以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
[(1) 本実施形態の二重壁パネルの基本構造]
本実施形態の二重壁パネル5を、車室の床部FLを構成するフロアパネルに適用した実施形態について説明する。図1は、本実施形態の自動車に備えた車体床部構造を前後方向の直交断面で示した断面図である。
なお、本実施形態の車体床部構造1は、本願出願人が先に出願した「特願2017-211579号」に開示している車体床部構造と特に示す場合を除いて基本構造が同じであるため本発明に関する以外の詳細は省略するものとする。
図1に示すように、車体床部構造1は、左右のサイドシル3と、センタートンネル部4と、左右の二重壁パネル5とを備えている。
車体床部構造1は、左右対称形状で形成されているため、車幅方向の中央および、左右いずれか一方の構成に基づいて説明する。
サイドシル3は、車室の床部FLの左右両端を構成する鋼製から成る骨格部材であり、内部が中空で車体前後方向に延びている。サイドシル3は、その下部が本体部31に対して車幅方向内側に向けて突出する内側突出部32が設けられており、内側突出部32は、二重壁パネル5の車幅方向外側の端部を支持するものである。
センタートンネル部4は、車室の床部FLの中央に配置され、車体前後方向に延びるとともに、車体前後方向の直交断面が車室の床部FLの上方に例えば中空の略台形状に張り出して形成されており、内部には車体前後方向に延びる排気管6等が配設されている。
センタートンネル部4の下部には、本体部41に対して車幅方向外側に向けて突出する外側突出部42が設けられている。外側突出部42は、二重壁パネル5の車幅方向内側の端部を支持するものである。
内側突出部32と外側突出部42とは、二重壁パネル5を平行に支持するため、各上面が互いに同じ高さとなる平坦状に形成されている。
二重壁パネル5は、車体外側に配置された外壁21(下壁)と、車室側に配置された内壁22(上壁)と、外壁21と内壁22との各外周縁を上下方向に連結する縦壁23(車幅外壁23o、車幅内壁23i並びに必要に応じて不図示の前壁および後壁)とで構成されており、ブロー成形等によって内部に閉断面部20(中空部)を有する中空状に一体又は一体的に構成されている。
縦壁23としての車幅外壁23oおよび車幅内壁23iは、共に下部縦壁23aと、上部縦壁23bと、下部縦壁23の上端と上部縦壁23の下端とを水平に連結する段部23cとで全体として段状に一体形成されている。
外壁21は、車室外側(下方)から車室側(上方)への二重壁パネル5に対する音の透過方向(二重壁パネル5の厚み方向)において二重壁パネル5への入射側の壁部(下パネル)に相当する一方で、内壁22は、二重壁パネル5からの出力側の壁部(上パネル)に相当する。
二重壁パネル5を構成する外壁21、内壁22、縦壁23は共に樹脂製としている。当例では、外壁21はPPで形成するとともに、内壁22はガラス繊維強化樹脂で形成されており、外壁21の曲げ剛性を内壁22の曲げ剛性に比して下げる構成としている。さらに当例では縦壁23は外壁21と同じPPで形成されている。
具体的には、内壁22の曲げ剛性を、ガラス繊維強化樹脂相当以上(3GPa以上)に設定するのに対して外壁21の曲げ剛性をPP相当以下(5000MPa以下、好ましくは2500MPa以下、より好ましくは1500MPa以下)に設定している。
ここで、内壁22の剛性(弾性率)は、該内壁22の質量と、要求される性能との関係を考慮して例えば、3GPa~15GPaの範囲で設定することが好ましい。
すなわち、内壁22は、その板厚が例えば、1.5mm程度の薄肉である場合には、15GPaの剛性が要求される一方、その板厚が例えば、2.9mm程度の厚肉である場合には、3GPaの剛性で足りるため、3GPa~15GPaの範囲の剛性で構成する場合には、板厚を1.5mm~2.9mm程度に設定することが好ましい。
これら外壁21と内壁22と間の閉断面部20には、その全体に渡ってコア材51aと気体52a(例えば空気)とが封入(充填)されており、該コア材51aによって形成される固体層51と気体52aによって形成される気体層52とで、コア層50が構成されている。
また、繊維材から成るコア材51aは、例えば、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ポリプロピレン、綿又はレーヨンから構成しているが、当例ではポリエステルから構成している。
閉断面部20に封入された、繊維材から成るコア材51aは、図1中のX部拡大図に示すように、繊維方向(多数の繊維51aaの大部分の長手方向)が外壁21の壁面21a(パネル面)に沿って配置されている。当例では繊維状のコア材51aは、各繊維51aaの大部分が外壁21の壁面21aと略平行に配置されている。
