JP2008116612A - ベルト及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】低トルク、低磨耗で傷の発生がなく、長寿命であることに加え、クリーニング耐性や転写特性にも優れたベルト及びこれを用い画像形成装置を提供することである。
【解決手段】基材と表面層とを有し、該表面層が、水素原子の含有量が10atm%の以下で、かつsp結合している炭素原子の比率が60%以上のアモルファスカーボンを含むベルトである。
【選択図】なし

Description

本発明は、複写機やプリンタ等の電子写真方式を用いた画像形成装置において、中間転写ベルト及び用紙搬送ベルトなどに適用されるベルト及びそれを用いた画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた画像形成装置においては、先ず、無機又は有機材料からなる光導電性感光体からなる像保持体表面に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電濳像を形成した後、帯電したトナーで前記静電濳像を現像して可視化したトナー像が形成される。そして、該トナー像を中間転写体を介して、あるいは直接記録紙等の転写材に静電的に転写し、記録材に定着することにより所要の画像が得られる。
特に、前記像保持体に形成したトナー像を中間転写体に一次転写し、更に中間転写体上のトナー像を記録紙に二次転写する方式を採用した画像形成装置が知られている。
上記中間転写方式に採用される部材として、中間転写ベルトや用紙搬送ベルトがあるが、該中間転写ベルトや転写搬送ベルト等に用い得る半導電性のベルトとしては、機械特性や耐熱性に優れたポリイミド系樹脂に導電性フィラーを分散してなる中間転写ベルトが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
前記中間転写体の表面にキズが発生すると、溝にトナーや外添剤が入り、クリーニング手段として設けられたクリーニングブレードで除去できずに、画質ディフェクトとなってしまう。また、前記キズを起点としてトナーや外添剤がベルト表面にフィルミングしてしまい、局所的に電気抵抗やトナー付着力がばらつき、画質ディフェクトなる場合がある。
上記の問題に対して、フッ素樹脂などのコート処理をほどこすことにより、表面摩擦係数を下げて摺擦によるキズやトナーなどの固着を防ぐ手段がある(例えば、特許文献3参照)。
しかしフッ素などの樹脂コートは磨耗に弱く、硬い異物による応力集中などには耐性が低く、コート層が削れてしまう場合があった。
また、スパッタリング法やイオンプレーティング法等のPVD法でベルト表面に金属層等を形成する方法も提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、硬質なダイアモンドライクカーボン(DLC)などの従来知られるアモルファスカーボンコートは、被膜形成に高温を必要とするため、特に樹脂材料からなる中間転写ベルトでは熱による伸縮が生じてベルト周長が部分的にばらついてしまい、各色間の位置合わせ(カラーレジストレーション)が悪化する懸念があった。また、金属めっきなどの手段は熱変形に加えて電気抵抗が低いため、転写電荷を保持することができないため適用できない場合があった。
特開平5−77252号公報 特開平10−63115号公報 特開2004−198713号公報 特開2002−127265号公報
しかしながら、省資源の観点からさらなる中間転写ベルト等の長寿命化が求められ、またデジタルカメラの普及に伴う高画質化の強い要望や、パブリッシングなど軽印刷市場に向けてより高耐久なベルト及びこれを用いた画像形成装置が求められている。
そこで本発明は、上記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
すなわち、本発明は、低トルク、低磨耗で傷の発生がなく、長寿命であることに加え、クリーニング耐性や転写特性にも優れたベルト及びこれを用い画像形成装置を提供することを目的とする。
前記課題は、下記の本発明により達成される。すなわち本発明は、
<1> 基材と表面層とを有し、該表面層が、水素原子の含有量が10atm%の以下で、かつsp結合している炭素原子の比率が60%以上のアモルファスカーボンを含むベルトである。
<2> 前記表面層厚みが0.01〜2μmの範囲であることを特徴とする<1>に記載のベルトである。
<3> 表面微小硬度が60〜90GPaの範囲であることを特徴とする<1>または<2>に記載のベルトである。
<4> 表面の摩擦係数が0.2以下である<1>〜<3>のいずれかに記載のベルトである。
<5> 表面抵抗率が10〜1013Ω/□の範囲である<1>〜<4>のいずれかに記載のベルトである。
<6> <1>〜<5>のいずれかに記載のベルトを用いた画像形成装置である。
<7> 前記ベルトが、中間転写ベルトである<6>に記載の画像形成装置である。
<8> 前記ベルトが、用紙搬送ベルトである<6>に記載の画像形成装置である。
<9> 前記ベルトを張架する張架ロールの外径が15mm以上であり、かつベルトテンションが70N以下である<7>または<8>に記載の画像形成装置である。
<10> 前記ベルトをクリーニングするベルトクリーニング手段を有し、該ベルトクリーニング手段がブレードを備え、該ブレードが前記ベルトを押圧する荷重が20N/m以上である<7>〜<9>のいずれかに記載の画像形成装置である。
本発明によれば、低トルク、低磨耗で傷の発生がなく、長寿命であることに加え、クリーニング耐性や転写特性にも優れたベルト及びこれを用い画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<ベルト>
本発明のベルトは、基材と表面層とを有し、該表面層が、水素原子の含有量が10atm%の以下で、かつsp結合している炭素原子の比率が60%以上のアモルファスカーボンを含むことを特徴とする。
前記のように、中間転写体の表面に傷が発生すると、溝にトナー等が入りこみ、また、傷を起点としてトナーや外添剤がベルト表面にフィルミングしてしまい、局所的に電気抵抗やトナー付着力がばらつき、画質ディフェクトの原因なってしまう。さらに、中間転写体の傷や前記フィルミングによる凸部が感光体を摺擦し、感光体キズを発生させてしまうことがある。これは特に、感光体と中間転写体の速度差を大きく設定していると顕著に現れる。
また、これらの傷は、クリーニング手段としてのクリーニングブレードに現像剤キャリアやほこりなど異物がはさみこまれた場合、ブレード荷重が異物に集中し、傷やへこみの発生の原因となる。さらに、クリーニング手段として金属ブレードを用いる場合もキズが発生しやすい。
本発明者等は、上記問題に対し中間転写ベルトなどとして用いるベルトの表面層に着目して検討を行った。
その結果、ベルトの表面を特定の組成及び構造を有するアモルファスカーボンでコーティングすることにより極めて高い強度を有する膜を得ることができ、トナー等の異物や、スクレーパとの摩擦によって発生する傷や摩耗を効果的に防止することができることが見出された。
また、前記表面層は従来の表面層に比べ表面付着力が低いため、トナーの転写性が向上し、転写電界だけでは転移できずにファンデルワールス力などで付着している転写残留トナー量を低減させることもできることがわかった。これにより転写効率が高くなり、廃トナー量の低減や、凹凸を有したエンボス紙などの電界のみでの転写が困難なギャップ転写性を向上させることができる。
さらに、層厚のコントロールにより表面抵抗率を所望の範囲とすることができるため、従来問題であった表面層によるトナーの飛び散りなどの二次障害も防止することができることが判明した。
本発明のベルトは、少なくとも基材と表面層とを有し、該表面層が、水素原子の含有量が10atm%の以下で、かつsp結合している炭素原子の比率が60%以上の範囲のアモルファスカーボン(以下、これを「特定のアモルファスカーボン」と称する場合がある)を含む。
