欠点があるため、反応容器として密閉型圧力反応容器を使用すると、前記の危険性が回避できるため好ましい。ここで、密閉型圧力反応容器とは、オートクレーブのような耐圧性の密閉型反応容器を指し、攪拌機、加減圧装置、不活性ガス導入口が付属していることが好ましい。
本発明のアクリル系重合体水性分散液の固形分濃度は、特に制限されるものではないが、製造時の作業性や輸送コストという点、及びアクリル系重合体水性分散液を乾燥して使用する際の乾燥性に優れるという点から、固形分濃度が40〜70重量%であることが好ましい。
本発明のアクリル系重合体水性分散液には、必要に応じて水溶性、或いは水分散性の架橋剤を添加して使用することができる。この場合、架橋剤としては、例えば、多官能性メラミン化合物、多官能性ポリアミン化合物、多官能性ポリエチレンイミン化合物、多官能性(ブロック)イソシアネート化合物、金属塩化合物等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物として使用することができる他に、水溶性または水分散性の熱硬化性樹脂、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等を混和して使用することもできる。
また、必要に応じて、充填剤、顔料、pH調整剤、皮膜形成助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等の種々のものを適宜添加して使用することができる。
本発明のアクリル系重合体水性分散液は、被覆剤や接着剤として使用した場合に、常温での硬度に優れ、且つ感温性が小さく、重合体のガラス転移温度より低い温度においても柔軟性を有する被膜を形成するため、その用途は多技に渡るが、塗料、プライマー処理剤、接着剤、フィルムコーティング剤、繊維加工用樹脂(織編物や不織布用バインダー・被覆剤、植毛加工用バインダー等)、紙加工(含浸、塗工)用樹脂、ガラス繊維加工用樹脂(ガラス繊維集束剤、ガラスペーパー用バインダー、ガラス繊維被覆剤等)、モルタル改質用樹脂等として利用できる。特に、塗料、インキ、ニス、フィルムコーティング、接着、繊維加工用樹脂、紙加工用樹脂等の応用分野で利用される用途において、記述の通り極めて優れた効果を発現する。
本発明のガラス転移開始温度とガラス転移終了温度との差が40〜150℃の範囲にあるアクリル系重合体水性分散液の製造方法(以下、アクリル系重合体水性分散液の製造方法と記す。)で、密閉型圧力反応容器を使用して、単量体成分を乳化重合する際、密閉型圧力反応容器内の圧力を水性媒体と前記重合性単量体成分の混合物の蒸気圧を越える状態に保って反応すると、反応容器内が沸騰することにより凝集物が多量に発生するという欠点が回避できるため好ましい。この場合、不活性ガスを密閉型圧力反応容器に加圧充填してもよい。なお、ここで用いる単量体成分とは、前記アクリル系重合体水性分散液を得るときに用いるものと同一である。
前記アクリル系重合体水性分散液の製造方法で得られるアクリル系重合体水性分散液は、該重合体から形成される被膜が、ガラス転移温度(実測Tg)より20℃高い温度条件下での引張試験における被膜の伸び率(e1)とガラス転移温度(実測Tg)より20℃低い温度条件下での被膜の引張試験における伸び率(e2)との比(e2)/(e1)が0.3〜1.0であり、且つ、25℃での被膜の引張試験におけるヤング率が10MPa以上であることが好ましい。
また、反応系内の圧力は、反応開始時の密閉型圧力反応容器内の圧力を常圧以上に制御されていれば、特に限定されないが、反応容器内の圧力を反応容器内液(水性媒体と単量体成分の混合物)の蒸気圧以上の圧力になるように維持することが、反応容器内液の沸騰を抑制でき、その結果、凝集物の発生を防止できることから好ましい。また、その加圧の度合は、水性媒体と単量体成分の混合物の組成や濃度によるが、一般に0〜10MPaの範囲が好ましく、更に0.1〜1.5MPaが好ましい。なお、圧力とは、絶対圧力を意味するのではなく、常圧を0MPaにした差圧をいう。
前記アクリル系重合体水性分散液の製造方法では、密閉型圧力反応容器内で単量体成分の乳化重合を行うため、乳化重合時の容器内温度は特に制限を受けず、例えば、媒体である水の沸点を越える条件下でも安全に乳化重合することが可能である。通常のアクリル系重合体を乳化重合で製造する際に使用されているコンデンサー付属反応容器の場合は、前述の如く反応容器内が沸騰すると、反応容器から内容物が吹き出す危険性や、反応容器内が沸騰することにより凝集物が多量に発生するという欠点があるが、密閉型圧力反応容器を使用すると、必要に応じて、内容物が沸騰しないように制御することも可能なためこれらの問題点が回避できる。特に、高温(水性媒体と単量体成分の混合物の沸点以上の温度)で乳化重合する場合には、反応容器内を不活性ガスで加圧すると、反応容器内の沸騰を抑制でき、その結果、凝集物の発生を軽減できる点から好ましい。
