JP2008125146A - 駆動装置及びその制御方法、並びにプログラム及び記憶媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動波モータが長時間放置されても、短時間で速度プロファイルの追従性が良好となる駆動装置を提供する。
【解決手段】パンチルトカメラ1は、振動波モータ7、16の停止時間を計測し、規定時間を経過した場合に、振動波モータ7、16により駆動される回転板12を端部に突当るまで振動波モータ7、16を駆動する。更に、高速回転駆動時の駆動周波数信号を振動波モータ7、16に与える。この制御はCPU60によってなされる。
【選択図】図8

Description

本発明は振動波モータを駆動源とする駆動装置に関し、特に、振動体に発生させた進行性振動波により、振動体と該振動体に加圧接触した部材とを相対運動させる振動波モータを長時間停止させた時の駆動特性を安定させる技術に特徴のある駆動装置に関する。
近年、社会生活における安全性への不安に対し、セキュリティの確保と防犯等の観点から監視カメラが公共の場やオフイス・店舗・駐車場のみならず家庭へも普及してきている。
監視目的に利用されるカメラとしては、雲台を具備し、レンズを搭載したカメラヘッドをパン、チルト方向へ移動させ、対象物を撮影する機能を搭載しているものがある。駆動源としては、コストが比較的安価であることや制御が容易であること等からDCモータやパルスモータが広く採用されている。
また、監視目的で不審者等の速い動きを追いかけるために、雲台を高速かつ短時間で移動させる所謂追尾機能が求められており、高トルク且つ小型の駆動源が必要となっている。また、雲台を具備した監視カメラは、ネットワークを介して遠隔操作で利用されることが多く、ネットワークケーブルを電源供給線として兼用し、専用電源線を持たない方式も採用され始めている。
上記の監視カメラには、省電力の観点から、雲台の停止時に保持トルク発生のための電力を必要としないモータを搭載するのが望ましい。しかしながら、DCモータやパルスモータのような電磁モータは、位置保持のために電力を消費してしまい省電力化の妨げとなっている。
上述の問題を解決し、高速化、省電力化を達成する駆動源として振動波モータがある。振動波モータは、電気−機械エネルギ変換素子からなる振動子に進行性振動波を印加し、該振動子に加圧接触した回転子との間に摩擦力を生じさせ、相対移動させるモータである。
振動波モータは、小型でも発生するトルクが大きいため加速特性が良いこと、回転子と振動子が摩擦状態にあるため停止時にも保持力があり、電磁モータのように保持トルク発生のための電力消費がないという特徴がある。
上記のように、振動波モータを監視カメラに採用した場合、良好な加速度特性を得ることができ、且つ良好な速度制御を行うことができる。停止時には摩擦による自己保持トルクで位置の固定ができ省電力化が可能となる。また、雲台の駆動源に振動波モータを使用した場合、高速動作時は速度プロファイルに対し追従性は良好である。
図11は、振動波モータの速度プロファイルを示す図である。
図11を用いて速度プロファイルと追従性について概説する。図11は、更に具体的には、振動波モータが回転を始めてからの時間と回転速度の関係を表したグラフである。
図11において、台形の実線で示す特性は、時間と共に、速度が増加し目標速度に達したところで一定の速度となり、所定の時間から減速に至ることを示している。ここでは、この加速、定速、減速が時間軸に対し設定した速度を正確に追従できる場合を、速度プロファイル追従性が良好であると表現し、例えば実線で示した台形の如くとなる。
図11の点線で示すような場合、加速時にはオーバーシュートとなり、また、減速時には急激に停止するため衝撃が大きくなる。このような場合は、台形の速度プロファイルを追従できず、速度プロファイルの追従性が悪いと表現する。
振動波モータを用いた雲台式監視カメラにおいて、長時間定点を監視し続ける場合、長時間モータを動作させず停止状態となる。そのため、モータを構成する振動子とこれに圧接する回転子の接触部分がモータ環境雰囲気中の水分等の影響により摩擦状態が変化し、発生するトルクが減少してしまう。
その結果、長時間放置の後に振動波モータを駆動させた場合、振動子と回転子との摩擦が定常摩擦状態になるまでの間は、速度プロファイルの追従性と位置決め精度が悪化してしまうという問題がある。
このような振動波モータの長時間停止による駆動時の状態変化に対し、速度プロファイルの追従性を悪化させることなく、安定して振動波モータを駆動させるための提案がなされている。
