JP2008109062A - メタライズされたセラミックス基板及びその製造方法 - Google Patents

メタライズされたセラミックス基板及びその製造方法 Download PDF

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栄子 三枝
Masahiro Izumoto
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Abstract

【課題】基板の表面を粗化することなく、セラミックス基板と導体層との密着性が向上したメタライズされたセラミックス基板とその製造方法を提供する。
【解決手段】セラミックス基板上に導電性金属粒子成分(酸化第二銅微粒子及び/又は酸化第一銅微粒子など)を含む導体ペーストを塗布し、真空又は不活性雰囲気下で焼成して導体層を形成し、メタライズされたセラミックス基板を製造する。セラミックス基板上に、導電性金属の化合物(銅化合物など)を含む表面処理剤でセラミックス基板の表面を処理し、酸素存在下で焼成して金属酸化物層を形成し、この金属酸化物層上に、前記導体層を形成してもよい。金属化合物は、水酸化物、有機酸塩、錯体などであってもよい。セラミックス基板と導体層との間に、金属酸化物層を形成する場合には、セラミックス基板と導体層との間の密着力をさらに改善することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、放熱性、導電性などに優れ、半導体を実装するのに適したセラミックス回路基板を得るのに有用なメタライズセラミックス基板及びその製造方法に関する。
セラミックス基板をメタライズすることによってセラミックス基板上に導体層を形成し、該導体層に回路を形成したセラミックス回路基板が広く利用されている。このセラミックス回路基板においては、基板と導体層との接合部に高い密着力が要求される。前記導体層は無電解メッキ法で形成することができ、この無電解メッキ法では、基板を粗化することによって高い密着力を得ることができる。しかし、粗化によってセラミックス回路基板の高周波特性が低下する。
基板表面を粗化することなく、密着力に優れた無電解めっき膜を形成する方法として、特開2002−141639号(特許文献1)には、金属及び金属酸化物から選択され、粒径が1〜500nmである少なくとも一種の微粒子(銅又は酸化銅微粒子など)を含む微粒子分散層を、セラミックス基板表面に形成し、この微粒子分散層を空気雰囲気下にて焼成してセラミックス基板表面に金属酸化物微粒子を焼き付け、この金属酸化物微粒子を還元液に浸漬して金属微粒子に還元し、この金属微粒子をめっき触媒核として無電解めっき処理(無電解銅めっき処理など)を施すことによりめっき層を形成する、セラミックス基板のメタライズ方法が開示されている。この方法では、セラミックス基板の表面を粗化する必要がなく、膜厚制御が容易であり、しかも微粒子を触媒として無電解めっきの析出性を向上することができる。しかし、さらに工程を簡略化し、より簡便で安価に導体層を形成する方法が求められている。
特開2002−141639号公報(特許請求の範囲)
従って、本発明の目的は、基板の表面を粗化することなく基板と導体層との密着性が向上した、メタライズされたセラミックス基板およびその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、簡便かつ容易に導体層を形成できるメタライズされたセラミックス基板の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、セラミックス基板上に、直接又は間接的に、導電性金属粒子の焼成による導体層を形成する[例えば、(i)セラミックス基板上に導電性金属粒子の焼成による導体層を形成するか、又は(ii)セラミックス基板上に、酸素存在下で焼成して導電性金属の酸化物層を形成し、この酸化物層上に導電性金属粒子の焼成による導体層を形成する]と、セラミックス基板の表面を粗面化することなくセラミックス基板と導体層とを高い密着性で密着でき、導体層に回路基板を形成できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の方法は、セラミックス基板上に直接的又は間接的に導体層を形成する方法であって、セラミックス基板上に、直接又は間接的に、導電性金属粒子成分を真空下又は不活性雰囲気下で焼成して導体層を形成することにより、メタライズされたセラミックス基板を製造する。このような方法では、セラミックス基板上に、導電性金属粒子成分を真空下又は不活性雰囲気下で焼成して導体層を形成することにより、メタライズされたセラミックス基板を製造してもよい。また、セラミックス基板上に、導電性金属の化合物(酸化焼成により導電性金属の酸化物を生成する金属化合物)を酸素存在下で焼成して金属酸化物層を形成し、この金属酸化物層上に、導電性金属粒子成分を真空下又は不活性雰囲気下で焼成して導体層を形成することにより、メタライズされたセラミックス基板を製造してもよい。例えば、セラミックス基板上に、導電性金属粒子成分を含む導体ペーストを塗布し、不活性雰囲気下で焼成し、導体層(メタライズ層)を形成することにより、メタライズされたセラミックス基板を製造してもよい。また、セラミックス基板上に、酸化焼成により導電性金属の酸化物を生成する金属化合物を含む表面処理剤を塗布し、酸素存在下で焼成して金属酸化物層を形成し、この金属酸化物層に、導電性金属粒子成分を含む導体ペーストを塗布し、不活性雰囲気下で焼成し、導体層(メタライズ層)を形成することにより、メタライズされたセラミックス基板を製造できる。