図1に示すように、二重壁パネル5は、その車幅方向両外側部分をサイドシル3との連結部11oとして形成するとともに、その車幅方向両内側部分をセンタートンネル部4との連結部11iとして形成し、これら連結部11o,11iは車幅方向の中央部分と比して薄肉に形成されている。
そして二重壁パネル5は、その車幅方向外側の連結部11oが、サイドシル3の内側突出部32に支持されるとともに、その車幅方向内側の連結部11iが、センタートンネル部4の外側突出部42に支持されることによってサイドシル3とセンタートンネル部4との間に横架するように配置されている。
さらに、二重壁パネル5は、サイドシル3と連結部11oとの各対向部分との間、およびセンタートンネル部4と連結部11iとの各対向部分との間に、夫々接着材12が介在されており、該接着材12によってサイドシル3とセンタートンネル部4とに一体に接合されている。
なお、二重壁パネル5は、内壁22の上面に吸音層W1と表皮層W2とがこの順に配設されている。
本実施形態の二重壁パネル5は、面内方向(車幅方向および車体前後方向)全体に渡って15mm以上30mm以下の範囲内の壁間距離(外壁21と内壁22との間隔)を有して形成されている。すなわち二重壁パネル5は、車幅方向中央部分よりも薄肉に形成された連結部11i,11oにおいても少なくとも15mm以上の壁間距離を有している。
[(2) 本実施形態の二重壁パネルの詳細構造]
本願発明者らは、大別して、コア層50の後述するバネ弾性率kと、内外両壁21,22の剛性比等とに着目し、これら2つの着目点を見直すことで、本実施形態の二重壁パネル5の走行音の透過損失を、従来の二重壁パネルと比して高めた構成としている。
<(2A) コア層のバネ弾性率について>
まず前者の着目点としてのコア層50のバネ弾性率kについて、その着眼に至る背景技術から説明する。
図2(a)は、外壁21から入射した騒音Nが内壁22から透過する様子を示す二重壁パネル5のバネ・マス・ダンパーモデルの前提となる模式図であるとともに、図2(b)は、二重壁パネル5を、バネ・マス・ダンパーモデルによって示すモデル図である。
なお、図2(b)中の入射側パネルとしての外壁21の質量をm1[kg]、出力側パネルとしての内壁22の質量をm2[kg]、コア層50のバネ弾性率(つまり閉断面部20に封入された気体52aの圧縮され易さ)をk[N/m]、コア層50の減衰係数をD[N・s/m]とする。
図2(b)に示すような1自由度系のバネ・マス・ダンパーモデルの二重壁パネル5に対して図2(a)に示すように騒音Nが外壁21から入射した際の二重壁パネル5の運動方程式に基づいて、該二重壁パネル5の共振周波数frmは、次式によって示すことができる。
ここで、m
eは内外各壁21,22の実効質量であり、m
e,kはそれぞれ次式によって示すことができる。
ここで、ρは気体52aの密度、cは音速、dは壁間距離、ρc
2はコア層50の体積弾性率E(気体弾性率)である。
ところで、図14(a)は、従来例1のパネル構造100の模式図を示し、図14(b)は、従来例2のパネル構造110の模式図を示し、図14(c)は、従来例1のパネル構造100又は従来例2のパネル構造110を適用した従来の車体床部構造120の断面図を示す。
従来例1は、図14(a)に示すように、アンダカバー101と鋼材102とによって内部に閉断面部103Aを有する中空状に構成しているが不図示のボルト挿通孔が設けられる等によって気密性が低い疑似的な二重壁構造103をベースにして構成されたものであり、鋼材102の上面に様々なパネルW1~W3を重畳的に付加した従来のパネル構造である。
なお、図14(a)(b)(c)中の符号W3は共に、疑似的な二重壁構造103に、吸音層W1と表皮層W2と共に、該二重壁構造103の機能を補強するために付加したパネルの一例としてのフェルトを示すものである。
従来例2も従来タイプのパネル構造110であるが、図14(b)に示すように、従来例1に対して、フェルトW3の厚みを約4倍、吸音層W1の厚みを約7倍にして吸音効果を高める一方で、従来例1の厚みに対して全体として約1.15倍に厚くなっている、従来例1の変形例を示す。
図3は、車室床部FLのパネル構造による騒音の透過損失(遮音量)と騒音周波数との関係を示す図である。
図3中の波形Laは上述した従来例1のパネル構造100を示し、波形Lbは上述した従来例2のパネル構造110を示す。
ここで走行音の騒音周波数は、例えば、500Hz以上である。中でも乗員にとって耳障りとなる騒音は大よそ800Hz~1600Hzの周波数領域とされている。
図3から明らかなとおり、共振周波数frmが従来例1(波形La参照)よりも低い値となる従来例2(波形Lb参照)の方が、走行音(騒音周波数が500Hz以上)における透過損失(遮音性能)が高くなっている。このことから、図3のグラフにおいて共振周波数frmが低周波側にシフトすること(図3中の矢印d参照)、すなわち共振周波数frmの値を下げることが、走行音の透過損失を高めることに寄与すると考えられる。
そして共振周波数frmを下げるためには、[数1]から明らかなとおり、コア層50のバネ弾性率kを下げることが有効であることが分かる。