例えば、振動波モータを長期間停止状態にした際に生ずる振動波モータの固着に対して、振動波モータの非作動継続時間を計測するタイマを用い、その計測時間に応じて振動波モータを作動させる技術が提案されている(特許文献1参照)。
特開平10−191662号公報
しかしながら、上記従来技術では、モータ駆動に伴い、雲台上のカメラ部が何度も往復運動し続けるため、ユーザーは『カメラが暴走した』と誤解することも考えられる。
本発明の目的は、振動波モータが長時間放置されても、短時間で速度プロファイルの追従性が良好となる駆動装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の駆動装置は、振動波モータを備える駆動装置において、前記振動波モータの停止時間が第1の規定時間以上か否かを判断する停止時間判断手段と、前記停止時間判断手段によって前記第1の規定時間以上であると判断された場合、前記振動波モータにより移動される移動物体を移動範囲の端部まで移動するように前記振動波モータを回転させるための回転命令を発信する回転命令発信手段と、前記端部まで移動した前記移動物体が更に回転を続けるように、前記振動波モータに駆動周波信号を印加する駆動周波信号印加手段とを備えることを特徴とする。
請求項8記載の駆動装置の制御方法は、振動波モータを備える駆動装置の制御方法において、前記振動波モータの停止時間が第1の規定時間以上か否かを判断する停止時間判断ステップと、前記停止時間判断ステップによって前記第1の規定時間以上であると判断された場合、前記振動波モータにより移動される移動物体を移動範囲の端部まで移動するように前記振動波モータを回転させるための回転命令を発信する回転命令発信ステップと、前記端部まで移動した前記移動物体が更に回転を続けるように、前記振動波モータに駆動周波信号を印加する駆動周波信号印加ステップとを備えることを特徴とする。
請求項9記載の駆動装置の制御プログラムは、振動波モータを備える駆動装置の制御プログラムにおいて、前記振動波モータの停止時間が第1の規定時間以上か否かを判断する停止時間判断モジュールと、前記停止時間判断モジュールによって前記第1の規定時間以上であると判断された場合、前記振動波モータにより移動される移動物体を移動範囲の端部まで移動するように前記振動波モータを回転させるための回転命令を発信する回転命令発信モジュールと、前記端部まで移動した前記移動物体が更に回転を続けるように、前記振動波モータに駆動周波信号を印加する駆動周波信号印加モジュールとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
請求項10記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、請求項9記載の駆動装置の制御プログラムを格納する。
本発明の駆動装置は、振動波モータの停止時間を計測し規定時間を経過した場合に、振動波モータにより駆動される移動物体を端部に突当るまで振動波モータを駆動し、更に、高速回転駆動時の駆動周波数信号を振動波モータに与える。
従って、長時間停止状態においても移動物体が何度も往復運動することなく、短時間に振動波モータトルクの回復が実行でき、目標としている駆動時の速度プロファイルに対し、トレースの精度を向上させることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る駆動装置としてのパンチルトカメラの斜視図である。この図は、振動波モータ部が露出するよう外装部を省略し、本実施の形態の説明に必要のない部品は省いた図となっている。図2は、図1のパンチルトカメラの正面図であり、図3は、図1のパンチルトカメラの右側面図である。また、図4は、図3のA−A断面図である。
図1において、振動波モータを用いたパンチルトカメラ1は、カメラユニット2を備えている。カメラユニット2は、正面には画像を取り込むレンズ3が設けられ、軸4によりシャーシ9に回転可能に取り付けられている。軸4には傘歯ギア5が固定され、振動波モータであるチルトモータ7の回転軸にネジ留めされた傘歯ギア6と噛合っている。
また、チルトモータ7は、シャーシ9にネジ留めされた取付け板8にネジ留めされ、内部には角度検出用のエンコーダ7a(後述する図8に示す)を有している。シャーシ9は補強板10、11により補強され、回転板12に固定されている。
図2に示すように、回転板12には傘歯ギア14が固定され、振動波モータであるパンモータ16の回転軸にネジ留めされた傘歯ギア15と噛合っている。パンモータ16は、ベースプレート22に固定された取付け板20にネジ留めされ、内部には角度検出用のエンコーダを有している。