前記金属化合物(導電性金属の化合物)は、水酸化物、ハロゲン化物、無機酸塩、有機酸塩、及び錯体から選択された少なくとも一種であってもよく、前記金属化合物は、通常、非酸化物型化合物である。このような金属化合物としては、銅化合物を例にとって説明すると、例えば、水酸化銅、酢酸銅、ナフテン酸銅、銅アセチルアセトナートなどであってもよい。金属化合物と導電性金属粒子成分とは同種又は共通の金属を含むのが好ましく、例えば、金属化合物が銅化合物で構成され、導電性金属粒子成分が銅微粒子又は酸化銅微粒子(酸化第二銅微粒子及び/又は酸化第一銅粒子など)で構成されていてもよい。導電性金属粒子成分はナノメータサイズであってもよい。金属酸化物層は、例えば、銅化合物を含む表面処理剤でセラミックス基板の表面を処理し、空気中、850〜1200℃程度の温度で焼成することにより形成できる。導体層は、例えば、導電性金属粒子成分(例えば、銅又は銅酸化物の粒子)を含む導体ペーストをセラミックス基板又は金属酸化物層に塗布し、真空又は不活性ガス中、800〜1200℃程度の温度で焼成することにより形成できる。
本発明は、セラミックス基板上に直接的又は間接的に導体層を形成する方法であって、セラミックス基板上に、直接的又は間接的に、導電性金属粒子成分を真空下又は不活性雰囲気下で焼成し、メタライズされた導体層を形成するセラミックス基板のメタライズ方法も包含する。このような方法では、セラミックス基板上に、導電性金属粒子成分を真空下又は不活性雰囲気下で焼成し、メタライズされた導体層を形成してもよく、また、セラミックス基板上に、導電性金属の化合物(酸化焼成により導電性金属の酸化物を生成する金属化合物)を、酸素存在下で焼成して金属酸化物層を形成し、この金属酸化物層上に、導電性金属粒子成分を真空下又は不活性雰囲気下で焼成し、メタライズされた導体層を形成してもよい。
さらに、本発明は、セラミックス基板上に直接的又は間接的に導体層が形成された基板であって、セラミックス基板と、このセラミックス基板上に直接的又は間接的に、導電性金属粒子成分の焼成により形成された導電性金属層とで少なくとも構成されているメタライズされたセラミックス基板も開示する。メタライズされたセラミックス基板は、セラミックス基板と、この基板上に導電性金属粒子成分の焼成により形成された導電性金属層とで構成してもよく、セラミックス基板と、この基板の表面に焼成により形成された導電性金属の酸化物層と、この導電性金属酸化物層上に導電性金属粒子成分の焼成により形成された導電性金属層とで構成してもよい。後者のセラミックス基板において、セラミックス基板と導電性金属層との間には、セラミックス基板の金属元素成分と、導電性金属の酸化物層の金属成分及び/又は導電性金属粒子成分の金属成分との複合酸化物層が形成されていてもよい。また、メタライズされたセラミックス基板は、例えば、アルミニウムを含むセラミックス基板と、銅で構成された導電性金属層とで構成してもよく、アルミニウムを含むセラミックス基板と、銅で構成された導電性金属層と、前記セラミックス基板と導電性金属層との間に介在し、アルミニウムと銅とで構成された複合酸化物層(例えば、CuAlO及びCuAlとの混合物で構成された酸化物層)とで構成してもよい。
本発明は、さらに、前記セラミックス基板のメタライズ層(導体層)に導体回路が形成されたセラミックス回路基板も包含する。
なお、本明細書において、焼成により形成された導体層を単に「メタライズ層」という場合がある。さらには、特に言及しない限り「塗布工程」は塗布層を形成する工程を意味し、乾燥工程を含めて塗布工程という場合がある。
本発明では、セラミックス基板上に、直接的又は間接的に、導電性金属粒子成分を真空下又は不活性雰囲気下で焼成して導体層(メタライズ層)を形成するため、セラミックス基板のメタライズ層(導体層)を簡便かつ容易に形成できる。また、基板の表面を粗化することなく、セラミックス基板と導体層との密着性を向上できる。さらに、セラミックス基板上に、酸素存在下で焼成して金属酸化物層を形成し、この金属酸化物層上に、導電性金属粒子成分を不活性雰囲気下で焼成して導体層(メタライズ層)を形成すると、基板の表面を粗化することなく、セラミックス基板と導体層との密着性をさらに向上できる。また、セラミックス基板の表面処理を低コスト化でき、密着力に優れた導体層及び導体回路を有するセラミックス回路基板を形成するのに有利である。
本発明の方法では、セラミックス基板に直接的又は間接的にメタライズされた導体層を形成する方法であり、メタライズされた導体層を形成する工程を少なくとも包含する。このような方法は、セラミックス基板上に、メタライズされた導体層を形成する工程で構成してもよく、セラミックス基板上に、金属酸化物層を形成する工程と、この金属酸化物層にメタライズされた導体層を形成する工程とで構成してもよい。セラミックス基板と導体層との間に金属酸化物層を介在させると、密着力をさらに改善することができる。また、金属酸化物層を形成しない場合には、極めて簡便かつ容易に導体層を形成することができる。本発明は、メタライズされたセラミックス基板を製造する方法およびセラミックス基板のメタライズ方法を包含する。
