JP2008118135A - リソグラフィ装置およびデバイス製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】放射ビームにより光学要素が不均一に加熱されることに起因して生じる、これら光学要素の屈折率の局所的変化および変形、ひいては、レジスト層上に投影される空中イメージの変形を防止する。
【解決手段】放射ビームに垂直な面内に配置された光学要素のアレイを有する光学配置を含むリソグラフィ装置が開示されている。それぞれの光学要素は放射ビームの光学経路長を変えるための電気加熱デバイスを含む。電気加熱デバイスを選択的に操作することによって、照射によって誘起される光学経路長の誤差を修正するために、位置によって決まる、光学経路長の変更を達成できる。
【選択図】図4

Description

[0001] 本発明はリソグラフィ装置およびデバイス製造方法に関する。
[0002] リソグラフィ装置は、基板の上に、通常は基板のターゲット部分の上に所望のパターンを与える。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用されてよい。その場合に、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスが、ICの個別層上に形成される回路パターンを生成するのに使用され得る。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、1つ、または複数のダイの一部を含む)の上に転写することができる。このパターンの転写は、一般に、基板上に与えた放射感応性材料(レジスト)層上への結像を介して行なわれる。一般に、単一の基板は、引き続いてパターン化されるネットワーク状の隣接するターゲット部分を含むことになる。既知のリソグラフィ装置は、ターゲット部分の上の全パターンを一挙に露光することによって、各ターゲット部分が照射される所謂ステッパと、放射ビームを介して所与の方向(「スキャン」方向)にパターンをスキャンすることによって各ターゲット部分が照射され、一方これと同期的に基板をこの方向と平行に、または逆平行にスキャンする所謂スキャナとを含む。パターンを基板上にインプリントすることによって、パターンをパターニングデバイスから基板上へ転写することも可能である。
[0003] IC製造において、マイクロプロセッサの速度、メモリ実装密度およびマイクロエレクトロニクス構成部品の低電力消費の継続的な改善には、リソグラフィ装置によってパターニングデバイスから基板に転写されるパターン寸法を継続的に減少させることが必要である。しかし、集積回路の寸法が小さくなり、その密度が増加するに従って、集積回路に対応するパターニングデバイスのパターンのCD(critical dimension)が、リソグラフィ装置の解像限界に近づいている。リソグラフィ装置に対する解像力は、その装置が基板上に反復露光できる最小フィーチャと定義されている。リソグラフィ装置の解像限界を広げるために、解像力向上技術として既知の様々な技術が適用されている。
[0004] 解像力を向上させるための一技法はオフアクシス(斜入射:off−axis)照明である。この技法によって、パターニングデバイスは、解像力を向上し得る選択された非垂直角度で照射され、特に焦点深度および/またはコントラストを増すことによってプロセス寛容度(ラティチュード)が改善する。物体面である、パターニングデバイス面における角度分布は、リソグラフィ装置の光学配置の瞳面内での空間分布に一致する。一般的に、瞳面内での空間分布の形状は照明モードと呼ばれる。既知の一照明モードは輪帯であり、そこでは光軸上の従来の零次スポットがリング状の強度分布に変更される。別のモードは、光軸上にないいくつかのスポットまたはビームが生成される多重極照明である。多重極照明モードの例は、2つの極を含む2重極および4つの極を含む4重極である。2重極および4重極などの照明モードに対して、瞳面内の極の寸法は瞳面の全表面に比べて非常に小さくすることができる。その結果、基板を露光するために用いられる放射は全て、瞳面またはその近傍の、これら極の位置だけで、様々な光学要素を横断する。1つまたは複数の光学要素(1つまたは複数のレンズ)を横断する放射の一部は、これらの要素によって吸収される。これは、放射ビームによりこれら要素が不均一に加熱されることになり、これら要素の屈折率の局所的変化および変形を生じてしまう。これら要素の屈折率の局所的変化および変形は、レジスト層の上に投影システムにより投影される場合、空中イメージを変形させることになる。
[0005] 本発明の態様によれば、
強度分布に従って放射ビームを調整する照明システムと、
パターニングデバイスを保持する支持体であって、パターニングデバイスがパターン化放射ビームを形成するために、その断面内にパターンを有する調整された放射ビームを与えるように構成されている支持体と、
基板を保持する基板テーブルと、
基板のターゲット部分上にパターン化放射ビームを投影する投影システムと、
放射ビームの経路の方へ、また、経路内を横断するように配置された光学要素のアレイとを含み、
それぞれの光学要素が、光学要素を局所的に加熱するように構成された個別にアドレス可能な電気加熱デバイスと、
投影システムの瞳面におけるパターン化放射ビームの位相マップによって加熱デバイスを制御するように構成された制御ユニットとを含むリソグラフィ装置が提供される。
[0006] 一実施形態において、位相マップが、強度分布から導き出される。リソグラフィ装置は位相マップを測定する干渉計を備えることができる。
[0007] 一実施形態において、制御ユニットが、事前に加えた強度分布の履歴および/または加熱デバイスの加えた操作の履歴により、加熱デバイスをさらに制御するように配置されている。
[0008] 一実施形態において、光学要素にわたり静温度分布を確立するために、光学要素は、供給容器から光学要素に流体を移送するように構成されたチャネルを備える。制御ユニットは、流体の移送速度および温度により加熱デバイスをさらに制御するように配置することができる。
[0009] 一実施形態において、チャネルは少なくとも2つの実質的に平行なプレートを備える。加熱デバイスは、これらプレートの少なくとも1つの、流体に面している表面上に配置することができる。一実施形態において、加熱デバイスは、これらプレートの少なくとも1つの、流体の反対側の表面上に配置される。
[0010] 一実施形態において、光学要素は、チャネルのこれらプレートの1つを共有するさらなるチャネルを備える。加熱デバイスは、この共有プレートの表面上に配置することができる。
[0011] 一実施形態において、光学要素は単一構成内に含まれる。
[0012] 一実施形態において、それぞれの加熱デバイスは細長い導体を含む。この細長い導体は、Cr、Cu、AuおよびAlからなる群の1つを含んでよい。細長い導体の断面は台形形状に一致させることがある。
