JP2008120686A - 亜鉛化合物、該亜鉛化合物を含有してなる薄膜形成用原料及び薄膜の製造方法 - Google Patents

亜鉛化合物、該亜鉛化合物を含有してなる薄膜形成用原料及び薄膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】薄薄膜に亜鉛を供給するプレカーサとして充分な反応性を有するビスアルコキシ亜鉛化合物に、揮発性、低融点化等のより好適な性質を付与して、特にCVD用原料として適する亜鉛化合物を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表される亜鉛化合物。
Figure 2008120686

【選択図】なし

Description

本発明は、特定の構造を有する新規亜鉛化合物、該新規亜鉛化合物を含有してなる薄膜形成用原料、及び該薄膜形成用原料を用いた薄膜の製造方法に関する。
亜鉛を含有する薄膜は、光学特性、電気特性、触媒活性等の様々な特性を有しており、電子部品や光学部品の部材として用いられている。
上記の薄膜の製造方法としては、火焔堆積法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、塗布熱分解法やゾルゲル法等のMOD法、化学気相成長法等が挙げられるが、組成制御性及び段差被覆性に優れること、量産化に適すること、ハイブリッド集積が可能であること等多くの長所を有しているので、ALD(Atomic Layer Deposition)法を含む化学気相成長(以下、単にCVDと記載することもある)法が最適な製造プロセスである。
CVD法においては、薄膜に亜鉛原子を供給するプレカーサとして、安定性、安全性の面からβ−ジケトン錯体が多く検討されている。例えば、特許文献1、2には、ビス(ペンタン−2,4−ジオナト)亜鉛を用いたCVD法が開示されており、非特許文献1にはビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン)亜鉛を用いた方法が報告されている。特許文献3には、25℃で液体のビス(β−ジケトナト)亜鉛であるビス(オクタン−2,4−ジオナト)亜鉛、ビス(2,2−ジメチル−6−エチルデカン−3,5−ジオナト)亜鉛が開示されている。
CVD法に用いる原料に適する化合物(プレカーサ)に求められる性質は、薄膜堆積時においては、酸化等の化学反応による薄膜の形成が容易に進行することである。上記の亜鉛のβ−ジケトン錯体は、安定な化合物であり、CVDプロセスの供給の面では優位であるが、薄膜堆積時における反応性においては必ずしも満足できるものではなかった。
また、非特許文献2には、酸化亜鉛薄膜のプレカーサとして、溶解性と揮発性に着目して、各種ビスアルコキシ亜鉛化合物が開示されている。具体的な化合物としては、立体的に嵩高い3級のアルコールを配位子として用いたZn(OCEt32、Zn(OCEt2Me)2、末端に求核性基を有するアルコールを配位子として用いたZn(OCH2CH2OMe)2、Zn(OCH2CH2NMe22、Zn(OCHMeCH2NMe22等が開示されている〔Etはエチル、Meはメチルを表す〕。これらのビスアルコキシ亜鉛化合物は、揮発性が充分ではないので、プレカーサの揮発を伴うCVD用の原料として必ずしも満足できるものではなかった。
特公平6−64738号公報(特に[請求項9]) 特開2003−236376号公報(特に[実施例]) 特開2005−350423号公報(特に[請求項1]〜[請求項6]) Microelectron. Eng., 29(1-4), 169-72 (1995) Inorg. Chem. 1990, 29, 4646-4652
従って、本発明が解決しようとする課題は、薄膜に亜鉛を供給するプレカーサとして充分な反応性を有するビスアルコキシ亜鉛化合物に、揮発性、低融点化等のより好適な性質を付与して、特にCVD用原料として適する亜鉛化合物を提供することにある。
本発明者等は、検討を重ねた結果、特定の構造を有する亜鉛化合物が上記課題を解決し得ることを知見し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、下記一般式(1)で表される亜鉛化合物を提供することにより上記課題を解決したものである。
Figure 2008120686
また、本発明は、上記亜鉛化合物を含有してなる薄膜形成用原料を提供するものである。
また、本発明は、上記薄膜形成用原料を気化させて得た亜鉛化合物を含有する蒸気を基体上に導入し、これを分解及び/又は化学反応させて基体上に薄膜を形成する薄膜の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、CVD用原料として好適な反応性、揮発特性、融点等の性質を有する亜鉛化合物を提供することができる。
