JP2008114415A - 熱転写ラインプリンタ - Google Patents

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Abstract

【課題】高品質の記録を行うことのできるプリンタを提供する。
【解決手段】プラテンローラ3に取着された駆動力伝動ギア7と、1対の搬送ローラ4、5のそれぞれに取着された従動ギア8、9と、駆動力伝動ギア7と従動ギア8、9との両者に常に噛合される中間ギア13、14とにより、駆動モータ11からプラテンローラ3に伝動される駆動力を1対の搬送ローラ4、5のそれぞれに再伝動するための再伝動手段15を形成するとともに、中間ギア13、14を回動自在に支持するギア支持軸16、22を位置調整可能に構成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、熱転写ラインプリンタに係り、特に、記録媒体を往復動させて記録媒体の表面にフルカラー画像を形成することのできる小型の熱転写ラインプリンタに関する。
従来から、記録媒体の縦方向または横方向の記録範囲に対向し得る長さを有するラインサーマルヘッドにより、記録媒体の搬送方向に対して直交する方向における記録を行うことのできる熱転写ラインプリンタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
図11は従来の熱転写ラインプリンタの一例を示すものであり、従来の熱転写ラインプリンタ101は、プラテンローラ102に対して、インクリボンやインクシートなどのインクフィルム103と、記録用紙などの記録媒体104とを介して記録媒体107の縦方向または横方向の記録範囲に対向し得る長さを有するラインサーマルヘッド105をヘッドダウンさせることにより当接させ、このプラテンローラ102に対してラインサーマルヘッド105が当接しているヘッドダウン状態でプラテンローラ102と、搬送機構を構成する第1搬送ローラ106および第2搬送ローラ107を回転駆動させ、インクフィルム103と記録媒体104とを搬送させながらラインサーマルヘッド105の複数の発熱素子を、記録情報に基づいて選択的に駆動して発熱させることにより、インクフィルム103のインクを記録媒体104に熱転写して記録媒体104の搬送方向に対して直交する方向における記録を行うことができるように構成されている。
詳しく説明すると、熱転写ラインプリンタ101で記録を行う場合、第1搬送ローラ106および第2搬送ローラ107などからなる搬送機構によって、記録媒体104は図11左側から図11右側に向かって搬送される。
第1搬送ローラ106および第2搬送ローラ107は、ラインサーマルヘッド105の左右に配設されており、第1搬送ローラ106および第2搬送ローラ107の上部側には、第1搬送ローラ106および第2搬送ローラ107のそれぞれに圧接して従動回転する第1圧接ローラ106a、第2圧接ローラ107aが配設されている。そして、第1、第2搬送ローラ106、107と第1、第2圧接ローラ106a、107aとで、記録媒体104を挟持することが可能な構成とされており、各搬送ローラ106、107が正回転方向あるいは逆回転方向、例えば、時計回り方向もしくは反時計回り方向に回転することにより、記録媒体104を左右方向、すなわち、図11右側に向かう搬送方向の上流側から下流側への正方向への搬送と、図11左側に向かう搬送方向の下流側から上流側への逆方向への搬送(逆搬送)とを行うことができるように構成されている。
一方、ラインサーマルヘッド105と対向する図11下方側には、正回転方向あるいは逆回転方向、例えば、時計回り方向もしくは反時計回り方向に回転駆動されるプラテンローラ102が配設されており、ラインサーマルヘッド105とプラテンローラ102とで、記録媒体104を挟持することができるように構成されている。
第1搬送ローラ106および第2搬送ローラ107の回転駆動は、第1搬送ローラ106の下方に設けられた図示しない駆動モータ(第1駆動モータ)の駆動力を順次、伝動することで行われている。
すなわち、第1駆動モータの駆動力を第1搬送ローラ106の回転軸の一端に伝動させて第1搬送ローラ106を回転駆動するとともに、この第1駆動モータの駆動力が伝動された第1搬送ローラ106の他端から第2搬送ローラ107に駆動力を伝動させて第2搬送ローラ107を回転駆動させている。このような駆動力の伝動には、歯付きベルト伝動や歯車伝動が一般的に用いられている。
一方、プラテンローラ102の回転駆動については、プラテンローラ102の下方に図示しない駆動モータ(第2駆動モータ)を別途設け、その駆動力によってプラテンローラ102を別個に回転駆動させている。