そこで本願発明者らは、コア層50のバネ弾性率kを下げるための具体的手段として、コア層50の圧縮時の見かけ上の実効的な弾性率の増加を抑制すること(以下、「バネ弾性率低下手段1」ともいう。)と、コア層50の体積弾性率Eを下げること(以下、「バネ弾性率低下手段2」ともいう。)に着目した。
((2A-1) バネ弾性率低下手段1について)
上述したコア層50の圧縮時の見かけ上の実効的な弾性率の増加を抑制する手段について説明する。
まず騒音の入力によって入射側パネルとしての外壁21が振動し、その過程で外壁21が閉断面部20側へ撓み変形した際には、その撓み変形によって閉断面部20(コア層50)は圧縮され、密閉空間であるが故にその内圧が高まる。
[数1]から明らかなとおり、コア層50のバネ弾性率kが高まるに伴って共振周波数frmが高くなると、上述したように、走行音の透過損失を高めるうえで不利になることから、コア層50のバネ弾性率kに相当する閉断面部20の内圧が高まることは好ましくない。
そこで、本願発明者は、閉断面部20(コア層50)の圧縮によってコア層50の気体52aが発熱して膨張することがコア層50の見かけ上の実効的な弾性率の増加に繋がることに着目し、本実施形態では、コア層50の見かけ上の実効的な弾性率が増加しないように、この圧縮による気体52aの発熱を、閉断面部20に充填した、繊維材から成るコア材51aによって吸熱することとしたものである。
これにより本実施形態は、閉断面部20にコア材51aを封入することで例えば図4に示すように、閉断面部20をV0からΔVだけ圧縮する過程において、コア材51aによって吸熱させずに断熱変化させる場合(図4中の波形Le参照)と比して極力等温変化させることができ(図4中の波形Ld参照)、閉断面部20の内圧P、すなわち、コア層50の見かけ上の実効的な弾性率の増加を抑制することができる(図4中のP1<P2参照)。
換言すると図示省略するが、閉断面部20にコア材51aを封入した場合には、コア材51aを封入しない場合と比較して該閉断面部20を同じ圧力で圧縮したとき、より大きな圧縮率で圧縮することができる。このことからも明らかなとおり、閉断面部20にコア材51aを封入した場合の方が封入しない場合よりもコア層50の見かけ上の実効的な弾性率の増加を抑制することができる。
以上より、閉断面部20に封入する、繊維材から成るコア材51aの吸熱性を高めるため、該コア材51aを緻密な構造とすること、すなわち、気体52aに触れるコア材51aの表面積を大きくすることが好ましく、当例ではコア材51aの単位体積(V)に対する表面積(S)を示す比表面積(S/V)を20000(mm2/cm3)以上に設定している。
一方、比表面積を高めるためにコア材51aの充填密度を高く設定しすぎると、コア材51aの重量増加に繋がることから該コア材51aの充填密度を、0.11(g/cm3)以下に設定している。
換言すると、当例では、比表面積が20000(mm2/cm3)以上、且つ充填密度が0.11(g/cm3)以下を満たすコア材51aとして、その繊維太さを3(デニール)以下に設定している。
ここで、繊維密度:ρ(g/mm3)、繊維半径:r(mm)、コア層中の繊維重量:M(g)、コア層の体積:Vc(cm3)とすると、比表面積(S/V)は次式によって示すことができる。
[数3]
S/V=1/(ρ×πr2)×M/Vc×2πr
[数3]の導出手順について簡単に説明する。
比表面積(S/V)は上述したとおり、コア材51aの単位体積(V)に対する表面積(S)を示す値であり、言い換えると、「1cm3当たりの繊維長さ」×「繊維外周長さ」である(※A)。
ここで、上記「1cm3当たりの繊維長さ」は、「1gあたりの繊維長さ」×充填密度(但し、充填密度=「コア層中の繊維重量」/「コア層の体積」)であるため(※B)、比表面積は詳しくは、「1gあたりの繊維長さ」×充填密度×「繊維外周長さ」と示すことができる。
ここで、上記「1gあたりの繊維長さ」は、「1gあたりの繊維体積」/繊維断面積であり、「1gあたりの繊維体積」は、すなわち「繊維密度の逆数」であるため(※C)、比表面積は、より詳しくは、1/(繊維密度×繊維断面積)×充填密度×「繊維外周長さ」と示すことができる(※D)。
従って、上述した※A~※Dの記載に基づいて比表面積(S/V)は、[数3]のとおり示すことができる。
なお、繊維半径rの代わりにデニールを用いる場合には、デニール(d)は繊維9000(m)当たりの重さ(g)であり、d=πr2×900000×ρの関係が成り立つため(※E)、rを[d/(π×9000×ρ)]1/2に置き換えることで上記[数3]を、デニールを用いて示すことができる。
上記※A~※Eの記載に基づいて、比表面積の具体的な算出方法(特定方法)について、例えば、「6デニール」の「PET繊維」を用いて充填密度が「600g/m2」、10mmの厚みで形成した図12(a)に示すケース1のようなコア材としてのフェルトを例に採り、以下、説明する。
