JP2008122999A - 電子写真感光体および該電子写真感光体に起因する干渉縞有無の判定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】可干渉性露光光源を備える電子写真装置に搭載され、金属酸化物含有の下引き層と感光層とが粗面化された導電性基体表面に塗布形成されてなる電子写真感光体に起因する干渉縞有無の判定方法であって、感光体の表面反射率を所定波長を有する可干渉光により所定波長間隔ごとに測定し、得られた表面反射率を導電性鏡面基体を基準として補正して感光体の反射率を得、反射率を離散フーリエ変換した結果からパワースペクトルの値を算出し、パワースペクトルの所定周波数範囲における明瞭な最大ピークのピーク値を用いて干渉縞発生の有無を判定する。
【選択図】図1
Description
このような乾式電子写真装置は、露光光源に可干渉性(単色光)のレーザービームを使用しているため、光学的干渉が起きやすい。モアレ模様やゼブラ模様といった、いわゆる干渉縞模様が出力印字画像上に発生すると、画像品質上問題となる。
前記干渉縞模様は、単色光による感光層の表面反射光と、基体表面を含む内部各層の界面からの反射光とが、不均一な層厚に起因して光学的干渉を起こし、反射光強度に強弱が発生することにより生じる。電子写真感光体では、通常、導電性基体表面で反射したレーザービームと感光層最表面で反射するレーザービームとの干渉の影響が最も大きい。
前記干渉縞問題を解決する目的で種々の発明が既になされている。たとえば、導電性基体表面をサンドブラスト処理により微細な凹凸を形成し、乱反射させることにより特定方向への反射光を減らすと干渉縞を抑制または防止できることはよく知られている(特許文献1、2、3、4)。
さらにまた、導電性基体の表面粗さを所定の平均表面粗さ、最大表面粗さにした感光体に関する発明の記載がある(特許文献7)。
たとえば、干渉縞が発生しないように適切にサンドブラスト処理された導電性基体であっても、この基体上に塗布形成される下引き層の膜厚を増加させていくと、次第に再度画像上の干渉縞が明確になってくるという関係がある。しかし、この場合も下引き層の膜厚に応じてサンドブラスト処理を強く施し、凹凸の程度をより粗くなるように粗面化を対応させた導電性基体を用いると、厚膜化した下引き層の場合でさえも、ある程度までは干渉縞の発生を防止できるようになることは知られている。しかし、干渉縞の有無を確認するには、下引き層の上に感光層を塗布形成して感光体ドラムとし、さらにドラムの両端にフランジ等の部品を取り付けてから、画像形成装置(実機)に感光体を搭載し、画像出しをして確認する必要があったので、結果が直ちには分からず、時間と手間がかかるという問題があった。ところが、下引き層上に形成された感光層によっても干渉縞の発生条件が変化するので、導電性基体の表面粗さのみを規定しても、必ずしも干渉縞を防止できないという問題があった。
一方、下引き層内に侵入した光は導電性基体にて反射されると、電荷発生層に再侵入し、電荷発生層中の有機顔料で吸収される成分と有機顔料と有機顔料の間を通過して感光層最表面に到達し、ここでさらに最表面から出て行く成分と最表面で内部反射し電荷発生層に再度向かう成分に分かれる。
干渉縞の発生に関する以上の説明から、サンドブラスト処理により粗面化された導電性基体上に下引き層を介して感光層が形成される有機感光体の場合、導電性基体表面からの特定方向への反射強度を、基体の粗面化による乱反射によって小さくしても、下引き層表面からの反射光の影響を無視できない場合(たとえば、厚膜下引き層を形成した場合)、下引き層表面もまた新たに粗面化しなければ、干渉縞の完全な防止は困難であると言うことである。
しかし、低膜厚(薄膜)の下引き層では感光層形成後の全膜厚が小さくなるために、全膜厚を通した電気抵抗が低抵抗化されている。この場合、特に、プリンタ等の接触帯電プロセスを有する画像形成装置では、帯電プロセスにおいて、感光層にリークが発生しやすくなるという問題が発生する。前記リークが発生すると、結果的に得られる画像上にリーク痕跡またはドラム周期をもつ帯状の画像不良が発生するので、プリンタ等では厚膜の下引き層を備えた電子写真感光体が求められるようになったのである。
また、前記リークを防ぐために厚膜の下引き層を塗布形成する場合は、前述したように、厚膜でも下引き層表面に基体表面の粗面状態が対応して現れるように粗さの凹凸を大きく(平均粗さRaと最大表面粗さRmaxを大きく)した表面粗さを有する導電性基体を用いるか、または下引き層表面を再度粗面化する必要がある。前者では厚膜の程度に限界があり、それほど厚くはできない。後者では前記下引き層表面を再度粗面化すると、前記下引き層表面の凸部に対応する白紙地上に黒ポチカブリやリークが発生し易くなり、また、ハーフトーン画像上で凹凸に起因した濃度ムラが生じる現象が起きやすくなるという新たな問題が発生するようになる。
膜厚偏差と干渉縞発生との関連性を見るための実験として、サンドブラスト処理されていない導電性鏡面基体(素管)を用いて、塗布液として、電荷輸送層塗布形成用粘度を有する塗布液、塗布方法として干渉縞を故意に発生させるために膜厚偏差の出易いシールコート法により1〜5μm程度の膜厚偏差を有する電荷輸送層塗布膜を形成した感光体ドラムについて干渉縞を確認したところ、膜厚偏差に応じて異なる干渉縞模様を得た。このような鏡面素管を用いて干渉縞を防止するためには、最低でも膜厚偏差の小さい塗布膜形成が可能な浸漬塗布方法による塗布を行い、塗布されたドラム軸方向、周方向の印字領域内の電荷輸送層膜厚偏差を前述のように0.3μm以下に抑えなければならないが、実際には、浸漬塗布では、通常、膜厚偏差は0.5〜3μm/軸方向あり、注意を払っても0.5〜1.5μm/軸方向あるので、膜厚偏差0.3μm以下は、実験的には可能であっても効率的な量産工程においては困難である。そこで、従来は前記特許文献にも記載のように導電性基体として、前記のような鏡面基体ではなく、サンドブラスト処理による所定の粗さに粗面化された基体(素管)を用いることにより、干渉縞の発生を防止しているのである。
また、前記特許文献5、6に記載されるように、粗面化基体について一定区間の表面粗さデータをサンプリングして、フーリエ変換を行い、パワースペクトルを求めて干渉縞発生との関係を求めることも知られているが、前記関係は基体の表面粗さとの関係のみである。しかし、干渉縞の発生は後述するように、基体上に形成される下引き層と感光層の形成条件により変わってくる。
本発明は、以上述べた点に鑑みてなされたものであり、その目的は、粗面化された基体表面に、金属酸化物を有し、一定の膜厚偏差を有する塗布形成下引き層と感光層を備える感光体について、画像出しをしなくても、より正確に干渉縞の有無が確認できる電子写真感光体の干渉縞有無の判定方法(良否判定方法)の提供および実質的に干渉縞の発生がない電子写真感光体の提供および干渉縞がなく、白紙地上の黒ポチカブリ、リークによる画像上の黒ポチや帯状の画像不良、濃度ムラをも抑制できる電子写真感光体を提供することである。
Sp≦10の場合に干渉縞発生がない、
Sp>10の場合に干渉縞発生がある、
と判定する(判定)、電子写真感光体の干渉縞判定方法とすることにより、達成される。