[セラミックス基板]
セラミックス基板は、特に限定されず、例えば、金属酸化物(酸化珪素、石英、アルミナ又は酸化アルミニウム、ジルコニア、サファイア、フェライト、チタニア又は酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、ムライト、ベリリアなど)、金属窒化物(窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化炭素、窒化チタンなど)、金属炭化物(炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステンなど)、金属ホウ化物(ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウムなど)、金属複酸化物[チタン酸金属塩(チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、チタン酸ニオブ、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウムなど)、ジルコン酸金属塩(ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸鉛など)など]などのセラミックス;金属酸塩(ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムなど)などの焼成可能な単結晶;ホウ珪酸ガラスなどの低温焼成ガラスなどが使用できる。
これらのセラミックス基板のうち、金属酸化物(酸化アルミニウムなど)、金属窒化物(窒化アルミニウムなど)、金属炭化物(炭化ケイ素など)を材質とする焼結基板が好ましい。なお、セラミックス基板の形状や表面の物理的あるいは化学的な処理の有無は問わないが、本発明では必ずしもセラミックス基板の表面を粗面化処理する必要はない。
[中間層又は金属酸化物層の形成]
本発明において、セラミックス基板上に間接的に導体層を形成する場合、基板と導体層との間に介在する中間層は、導体層の接着性を損なわない限り特に制限されず、例えば、金属層、金属酸化物層、金属窒化物層、金属ホウ化物層、金属ケイ化物層などであってもよい。前記中間層は、通常、金属酸化物層である。
セラミックス基板上に金属酸化物層を形成する工程では、金属化合物を酸素存在下で焼成して金属酸化物層を形成する。金属化合物は、導電性の低い金属(例えば、ケイ素、チタン、ジルコニウム、ニッケルなど)の化合物であってもよいが、導電性金属(例えば、アルミニウム、銅、銀、金、インジウム、スズなど)の化合物である場合が多い。
金属酸化物層を形成する工程では、具体的には、セラミックス基板上に、酸化焼成により導電性金属の酸化物を生成する金属化合物を含む表面処理剤を塗布し、酸素存在下で焼成して金属酸化物層を形成する。前記酸化物の導電性金属(金属種)としては、酸化焼成により導電性金属を生成し、焼成又は焼結により被膜形成能を有する限り特に制限されず、例えば、周期表1B族元素(金、銀、銅など)、周期表2B族元素、周期表3B族元素(アルミニウム、ガリウム、インジウムなど)、周期表4B族元素(鉛、スズなど)、周期表2A族元素(マグネシウム)、周期表3A族元素、周期表4A族元素(ジルコニウム、チタンなど)、周期表5A族元素(バナジウム、ニオブ、タンタルなど)、周期表6A族元素(タングステン、モリブデン、クロムなど)、周期表7A族元素、周期表8族元素(鉄、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金など)などが例示できる。金属種(導電性金属)の体積抵抗率(μΩ・cm、20℃)は、例えば、50以下(例えば、1〜20、好ましくは1.5〜10、さらに好ましくは1.5〜5程度)であり、通常、1.5〜3程度である。これらの金属種は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの金属種のうち、熱伝導度や電気抵抗値の点から、銀、銅、アルミニウムが好ましく、価格の点から銅が好ましい。
前記導電性金属(金属種)を含む化合物(金属化合物)としては、水酸化物、ハロゲン化物(塩化物など)、無機酸塩(炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硝酸塩など)、有機酸塩(シュウ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩などの脂肪酸塩、ナフテン酸塩などの脂環式カルボン酸塩、安息香酸塩などの芳香族カルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などのスルホン酸塩)などがあげられる。金属化合物は金属錯体又は錯塩であってもよい。金属錯体又は錯塩において、配位子としては、例えば、CO、CN、酸素原子、HO(アコ)、OH(ヒドロキソ)、メトキシ、エトキシ基などのアルコキシ基、アセチル(アセタト)、プロピオニルなどのアシル基、メトキシカルボニルなどのアルコキシカルボニル基、アセチルアセトナト、シクロペンタジエニル基、塩素、臭素などハロゲン原子、ホスフィン、NH(アンミン)、NO、NO(ニトロ)、エチレンジアミン、ピリジンなどの窒素含有化合物などが例示できる。なお、錯体又は錯塩において、同種又は異種の配位子は一種又は二種以上配位していてもよい。これらの金属化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記金属化合物は、通常、金属酸化物以外の非酸化物型化合物である。このような金属化合物として銅化合物を例にとって説明すると、例えば、水酸化銅、酢酸銅などのC1−18アルカンカルボン酸塩、ナフテン酸銅などのC5−10脂環族カルボン酸塩、銅アセチルアセトナートなどの銅錯体又は錯塩などであってもよい。