図4に示すように、回転板12の中心には軸21が固定され、軸21は、図2で示すベースプレート22に固定された軸受23に回転自由に挿入され、図3に示すEリング29によりスラスト方向の規制を受けている。
プリント基板25は、ベースプレート22にネジ留めされている。図3に示す遮蔽板12aは、回転板12の回転位置によりプリント基板25にはんだ付けされた透過型ホームポジションセンサ(パン用ホームポジションセンサ)24をON、OFFさせ、回転板12の初期位置等の検出を行っている。回転板12に一体に設けられた凸部12bは、回転板12が軸21を回転中心として回転すると、モータ取付け板20に凸部として一体に設けられたストッパー部20aに突当り、それ以上回転板12は回転できなくなる。
本実施の形態の場合、回転板12の回転可動範囲は、図4に示す位置からCW方向、CCW方向共に170°である。
図5は、図2のB−B断面図であり、図6は、図2のC−C断面図である。
図5において、軸受26は、軸4が挿入されており、シャーシ9に固定され、凸部26a、26bが一体に設けられている。軸4には凸部27aが一体に設けられた回転止27が圧入され、回転止27はカメラユニット2が軸4を回転中心として回転すると、カメラユニット2と一体に回転する。
そして、図5の位置からCCW方向へ30°回転したところで凸部27aが凸部26bに突当り、図5の位置からCW方向へ90°回転すると凸部27aが凸部26aに突当るように設計されている。
サブ基板28は、軸受26に固定され、裏側には図6に示す透過型(チルト用ホームポジションセンサ)30がはんだ付けされている。また、サブ基板28は、不図示のケーブルによりプリント基板25と電気的に接続されている。
図6において、カメラユニット2の外装カバー32は、透過型ホームポジションセンサ30と干渉しないように扇形の開口部32aが設けられている。遮蔽板31は、カメラユニット2と一体に設けられ、カメラユニット2の回転角度により透過型ホームポジションセンサ30をON、OFFさせ、カメラユニット2の初期位置等の検出に使用されている。
次に振動波モータに関して概説する。
図7は、振動波モータの一例を示す構成図である。
振動波モータは超音波領域周波数の機械振動を利用し、回転子を摩擦駆動させるものである。
図7において、電気−機械エネルギ変換素子(圧電素子)91は、2極に分極され、多重に積層され焼成されている。圧電素子91は2つの相、A相・B相が複数組放射状に交互に形成されている。振動子92は、圧電素子91に圧接され、圧電素子91からの振動を増幅する。
回転部材93は回転子94に固定され、バネ97により振動子92に加圧されている。回転子94には溝が形成され、その溝には軸95に圧入された伝達部材96が嵌合し、回転子94の回転運動を、伝達部材96を介して軸95へ伝えている。
このように、振動子92に対して回転部材93が常に加圧されているため、振動波モータは非通電時でも一定の保持トルクを有することが可能となる。
圧電素子91のA相・B相に、互いに90度の位相を持った2つの周波信号を印加することで、圧電素子91の電歪現象により微小な振動が発生し、振動子92の表面に進行波が生ずる。
振動子92表面の一点の動作を見ると、その点は楕円運動をしており、この楕円運動による摩擦力が運動対象物である回転部材93、回転子94へと伝達され、回転子94と伝達部材96が嵌合しているため、伝達部材96を介して軸95へ回転が伝達される。
ここで、長時間停止状態において振動波モータのトルクが減少してしまう理由について簡単に説明する。
通常回転時は、図7の点線拡大図の矢印C部において、回転部材93と振動子92の接触部は回転のため摩擦状態にあり乾燥状態である。しかし、長時間停止状態では、環境雰囲気中の水分子等が矢印Cの接触部に入り込み潤滑材の役目をなし、回転部材93と振動子92は滑りやすい状態となる。
このため、長時間停止していた場合、回転開始からの一定時間(定常摩擦状態になるまでの時間)は発生するトルクが減少し、前述したように速度プロファイル追従性を悪化させてしまう。
しかし、一定時間回転させると摩擦熱等により、潤滑材の役目をしていた水分子等が接触面から取り除かれ通常の摩擦状態となる。通常の摩擦状態になれば振動波モータ本来のトルクが得られるようになり、速度プロファイルの追従性も良好になる。
図8は、図1のパンチルトカメラの機能ブロック図である。
図8において、パンチルトカメラ1に内蔵されたプリント基板25には、マイクロコンピュータ56が接続さており、マイクロコンピュータ56からの命令によりパンモータ16、チルトモータ7は制御される。以下、プリント基板25の構成を動作と併せて説明する。
