JP2008120215A - 自動車の騒音低減構造 - Google Patents

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Kaoru Fujio
薫 藤尾
Katsushige Omae
勝茂 大前
Kenichi Kita
謙一 喜多
Kazuhiro Miki
一弘 三木
Fuminori Iwaki
史典 岩城
Tomohiro Suzuki
智博 鈴木
Naoko Yorozu
菜穂子 萬
Chie Fukuhara
千絵 福原
Hidetoshi Yamamoto
秀俊 山本
Eiji Murasawa
英治 村澤
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Abstract

【課題】車室内騒音の低減を図る。
【解決手段】ルーフトリム2とルーフパネル3との間に吸音材4を設け、ルーフトリム2に孔を開けて高音響透過率部6とする一方、吸音材4には多数の高密度部8を高音響透過率部6まわりに存するように配置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車の騒音低減構造に関する。
走行中の自動車には、様々な騒音が発生し、なかでもロードノイズや風騒音は乗員にとって特に耳障りになるものの一つとして知られている。このロードノイズは、自動車のタイヤが加振源となって車体に振動が伝達されて車室内騒音となるものであり、通常は100〜1000Hzの低・中周波数域の音である。一方、風騒音は1001Hz〜10kHzの高周波数域の音である。このような騒音の対策として、ルーフトリムとルーフパネルとの間や、ドアトリムとドアインナパネルとの間等に吸音材を配設することが行なわれている。
また、吸音材として、吸音特性(吸音周波数特性)の異なる複数の繊維層を積層してなるものも知られている(特許文献1参照)。例えば、100〜500Hzに吸音特性を設定した繊維層と、100〜300Hzに吸音特性を設定した繊維層とを積層してなる吸音材を、自動車のルーフパネル部、フロアカーペット、ダッシュパネル部等に配置する、というものである。
特開2001−306080号公報
本発明者は、自動車における騒音問題に関するこれまでの研究により、車両の路面から車室内に伝播した低・中周波数音が、例えば、ルーフトリムとルーフパネルとの隙間のような、2枚の板で形成された扁平な空間に入ると、その音波の進む方向がそれら板面に沿う方向に変わること、そして、該扁平空間に板面に沿うように設けられた吸音材により当該低・中周波数音が効率良く吸収されることを見出した。
ところで、吸音材と低・中周波数音とは次のような関係がある。すなわち、低・中周波数音を吸音材内部に入射させ易くするためには、吸音材の通気性を高くする方が好ましい。一方、吸音材内部に入射した音の吸収低減には吸音材の通気性を低くする方が好ましい。音波が吸音材に入射すると、吸音材内の空気が振動し、繊維との摩擦によって空気の振動が熱エネルギーに変換されるが、通気性が低いほど上記摩擦が大きくなり、吸音率が高くなるからである。
従って、吸音材の通気性の調整のみによって、低・中周波数音の入射効率と吸音率とを共に高めることはできない。
なお、本発明において、「通気性」とは、空気粒子が吸音材内部を通るのに必要な移動距離の長短をいう。すなわち、通気性が低いとは、空気粒子が吸音材を単位長さ進むときに移動する距離が長いことをいう。例えば、繊維密度が高く、繊維同士が複雑に絡み合っている場合、空気粒子はその繊維の隙間を縫うようにジグザグに移動することになるため、移動距離が長くなる。その場合は、空気粒子と繊維との摩擦回数が多くなるため、吸音され易くなる(通気性が低いほど吸音性が高い。)。
これに対して、吸音性を高めるには、吸音材を空気粒子の移動量が大きい粒子速度(音波による空気分子の速度)の腹の部分に配設することが効果的である。そのため、上記扁平空間内における粒子速度の腹部には通気性の低い吸音材を配置し、他の部位には通気性の高い吸音材を配置することが考えられる。しかし、上記扁平空間内には様々な方向の共鳴が混在していて、音の伝播方向が一定でないため、どの方向の粒子速度分布に対しても吸音性が高くなるように通気性の低い吸音材を配置することは困難である。