前記金属酸化物は、セラミックス基板の表面に直接適用してもよいが、通常、有機溶媒を含む表面処理剤又は塗布剤の形態でセラミックス基板の表面に塗布する場合が多い。表面処理剤又は塗布剤は、通常、前記金属化合物を有機溶媒に溶解又は分散した形態で使用される。
有機溶媒は、セラミックス基板との濡れ性がよいものであれば特に限定されず、水性溶媒(水溶性又は水混和性溶媒)であってもよく油溶性溶媒(非水溶性有機溶媒)であってもよい。有機溶媒としては、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類などの種々の溶媒が例示できる。溶媒は、低沸点溶媒であってもよいが、通常、高沸点溶媒(例えば、常圧において、125℃以上(例えば、130〜300℃)、好ましくは150℃以上(例えば、170〜250℃)程度の有機溶媒)を用いる場合が多い。有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカンなどの飽和炭化水素類;脂肪族アルコール類(1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−デカノール、ジアセトンアルコールなど)、テルペンアルコール類(α−テレピネオール、ジヒドロテルピネオールなど)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコールなどのアラルキルアルコール類など)、多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのジオール類、グリセリンなどのポリオール類など)、セロソルブ類(エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなど)、カルビトール類(カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトールなど)などのアルコール類;セロソルブアセテート類(エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなど)、カルビトールアセテート類(エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなど)、エステル類(乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなど)、ケトン類(イソホロン、アセトフェノンなどの同素環式ケトン類、ジメチルイミダゾリジノンなどの複素環式ケトン類など)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)などが例示できる。これらの溶媒は単独で又は二種以上混合して使用できる。これらの有機溶媒の中で、飽和炭化水素類やアルコール類が好ましい。
有機溶媒中の金属化合物(銅錯体など)の含有量は、用途に応じて調整でき、通常、表面処理剤が均一に塗布可能な濃度、例えば、0.1〜50質量%(好ましくは1〜40質量%、さらに好ましくは5〜35質量%)程度である。
なお、表面処理剤(又はコーティング剤)は、必要により、金属化合物の焼成に悪影響を及ぼさない限り、バインダー、粘度調整剤、増粘剤、界面活性剤、整泡剤、分散剤、分散安定剤、レベリング剤などの添加剤を含んでいてもよい。
表面処理剤(又はコーティング剤)は、アプリケーター、スピンコーターなどの塗布手段によって基板上に展開できる。必要に応じて塗膜を乾燥した後、酸素存在下で金属化合物を焼成することにより金属酸化物層を形成する。焼成は、例えば、空気、酸素と不活性ガスとの混合ガスなどの酸化雰囲気で行えばよく、通常、空気中で行われる。焼成温度は、金属化合物の金属種や表面処理剤での形態、セラミックス基板の種類などに応じて、セラミックス基板との密着性を向上できる範囲で行うことができ、例えば、800〜1500℃、好ましくは900〜1400℃、さらに好ましくは1000〜1300℃程度の範囲から選択できる。例えば、金属化合物が銅化合物である場合、焼成温度は、850〜1200℃(例えば、900〜1200℃)、好ましくは950〜1150℃、さらに好ましくは1000〜1100℃程度であってもよい。焼成温度が低すぎると、セラミックス基板と導体層との密着性を向上できず、高すぎると金属化合物の金属種が溶融し、飛散する可能性がある。