プリント基板25にはタイマ58、カウンタ59が搭載され、タイマ58は、パンチルトカメラ1の停止時間や、加減速時間等の計測を行い、カウンタ59は、エンコーダ7a、16aからの信号等を計測している。
メモリ57は、タイマ58やカウンタ59の情報等を保存し、必要に応じてCPU60等に情報を提供している。CPU60は、マイクロコンピュータ56からの回転命令やエンコーダ7a、16a、カウンタ59、タイマ58の情報等を基に駆動条件を決定し、モータドライバ61、62へ駆動情報を発している。
その駆動情報を受け取り、モータドライバ61、62はパンモータ16、チルトモータ7へ駆動信号を出力し、それぞれの振動波モータは駆動される。ホームポジションセンサ24、30は、それぞれ回転板12、カメラユニット2の原点を検出するために設けられ、電源投入時等にそれぞれのユニットを決められた方向へ回転させ、センサのON、OFF位置を検出することにより原点を決定している。また、温度を検出する温度センサ65、湿度を検出する湿度センサ66も有している。
図9は、図8のパンチルトカメラによって実行される振動波モータ長時間停止時処理の手順の第1の例を示すフローチャートである。
本処理は、図8におけるCPU60によって実行される。
尚、振動波モータとしてのパンモータ16とチルトモータ7は、それぞれが駆動するユニットの可動範囲が異なり、それに関連する一部の数値が異なるが同様な制御をしている。そのため、パンモータ16の制御に絞り説明する。
図9において、まず、ステップS1により、振動波モータの停止時間tを計測する(停止時間判断手段)。ステップS2おいて、停止時間tが規定時間T1以上かどうかを判断し、規定時間T1未満ならばステップS1に戻り、規定時間T1以上ならばステップS3へ進み、回復処理のモードへ入る。回復処理モードに入ると、ステップS4により、現在の回転板12の角度Aが170°以上かどうかの判断を行う。
ここで、回転板12の角度に関して説明する。図4において、この状態は回転板12の角度Aは約170°を表している。軸21を回転中心として、凸部12bがCCW方向に回転し、ストッパー部20aの右側面に突当った状態の角度が0°であり、その位置からCW方向へ回転した角度が回転板12の角度Aとなる。つまり、回転板12の角度Aが340°の時に凸部12bはストッパー部20aの左側面に突当ることになる。
ステップS4において、パンの角度Aが170°以上の場合、ステップS5へ進み、回転板12をCW方向へ回転させ、凸部12bがストッパー部20aの左側面に突当るまでパンモータ16を回転させる(回転命令発信手段)。ステップS6へ進み、更に、回転板12がCW方向へ高速回転する際の駆動周波信号をパンモータ16に規定T2時間発振し続ける(駆動周波信号印加手段)。
このときのパンモータ16の状態を図7により説明する。振動子92は高速回転するように進行波を発生しているため、軸95は停止しているが、振動子92と回転部材93との間では圧接しながら高速で滑っている状態となっている。そのため、摩擦により振動子92と回転部材93の間の水分等は消滅して行く。
ステップS7により、突き当てた状態で高速回転時の駆動周波信号を与え続け、駆動周波信号を発信している時間がT2時間に達したかどうかを判断する(印加時間判断手段)。T2時間に達していた場合はステップS9へ進み、回転板12を回復処理実行前の状態まで回転させるようパンモータ16を回転させる(移動物体復帰手段)。
続いてステップS11へ進み、停止時間をカウントしていたタイマ58をリセットし、ステップS12へ進み、終了命令があるかどうかを判断し、終了命令があれば、本処理は終了となる。終了命令がなければステップS1へ戻り、再び停止時間を計測する。
ステップS7において、突き当てた状態で駆動周波信号を発信していた時間が規定時間T2に達しない場合、ステップS8へ進み、パンモータ16に対して駆動命令があるかどうかを判断する。
駆動命令があればステップS10へ進み、駆動命令に従い所定の角度までパンモータ16を回転させ、ステップS11へ進み、停止時間をカウントするタイマ58をリセットする。駆動命令がない場合は、ステップS6へ戻り、高速回転のための駆動信号を発信し続ける。
ステップS4において、パンの角度が170°未満の場合はステップS13へ進み、回転板12を、凸部12bがストッパー部20aの右側面へ突当るまでCCW方向へ回転させ(回転命令発信手段)、ステップS14へ進む(駆動周波信号印加手段)。以下、ステップS14乃至S17において、ステップS4の角度が170°以上の場合と同様な処理を行うため説明を省略する。