フルカラー記録には、少なくとも、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の3原色の3色のインクを記録媒体104の搬送方向に沿って繰り返し配置した構成のインクフィルムが一般的に用いられている。
このような構成からなる熱転写ラインプリンタ101においてフルカラー記録を行う場合、1色目の記録動作(第1の記録動作)において、まず、媒体検知センサ108によって記録媒体104の頭出しが行われる。その際、第1搬送ローラ106と第1圧接ローラ106aとによって記録媒体104が挟持されている。その後、第1搬送ローラ106によって記録媒体104を図11右方の搬送方向の下流側に搬送(正方向への搬送)すると、ヘッドダウンしたラインサーマルヘッド105とプラテンローラ102との間に記録媒体104の前端部が挟持される。
この時点において、記録媒体104は、第1搬送ローラ106と第1圧接ローラ106a間における圧接と、ラインサーマルヘッド105とプラテンローラ102間における圧接とによって、2箇所で挟持されている。
その後、プラテンローラ102とラインサーマルヘッド107との間に記録媒体104が挟持されたまま、記録媒体104が下流側に搬送され、記録媒体104の前端部から1色目のインクの熱転写が開始される。この熱転写の途中においては、記録媒体104は、第1搬送ローラ106と第1圧接ローラ106a間における圧接と、ラインサーマルヘッド105とプラテンローラ102間における圧接と、第2搬送ローラ107と第2圧接ローラ107a間における圧接とによって、3箇所で挟持されることになる。
第1の記録動作が終了すると、ラインサーマルヘッド105がばね109の付勢力に抗してヘッドアップする。そして、第2搬送ローラ107と第2圧接ローラ107aとで圧接挟持した1色目の記録が終了した記録媒体104は、第2搬送ローラ107の反時計回り方向(逆回転方向)の回転駆動により、ヘッドアップしたラインサーマルヘッド105とプラテンローラ102との間を図11左方向の搬送方向の上流側に向かって逆方向へ搬送(逆搬送)される。
そして、逆搬送された記録媒体104は、後端部が媒体検知センサ108の接触子108aを図11左方向に倒す。さらに、記録媒体104は、第2搬送ローラ107と第2圧接ローラ107aとに挟持されているとともに、第1搬送ローラ106の反時計回り方向の回転により、さらにバックフィードされる。
その後、媒体検知センサ108の接触子108aが記録媒体104の前端部から外れて直立状になると、記録媒体104の前端部の頭出しが再び行われて第1搬送ローラ106の回転が停止する。そして、第1の記録動作と同じ記録動作を繰り返して、第2の記録動作で1色目の色の画像の上に2色目の色の画像が重ね記録される。
その後、同様のプロセスを行って、2色目の色の画像の上に3、4色目の色の画像を重ね記録して、第3、第4の記録動作で記録媒体104に所望のカラー画像を記録することができるようになっている。
特開平08−072335号公報(図1)
しかしながら、従来の熱転写ラインプリンタ101においては、第1駆動モータの駆動力を第1搬送ローラ106に伝動し、その後、駆動力を伝動された第1搬送ローラ106から第2搬送ローラ107へ駆動力を再伝動する構成とされているとともに、駆動力の伝動には、歯付きベルト伝動や歯車伝動などの歯の噛み合わせ部分にバックラッシュが設けられている回転伝動機構が用いられているために、駆動力の伝動経路における全体としてのバックラッシュの量は、それぞれのバックラッシュが加算されるので、モータなどの駆動部材と各搬送ローラ106、107などの被駆動部材の間に介在する歯の噛み合わせ部分の総数が多くなるほど、全体としてのバックラッシュの量が大きくなり、記録媒体104の搬送ムラが発生して正確な搬送ができない場合があるという問題点があった。その結果、記録媒体104にフルカラー記録を行う場合に、重ね記録するインクフィルム103の異なるインクの色が、色ズレを起こして高品質の記録を行うことができないおそれもあった。
また、従来の熱転写ラインプリンタ101においては、第1駆動モータの駆動力を第1搬送ローラ106に伝動し、その後、駆動力を伝動された第1搬送ローラ106から第2搬送ローラ107へ駆動力を再伝動する構成とされているために、バックラッシュの量の違いにより、第1搬送ローラの起動タイミングと第2搬送ローラ107の起動タイミングとがズレてしまうという問題点もあった。