なお、本発明における表面層に含まれる特定のアモルファスカーボンは、表面層中の主成分であることが好ましく、該主成分とは、表面層におけるアモルファスカーボンの含有量が80質量%以上(好ましくは80質量%以上)であることを意味する。
前記アモルファスカーボンにおける水素原子の含有量は、10atm%以下であることが必須であり、7atm%以下であることが好ましく、5atm%以下であることがより好ましい。アモルファスカーボンにおける水素原子の含有量が10atm%を超えると、磨耗や傷の発生を低減することができ、かつトナー等の固着を防止できるという本発明の効果が得られない。
上記アモルファスカーボンにおける水素原子の含有量は、表面層から深さ1nmまでを水素前方散乱法(HFS)により測定したものである。
また、前記アモルファスカーボンは、構成する炭素原子の内、sp結合している炭素原子の比率が60以上であり、70〜95%の範囲であることが好ましく、75〜90%の範囲であることがより好ましい。前記sp結合している炭素原子の比率が60%未満であると、摩耗や傷の発生を低減することができ、かつトナー等の固着を防止できるという本発明の効果が得られない。また、ベルトを張架したときのストレスに対して、表面のクラックや表面層のはがれを生じやすくなる。一方、95%を超えるものは製造上困難である。
なお、上記sp結合している炭素原子の比率は、透過電子顕微鏡(TEM)に接続した電子線エネルギー損失スペクトルでエネルギー損失関数によるピークを波形分離し、その各ピークの面積比から算出することができる。
次に、本発明のベルトの各構成をその形成法とともに具体的に説明する。
本発明のベルトの構成は、特に制限されず、基材上に直接表面層が設けられてもよいし、中間層等を介して表面層が設けられてもよい。図1に、本発明のベルトの一例の概略構成断面図を示すが、図1に示すように、ベルトは基材10と、この基材10の表面に設けられた表面層12とを備えている。尚、目的に応じて表面層12は基材10の両面に設けてもよい。
まず、表面層12について説明する。
本発明における特定のアモルファスカーボンを含む表面層12は、例えばフィルター・カソード・バキューム・アーク法(FCVA法)により形成される。従来のアモルファスカーボン膜の成膜方法は、主に化学気相成長法(CVD法)、物理気相成長法(PVD法)に大別できる。しかしこれらの方法では炭素原子のエネルギー状態にばらつきが生じてやすく、後述するようにSP結合の比率を高めることが難しい。前記FCVA法では、フィルタリングしたばらつきのないイオンを照射することができ、SP結合比率の高い薄層を形成することができる。
具体的には、FCVA法によれば前記従来の成膜方法に比べて、厚みが均一で基材形状に忠実に成膜することができる。例えばベルトを中間転写ベルトとして用いる場合、ベルトとしては感光体との接触部分の表面性が重要であり、接触表面が荒れているとトナーの転写均一性が損なわれるとともに、不均一な接触状態となるため凸部に応力が集中し、トナーの固着の原因となったり感光体表面を傷つけやすくなり、トラブルの要因となってしまう。フィルタリングしたイオンは、基材表面形状を忠実に反映するため、事前に基材表面を平滑にすることが望ましい。基材材料としては、特に先端形状は深堀エッチング処理などを施し、バリや突起などのないシャープな形状とすることが望ましい。
本発明においては、例えば、パルス変調電気バイアス信号を生成する工程、基材の近くに該パルス変調電気バイアス信号を印加する工程、基材の接触部分を前記バイアス信号の影響下で実質的に完全に電離した金属イオンのフィルタリングされたビームに露出させる工程を含む方法により表面層12が形成される。
図2は、FCVA装置を説明する概念図である。40は炭素イオン発生源であり、カソード41とアノード42との間の真空アーク放電により炭素イオンC+を生じさせる。カソード41はディスク状の高純度グラファイトから成る。炭素イオン発生源40で生じた炭素イオンC+は、フィルター43を通過した後に試料T上に成膜される。フィルター43は電場および磁場を利用して必要とされる炭素イオンのみを通過させるものであり、不必要に大きな炭素粒子や中性の炭素原子はこのフィルター43によって取り除かれる。
フィルター43の出口付近には磁気コイル44が設けられており、この磁気コイル44で炭素イオンビームをスキャンすることにより試料Tに形成されるアモルファスカーボン膜が均一となるようにする。なお、試料Tにはバイアス電圧を印加することができる。試料Sに到達するイオンのエネルギーはこのバイアス電圧に依存しており、バイアス電圧により膜特性を変えることができる。
本発明のベルトは、例えば前記試料Tの位置に基材10を配置することによって作製されるが、詳しくは、黒鉛のバキュームアーク放電により炭素プラズマを発生させ、そこからイオン化した炭素を抽出・堆積させる、フィルター・カソード・バキューム・アーク(FCVA)法により行うことができ、その場合、島津製作所製のFCVA装置を用いて好適に行うことができる。
形成条件としては、一般的に成膜温度0〜80℃(より好ましくは20〜80℃、特に好ましくは40〜80℃)、成膜速度1.5nm/sが好ましいが、本発明における特定のアモルファスカーボンを含む表面層12を形成するためには、特に印加電圧の大きさや波形を調整してイオンのエネルギーレベルを制御することが望ましい。
また、表面層12の層厚は、0.01〜2μmの範囲が好ましく、0.05〜1μmの範囲がより好ましい。表面層12の層厚が2μmを超えると、表面のクラックやはがれを生じやすくなったり、表面抵抗が下がってしまったりする場合があり、0.01μm未満であると、強度が十分な膜とならず摩耗量や傷を低減する効果が得られない場合がある。
本発明では特に、前記sp結合の比率を60%以上とし、表面層12の層厚を2μm以下とすることにより、後述するベルトの表面抵抗率を10Ω/□以上とすることができ、中間転写ベルトとして使用した場合に表面層によるトナーの飛び散りを防止することができる。
本発明における特定のアモルファスカーボンを含む表面層12は、高硬度、低摩擦であるため、上述の効果が顕著となる。
具体的には、表面層12を形成したベルトの表面微小硬度は、60〜90GPaの範囲であることが好ましく、70〜80GPaの範囲であることがより好ましい。表面微小硬度が60GPaに満たないと、強度が十分でなく摩耗量や傷を低減する効果が得られない場合があり、90GPaを超えると、表面硬度が高くなりすぎベルトの使用時に変形により表面にクラック等が発生してしまう場合がある。
また、表面層12を形成したベルトの表面の摩擦係数は0.2以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましい。
摩擦係数が0.2を超えると、感光体等の圧接部材とのトルクやトナーの外添剤等との付着力が大きくなり、摩耗量が大きくなったり傷が発生しやすくなったり、トナーの転写性が悪化したりすることがある。
なお、本発明における表面微小硬度は、ナノインスツルメンツ社製微小硬度測定装置(ナノインデンター)にて曲率半径0.1μmのバーコビッチ型ダイヤモンド圧子を用いて押し込み深さ10nmで測定したものであり、摩擦係数は、新東科学製のポータブル摩擦計(ヘイドン・トライボギア)Type:94iにより、この摩擦計の標準条件で測定したものである。
本発明のベルトの表面抵抗率(実際上は表面層の表面抵抗率)は、特に制限されないが、10〜1013Ω/□の範囲であることが好ましく、1010〜1012Ω/□の範囲であることがより好ましい。
表面抵抗率が10Ω/□に満たないと、例えば中間転写ベルトとして使用した場合にプレニップ部での電荷の広がりが大きくなり、像流れやトナー飛び散りが発生しやすくなる場合がある。1013Ω/□を超えると、自己除電できなくなりチャージアップしてしまう場合がある。