尚、ステップS5、ステップS13、ステップS9の処理中に回転命令が発せられた場合はその命令に従い、ステップS5、ステップS13、ステップS9の処理を中断し、回転命令に従い、目標位置まで移動させるようにパンモータ16を回転させても構わない。
更にパンチルトカメラ1の電源投入時や、初期状態に戻すリセット時に強制的に上記回復処理をしても良い。その場合、電源ONの直後、回転板12が決められた方向へ340°以上回転するように、駆動周波信号をパンモータ16へ発信し、その後回復処理を規定時間T2行い、規定時間T2後、所定の位置まで移動するようにパンモータ16を制御すればよい。また、電源ONの直後に回転板12のホームポジション取りを行い、その後、図9のステップS3からの制御を行っても構わない。
図10は、図8のパンチルトカメラによって実行される振動波モータ長時間停止時処理の手順の第2の例を示すフローチャートである。
本処理は、図8におけるCPU60によって実行される。
振動波モータの特性は温度や湿度により変化する。従って、長時間停止による速度プロファイルの悪化も温度、湿度により変化する。例えば高湿環境下では、図7における振動子92と回転部材93の間に水分子が溜まり易くなるため、低湿環境下よりも短い時間で速度プロファイルが悪化する。
従って、図8における温度センサ65、湿度センサ66の情報を基に回復処理を開始するまでの停止時間T1を変化させても構わない。図11はその際の制御を表したフローチャートである。
図10において、ステップS21により、温度センサ65、湿度センサ66の情報から回復処理命令を発信するまでの停止時間T1を決定する。ステップS2において、決定された停止時間T1とパンモータ16の停止時間tとを比較し、T1よりもtが長ければステップS3に進み回復処理を開始する。以下、ステップS3乃至S17の処理は、図9のステップS3乃至S17と同様であるため説明は省略する。
また、回復処理を開始するまでの停止時間T1は固定にし、メカ端部に突き当てた状態で、振動波モータに高速回転時の駆動周波信号を発信し続ける時間T2を温度、湿度の情報を基に変化させても良い。
更に、回復処理を開始するまでの停止時間T1と、メカ端部に突き当てた状態で振動波モータに高速回転時の駆動周波信号を発信し続ける時間T2を固定し、ステップS6、ステップS14の処理で実行される高速回転時の駆動周波信号の周波数を変化させても良い。当然、T1、T2、周波数の2つまたは3つの条件を同時に変化させても良い。
また、上述したような振動波モータを長時間停止させた際に必要な回復処理は、急激な加減速を行わない場合は不必要となる場合もある。従って、長時間停止していてもこのような回復処理を行わないモードを選択可能にしても良い。
図9に示す第1の処理例、図10に示す第2の処理例では、回復処理を実施している最中に回転命令が発信された場合に回復処理を中断し、回転命令に従うように振動波モータを制御していた。
しかし、振動波モータの回復処理中に回転命令が発信された場合に、回復処理が終了してから回転命令に従うように制御してもよい。また、回復処理中に回転命令が発信した場合に回復処理をすぐに中断するのではなく、以下のように制御しても良い。
即ち、駆動周波信号を与える時間T2よりも短い時間T3を予め設定し、回転命令が発信されてもT3時間経過するまでは回復処理を続行し、T3時間経過後は回復処理を中断し、回転命令に従うように制御しても構わない。もちろんT3時間も温度、湿度の条件により変更しても構わない。
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOステップS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
本発明の実施の形態に係る駆動装置としてのパンチルトカメラの斜視図である。 図1のパンチルトカメラの正面図である。 図1のパンチルトカメラの右側面図である。 図3のA−A断面図である。 図2のB−B断面図である。 図2のC−C断面図である。 振動波モータの一例を示す構成図である。 図1のパンチルトカメラの機能ブロック図である。 図8のパンチルトカメラによって実行される振動波モータ長時間停止時処理の手順の第1の例を示すフローチャートである。 図8のパンチルトカメラによって実行される振動波モータ長時間停止時処理の手順の第2の例を示すフローチャートである。 振動波モータの速度プロファイルを示す図である。
符号の説明
1 パンチルトカメラ
7 チルトモータ
7a チルト用エンコーダ
16 パンモータ
16a パン用エンコーダ
24 パン用ホームポジションセンサ
25 プリント基板
30 チルト用ホームポジションセンサ