上記一般式(1)で表される本発明の亜鉛化合物は、薄膜のプレカーサとして好適な反応性を示すものであり、CVD用原料として特に好適なものである。上記一般式(1)で表わされる本発明の亜鉛化合物は、立体異性体を有する場合があり、OR3の酸素分子が、同一分子内の亜鉛元素に配位して環構造を有する配位体を形成する場合もあり、分子同士が会合して会合体を形成する場合もある。
例えば、本発明の亜鉛化合物の会合状態としては、2分子が会合した例として、下記一般式(1−1)で表される構造が挙げられる
Figure 2008120686
本発明の亜鉛化合物は、これらの立体異性体、配位体、会合体により区別されるものではなく、いずれをも含むものである。以降、分子内配位、会合の無い形で代表して示す。
上記一般式(1)において、R3で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第2ブチル、第3ブチル、イソブチルが挙げられる。
上記一般式(1)で表される本発明の亜鉛化合物の具体例としては、以下に示す化合物No.1〜No.21が挙げられる。
なお、下記化合物No.1〜No.21中、Meはメチル、Etはエチル、Prはプロピル、iPrはイソプロピル、Buはブチル、sBuは第2ブチル、tBuは第3ブチル、iBuはイソブチルを表す。以降の説明においても、同様の略記号を用いる。
Figure 2008120686
Figure 2008120686
上記一般式(1)で表される本発明の亜鉛化合物の中でも、R1及びR2が各々独立にエチル基又はイソプロピル基であるものは、融点が特に低いので好ましい。
上記一般式(1)で表される本発明の亜鉛化合物は、その製造方法により、特に制限されることはなく、周知の反応を応用して製造することができる。製造方法としては、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジプロピル亜鉛等のジアルキル亜鉛にHO−CR12CH2OR3で表されるアルコールを反応させる方法、ビス[ビス(トリメチルシリル)アミノ]亜鉛、ビス[ジエチルアミノ]亜鉛等の亜鉛アミド化合物にHO−CR12CH2OR3で表されるアルコールを反応させる方法、塩化亜鉛とHO−CR12CH2OR3とを塩基性反応剤の存在下で反応させる方法等が挙げられる。
本発明の亜鉛化合物は、気化工程を有するCVD法等による薄膜形成用原料に好適に用いられる他、塗布熱分解法やゾルゲル法等のMOD法による薄膜形成用原料にも用いることができ、さらには、酸化亜鉛粉体原料、有機合成触媒、高分子化合物合成触媒等に用いることもできる。
本発明の薄膜形成用原料は、上記の本発明の亜鉛化合物を薄膜のプレカーサとして含有するものであり、その形態は、該薄膜形成用原料が適用される薄膜の製造方法(例えば、塗布熱分解法やゾルゲル法等のMOD法、ALDを含むCVD法)によって、適宜選択される。本発明の薄膜形成用原料は、プレカーサである本発明の亜鉛化合物が低融点で揮発性を有するので、亜鉛化合物を気化させる工程を有するCVD用原料として特に有用である。
本発明の薄膜形成用原料が化学気相成長(CVD)用原料である場合、その形態は、使用されるCVD法の輸送供給方法等の手法により適宜選択される。
上記の輸送供給方法としては、CVD用原料を原料容器中で加熱及び/又は減圧することにより気化させ、必要に応じて用いられるアルゴン、窒素、ヘリウム等のキャリアガスと共に堆積反応部へと導入する気体輸送法、CVD用原料を液体又は溶液の状態で気化室まで輸送し、気化室で加熱及び/又は減圧することにより気化させて、堆積反応部へと導入する液体輸送法がある。気体輸送法の場合は、上記一般式(1)で表される本発明の亜鉛化合物そのものがCVD用原料となり、液体輸送法の場合は、融点以上に加熱された上記一般式(1)で表される本発明の亜鉛化合物そのもの又は該亜鉛化合物を有機溶剤に溶かした溶液がCVD用原料となる。
また、多成分系薄膜を製造する場合の多成分系CVD法においては、CVD用原料を各成分独立で気化、供給する方法(以下、シングルソース法と記載することもある)と、多成分原料を予め所望の組成で混合した混合原料を気化、供給する方法(以下、カクテルソース法と記載することもある)がある。カクテルソース法の場合、上記一般式(1)で表される本発明の亜鉛化合物と他のプレカーサとの混合物或いは該混合物に有機溶剤を加えた混合溶液がCVD用原料である。
上記のCVD用原料に使用する有機溶剤としては、特に制限を受けることはなく、周知一般の有機溶剤を用いることが出来る。該有機溶剤としては、例えば;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等の酢酸エステル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;1−シアノプロパン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼン等のシアノ基を有する炭化水素類;ピリジン、ルチジンが挙げられ、これらは、溶質の溶解性、使用温度と沸点、引火点との関係等により、単独で又は二種類以上の混合溶媒として用いられる。これらの有機溶剤を使用する場合、該有機溶剤中におけるプレカーサ成分の合計量が0.01〜2.0モル/リットル、特に0.05〜1.0モル/リットルとなるようにするのが好ましい。