[0013] 一実施形態において、流体はガスを含む。このガスは実質的に窒素を含んでよい。一実施形態において、流体は液体を含む。
[0014] 本発明の態様によれば、
パターン化放射ビームを形成するためにその断面内にパターンを有する放射ビームを与えるステップと、
投影システムを用いて基板のターゲット部位の上にパターン化放射ビームを投影するステップと、
放射ビームの方に横断して配置された光学要素のアレイを用いて、放射ビームの光学経路長を局所的に変えるステップであって、各光学要素が個別にアドレス可能な電気加熱デバイスを含むステップと、
投影システムの瞳面内の位相マップにより加熱デバイスを制御するステップとを含むデバイス製造方法が提供されている。
[0015] 一実施形態において、この方法は、放射ビームの強度分布から位相マップを導出するステップをさらに含む。
[0016] 一実施形態において、この方法は、事前に加えた強度分布の履歴および/または加熱デバイスの加えた操作の履歴により、加熱デバイスをさらに制御するステップをさらに含む。
[0017] 一実施形態において、この方法は、要素にわたる静温度分布を確立するために光学要素内のチャネルを介して流体を移送するステップをさらに含む。一実施形態において、この方法は、流体の移送速度および流体の温度により加熱デバイスを制御するステップをさらに含む。
[0018] 次に、本発明の実施形態が、対応する参照符号が対応する部分を指す添付の概略図面を参照して、単に例として説明されるであろう。
[0037] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、
[0038] 放射ビームB(例えば、UV放射またはDUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
[0039] パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、一定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1位置決め装置PMに接続されている支持構造(例えば、マスクテーブル)MTと、
[0040] 基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、一定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2位置決め装置PWに接続されている基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、
[0041] 基板Wの(例えば、1つまたは複数のダイを含む)ターゲット部分Cの上にパターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを投影するように構成された投影システム(例えば、屈折式投影レンズシステム)PSとを含む。
[0042] 照明システムは、放射を誘導し、成形し、制御するための屈折式、反射式、磁気的、電磁気的、静電的、または他の種類の光学構成要素、またはそれらの任意の組合せなどの様々な種類の光学構成要素を含んでよい。
[0043] 支持構造は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計、および、例えばパターニングデバイスが真空環境に保持されるか否かなどの他の条件により決まる方法でパターニングデバイスを保持する。支持構造は、パターニングデバイスを保持するために機械的、真空式、静電的、または他のクランプ技法を用いることができる。支持構造は、例えば必要に応じて固定することも動かすこともできるフレームまたはテーブルであってよい。支持構造は、パターニングデバイスが、例えば投影システムに関して確実に所望の位置にくるようにすることができる。本明細書で用語「レチクル」または「マスク」を用いる場合はどれも、より一般的な用語「パターニングデバイス」と同義と見なされてよい。
[0044] 本明細書で使用される用語「パターニングデバイス」は、基板のターゲット部分にパターンを生成するためにその断面内にパターンを有する放射ビームを与えるために使用することができる任意のデバイスを指すものと広く解釈されるべきである。放射ビームに与えられたパターンは、例えば、パターンが位相シフトフィーチャ、つまり所謂アシストフィーチャを含む場合、基板ターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しないことがあることに留意されたい。一般に放射ビームに与えられたパターンは集積回路などのターゲット部分内に生成されるデバイス中の特定の機能層に一致することになる。
[0045] パターニングデバイスは、透過型でも反射型でもよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルを含む。マスクはリソグラフィにおいて周知であり、バイナリ、レベンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどの種類のマスクならびに様々な種類のハイブリッドマスクを含む。プログラマブルミラーアレイの例は、それぞれが入射してくる放射ビームを別の方向に反射するように個々に傾斜可能である小さなミラーのマトリックス配列を使用する。この傾斜したミラーが、ミラーマトリックスによって反射された放射ビーム内にパターンを与える。
[0046] 本明細書で使用される用語「投影システム」は、屈折式、反射式、反射屈折式、磁気的、電磁気的、および静電的光学システム、あるいは、使用される露光放射に適した、または液浸液を使用するのか、真空を使用するのかなど他の要因に適した、それらの任意の組合せをも含む、どんな種類の投影システムも包含するものと広く解釈されるべきである。本明細書で、用語「投影レンズ」を用いる場合はどれも、より一般的な用語「投影システム」と同義と見なされてよい。
[0047] 本明細書に図示したように、装置は透過型(例えば、透過マスクを使用する)である。代替的に装置は反射型(例えば、上で参照したような種類のプログラマブルミラーアレイを使用するか、反射マスクを使用する)でもよい。
[0048] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)、または、それより多い基板テーブル(および/または2つ以上の支持構造)を有する種類でもよい。このような「マルチステージ」の機械では追加のテーブルおよび/または支持構造は並行して使用されてよく、つまり、予備的なステップが1つまたは複数のテーブルおよび/または支持構造上で実行され、一方、他の1つまたは複数のテーブルおよび/または支持構造が露光のために使用されてよい。