まず図12(a)に示すケース1のような繊維の半径は、上記※Eの記載より、r=[6/(π×9000×1.38)]1/2=12.4μmとなる。ちなみに、「繊維外周長さ」は、2πr=0.078(mm)となる。そして、※Cの記載より明らかなとおり、「1gあたりの繊維長さ」を算出するうえで必要となる、上記「1gあたりの繊維体積」は、繊維密度(公知のポリエステル密度:1.38(g/cm3))を用いて724mm3/gとなる。また、上記の繊維断面積は繊維半径rを用いて0.0000483(mm2)となる。これらより、上記※Cの記載に基づいて「1gあたりの繊維長さ」は、1499(m/g)となる。
一方、ケース1におけるフェルトの充填密度(M/V)は、600(g)/(1(m)×1(m)×0.01(m))=0.06(g/cm3)となる。よって、※Bの記載に基づいて、充填密度(M/V)の値(0.06(g/cm3))と、上記「1gあたりの繊維長さ」の値(1499(m/g))を乗じることでフェルトの「単位体積当たりの繊維長さ」は90000(mm/cm3)を得ることができる。
そして、※Aの記載に基づいて、フェルトの「単位体積当たりの繊維長さ」の値(90000(mm/cm3))と、上記で算出した「繊維外周長さ」の値(0.078(mm))を用いて比表面積は、7020(mm2/cm3)と算出することができる。
このように、図12(a)に示すケース1では、比表面積は7020(mm2/cm3)であるが、同じ繊維(繊維密度)で、かつ、コア層の充填密度が同じであっても、例えば、図12(b)の表に示すケース2のように繊維径を細くすれば(例えば、6d[24.8μm]⇒0.6d[7.84μm])、比表面積は20000以上に設定することができる。
続いてコア材51aの比表面積を上述したとおり、20000(mm2/cm3)以上に設定する具体的根拠について図5(a)(b)(c)、図6を用いて説明する。
図5(a)は、外壁210に鉄板、内壁220に樹脂板を採用し、内壁220に対して隙間Sを空ける一方で外壁210に当接するように、比表面積を20000(mm2/cm3)に設定した繊維材から成るコア材51aを配置した、上述した本実施形態の二重壁パネル5の変形例に係る本発明の実験例の二重壁パネル5Aの模式図を示す。
図5(b)は、従来例であり、外壁210としての鉄板と、内壁220としての樹脂板との間にコア材51aを封入せずに空気53aを封入して中空状とした従来の二重壁パネル111を示す。
図5(c)は、二重壁パネルにおける走行音の透過損失と騒音周波数との関係を示す関係図である。図5(c)中の波形Leは、上述した本発明の実験例(図5(a)参照)の波形を示し、同図中の波形Ldは、上述した従来例(図5(b)参照)における波形を示す。
ちなみに図5(c)に示すように、本発明の実験例は、騒音周波数が例えば1000Hzにおける透過損失が、従来例と比して約5dB向上した。また、本発明の実験例の共振周波数frmにおける透過損失は、従来例の共振周波数frmにおける透過損失に対して約15%向上した。
図6は、走行音(800Hz~1600Hz)の透過損失の平均値と、繊維材から成るコア材51aの比表面積との関係を示すプロット図である。
図6中のプロットP0,P2は、夫々図5(c)の波形Ld,Leに基づいて算出した、走行音の透過損失の平均値を示すプロットであり、プロットP0は従来例(図5(b)参照)における上記平均値をプロットしたものであるとともに、プロットP2は、コア材51aの比表面積を(20000(mm2/cm3))とした上記実験例(図5(a)参照)における上記平均値をプロットしたものである。
さらに、図6中のプロットP1,P3は、コア材51aの比表面積が5000、100000(mm2/cm3)の夫々における上記平均値をプロットしたものであり、これら平均値はプロットP0,P2と同じ要領で算出したものである。
ここで本実施形態の二重壁パネル5は、騒音周波数の中でも乗員にとって耳障りとなる走行音の周波数領域(800Hz~1600Hz)において、透過損失を最終的に50dB~55dB程度まで高めることを目標としている。
そしてその最終的な目標を達成するためには、上述したバネ弾性率低下手段1の採用によって走行音の透過損失の平均値を少なくとも44dB程度まで担保する必要がある。
よってバネ弾性率低下手段1を採用するにあたり、走行音の透過損失が44dB程度以上を満たすには、図6から明らかなとおり、繊維材から成るコア材51aの比表面積が20000(mm2/cm3)以上必要であることから、当例では上述したように、繊維材から成るコア材51aの比表面積を20000(mm2/cm3)以上に設定している。
続いて、コア材51aの充填密度を、上述したように、0.11(g/cm3)以下に設定する具体的根拠について図7中の表を用いて説明する。
図7中の表は、コア材51aの比表面積を20000(mm2/cm3)に設定したときの、コア材51aの充填密度と、二重壁パネルの単位面積当たりの質量との関係を示す表である。