請求項2記載の発明によれば、前記感光層が、電荷発生材料と樹脂バインダを含む電荷発生層と、電荷輸送材料と樹脂バインダを含む電荷輸送層とを順次積層してなる特許請求の範囲の請求項1記載の干渉縞有無の判定方法とすることが好ましい。
請求項3記載の発明によれば、前記基体表面がサンドブラスト処理により粗面化されてなる特許請求の範囲の請求項1または2記載の干渉縞有無の判定方法とすることが好ましい。
図1は、本発明に関わる感光体の一構成例を示す模式的断面図であり、粗面化された導電性基体1の上に、下引き層2を介して、電荷発生層4、電荷輸送層5が順次積層されてなる感光層3が設けられた構成の負帯電型の機能分離積層型有機感光体である。
導電性基体1は、感光体の一電極としての役目と同時に感光体を構成する各層の支持体となっており、円筒状、板状、フィルム状などいずれの形状でもよく、材質的には、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルなどの金属類である。該導電性基体は、干渉縞防止目的に、表面がサンドブラストなどにより粗面化処理される。サンドブラスト処理に用いられるメディアは、アルミナ、ジルコニア、ガラスビーズなどが用いられる。
下引き層2は、有機系樹脂バインダと、光散乱材として機能層の導電性を調整して、ある程度の厚膜としても感光層と基体間での電荷の移動を制御する機能を有する金属酸化物とを主成分とする層から構成され、さらに基体表面に存在する欠陥の被覆、感光層と基体との接着性の向上などの目的で必要に応じて設けられる。下引き層に用いられる樹脂材料としては、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、メラミン、セルロースなどの絶縁性高分子、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子が挙げられ、これらの樹脂は単独で、あるいは適宜組み合わせて混合して用いることができる。また、これらの樹脂に光散乱材等として分散含有される金属酸化物は、主として二酸化チタン、酸化亜鉛などが好ましい。
樹脂バインダと電荷発生材料との比率は、樹脂バインダ10重量部に対し電荷発生材料は5から500重量部、好ましくは10から100重量部である。さらに電荷発生層4は、その上部に電荷輸送層5が積層されるので、その膜厚は電荷発生物質の光吸収係数によって決まり、一般的には5μm以下であり、好適には1μm以下である。
電荷輸送材料としては、ヒドラゾン化合物、ブタジエン化合物、ジアミン化合物、インドール化合物、インドリン化合物、スチルベン化合物、ジスチルベン化合物などがそれぞれ単独で、あるいは適宜組み合わせで混合して用いられる。具体的には、特開2000−131938号公報記載の化合物である。樹脂バインダとしては、ビスフェノールA型、ビスフェノールZ型、ビスフェノールA型ービフェニル共重合体などのポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレン樹脂などがそれぞれ単独で、あるいは適宜組み合わせで混合して用いられる。具体的には、特開2000−131938号公報記載の化合物である。かかる化合物の使用量は、樹脂バインダ10重量部に対し、電荷輸送材料2から50重量部、好適には3から30重量部である。電荷輸送層の膜厚としては、実用上有効な表面電位を維持するためには3から50μmの範囲が好ましく、より好適には15から40μmである。
上述した酸化防止剤、光安定剤は通常、電荷輸送材料100重量部に対して0.05〜10重量部、好適には0.2〜5重量部である。
さらに、感光層中には、形成した膜のレベリング性の向上や、さらなる潤滑性の付与を目的として、シリコーンオイルやフッ素系オイルなどのレベリング剤を含有させることもできる。
(反射率の測定)
以降の説明では、反射率とは鏡面基体(基準対象)の表面反射率を基準反射率として、この基準反射率に対する測定対象の表面反射率の比率を百分率(%)で表した値を意味する。
図16は、この反射率の測定に用いる反射率測定装置16であり、その概要について以下説明する。電源101を備えたハロゲンランプ102から出た光が入射光用ファイバー管103を通って測定基体104と表面に被覆された薄膜105からなる測定対象に照射される。ここで、入射光と基体表面からの反射光との間で光干渉が起きる。その可干渉光は反射光用ファイバー管106を通って、点線で囲まれた装置本体100に戻る。装置本体100内では、前記反射光がスリット107を通って回折格子付きミラー108で反射される。ここで分光された光は検出器109で検出される。検出された光は電気信号に変換されて増幅器(以下図示せず)を介してパソコンに送られ、データ処理されて出力される。前記測定対象として、本発明にかかる実験では、基準鏡面素管または以下に説明する感光体試料が置かれる。
前記装置16により測定された測定対象の表面反射率I0にはIrefおよびIdarkが含まれているため、これらを除去した測定対象の反射率I1は以下の計算式(3)によって得られる。以下、各反射率(Iopc、Isb、Iucl)の算出にはこの式を用いる。
(干渉縞有無判定実験および画像評価と電子写真特性評価実験用電子写真感光体の作製)
下記実験例1〜54、比較例1〜54に示す層構成にて、実験用電子写真感光体試料を作製した。その主要な作製条件を下記表1〜3に分割して示す。実験例、比較例の名称は単に発明の詳細な説明のため、便宜上付けただけで、特に他意はない。
請求項1記載の発明にかかる干渉縞判定方法に関連する実験としては前記実験例1〜54、比較例1〜54のすべてが関連し、表1〜表3に実験例、比較例で作製した感光体の層構成を示し、表4〜表6にパワースペクトルの最大ピークのピーク値Spのしきい値(10)による干渉縞の発生有無の判定結果と電子写真特性を示し、表7〜表9に目視による干渉縞ランクとその他の画像評価結果をそれぞれ示す。
請求項3記載の発明にかかる感光体は干渉縞の発生の無い感光体であり、実験例4〜18、22〜36、40〜54、比較例1〜18、比較例22〜36が属する。
実験例1〜54のうち、前記実験例4〜18、22〜36、40〜54にかかる感光体は請求項3記載の発明にかかる電子写真感光体に属するが、比較例1〜54記載の感光体は請求項3、4記載のいずれの発明にかかる電子写真感光体にも属しない仕様で作製したものである。この意味において、比較例という語を用いただけである。実験例1〜54記載の感光体のうち、実験例1〜3、16〜18、実験例19〜21、34〜36、実験例37〜39、52〜54を除く感光体、すなわち、実験例4〜15、22〜33、40〜51で作製した感光体が請求項4記載の発明に含まれる。
(実験例1)
(基体の粗面化)
導電性基体としての円筒状アルミニウム導電性基体の表面にサンドブラスト処理を施し、反射率Isb、平均表面粗さRa(JIS)、最大表面粗さRmax(JIS)がそれぞれIsb=13.6%、Ra=0.35μm、Rmax=2.7μmとなるように粗面化した。前記反射率Isbは粗面化した基体の表面反射率と鏡面処理素管の表面反射率との比率(%)であり、上記の方法により図16の概略図に示す株式会社ユニオン技研製 反射率測定装置 「MCPD−200」16により測定した。また、表面粗さは(株)東京精密製サーフコム(SURFCOM、登録商標)により測定した。このとき基準長さは0.8mm、測定長さは4mmとした。
(下引き層の形成)