なお、本発明のベルトの表面抵抗率は、円形電極(例えば、ダイヤインスツルメント社製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K 6911に従って測定することができる。前記体積抵抗率の測定方法を図を用いて説明する。図5は、円形電極の一例を示す概略平面図(A)及び概略断面図(B)である。
図5に示す円形電極は、第一電圧印加電極A’と第二電圧印加電極(または板状絶縁体)B’とを備える。第一電圧印加電極A’は、円柱状電極部C’と、該円柱状電極部C’の外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部C’を一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部D’とを備える。表面抵抗率の測定は、第一電圧印加電極A’の円柱状電極部C’及びリング状電極部D’と、板状絶縁体B’と、の間にベルトT’を挟持した状態で、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C’とリング状電極部D’との間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(1)により、ベルトT’の表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出することができる。
なお、ベルトの外周面(或いは内周面)の表面抵抗率を測定する場合には、外周面(或いは内周面)が円柱状電極部C’及びリング状電極部D’に接するようにベルトT’を配置する。
式(1) ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
ここで、下記式(1)中、d(mm)は円柱状電極部C’の外径を示し、D(mm)はリング状電極部D’の内径を示す。
また、後述する本発明のベルトの体積抵抗率も、円形電極(例えば、ダイヤインスツルメント社製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K 6911に従って測定することができる。ここで用いられる円形電極は、前記図5に示されるものと同様のものを用いることができる。
体積抵抗率の測定は、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’及びリング状電極部D’と第二電圧印加電極B’との間にベルトT’を挟持し、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’と第二電圧印加電極B’との間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(2)により、ベルトT’の体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出することができる。ここで、下記式(2)中、tは、ベルトT’の厚さを示す。
式(2) ρv=19.6×(V/I)×t
なお、上記体積抵抗率及び表面抵抗率の測定方法は、下記の基材の体積抵抗率及び表面抵抗率を測定する際にも適用することができる。
次に、基材10について説明する。
基材10としては、樹脂から構成されるものであっても、ゴムから構成されるものであってもよい。基材10に用いる樹脂材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらの中でも、強度と屈曲疲労性の両面に優れている点で、ポリイミド樹脂が好適に用いられる。
ポリイミド樹脂としては、例えば芳香族テトラカルボン酸成分と、芳香族ジアミン成分とを有機極性溶媒中で反応させて得られるものが挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸成分としては、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−アゾベンゼンテトラカルボン酸ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
また、芳香族ジアミン成分としては、m−フェニルジアミン、p−フェニルジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4’−ジアミノナフタレンビフェニル、ベンジジン、3,3−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(オキシ−p,p’−ジアニリン;ODA)、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミンフェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
また、有機極性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド等をあげることができる。これらの有機極性溶媒には、必要に応じて、クレゾ−ル、フェノ−ル、キシレノ−ル等のフェノ−ル類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類を混合することができる、これらの溶媒も、単独で、又は2種類以上の混合物として用いてもよい。
基材10には、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を付与する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加することが好適である。
電子伝導性を付与する導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金などの金属又は合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化錫−酸化インジウム又は酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物などを挙げることができる。
イオン伝導性を付与する導電剤としては、スルホン酸塩やアンモニア塩など、また、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などの各種の界面活性剤などが挙げられる。さらには、導電性ポリマーをブレンドする方法があり、導電性ポリマーとしては、例えば、カルボキシル基に4級アンモニウム塩基を結合する(メタ)アクリレートとの各種(例えばスチレン)共重合体、4級アンモニウム塩基と結合するマレイミドとメタアクリレートとの共重合体等の4級アンモニウム塩基を結合するポリマー、ポリスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸のアルカリ金属塩を結合するポリマー、分子鎖中に少なくともアルキルオキシドの親水性ユニットを結合するポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール系ポリアミド共重合体、ポリエチレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体ポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルを主セグメントとするブロック型のポリマー、さらには、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレンなどを挙げることができ、これらの導電性ポリマーを脱ドープ状態、又はドープ状態で用いることができる。上記、導電剤、界面活性剤、又は導電性ポリマーを1種又は2種以上を組み合わせて用いることによって、電気抵抗を安定して得ることができる。