前記アクリル系重合体水性分散液の製造方法において、単量体成分を乳化重合する際の水性媒体としては、特に限定されるものではないが、水のみを使用してもよいし、或いは、水と水溶性溶剤の混合溶液を使用してもよい。ここで用いる水溶性溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類、N−メチルピロリドン等の極性溶剤が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物が使用できる。
水と上記水溶性溶剤の混合物を使用する場合の上記水溶性溶剤の使用量は、重合時の安定性の点から任意に選択することができるが、得られるアクリル系重合体水性分散液の引火の危険性、及び安全衛生の面から水溶性溶剤の使用量は極力少なくすることが好ましい。これらの理由から、水単独で使用することが特に好ましい。
次に、単量体成分を水性媒体中で乳化重合する際には、乳化剤やその他の分散安定剤を使用して重合することができる。ここで、本発明で使用できる乳化剤としては、陰イオン性乳化剤、非イオン性乳化剤、陽イオン性乳化剤の公知のものが使用できる。本発明で使用する陰イオン性乳化剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩等が挙げられ、非イオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。
更に、一般的に「反応性乳化剤」と称される重合性不飽和基を分子内に有する乳化剤を使用することもできる。本発明で使用できる反応性乳化剤としては、例えば、スルホン酸基及びその塩を有する「ラテムルS−180」(花王(株)製)、「エレミノールJS−2、RS−30」(三洋化成工業(株)製)等;硫酸基及びその塩を有する「アクアロンHS−10、HS−20、KH−05、KH−10」(第一工業製薬(株)製)、「アデカリアソープSE−10、SE−20、SR−10N、SR−20N」(旭電化工業(株)製)等;リン酸基を有する「ニューフロンティアA−229E」(第一工業製薬(株)製)等;非イオン性親水基を有する「アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50、ER−10、ER−20、ER−30、ER−40」(第一工業製薬(株)製)等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物が使用できる。
また、本発明で使用することのできる乳化剤以外のその他の分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、繊維素エーテル、澱粉、マレイン化ポリブタジエン、マレイン化アルキッド樹脂、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリルアミド、水性アクリル樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性ポリアミド樹脂、水性ポリウレタン樹脂等の合成或いは天然の水溶性高分子物質が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。
また、密閉型圧力反応容器内の液中の溶存酸素濃度は、酸素濃度3ppm以下とした条件下で乳化重合すると、酸素によるラジカル重合の阻害を回避でき、乳化重合が円滑に進行してアクリル系重合体水性分散液を効率良く生産できるため好ましい。密閉型反応容器内の液中の溶存酸素濃度を低下させる方法としては、水性媒体(必要に応じて乳化剤)と単量体成分、重合開始剤を各々別の容器で溶存酸素を低下させた後、これらを混合する方法や、水性媒体、単量体成分、重合開始剤を密閉型圧力反応容器に仕込んだ後、溶存酸素を低下させる方法が挙げられ、使用する装置に応じ適宜、方法を選択することができるが、何れの方法においても、乳化重合開始時の密閉型圧力反応容器内の液中の溶存酸素濃度を3ppm以下とすることが好ましい。