JP2008120334A - 車両用シート - Google Patents

Abstract

【課題】幅寸法を十分に確保しながら格納可能とできる車両用シートを提供する。
【解決手段】第２リヤシート５をその後方のフロア２に設けた収納凹部に収納可能に構成した車両用シートにおいて、前記収納凹部の側方に、シートクッション６の後端部を車両前後方向に移動可能とする後側スライドレールＲＳを設け、前記収納凹部の前方に前記シートクッション６の前端部を車両前後方向に移動可能とする前側スライドレールＦＳを設けたことを特徴とする。
【選択図】図２

Description

この発明は、車両用シート、とりわけシート後方に形成されたフロアの収納凹部に収納可能な車両用シートに関するものである。

車両用シートの中には、シート後方のフロアパネルに凹部を形成し、この凹部にシートを収納する構造のものがある（特許文献１参照）。
また、リヤホイールハウスの内側に配置したシートレールに対してスライド可能に支持されたシートをシート後部のフロアに形成された凹部に収納可能に構成した技術が開示されている（特許文献２参照）。
特開平１０−１１９６１３号公報 米国特許第５，８９０，７５８号明細書

しかしながら、前者にあってはホイールハウスの内側部位にブラケットの延出部を介してシートを支持するものであるため、このブラケットの延出部の配置部分だけシートの幅寸法が制約を受けるという問題がある。
また、後者にあっては、シートを前後方向にスライドさせるためのスライドレールをホイールハウスの内側に配置しているため、その分シートの幅寸法が狭くなってしまうという問題がある。

そこで、この発明は、シートの幅寸法を十分に確保しながら格納可能とできる車両用シートを提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、シート（例えば、実施形態における第２リヤシート５）をその後方のフロア（例えば、実施形態におけるフロア２）に設けた収納凹部（例えば、実施形態における収納凹部１０）に収納可能に構成した車両用シートにおいて、前記収納凹部の側方に、前記シートクッション（例えば、実施形態におけるシートクッション６）の後端部を車両前後方向に移動可能とする後端部移動手段（例えば、実施形態における後側スライドレールＲＳ）を設け、前記収納凹部の前方に前記シートクッションの前端部を車両前後方向に移動可能とする前端部移動手段（例えば、実施形態における前側スライドレールＦＳ）を設けたことを特徴とする。
このように構成することで、収納凹部を避けるようにして後端部移動手段と前端部移動手段を配置できるため、シートの幅寸法を例えばリヤホイールハウスの内壁近傍まで広げることができる。また、シートを収納凹部の上方にまで移動できる。

請求項２に記載した発明は、前記シートクッションの後端部と前記後端部移動手段とを接続する支持部材（例えば、実施形態における支持部材２０）を設けたことを特徴とする。
このように構成することで、シートを最前位置に移動した場合のシートの後端を収納凹部よりも前方に位置させることができる。

請求項３に記載した発明は、前記後端部移動手段を、車両（例えば、実施形態における車両１）のホイールハウス（例えば、実施形態におけるリヤホイールハウス１１）の後方のフロア面に配置したことを特徴とする。
このように構成することで、シートの幅寸法をホイールハウスの内壁近傍まで広げることができると共に広い幅でシートを支持できる。

請求項４に記載した発明は、前記前端部移動手段と前記後端部移動手段は、車両前後方向に延びる前側スライドレール（例えば、実施形態における前側スライドレールＦＳ）と後側スライドレール（例えば、実施形態における後側スライドレールＲＳ）とからなり、前記前側スライドレールは前記後側スライドレールよりも車幅方向内側に配置されていることを特徴とする。
このように構成することで、後部は後側スライドレールによって広い幅でシートを支持し、前部では前側スライドレールによって狭い幅でシート支持することができる。