導電剤の添加量に関しては、樹脂100質量部に対して、カーボンブラックであれば10〜40質量部、金属であれば1〜10質量部、金属酸化物であれば5〜20質量部、イオン導電性物質であれば5〜40質量部、導電性高分子材料であれば5〜30質量部含有させることが好ましい。この含有量が上記範囲未満であると電気抵抗の均一性が低下し、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性が大きくなる場合がある。一方、上記範囲を超えると所望の抵抗値が得られ難くなる場合がある。また、ベルトの強度が下がり、かつ靭性が劣るのでベルトとして使用できなくなる場合がある。
導電剤を分散させ、その凝集体を解砕する方法としては、ミキサーや攪拌子による攪拌、平行ロール、超音波分散などの物理的手法、さらには分散剤の導入などの化学的手法が例示されるが、これらに限定されるものではない。
基材10としては、ゴム材等で構成される弾性体層であってもよい。
上記弾性体層はゴム材中に導電剤を分散させることによって形成される。ゴム材としては、イソプレンゴム,クロロプレンゴム,エピクロルヒドリンゴム,ブチルゴム,ウレタンゴム,シリコーンゴム,フッ素ゴム,SBR,NBR,EPDM,アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、これらのブレンドゴム等が挙げられる。中でも、イソプレンゴム,シリコーンゴム,EPDMが好ましく用いられる。
弾性体層には、所望の導電剤を添加することができる。導電剤としては、前記樹脂に用いる公知の材料を用いることができるが、環境変動に対する抵抗バラツキを効果的に抑制できる点で電子導電性の導電剤を用いることが好ましい。このような電子伝導性の導電剤としてはカーボンブラック、グラファイト、アルミニュウム、ニッケル、銅合金などの金属または合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリム、酸化錫−酸化インジウムまたは酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物など、公知のものを利用できる。
電子伝導性の導電剤として好適なカーボンブラックは、これを添加したゴム組成物中において連鎖状に結合する性質があり、かかる連鎖結合の長さに応じてゴム組成物の抵抗値が異なったものになる。この連鎖結合が長ければ、弾性体層の導電性は向上しその抵抗値は低下する。一方、連鎖結合が短ければ、弾性体層の導電性は低下しその抵抗値は高くなる。すなわち、弾性体層に長い連鎖結合を形成するカーボンブラックを添加した場合は、所望の抵抗値を発現させるためのカーボンブラックの添加量は、短い連鎖結合を形成するカーボンブラックに比べて少なくすることができるが、添加量の変化により抵抗値が大きく変動することになるので、前述した弾性体層内の抵抗値のバラツキを低減することができない。
カーボンブラックのゴム組成物ヘの配合量は、所望の体積抵抗率が得られるよう添加され、おおむね5〜40質量部(ゴム組成物100質量部に対する質量部数)が好ましい。配合量が5重量部未満では、抵抗が高すぎて所望の抵抗が得られない。一方、40質量部を超えると、抵抗が低すぎて白抜けなどの画質欠陥が発生することがある。
上記弾性体層には、前記カーボンブラック以外に、架橋剤、充填剤等が、必要に応じて、適宜、配合される。上記架橋剤としては、特に限定するものではなく、従来公知のもの、例えばチオウレア、トリアジン、イオウ等が挙げられる。上記充填剤としては、シリカ、タルク、クレー、酸化チタン等の絶縁性の充填剤が挙げられ、これらは単独で若しくは併せて用いられる。
弾性体層である基材10は、前記各成分をタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ローラ、押出機等の如き混合機により混合して製造することができる。本発明における弾性体層の製造においては、各成分の混合方法、混合の順序は特に限定されることはない。一般的な方法としては、全成分をあらかじめタンブラー、Vブレンダーなどで混合し、押出機によって均一に溶融混合する方法であるが、成分の形状に応じてこれらの成分中の2種以上の溶融混合物に残りの成分を溶融混合する方法を用いることもできる。
本発明のベルトにおける基材10及び表面層12の体積抵抗率は、いずれも体積抵抗率が1×108〜1×1013Ωcmの範囲であることが好ましく、より好ましくは1×109〜1×1012Ωcmの範囲である。この表面層12及び基材10の体積抵抗率が1×108〜1×1013Ωcmの範囲であれば、中間転写体として用いる場合に、トナー同士の静電的反発力や画像エッジ付近のフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナーが飛散してしまう(ブラー)問題が発生することが少なくなる。また、上記領域の範囲であれば、ベルト(特に、中間転写体に適用した場合)の体積抵抗率は、帯電電荷が適当に減衰する範囲に有るので、除電部材を使用せずに連続して画像形成を行うことができる。
ここで、体積抵抗率は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K 6911に従って測定することができる。
本発明のベルトの厚みは、総厚みで樹脂ベルトの場合は0.05〜0.1mmの範囲が好適であり、より好適には0.06〜0.09mmの範囲である。また弾性ゴムベルトの場合は0.1〜0.6mmの範囲が好適であり、より好適には0.1〜0.3mmの範囲である。樹脂ベルトの場合、厚みが0.05mm未満であると、製造上困難であり、ベルトテンションによってベルト周長さが変化するなどの問題が生じる場合がある。また、ベルトの厚みが0.1mmを超える場合には、ロール屈曲部でのベルトの外側と内側の変形量差が大きくなるために表面にクラックが発生するなどの問題が生じる場合がある。
上記構成の本発明のベルトは、高硬度で低摩擦、低表面付着力の表面層を有しており、他部材と摺擦して使用した場合でも経時による表面の傷発生、摩耗等の問題が無く、かつ、電気抵抗のむらや変化が少ないという優れた性質を有する。
上記本発明のベルトは、電子写真複写機やレーザープリンタ等の画像形成装置に好適に用いることができ、特に中間転写ベルト、用紙搬送ベルトとしてより好適に用いることができる。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、前記本発明のベルトを用いたものであれば特に限定されるものではないが、後述するような中間転写体方式の画像形成装置およぶ用紙搬送ベルト方式の画像形成装置であることが好ましい。例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置や、感光体ドラム等の潜像保持体上に担持されたトナー画像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の潜像保持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等が挙げられる。
以下に、本発明の画像形成装置の一例として、一次転写を繰り返すカラー画像形成装置について述べる。図3は本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図3の画像形成装置は、潜像保持体としての感光体ドラム1、中間転写体としての中間転写ベルト2、転写電極であるバイアスロール3、記録媒体である記録紙を供給するトレー4、Bk(ブラック)トナーによる現像器5、Y(イエロー)トナーによる現像器6、M(マゼンタ)トナーによる現像器7、C(シアン)トナーによる現像器8、ベルトクリーナー(ベルトクリーニング手段)9、剥離爪13、ベルトロール(張架ロール)21、23及び24、バックアップロール22、導電性ロール25、電極ロール26、クリーニングブレード31、ピックアップロール35、フィードロール33を有してなる。中間転写ベルト2としては、前記本発明のベルトを備えており、中間転写ベルト2はベルトロール21、23及び24とバックアップロール22とで張架されている。