次にサンドブラスト処理により粗面化した前記導電性基体表面上に下引き層として、フェノール樹脂(丸善石油化学製マルカリンカMH−2(登録商標))1.8重量部、メラミン樹脂(三井東圧化学 ユーバン20HS(登録商標))1.2重量部、アミノシラン処理された酸化チタン微粒子7重量部を、テトラヒドロフラン80重量部、ブタノール20重量部に分散させて調製した塗布液を浸積塗工し、温度145℃で30分間乾燥して、膜厚4.0μm、反射率Iucl=16.0%の下引き層を形成した。
(電荷発生層の形成)
次に、前記下引き層上に電荷発生材料として下記化学式(I)で示される無金属フタロシアニン1重量部と、樹脂バインダとしてポリビニルブチラール樹脂(積水化学製「エスレックBM−1」(登録商標))1重量部をジクロロメタン98重量部に溶解、分散させて調製した塗布液を浸積塗工し、温度80℃で30分間乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
前記電荷発生層上に、電荷輸送材料として下記化学式(II)で示されるスチルベン化合物9重量部、樹脂バインダとして下記化学式(III)で示されるポリカーボネート樹脂11重量部、ジクロロメタン110重量部に溶解した塗布液を塗布成膜し、温度90℃で60分間乾燥して、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、実験例1にかかる積層型有機感光体を作製した。
実験例1で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は実験例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例3)
実施例1で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実施例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例4)
実験例1で使用した下引き層膜厚3.5μm、下引き層反射率Iucl=15.9%とした以外は実験例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例5)
実験例4で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は実験例4と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例6)
実験例4で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実験例4と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例7)
実験例1で使用した下引き層膜厚を3.0μm、下引き層反射率Iucl=15.7%とした以外は実験例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例8)
実験例7で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は実験例7と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例9)
実験例7で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実験例7と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例10)
実験例1で使用した下引き層膜厚を2.5μm、下引き層反射率Iucl=14.9%とした以外は実験例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例11)
実験例10で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は実験例10と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例12)
実験例10で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実験例10と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例13)
実験例1で使用した下引き層膜厚を2.0μm、下引き層反射率Iucl=14.7%とした以外は実験例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例14)
実験例13で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は実験例13と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例15)
実験例13で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実験例13と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例16)
実験例1で使用した下引き層膜厚を1.5μm、下引き層反射率Iucl=14.3%とした以外は実験例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例17)
実験例16で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は実験例16と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例18)
実験例16で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実験例16と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例19)
実験例1で使用したサンドブラスト処理された導電性基体表面の反射率Isb=14.5%、サンドブラスト凹凸表面粗さRa=0.26μm、Rmax=2.5μm、下引き層反射率Iucl=16.5%とした以外は実験例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例20)
実験例19で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は実験例19と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例21)
実験例19で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実験例19と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例22)
実験例19で使用した下引き層膜厚3.5μm、下引き層反射率Iucl=16.0%とした以外は実験例19と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例23)
実験例22で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は実験例22と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例24)