56 マイクロコンピュータ
57 メモリ
58 タイマ
59 カウンタ
60 CPU
61 パン用モータドライバ
62 チルト用モータドライバ
65 温度センサ
66 湿度センサ

Claims (10)

  1. 振動波モータを備える駆動装置において、
    前記振動波モータの停止時間が第1の規定時間以上か否かを判断する停止時間判断手段と、
    前記停止時間判断手段によって前記第1の規定時間以上であると判断された場合、前記振動波モータにより移動される移動物体を移動範囲の端部まで移動するように前記振動波モータを回転させるための回転命令を発信する回転命令発信手段と、
    前記端部まで移動した前記移動物体が更に回転を続けるように、前記振動波モータに駆動周波信号を印加する駆動周波信号印加手段と、
    を備えることを特徴とする駆動装置。
  2. 前記駆動周波信号印加手段による駆動周波信号の印加時間が第2の規定時間以上か否かを判断する印加時間判断手段と、
    前記印加時間判断手段によって前記第2の規定時間以上であると判断された場合、前記移動物体を元の位置に復帰させるよう、前記振動波モータを逆回転させる移動物体復帰手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
  3. 温度検出手段または湿度検出手段の少なくとも一方を有し、前記温度検出手段または前記湿度検出手段の少なくとも一方の情報により、前記第1の規定時間、前記第2の規定時間及び前記駆動周波信号の少なくとも1つの数値を変更することを特徴とする請求項2記載の駆動装置。
  4. 電源投入時、または初期状態に戻すリセット時に、一連の処理を実行することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の駆動装置。
  5. 前記振動波モータに対して前記駆動周波信号を第2の規定時間与え続けている時に、前記回転命令発信手段より回転命令が発せられた場合、前記駆動周波信号の発信を中断し、前記回転命令に従うことを特徴とする請求項2または3記載の駆動装置。
  6. 前記第2の規定時間よりも短い第3の規定時間を設定し、前記駆動周波信号を前記第2の規定時間与え続けている時に、前記回転命令発信手段より回転命令が発せられた場合、回転命令が発信されたタイミングが前記駆動周波信号の発信開始から前記第3の規定時過経過後の場合は、前記駆動周波信号の発信を中断し回転命令に従い、回転命令が発信されたタイミングが前記第3の規定時間経過前の場合は、前記第3の規定時間まで前記駆動周波信号を発信し、その後に前記回転命令に従うことを特徴とする請求項2または3記載の駆動装置。
  7. 前記振動波モータに対して前記駆動周波信号を前記第2の規定時間与え続けている時に、前記回転命令発信手段より回転命令が発せられた場合、前記第2の規定時間経過後に、前記回転命令に従うことを特徴とする請求項2または3記載の駆動装置。
  8. 振動波モータを備える駆動装置の制御方法において、
    前記振動波モータの停止時間が第1の規定時間以上か否かを判断する停止時間判断ステップと、
    前記停止時間判断ステップによって前記第1の規定時間以上であると判断された場合、前記振動波モータにより移動される移動物体を移動範囲の端部まで移動するように前記振動波モータを回転させるための回転命令を発信する回転命令発信ステップと、
    前記端部まで移動した前記移動物体が更に回転を続けるように、前記振動波モータに駆動周波信号を印加する駆動周波信号印加ステップと、
    を備えることを特徴とする駆動装置の制御方法。
  9. 振動波モータを備える駆動装置の制御プログラムにおいて、
    前記振動波モータの停止時間が第1の規定時間以上か否かを判断する停止時間判断モジュールと、
    前記停止時間判断モジュールによって前記第1の規定時間以上であると判断された場合、前記振動波モータにより移動される移動物体を移動範囲の端部まで移動するように前記振動波モータを回転させるための回転命令を発信する回転命令発信モジュールと、
    前記端部まで移動した前記移動物体が更に回転を続けるように、前記振動波モータに駆動周波信号を印加する駆動周波信号印加モジュールと、
    をコンピュータに実行させることを特徴とする駆動装置の制御プログラム。
  10. 請求項9記載の駆動装置の制御プログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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