なお、従来の熱転写ラインプリンタ101においては、第1、および第2搬送ローラ106、107を駆動する第1駆動モータと、プラテンローラ102を駆動する第2駆動モータとが個別に設けられており、低コスト化の要求に応えることができないという問題点もあった。
そこで、記録媒体の搬送ムラがほとんど発生せずに高品質の記録を行うことのできるプリンタが求められている。
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、高品質の記録を行うことのできるプリンタを提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、本発明に係る熱転写ラインプリンタの特徴は、駆動モータの駆動力が伝動され、正回転方向あるいは逆回転方向に回転駆動されるプラテンローラと、前記プラテンローラに対向しかつ前記プラテンローラに対し接離可能に設けられたラインサーマルヘッドと、前記プラテンローラを間において回動自在に配設された1対の搬送ローラと、前記駆動モータから前記プラテンローラに伝動される駆動力を前記1対の搬送ローラのそれぞれに再伝動するための再伝動手段とを有しており、前記再伝動手段は、前記プラテンローラに取着された駆動力伝動ギアと、前記1対の搬送ローラのそれぞれに取着された従動ギアと、前記駆動力伝動ギアと前記従動ギアとの両者に常に噛合される中間ギアとを備え、前記1対の搬送ローラのそれぞれが前記プラテンローラの回転方向と同一方向に回転駆動するように形成されており、前記中間ギアは、ギア支持軸に回動自在に支持されており、前記ギア支持軸は、前記中間ギアの軸心と前記駆動力伝動ギアの軸心との軸間距離、および、前記中間ギアの軸心と前記従動ギアの軸心との軸間距離の両者を調整することができるように、位置調整可能とされている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、プラテンローラに伝動された駆動力を1対の搬送ローラに再伝動して、1対の搬送ローラのそれぞれをプラテンローラに従動駆動させることができるので、1つの駆動モータによりプラテンローラと1対の搬送ローラのそれぞれを駆動させることができるとともに、駆動部材と被駆動部材間のギアの総数を少なくすることができ、駆動力伝動経路のバックラッシュの量を少なくすることができる。また、プラテンローラから1対の搬送ローラのそれぞれへの駆動力伝動経路におけるギアの数を等しくできるため、各駆動力伝動経路におけるバックラッシュの量を等しくすることができる。さらに、ギア支持軸が位置調整可能とされているので、中間ギアと駆動力伝動ギアとの間のバックラッシュの量、および、中間ギアと従動ギアとの間のバックラッシュの量のそれぞれを制御することが容易かつ確実にできる。
前記ギア支持軸は、位置調整後の両端の位置が固定されていることが好ましい。そして、このような構成を採用したことにより、中間ギアに加わる力などによりギア支持軸が変位するのを確実に防止することができる。また、前記ギア支持軸の先端部は、前記ギア支持軸を曲げるような力を与えることなく固定することができるように形成されていることが好ましい。そして、このような構成を採用したことにより、ギア支持軸の先端部を確実に固定することができる。
本発明に係る熱転写ラインプリンタによれば、記録媒体の搬送ムラがほとんど発生しないので、高品質の記録を容易かつ確実に行うことができるなどの優れた効果を奏する。
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
図1から図2は、本発明に係る熱転写ラインプリンタの実施形態を示すものであり、
図1は要部の外観斜視図、図2は図1の要部の部分分解拡大斜視図、図3は再伝動手段近傍の正面図、図4は第1ギア支軸近傍の拡大斜視図、図5は下プレートの拡大正面図、図6は上プレートの拡大正面図、図7は下プレートに上プレートを重ねた状態を示す拡大正面図、図8は下プレートに重ねた上プレートの位置を移動させた状態の一例を示す拡大正面図、図9は第2ギア支軸近傍の拡大斜視図である。
本実施形態の熱転写ラインプリンタは、記録媒体にフルカラー画像の記録を行うことのできる全体として縦寸法が150mm、横寸法が180mm、高さ寸法が80mm程度の小型のものを例示している。
図1に示すように、本実施形態の熱転写ラインプリンタ1は、プリンタフレーム2を有している。このプリンタフレーム2は、図2に示すように、ほぼ平板状に形成された底板部2aの図2の右斜め下および左斜め上に位置する両端部のそれぞれに、相互に対向するようにして平行に延在する側板部2b、2cの下端が接続されており、全体として上部が開口の横向きコ字状に形成されている。