実験例22で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実験例22と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例25)
実験例19で使用した下引き層膜厚を3.0μm、下引き層反射率Iucl=15.9%とした以外は実験例19と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例26)
実験例25で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は実験例25と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例27)
実験例25で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実験例25と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例28)
実験例19で使用した下引き層膜厚を2.5μm、下引き層反射率Iucl=15.7%とした以外は実験例19と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例29)
実験例28で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は実験例28と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例30)
実験例28で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実験例28と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例31)
実験例19で使用した下引き層膜厚を2.0μm、下引き層反射率Iucl=15.5%とした以外は実験例19と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例32)
実験例31で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は実験例31と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例33)
実験例31で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実験例31と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例34)
実験例19で使用した下引き層膜厚を1.5μm、下引き層反射率Iucl=15.0%とした以外は実験例19と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例35)
実験例34で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は実験例34と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例36)
実験例34で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実験例34と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例37)
実験例1で使用したサンドブラスト処理された導電性基体表面の反射率Isb=15%、サンドブラスト凹凸表面粗さRa=0.23μm、Rmax=2.4μm、下引き層反射率Iucl=16.8%とした以外は実験例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例38)
実験例37で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は実験例37と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例39)
実験例37で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実験例37と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例40)
実験例37で使用した下引き層膜厚3.5μm、下引き層反射率Iucl=16.5%とした以外は実験例37と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例41)
実験例40で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は実験例40と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例42)
実験例40で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実験例40と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例43)
実験例37で使用した下引き層膜厚を3.0μm、下引き層反射率Iucl=16.2%とした以外は実験例37と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例44)
実験例43で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は実験例43と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例45)
実験例43で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実験例43と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例46)
実験例37で使用した下引き層膜厚を2.5μm、下引き層反射率Iucl=15.4%とした以外は実験例37と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例47)
実験例46で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は実験例46と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例48)
実験例46で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実験例46と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例49)
実験例37で使用した下引き層膜厚を2.0μm、下引き層反射率Iucl=14.9%とした以外は実験例37と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例50)