具体的に、液中(水性媒体、或いは場合によっては乳化剤を含んだ水性媒体、及び単量体成分、及び重合開始剤の溶液等の混合物)の溶存酸素濃度を低下させる方法としては、具体的には、(1)容器内を攪拌下、容器の一方の口から不活性ガスを連続的に吹き込み、またはバブリングし、もう一方の口から不活性ガスと酸素を吹き出しながら溶存酸素濃度を低下させる方法、(2)容器内を攪拌下、一旦容器内の液体を沸騰させた後、不活性ガス雰囲気下で冷却することにより溶存酸素濃度を低下させる方法、(3)容器内を攪拌下、容器内に不活性ガスを加圧充填した後、容器内の圧力を下げることで容器内の酸素の分圧を低くして溶存酸素濃度を低下させる方法等が挙げられる。これらの内、容器内の液中の溶存酸素を低下させるには、(3)不活性ガスを加圧充填した後、容器内の圧力を下げる操作を繰り返す方法が効率良く容器内の液中の溶存酸素を低下できるため好ましい。不活性ガスを加圧充填した後、容器内の圧力を下げる工程は、2〜10回繰り返すことが好ましく、この工程の繰り返し回数が多いほど溶存酸素濃度が低くなるが、10回を越えると溶存酸素濃度が低下し難くなるため、溶存酸素除去効率は悪くなる。
不活性ガスを密閉型圧力反応容器に加圧充填する場合、例えば、溶存酸素濃度を3ppm以下にするのに要する上記の加圧充填操作の繰り返し回数が少なくて済むことから0.1〜2.0MPa、好ましくは0.2〜1.5MPaの圧力で不活性ガスを充填することが好ましい。また、反応容器内の圧力を下げる場合、例えば、その減圧度は、溶存酸素濃度を3ppm以下にするのに要する容器内の圧力を下げる操作の繰り返し回数が少なくて済むことから、−0.04〜−0.09MPaまで減圧することが好ましい。さらに、単量体成分の乳化重合時の反応容器内の圧力は、密閉型圧力反応容器内の圧力が水性媒体と前記重合性単量体成分の混合物の蒸気圧を越える状態であれば特に限定されず、後述する乳化重合時の反応温度に応じて、常圧で、或いは不活性ガスで加圧して乳化重合を実施することができる。ここでいう圧力とは、前述と同様に絶対圧力を意味するのではなく、常圧を0MPaにした差圧をいう。また、不活性ガスとしては、窒素ガスやヘリウム、アルゴン等の希ガスを挙げることができ、これらを1種以上混合して使用してもよい。不活性ガスの種類としては、特に窒素ガスが、経済性、汎用性の点から好ましい。不活性ガスの純度は、通常、95容量%以上、好ましくは98容量%以上である。
本発明では、乳化重合時の重合温度には制限を受けないが、特に、得られるアクリル系重合体水性分散液の分子量を高め、得られる被膜の強度を高めたい場合には、低温から乳化重合を開始することが好ましい。具体的には、重合が円滑に進行し易いことから10℃以上、高分子量重合体が得られ易いことから50℃以下の温度から乳化重合を開始することが好ましい。なお、(メタ)アクリレートの含有量が低くかったり、反応時の発熱が少なかったりする場合は、上記の温度範囲よりも高い範囲で反応を開始させてもよい。
本発明で乳化重合の際に用いる重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が用いられる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩類、有機過酸化物類、過酸化水素等が挙げられる。
単量体成分の乳化重合では、これら過酸化物のみを用いてラジカル重合するか、或いは上記過酸化物に還元剤を併用したレドックス系重合開始剤によっても、得ることができる。
また、さらに重合開始剤として、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ系開始剤を使用することもできる。前記重合開始剤の中でも、特に、過硫酸塩類及び/または有機過酸化物類と還元剤とを併用したレドックス系重合開始剤が、低い温度でも乳化重合を円滑に進行させることができ、前述の如く高分子量のアクリル系重合体水性分散液を得たい場合には、10〜50℃の範囲内の温度から乳化重合を開始することができるため好ましい。
過硫酸塩類として、具体的には、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられ、有機過酸化物類として、具体的には、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類等が挙げられる。
また、上記のレドックス重合開始剤系に使用する還元剤としては、例えば、アスコルビン酸及びその塩、エリソルビン酸及びその塩、酒石酸及びその塩、クエン酸及びその塩、ホルムアルデヒドスルホキシラートの金属塩、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、塩化第二鉄等が挙げられる。