請求項１に記載した発明によれば、収納凹部を避けるようにして後端部移動手段と前端部移動手段を配置できるため、シートの幅寸法を例えばリヤホイールハウスの内壁近傍まで広げることができ、シートの幅を大きく確保できる効果がある。また、シートを収納凹部の上方まで移動できるので、シートアレンジの幅が広がると共に、シートの前側空間を広げることができる。
請求項２に記載した発明によれば、シートを最前位置に移動した場合のシートの後端を収納凹部よりも前方に位置させることができるため、シートを収納しない場合におけるシート後部の収納スペースを十分に確保できる効果がある。
請求項３に記載した発明によれば、シートの幅寸法をホイールハウスの内壁近傍まで広げることができるため、シートの幅を大きく確保できる効果がある。また、幅広くシートを支持できるため、シートの支持安定性が高まる効果がある。
請求項４に記載した発明によれば、後部は後側スライドレールによって広い幅でシートを支持し、前部では前側スライドレールによって狭い幅でシート支持することができるため、安定してシートを支持することができる効果がある。

次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図１に示すように、車両１の車室内には、フロア２上に車体前後方向後方に向かってフロントシート３、第１リヤシート４および第２リヤシート５が３列に設けられている。

図２〜図４に示すように、第２リヤシート５は、３人掛けのベンチ型シートであって、シートクッション６とシートバック７とこのシートバック７の上部に着脱可能に取り付けられ、着座可能な３名の乗員に対応した３つのヘッドレスト８とで構成されている。
シートバック７は、リクライニング機構（図示せず）を介し、軸９を支点にしてシートクッション６側に重ね合わせて折り畳み可能であって、この第２リヤシート５の後方のフロア２には、使用状態から収納姿勢に折り畳まれたこの第２リヤシート５を収納するための収納凹部１０が設けられている。

ここで、第２リヤシート５は、左右に設けた後述する前側スライドレールＦＳ，ＦＳと後側スライドレールＲＳ，ＲＳとによりフロア２に対して前後方向にスライド自在に支持されている。これら前側スライドレールＦＳと後側スライドレールＲＳとを分割して設け、前側スライドレールＦＳを車両のリヤホイールハウス１１の内側に配置し、後側スライドレールＲＳをリヤホイールハウス１１の後方で前側スライドレールＦＳよりも車幅方向外側に配置したものである。ここで、収納凹部１０の外周形状は、第２リヤシート５のシートクッション６にシートバック７を重ね合わせた状態で反転させた外周形状に整合し、収納凹部１０の深さは、折り畳まれた第２リヤシート５のシートクッション６とシートバック７の厚さ寸法に設定され、収納時において後述するシートクッション６のクッションフレーム１２の下面１３がフロア２と面一となるように設定されている。

第２リヤシート５は前側のストロークエンドに位置した状態で、後方のフロア２に収納凹部１０が露出するものである。ここで、シートバック７は左側に着座する一人の乗員に対応した左シートバック部７Ｌと右側の二人の乗員に対応した右シートバック部７Ｒとで分割構成され、左、右、中央ヒンジＨＬ，ＲＨ，ＣＨを介して各々独立して傾動可能になっている。

第２リヤシート５のシートクッション６の下面にはクッションフレーム１２が取り付けられている。クッションフレーム１２の前部の下面１３には、第２リヤシート５の前部を車体に対して車幅方向に渡って支持する板状のステー１４が回動可能に取り付けられている。ここで、ステー１４は後方に回動してクッションフレーム１２の下面１３内の収納部１５に収まり面一に格納可能に構成されている（図６、７参照）。
フロア２の収納凹部１０の左右側方には、リヤホイールハウス１１の後方の車室内壁近傍に車体前後方向に渡って後側ロアレール１６がブラケット１７，１７を介して前後で固定されている。後側ロアレール１６には後側アッパレール１８が前後方向にスライド可能に支持されている。