また、シングルソース法又はカクテルソース法を用いた多成分系のCVD法において、前記一般式(1)で表される本発明の亜鉛化合物と共に用いられる他のプレカーサとしては、特に制限を受けず、CVD用原料に用いられている周知一般のプレカーサを用いることができる。
上記の他のプレカーサとしては、アルコール化合物、グリコール化合物、β−ジケトン化合物、シクロペンタジエン化合物及び有機アミン化合物等の有機配位化合物から選択される一種類又は二種類以上と、珪素、ホウ素、リン又は金属との化合物が挙げられる。金属種としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の1族元素、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の2族元素、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド元素(ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム)、アクチノイド元素等の3族元素、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムの4族元素、バナジウム、ニオブ、タンタルの5族元素、クロム、モリブデン、タングステンの6族元素、マンガン、テクネチウム、レニウムの7族元素、鉄、ルテニウム、オスミウムの8族元素、コバルト、ロジウム、イリジウムの9族元素、ニッケル、パラジウム、白金の10族元素、銅、銀、金の11族元素、カドミウム、水銀の12族元素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムの13族元素、ゲルマニウム、錫、鉛の14族元素、砒素、アンチモン、ビスマスの15族元素、ポロニウムの16族元素が挙げられる。
上記の他のプレカーサは、シングルソース法の場合は、前記一般式(1)で表される本発明の亜鉛化合物と熱分解及び/又は酸化分解の挙動が類似している化合物が好ましく、カクテルソース法の場合は、熱分解及び/又は酸化分解の挙動が類似していることに加え、混合時に化学反応による変質を起こさないものが好ましい。
また、本発明の薄膜形成用原料には、必要に応じて、本発明の亜鉛化合物及び他のプレカーサに安定性を付与するため、求核性試薬を含有させてもよい。該求核性試薬としては、例えば、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のエチレングリコールエーテル類、18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、ジベンゾ−24−クラウン−8等のクラウンエーテル類、エチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリエトキシトリエチレンアミン等のポリアミン類、サイクラム、サイクレン等の環状ポリアミン類、ピリジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、オキサゾール、チアゾール、オキサチオラン等の複素環化合物類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−2−メトキシエチル等のβ−ケトエステル類又はアセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、ジピバロイルメタン等のβ−ジケトン類が挙げられ、安定剤としてのこれらの求核性試薬の使用量は、プレカーサ1モルに対して好ましくは0.1モル〜10モル、さらに好ましくは1〜4モルである。
本発明の薄膜形成用原料には、これを構成する成分以外の不純物金属元素分、不純物有機分、及び不純物塩素等の不純物ハロゲン分が極力含まれないようにする。不純物金属元素分は、元素毎では100ppb以下が好ましく、10ppb以下がより好ましく、総量では1ppm以下が好ましく、100ppb以下がより好ましい。不純物有機分は、総量で500ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましく、10ppm以下が更に好ましい。また、水分は薄膜形成用原料中でのパーティクル発生やCVD法によるパーティクル発生の原因となるので、金属化合物、有機溶剤及び求核性試薬については、それぞれの水分の低減のために、使用の際に予めできる限り水分を取り除いたほうがよい。金属化合物、有機溶剤及び求核性試薬それぞれの水分量は、10ppm以下が好ましく、1ppm以下がより好ましい。