[0049] リソグラフィ装置は、投影システムと基板の間の空間を満たすために、基板の少なくとも一部分が相対的に高い屈折率を有する液体、例えば水によって覆われることがある種類のものでもよい。液浸液は、リソグラフィ装置内の他の空間、例えばマスクと投影システムの間に与えられてもよい。投影システムの開口数を増加させるための液浸技法は、当技術分野において周知である。本明細書で使用される用語「液浸」は、基板など一構成が、液体中に浸漬されなければならないことを意味するのでなく、むしろ露光の間に投影システムと基板の間に液体が配置されることだけを意味する。
[0050] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受け取る。光源およびリソグラフィ装置は、例えば光源がエキシマレーザである場合は、別々の要素であってよい。そのような場合は、光源がリソグラフィ装置の部分を形成するとはみなされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って光源SOからイルミネータILへ送達される。他の場合では、例えば、光源が水銀ランプである場合、光源は、一体型リソグラフィ装置の一部であってよい。光源SOおよびイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDと共に、放射システムと呼ばれてよい。
[0051] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するように構成されたアジャスタADを含んでよい。一般に、イルミネータの瞳面内での強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ−outer、およびσ−innerと呼ばれる)が調整されてよい。さらに、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOなどの種々の他の構成要素を含んでよい。イルミネータは、その断面内に所望の均一性と強度分布を有するように放射ビームを調整するのに使用されてよい。
[0052] 放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射し、パターニングデバイスによってパターン化される。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは、基板Wのターゲット部分Cの上にビームを焦点合わせする投影システムPSを通過する。第2位置決め装置PWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または容量センサ)を使って、基板テーブルWTが、例えば放射ビームBの経路内に別のターゲット部分Cを位置合わせするために、正確に移動されてよい。同様に、第1位置決め装置PMおよび別の位置センサ(図1には明示されていない)が、例えばマスクライブラリから機械的に検索した後、またはスキャンの間に、放射ビームBの経路に対して正確にパターニングデバイスMAを位置決めするために使用されてよい。一般に、支持構造MTの移動は、第1位置決め装置PMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って実現されてよい。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2位置決め装置PWの部分を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを用いて実現されてよい。ステッパの場合には(スキャナとは違って)支持構造MTは、ショートストロークアクチュエータだけに接続され、あるいは固定されてもよい。パターニングデバイスMAと基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2と基板アライメントマークP1、P2を用いて位置合せすることができる。図示したように基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占めているが、それらはターゲット部分の間のスペースに配置されてもよい(これらは、スクライブレーンアライメントマークとして知られている)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイが提供される場合には、パターニングデバイスアライメントマークがダイの間に配置されてもよい。
[0053] 図示した装置は以下のモードの少なくとも1つで使用されてよい。
[0054] 1.ステップモードでは、支持構造MTおよび基板テーブルWTは基本的に静止状態に維持され、一方、放射ビームに与えられた全パターンが一挙にターゲット部分Cの上に投影(すなわち、単一静止露光)される。次いで、基板テーブルWTが、異なるターゲット部分Cが露光可能となるようにXおよび/またはY方向に位置を変えられる。ステップモードでは、露光フィールドの最大寸法が、単一静止露光で結像されるターゲット部分Cの寸法を制限する。
[0055] 2.スキャンモードでは、支持構造MTおよび基板テーブルWTは、同期してスキャンされ、一方、放射ビームに与えられたパターンがターゲット部分Cの上に投影(すなわち、単一動的露光)される。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの拡大(縮小)率およびイメージ反転特性によって決定されてよい。スキャンモードでは、露光フィールドの最大寸法が、単一動的露光内のターゲット部分の幅(非スキャン方向の)を制限し、それに対しスキャン動作の長さが、ターゲット部分の高さ(スキャン方向の)を決定する。
[0056] 3.別のモードでは、支持構造MTは、プログラマブルパターニングデバイスを基本的に静止状態に保持し続け、基板テーブルWTが移動され、またはスキャンされ、一方、放射ビームに与えられたパターンがターゲット部分Cの上に投影される。このモードでは、一般にパルス放射源が使用され、基板テーブルWTの各移動後、あるいはスキャンの間の連続する放射パルスの合間に、必要に応じてプログラマブルパターニングデバイスが更新される。この動作モードは、上述した種類のプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに対し容易に利用可能である。
[0057] 前述の使用モードについての組合せ、および/または、変形形態、あるいは全く異なる使用モードが利用されてもよい。
[0058] 図2aは、イルミネータまたは投影システムの瞳面21における放射ビームの強度分布の例を示す。放射ビームの強度分布は、瞳面の断面の一部を画定している2つの極22および23を含み、そこを介して実質的に放射ビームの全ての放射が瞳面を横断する。図2bは、4つの極25、26、27、および28を含む瞳面24内の強度分布の第2例を示す。以下の説明では、瞳面内の放射ビームの強度分布は照明モードと呼ばれる。図2aに示した強度分布は2重極照明モードである。図2bに示した強度分布は4重極モードである。