このような焼成により、セラミックス基板の表面には、セラミックス基板と表面処理剤との化学反応により、導体層との密着性を向上させる金属−セラミックス複合酸化物層を形成するのが好ましい。この複合酸化物層は、セラミックス基板と導電性金属層との間に介在すればよく、セラミックス基板の金属元素成分と、金属酸化物層の金属成分及び/又は導電性金属粒子成分の金属成分との複合酸化物層であってもよい。複合酸化物層は、少なくともセラミックス基板の金属元素成分と金属酸化物層の金属成分との複合酸化物で構成されている。例えば、アルミニウムを含むセラミックス基板(アルミナ基板、窒化アルミニウム基板など)と、銅化合物により形成された金属酸化物層と、銅で構成された導電性金属層とを組み合わせる場合、前記セラミックス基板と導電性金属層との間には、アルミニウムと銅とで構成された複合酸化物層(例えば、CuAlO及びCuAlとの混合物で構成された酸化物層)が形成される。このような複合酸化物層は、導電性金属粒子成分を含むコーティング層(例えば、酸化銅粒子などの金属粒子成分を含む導電性ペースト層)との濡れ性を改善し、導体層(還元により生成した銅など)とセラミックス基板(アルミナ基板など)との密着性を大きく向上させる。複合酸化物の生成は、慣用の分析手段、例えば、X線回折(XRD)などにより確認できる。
セラミックス基板上に生成した金属酸化物層(金属−セラミックス複合酸化物層)の表面には、金属酸化物(酸化銅など)が形成されているため、通常、浸漬、噴霧などの適用手段により、塩酸などの強酸で構成された溶出液で金属酸化物(酸化銅など)を除去してもよい。また、金属酸化物を強酸で処理した後、洗浄し、乾燥することにより、導体層の形成工程に供してもよい。
前記金属酸化物層の厚みは、例えば、10〜1000nm、好ましくは20〜500nm(例えば、25〜300nm)、さらに好ましくは30〜250nm(例えば、50〜200nm)程度であってもよい。なお、金属化合物とセラミックス基板との反応などにより、金属酸化物層とセラミックス基板との境界を明確に識別できない場合がある。また、金属酸化物層は均一な厚みで形成してもよいが厚みが不均一な場合もある。このような場合、前記金属酸化物層の厚みは、セラミックス基板の質量を基準にして計算により算出してもよい。
[導体層の形成]
本発明では、前記セラミックス基板上又は中間層(又は前記金属酸化物層)上に、導電性金属粒子成分を焼成して導体層(メタライズ層)を形成することにより、メタライズされたセラミックス基板を製造する。より具体的には、例えば、前記セラミックス基板又は前記金属酸化物層に、導電性金属粒子成分を含む導体ペーストを塗布し、真空下又は不活性雰囲気下で焼成し、導体層を形成することにより、セラミックス基板をメタライズする。
導電性金属粒子成分としては、導電性が高く焼結可能な成分であれば特に制限されず、通常、金属及び金属化合物(酸化物など)から選択された少なくとも一種の粒子成分が使用できる。金属粒子成分の金属種としては、前記金属化合物の金属種と同様の金属元素、例えば、周期表1B族元素(金、銀、銅など)、周期表3B族元素(アルミニウム、ガリウム、インジウムなど)などが使用できる。これらの金属粒子成分は焼成によりメタライズ層を形成可能であればよく、タフピッチ銅、無酸素銅、銀、アルミニウムなどの金属に限らず金属化合物(例えば、銀入り銅、ジルコニウム銅などの合金、金属酸化物など、特に金属酸化物)も使用できる。さらに金属粒子成分は、水素化チタンなどの水素化物などであってもよい。金属粒子成分の金属種は、前記金属化合物の金属種と同様の体積抵抗率(μΩ・cm、20℃)、例えば、50以下(例えば、1〜20、好ましくは1.5〜10、さらに好ましくは1.5〜5程度)、通常、1.5〜3程度の体積抵抗率を有している。これらの金属粒子成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの金属粒子成分のうち、電気抵抗値の点から、銀、銅、アルミニウム又はこれらの化合物が好ましく、価格の点から、銅又は酸化銅(酸化第二銅及び/又は酸化第一銅など)の粒子が好ましい。
なお、金属酸化物層を形成する場合、導電性金属粒子成分は金属化合物と同種又は共通の金属種を含むのが好ましく、例えば、金属化合物が銅化合物である場合、導電性金属粒子成分は銅微粒子又は酸化銅微粒子(酸化第二銅微粒子及び/又は酸化第一銅微粒子など)で構成してもよい。
導電性金属粒子成分(銅微粒子又は酸化銅微粒子など)の平均一次粒子径は、1〜10000nm程度の範囲から選択でき、通常、3〜1000nm(例えば、5〜500nm)、好ましくは10〜300nm(例えば、15〜250nm)、さらに好ましくは20〜200nm(例えば、25〜150nm)程度である。金属粒子成分の平均一次粒子径はナノメータサイズであるのが好ましい。なお、取扱い性、塗布層及び焼成層の均一性、反応性(又は密着性)などを考慮すると、銅微粒子(酸化銅微粒子、中でも酸化第二銅微粒子)などの導電性の高い金属粒子成分の平均一次粒子径は200nm以下(好ましくは100nm以下)であるのが好ましい。必要であれば、平均一次粒子径が前記ナノメーターサイズの金属粒子成分と、この平均一次粒子径よりも大きなサイズの金属粒子成分とを混合して使用してもよい。
前記導体ペーストは、導電性金属粒子成分と有機溶媒とで構成でき、必要であれば、バインダー、粘度調整剤、増粘剤、界面活性剤、整泡剤、分散剤、分散安定剤、レベリング剤などの添加剤を含んでいてもよい。有機溶媒としては、前記表面処理剤と同様の有機溶媒が使用できる。導体ペースト中の導電性金属粒子成分の含有量は、5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは20〜50質量%程度であってもよい。