これらの重合開始剤の使用量は、重合が円滑に進行する量を使用すれば良いが、得られるアクリル系重合体水性分散液の被膜等に耐水性が求められる場合には、その使用量を極力少なくすることが好ましく、その使用量は単量体成分の重量に対して、0.3重量%以下(還元剤を併用するレドックス系重合開始剤の場合は酸化剤と還元剤の合計量)とすることが好ましい。
本発明において、アクリル系重合体水性分散液の分子量を調整する必要がある場合は、単量体成分を乳化重合する際に分子量調整剤として連鎖移動能を有する化合物、例えば、ラウリルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸、チオグリセリン等のメルカプタン類、またはα−メチルスチレン・ダイマー等を添加してもよい。
以下、本発明を実施例と比較例により、一層、具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。以下において、特に断らない限り、「%」は重量%、「部」は重量部をそれぞれ示すものとする。
[ガラス転移開始温度、ガラス転移温度終了温度の測定方法]
アクリル系重合体水性分散液を乾燥後の膜厚が0.5mmとなるようにガラス板に塗工し、40℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離し、更に140℃で5分間乾燥したものを試料とし、直径5mm、深さ2mmのアルミニウム製円筒型セルに試料約10mgを秤取し、TAインスツルメント社製のDSC−2920モジュレイテッド型示差走査型熱量計を用い、予め転移温度より約100℃低い温度で装置が安定するまで保持した後、加熱速度毎分20℃で転移温度終了時よりも約50℃高い温度まで加熱し、DSC曲線を描かせて測定した。ガラス転移開始温度、ガラス転移終了温度は、日本工業規格JIS「プラスチックの転移温度測定方法」K7121に記載の方法に準じて決定した。
[ガラス転移温度(実測Tg)の測定方法]
ガラス転移温度(実測Tg)は、前記の示差走査型熱量計で測定したDSC曲線を基に、日本工業規格JIS、「プラスチックの転移温度測定方法」K7121に記載の方法に準じて決定した。また、ガラス転移温度(実測Tg)が2点、或いは2点以上ある場合は、最も低温側のガラス転移温度と、最も高温側のガラス転移温度の中間点を、ガラス転移温度として決定した。
[ガラス転移温度(実測Tg)より20℃高い温度条件下での引張試験での伸び率(e1)の測定方法]
アクリル系重合体水性分散液を乾燥後の膜厚が0.5mmとなるようにガラス板に塗工し、40℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離し、更に140℃で5分間乾燥したものを2号ダンベルで打ち抜き試料とした。この試料を用いて、オリエンテック社製テンシロンRTM−100型引張試験機にて、前記測定方法による被膜のガラス転移温度(実測Tg)より20℃高い温度の雰囲気下で、クロスヘッドスピード200mm/分で引張試験を実施した時の最大伸度を測定して決定した。
[ガラス転移温度(実測Tg)より20℃低い温度条件下での引張試験での伸び率(e2)の測定方法]
アクリル系重合体水性分散液を乾燥後の膜厚が0.5mmとなるようにガラス板に塗工し、40℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離し、更に140℃で5分間乾燥したものを2号ダンベルで打ち抜き試料とした。この試料を用いて、オリエンテック社製テンシロンRTM−100型引張試験機にて、前記測定方法による被膜のガラス転移温度(実測Tg)より20℃低い温度の雰囲気下で、クロスヘッドスピード200mm/分で引張試験を実施した時の最大伸度を測定して決定した。
[伸び率の比]
ガラス転移温度(実測Tg)より20℃高い温度条件下での引張試験における伸び率(e1)を基準として、ガラス転移温度(実測Tg)より20℃低い温度条件下での引張試験における伸び率(e2)の比は、前記測定方法による伸び率を使用して下記式にて求めた。
伸び率の比=実測Tgより20℃低い条件下の伸び率(e2)/実測Tgより20℃高い条件下の伸び率(e1)
[測定温度25℃での引張試験でのヤング率の測定方法]