実験例49で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は実験例49と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例51)
実験例49で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実験例49と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例52)
実験例37で使用した下引き層膜厚を1.5μm、下引き層反射率Iucl=14.6%とした以外は実験例37と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例53)
実験例52で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は実験例52と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(実験例54)
実験例52で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実験例52と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例1)
実験例1で使用したサンドブラスト処理条件を変更することによりサンドブラスト処理された導電性基体表面の反射率Isb=10.4%、サンドブラスト凹凸表面粗さRa=0.57μm、Rmax=4.5μm、下引き層反射率Iucl=12.5%とした以外は実験例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例2)
比較例1で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は比較例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例3)
比較例1で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は比較例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例4)
比較例1で使用した下引き層膜厚3.5μm、下引き層反射率Iucl=12.3%とした以外は比較例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例5)
比較例4で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は比較例4と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例6)
比較例4で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は比較例4と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例7)
比較例1で使用した下引き層膜厚を3.0μm、下引き層反射率Iucl=12.1%とした以外は比較例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例8)
比較例7で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は比較例7と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例9)
比較例7で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は比較例7と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例10)
比較例1で使用した下引き層膜厚を2.5μm、下引き層反射率Iucl=11.9%とした以外は比較例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例11)
比較例10で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は比較例10と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例12)
比較例10で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は比較例10と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例13)
比較例1で使用した下引き層膜厚を2.0μm、下引き層反射率Iucl=11.6%とした以外は比較例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例14)
比較例13で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は比較例13と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例15)
比較例13で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は比較例13と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例16)
比較例1で使用した下引き層膜厚を1.5μm、下引き層反射率Iucl=11.3%とした以外は比較例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例17)
比較例16で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は比較例16と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例18)
比較例16で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は比較例16と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例19)
実験例1で使用したサンドブラスト処理条件を変更することによりサンドブラスト処理された導電性基体表面の反射率Isb=12.9%、サンドブラスト凹凸表面粗さRa=0.39μm、Rmax=3.4μm、下引き層反射率Iucl=14.9%とした以外は実験例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例20)
比較例19で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は比較例19と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例21)
比較例19で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は比較例19と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例22)