一方、シートクッション６の後端部には後端ブラケット１９が設けられ、この後端ブラケット１９に後方に向かって延出する支持部材２０の前端部が支持され、この支持部材２０が後側アッパレール１８に固定されている。この後端ブラケット１９には車幅方向に向かって回動軸２９（図１参照）が設けられ、この回動軸２９を中心にしてシートクッション６が後側に回動可能に支持されている。ここで、後方に延出する支持部材２０はシートクッション６の側壁から側方にオフセットして配置されている。また、支持部材２０の下面には後側アッパレール１８を上から包み込む凹部２１が形成されている。

ところで、後端ブラケット１９には支持部材２０が支持されているが、後側アッパレール１８が前側にスライドして後側ロアレール１６の前端部に位置すると（図２の位置）図示しないインターロック機構のロックが解除され、支持部材２０の前端部に設けた車幅方向の動軸２９を中心にして後端ブラケット１９が後方に回動できるようになっている。後側アッパレール１８と後側ロアレール１６とで後側スライドレールＲＳを構成し、この後側スライドレールＲＳがシートクッション６の後端部を車両前後方向に移動可能とする後端部移動手段を構成している。したがって、支持部材２０はシートクッション６の後端部と後端部移動手段である後側スライドレールＲＳとを接続することとなる。

収納凹部１０の前方のフロア２には、後側ロアレール１６に平行で後側ロアレール１６よりも車体幅方向内側寄りに車体前後方向に渡って前側ロアレール２６が固定されている。前側ロアレール２６はブラケット２７を介して前後で固定され、この前側ロアレール２６には前側アッパレール２８が前後方向にスライド可能に支持されている。ここで、前側アッパレール２８には側面視コの字状のストライカ２４が固定されている。

一方、クッションフレーム１２に取り付けられたステー１４の回動端、具体的にはステー１４の後面（裏面）に、各前側アッパレール２８のストライカ２４に係止するラッチ２５が取り付けられている。
ステー１４が前側に回動して垂下した状態となり、ステー１４のラッチ２５が前側アッパレール２８のストライカ２４に係止して第２リヤシート５が使用状態となるのである。前側アッパレール２８と前側ロアレール２６とで前側スライドレールＦＳを構成し、この前側スライドレールＦＳがシートクッション６の前端部を車両前後方向に移動可能とする前端部移動手段を構成している。したがって、前側スライドレールＦＳは後側スライドレールＲＳの車幅方向内側に配置されていることとなる。

ここで、通常はステー１４は前側アッパレール２８に対してラッチ２５及びストライカ２４によって係合して連結された状態にあり、この状態で前側ロアレール２６に対してスライドすることとなるが、前側アッパレール２８が前側にスライドして前側ロアレール２６の前端部に位置すると（図２の位置）図示しない解除機構によりステー１４のラッチ２５と前側アッパレール２８のストライカ２４との係合が解除可能にされる。ところで、後側アッパレール１８は前述したように後側ロアレール１６の前端部に位置しているため、支持部材２０に対して後端ブラケット１９が回動を許容された状態となっている。そのため、前側での拘束を解除された状態にあるシートクッション６の後方への回動が許容される。
尚、このようにシートクッション６の回動が許容されるためには、シートクッション６の前端側への移動のみならず、シートバック７がシートクッション６に重ね合わされる回動動作を条件に加えて、ステー１４のラッチ２５と前側アッパレール２８のストライカ２４との係合が解除されるようにしてもよい。

したがって、この実施形態によれば、第２リヤシート５を収納凹部１０に格納する際には、第２リヤシート５を後側ロアレール１６及び前側ロアレール２６に沿ってストロークエンドまで前側に移動させる。このとき、第２リヤシート５の後方には収納凹部１０が露出することとなる。この状態ではステー１４の先端側のラッチ２５と前側アッパレール２８のストライカ２４との係合が解除されると共に、シートクッション６の後端部では後端ブラケット１９と支持部材２０との固定状態は解除され、支持部材２０に対して後端ブラケット１９が後側に回動可能な状態となっている。