図3において、感光体ドラム1は矢印A方向に回転し、図示しない帯電装置でその表面が一様に帯電される。帯電された感光体ドラム1にレーザー書き込み装置などの画像書き込み手段により、第一色(例えば、Bk)の静電潜像が形成される。この静電潜像は現像器5によって現像されて可視化されたトナー像Tが形成される。トナー像Tは、感光体ドラム1の回転で導電性ロール25が配置された一次転写部に到り、導電性ロール25からトナー像Tに逆極性の電界を作用させることにより、上記トナー像Tを静電的に転写ベルト2に吸着されつつ転写ベルト2の矢印B方向の回転で一次転写される。
以下、同様にして第2色のトナー像、第3色のトナー像、第4色のトナー像が順次形成され、転写ベルト2の表面において重ね合わされ、多重トナー像が形成される。
中間転写ベルト2に転写された多重トナー像は、中間転写ベルト2の回転でバイアスロール3が設置された二次転写部に到る。二次転写部は、転写ベルト2のトナー像が保持された表面側に設置されたバイアスロール3と、当該中間転写ベルト2の裏側からバイアスロール3に対向して配置されたバックアップロール22、及びこのバックアップロール22に圧接して回転する電極ロール26から構成される。
記録紙37(記録媒体)は、記録紙トレー4に収容された記録紙束からピックアップロール35で一枚ずつ取り出され、フィードロール33で二次転写部の転写ベルト2とバイアスロール3との間に所定のタイミングで給送される。給送された記録紙37は、バイアスロール3とバックアップロール22とによる圧接搬送と、中間転写ベルト2の回転とで、該中間転写ベルト2表面に保持されたトナー像が転写される。
トナー像が転写された記録紙37は、最終トナー像の一次転写終了まで退避位置にある剥離爪13を作動せることにより、転写ベルト2から剥離され、図示しない定着装置に搬送され、加圧・加熱処理でトナー画像を記録紙37に固定して永久画像とされる。
なお、多重トナー像の記録紙41への転写の終了した中間転写ベルト2は、二次転写部の下流に設けたベルトクリーナ9で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、バイアスロール3には、ポリウレタン等からなるクリーニングブレード31が常時当接してとりつけられており、転写時に付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
単色画像の転写の場合は、一次転写されたトナー像Tを直ちに二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合は、各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように、中間転写ベルト2と感光体ドラム1との回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにされる。
上記二次転写部では、バイアスロール3と転写ベルト2とを介して、対向配置したバックアップロール22に圧接した電極ロール26に、トナー画像の極性と同極性の出圧(転写電圧)を印加することで、当該トナー画像を記録紙41に静電反発で転写する。
以上のようにして、画像を形成することができる。
本発明においては、ベルトロール21、23及び24の外径が15mm以上であり、かつ中間転写ベルト2のベルトテンションを70N以下とすることが好ましく、50N以下とすることがより好ましい。ベルトロールの外径やベルトテンションを上記のようにすることにより、ベルトを張架したときに、表面のクラックの発生や表面層のはがれを生じにくくすることができる。
ベルトロールの外径は20mm以上とすることがより好ましく、ベルトテンションは40N以下とすることがさらに好ましい。
また、前記のように中間転写ベルト2の2次転写部の下流側にはベルトクリーナ9が設けられているが、ベルトクリーナ9がブレードを備え、該ブレードが中間転写ベルト2を押圧する荷重が20N/m以上であることが好ましい。荷重が20N/mに満たないと、本願における表面層を有するベルトを中間転写ベルトとして用いたときにトナーがすり抜けてしまう場合がある。
前記押圧する荷重は30N/m以上であることがより好ましい。なお、前記ブレードはゴムから構成されるものであっても金属から構成されるものであってもよい。
次に、本発明の画像形成装置の好ましい他の一例として、タンデム方式のカラー画像形成装置について述べる。図4は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図4に示す画像形成装置は、画像形成ユニット100Y、100M、100C、100Bkと、用紙搬送ベルト106と、転写ロール107Y、107M、107C、107Bkと、用紙搬送ロール108と、定着器109とを有している。用紙搬送ベルト106としては、前記本発明のベルトを備える。
画像形成ユニット100Y、100M、100C、100Bkは、矢印の時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転する感光体ドラム(潜像保持体)101Y、101M、101C、101Bkがそれぞれ備えられる。感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bkの周囲には、スコロトロン帯電器102Y、102M、102C、102Bkと、露光器103Y、103M、103C、103Bkと、各色現像器(イエロー現像器104Y、マゼンタ現像器104M、シアン現像器104C、ブラック現像器104Bk)と、感光体クリーナー105Y、105M、105C、105Bkとがそれぞれ配置されている。
画像形成ユニット100Y、100M、100C、100Bkは、用紙搬送ベルト106に対して4つ並列に、画像形成ユニット100Y、100M、100C、100Bkの順に配置されているが、画像形成ユニット100Bk、100Y、100C、100Mの順等、画像形成方法に合わせて適当な順序を設定することができる。
用紙搬送ベルト106は、支持ロール110、111、112、113によって、矢印の反時計方向に感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bkと同じ周速度をもって回転可能になっており、支持ロール112、113の中間に位置する感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bkと、その一部がそれぞれ接するように配置されている。用紙搬送ベルト106には、ベルト用クリーニング装置114が備えられている。支持ロール110〜113は張架ロールの役割を担い、用紙搬送ベルト106面方向に移動可能に配置され、用紙搬送ベルト106のベルトテンションを調節することができる。
転写ロール107Y、107M、107C、107Bkは、用紙搬送ベルト106の内側にあって、用紙搬送ベルト106と感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bkとが接している部分に対向する位置にそれぞれ配置され、感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bkと、用紙搬送ベルト106とを介して、トナー像を記録紙(記録媒体)Pに転写する転写領域(ニップ部)を形成している。
用紙搬送ロール108により、記録紙Pは用紙搬送ベルト106に搬送される。定着器109は、用紙搬送ベルト106と感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bkとのそれぞれの転写領域(ニップ部)を記録紙Pが通過した後に、該記録紙Pを搬送できるように配置されている。