図7中の表の比較例および、本実施形態に係る実施例1~3は、共に内壁22(上パネル)と外壁21(下パネル)と、これらの間に封入したコア材51aとで構成するとともにコア材51aの比表面積を20000(mm2/cm3)に設定した二重壁パネルであって、それぞれのコア材51aの充填密度の設定を図7中の表に示す値に設定したものである。
ところで、レインフォースを除くアンダカバー(厚さt:0.6mm、鉄)、内装マットを含めた現行の車体フロアの単位面積当たりの質量は、概算で10700(g/m2)である。
本実施形態では透過損失を高めるべく、コア層50の比表面積を20000(mm2/cm3)以上に設定しつつ、そのうえで現行の車体フロアの上記質量よりも軽くしたいというニーズを満たすものである。
図7中の表に示すように、比較例は、比表面積が20000(mm2/cm3)を満たすものの、コア層50の充填密度が0.11(g/cm3)より大きな値となる例えば、0.3(g/cm3)としたものである。この場合には、同表に示すように、単位面積当たりの質量が現行の車体フロアの上記質量以上となる(15840>10700(g/m2))。
これに対して図7中の表に示すように、実施例1は、比表面積を20000(mm2/cm3)とし、且つコア層50の充填密度を0.11(g/cm3)に設定したもの、換言するとコア材51aの繊維径を3(デニール)としたものである。この場合には、同表に示すように、単位面積当たりの質量が現行の車体フロアの上記質量より小さくなる(10140<10700(g/m2))。
同様に、表1中の実施例2,3は、比表面積を20000(mm2/cm3)とし、且つコア層50の充填密度を0.11(g/cm3)より小さく設定したもの、換言するとコア材51aの繊維径を3(デニール)より小さく設定したものである。この場合にも、同表に示すように、単位面積当たりの質量が現行の車体フロアよりも小さくなる。
ちなみにコア材51aの繊維径を3(デニール)より太くしてコア層50の充填密度を0.11(g/cm3)を維持すると比表面積が20000(mm2/cm3)を下回ることになり、上記ニーズを満たさない。
さらに特許文献1(特開2001-242873号公報)の段落[0026]によれば、特許文献1に係る実験例2は、繊維状物質の平均太さが15(デニール)、充填密度が0.021(g/cm3)に設定することが記載されている。
一方、図7中の表に示す実施例3より明らかなとおり、コア層50の充填密度が0.021(g/cm3)に近い0.024(g/cm3)においても比表面積を20000(mm2/cm3)以上とするにはコア材51aの繊維径を0.1(デニール)以下に設定する必要がある。
すなわち、特許文献1に係る実験例2においては繊維状物質の充填密度は0.11(g/cm3)以下であるが故に軽量であるものの、繊維状物質の平均太さが太すぎるため(15>0.1(デニール))、比表面積が20000(mm2/cm3)よりも大きく下回ることになり、透過損失を高めるうえで改善の余地がある。
以上より本実施形態の二重壁パネル5は、コア層50の比表面積を20000(mm2/cm3)以上としつつ、コア材51aの充填密度を0.11(g/cm3)以下に設定している。
また図7中の表に示すように、実施例2は、単位面積当たりの質量が現行の車体フロアに対して約20パーセント(=8740/10700×100)の軽量化を図ることができる。しかも、実施例2のコア材51aの繊維径は0.6(デニール)であるが、このような繊維径が0.6(デニール)のコア材51aは、実用化可能である。その一方でコア材51aの繊維径が0.1(デニール)より小さくなると製造コストの増加に繋がる。
このことから、コア材51aの繊維径は0.1~3(デニール)の範囲の中でも0.1~0.6(デニール)であることが好ましい。
また他の実施形態としてコア材51aは、上述したように、繊維材から形成するに限らず通気性を有するフォーム材を採用してもよい。フォーム材としては例えば、ポリウレタンや多孔質状のゴム等の気泡が繋がっている連続気泡構造体から構成することができる。
図示省略するがフォーム材から成るコア材51aを採用した二重壁パネルにおいても、コア層50の比表面積を20000(mm2/cm3)以上としつつ、コア材51aの充填密度を0.11(g/cm3)以下に設定する、すなわちフォーム材を構成する骨格(枝状の壁)の太さ(直径)を、繊維材から成るコア材51aに要求される繊維太さである0.1~0.6(デニール)に相当する3~7(μm)に設定することでバネ弾性率低下手段1の採用によって走行音の透過損失が44dB程度以上の値を満たすように構成できるため好ましい。
((2A-2) バネ弾性率低下手段2について)
上述したバネ弾性率低下手段2として、コア層50の体積弾性率Eを下げるべく、閉断面部20(コア層50)に、体積弾性率Eが定常状態の空気よりも低い気体52aを封入した構成を採用することができる。