アクリル系重合体水性分散液を乾燥後の膜厚が0.5mmとなるようにガラス板に塗工し、40℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離し、更に140℃で5分間乾燥したものを2号ダンベルで打ち抜き試料とした。この試料を用いて、オリエンテック社製テンシロンRTM−100型引張試験機にて、25℃の雰囲気下で、クロスヘッドスピード200mm/分で引張試験を実施した時のチャートの原点と、伸び率が2.5%時の応力から概算したヤング率を測定して決定した。
実施例1
攪拌機、加圧が可能な窒素導入管、減圧管(減圧ポンプ)、原料仕込口、温度計を備えた内容積が2Lの密閉型圧力反応容器に、25℃の脱イオン水400部を仕込み、攪拌下、窒素導入管から窒素ガスを反応容器に導入し、1分間かけて反応容器内圧力が0.3MPaになるように加圧した。その後、減圧管から減圧ポンプを使用して、5分間かけて反応容器内圧力が−0.08MPaになるように減圧した。この操作を3回繰り返した後、反応容器内の脱イオン水の溶存酸素濃度を測定したところ、0.5ppmであった。反応容器内を攪拌下、アクアロンKH−10[第一工業製薬(株)製:有効成分100%]2部、ブチルアクリレート228部、メチルメタクリレート152部、グリシジルメタクリレート8部、メタクリル酸12部を仕込んだ。引き続き、重亜硫酸ナトリウムの4.8%水溶液8.4部を仕込み、窒素導入管から窒素ガスを反応容器に導入し、1分間かけて反応容器内圧が0.3MPaになるように加圧した。その後、減圧管から減圧ポンプを使用して、5分間かけて反応容器内圧力が−0.08MPaになるように減圧し、この操作を3回繰り返し、その後、反応容器圧力を0.2MPaに加圧した。この間に反応容器内温度を30℃に調整した。
次に、内容積が0.2Lの別の密閉型圧力容器に、過硫酸アンモニウムの4.8%水溶液8.4部を仕込み、10秒間かけて容器内圧力が0.3MPaになるように加圧した。その後、減圧管から減圧ポンプを使用して、20秒間かけて容器内圧力が−0.08MPaになるように減圧し、この操作を3回繰り返し、その後、容器内圧力を0.15MPaに加圧した。
密閉型圧力反応容器内の温度が30℃であることを確認後、原料仕込口に過硫酸アンモニウムが入った圧力容器を設置し、過硫酸アンモニウム水溶液を密閉型圧力反応容器内に圧入した。過硫酸アンモニウム水溶液の圧入直後から、反応容器内温度の上昇が始まり、乳化重合が開始したことを確認した。乳化重合開始から25分後に反応容器内温度の上昇が122℃で停止した。この間、反応容器の温度調整操作は行わなかった。その後、反応容器内温度を85℃に調整して120分間保持した。その後、内容物を冷却し、反応容器内圧力を常圧に戻した後、アンモニア水(有効成分10%)でpHを7.5に調整し、200メッシュ金網で濾過して、アクリル系重合体水性分散液を含有するアクリル系重合体水性分散液を得た。ここで得られた本発明のアクリル系重合体水性分散液は、固形分濃度48.6%、粘度650mPa・sであった。
ここで得られたアクリル系重合体水性分散液の被膜のガラス転移開始温度は−37℃、ガラス転移終了温度は43℃であった。DSC曲線を基に求めたガラス転移温度(実測Tg)は3℃であった。ガラス転移温度(実測Tg)より20℃高い温度条件下での引張試験として23℃雰囲気下で引張試験を実施して測定した伸び率は480%であった。また、ガラス転移温度(実測Tg)より20℃低い温度条件下での引張試験として−17℃雰囲気下で引張試験を実施して測定した伸び率は280%であり、伸び率の比は0.58であった。また、測定温度25℃での引張試験でのヤング率は73MPaであった。
実施例2
実施例1で使用した原料を用い、乳化重合の開始温度を60℃とし、重合開始剤として還元剤:重亜硫酸ナトリウムの水溶液を使用しないこと、単量体成分の乳化重合開始時の反応容器内圧力を0.3MPa(70℃)とした以外は全て実施例1と同じ操作で重合を行った。
その結果、過硫酸アンモニウム水溶液の圧入直後から21分後、反応容器内温度の上昇が始まり、乳化重合が開始したことを確認した。乳化重合開始から28分後に反応容器内温度の上昇が145℃で停止した。この間、反応容器の温度調整操作は行わなかった。その後、反応容器内温度を85℃に調整して120分間保持した。その後、内容物を冷却し、反応容器内圧力を常圧に戻した後、アンモニア水(有効成分10%)でpHを7.5に調整し、200メッシュ金網で濾過して、アクリル系重合体水性分散液を含有するアクリル系重合体水性分散液を得た。ここで得られた本発明のアクリル系重合体水性分散液は、固形分濃度48.2%、粘度400mPa・sであった。