図2に示すように、プリンタフレーム2には、プラテンローラ3と、このプラテンローラ3を間においてプラテンローラ3の右側に配設された第1搬送ローラ4およびプラテンローラ3の左側に配設された第2搬送ローラ5からなる1対の搬送ローラ4、5とが配設されている。これらのプラテンローラ3および1対の搬送ローラ4、5は、それぞれの軸線が相互に平行に延在するようにして、プリンタフレーム2に回動自在に配設されている。
本実施形態においては、プラテンローラ3および1対の搬送ローラ4、5のそれぞれの両端部がプリンタフレーム2の両側板部2b、2cから外側に突出されており、これらの端部は、プリンタフレーム2の両側板部2b、2cの外側(両側板部2b、2cの相互に対向する内面とは反対の外面)に図示しないねじなどにより取着された樹脂などにより形成されたローラ支持フレーム6(図2に、一方のみ図示)の所定の位置に設けられた円筒状をなす3箇所の軸受部6a、6b、6cの内孔に挿入されてそれぞれが回動自在に支持されている。
また、プラテンローラ3の上方には、図示しないラインサーマルヘッド(図11の符号105参照)が配設されている。このラインサーマルヘッドは、従来と同様に、記録媒体(図11の符号104参照)の縦方向または横方向の記録範囲に対向し得る長さを有しており、プラテンローラ3に対向しかつプラテンローラ3に対し接離可能に設けられている。したがって、プラテンローラ3の長さ寸法は、記録媒体およびラインサーマルヘッドの長さ寸法に対応する長さ寸法に形成されている。
前記プラテンローラ3の一端、本実施形態においてはローラ支持フレーム6から突出した部分には、駆動力伝動ギア7が着脱自在に取着されている。また、第1搬送ローラ4の一端、本実施形態においてはローラ支持フレーム6から突出した部分には、従動ギアとしての第1従動ギア8が着脱自在に取着されている。さらに、第2搬送ローラ5の一端、本実施形態においてはローラ支持フレーム6から突出した部分には、従動ギアとしての第2従動ギア9が着脱自在に取着されている。
図3に示すように、駆動力伝動ギア7には、常時噛合されるウォームホイールなどからなる入力ギア10が常時噛合されており、入力ギア10には、駆動力伝動ギア7、ひいてはプラテンローラ3を回動駆動させるための駆動部材である駆動モータ11の出力軸11aに取着されたウォームなどからなる出力ギア12が接続されている。なお、入力ギア10は、出力ギア12に常時噛合する大径ギア体と、この大径ギア体と同軸上に形成され大径ギア体と一体回転する小径ギア体とを有する2段ギアにより形成されている。また、駆動モータ11としては、正・逆回転可能なステッピングモータが挙げられる。
図2および図3に示すように、駆動力伝動ギア7と第1従動ギア8との間には、駆動力伝動ギア7と第1従動ギア8との両者に常時噛合される中間ギアとしての第1中間ギア13が配設されている。また、駆動力伝動ギア7と第2従動ギア9との間には、駆動力伝動ギア7と第2従動ギア9との両者に常時噛合される中間ギアとしての第2中間ギア14が配設されている。
前記プラテンローラ3に取着された駆動力伝動ギア7、1対の搬送ローラ4、5のそれぞれに取着された従動ギア8、9、および駆動力伝動ギア7と両従動ギアとの両者に常に噛合される中間ギア13、14により、本実施形態の駆動モータ11からプラテンローラ3に伝動される駆動力を1対の搬送ローラ4、5のそれぞれに再伝動するための再伝動手段15が構成されている。この再伝動手段15は、1対の搬送ローラ4、5のそれぞれがプラテンローラ3の回転方向と同一方向に回転駆動するように形成されている。
前記第1中間ギア13は、ギア支持軸としての第1ギア支持軸16の軸方向の中間部分に挿入されて回動自在に支持されている。この第1ギア支持軸16は、図4に示すように、基端部が第1軸取付フレーム17に嵌合などにより固定されている。すなわち、第1ギア支持軸16は、第1軸取付フレーム17に、第1軸取付フレーム17の厚さ方向に沿って立設するように配設されている。また、第1軸取付フレーム17には、プラテンローラ3の一端が挿通される挿通孔17aが設けられている。