図4に示す画像形成装置の、例えば画像形成ユニット100Bkにおいては、感光体ドラム101Bkを回転駆動させると、所定の電圧は印加されたスコロトロン帯電器102Bkにより、感光体ドラム101Bkの表面が所定の極性・電位に一様に帯電される。表面が一様に帯電された感光体ドラム101Bkは、次に、露光器103Bkによって露光され、その表面に静電潜像が形成される。
続いて該静電潜像は、ブラック現像器104Bkによって現像され、感光体ドラム101Bkの表面にトナー像が形成される。
このトナー像は、静電的に用紙搬送ベルト106に吸着して、感光体ドラム101Bkと用紙搬送ベルト106との転写領域(ニップ部)まで搬送された記録紙Pの表面に、当該転写領域を通過すると同時に、転写ロール107Bkから印加される転写バイアスにより形成される電界により転写される。
この後、感光体ドラム101Bk表面に残存するトナーは、感光体クリーナ105Bkによって清掃・除去される。そして、感光体ドラム101Bkは、次の帯電・現像・転写サイクルに供される。
上記のサイクルは、画像形成ユニット100C、100M、100Yでも同様に行われる。一方、記録紙Pは、次の画像形成ユニットでの転写位置に搬送される。
以上のようにして、転写ロール107Bk、107C、107M、107Yによって順次トナー画像を転写された記録紙Pは、さらに定着器109に搬送され、定着が行われ、記録紙Pの表面に所望の画像が形成される。
なお、この画像形成装置においても、張架ロールである支持ロールの外径と用紙搬送ベルトのベルトテンションとの好ましい条件、及び、ベルト用クリーニング装置(ベルトクリーニング手段)114における好ましい構成、好ましいクリーニング条件については、前記中間転写ベルトを用いた画像形成装置の場合と同様である。
更に、本発明のベルトを、画像形成装置内の中間転写ベルトや用紙搬送ベルトとしてとして組み込んで利用する場合には、トナーとして球状トナーを用いることが好ましい。トナーとして球状トナーを用いることにより、転写面を構成する材料が、表面硬度が低く、かつ高体積抵抗であることに加え、転写効率をさらに向上させることができるため、画質欠陥(ホロキャラクター、ブラー、カラーレジストレーション)ない高品質の転写画質を得ることができる。
ここで、上記球状トナーとは、その形状係数SF1が、100〜140の範囲であるトナーを意味する。該形状係数としては、100〜130の範囲であることが好ましく、100〜120の範囲であることがより好ましい。この形状係数SF1が140より大きくなると転写効率が低下してしまい、プリントサンプルの画質の低下が目視で確認できてしまう。
ここで、前記形状係数SF1は、下記の式(3)で規定される係数である。
SF1=(トナー粒子の絶対最大長)2/(トナー粒子の投影面積)×(π/4)×100 ・・・ (3)
なお、上記トナー粒子の絶対最大長、および、トナー粒子の投影面積の測定は、ルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、LUZEXIII)を用いてスライドガラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、画像処理することにより実施した。
前記球状トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有してなる。この球状トナーとしては、好ましくは体積平均粒径が2〜12μmの範囲の粒子、より好ましくは体積平均粒径が3〜9μmの範囲の粒子を用いることができる。
前記結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。
前記着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして挙げることができる。
球状トナーには、帯電制御剤、離型剤、他の無機微粒子等の公知の添加剤を内添加処理や外添加処理してもよい。離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして挙げることができる。
帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。
他の無機微粒子としては、粉体流動性、帯電制御等の目的で、平均1次粒径が40nm以下の小径無機微粒子を用い、更に必要に応じて、付着力低減の為、それより大径の無機あるいは有機微粒子を併用してもよい。これらの他の無機微粒子は公知のものを使用できる。例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、メタチタン酸、酸化亜鉛、ジルコニア、マグネシア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。
また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性をあげる効果が大きくなるため有効である。
球状トナーは、特に製造方法により限定されるものではなく、公知の方法により得ることができる。具体的には、例えば結着樹脂及び着色剤と、必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、球形トナーを得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂及び着色剤と必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が挙げられる。また上記方法で得られた球状トナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。外添剤を添加する場合、球状トナー及び外添剤をヘンシェルミキサーあるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、球状トナーを湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
本発明の画像形成装置においては、上記のような小粒径で球状のトナーを用いた場合であっても、中間転写ベルトあるいは用紙搬送ベルトとして、特定のアモルファスカーボンを含む表面層を設けたベルトを用いているので、ベルト表面の傷やトナー固着による画質欠陥の発生がなく、しかも転写効率を含めた転写性が良好であるため、高画質画像を長期にわたって維持することができる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において「部」及び「%」は、特に記載のない限り「質量部」及び「質量%」を表す。
<基材の作製>
(基材A)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)とからなるポリアミド酸のN−メチルー2ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスS(固形分:18%)に、この溶液中のポリイミド系樹脂を形成することが可能な原料の固形分100部に対して、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH:3.0、揮発分:14.0%))を23部になるよう添加して、衝突型分散機(ジーナス製、GeanusPY)を用い、圧力200MPaで、最小面積が1.4mm2で2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して、基材用のカーボンブラック入りポリアミド酸溶液(A)を得た。