比較例19で使用した下引き層膜厚3.5μm、下引き層反射率Iucl=14.6%とした以外は比較例19と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例23)
比較例22で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は比較例22と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例24)
比較例22で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は比較例22と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例25)
比較例19で使用した下引き層膜厚を3.0μm、下引き層反射率Iucl=14.3%とした以外は比較例19と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例26)
比較例25で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は比較例25と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例27)
比較例25で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は比較例25と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例28)
比較例19で使用した下引き層膜厚を2.5μm、下引き層反射率Iucl=14.0%とした以外は比較例19と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例29)
比較例28で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は比較例28と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例30)
比較例28で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は比較例28と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例31)
比較例19で使用した下引き層膜厚を2.0μm、下引き層反射率Iucl=13.3%とした以外は比較例19と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例32)
比較例31で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は比較例31と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例33)
比較例31で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は比較例31と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例34)
比較例19で使用した下引き層膜厚を1.5μm、下引き層反射率Iucl=12.9%とした以外は比較例19と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例35)
比較例34で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は比較例34と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例36)
比較例34で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は比較例34と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例37)
実験例1で使用したサンドブラスト処理条件を変更することによりサンドブラスト処理された導電性基体表面の反射率Isb=17%、サンドブラスト凹凸表面粗さRa=0.18μm、Rmax=2.2μm、下引き層反射率Iucl=17.9%とした以外は実験例1と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例38)
比較例37で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は比較例37と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例39)
比較例37で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は比較例37と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例40)
比較例37で使用した下引き層膜厚3.5μm、下引き層反射率Iucl=17.5%とした以外は比較例37と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例41)
比較例40で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は比較例40と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例42)
比較例40で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は比較例40と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例43)
比較例37で使用した下引き層膜厚を3.0μm、下引き層反射率Iucl=16.8%とした以外は比較例37と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例44)
比較例43で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は比較例43と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例45)
比較例43で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は比較例43と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例46)
比較例37で使用した下引き層膜厚を2.5μm、下引き層反射率Iucl=16.0%とした以外は比較例37と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例47)
比較例46で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は比較例46と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例48)
比較例46で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は実験例46と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例49)