図2および図4に示すように、第1軸取付フレーム17には、厚さ方向に貫通する3箇所の第1取付孔17bが形成されている。そして、これらの第1取付孔17bに対して第1ギア支持軸16の先端部の配置側から挿通される図示しない取付ねじの先端部をプリンタフレーム2の側板部2bの所定位置に形成された図示しないねじ孔に螺入させることで、プリンタフレーム2の側板部2bに対して第1軸取付フレーム17、ひいては第1ギア支持軸16が取着されている。また、第1取付孔17bの内径寸法は、取付ねじの雄ねじ部の外径寸法より大きく形成されており、第1取付孔17bと取付ねじの雄ねじ部との間の隙間の範囲で、取付ねじの中心(軸心)に対する第1取付孔17bの位置をずらすことができるように形成されている。そして、取付ねじの中心に対する第1取付孔17bの位置をずらすことにより、第1軸取付フレーム17の位置、ひいては第1中間ギア13の回動中心となる第1ギア支持軸16の位置を調整することができるように構成されている。
すなわち、第1ギア支持軸16は、第1中間ギア13の軸心と駆動力伝動ギア7の軸心との軸間距離、および、第1中間ギア13の軸心と第1従動ギア8の軸心との軸間距離の両者を調整することができるように、位置調整可能に構成されている。
図1および図2に示すように、第1ギア支持軸16の基端部とは反対の先端部は、プリンタフレーム2に図示しないねじなどにより着脱自在に取着された第1サブフレーム18に形成された第1挿通孔18aから突出されており、この先端部には、下プレート19の下固定用孔19aと、上プレート20の上固定用孔20aとがこの順に挿通されている。
図5に示すように、下プレート19は、全体として図5の上下方向が長い縦長矩形状に形成されており、図5の左右方向のほぼ中間部分には、長孔状のガイド孔19bがその長手方向を上下方向に向けて形成されている。
前記下プレート19の左下角部近傍には、取付ねじ(ボルト)21(図2)が挿通される長孔状の下取付孔19cがその長手方向を上下方向に向けて形成されている。すなわち、下取付孔19cは、ガイド孔19bの下部においてガイド孔19bと平行に延在するように配置されている。この下取付孔19cの長手方向の寸法は、ガイド孔19bの長手方向の寸法より小さく形成されている。また、下取付孔19cの長手方向に対して直交する幅方向のサイズは、取付ねじ21の雄ねじ部を挿通できるように取付ねじ21の雄ねじ部の直径寸法より大きく形成されている。
前記下プレート19の右下角部近傍には、第1ギア支持軸16が挿通される長孔状の下固定用孔19aが形成されている。この下固定用孔19aの長手方向の寸法は、下取付用孔19aと同様に、ガイド孔19bの長手方向の寸法より小さく形成されている。また、下固定用孔19aは、その長手方向がガイド孔19bの長手方向に対してほぼ45度の角度をなすように図4の右上から左下に向かって傾斜するようにして配置されている。さらに、下固定用孔19aの長手方向に対して直交する幅方向のサイズは、第1ギア支持軸16を挿通できるように第1ギア支持軸16の直径寸法より大きく形成されている。
図6に示すように、上プレート20は、全体として図6の上下方向が長い縦長矩形状に形成されており、図6のほぼ中央部分と、その上方との2箇所の裏面には、下プレート19のガイド孔19bに嵌合される円形状の凸部20bが、プレス加工などにより一面を円形状に凹ませることで形成されている。この2箇所の凸部20bの相互間の距離は、下プレート19のガイド孔19bの長さ寸法のほぼ半分程度とされており、下プレート19に上プレート20を重ねた際に、両凸部20bをガイド孔19bに嵌合させることができるとともに、両凸部20bをガイド孔19bの長手方向に沿って移動させることができるように形成されている。すなわち、両凸部20bをガイド孔19bに嵌合させて下プレート19に上プレート20を重ねた状態で、下プレート19に対して上プレート20を、または、上プレート20に対して下プレートをガイド孔19bの長手方向に沿って移動させることができるように構成されている。
前記上プレート20の左下角部近傍には、下プレート19と同様に、取付ねじ21が挿通される長孔状の上取付孔20cがその長手方向を上下方向に向けて形成されており、下プレート19に上プレート20を重ねた際に、両凸部20bをガイド孔19bに嵌合してガイド孔19bの長手方向に沿って移動させた場合においても、取付ねじ21が下取付孔19cと上取付孔20cとの両者を挿通することができるように形成されている。この上取付孔20cは、その長手方向が両凸部20bの配列方向に沿って平行に延在するように配置されている。また、上取付孔20cは、下取付孔19cと同一形状かつ同一寸法に形成されている。