[0059] 放射ビームが屈折光学要素(例えばレンズ)を横断するとき、僅かな部分の放射ビームが要素によって吸収される。要素による放射ビームの吸収は、この要素の昇温を引き起こす。要素が熱くなる結果、吸収した所で要素の屈折率が変化し、要素が変形する。放射ビームが要素を均一に横断する所に置かれた要素に対して、この吸収は、要素の均一な加熱と、屈折率の均一な変化をまねく。瞳面または瞳面の近傍に置かれた要素に対して、放射ビームが要素を横断する、要素の断面部分は与えた照射モードにより決まる。2重極または4重極などの照射モードに対して、要素は、要素の表面にわたり放射を不均一に吸収し、屈折率の不均一な変化と、要素の変形を生じる。投影システム内の1つまたは複数の要素の屈折率の局所的な変化および1つまたは複数の要素の変形により、要素を横断する放射ビームの異なる部分の光学経路長が変化することになる。光学経路長の差異が変化することにより、基板レベルにおいて放射ビームの一部を空中イメージ中に再結合させるようになり、それが放射ビームの再結合部分の間の光学経路長の差異によって、パターニングデバイスレベルにおいて物体イメージに対して歪められる。この差異によって負の影響を受けるイメージングパラメータの例はフィールド位置で決まるフォーカスオフセットである。
[0060] 図3は、本発明の実施形態による光学配置31を示す。光学配置31は9つの光学要素32のアレイを含む。光学要素のこの数は図示の目的だけから選択されている。実際には、光学要素の数は、かなり大きな、例えば128または256個の光学要素であってよい。光学配置は、光学要素のアレイが放射ビームに対し実質的に垂直に配置されるように放射ビーム内で位置決めされる。光学要素32は放射ビームのサブビームを透過するように配置される。各光学要素は、光学要素32を局所的に加熱するように構成された個別にアドレス可能な電気加熱デバイス33を含む。個別にアドレス可能な電気加熱デバイス33は、導体35を介して制御ユニット34に電気的に接続される。光学要素32の1つまたは複数を加熱することにより、これらの1つまたは複数の光学要素32の屈折率を変える。動作中、制御ユニット34は、付随した光学要素32を介して透過されるサブビームの光学経路長が互いに等しくなるように各電気加熱デバイスの熱放散を調整する。放射ビームの種々のサブビームの光学経路長を調整したことで、いっそう正確に物体イメージに似ている空中イメージが生成される。光学配置31はイルミネータまたは投影システムの瞳面または瞳面の近傍で位置決め可能である。光学配置を瞳面または瞳面の近傍に位置決めすることによって、瞳面内の特定の位置における光学経路長の望ましい変化と瞳面内のその特定の位置の加熱デバイスの間に空間的相関を提供する。さらに、瞳面または瞳面の近傍に光学配置を位置決めすることによって、電気加熱デバイスは、照明システムおよび基板上の投影システムによって結像されないことになる。
[0061] 光学要素32は、Al、CaF、またはSiOを含んでよい。このような材料は既知の屈折率、屈折率の温度依存性、熱伝導率、熱膨張係数および比熱容量を有する。光学要素32は集積構造内に構成することができる。このような集積構造の例は、放射ビームに対し垂直な面内に配置されるSiOプレートである。光パワー1を有し、瞳面または瞳面の近傍に置かれたSiOプレートを用いて、SiOプレートが位置決めされている光学システムの光学特性が、限られた、許容範囲まで変えられる。交換機構は、SiOプレートを放射ビームの経路内および経路外へ挿入および移動することで提供可能である。代替的に、集積構造が光学システム内の既存の要素の代わりに置かれ、置き換えた要素に一致する光学特性をもつこともできる。
[0062] 瞳面内の位置の関数として光学経路長の変動は表面プロファイルによって記述でき、位相マップと呼ばれる。放射ビームの異なる部分の光学経路長の望ましい調整は、既知の干渉計配置を用いて光学配置の瞳面内の放射ビームの位相マップを測定することによって得ることができる。瞳面内の位相マップを測定することによって直接、光学経路長の変化を決定する利点は、種々の要素の加熱によって生じた光学経路長の変化がまだ安定していない場合でも、正確な修正を加えることができることである。測定は、リソグラフィ装置を連続的に動作させないとき、またはリソグラフィ装置を後で異なる照明モードに設定して動作させるときに、実施可能であり、位相マップを連続的に変化させることになる。従来のリソグラフィツールは、放射ビームの波面をin−situ測定するように基板テーブルまたはその近傍に配置された干渉計波面測定システムを含む既知のセンサを装備している場合がある。この実施形態では、制御ユニット34は、測定した位相マップに応じて加熱デバイス33をアドレスするように構成されている。動作中、干渉計配置を使用して位相マップが測定される。位相マップは、光学配置を横断する放射ビームの異なるサブビームの位相変化を提供し、この位相変化が光学経路長の差異を引き起こす照射を修正するのに用いられる。光学配置31内のそれぞれの光学要素32に対する屈折率の望ましい変化は、位相マップの対応する位相変化から決定される。続いて屈折率の望ましい変化を引き起こすために、複数の光学要素の各光学要素中に放散させる必要がある熱量が決定される。続いてそれぞれの電気加熱デバイス33が制御ユニット34によって個別にアドレスされ、電流およびアドレス期間を制御することにより電気加熱デバイスに付随するそれぞれの光学要素32中へ決定された熱量を放散する。もちろん、各電気加熱デバイスの電流および/またはアドレス期間は、位相マップから位相変化を測定するのとは違う別の方法によって決定することもできる。
[0063] 位相マップは、それぞれ利用される照明モードに対して一度、決定することができる。代替的にまたは追加的に、位相マップは周期的に決定することもできる。測定された位相マップの時間に対する変化の程度により、位相マップは異なる照明モードが選択された後、毎回決定することもできる。別にまたは追加的に、位相マップは一定回数の基板露光の後または一定時間間隔後などの別の間隔で測定されてもよい。
[0064] 制御ユニット34は、加熱デバイスをアドレスするために、適用された照明モードの履歴をさらに計算に入れてよい。照明モードを変えることは、照明システムおよび/または投影システム内の1つまたは複数の要素の異なる不均一な加熱につながることがある。新しく照明モードを連続使用した後は、屈折率の変化と要素の変形を安定化させることになる。しかし、最初に、照明モードを変更した後では、特定の持続時間をおくことになりその間に位相マップを連続的に変化させている。この持続時間の長さは、要素の熱容量によって決まることになる。位相マップでの、この連続的な変化は、位相マップを頻繁に測定することによって処理することができるが、頻繁に測定することで総時間を減少させ、その間、リソグラフィ装置は通常運転ために使用することができる。その代わりに、位相マップの測定を必要とせずに、位相マップのフィードフォワード修正を可能にする、要素の熱容量の決定が為されてよい。