そこで、本発明は、上記内板の裏側に配設する吸音材が、低・中周波数から高周波数にわたる比較的広い周波数域で車室内騒音の低減に有効に働くようにすることを課題とする。
本発明は、このような課題を解決するために、車室空間を形成する内板に音響透過率の高い部分を設けることにより、車室内騒音がこの高音響透過率部から内板と外板との間に進入し、高音響透過率部を中心として周囲に向かって音が放射状に伝播するようにし、このように内板と外板との間の粒子速度分布を制御した上で、この粒子速度分布に対応させて吸音材を配置することにより、車室内騒音を効率良く低減できるようにした。
請求項1に係る発明は、車室空間を形成する内板と、該内板の外側に設けられた外板との間に、吸音材がその内板及び外板の少なくとも一方に沿って広がるように配設された自動車の騒音低減構造において、
上記内板には、上記車室空間から上記内板と外板との間への音響透過率が局部的に高くなった高音響透過率部が形成され、
上記吸音材には、局部的に密度が高くなった高密度部が、上記高音響透過率部まわりに存するように配設されていることを特徴とする。
従って、車室内騒音は、内板の高音響透過率部から、この内板と外板との隙間に進入し、内板背部の粒子速度が大きくなることにより、吸音材による吸音効率が高くなる。そして、この隙間は通常、扁平な空間を有していることから、音は高音響透過率部を中心として周囲へ板面に沿って放射状に伝播していく。すなわち、内板と外板との間では、常に音が一定方向(この場合は高音響透過率部を中心とする放射方向)に伝播していき、粒子速度分布は高音響透過率部を中心として周囲へ波紋のように広がった形になる。このため、内板又は外板に沿って広がる吸音材が広く騒音の吸収・低減に働くことになる。
そうして、上記吸音材は、同じ繊維材であれば、その密度が高くなるほど通気性が低くなるため吸音率が高くなることから、上記高密度部(通気性の低い部分)はエネルギーが最も高い粒子速度の腹部に配置されるようにすることが望ましい。これに対して、本発明では、上述の如く、音は常に高音響透過率部から周囲に放射状に伝播していくから、高音響透過率部まわりに配置された高密度部を必ず通過することになり、その高密度部が吸音に効率良く働く。
しかも、吸音材は部分的に高密度になっていて、他の部分は低密度になっている(通気性が高くなっている)から、全体としてみれば音の入射効率が高い。よって、音を吸音材に効率良く入射させて吸収低減することができる。
上記高音響透過率部は、内板に孔を設けることによって形成することができる。その孔は通気性を有するカバーで覆うことが好ましい。通気性のないカバーであっても、内板に比べて音響透過率が高いものであれば、採用することができる。高音響透過率部は、内板の面積が狭い場合は、その中央付近に1箇所設けることで足りるが、内板の面積が広い場合は適宜の間隔をおいて複数箇所に設けるようにすればよい。
上記吸音材は、多孔質材料、なかでも、羊毛、綿等の天然繊維、ポリエチレンテレフタレート等の合成繊維、グラスウール等の無機繊維、その他の繊維質材料によって形成することが好ましい。吸音材は、単層にする場合に限らず、吸音特性が異なる(例えば密度や材質が異なる)吸音材料を2層以上に積層して用いることができる。
上記高密度部は、吸音材料を部分的に圧縮成形することによって形成することができ、或いは、高密度材を適宜の間隔で吸音材本体に埋め込むことによって形成することができる。後者の場合、高密度材は吸音材本体と同質の材料であっても、異質の材料であってもよい。高密度部は、高音響透過率部のまわりに散点状に配置する他、連続線となるような形で配置してもよい。
請求項2に係る発明は、請求項1において、
上記高密度部は、上記高音響透過率部まわりに多重の環状又は多重の弧状になるように配設されていることを特徴とする。
すなわち、高密度を高音響透過率部のまわりにランダムに配設した場合でも、高音響透過率部から放射状に伝播していく音の吸音率を高めることができる。しかし、ランダム配置では、必ずしも、高音響透過率部から全方角に伝播する音の吸収に高密度部が有効に働くとは限らない。また、音が高音響透過率部から放射状に伝播していく場合、その粒子速度は、波紋を描いたように分布する。従って、ランダム配置では、吸音に寄与しない高密度部が出てくる。