前記上プレート20の右下角部近傍には、下固定用孔19aと同様に、第1ギア支持軸16が挿通される長孔状の上固定用孔20aが形成されている。この上固定用孔20aは、その長手方向が両凸部20bの配列方向に対してほぼ45度の角度をなすように図5の左上から右下に向かって傾斜するようにして配置されている。すなわち、上固定用孔20aの長手方向は、下プレート19に上プレート20を重ねた際に、下固定用孔19aの長手方向に対して直交する方向に沿って配置されるように形成されている。さらに、上固定用孔20aの長手方向に対して直交する幅方向の寸法は、第1ギア支持軸16を挿通できるように第1ギア支持軸16の直径寸法より大きく(下固定用孔19aと同一寸法)形成されている。また、上固定用孔20aの長手方向の寸法は、下固定用孔19aの長手方向の寸法と同一に形成されている。
図7に示すように、下プレート19および上プレート20は、両凸部20bをガイド孔19bに嵌合して下プレート19に上プレート20を重ねた状態で、下固定用孔19aと上固定用孔20aとが重なって、第1ギア支持軸16の先端部を径方向外側から4点支持することのできるほぼ四角形の窓が形成されるようになっている。また、下プレート19および上プレート20は、両凸部20bをガイド孔19bに沿って移動させることで、窓の形成位置を移動させることができる。例えば、図8に示す両凸部20bをガイド孔19bに沿って図7の上方へ移動させると、図8に示すように、窓の形成位置は、右側に移動することになる。
すなわち、第1ギア支持軸16の先端部の位置が変わっても、両凸部20bをガイド孔19bに沿って移動させることで、第1ギア支持軸16を曲げるような力を与えることなく第1ギア支持軸16の先端部を確実に4点で支持して固定することができるように形成されている。
なお、窓の形成位置の上下方向の位置の移動は、取付ねじ21に対する下取付孔19cおよび上取付孔20cのそれぞれの図7の上下方向に示す取付位置の移動により行うことができる。
このように、長手方向が相互に直交するように形成された下固定用孔19aと上固定用孔20aを重ねることにより形成される四角形の窓の形成位置は、両凸部20bをガイド孔19bに沿って移動させることで変位させることができるので、第1ギア支持軸16の先端部を固定する部品の加工精度にバラツキがあっても、第1ギア支持軸16を曲げるような力を与えることなく、第1ギア支持軸16の先端部を確実に固定することができる。すなわち、第1ギア支持軸16の先端部を固定する部品の加工精度を高精度とする必要はないことになる。
前記下プレート19および上プレート20は、長孔状に形成されている上取付孔20cおよび下取付孔19cをこの順に挿通される取付ねじ21の先端部を第1サブフレーム18に形成された図示しないねじ孔に螺入させることで第1サブフレーム18に取着されている。
したがって、第1ギア支持軸16の位置調整をした後に、第1ギア支持軸16の先端部の位置を下プレート19の下固定用孔19aと上プレート20の上固定用孔20aとにより固定することができるように構成されている。よって、ギア支持軸は、位置調整後の両端の位置が固定されている。なお、下プレート19および上プレート20を上下反転させて配置してもよい。さらに、箇所の凸部20bを下プレート19に設け、ガイド孔19bを上プレート20に設ける構成としてもよい。
前記第2中間ギア14は、ギア支持軸としての第2ギア支持軸22の軸方向の中間部分に挿入されて回動自在に支持されている。この第2ギア支持軸22は、図8に示すように、基端部が第2軸取付フレーム23に嵌合などにより固定されている。すなわち、第2ギア支持軸22は、第2軸取付フレーム23に、第2軸取付フレーム23の厚さ方向に沿って立設するように配設されている。
前記第2軸取付フレーム23には、厚さ方向に貫通する2箇所の第2取付孔23aが形成されている。そして、これらの第2取付孔23aに対して第2ギア支持軸22の先端部の配置側から挿通される図示しない取付ねじの先端部をプリンタフレーム2の側板部2bの所定位置に形成された図示しないねじ孔に螺入させることで、プリンタフレーム2の側板部2bに対して第2軸取付フレーム23、ひいては第2ギア支持軸22が取着されている。また、第2取付孔23aの内径寸法は、取付ねじの雄ねじ部の外径寸法より大きく形成されており、第2取付孔23aと取付ねじの雄ねじ部との間の隙間の範囲で、取付ねじの中心(軸心)に対する第2取付孔23aの位置をずらすことができるように形成されている。そして、取付ねじの中心に対する第2取付孔23aの位置をずらすことにより、第2軸取付フレーム23の取付位置、ひいては第2中間ギア14の回動中心となる第2ギア支持軸22の位置を調整することができるように構成されている。
すなわち、第2ギア支持軸22は、第2中間ギア14の軸心と駆動力伝動ギア7の軸心との軸間距離、および、第2中間ギア14の軸心と第2従動ギア9の軸心との軸間距離の両者を調整することができるように、位置調整可能に構成されている。