導体ペーストは、アプリケーター、スピンコーターなどの塗布手段を利用して前記セラミックス基板上又は前記中間層(金属酸化物層など)上に塗布できる。導体ペーストはセラミックス基板(又は中間層)の一部に塗布してもよいが、通常、全面に亘り塗布される。必要に応じて塗膜を乾燥した後、導電性金属粒子成分を、真空又は不活性ガス中、焼成又は焼結することにより導体層を形成できる。
焼成雰囲気は、導体層を形成できる限り、真空雰囲気であってもよく、不活性ガス(窒素、ヘリウム、アルゴンなど)雰囲気であってもよい。不活性ガスとしては窒素ガスを用いる場合が多い。なお、焼成過程で金属酸化物(金属酸化物粒子を含む)は還元され、金属導体を形成する。そのため、必要であれば、金属酸化物及び金属酸化物粒子は還元剤の存在下(又は還元性雰囲気下)で焼成してもよい。
焼成又は焼結温度は、金属粒子成分の種類に応じて、密着性の高い導体層を形成できる範囲から選択でき、例えば、700〜1500℃、好ましくは800〜1400℃、さらに好ましくは900〜1300℃程度の範囲から選択できる。例えば、金属粒子成分が酸化銅粒子である場合、焼成温度は、800〜1200℃、好ましくは850〜1150℃、さらに好ましくは900〜1100℃(例えば、950〜1100℃)程度であってもよく、1000〜1100℃程度である場合が多い。焼成温度が低いと高い密着性を有する導体層を形成することが困難であり、高すぎると導体層が溶融し、飛散する場合がある。
導体層の厚みは特に制限されず、例えば、25〜10000nm、好ましくは50〜7000nm(例えば、100〜5000nm)、さらに好ましくは150〜4000nm(例えば、200〜3000nm)程度であってもよい。なお、前記と同様に、導体層と金属酸化物層とセラミックス基板との境界を明確に識別できない場合がある。このような場合、前記導体層の厚みは、セラミックス基板の質量を基準にして計算により算出してもよい。
前記焼成により、通常、緻密な導体層(焼成膜)が形成できる。このような導体層(メタライズ層)の形態は、走査型電子顕微鏡(SEM)などにより導体層(メタライズ層)の表面を観察することにより確認できる。
[メタライズされたセラミックス基板]
本発明のメタライズされたセラミックス基板は、セラミックス基板と、この基板に直接的又は間接的に形成された導電性金属層(又は導体層、メタライズ層)とで少なくとも構成されている。このようなセラミックス基板には、前記のように、セラミックス基板と、この基板上に導電性金属粒子成分の焼成により形成された導電性金属層とで構成された基板、セラミックス基板と、この基板の表面に焼成により形成された導電性金属の酸化物層(又は中間層)と、この導電性金属酸化物層の表面に導電性金属粒子成分の焼成により形成された導電性金属層(又は導体層、メタライズ層)とで構成された基板などが包含される。そして、セラミックス基板と導体層(メタライズ層)との間に中間層が介在することにより、セラミックス基板に対する導体層の密着力をさらに大きく向上できる。特に、前記のように、セラミックス基板と導体層との間に、少なくともセラミックス基板の金属元素成分と金属酸化物層の金属成分との複合酸化物層が介在すると、導体層の密着性を著しく向上できる。前記複合酸化物層は、セラミックス基板の金属元素成分と、金属酸化物層の金属成分及び/又は導電性金属粒子成分の金属成分との複合酸化物で構成してもよい。
[セラミックス回路基板]
さらに、前記セラミックス基板のメタライズ層(導体層)に導体回路を形成することによりセラミックス回路基板を形成できる。導体回路は、セラミックス基板のメタライズ面に、金属粒子成分を含む導体ペーストを回路パターンに従って選択的に塗布し、焼結することにより厚膜に形成できる。金属粒子成分は、前記導電性金属粒子成分と同様に、銅などの導電性金属、酸化銅などの金属酸化物などで構成でき、必要であれば前記と同様にナノメータサイズの粒子であってもよい。導電性ペーストは、バインダー成分(塗膜形成性を有し、焼成工程において分解する樹脂などの成分)、溶媒(前記と同様の有機溶媒、水、水/アルコールなどの水性溶媒など)、ガラス成分などで構成でき、前記と同様の種々の添加剤を含んでいてもよい。
バインダー成分としては、通常、非芳香族化合物が使用され、例えば、アクリル系樹脂、セルロース誘導体[セルロースエステル類、セルロースエーテル類(アルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルセルロース類、カルボキシメチルセルロースなど)など]、ポリエーテル類(ポリエチレングリコールなど)、ビニル系重合体、ポリアミド系樹脂、ビニルアルコール系樹脂又はその誘導体(ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなど)、ポリビニルエーテル系樹脂(ポリアルキルビニルエーテル樹脂、アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体など)などが例示できる。これらのバインダー成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
バインダー成分の使用量は、金属粒子成分100重量部に対して0.1〜70重量部、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは2〜30重量部(例えば、5〜15重量部)程度である。