比較例37で使用した下引き層膜厚を2.0μm、下引き層反射率Iucl=15.4%とした以外は比較例37と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例50)
比較例49で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は比較例49と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例51)
比較例49で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は比較例49と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例52)
比較例37で使用した下引き層膜厚を1.5μm、下引き層反射率Iucl=15.0%とした以外は比較例37と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例53)
比較例52で使用した電荷輸送層膜厚を18μmとした以外は比較例52と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(比較例54)
比較例52で使用した電荷輸送層膜厚を14μmとした以外は比較例52と同様に有機電子写真感光体を作製した。
(感光体試料の実験例1〜54および比較例1〜54の評価)
上述した実験例1〜54と比較例1〜54で作製した感光体の電子写真特性(下記表4〜表6)を下記の方法で評価した。
感光体を暗所で−800Vに帯電した後、回転を停止させたドラムの表面電位の1秒後の表面電位の保持率Vk1を求めた。続いて、感光体表面に露光光を照射し続け、帯電電位が−800Vから−400Vに到達するのに必要な露光量を感度E1/2、−800Vから−100Vに到達するのに必要な露光量として感度E100を求めた。また、上記感度測定においてトータル光量5.0μJ/cm2の露光光を照射した直後の感光体表面電位を残留電位Vr5.0と呼び、残留電位を求めた。
次に、下記表7〜表9に示す実機による解像度評価(1dot再現性、白細線解像度)、干渉縞、サンドブラスト表面微細凹凸に起因した濃度ムラ(以下、「SB凹凸濃度ムラ」)、OPC(有機系感光層)リーク痕跡、帯状ムラに関する評価を行った。
評価に用いた実機は、市販のプリンタであり、直流電圧1.2kVをブラシ帯電器に印加することにより、ブラシに接触されている感光体表面が負に帯電された後、レーザーユニットから照射されるレーザービームにより600dpi相当の静電潜像が形成され、現像、転写プロセスを経て紙上に印字される。ただし、除電光およびクリーニングブレード装着されていない。
干渉縞に関しては、ハーフトーン画像上の干渉縞模様を目視により0.5刻みの5段階評価(0:干渉縞なし、5:干渉縞が明確に強く発生)した。
サンドブラスト(以下、「SB」と略)凹凸濃度ムラに関しては、ハーフトーン画像上にサンドブラストの微細凹凸に起因する斑点状のムラを目視により0.5刻みの5段階評価(0:SB凹凸濃度ムラなし、5:SB凹凸濃度ムラが明確に強く発生)した。
帯状ムラに関しては、ハーフトーン画像上にドラム周期で軸方向に5mm程度の幅をもつハーフトーン濃度よりも高濃度な帯状ムラ発生有無を目視により「有」「無」で評価した。この評価と同時に、OPCドラムをカートリッジから取り出し、目視により感光層リーク痕跡有無を「有」「無」により評価した。
上述した帯状ムラとOPC(有機系感光層)リーク痕跡の評価環境は、温度/湿度=24℃/43%および35℃/85%の2環境でそれぞれ行った。それ以外の評価は、温度/湿度=24℃/43%の1環境のみで評価を行った。
フーリエ変換結果であるS(n/(N・Δλ))は複素数表示されているため、下記数式(2)を使って、大きさ|S(n/(N・Δλ))|2を求めることにより実数化し、これを縦軸に取り、周波数n/(N・Δλ)成分を横軸にとりプロットすることによりパワースペクトルを得ることができる。前記実験例、比較例で作製した感光体試料のうちの代表例について、前記波長範囲における2nm毎に測定した反射率Iopcの測定データをプロットしたスペクトルを図2〜図8(△、□、◆は各測定データ)に示す。代表例以外の各実験例および比較例についての反射率測定値およびその測定値に基づくパワースペクトルおよびそのピーク値Spの値は表には示さないが、そのピーク値Sp値が10以上のものについては干渉縞有り、ピークなしまたはピーク値Sp値が10未満のものについては干渉縞無しと表4、5、6に記入した。これらの図2〜図8に対応する反射率Iopcの測定データを下記数式(1)、(2)に従ってフーリエ変換し、パワースペクトルを求め、周波数にかかる成分の値を横軸に、前記パワースペクトル値を縦軸にとったパワースペクトルを図9〜図15に示す。下記に図2〜図8および図9〜図15に対応する実験例および比較例の番号を示す。図9〜図15の横軸の周波数成分として、5.0E+07Hz、1.0E+08Hzなどの記載は5.0×107Hz、1.0×108Hzをそれぞれ表す。他の記載についてもこれに準じる。同図縦軸にFFT Powerとある記載はパワースペクトルの値である。
比較例1〜18に関して、表2と表8から、1dot再現性および白細線解像度は下引き層膜厚1.5〜3.0μmで良好であるが、3.5μm以上では1dot周囲のエッジがかすれており、白細線解像度は細線のエッジがかすれ、幅が広くなっている。干渉縞は、すべての下引き層膜厚1.5〜4.0μmで未発生を目視確認した。SB凹凸濃度ムラはすべての下引き層膜厚1.5〜4.0μmにおいて発生した。OPC(有機系感光層)リーク痕跡およびこれに伴う帯状ムラは温度/湿度=24℃/43%環境内ですべての下引き層膜厚1.5〜4.0μmにおいて未発生であったが、温度/湿度=35℃/85%環境内では、下引き層膜厚1.5および2.0μmすべてに関して発生しただけでなく、下引き層膜厚3.0μmとしても発生したことを確認した。
比較例37〜54に関して、表3と表9から、1dot再現性および白細線解像度は下引き層膜厚1.5〜3.5μmで良好であるが、4.0μmにおいて、1dot周囲のエッジがかすれており、白細線解像度は細線のエッジがかすれ、幅が広くなっている。干渉縞は、すべての下引き層膜厚1.5〜4.0μm発生したことを確認した。SB凹凸濃度ムラは比較例1〜18および19〜36と比較すると、下引き層膜厚2.0〜4.0μmで未発生となり良好な結果であるが、1.5μmではわずかにSB凹凸濃度ムラを確認した。OPC(有機系感光層)リーク痕跡およびこれに伴う帯状ムラは温度/湿度=24℃/43%および35℃/85%環境内では、すべての下引き層膜厚1.5〜4.0μmに関して未発生であったことを確認した。