図1および図2に示すように、第2ギア支持軸22の基端部とは反対の先端部は、前述した第1ギア支持軸16の先端部と同様に、プリンタフレーム2に図示しないねじなどにより着脱自在に取着された第2サブフレーム24に形成された第2挿通孔24aから突出されている。この第2ギア支持軸22の先端部には、前述した第1ギア支持軸16と同様に、下プレート19の下固定用孔19aと、上プレート20の上固定用孔20aとがこの順に挿通されており、第2ギア支持軸22の先端部の位置が変わっても、両凸部20bをガイド孔19bに沿って移動させることで、第2ギア支持軸22の先端部を確実に4点で支持して固定することできるように形成されている。
前記第2ギア支持軸22の先端部を固定する下プレート19および上プレート20の構成および作用は、前述した第1ギア支持軸16の先端部を固定する下プレート19および上プレート20と同様とされているので、その詳しい説明については省略する。
前記第2ギア支持軸22の先端部が挿通される下プレート19および上プレート20は、上取付孔20cおよび下取付孔19cをこの順に挿通される取付ねじ21の先端部を第2サブフレーム24に形成された図示しないねじ孔に螺入させることで第2サブフレーム24に取着されている。
したがって、第2ギア支持軸22の位置調整をした後に、第2ギア支持軸22の先端部の位置を下プレート19の下固定用孔19aと上プレート20の上固定用孔20aとにより固定することができるように構成されている。よって、ギア支持軸は、位置調整後の両端の位置が固定されている。
なお、本実施形態の熱転写ラインプリンタ1において、第1および第2ギア支持軸16、22の位置の調整、すなわち、第1中間ギア13の軸心と駆動力伝動ギア7の軸心との軸間距離、第2中間ギア14の軸心と駆動力伝動ギア7の軸心との軸間距離、第1中間ギア13の軸心と第1従動ギア8の軸心との軸間距離、および、第2中間ギア14の軸心と第2従動ギア9の軸心との軸間距離のそれぞれの軸間距離の調整は、図10に示すように軸に装着される1対の装着孔を備えた複数のブロック31を用いることで実施されている。
また、各軸間距離を調整した状態で、第1および第2軸取付フレーム17、23をプリンタフレーム2の側板部2bに取着することで、各軸間距離が保持されるようになっている。
なお、各軸間距離を調整した後、各ギアなどを所定位置に取着し、その後、第1および第2サブフレーム18、24をプリンタフレーム2の側板部2bに取着した後、第2サブフレーム18、24のそれぞれに下プレート19および上プレート20を取着することで、第1および第2ギア支持軸16、22の両端の位置が固定された状態に組み立てられるようになっている。
また、各軸間距離を変える場合には、1対の装着孔の相互間の距離の異なるブロックを用いることで容易に行うことができるようになっている。例えば、設計上の理論値に対して、1対の装着孔の相互間の距離を0.025mm毎に形成した複数種のブロック31を予め形成し、駆動モータ11のロット毎などにより使用するブロック31を変えるようにするとよい。
その他の構成については、従来の熱転写ラインプリンタと同様とされているので、その詳しい説明は省略する。
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。なお、本実施形態の熱転写ラインプリンタ1による記録媒体への記録動作は、従来と同様とされているので、その説明は省略する。
本実施形態の熱転写ラインプリンタ1によれば、再伝動手段15により、プラテンローラ3に伝動された駆動力を1対の搬送ローラ4、5に再伝動して、1対の搬送ローラ4、5のそれぞれをプラテンローラ3に従動駆動させることができるので、1つの駆動モータ11によりプラテンローラ3と1対の搬送ローラ4、5のそれぞれを駆動させることができるとともに、駆動部材と被駆動部材間のギアの総数を少なくすることができ、駆動力伝動経路のバックラッシュの量を少なくすることができる。
さらに、本実施形態の熱転写ラインプリンタ1によれば、プラテンローラ3から1対の搬送ローラ4、5のそれぞれへの駆動力伝動経路におけるギアの数を等しくできるため、各駆動力伝動経路におけるバックラッシュの量を等しくすることができる。
さらにまた、本実施形態の熱転写ラインプリンタ1によれば、ギア支持軸16、22が位置調整可能とされているので、中間ギア13、14と駆動力伝動ギア7との間のバックラッシュの量、および、中間ギア13、14と従動ギア8、9との間のバックラッシュの量のそれぞれを制御することが容易かつ確実にできる。その結果、バックラッシュの量により、プラテンローラ3の回転方向の切り換え時を含めてプラテンローラ3の起動タイミングに対する1対の搬送ローラ4、5のそれぞれの起動タイミングの遅れを制御することができ、これにより色ズレの方向と量をともに制御することができる。