上記カーボンブラック入りポリアミド酸溶液(A)を、内径140.2mmの円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して塗膜の厚みが0.5mmとなるように塗布し、金型を1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する塗膜を形成した後、金型を250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、室温にまで冷却して皮膜を形成した。
その後、金型の内面に形成された皮膜を剥離して、この皮膜を外径140mmの金属芯体の外周を覆うように被覆して400℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、更に400℃で30分加熱し、皮膜に残留する溶媒及び脱水閉環水を除去すると共に、イミド転化反応を完結させた。その後、金属芯体を室温にまで冷却した後に、金属芯体表面に形成されたポリイミドフィルムを剥離することにより、厚みが0.08mmの無端ベルト状の基材Aを得た。
得られた基材Aのヤング率は3800MPaであり、体積抵抗率は1×109.5Ωcm、表面抵抗率は1×1011Ω/□であった。
なお、上記表面抵抗率の計測は、前述のように、図5示す円形電極(ダイヤインスツルメント社製、ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、22℃/55%RH環境下にて、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’とリング状電極部D’との間に電圧100(V)を印加し、10秒後の電流値より求めた。また、体積抵抗率の計測は、同様に、22℃/55%RH環境下にて、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’と第二電圧印加電極B’との間に電圧100(V)を印加し、10秒後の電流値より求めた。
(基材B)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、ピロメリット酸2無水物(PMDA)とを1:1の比率で組み合わせたテトラカルボン酸二無水物と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)とからなるポリアミドのN−メチル−2ピロリドン(NMP)溶液(固形分:20%)に、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4、Degussa社製、pH:4.0、揮発分:14.0%)を、ポリイミド樹脂固形分100部に対して15部となるように添加して、ボールミルで6時間室温で混合した。次いで、このカーボンブラック分散ポリアミド溶液を、直径140.2mmの円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした。
その後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、次いで常温に冷却して、金型より剥離して、鉄芯の外側に被覆して、更に350℃で1時間加熱して、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応の完結を行った。その後室温に戻し、金型から剥離し、基材Bを得た。この基材Bの厚さは0.08mmであり、体積抵抗率は1011.8Ωcmであり。ヤング率は2100MPaであった。
<実施例1>
(ベルトの作製)
円筒形状の金型に前記基材Aを被覆して、フィルター カソード バキューム アーク(FCVA)装置(島津製作所)を用いて、特定のアモルファスカーボン表面層をポリイミドフィルム上に形成した。条件は、成膜温度80℃、成膜速度1.5nm/sとした。均一な層を形成させるために、円筒形状の金型を30rpmで回転させながら形成した。このようにして膜厚が約0.08μmの特定のアモルファスカーボン層を形成したベルト1を得た。
(ベルトの特性評価)
ベルト1の表面抵抗率は1011.2Ω/□であった。また、表面層を構成するアモルファスカーボンについて、前記の方法により水素原子含有量、sp結合比率を調べたところ、水素含有量は1atm%であり、sp結合している炭素原子の比率が80%であった。また、表面層の微小硬度は、80GPaであり、摩擦係数は0.1であった。
また、ベルト1をカラー複写機DocuCentre Color 500(富士ゼロックス社製)改造機に中間転写ベルトとして装着し、DocuCentreColor 500用キャリア(体積平均粒径:35μm)を1cmあたり約50個のキャリアを中間転写ベルト上に散布して中間転写ベルトクリーナーに突入させた状態で、100枚プリントさせた。
その後、ベルト表面の目視による観察と、30%濃度でプリントしたハーフトーン画像による画質ディフェクトの確認とを行い、以下の判断基準により傷の発生、キャリアの埋まりこみを評価した。
○:ベルト上への傷、キャリアの埋まりこみは未発生。画像にも画質欠陥なし。
△:ベルト上に軽微な傷、キャリアの埋まりこみが発生。しかし画像には画質欠陥なし。×:ベルト上に傷、キャリアの埋まりこみが発生。画像でも欠陥が確認できる。
結果を表1に示す。
(実機評価)
ベルト1を中間転写ベルトとして、カラー複写機DocuCentre Color 500(富士ゼロックス社製)改造機に装着し、SUS製のスクレーパを中間転写ベルト表面に配置し(押圧:34N/m)、A4用紙500,000枚印字テスト(10℃、15%RH環境下で250,000枚印刷後、28℃、85%RH環境下で250,000枚印字)を行った。なお、このとき中間転写ベルトを張架するベルトロールの外径は24mm、ベルトテンションは45Nとした。また、途中で大きな問題が発生した場合には、その時点で印字を中止した。
印字後のベルト表面製、転写画質及び、ホロキャラクターの発生及びベルト表面性(目視観察)について、以下の基準により評価を行った。
−ベルト表面性−
50万枚後のベルトの表面を目視で観察し、画質の確認と共に以下の基準により評価を行なった。
○:表面に傷、フィルミング等の発生は全くなかった。
△:軽微な傷が見られたが、画質上問題はなかった。
×:明確な傷及びフィルミングが見られ、画質上に問題が発生した。
−画質−
トナーの飛び散り等による画質欠陥を以下の基準により評価した。
○:ハーフトーン画像中での色点、白点、濃度ムラの発生等はなかった。
△:ハーフトーン画像中での若干色点、白点が見られた。
×:ハーフトーン画像中で、色点、白点、濃度ムラ等の画質劣化が発生した。
−エンボス紙転写性−
記録用紙として、エンボス紙(レザック66−130k、坪量:151gsm)を使用し、単色(Y、M、C、K)、二次色(R、G、B)、3次色(プロセスブラック)それぞれを濃度10%〜100%まで変化させた階調パターン画像を作成して、以下の基準で転写性を評価した。
○:エンボス紙凹部での転写不良(白抜け)が発生しない。
△:エンボス紙凹部での若干の転写不良(白抜け)が発生する。
×:エンボス紙凹部での転写不良(白抜け)が発生する。
以上の結果をまとめて表1に示す。
<実施例2>
(ベルトの作製)
円筒形状の金型に前記基材Aを被覆して、フィルター カソード バキューム アーク(FCVA)装置(島津製作所)を用いて、特定のアモルファスカーボン表面層をポリイミドフィルム上に形成した。条件は、成膜温度80℃、成膜速度1.5nm/sとした。均一な層を形成させるために、円筒形状の金型を30rpmで回転させながら形成した。このようにして膜厚が約0.08μmの特定のアモルファスカーボン層を形成したベルト2を得た。
ベルト2の表面抵抗率は1011.0Ω/□であった。また、表面層を構成するアモルファスカーボンについて、前記の方法により水素原子含有量、sp結合比率を調べたところ、水素含有量は1atm%であり、sp結合している炭素原子の比率が60%であった。また、表面層の微小硬度は、60GPaであり、摩擦係数は0.2であった。