また、本発明の薄膜形成用原料は、製造される薄膜のパーティクル汚染を低減又は防止するために、液相での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定において、0.3μmより大きい粒子の数が液相1ml中に100個以下であることが好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1ml中に1000個以下であることがより好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1ml中に100個以下であることが更に好ましい。
本発明の薄膜の製造方法は、本発明の薄膜形成用原料を用いるもので、前記一般式(1)で表される本発明の亜鉛化合物及び必要に応じて用いられる他のプレカーサを気化させた蒸気、並びに必要に応じて用いられる反応性ガスを基板上に導入し、次いで、プレカーサを基板上で分解及び/又は化学反応させて薄膜を基板上に成長、堆積させるCVD法によるものである。原料の輸送供給方法、堆積方法、製造条件、製造装置等については、特に制限を受けるものではなく、周知一般の条件、方法等を用いることができる。
上記の必要に応じて用いられる反応性ガスとしては、例えば、酸化性のものとしては、酸素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、水蒸気、過酸化水素、ギ酸、酢酸、無水酢酸等が挙げられ、還元性のものとしては水素が挙げられ、また、窒化物を製造するものとしては、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキレンジアミン等の有機アミン化合物、ヒドラジン、アンモニア等が挙げられ、硫化物を製造するものとしては、硫化水素が挙げられる。
また、上記の輸送供給方法としては、前記の気体輸送法、液体輸送法、シングルソース法、カクテルソース法等が挙げられる。
また、上記の堆積方法としては、原料ガス、又は原料ガス及び反応性ガスを熱のみにより反応させ薄膜を堆積させる熱CVD、熱及びプラズマを使用するプラズマCVD、熱及び光を使用する光CVD、熱、光及びプラズマを使用する光プラズマCVD、CVDの堆積反応を素過程に分け、分子レベルで段階的に堆積を行うALD(Atomic Layer Deposition)が挙げられる。
また、上記の製造条件としては、反応温度(基板温度)、反応圧力、堆積速度等が挙げられる。反応温度については、本発明の亜鉛化合物が充分に反応する温度である160℃以上が好ましく、250℃〜800℃がより好ましい。また、反応圧力は、大気圧〜10Paが好ましく、大気圧〜100Paがより好ましい。堆積方法と反応圧力との組み合わせは任意であり、例えば、減圧熱CVD、減圧プラズマCVD、減圧光CVD、減圧光プラズマCVD、大気圧熱CVD、大気圧プラズマCVD、大気圧光CVD、大気圧光プラズマCVDが可能である。堆積速度は、原料の供給条件(気化温度、気化圧力)、反応温度、反応圧力によりコントロールすることが出来る。堆積速度は、大きいと得られる薄膜の特性が悪化する場合があり、小さいと生産性に問題を生じる場合があるので、0.5〜5000nm/分が好ましく、1〜1000nm/分がより好ましい。また、ALDの場合は、所望の膜厚が得られるようにサイクルの回数でコントロールされる。
また、本発明の薄膜の製造方法においては、薄膜堆積の後に、より良好な電気特性を得るためにアニール処理を行ってもよく、段差埋め込みが必要な場合には、リフロー工程を設けてもよい。この場合の温度は、通常500〜1200℃であり、600〜1000℃が好ましい。
本発明の薄膜形成用原料を用いた本発明の薄膜の製造方法により製造される薄膜は、他の成分のプレカーサ、反応性ガス及び製造条件を適宜選択することにより、金属、合金、硫化物、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、ガラス等の所望の種類の薄膜とすることができる。製造される薄膜の種類としては、例えば、亜鉛、ZnSe、酸化亜鉛、硫化亜鉛、亜鉛−インジウム複合酸化物、リチウム添加酸化亜鉛、亜鉛添加フェライト、鉛−亜鉛複合酸化物、鉛−亜鉛−ニオブ複合酸化物、ビスマス−亜鉛−ニオブ複合酸化物、バリウム−亜鉛−タンタル複合酸化物、錫−亜鉛複合酸化物が挙げられ、これらの薄膜の用途としては、例えば、半導体、透明導電体、発光体、蛍光体、光触媒、磁性体、導電体、高誘電体、強誘電体、圧電体、マイクロ波誘電体、光導波路、光増幅器、光スイッチ、電磁波シールド、ソーラセル等が挙げられる。
以下、実施例及び評価例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施例等によって、何ら制限を受けるものではない。
[実施例1]化合物No.3の製造