そこで、本発明では、高密度部を高音響透過率部まわりに多重の環状又は多重の弧状になるように配設したものであり、これにより、高音響透過率部から放射状に伝播する音の吸収、特に狙いとする周波数の音の吸収に有利になる。
請求項3に係る発明は、請求項2において、
上記高密度部は、上記高音響透過率部を中心とする多重の同心環状に配設されていることを特徴とする。
これにより、狙いとする周波数の音を効率良く吸収する上でさらに有利になる。
請求項4に係る発明は、請求項3において、
上記高密度部は、上記高音響透過率部を中心とする多重の同心円状に配設されていることを特徴とする。
これにより、狙いとする周波数の音を効率良く吸収する上でさらに有利になる。
請求項5に係る発明は、請求項2乃至請求項4のいずれか一において、
上記高音響透過率部を中心とする放射方向に並ぶ上記高密度部のピッチが17cm以下であることを特徴とする。
すなわち、上記ピッチ17cmは1000Hzの音波の波長の1/2に相当する。従って、上記ピッチを17cmにすると、上記高密度部を1000Hzの音波の粒子速度の各腹部に配置して、当該周波数の音を効率良く低減させることができる。そうして、上記ピッチが17cm以下であるということは、各高密度部が様々な周波数の音波の粒子速度の腹部に位置付けられる可能性が高くなるということであり、低周波数から高周波数に亘る広い周波数域の音の低減に有利になる。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
上記吸音材は上記内板及び外板のいずれか一方の板に重ねられ、該吸音材と他方の板との間に空隙が形成され、
上記高密度部は、上記吸音材より上記空隙に突出していることを特徴とする。
従って、高音響透過率部から内板の背部に進入した音は、空隙を伝播していく過程で、該空隙に突き出した高密度部に衝突し、該高密度部を振動させる。この高密度部の振動により、内板と外板との間の空間が攪拌されるのでこの空間内の粒子速度が増大し、吸音性能を向上させることができる。
請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
上記内板は、上記車室の天井面を形成するルーフトリムであり、
上記外板は、車体外壁を形成するルーフパネルであることを特徴とする。
従って、車室内騒音を広い吸音面積を確保することが容易なルーフ部において効率良く吸収・低減させることができる。
上記各発明において、上記内板には、100Hz以上1000Hz以下の低・中周波数音で振動するように剛性が調整された可撓部を設け、該可撓部に上記高音響透過率部を配置することが好ましい。内板の可撓部の振動によって、内板と外板との間の空気が攪拌され、この攪拌により高音響透過率部から放射状に伝播する低・中周波数音の粒子速度が増大し、該低・中周波数音が内板背部の吸音材によって効率良く吸収されることになり、騒音低減に有利になる。
以上のように、本発明によれば、車室空間を形成する内板には高音響透過率部が形成され、該内板と外板との間の吸音材には、上記高音響透過率部まわりに存するように高密度部が配設されているから、車室内騒音は高音響透過率部から内板と外板との間に導かれて該高音響透過率部を中心として周囲に放射状に伝播することになり、これにより、高音響透過率部まわりに存する高密度部が吸音に効率良く働くとともに、内板又は外板に沿って広がる吸音材を広く騒音の吸収・低減に活用することができ、しかも、低密度の吸音材本体部と高密度部とによって、広い周波数域の音を効率良く吸収することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の原理説明図である。同図において、1は車室空間、2は車室空間1を形成する内板(例えばトリム)、3は内板2の外側に設けられた外板(例えば車体パネル)であり、内板2と外板3との間に隙間が形成され、この隙間に繊維材等によって形成された多孔質の吸音材4が、内板2及び外板3の少なくとも一方に沿って広がるように配設されている。内板2は例えば100Hz以上1000Hz以下の低・中周波数音で振動するように剛性が調整されている。
図例では、吸音材4は内板2に重ねられ、吸音材4と外板3との間に空隙5が形成されている。但し、吸音材4を外板3に重ね、内板2との間に空隙を形成してもよく、或いは内板2及び外板3の両者に重なる、つまり内板2と外板3との隙間に吸音材が充填された状態になるようにしてもよく、或いは内板2及び外板3各々との間に空隙が形成されるようにしてもよい。