ここで得られたアクリル系重合体水性分散液の被膜のガラス転移開始温度は−34℃、ガラス転移終了温度は30℃であった。DSC曲線を基に求めたガラス転移温度(実測Tg)は−1℃であった。ガラス転移温度(実測Tg)より20℃高い温度条件下での引張試験として19℃雰囲気下で引張試験を実施して測定した伸び率は390%であった。また、ガラス転移温度(実測Tg)より20℃低い温度条件下での引張試験として−21℃雰囲気下で引張試験を実施して測定した伸び率は210%であり、伸び率の比は0.54であった。また、測定温度25℃での引張試験でのヤング率は55MPaであった。
実施例3
単量体混合物としてブチルアクリレート232部、メチルメタクリレート156部、グリシジルメタクリレート4部、メタクリル酸12部を使用したこと以外は全て実施例1と同じ操作でアクリル系重合体水性分散液を含有するアクリル系重合体水性分散液を製造した。ここで得られたアクリル系重合体水性分散液は、固形分濃度48.5%、粘度1200mPa・sであった。
ここで得られたアクリル系重合体水性分散液の被膜のガラス転移開始温度は−53℃、ガラス転移終了温度は47℃であった。DSC曲線を基に求めたガラス転移温度(実測Tg)は−3℃であった。ガラス転移温度(実測Tg)より20℃高い温度条件下での引張試験として17℃雰囲気下で引張試験を実施して測定した伸び率は670%であった。また、ガラス転移温度(実測Tg)より20℃低い温度条件下での引張試験として−23℃雰囲気下で引張試験を実施して測定した伸び率は430%であり、伸び率の比は0.64であった。また、測定温度25℃での引張試験でのヤング率は51MPaであった。
実施例4
単量体混合物としてブチルアクリレート160部、メチルメタクリレート224部、グリシジルメタクリレート4部、メタクリル酸12部を使用したこと以外は全て実施例1と同じ操作でアクリル系重合体水性分散液を含有するアクリル系重合体水性分散液を製造した。ここで得られたアクリル系重合体水性分散液は、固形分濃度48.3%、粘度500mPa・sであった。
ここで得られたアクリル系重合体水性分散液の被膜のガラス転移開始温度は10℃、ガラス転移終了温度は84℃であった。DSC曲線を基に求めたガラス転移温度(実測Tg)は48℃であった。ガラス転移温度(実測Tg)より20℃高い温度条件下での引張試験として68℃雰囲気下で引張試験を実施して測定した伸び率は40%であった。また、ガラス転移温度(実測Tg)より20℃低い温度条件下での引張試験として28℃雰囲気下で引張試験を実施して測定した伸び率は20%であり、伸び率の比は0.50であった。また、測定温度25℃での引張試験でのヤング率は760MPaであった。
比較例1
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水290部、アクアロンKH−10[第一工業製薬(株)製:有効成分100%]1部を入れ、窒素を吹き込みながら85℃まで昇温した。撹拌下、過硫酸アンモニウム0.02部を添加し、続いてn−ブチルアクリレート228部、メチルメタクリレート152部、グリシジルメタクリレート8部、メタクリル酸12部からなる単量体混合物に、アクアロンKH−10[第一工業製薬(株)製:有効成分100%]3部と脱イオン水80部を加えて乳化させたモノマープレエマルジョンの一部(10部)を添加し、反応容器内温度を85℃に保ちながら60分間で重合させた。引き続き、反応容器内温度を85℃に保ちながら、残りのモノマープレエマルジョン(473部)と、過硫酸アンモニウムの1.0%水溶液40部を、各々別の滴下漏斗を使用して、反応容器内温度を85℃に保ちながら240分間かけて滴下して重合せしめた。滴下終了後、同温度にて120分間撹拌し、内容物を冷却した後、アンモニア水(有効成分10%)でpHを7.5に調整し、200メッシュ金網で濾過して、アクリル系重合体水性分散液を得た。ここで得られたアクリル系重合体水性分散液は、固形分濃度48.8%、粘度200mPa・sであった。
ここで得られたアクリル系重合体水性分散液の被膜のガラス転移開始温度は−6℃、ガラス転移終了温度は10℃であった。DSC曲線を基に求めたガラス転移温度(実測Tg)は2℃であった。ガラス転移温度(実測Tg)より20℃高い温度条件下での引張試験として22℃雰囲気下で引張試験を実施して測定した伸び率は510%であった。また、ガラス転移温度(実測Tg)より20℃低い温度条件下での引張試験として−18℃雰囲気下で引張試験を実施して測定した伸び率は5%であり、伸び率の比は0.01であった。また、測定温度25℃での引張試験でのヤング率は6MPaであった。