[0065] さらに制御ユニット34は、電気加熱デバイス33をアドレスするために、露光に使用されるパターニングデバイスMAのパターンを計算に入れてよい。この場合、照明モード、放射ビーム強度およびパターニングデバイスMAのパターンの、それぞれ使用された組合せのために、別個の光線追跡計算が用いられてよい。
[0066] 別にまたは追加的に、位相マップは、適用された照明モードから導出することができる。位相マップは、従来の光線追跡ソフトを用いて決定することができる。この実施形態では、制御ユニット34は加熱デバイス33をアドレスするように構成され、決定された位相マップに基づいて付随する光学要素32内に一定量の熱を発生させる。光学要素32の光学および熱特性は既知であるので、光学要素32内で光学経路長の所望の変化を達成するのに必要とされる総熱量が決定できる。
[0067] それぞれ適用された照明モードおよび対応する、一定の放射ビーム強度に対して、光学経路長の変化が決定されなければならない。実際の光学経路長の変化は、基板当たりの露光回数、露光される基板の数などの、リソグラフィ装置の使用履歴によってさらに決まることになる。したがって必要とされる修正の推定だけが決定できる。さらに露光開始の時点で、照明システムおよび/または投影システムの要素はより低い温度にあることになり、したがって光学経路長は最初安定せず、比較的安定したプロファイルに到達するまで露光の間ずっと変化することになる。
[0068] 図4は、光学配置40上の3つの電気加熱デバイスの構成の一実施形態を示す。光学要素のこの数は図示の目的だけから選択されている。実際には、光学要素の数は、かなり大きな、例えば128、196または256個の光学要素であってよい。光学要素41のアレイの各光学要素は、付随する光学要素41に熱を放散するように曲がりくねった導体42を含む電気加熱デバイスを備える。曲がりくねった導体42は200nmの幅を有してよい。代替的に、曲がりくねった導体42は、曲がりくねった形状以外の細長い形状を有してよい。電気加熱デバイスは、曲がりくねった導体42を図4には示してない制御ユニットに接続するために、導体43、44をさらに備える。曲がりくねった導体42は実質的にCr、Cu、AuまたはAlを含んでよい。導体42、43、44は従来の電子ビーム描画技法または気相堆積技法を介して光学配置上に設けることができる。
[0069] 図5aは、4つの電気加熱デバイス51、52、53および54を含む光学配置50の一実施形態を示す。この実施形態では、導体55、56、57、58が光学配置全体50にわたり直線で延在し、2本が互いに直交して周期的に配置されている。導体55、56、57、58は、曲がりくねった導体51、52、53、54を図5aには示してない制御ユニットに電気的に接続し、ブリッジ59を介して互いに分離されている。制御ユニットは、それぞれ連続した電気加熱デバイスの4つの電気加熱デバイスに既知の時分割多重アドレス技法を用いてアドレスし、付随する光学要素内に所望の熱量を発生させる。
[0070] 図5bは、複数の光学要素135、136、137と、複数のペアの多層相互接続回路130、131とを含む光学配置138の一実施形態を示し、多層相互接続回路のそれぞれのペア131、132は、1つの光学要素135、136、137に対応する。対応する多層相互接続回路130は、多層相互接続回路131に複数の相互接続導体132、133および134を介して電気的に接続され、導体132、133は低オーミック導体(つまり低い電気抵抗をもつ)であり、導体134は高オーミック導体(つまり高い電気抵抗をもつ)である。低オーミック導体132、133は実質的にAlから作ることができ、高オーミック導体134は実質的にCrから作ることができる。多層相互接続回路130、131および複数の相互接続導体132、133および134は1つの加熱デバイスを構成する。動作中、それぞれの光学要素135、136、137は、多層相互接続回路130、131の対応するペアをアドレスすることによって個別に加熱することができる。低オーミック導体132、133と高オーミック導体134の間の異なる電気抵抗により、高オーミック導体134は低オーミック導体132、133より実質的に大きな量の熱を放散し、その結果、周辺の光学要素136および137に対して光学要素135を加熱することになる。この実施形態では、それぞれの光学要素が、他の光学要素の数に対応する低オーミック導体を含むので、1つまたは複数のその他の光学要素をアドレスしながら、前記光学要素内に少量の熱が放散されることになる。しかし、前記光学要素内に放散されるこの熱量は、アドレスされた光学要素内に放散される熱より実質的に少量であることになる。図5bでは、光学要素、多層相互接続回路および導体の数は図示の目的だけから選択されている。実際には、光学要素の数は、例えば128、196または256個であってよい。さらに、1つの光学要素に対応する高オーミック導体の数は、例えば2、4、6または8個でよい。
図6aは、光学配置の一実施形態の断面図を示す。この光学配置60では、光学要素が、1つの屈折光学部材61中に含まれる。光学部材は、マルチ電気加熱デバイスを含み、その中の3つのデバイス62が示されている。光学部材60は、部材の端で支持することができ、投影システムおよび/またはイルミネータを形成する複数の光学要素内の調整された環境の中に配置することができる。調整された環境は、例えば、温度制御され、フィルタでろ過された室内空気を含んでよい。動作中、電気加熱要素62が熱を発生し、周囲の光学材料より周囲の空気への熱の移動が少ないことにより発生した熱の実質的に全てが光学部材中へ移動する。熱は、加熱デバイス62の近くのより高い温度を有する光学部材の材料から矢印64で示したように周囲の光学材料へ流れることになる。光学部材内での放射ビームに垂直な方向の、つまり、X方向およびY方向の熱伝導により、実現可能である静的位相マップの各点での位相の勾配は減少する。
[0071] 図6bは、光学部材60の一実施形態を示しており、放射ビームに垂直な方向での光学部材60内の熱の移動は減少する。この目的のために、矢印68により示した、放射ビームに実質的に平行な方向に光学部材内の熱移動を生じるように、光学部材部分61および65によって制限されたチャネル66が配置される。これは、流体を、例えば、矢印67により示したチャネル66を介する供給容器からの実質的にNを含むガスなどの、フィルタでろ過した室内空気または任意の他の不活性ガスなどのガスを導入することによって達成され、この気体は光学部材より低い温度に維持される。一般的に、チャネルは、部材の寸法と同じXおよびY方向の寸法と、10mm未満のZ方向の高さを有することになる。ガスの温度は、供給容器と光学配置の間に配置された既知の温度制御デバイスを用いて一定に維持することができる。ガスは、循環ループを有効にすることによって再使用することができ、部材を通過した後のガスは供給容器に回収される。代替的に、流体は水などの液体でもよい。