ベルト2を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。結果をまとめて表1に示す。
<比較例1>
(ベルトの作製)
円筒形状の金型に前記基材Aを被覆して、フィルター カソード バキューム アーク(FCVA)装置(島津製作所)を用いて、特定のアモルファスカーボン表面層をポリイミドフィルム上に形成した。条件は、成膜温度80℃、成膜速度1.5nm/sとした。均一な層を形成させるために、円筒形状の金型を30rpmで回転させながら形成した。このようにして膜厚が約0.08μmの特定のアモルファスカーボン層を形成したベルト3を得た。
ベルト3の表面抵抗率は1010.0Ω/□であった。また、表面層を構成するアモルファスカーボンについて、前記の方法により水素原子含有量、sp結合比率を調べたところ、水素含有量は1atm%であり、sp結合している炭素原子の比率が50%であった。また、表面層の微小硬度は、50GPaであり、摩擦係数は0.3であった。
ベルト3を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。結果をまとめて表1に示す。
<実施例3>
(ベルトの作製)
円筒形状の金型に前記基材Bを被覆して、フィルター カソード バキューム アーク(FCVA)装置(島津製作所)を用いて、特定のアモルファスカーボン表面層をポリイミドフィルム上に形成した。条件は、成膜温度80℃、成膜速度1.5nm/sとした。均一な層を形成させるために、円筒形状の金型を30rpmで回転させながら形成した。このようにして膜厚が約0.08μmの特定のアモルファスカーボン層を形成したベルト4を得た。
(ベルトの特性評価)
ベルト4の表面抵抗率は1011.2Ω/□であった。また、表面層を構成するアモルファスカーボンについて、前記の方法により水素原子含有量、sp結合比率を調べたところ、水素含有量は1atm%であり、sp結合している炭素原子の比率が80%であった。また、表面層の微小硬度は、80GPaであり、摩擦係数は0.1であった。
さらに、実施例1と同様にしてベルト表面にキャリアを衝突させ、同様の基準により傷の発生、キャリアの埋まりこみを評価した。結果を表1に示す。
(実機評価)
得られたベルト4を、図4に示す4つの画像形成ユニットを有する画像形成装置に用紙搬送ベルトとして装着した。
なお、この画像形成装置のプロセススピード(用紙搬送ベルトの線速)を180mm/sec、直径40mmの感光体ドラムと用紙搬送ベルトとのニップ幅を2.5mm、ニップ圧を0.002N/mm、転写バイアスを4.5kVとした。なお、用紙搬送ベルトを張架する支持ロールの外径は24mm、ベルトテンションは45N、ベルト用クリーニングブレードの押圧を34N/mとした。
このような画像形成装置を用い、実施例1と同様にして50万枚のプリントを行い、同様の評価を行なった。なお、ここで用いた記録紙は、エンボス紙を用いた評価以外は富士ゼロックスオフィスサプライ(株)フルカラー複写機用紙J紙である。現像剤としては、形状係数(SF1)125、体積平均粒子径5.5μmの球状トナーを含む二成分現像剤を用いた。
結果を表1にまとめて示す。
Figure 2008116612
表1に示すように、実施例では、50万枚プリント後においてもベルト表面に画像に影響を及ぼす傷の発生やフィルミング等がなく、しかも二次転写後のプリントサンプルにおいて、濃度ムラやトナーの飛び散りのない均一な画像が得られ、また、エンボス紙での転写性も良好であった。
一方比較例では、ベルト表面の傷等の発生防止に劣るだけでなく、上記のような優れた転写特性を得ることはできなかった。
本発明のベルトの構成の一例を示す概略断面図である。 FCVA装置を説明するための概念図である。 本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 表面抵抗率等を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。
符号の説明
1、101Y、101M、101C、101Bk 感光体ドラム(潜像保持体)
2 中間転写ベルト(中間転写体)
3 バイアスロール(第二転写手段)
4 用紙トレー
5、104Bk ブラック現像器
6、104Y イエロー現像器
7、104M マゼンタ現像器
8、104C シアン現像器
9 中間転写体クリーナ(ベルトクリーニング手段)
10 基材
12 表面層
13 剥離爪
14 搬送ベルト
16、105Y、105M、105C、105Bk 感光体クリーナ
21、23、24 ベルトロール(張架ロール)
22 バックアップロール
25 導電性ロール(第一転写手段)
26 電極ロール
31 クリーニングブレード
33 フィードロール
35 ピックアップロール
37 記録紙
40 炭素イオン発生源
41 カソード
42 アノード
43 フィルター
44 磁気コイル
100Y、100M、100C、100Bk 画像形成ユニット
102Y、102M、102C、102Bk スコロトロン帯電器
103Y、103M、103C、103Bk 露光器
106 用紙搬送ベルト
107Y、107M、107C、107Bk 転写ロール
108 用紙搬送ロール
109 定着器
110、111、112、113 支持ロール(張架ロール)
114 ベルト用クリーニング装置(ベルトクリーニング装置)

Claims (10)

  1. 基材と表面層とを有し、該表面層が、水素原子の含有量が10atm%の以下で、かつsp結合している炭素原子の比率が60%以上のアモルファスカーボンを含むことを特徴とするベルト。
  2. 前記表面層厚みが0.01〜2μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のベルト。
  3. 表面微小硬度が60〜90GPaの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載のベルト。
  4. 表面の摩擦係数が0.2以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のベルト。
  5. 表面抵抗率が10〜1013Ω/□の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のベルト。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のベルトを用いたことを特徴とする画像形成装置。
  7. 前記ベルトが、中間転写ベルトであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記ベルトが、用紙搬送ベルトであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  9. 前記ベルトを張架する張架ロールの外径が15mm以上であり、かつベルトテンションが70N以下であることを特徴とする請求項7または8に記載の画像形成装置。
  10. 前記ベルトをクリーニングするベルトクリーニング手段を有し、該ベルトクリーニング手段がブレードを備え、該ブレードが前記ベルトを押圧する荷重が20N/m以上であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011522964A (ja) * 2008-06-09 2011-08-04 ナノフィルム テクノロジーズ インターナショナル ピーティーイー リミテッド 基板上へのコーティングの迅速な蒸着方法
US10466631B1 (en) 2018-06-15 2019-11-05 Canon Kabushiki Kaisha Fixing device and image forming apparatus

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