内板2には、車室空間から該内板と上記外板との間への音響透過率が局部的に高くなった高音響透過率部6としての孔が形成されている。この孔は通気性を有する布等のカバー7で車室側から覆うことが望ましい。高音響透過率部6は、図例では1つ設けられているが、適宜の間隔をおいて複数設けることができる。一方、吸音材4には、密度が局部的に高くなった(通気性が低くなった)多数の高密度部8が高音響透過率部6まわりに存するように配設されている。図例の高密度部8は、図2に示すように、パンチにより、車室側から吸音材の繊維材を圧縮させて空隙5に突出させたベロアによって形成されている。
上述の如く内板2に高音響透過率部6を設けたことにより、矢符で示すように、音が車室空間1から内板2と外板3との間に進入し易くなる。図3は、高音響透過率部6として孔を設けた場合と、そのような孔を設けない場合とについて、内板2の背部(外板側)の粒子速度を比較したグラフである。同図から明らかなように、高音響透過率部6の存在により、内板2の背部の音(粒子速度)が、孔から噴出するように大きくなる。そして、内板2と外板3とが狭い隙間になっていることより、音は高音響透過率部6からその周囲に放射状に伝播していく。すなわち、高音響透過率部6を中心として周囲へ波紋状に広がった粒子速度分布が得られる。このため、内板2又は外板3に沿って広がる吸音材4の全体が吸音に広く有効に働くことになる。
そして、高密度部8は、吸収したい音の周波数に合わせて、適宜、密度を調節してもよい。例えば、車室空間において100Hz以上1000Hz以下の低・中周波数音を積極的に低減したい場合には、上記低・中周波数音を吸収するように高密度部8の密度を設定してもよい。また、1000Hzから10kHz程度までの高周波数音を積極的に低減したい場合には、上記高周波数音を吸収するように高密度部8の密度を設定してもよい。このとき、吸音材本体(高密度部8以外の部分)の密度は、高密度部8よりも低いから、音の入射効率が高くなり、高密度部8で比較的高い周波数音が吸収され、車室内の騒音が低減される。
さらに、高密度部8を複数配設する場合には、同一の密度に設定しても、低・中周波数音を吸収する高密度部と高周波数音を吸収する高密度部とを混在させて配設してもよい。上記のように混在させて配設すれば、全体として、より広い周波数域の音が吸収されることになる。
図4乃至図9は吸音材4における高密度部8の配設例を示す。図4は、高密度部8を、高音響透過率部6を中心とする多重の同心円になるように配設したものである。この例によれば、高音響透過率部6から放射状に伝播する全ての方角の音波が高密度部8の影響を受けることになり、吸音に有利になる。また、この例のように、高密度部8を同心円状に配設して放射方向に一定の間隔で並ぶようにすると、すなわち、高密度部8の放射方向に並ぶピッチPを一定にすると、粒子速度の腹が放射方向に並ぶ各高密度部8に位置付けられる周波数の音がこれら高密度部8によって効率良く吸収される。よって、特定周波数の音を効率良く吸収する上で有利になる。
ピッチPは、吸音したい周波数域のうち最も波長が短い1000Hzの音波の1/2波長に相当する17cm以下とすることが好ましい。これにより、各高密度部8が様々な周波数の音波の粒子速度の腹部に位置付けられる可能性が高くなり、低周波数から高周波数に亘る広い周波数域の音の低減に有利になる。高密度部8の直径は4.3cm以上8.5cm以下とすることが好ましい。4.3cmは1000Hzの音波の1/8波長に相当し、8.5cmは同じく1/4波長に相当する。
図5は、高密度部8を、高音響透過率部6を中心とする多重の同心楕円になるように配設したものである。この例によれば、図4の例と同じく、高音響透過率部6から放射状に伝播する全ての方角の音波が高密度部8の影響を受けることになり、吸音に有利になる。また、この例では、楕円の短軸方向に並ぶ高密度部8では、長軸方向に並ぶ高密度部8に比べて、その配設ピッチが小さくなるから、より高周波数の音が吸収される。この楕円の場合、長軸方向の配設ピッチP’を1000Hzの1/2波長(17cm)以下とすることが好ましい。