[0072] 図7は、光学部材71の一実施形態のX軸に沿う断面を示す。光学部材71は、2つの面、実質的に平行な、チャネル74を囲むプレート72、73を含む。光学部材は電気加熱デバイスのアレイ75をさらに含む。放射ビームの方向はZ軸に実質的に平行であり、流体の移送方向は矢印で示したようにY軸に実質的に平行である。代替的にまたは追加的に、電気加熱デバイスのアレイはチャネル74の向こう側に面しているプレート73の側面上に配置されてもよい。
[0073] 一実施形態では、導体で覆われている光学配置の表面は1%未満である。この光学配置は、76mmの有効直径を有する光学部材を備え、この光学部材は5×5mmの単位セル寸法を有するアレイで配置された256個の加熱デバイスを含み、加熱デバイスは、熱を放散するように構成された、200nmの幅と、60mmの長さを有する曲がりくねった導体を備える。曲がりくねった導体は導体を介して制御ユニットに接続され、この導体は10μmの幅と、80mmの長さを有する。Crで製作された電気加熱デバイスは100nmの厚さを有し、これは、既知の電子ビーム描画技法を用いるレチクル上に製作される従来のCrパターンとして標準の厚さである。それぞれ5mmの厚さをもつ2つのSiOプレートを含む光学配置のために、光学要素は5×5×5mmの寸法を有する。図7は、この実施形態を示し、光学要素は、プレート72である一構造に集積されている。70nmの光学経路長の差異と等価の最大位相修正により、光学要素に必要な最大温度上昇は、加熱デバイスが配置されている表面で1.4°Kであり、光学要素にわたり0.7°Kの平均温度上昇である。光学要素にわたるこの温度分布は、光学要素の第1側面上に配置された10mWの最大出力電力を有する前述した電気加熱デバイスを使用し、光学要素の第2側面において、光学要素とチャネル74を介して流れる流体間の熱的相互作用による冷却機構を配置することによって、達成することができる。上で説明した光学要素にわたる温度分布を達成するために、チャネルは1.7mmのZ方向の高さを有するように構成されるべきで、流体は、0.65l/minの流速で流し、22℃の温度を有する水である。
[0074] 図8は、光学部材81の一実施形態のX軸に沿う断面を示す。光学部材81は、4つの面、実質的に平行なプレート82、83、84および85を含む。この実施形態では、光学部材は2つのチャネルを備え、第1チャネル86はプレート82、83によって囲まれ、第2チャネル87はプレート84、85によって囲まれている。電気加熱デバイス88のアレイは、プレート83と84の間に配置される。電気加熱デバイスは、プレート83、84に、あるいは83と84の両方に取り付けることもできる。この実施形態の利点は、光学部材81内で発生した熱の光学部材を取り囲む流体への移動が、最小化され、確実に光学システムの熱的乱れを最小にすることである。
[0075] 図9は、光学部材91の一実施形態のX軸に沿う断面を示す。光学部材91は、3つの面、実質的に平行なプレート92、93および94を含む。さらに、光学部材は2つのチャンルを備え、第1チャネル95は第1プレート92および中間プレート93によって囲まれ、第2チャネル96は中間プレート93および第3プレート94によって囲まれている。光学部材91は電気加熱デバイスの2つのアレイを備え、電気加熱デバイスの第1アレイ97は第1プレート92に対向する中間プレート93の第1側面上に配置され、電気加熱デバイスの第2アレイ98は第3プレート94に対向する中間プレート93の第2側面上に配置される。この実施形態では、光学システムの熱的乱れを最小にするために、光学部材91内で発生した熱の光学部材を取り囲む環境への移動を最小化することができる。この実施形態のさらなる利点は、図8の実施形態と比べて減少した高さの光学部材であることである。代替的に、電気加熱デバイスの1つのアレイ97だけが、第1および第3プレート92、94の1つに対向する中間プレート93の1つの側面に配置されてもよい。
[0076] 図10は、光学部材101の一実施形態のX軸に沿う断面を示す。光学部材101は、2つの面、チャネル104を囲む、実質的に平行なプレート102および103を含む。さらに、光学部材は電気加熱デバイスの2つのアレイを備え、第1アレイ105は、第2プレート103に対向する第1プレート102の第1側面上に配置され、第2アレイ106は、第1プレート102に対向する第2プレート103の第1側面上に配置されている。この実施形態の利点は、限定された高さと、2つのプレート102、103の加熱により達成される大きな位相オフセットを可能にする、電気加熱デバイスの2つのアレイを含んでよいことである。光学部材101の内部だけに配置される電気加熱デバイス105、106により、光学部材101を取り囲む環境へ移動する熱量は制限される。代替的に、電気加熱デバイスの1つのアレイだけが、第2プレート103に対向する第1プレート102の第1側面上に、または第1プレート102に対向する第2プレート103の第1側面上に配置されもよい。さらなる実施形態では、第1プレート102が、投影システムの瞳面と実質的に一致し、第2プレート103が投影システムの前記瞳面の近傍の面内に配置されるように、光学部材101が投影システム内で位置決めされてよい。この実施形態では、電気加熱デバイスの第2アレイ106は、フィールドにより決まるイメージパラメータを補償するようにアドレスすることができる。
[0077] 図11aは、光学部材111上に配置された電気加熱デバイスへの接続導体112の断面図を示している。接続導体の抵抗は、接続導体中に放散される熱量を最小にするように曲がりくねった導体の抵抗よりファクター約1/10または1/100だけ低いものである必要がある。この低抵抗により、曲がりくねった導体の断面より大きな断面をもつ接続導体が必要になる。しかし、これらの導体によってブロックされる放射の量を制限するように、接続導体の幅は、制限しておかなければならない。図11bは、加熱デバイスの接続導体114の一実施形態の断面図を示す。この実施形態では、導体は台形の形状であり、導体の幅は高さの増加と共に小さくなる。この実施形態の利点としては、導体114による放射115のブロックが、放射が光学要素111を横断する角度によらないことである。この実施形態による導体は、一連のマルチ電子ビーム描画ステップまたは一連のマルチステップの気相堆積技法で作製することができ、それぞれの連続ステップが導体層の特定の幅に対応し、その幅を、事前設定された量で漸減的に減少させる。