比較例2
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水290部、アクアロンKH−10[第一工業製薬(株)製:有効成分100%]1部を入れ、窒素を吹き込みながら85℃まで昇温した。撹拌下、過硫酸アンモニウム0.02部を添加し、続いてn−ブチルアクリレート168部、メチルメタクリレート20部、メタクリル酸12部からなる単量体混合物に、アクアロンKH−10[第一工業製薬(株)製:有効成分100%]3部と脱イオン水60部を加えて乳化させたモノマープレエマルジョン(前記モノマーと乳化剤と水でモノマーを乳化状態にしたものを云う)の一部(5部)を添加し、反応容器内温度を85℃に保ちながら60分間で重合させた。引き続き、反応容器内温度を85℃に保ちながら、残りのモノマープレエマルジョン(258部)と、過硫酸アンモニウムの1.0%水溶液20部を、各々別の滴下漏斗を使用して、反応容器内温度を85℃に保ちながら180分間かけて滴下して重合せしめた。滴下終了後、同温度にて120分間撹拌し、その後、反応容器内温度を85℃に保ちながら、アンモニア水(有効成分10%)15部を30分間かけて滴下した。
引き続き、反応容器内温度を85℃に保ちながら、n−ブチルアクリレート60部、メチルメタクレート132部、グリシジルメタクリレート8部からなる単量体混合物と、過硫酸アンモニウムの1.0%水溶液20部を、各々別の滴下漏斗を使用して、反応容器内温度を85℃に保ちながら180分間かけて滴下して重合せしめた。滴下終了後、同温度にて120分間撹拌し、内容物を冷却した後、pHが7.5になるようにアンモニア水(有効成分10%)で調整し、200メッシュ金網で濾過して、本発明のアクリル系重合体水性分散液を得た。ここで得られたアクリル系重合体水性分散液は、固形分濃度48.9%、粘度180mPa・sであった。
ここで得られたアクリル系重合体水性分散液の被膜のガラス転移温度は2点計測され、低温側のガラス転移開始温度は−34℃、ガラス転移終了温度は−12℃、高温側のガラス転移開始温度は29℃、ガラス転移終了温度は58℃であった。DSC曲線を基に求めたガラス転移温度(実測Tg)は、低温側のガラス転移温度が−23℃、高温側のガラス転移温度が45℃であった。この被膜全体のガラス転移温度は、低温側のガラス転移温度−22℃と、高温側のガラス転移温度45℃の中間点である11℃と決定した。
ガラス転移温度(実測Tg)より20℃高い温度条件下での引張試験として31℃雰囲気下で引張試験を実施して測定した伸び率は450%であった。また、ガラス転移温度(実測Tg)より20℃低い温度条件下での引張試験として−9℃雰囲気下で引張試験を実施して測定した伸び率は100%であり、伸び率の比は0.22であった。また、測定温度25℃での引張試験でのヤング率は46MPaであった。
第1表中の略号の正式名称を下記に示す。
n−BA;n−ブチルアクリレート
MMA;メチルメタクリレート
MAA;メタクリル酸
GMA;グリシジルメタクリレート
Figure 0004529070

Claims (2)

  1. アルキル基の炭素数が1〜12の範囲にある(メタ)アクリレートとしてブチル(メタ)アクリレート及び/またはメチル(メタ)アクリレートを単量体成分全体に対して50重量%以上含み、かつ、カルボキシル基を含有する単量体として(メタ)アクリル酸を含む単量体成分を乳化重合することによって得られるガラス転移開始温度とガラス転移終了温度との差が40〜150℃の範囲にあるアクリル系重合体を含有するアクリル系重合体水性分散液の製造方法であって、前記単量体成分を水性媒体が存在する密閉型圧力反応容器に一括して仕込み、前記密閉型圧力反応容器内の液中の溶存酸素濃度を3ppm以下とし、前記密閉型圧力反応容器内の圧力を水性媒体と前記重合性単量体成分の混合物の蒸気圧を超える状態に加圧して乳化重合することを特徴とするアクリル系重合体水性分散液の製造方法。
  2. 前記アクリル系重合体水性分散液から形成される被膜が、ガラス転移温度(実測Tg)より20℃高い温度条件下での引張試験における被膜の伸び率(e1)とガラス転移温度(実測Tg)より20℃低い温度条件下での被膜の引張試験における伸び率(e2)との比(e2)/(e1)が0.3〜1.0であり、且つ、25℃での被膜の引張試験におけるヤング率が10MPa以上である請求項記載のアクリル系重合体水性分散液の製造方法。
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