図6は、高密度部8を、高音響透過率部6を中心とする多重の同心正方形になるように配設したものである。この例によれば、図4の例と同じく、高音響透過率部6から放射状に伝播する全ての方角の音波が高密度部8の影響を受けることになり、吸音に有利になる。また、この例では、正方形の各辺に直交する方向に並ぶ高密度部8では、正方形の対角線方向に並ぶ高密度部8に比べて、その配設ピッチが小さくなるから、より高周波数の音が吸収される。また、内板2と外板3との隙間において、正方形の各辺に直交する方向の共鳴を生ずるとき、その共鳴周波数の音を吸収する上で有利になる。
図7は、高密度部8を、多重の矩形(正方形を含む)となるように、且つ各矩形は最内側では高音響透過率部6を中心とする図形となり、外側になるほど中心が高音響透過率部6から離れるように偏心させて配設したものである。このような高密度部8の配置は、例えば高音響透過率部6が吸音材4の端近くに配置されたときに採用することができる。この例によれば、図4の例と同じく、高音響透過率部6から放射状に伝播する全ての方角の音波が高密度部8の影響を受けることになり、吸音に有利になる。また、この例では、各矩形が高音響透過率部6から偏心していく方向に並ぶ高密度部8では、これと直交する方向に並ぶ高密度部8に比べて、その配設ピッチが大きくなるから、より波長が長い低周波数の音が吸収される。
図8は、高密度部8を、高音響透過率部6を中心とする多重の円弧状になるように配設したものである。このような高密度部8の配置は、例えば高音響透過率部6が吸音材4の端に配置されたときに採用することができる。この例によれば、高音響透過率部6から放射状に伝播する全ての方角の音波が高密度部8の影響を受けることになり、吸音に有利になる。また、この例のように、高密度部8を放射方向に略一定の間隔で並ぶようにすると、すなわち、高密度部8の放射方向に並ぶピッチPを略一定にすると、粒子速度の腹が放射方向に並ぶ各高密度部8に位置付けられる周波数の音がこれら高密度部8によって効率良く吸収される。よって、特定周波数の音を効率良く吸収する上で有利になる。
以上の図4乃至図8の各例は多数のベロア状高密度部8を所定の図形になるように点在させているが、図9は、高密度部8を線状になるように形成し且つ高音響透過率部6を中心とする多重の同心円になるように配設したものである。この例でも、図4の例と同様の作用効果が得られる。
なお、図5乃至図8に示す高密度部8の配設例においても、図9に示すように、高密度部8を線状に繋いだ形にすることができる。
また、図4乃至図9の各例では、高密度部8を、高音響透過率部6のまわりに多重図形を描くように配設しているが、単一の円状、楕円状、矩形状、円弧状等になるように配設してもよい。
図10は内板2の剛性(可撓性)が吸音に及ぼす効果を確認した実験データを示す。実験にあたっては、剛性が相異なる4種類の内板を準備し、車室を模した模型内に内板を設置して、模型内空間を模擬車室空間と、内板と外板との隙間に相当する吸音空間とに区画し、吸音空間に吸音材を配設した(図1と同様の騒音低減構造)。そして、模擬車室空間で100〜1000Hzの音を発生させ、この時の振動する内板の振幅をレーザー振動計で測定するとともに、SPL(音圧レベル)マイクにて吸音空間の音圧を測定した。
内板の振動量(振幅)と音圧低減代との関係を調べると、図10に示すように、内板の振動量が大きくなるほど音圧低減代が大きくなっている。これは、内板の振動によって、内板と外板との間の空気の攪拌されて高音響透過率部から放射状に伝播する音の粒子速度が増大するところ、内板の振動量が大きくなるほど粒子速度の増大量が大きくなり、該音が内板背部の吸音材によって効率良く吸収されるためである。
図11及び図12は本発明を自動車のルーフ部に適用した具体例を示す。図11は高音響透過率部6及び高密度部8の配置を示す図である。同図において、符号3はルーフパネル(外板)である。また、大きな丸が高音響透過率部6を示し、小さな丸が高密度部8を示す。図11には吸音材自体及びルーフトリム自体は描いていない。ルーフパネル3の内面側には車幅方向に延びる複数本のレインフォースメント(以下、ルーフレインという。)12が車体前後方向に間隔をおいて設けられている。符号13の部分は天井灯取付部であり、符号14の部分はアシストグリップ取付部である。図12はルーフ部の断面図であり、ルーフトリム(内板)2とルーフパネル3との隙間に高密度部8を有する吸音材4が設けられている。