[0078] 従来のリソグラフィ装置に対して、2重極または4重極などの照明モードによる要素の局所的加熱の結果、光学経路長の局所的変化は最大200nmにもなることがある。上述した位相マップはZernike多項関数で記述できる。Zernike多項式は、円形瞳を有する光学システムに対する波面関数の展開に中に現われる直交多項式のセットである。制御ユニットと電気加熱デバイスの加熱電力は位相マップ全体を修正するようなディメンションであってよい。この配置では、電気加熱デバイスの必要最大電力により、結果として、大きな幅と高さを有する、実質的なディメンションの電気加熱デバイスになる。代替的に、加熱デバイスの最大取得可能加熱電力を、位相マップの低次および高次Zernike多項関数を修正するのに必要な電力未満に設計することもできる。一般的に、位相マップの最大振幅は、低次Zernike多項関数の一部である。位相マップのそのような低次成分の修正は、リソグラフィ装置で利用できる従来のレンズマニプレータによっても達成できる。6次およびそれより高次のZernike多項式によって記述される位相マップの高次成分に対しては、従来のレンズマニプレータは利用できない。前述したリソグラフィ装置では、位相マップのこれらの周波数成分の振幅は最大70nmでよい。これらの高次成分のみが修正可能であるような加熱デバイスの設計の利点は、加熱デバイスが、寸法を小さくでき、したがって光学配置を横断する放射のブロックも少ないということである。
[0079] 図12aは、照射によって誘起され、リソグラフィ装置の投影システム内に生じた空間的光学経路長の誤差を修正するために使用した位相マップの3D表示の例である。適用された照明モードは2重極照明であり、それは、対応する位置で、実質的に放射の全てが投影システムの瞳面近傍に位置する要素を横断する、X軸上の2つの負のピークによって示されている。したがって、図12aは、これらの位置で、光学経路長において最大の修正が望まれることを示している。この特定の照明モードと露光セッティングに対して、瞳面にわたり光学経路長の差異において、約40nmの範囲が決定される。必要な位相変化の3D表示では、プロファイルをゼロに正規化するようにオフセットを加えている。
[0080] 図12bは、位相マップの3D表示を示し、これは、一平面、実質的に平行なプレートの、図6bの実施形態による光学部材を使用することによって達成し得る。この計算では、光学部材は投影システムの瞳面に位置決めされている。
[0081] 図12cは、図12aによる計算上から望ましい修正と、図12bにより取得できる物理的な修正の間のRMS位相誤差の3D表示である。図12bの実施形態により、RMS位相誤差は、1nm未満に限定される。それは、結像面内の基板上に投影システムによって投影される、投影システムの物体面内のパターニングデバイスをいっそう正確に表す空間イメージが改善されたことによる。
[0082] 本明細書では、IC製造でのリソグラフィ装置の使用に対し特定の参照が為されてよいが、本明細書で説明したリソグラフィ装置は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスおよびディテクションパターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造など、他の応用例も有してよいことは理解されたい。そのような代替の応用例の文脈においては、本明細書で用語「ウェーハ」または「ダイ」の使用はいずれもより一般的な「基板」または「ターゲット部分」とそれぞれ同義と見なされてよいことを、当業者は理解するであろう。本明細書で言う「基板」は、露光前にまたはその後に、例えばトラック(track)(一般的に基板にレジスト層を付け、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツールおよび/またはインスペクションツール内で処理されてよい。適用可能である場合には、本発明の開示は、そのような、および他の基板加工ツールに適用されてよい。さらに、基板は2回以上、例えば多層ICを生成するために処理されてよく、したがって本明細書で使用される用語、基板は、既に複数の処理された層を含む基板を指すこともある。
[0083] 特定の参照が、光リソグラフィの文脈で、本発明の実施形態の使用に対して上で為されたかもしれないが、本発明は他の適用分野、例えばインプリントリソグラフィに使用されることがあり、また文脈が許せば光リソグラフィに限らないことは理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に生成されるパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィが、基板に供給されたレジスト層内に押し付けられてよく、基板上のレジストは電磁放射、熱、圧力またはそれらの組合せを加えることによって硬化させる。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、そこにパターンを残してレジストから取り外される。
[0084] 本明細書で使用される用語「放射」および「ビーム」は、紫外(UV)放射(例えば、それぞれ365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長、あるいは、ほぼ、これらの波長を有する)を含むあらゆる種類の電磁放射を包含する。用語「レンズ」は、文脈が許せば、屈折式、反射式、磁気的、電磁気的および静電的光学構成要素を含む任意の1つまたは様々な種類の光学構成要素の組合せを指すことがある。
[0085] 本明細書の1つまたは複数の実施形態の1つまたは複数の態様が、本明細書の1つまたは複数の別の実施形態の1つまたは複数の態様と共に使用されることも、または代用をすることもできる。本明細書の説明は主に透過型光学システムに向けられたが、本明細書で説明した1つまたは複数の実施形態は、反射型光学システム、または反射型光学システムと透過型光学システムの組合せに適用することもできる。
[0086] 本発明の特定の実施形態が前述されてきたが、本発明が説明されたのとは別の方法で実施可能であることは理解されよう。例えば、本発明は、前記の開示した方法を説明する機械読取可能な指示書の1つまたは複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、あるいはそうしたコンピュータプログラムを中に記憶させているデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気または光ディスク)の形をとることがある。
[0087] 前述の説明は、例示を意図したものであって、限定するものでない。したがって、別に詳述される特許請求の範囲を逸脱することなく、説明した本発明に対して修正を加えることができることは当業者には明らかであろう。