溶媒の使用量は、金属粒子成分、ガラス成分及びバインダー成分の総量100重量部に対して、例えば、1〜500重量部、好ましくは5〜300重量部、さらに好ましくは10〜250重量部程度であり、10〜100重量部(例えば、15〜25重量部)程度であってもよい。
ガラス成分は、粉末状の形態で使用する場合が多く、ガラス成分の軟化点は、金属粒子成分の種類、バインダー成分の種類などに応じて200〜1000℃程度の範囲から選択でき、通常、250〜900℃、好ましくは300〜800℃、さらに好ましくは350〜700℃程度である。ガラス成分の含有量は、金属粒子成分100重量部に対して、0〜10重量部(例えば、0.25〜10重量部)程度の範囲から選択でき、通常、1〜9重量部、好ましくは2〜8重量部程度である。
導体回路は、適当な焼成雰囲気(空気雰囲気、酸化ガス雰囲気、不活性ガス雰囲気(窒素、ヘリウムガス、アルゴンなど)、還元ガス雰囲気、又はこれらの雰囲気を組み合わせた雰囲気)下、金属粒子成分の融点未満の温度で焼成することにより形成できる。また、導体ペーストがガラス成分を含む場合にはガラス成分の軟化点より高い温度で焼成される。焼成温度は、金属粒子成分の種類などに応じて、例えば、500〜1500℃程度の範囲から選択でき、通常、600〜1300℃、好ましくは700〜1200℃程度である。
導体回路の厚みは、例えば、100〜2000μm(例えば、105〜1200μm)程度の範囲から選択でき、通常、120〜1500μm、好ましくは150〜1000μm(例えば、175〜800μm)、さらに好ましくは200〜750μm(例えば、250〜500μm)程度であってもよい。
このような導体回路は半田との親和性が高く、半田実装が可能であり、しかもメッキ層を形成することができるため、半導体チップを効率よく実装できる。
本発明のメタライズされたセラミックス基板は、半導体(半導体チップ)を実装して電気・電子機器のセラミックス回路基板として利用するのに有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
酸化第二銅ナノ粒子(シーアイ化成株式会社製、平均粒径48nm)を2−プロパノールに分散させ、サファイア基板(単結晶Al)上にスピンコーターにて塗布した。ベルト炉で窒素雰囲気下(ピーク温度900℃×10分)にて焼成した。得られた焼成膜は、膜厚1.89μm、体積抵抗値は2.51μΩ・cmであった。
L型ピール試験により密着力を評価した。すなわち、L型に曲げた直径0.8mmのスズメッキ銅線を、2mm×2mmの大きさにエッチングした焼成膜の表面にはんだ付けして固定し、垂直に折り曲げた銅線の密着力を引っ張り試験機で計測し、基板と焼成膜間の接着力を測定した。引張速度0.33mm/sで引っ張ったとき1.67kg/4mmの強度が得られた。また、走査型電子顕微鏡(SEM)により銅膜表面の形態観察を行ったところ、平坦かつ緻密な焼成膜が形成されていることが確認された。
(実施例2)
酸化第二銅ナノ粒子(シーアイ化成株式会社製、平均粒径48nm)を2−プロパノールに分散させ、アルミナ基板(京セラ株式会社製、薄膜用スムース基板、99.6%Al)上にスピンコーターにて塗布した。ベルト炉で窒素雰囲気下(ピーク温度900℃×10分)にて焼成した。得られた焼成膜は、膜厚1.71μm、体積抵抗値は2.53μΩ・cmであった。
実施例1と同様に、L型ピール試験により密着力を評価したところ、1.21kg/4mmの強度が得られた。また、走査型電子顕微鏡(SEM)により銅膜表面の形態観察を行ったところ、平坦かつ緻密な焼成膜が形成されていることが確認された。
(実施例3)
ナフテン酸銅(和光純薬工業株式会社製)をn−ヘキサン(和光純薬工業株式会社製)に溶解し、10重量%の銅を含む銅錯体分散液とした。96%アルミナ基板上にスピンコート法にて前記分散液を塗布し、マッフル炉にて室温から1000℃まで1時間かけて昇温し、さらに1時間焼成した。38%塩酸33g/Lの塩酸水溶液に5分間浸漬し、表面の酸化銅を除去した後、純水で洗浄し80℃で10分間乾燥した。
得られた酸化物層の結晶構造をXRDで解析したところ、酸化物層がCuAlOとCuAlの混合酸化物で構成されていることが確認された。
酸化第二銅ナノ粒子(シーアイ化成株式会社製、平均粒径48nm)をn−デカノールに分散させ、前記混合酸化物層を形成したアルミナ基板上にアプリケーターにて塗布した(膜厚10μm)。150℃、20分の予備乾燥の後、ベルト炉中で窒素雰囲気にて焼成した(ピーク温度900℃×10分)。得られた試料の焼成膜は膜厚2μm、体積抵抗値は3.99μΩ・cmであった。
L型ピール試験により密着力を評価した。すなわち、L型に曲げた直径0.8mmのスズメッキ銅線を、2mm×2mmの大きさにエッチングした焼成膜の表面にはんだ付けして固定し、垂直に折り曲げた銅線の密着力を引っ張り試験機で計測し、基板と焼成膜間の接着力を測定した。引張速度0.33mm/sで引っ張ったとき2.36kg/4mmの強度が得られた。また、走査型電子顕微鏡(SEM)により銅膜表面の形態観察を行ったところ、緻密な焼成膜が形成されていることが確認された。
(実施例4)