つまり図8中のグラフに示すように、定常状態の空気の体積弾性率Eは約140(kpa)であり、この定常状態の空気の体積弾性率Eよりも本実施形態のコア層50に有する気体52aの体積弾性率Eを低く設定している。なお、体積弾性率Eは物質(当例では気体52a)の圧縮し難さを表す。
具体的に本実施形態の二重壁パネル5は、閉断面部20(コア層50)に、定常状態の空気よりも圧縮し易い気体52a、すなわち易圧縮ガスとしての六フッ化硫黄(SF6)ガスを封入している。
これにより図8中のグラフに示すように、コア層50に有する気体52aの体積弾性率Eを、定常状態の空気の体積弾性率E(約140(kpa))に対して約100(kpa)まで下げることができる。
このように、コア層50に有する気体52aの体積弾性率Eを下げることで、コア層50のバネ弾性率kの低下に寄与することができる。
そしてコア層50のバネ弾性率kを下げることで上述したように、二重壁パネル5の共振周波数frmを低下させることができるため、バネ弾性率低下手段2の採用によって結果的に走行音周波数領域で40(dB)程度の透過損失を得ることができる。
なお、易圧縮ガスは、六フッ化硫黄(SF6)に限らず、例えば、圧縮すると容易に気体になるハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)等のガスを採用してもよい。
また、コア層50の気体52aの体積弾性率Eが定常状態の空気の体積弾性率E(約140(kpa))よりも低く設定する構成は、上述した実施形態のように、閉断面部20に易圧縮ガスを封入した構成に限らず、体積弾性率Eと圧力(気圧)とは線形の関係を示すことから例えば、閉断面部20(コア層50)に、気体52aとしての空気を負圧にした状態で封入した構成を採用してもよい。
具体的には図8中のグラフに示すように、閉断面部20に、空気を例えば、0.7気圧まで負圧にした状態で封入することで、コア層50に有する気体52aの体積弾性率Eを、易圧縮ガスとしての六フッ化硫黄を封入した場合と略同等の約100(kPa)まで下げることができる。
さらに同グラフに示すように、閉断面部20に、空気を例えば0.5気圧まで負圧にした状態で封入することで、コア層50に有する気体52aの体積弾性率Eを、圧縮ガスとしての六フッ化硫黄を封入した場合よりも低い約70(kPa)まで下げることができる。
このように閉断面部20に負圧状態の空気を封入することにより、易圧縮ガスという特殊な気体52aを使用せずとも、閉断面部20に易圧縮ガスを封入したときと同等以上の効果を得ることが可能となる。
上述したように、本実施形態の二重壁パネル5は、コア材51aの吸熱効果を利用するバネ弾性率低下手段1と、コア層50に有する気体52aの体積弾性率E(ρc2)を定常状態の空気の体積弾性率Eよりも下げるバネ弾性率低下手段2との双方を備えた構成を採用することで、コア層50のバネ弾性率kを大幅に下げることができ、結果的に走行音に相当する周波数領域の透過損失を格段に高めることができる。
加えて、バネ弾性率低下手段2を備えることで、バネ弾性率低下手段1において、繊維材又はフォーム材から成るコア材51aの吸熱性能を縮小できるため、その分、コア材51aの選択枠を拡大できる一方、バネ弾性率低下手段1を備えることで、バネ弾性率低下手段2において、コア層50の気体52aの体積弾性率Eの低下代を縮小できるため、その分、例えば、易圧縮ガスの選択枠を拡大したり、空気の負圧加減を緩和することができる。
但し、本実施形態の二重壁パネル5は、バネ弾性率低下手段1,2の双方を備えた構成に限らず、いずれか一方のみを備えた構成を採用してもよい。
<(2B) 内外両壁の剛性比等について>
次に、二重壁パネル5によって、走行音の透過損失を最大限高めるための上述した2つの着目点のうち、後者の着目点(内外両壁21,22の剛性比等の関係)について説明する。
当例の二重壁パネル5は、上述したように、外壁21の剛性(曲げ剛性)をPP相当以下(1500MPa以下)とするとともに、内壁22の剛性(曲げ剛性)をガラス繊維強化樹脂相当以上(3GPa以上)とすることによって、外壁21の剛性を内壁22の剛性に比して下げる構成としたものである。
上記構成により、二重壁パネル5に対して外壁21からの走行音の入射時に、気体層52に有する気体粒子(気体分子)の運動エネルギーの減衰効率を高めることができ、走行音の透過損失を高めることができる。
外壁21の剛性を内壁22の剛性に比して下げる構成によって、このような効果を奏するに至る作用について図9(a)、(b)、(c)を用いて説明する。
図9は本実施形態の二重壁パネル5を断面により模式的に示した作用説明図であり、図9(a)、(b)、(c)は夫々二重壁パネル5に対して騒音Nの入射前、入射直後、入射後の様子を示す。
まず、仮に外壁の剛性が高い場合には、騒音Nの入射によって外壁の振動が誘発されず、二重壁パネルに対して外壁から入射した騒音Nを、そのままコア層および内壁を介して車室側へ伝えてしまうことが懸念される。