そして、シートクッション６を重ね合わせたシートバック７ごと回動軸２９を中心に後方に回動すると、この回動軸２９を中心にして支持部材２０に対して後端ブラケット１９、つまり第２リヤシート５が回動して、第２リヤシート５が収納凹部１０に収納される。
このとき、ステー１４はクッションフレーム１２の凹部２１に面一で収納され、フロア対して面一となっているクッションフレーム１２の下面１３の平坦性を損ねることはない。

また、収納凹部１０とリヤホイールハウス１１を避けるようにして前側スライドレールＦＳと後側スライドレールＲＳとを前後にして分割配置できるため、第２リヤシート５の幅寸法をリヤホイールハウス１１に近接したぎりぎりの位置まで設定することができる。よって、第２リヤシート５の幅を大きく確保できる。
そして、シートクッション６の後端部と後側スライドレールＲＳとを接続する支持部材２０を設けたことにより、第２リヤシート５を最前位置に移動した場合の第２リヤシート５の後端を収納凹部１０よりも前方に位置させることができる。よって、第２リヤシート５を収納しない場合における第２リヤシート５後部の収納スペースを十分に確保できる。

後側スライドレールＲＳを車両１のリヤホイールハウス１１の後方のフロア２面に配置したため、第２リヤシート５の幅寸法をリヤホイールハウス１１の内壁近傍まで広げることができる。また、リヤホイールハウス１１の後方で幅広く第２リヤシート５を支持できるため、第２リヤシート５の支持安定性が高まる。
左右の前側スライドレールＦＳは後側スライドレールＲＳよりも車幅方向内側に配置されているため、後部は後側スライドレールＲＳによって広い幅で第２リヤシート５を支持し、前部では前側スライドレールＦＳによって狭い幅で第２リヤシート５を支持することができる。よって、安定して第２リヤシート５を支持することができる。

尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、フロアに対してスライド自在に支持されたシートを例にして説明したが、複数の位置決め場所に対して選択的にシートの位置を固定できる構造のシートにも適用できる。また、後側ロアレール２６は車両の側壁に設けてもよい。更に、シートが前後に３列に配置された場合を例にしたが、前後３列以外のシートを備えた車両の後部シートに適用しても良い。

この発明の実施形態の車両の側面説明図である。 この発明の第１実施形態を示す図１の部分拡大図である。 図２の後面図である。 この発明の第１実施形態の右斜め前方から見た斜視図である。 この発明の第１実施形態の右斜め後ろの上方から見た斜視図である。 この発明の第１実施形態の右斜め後ろの上方から見た収納状態を示す斜視図である。 この発明の第１実施形態の下方から見た斜視図である。

符号の説明

１ 車両
２ フロア
５ 第１リヤシート（シート）
６ シートクッション
１０ 収納凹部
１１ リヤホイールハウス（ホイールハウス）
２０ 支持部材
ＦＳ 前側スライドレール（前端部移動手段）
ＲＳ 後側スライドレール（後端部移動手段）

Claims (4)

1. シートをその後方のフロアに設けた収納凹部に収納可能に構成した車両用シートにおいて、前記収納凹部の側方に、前記シートクッションの後端部を車両前後方向に移動可能とする後端部移動手段を設け、前記収納凹部の前方に前記シートクッションの前端部を車両前後方向に移動可能とする前端部移動手段を設けたことを特徴とする車両用シート。
2. 前記シートクッションの後端部と前記後端部移動手段とを接続する支持部材を設けたことを特徴とする請求項１記載の車両用シート。
3. 前記後端部移動手段を、車両のホイールハウスの後方のフロア面に配置したことを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の車両用シート。
4. 前記前端部移動手段と前記後端部移動手段は、車両前後方向に延びる前側スライドレールと後側スライドレールとからなり、前記前側スライドレールは前記後側スライドレールよりも車幅方向内側に配置されていることを特徴とする請求項１〜請求項３の何れか一項に記載の車両用シート。

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