ルーフトリム2は、ルーフレイン12の部位ではルーフトリム2上の吸音材4がルーフレイン12に当たっていて振動し難くなっているから、ルーフレイン12によって振動が規制されない相隣るルーフレイン12間の部分が、100Hz以上1000Hz以下の低・中周波数音で振動するように剛性が調整された可撓部になっている。そして、この可撓部に高音響透過率部6が形成されている。
上記剛性の調整は、ルーフトリム2のルーフレイン12間の部分をルーフレイン12に対応する部分よりも薄くなるように圧縮成形することによって行なうことができる。すなわち、板厚を薄くすることによって、剛性が下がり、振動し易くなる。或いは、ルーフトリム2がウレタン製基材層の両側にガラス繊維層を積層した構造になっている場合、そのガラス繊維層の繊維密度を部分的に低くすることによって、剛性を下げるようにしてもよい。或いは、上記基材層を構成するウレタンの強度を部分的に下げる(部分的に軟質のウレタンを用いる)ことによって、剛性を下げるようにしてもよい。
図11に示すように、高音響透過率部6は、相隣るルーフレイン12間では、中央に1つ、左右両側に1つずつの計3つ配設されている。前部ルーフレイン12より前方側及び後部ルーフレイン12より後方側各々では、複数の高音響透過率部6が適宜の間隔(例えば40cm前後の間隔をおいて)散らばるように配設されている。
そうして、高密度部8は、各高音響透過率部6のまわりに、その高音響透過率部6を中心とする多重の同心円状になるように配設されている。また、ルーフレイン12間では、高音響透過率部6同士が車幅方向に離れて配設されていることから、その両高音響透過率部6間の中央部には、多数の高密度部6が車体前後方向及び車幅方向に直線状に並ぶように配設されている。
従って、図13に示すように、高密度部8が多重の同心円状になるように配設されている部位では、車室から高音響透過率部6を通してルーフトリム2の背部に入射した音は矢符で示すように、高音響透過率部6から放射状に伝播していくが、高密度部8が放射状の伝播を遮る形で設けられているから、該高密度部8によって音が効率良く吸収される。さらに、高密度部8は、内板2と外板3との間の空間内を伝播する音の衝突を受けて振動するため、内板2と外板3との間の空間が攪拌されるので、上記空間内の粒子速度が増大し、吸音性能が向上する。
図11に示す相隣るルーフレイン12間は、周囲をルーフレイン12及びルーフサイドで矩形状に囲まれた空間になっている。このため、図14及び図15に示すように、このルーフレイン12間では、波線で示すように、振動伝播方向が車幅方向あるいは車体前後方向になった共鳴を生じ易い。そうして、図11に示すように、高密度部8が車体前後方向及び車幅方向に直線状に並ぶように配設されている部位では、上記車幅方向、車体前後方向の共鳴が当該高密度部8によって遮られ、吸音性が良い。図14及び図15では、高密度部8の配列状態が図11とは異なり、高密度部8が車幅方向に密に並んだ列と粗に並んだ列とを車体前後方向において交互に配置している。このような配列でも、上記車幅方向及び車体前後方向の共鳴を効率良く抑制することができる。なお、高音響透過率部6まわりに関しても、放射状に伝播する音の吸収・低減と、車幅方向、車体前後方向の共鳴の抑制とを狙いとして、該高音響透過率部6のまわりに、高密度部8を図6に示す多重の正方形状ないしは矩形状に配設してもよい。
さらに、高密度部8は、1000Hzから10kHz程度までの高周波数音の吸収に効果があるように高密度部8の密度を調整してもよい。すなわち、主たる高周波数音は風騒音であるが、その風騒音の一つは車外で発生する空気の渦流によるものである。この空気の渦流は車体の形状変化した部分、特にルーフから車体サイドに形状変化した部分で生じ易い。また、風騒音ではないが、走行中における車室内外の圧力差により車室から車外に空気が吸い出される際に吸出し音を生ずる。これはドアシール部、特にドア上縁のシール部で生じ易い。このようなルーフ部付近で発生する高周波数音が吸音材の高密度部で吸収されて車室内への伝播が抑えられることから、車室内騒音の低減に有利になる。
図16は自動車のドア15に本発明に係る騒音低減構造を採用した例を示す。同図において、16はドアトリムであり、丸印で表しているように、ドアトリム16に複数の高音響透過率部6が適宜の間隔をおいて配置されている。そして、ドアトリム16とドアインナパネル(図示省略)との隙間に、上述の高密度部を有する吸音材(図示省略)が配設されている。なお、丸印は高音響透過率部6の位置を示すものであり、高音響透過率部自体は通気性の布で覆われている。