[0019]本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置の概略図である。 [0020]瞳面内の放射ビームの2重極強度分布の図である。 [0021]瞳面内の放射ビームの4重極強度分布の図である。 [0022]光学要素のアレイを含む光学配置の図である。 [0023]第1構成で配置された複数の電気加熱デバイスを含む光学配置の図である。 [0024]第2構成で配置された複数の電気加熱デバイスを含む光学配置の図である。 [0025]第3構成で配置された複数の電気加熱デバイスを含む光学配置の図である。 [0026]複数の電気加熱要素を有する光学配置と、この光学要素内の熱流を示す図である。 [0027]チャネルと複数の電気加熱要素を含む光学配置と、この光学要素内の熱流を示す図である。 [0028]1つのチャネルと電気加熱デバイスのアレイとを含む光学配置の図である。 [0029]2つのチャネルと電気加熱デバイスのアレイとを含む光学配置の図である。 [0030]2つのチャネルと、電気加熱デバイスのアレイとを含む光学配置の図である。 [0031]1つのチャネルと2つの電気加熱デバイスのアレイとを含む光学配置の図である。 [0032]四角形の形状の加熱デバイスの断面図である。 [0033]台形形状の加熱デバイスの断面図である。 [0034]リソグラフィ装置の瞳面にわたる望ましい位相修正の3Dプロットを示す図である。 [0035]リソグラフィ装置の瞳面にわたる実現された位相修正の3Dプロットを示す図である。 [0036]リソグラフィ装置の瞳面にわたる修正後の残存位相誤差の3Dプロットを示す図である。

Claims (25)

  1. 強度分布に従って放射ビームを調整するように構成された照明システムと、
    パターニングデバイスを保持する支持体であって、前記パターニングデバイスがパターン化放射ビームを形成するために、その断面内にパターンを有する調整された前記放射ビームを与えるように構成されている支持体と、 基板を保持する基板テーブルと、
    前記基板のターゲット部分上に前記パターン化放射ビームを投影する投影システムと、
    前記放射ビームの経路の方へ、また、経路内を横断するように配置された光学要素のアレイと、
    を含み、
    それぞれの前記光学要素が、前記光学要素を局所的に加熱するように構成された個別にアドレス可能な電気加熱デバイスと、前記投影システムの瞳面における前記パターン化放射ビームの位相マップによって前記加熱デバイスを制御するように構成された制御ユニットと、をさらに含む、
    リソグラフィ装置。
  2. 前記位相マップが前記強度分布から導出される、
    請求項1に記載のリソグラフィ装置。
  3. 前記位相マップを測定するように配置された干渉計をさらに含む、
    請求項1に記載のリソグラフィ装置。
  4. 前記制御ユニットが、事前に加えた強度分布の履歴、または前記加熱デバイスが加えた操作の履歴、あるいは両方の履歴により、前記加熱デバイスをさらに制御するように配置されている、
    請求項1に記載のリソグラフィ装置。
  5. 前記光学要素が、前記光学要素にわたり静温度分布を確立するために、供給容器から前記光学要素へ流体を移送するように構成されたチャネルを備える、
    請求項1に記載のリソグラフィ装置。
  6. 前記制御ユニットが、前記流体の移送速度および温度により前記加熱デバイスをさらに制御するように配置されている、
    請求項5に記載のリソグラフィ装置。
  7. 前記チャネルが、少なくとも2つの実質的に平行なプレートを備える、
    請求項5に記載のリソグラフィ装置。
  8. 前記加熱デバイスが、少なくとも1つの前記プレートにおける前記流体に面している表面上に配置される、
    請求項7に記載のリソグラフィ装置。
  9. 前記加熱デバイスが、少なくとも1つの前記プレートにおける前記流体の反対側の表面上に配置される、
    請求項7に記載のリソグラフィ装置。
  10. 前記光学要素が、前記チャネルの前記プレートの1つを共有するさらなるチャネルを備える、
    請求項7に記載のリソグラフィ装置。
  11. 前記加熱デバイスが、前記共有プレートの表面上に配置される、
    請求項10に記載のリソグラフィ装置。
  12. 前記光学要素が、単一構成内に含まれる、
    請求項1に記載のリソグラフィ装置。
  13. それぞれの加熱デバイスが、細長い導体を含む、
    請求項1に記載のリソグラフィ装置。
  14. 前記加熱デバイスが、複数の相互接続された導体を含む、
    請求項1に記載のリソグラフィ装置。
  15. 前記相互接続された導体が、少なくとも第1導体および第2導体を含み、前記第2導体が前記第1導体とは実質的に異なる電気抵抗を有する、
    請求項14に記載のリソグラフィ装置。
  16. 前記細長い導体が、Cr、Cu、AuおよびAlからなる群の1つを含む、
    請求項13に記載のリソグラフィ装置。
  17. 前記細長い導体の断面が台形形状に一致する、
    請求項13に記載のリソグラフィ装置。
  18. 前記流体が、ガスを含む、
    請求項5に記載のリソグラフィ装置。
  19. 前記ガスが、実質的に窒素を含む、
    請求項18に記載のリソグラフィ装置。
  20. 前記流体が、液体を含む、
    請求項5に記載のリソグラフィ装置。
  21. パターン化放射ビームを形成するためにその断面内にパターンを有する放射ビームを与えるステップと、
    投影システムを用いて基板のターゲット部位の上に前記パターン化放射ビームを投影するステップと、
    前記放射ビームの方に横断して配置された光学要素のアレイを用いて、前記放射ビームの光学経路長を局所的に変えるステップであって、各光学要素が個別にアドレス可能な電気加熱デバイスを含むステップと、
    前記投影システムの瞳面内の位相マップにより前記加熱デバイスを制御するステップと、
    を含むデバイス製造方法。
  22. 前記放射ビームの強度分布から前記位相マップを導出するステップをさらに含む、
    請求項21に記載の製造方法。
  23. 事前に加えた強度分布の履歴、または前記加熱デバイスの加えた操作の履歴、あるいは両方の履歴により、前記加熱デバイスを制御するステップをさらに含む、
    請求項21に記載の製造方法。
  24. 前記要素にわたる静温度分布を確立するために前記光学要素内のチャネルを介して流体を移送するステップをさらに含む、
    請求項21に記載の製造方法。
  25. 前記流体の移送速度および温度により前記加熱デバイスを制御するステップをさらに含む、
    請求項24に記載の製造方法。
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