銅アセチルアセトナート(キシダ薬品株式会社製)とα−テルピネオール(和光純薬工業株式会社製)とを質量比1:1で混合し分散液を調製した。アルミナ基板上に分散液をスピンコート法にて塗布し、マッフル炉にて室温から1000℃まで1時間かけて昇温し、さらに1時間焼成した。38%塩酸33g/Lの塩酸水溶液に5分間浸漬し、表面の酸化銅を除去した後、純水で洗浄し、80℃で10分間乾燥した。
得られた酸化物層の結晶構造をXRDで解析したところ、CuAlOとCuAlの混合体であることが確認された。
(実施例5)
酢酸銅(和光純薬工業株式会社製)とα−テルピネオール(和光純薬工業株式会社製)とを質量比1:1で混合し、分散液を調製した。アルミナ基板上に分散液をスピンコート法にて塗布し、実施例4と同様の方法で焼成し酸化物層を形成した。
(実施例6)
水酸化銅(和光純薬工業株式会社製)とα−テルピネオール(和光純薬工業株式会社製)とを質量比1:1で混合し、分散液を調製した。アルミナ基板上に分散層をスピンコート法にて塗布し、実施例4と同様の方法で焼成し酸化物層を形成した。
(比較例1)
銅アセチルアセトナート(キシダ薬品株式会社製)とα−テルピネオール(和光純薬工業株式会社製)とを質量比1:1で混合し、分散液を調製した。アルミナ基板上に分散液をスピンコート法にて塗布し、マッフル炉にて室温から800℃まで1時間かけて昇温し、さらに1時間焼成した。38%塩酸33g/Lの塩酸水溶液に5分間浸漬し、純水で洗浄し80℃で10分間乾燥した。
基板表面の結晶構造をXRDで解析したところ、酸化物層に由来する回折は確認できなかった。

Claims (15)

  1. セラミックス基板上に直接的又は間接的に導体層を形成する方法であって、セラミックス基板上に、導電性金属粒子成分を真空下又は不活性雰囲気下で焼成して導体層を形成し、メタライズされたセラミックス基板を製造する方法。
  2. セラミックス基板上に直接的又は間接的に導体層を形成する方法であって、セラミックス基板上に、導電性金属の化合物を酸素存在下で焼成して金属酸化物層を形成し、この金属酸化物層上に、導電性金属粒子成分を真空下又は不活性雰囲気下で焼成して導体層を形成し、メタライズされたセラミックス基板を製造する方法。
  3. 導電性金属の化合物が、水酸化物、ハロゲン化物、無機酸塩、有機酸塩、及び錯体から選択された少なくとも一種である請求項2記載の方法。
  4. 導電性金属の化合物が銅化合物で構成され、導電性金属粒子成分が銅微粒子又は酸化銅微粒子で構成されている請求項2又は3記載の方法。
  5. 導電性金属粒子成分が酸化第二銅微粒子及び酸化第一銅粒子から選択された少なくとも一種で構成されている請求項1〜4のいずかの項に記載の方法。
  6. セラミックス基板上に、導電性金属粒子成分を含む導体ペーストを塗布し、真空又は不活性ガス中、800〜1200℃の温度で焼成し、導体層を形成する請求項1記載の方法。
  7. 銅化合物を含む表面処理剤でセラミックス基板の表面を処理し、空気中、850〜1200℃の温度で焼成して金属酸化物層を形成し、導電性金属粒子成分を含む導体ペーストを金属酸化物層に塗布し、真空又は不活性ガス中、800〜1200℃の温度で焼成し、導体層を形成する請求項2記載の方法。
  8. セラミックス基板上に直接的又は間接的に導体層を形成する方法であって、セラミックス基板上に、導電性金属粒子成分を真空下又は不活性雰囲気下で焼成し、メタライズされた導体層を形成するセラミックス基板のメタライズ方法。
  9. セラミックス基板上に直接的又は間接的に導体層を形成する方法であって、セラミックス基板上に、導電性金属の化合物(酸化焼成により導電性金属の酸化物を生成する金属化合物)を、酸素存在下で焼成して金属酸化物層を形成し、この金属酸化物層上に、導電性金属粒子成分を真空下又は不活性雰囲気下で焼成し、メタライズされた導体層を形成するセラミックス基板のメタライズ方法。
  10. セラミックス基板上に直接的又は間接的に導体層が形成された基板であって、セラミックス基板と、この基板上に導電性金属粒子成分の焼成により形成された導電性金属層とで構成されているメタライズされたセラミックス基板。
  11. アルミニウムを含むセラミックス基板と、銅で構成された導電性金属層とで構成されている請求項10記載のメタライズされたセラミックス基板。
  12. セラミックス基板上に直接的又は間接的に導体層が形成された基板であって、セラミックス基板と、この基板の表面に焼成により形成された導電性金属の酸化物層と、この導電性金属酸化物層上に導電性金属粒子成分の焼成により形成された導電性金属層とで構成されているメタライズされたセラミックス基板。
  13. セラミックス基板と導電性金属層との間に、セラミックス基板の金属元素成分と、導電性金属の酸化物層の金属成分及び/又は導電性金属粒子成分の金属成分との複合酸化物層が形成されている請求項12記載のメタライズされたセラミックス基板。
  14. アルミニウムを含むセラミックス基板と、銅で構成された導電性金属層と、前記セラミックス基板と導電性金属層との間に介在し、アルミニウムと銅とで構成された複合酸化物層とで構成されている請求項13記載のメタライズされたセラミックス基板。
  15. 請求項10又は12記載のセラミックス基板のメタライズ層に導体回路が形成されているセラミックス回路基板。
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