図17は自動車のリヤサイドに本発明に係る騒音低減構造を採用した例を示す。同図において、17はリヤサイドトリムであり、丸印で表しているように、複数の高音響透過率部6が適宜の間隔をおいて配置されている。そして、リヤサイドトリム17とリヤサイドパネル(図示省略)との隙間に、上述の高密度部を有する吸音材(図示省略)が配設されている。なお、丸印は高音響透過率部6の位置を示すものであり、高音響透過率部自体は通気性の布で覆われている。
本発明に係る自動車の騒音低減構造を模式的に示す断面図である。 吸音材の高密度部を示す断面図である。 内板に高音響透過率部としての孔を設けた場合と、そのような孔を設けない場合とについて、内板背部の粒子速度を比較したグラフ図である。 吸音材における高密度部の配置例を示す正面図である。 吸音材における高密度部の別の配置例を示す正面図である。 吸音材における高密度部のさらに別の配置例を示す正面図である。 吸音材における高密度部のさらに別の配置例を示す正面図である。 吸音材における高密度部のさらに別の配置例を示す正面図である。 吸音材における高密度部のさらに別の配置例を示す正面図である。 内板振動量と音圧低減代との関係を示すグラフ図である。 本発明に係る自動車の騒音低減構造をルーフ部に適用した例を示す平面図である。 同例の中央縦断面図である。 同例の高密度部を多重同心円状に配設した部分での音の伝播方向を示す平面図である。 同例の高密度部を前後左右に直線状に並ぶように配設した部分での車幅方向の共鳴を示す平面図である。 同例の高密度部を前後左右に直線状に並ぶように配設した部分での車体前後方向の共鳴を示す平面図である。 本発明に係る自動車の騒音低減構造をドアに適用した例を示す正面(ドア内側から見た)図である。 本発明に係る自動車の騒音低減構造をリヤサイドトリムに適用した例を示す自動車の背面図である。
符号の説明
1 車室空間
2 内板,トリム
3 外板,車体パネル
4 吸音材
5 空隙
6 高音響透過率部
8 高密度部
12 ルーフレイン
15 ドア
16 ドアトリム
17 リヤサイドトリム

Claims (7)

  1. 車室空間を形成する内板と、該内板の外側に設けられた外板との間に、吸音材がその内板及び外板の少なくとも一方に沿って広がるように配設された自動車の騒音低減構造において、
    上記内板には、上記車室空間から上記内板と外板との間への音響透過率が局部的に高くなった高音響透過率部が形成され、
    上記吸音材には、局部的に密度が高くなった高密度部が、上記高音響透過率部まわりに存するように配設されていることを特徴とする自動車の騒音低減構造。
  2. 請求項1において、
    上記高密度部は、上記高音響透過率部まわりに多重の環状又は多重の弧状になるように配設されていることを特徴とする自動車の騒音低減構造。
  3. 請求項2において、
    上記高密度部は、上記高音響透過率部を中心とする多重の同心環状に配設されていることを特徴とする自動車の騒音低減構造。
  4. 請求項3において、
    上記高密度部は、上記高音響透過率部を中心とする多重の同心円状に配設されていることを特徴とする自動車の騒音低減構造。
  5. 請求項2乃至請求項4のいずれか一において、
    上記高音響透過率部を中心とする放射方向に並ぶ上記高密度部のピッチが17cm以下であることを特徴とする自動車の騒音低減構造。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
    上記吸音材は上記内板及び外板のいずれか一方の板に重ねられ、該吸音材と他方の板との間に空隙が形成され、
    上記高密度部は、上記吸音材より上記空隙に突出していることを特徴とする自動車の騒音低減構造。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
    上記内板は、上記車室の天井面を形成するルーフトリムであり、
    上記外板は、車体外壁を形成するルーフパネルであることを特徴とする自動車の騒音低減構造。
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