図2〜図4および図5〜図7は代表的な実験例および比較例に用いた有機感光体に関して、入射光波長λ(波長間隔Δλ=2nm毎)に対する反射率Iopcの測定値をプロットしてスペクトル図としたものである。図2は実施例7、10、13に関し、表1に示すように基体の反射率Isbが13.6%であって、下引き層膜厚がそれぞれ3.0、2.5、2.0μmに対応し、電荷輸送層膜厚がそれぞれ20μm時の各感光体の反射率Iopcのスペクトル図である。図3と図4はそれぞれ実施例25、28、31と実施例43、46、49に関し、基体の反射率Isbを前記図2の13.6%から14.5%と15.0%に変えた場合の各感光体のスペクトル図である。図2、3、4の順に、ある周期と振幅とが次第に目立ちはじめる反射率スペクトルとなっているので、スペクトル図からは光学的干渉が起き始めていると考えられるが、表7、表8の前記対応実施例に示す実機による評価結果では干渉縞ランクはいずれも0であり、画像上では未発生であることが分かる。前記反射率Iopcスペクトルにおける振幅の増加は、図2、3、4の順でサンドブラスト導電性基体の反射率Isbの増加に伴う下引き層表面の平滑化による、増加した反射光(Iuclの増加)と入射光との干渉強度増加によるものと考えられる。
図8は、基体の反射率Isbが17.0%であって、下引き層膜厚3.0μmに固定した場合に、電荷輸送層の膜厚を20、18、14μmにそれぞれ変えた場合の感光体(比較例43、44、45)の反射率Iopcのスペクトル図である。この場合はいずれもある周期と大きい振幅が見られる。表9に示す実機による評価結果では干渉縞ランクはいずれも1.5と明確に干渉縞が見られることを示している。
上記図2〜8に示す反射率Iopcスペクトルから見た光学的干渉評価結果と表7〜9に示す実機によるハーフトーン画像上の干渉縞評価の結果に相関があると考えられる。すなわち、反射率Iopcスペクトルがある一定以上の周期と振幅をもつスペクトル形状である場合、実機の画像上にて干渉縞が発生するということである。しかしながら、前記図4(実験例43、46、49の場合)では見た目にもある周期と振幅をもつスペクトルにもかかわらず実機において画像上の干渉縞は未発生となっている。そこで、画像上の干渉縞の発生と反射率Iopcスペクトルとを関係づけるためには、反射率Iopcスペクトルの特徴量として、離散フーリエ変換によるパワースペクトル値による評価が必要と考えた。
これらの結果より、パワースペクトルの明瞭な最大ピークが存在していても、干渉縞が発生する、しないを判別する閾値が存在すると考えられる。目視による実機画像上の干渉縞発生との比較から、実使用上干渉縞が発生しないSpの範囲はSp≦10であることがわかった。また、前記図15は、反射率スペクトルの図8に対応し、下引き層膜厚3.0μm、電荷輸送層膜厚20、18、14μm時のパワースペクトル図である。この図15において、電荷輸送層膜厚低下によりパワースペクトルが増大していることがわかる。電荷輸送層膜厚に対する干渉縞ランクの変動は0.5程度であり電荷輸送層の膜厚が干渉縞の発生程度とパワースペクトルの形状に影響することが分る(表9)。一方、表9中比較例37〜54干渉縞ランク評価結果のように下引き層膜厚1.5〜4.0μm範囲での干渉縞ランクの変動は3となっており、電荷輸送層膜厚よりも下引き層膜厚の方が干渉縞への影響の大きいことがわかる。これは、実機による電荷輸送層の干渉縞への影響度はその膜厚にではなく、円筒形導電性基体の軸方向ならびに周方向に関する電荷輸送層の膜厚偏差にあることによると考えられる。たとえば、少なくとも膜厚偏差0.5μm程度で、円筒形導電性基体表面粗さRa=0.13μm程度であれば干渉縞は発生するのに対し、実験例1〜54および比較例1〜54に関する電荷輸送層の膜厚偏差は0.7〜2μm(軸方向偏差は平均1.5μm、周方向膜厚偏差は平均1.4μm程度)である。このことから、膜厚偏差が高い(2μm程度の)電荷輸送層であっても、干渉縞は導電性基体表面の平均表面粗さRa≧0.23μmで、最大表面粗さRmax≧2.4μm、下引き層膜厚dは1.5μm≦d≦3.5μmとすれば、抑制可能であることがわかる。
さらに、実験例および比較例にて使用した膜厚1.5μm以上の厚膜下引き層は、樹脂バインダと導電性金属酸化物が含まれているが、金属酸化物が含まれず樹脂バインダのみの厚膜(1.5μm以上)下引き層の場合、干渉縞は抑制されるものの、電子写真特性ならびに画像品質に悪影響を及ぼした。具体的には、電子写真特性に関しては、感度低下、残留電位上昇となり、この結果を反映して、画像品質面では、黒べた濃度低下、1dot再現性劣化などが確認された。電子写真特性が低下する要因としては、導電性金属酸化物が含まれていない厚膜下引き層では、露光により発生した電子が基板側に流れ込まないため電荷発生層中および電荷発生層と下引き層界面において電荷蓄積されるため感度低下を引き起こし、これに伴い残留電位上昇となると考えられる。このことから、厚膜下引き層には樹脂バインダだけでなく、電荷蓄積されないように樹脂バインダ中に導電性金属酸化物が必要とされる。
以上の内容より、干渉縞を抑制するだけでなく、良好な電子写真特性を得ることと、画質に関する悪影響を回避するためには、導電性基体の表面粗さと反射率について、平均表面粗さ(Ra)範囲が0.23μm≦Ra≦0.35μmかつ最大表面粗さ(Rmax)範囲が2.4μm≦Rmax≦2.7μmであり、波長λ=780nmの単色光による導電性鏡面基体の表面反射率を基準反射率とするこの導電性基体の反射率をIsbとするとき、Isb≦15%を満足することが好ましく(実験例1〜54)、さらに、この粗面化導電性基体表面上に塗布形成された下引き層の膜厚dは2μm≦d≦3.5μmであり、波長λ=780nmの単色光による導電性鏡面基体の表面反射率を基準反射率とするこの下引き層の反射率をIuclとするとき、Iucl<17%を満足することにより達成することが望ましい(実施例4〜15、22〜33、40〜51)。
2 下引き層
3 感光層
4 電荷発生層
5 電荷輸送層
16 反射率測定装置
100 装置本体
101 電源
102 ハロゲンランプ
103 入射光用ファイバー管
104 測定基体
105 薄膜
106 反射光用ファイバー管
107 スリット
108 回転格子付きミラー
109 検出器
Claims (3)
- 可干渉性露光光源を備える電子写真装置に搭載され、金属酸化物含有の塗布形成下引き層と有機感光層とが粗面化された導電性基体表面に順次塗布形成されてなる電子写真感光体に起因する干渉縞有無の判定方法であって、
電子写真感光体の表面反射率を、波長範囲750nm≦λ≦812nmにおける所定の波長を有する可干渉光により所定の波長間隔Δλごとに測定し、得られた表面反射率を導電性鏡面基体を基準として補正して、前記電子写真感光体の反射率Iopcを得、該反射率を下記数式(1)を用いて離散フーリエ変換した結果から、下記数式(2)で示されるパワースペクトル|S(n/(N・Δλ))|2の値を算出し、該パワースペクトルの、周波数範囲0<n/(N・Δλ)(Hz)≦2.5×108における明瞭な最大ピークのピーク値をSpとするとき、
Sp≦10の場合に干渉縞発生がない、
Sp>10の場合に干渉縞発生がある、
と判定することを特徴とする電子写真感光体に起因する干渉縞有無の判定方法。
- 前記感光層が、電荷発生材料と樹脂バインダを含む電荷発生層と、電荷輸送材料と樹脂バインダを含む電荷輸送層とを順次積層してなることを特徴とする請求項1記載の干渉縞有無の判定方法。
- 前記基体表面がサンドブラスト処理により粗面化されてなることを特徴とする請求項1または2記載の干渉縞有無の判定方法。
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