これに対して、本実施形態のように外壁21の剛性が低い場合には、図9(a)(b)に示すように、二重壁パネル5に対しての外壁21からの騒音Nの入射によって、外壁21をより積極的に振動させることができる(図9(b)中の仮想線で示した外壁21参照)。
このように外壁21が振動する際に、該外壁21が閉断面部20に向けて凸状に撓み変形することで(図9(b)中の仮想線で示した外壁21参照)、コア層50において外壁21から内壁22(上方向)に向けて伝わる音のエネルギー(音の伝達による気体分子52aa(空気分子)の運動エネルギー)はそのまま車室側へ伝達されることなく、図9(c)に示すように面内方向W(二重壁パネル5の厚み方向に直交する方向)へと伝達される。
換言すると、外壁21が閉断面部20に向けて凸状に撓み変形することで、コア層50の気体分子52aaは内壁22に積極的に衝突するように厚み方向Y(上下方向)に圧縮される。これにより、厚み方向Yに圧縮された気体分子52aaは、図9(c)に示すように、内壁22に衝突して面内方向Wへと拡散し、内壁22に向けての運動から面内方向Wの運動へと変換される。
すなわち、二重壁パネル5に対して外壁21からの騒音Nの入射によって、外壁21は低剛性であるが故に振動が誘発され、この外壁21の振動によってコア層50に有する気体分子52aaの面内方向W(図9では車幅方向のみ図示)への運動が励起される。
そして、閉断面部20は密閉状態であるため、上述したコア層50の気体分子52aaの面内方向Wの運動によって、気体分子52aa(粒子)が繊維材から成るコア材51aとの摩擦によって音のエネルギーを熱エネルギーに変換して減衰させることができ、結果的に騒音Nが二重壁パネル5を通過して伝わり難くしたものである。
なお、上述した作用説明では、簡略化のため、騒音Nの入射による外壁21の振動が、腹が1つ(波長が1/2)の基本振動の場合を例に採り説明したが、これに限らず、外壁21の振動がn倍振動(nは2以上の自然数)となる場合においても同じ作用効果を奏することができる。
また当例では上述したように、縦壁23(23o,23i)は、その大部分が外壁21と同じPP材から形成されている。
ここで一般にパネル等の固体自体を伝達する音は、固体の剛性が低い程、音の高い減衰効果が見込まれるため、例えば、外壁21と同じ剛性を有するPP等、縦壁23の大部分を内壁22と比して剛性が低い材質から形成することで、縦壁23に沿って車室側へ伝わる音の減衰効果を高めることができる。
但し、本発明では、縦壁23の大部分を上述したように、内壁22と比して剛性が低い材質にて形成するに限らず、内壁22の剛性と同程度の部材から形成する等、外壁21と比して剛性が高い部材から形成することも排除しない。
このように、縦壁23の大部分を外壁21と比して剛性が高い部材から形成することで(図示省略)、外壁21と内壁22との支持(連結)剛性を高めることができる。
さらに本実施形態の二重壁パネル5においては、このように外壁21の剛性を内壁22の剛性と比して下げたうえで、外壁21と内壁22とを、互いに同じ質量で形成したものである。
[数2]にて表される、meと、m1およびm2との関係式から明らかなとおり、上述したように外壁21と内壁22との質量比が1:1であるとき、実効面密度meを最大化することができる。さらに、[数1]にて表される、frmとmeとの関係式から明らかなとおり、上述したように実効面密度meを最大化することで二重壁パネル5の共振周波数frmを下げることに寄与することができる。
よって、上述したように、外壁21の剛性を内壁22の剛性と比して下げながらも、外壁21と内壁22とを、互いに同じ質量で形成することにより、外壁21と内壁22とを互いの質量比と剛性比との双方の観点から走行音の透過損失を高めることができる。
さらにまた本実施形態においては、上述したように、繊維材から成るコア材51aの繊維方向が外壁21の壁面21a(パネル面)と略平行に配置されたものであるため(図1のX部拡大図参照)、二重壁パネル5に対して外壁21からの騒音Nの入射によって生じる外壁21の振動が、閉断面部20に充填された、繊維材から成るコア材51aによって阻害されることがなく(つまり振動の減衰を抑制でき)、外壁21の積極的な振動によって気体層52に有する気体分子の運動エネルギーの減衰効果を高めることができる。
また、本実施形態の二重壁パネル5は、上述したように、面内方向W全体に渡って15mm以上30mm以下の範囲内の壁間距離(外壁21と内壁22との間隔)を有して形成されている。
ここで図10(a)に示すように、二重壁パネル5に対して外壁21からの騒音Nの入力による、外壁21の閉断面部20への押し込み量をΔVとすると、閉断面部20の体積(V)に対する押し込み量(ΔV)は、閉断面部20の圧縮率(ΔV/V)として表すことができ、この閉断面部20の圧縮率(ΔV/V)はコア層50のバネ弾性率k(圧縮し易さ)に相当する。そして、この圧縮率(ΔV/V)と壁間距離(d)との関係は図10(b)に示すグラフに示すとおりになる。