乾燥アルゴンで置換した反応フラスコにビス[ビス(トリメチルシリルアミノ)]亜鉛8g及びヘキサン30mlを仕込み、ここに常温で3−メトキシメチル−3−ペンタノール5.61gをゆっくり滴下した。室温で2時間攪拌後、脱溶媒行い、白色固体を得た。得られた白色固体について、蒸留精製を行い、178℃/0.15Torrのフラクションから2.2gの固体精製物を得た。得られた固体について、以下の分析を行い、目的物であることを確認した。
(分析)
・元素分析(CHN:CHNアナライザー、金属分析:ICP)
炭素50.4質量%(理論値51.30%)、水素9.1質量%(理論値9.23%)、亜鉛19.8質量%(理論値19.94%)
1H−NMR(溶媒:重ベンゼン)
チャートを[図1]に示す。
[実施例2]化合物No.19の製造
乾燥アルゴンで置換した反応フラスコにビス[ビス(トリメチルシリルアミノ)]亜鉛100g及びヘキサン400mlを仕込み、ここに常温で3−エトキシメチル−2,4−ジメチル−3−ペンタノール92.5gをゆっくり滴下した。室温で2時間攪拌後、脱溶媒を行い、白色固体を得た。得られた白色固体について、蒸留精製を行い、165℃/0.1Torrのフラクションから42gの固体精製物を得た。得られた固体について、以下の分析を行い、目的物であることを確認した。
(分析)
・元素分析(CHN:CHNアナライザー、金属分析:ICP)
炭素54.5質量%(理論値58.3%)、水素10.0質量%(理論値10.3%)、亜鉛15.9質量%(理論値15.9%)
1H−NMR(溶媒:重ベンゼン)
チャートを[図2]に示す。
上記実施例1及び2における蒸留精製条件から、化合物No.3は178℃、0.15Torr、化合物No.19は、165℃、0.1Torrで揮発することが分かる。一方、前記非特許文献1によると、Zn(OCEt32、Zn(OCEt2Me)2、Zn(OCH2CH2OMe)2、Zn(OCH2CH2NMe22、Zn(OCHMeCH2NMe22の揮発点は、10-4Torrで、100〜225℃の範囲である。以上のことから、本発明の亜鉛化合物である化合物No.3及び化合物No.19は、揮発性が良好であることが確認できた。
[評価例1]
上記実施例1及び2で得られた化合物No.3及び化合物No.19、並びに下記に示す末端にエーテル基を有するアルコキシドである比較化合物1について、TG−DTAを測定した。なお、測定条件は、Ar流速100ml/min、昇温速度10℃/minであり、測定サンプル量は、表1に記載した通りである。50質量%減量温度及びDTAの吸熱開始温度の測定結果、並びに質量減少の様子を表1に示す。
Figure 2008120686
Figure 2008120686
上記表1より、嵩高く末端にエーテル基を有するアルコールを配位子とする比較化合物1は、本発明の亜鉛化合物と類似構造であるが、本発明の亜鉛化合物である化合物No.3、化合物No.19と比較して、低分子量であるにもかかわらず、揮発性に劣る。また、少なくとも266℃未満では固体である。これに対し、本発明の亜鉛化合物は、特異的に揮発性が良好で、融点が小さいので、CVD用原料のプレカーサとして好適である。
[実施例3]酸化亜鉛薄膜の製造
図3に示すCVD装置を用いて、サファイア基板上に以下の製造条件で、酸化亜鉛薄膜を製造した。製造した薄膜について、膜厚と膜組成を蛍光X線で確認した。その結果を以下に示す。
(製造条件)
亜鉛CVD用原料:化合物No.19のエチルシクロヘキサン溶液(濃度:0.25モル/kg)、原料流量:0.4sccm、気化室温度:220℃、気化器圧力:800Pa、キャリアガス:アルゴン150sccm、酸化ガス:酸素1000sccm、反応圧力:800Pa、反応温度(基盤温度):500℃、成膜時間:60分。
(結果)
膜厚;1145nm、膜組成;酸化亜鉛
図1は、実施例1において得られた本発明の亜鉛化合物(化合物No.3)の1H−NMRチャートを示す。 図2は、実施例2において得られた本発明の亜鉛化合物(化合物No.19)の1H−NMRチャートを示す。 図3は、実施例3において用いた、本発明の薄膜の製造方法に用いられるCVD装置を示す概要図である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表される亜鉛化合物。
    Figure 2008120686
  2. 上記一般式(1)において、R1及びR2が各々独立にエチル基又はイソプロピル基である請求項1に記載の亜鉛化合物。
  3. 請求項1又は2に記載の亜鉛化合物を含有してなる薄膜製造用原料。
  4. 請求項3に記載の薄膜形成用原料を気化させて得た亜鉛化合物を含有する蒸気を基体上に導入し、これを分解及び/又は化学反応させて基体上に薄膜を形成する薄膜の製造方法。
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