したがって、本実施形態の熱転写ラインプリンタ1によれば、記録媒体の搬送ムラがほとんど発生しないので、色ズレのない高品質の記録を容易かつ確実に行うことができる。
また、本実施形態の熱転写ラインプリンタ1によれば、ギア支持軸16、22の両端の位置が固定されているので、中間ギア13、14に加わる負荷などにより中間ギア13、14とともにギア支持軸16、22が変位するのを確実に防止することができる。その結果、ギア支持軸16、22が変位した場合に発生するギア駆動における摩耗、振動、回転負荷などの増加を防止することができるし、記録動作時に各軸間距離が変化するのを確実に防止することができる。
なお、ギア支持軸16、22の一端のみを固定した場合、先端部が自由端となるので、中間ギア13、14に加わる負荷などにより、中間ギア13、14とともにギア支持軸16、22が変位し易くなる。この変位は、ギア支持軸16、22が小径になればなるほど、すなわち、熱転写ラインプリンタ1の小型化を図るほど発生しやすくなる。
また、本実施形態の熱転写ラインプリンタ1によれば、ギア支持軸16、22の先端部が、ギア支持軸16、22を曲げるような力を与えることなく固定することができるように形成されているので、ギア支持軸16、22の先端部を確実に固定することができる。その結果、ギア支持軸16、22に曲がりがないので、ギア支持軸16、22の曲がりによる中間ギア13、14の位置ずれの発生を防止することができる。すなわち、中間ギア13、14を最適な位置に配置することが容易かつ確実にできる。
また、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
本発明に係る熱転写ラインプリンタの実施形態の要部を示す外観斜視図 図1の要部の部分分解拡大斜視図 再伝動手段近傍の正面図 第1ギア支軸近傍の拡大斜視図 下プレートの拡大正面図 上プレートの拡大正面図 下プレートに上プレートを重ねた状態を示す拡大正面図 下プレートに重ねた上プレートの位置を移動させた状態の一例を示す拡大正面図 第2ギア支軸近傍の拡大斜視図 軸間距離の調整状態を説明する説明図 従来の熱転写ラインプリンタの一例の要部を示す正面図
符号の説明
1 熱転写ラインプリンタ
2 プリンタフレーム
3 プラテンローラ
4 第1搬送ローラ
5 第2搬送ローラ
7 駆動力伝動ギア
8 第1従動ギア
9 第2従動ギア
10 入力ギア
11 駆動モータ
12 出力ギア
13 第1中間ギア
14 第2中間ギア
15 再伝動手段
16 第1ギア支持軸
19 下プレート
20 上プレート
22 第2ギア支持軸

Claims (3)

  1. 駆動モータの駆動力が伝動され、正回転方向あるいは逆回転方向に回転駆動されるプラテンローラと、前記プラテンローラに対向しかつ前記プラテンローラに対し接離可能に設けられたラインサーマルヘッドと、前記プラテンローラを間において回動自在に配設された1対の搬送ローラと、前記駆動モータから前記プラテンローラに伝動される駆動力を前記1対の搬送ローラのそれぞれに再伝動するための再伝動手段とを有しており、
    前記再伝動手段は、前記プラテンローラに取着された駆動力伝動ギアと、前記1対の搬送ローラのそれぞれに取着された従動ギアと、前記駆動力伝動ギアと前記従動ギアとの両者に常に噛合される中間ギアとを備え、前記1対の搬送ローラのそれぞれが前記プラテンローラの回転方向と同一方向に回転駆動するように形成されており、
    前記中間ギアは、ギア支持軸に回動自在に支持されており、
    前記ギア支持軸は、前記中間ギアの軸心と前記駆動力伝動ギアの軸心との軸間距離、および、前記中間ギアの軸心と前記従動ギアの軸心との軸間距離の両者を調整することができるように、位置調整可能とされていることを特徴とする熱転写ラインプリンタ。
  2. 前記ギア支持軸は、位置調整後の両端の位置が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の熱転写ラインプリンタ。
  3. 前記ギア支持軸の先端部は、前記ギア支持軸を曲げるような力を与えることなく固定することができるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の熱転写ラインプリンタ。
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