上述した[数1]から明らかなとおり、コア層50のバネ弾性率k(閉断面部20の圧縮率(ΔV/V))を下げる程、共振周波数frmを低下させることができ、結果的に走行音の透過損失向上に寄与できる一方で、図10(b)に示すように、二重壁パネル5の壁間距離(d)が増加する。
よって当例では、二重壁パネル5の厚さを実用範囲内に抑制しつつ、二重壁パネル5の防音性を極力高めるため、二重壁パネル5を上述したように、例えば、15mm以上30mm以下の範囲内の壁間距離dに設定している。
また上述したように、本実施形態の二重壁パネル5は、外壁21と内壁22との剛性比および質量比を上述したように設定することで、走行音の中でも800Hz~1600Hzの周波数領域の透過損失の平均値を44dB程度まで高めることができる。
従って、上述した2つの着目点((2A)節のコア層50のバネ弾性率kおよび(2B)節の内外両壁21,22の剛性比等)を全て見直すことで、換言すると、バネ弾性率低下手段1,2を採用するとともに外壁21を内壁22に比して低い剛性に設定することで、図3の波形Lcに示すように、本実施形態の二重壁パネル5の走行音の中でも800Hz~1600Hzの周波数領域の透過損失の平均値を最終的に例えば、50dB~55dB程度まで高めるという目標を達成できる。
さらに、図14(a)に示す従来例1,2のように各パネル101,102,W1~W3および閉断面部103Aごとに分散していた機能を図2(c)に示す本実施形態の二重壁パネル5のように統合することで、従来例1に対して厚みを半分程度に抑えることができる。
なお図3中の波形Lcは、本実施形態の二重壁パネル5の波形を示し、図2(c)は図14(a)(b)に対応して示した本実施形態の二重壁パネル5の模式図である。
この発明は、上述した実施形態の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
例えば他の実施形態のとして、図11に模式的に示す二重壁パネル5Bように、内壁22と同等以上の剛性を有する剛性部材としてのハニカム材7を、繊維材から成るコア材51aと該内壁22との間に介在させた実施形態を採用してもよい。すなわちこの実施形態によれば、閉断面部20の外壁21側には、繊維材から成るコア材51aを備えたコア層50が配置されるとともに、閉断面部20の内壁22側には、ハニカム材7が配置された構成としている。
ハニカム材7は、その面上に、共に六角形に形成された凹状部位71と凸状部位72とが互いに隣接するように隙間なく配設されたハニカム構造の鋼板で構成されている。
上記構成によれば、閉断面部20の内壁22側に備えたハニカム材7によって、内壁22側の剛性を高めることができる。
さらに、閉断面部20の外壁21側にコア層50を備えることで、外壁21を内壁22よりも低い剛性で形成したことによる上述したメリット、すなわち、外壁21からの音の入力時に外壁21の振動励起によるコア層50内の空気の動きを活発化し、音のエネルギーから運動エネルギーへの変換を促進させて音の減衰効果をより高めることができる。
なお剛性部材は、ハニカム材7に限らず、図示省略するが例えば、基部と、内壁22に向けて該基部に配設された凹状又は凸状の複数のリブとで構成したものなど、内壁22と同等以上の剛性を有する部材で構成することができる。
上述した本実施形態の二重壁パネル5は、ブロー成形等によって内部に閉断面部20(中空部)を有する中空状に構成したが、本発明の二重壁パネルは、ブロー成形による一体成形に限らず、他の製造方法にて製造してもよい。
例えば、図13に示すように、二重壁パネル5の上壁22を除いて下壁21および縦壁23とで上方に開口61aを有する箱状体61を形成し、該箱状体61の内部に開口61aからコア材51aとしての繊維材(51a)を入れる(図13中の矢印1で示したステップ1)。
二重壁パネル5の上壁22によって開口61aを閉塞して該上壁22と箱状体との重合部分を溶着する(図13中の矢印2で示したステップ2)。なお、二重壁パネル5にハニカム材7(図11参照)を備える場合には、図示省略するが、このハニカム材7を上壁22の裏面側に予め接着した状態でステップ2を行うことが好ましい。また、当例ではハニカム材7は鋼板であるが、硬質樹脂の成形による場合には溶着によって上壁22の裏面側に接着してもよい。
最後にコア層(繊維材(51a))を含む二重壁パネル5全体を金属製の車体骨格部材に溶着等で連結する(図13中の矢印3で示したステップ3)。なお、車体骨格部材としてのサイドシル3は鋼製以外にもアルミ製の押出し材を適用してもよい。さらに、外側突出部42は、骨格部材であり、通常、トンネルサイドフレームを適用することができる。さらに外側突出部42は、サイドシル3と同様に構成若しくはアルミ製から構成したものを適用することができる。