JP2017201686A - メタライズ基板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い生産性で、絶縁性基板に高性能の導体パターンが形成されたメタライズ基板を提供する。【解決手段】絶縁性基板と、この絶縁性基板の表面の少なくとも一部の領域に積層され、かつ活性金属層を含む接合層と、この接合層に積層され、導体を含み、かつ多孔質構造を有する表面導体層とを組み合わせてメタライズ基板を調製する。前記活性金属層は、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mn及びAlからなる群より選択された少なくとも1種の活性金属又はこの活性金属を含む合金を含んでいてもよい。前記接合層は、さらに非透過層を含んでいてもよい。この非透過層は、Mo、W、Ni、Pd及びPtからなる群より選択された少なくとも1種のバリア性金属又はこのバリア性金属を含む合金を含んでいてもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、各種の電子機器の電子基板などに使用され、表面導体層を有するメタライズ基板及びその製造方法に関する。
従来から、機能部品の配置や配線回路の形成に使用される電子基板は、セラミックスなどの絶縁性基板の上に、導電性を有する金属で形成された回路パターンなどの導電層を積層して製造されている。特に、セラミックスなどの絶縁性材料と金属との親和性や反応性が低いため、電子基板の製造方法としては、チタンなどの活性金属を用いて絶縁性基板と導電層との密着性(接合強度)を向上させる方法が広く利用されている。活性金属を用いた方法としては、絶縁性基板の上に活性金属層を介在させて導電層を形成する方法や、導電層を形成するための導体ペースト中に活性金属粒子を混合する方法などが知られている。
前者の方法において、スパッタリングなどの物理蒸着法によりセラミックスなどの絶縁基板表面にTiなどの活性金属薄膜を形成した後、さらに活性金属膜の表面にCu、Pd、Auなどの高導電性導体膜を形成する方法が、電子工業分野で用いられている。しかし、この方法は、真空下での成膜が必要であり成膜速度も低いため、製造コストが高い。その結果、主に導体膜の膜厚が数μm以下の製品のみに使用され、汎用性の用途への適用は難しい。その課題を解決する方法として、セラミックス板などの絶縁基板の表面にスパッタリングなどの物理蒸着法により活性金属を含む導体薄膜を形成した後、湿式めっき法により導体薄膜の表面にCu、Ag、Ni、Auなどの導体膜を形成する方法が広く使用されている。メッキ法は容易に所望の膜厚を得ることが出来ると共に、大量生産に適しているため製造コストも安価である。この方法の欠点は、膜厚の大きな導体膜の作成には長時間のメッキ加工が必要であるうえに、薬液の処理など環境面の負担が大きい。また、大きな膜厚の導体膜をメッキにより形成すると、導体膜とセラミックス基板との間の応力が大きく、信頼性の面で不利になる場合がある。
後者の方法として、特公平6−99199号公報(特許文献1)には、窒化アルミニウム焼結体上に、チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる少なくとも一種、並びに銀及び銅を必須成分として含有する合金からなる導電性メタライズ層が形成されている窒化アルミニウム基板が開示されている。この導電性メタライズ層は、導電性メタライズ層を形成すための金属又は化合物の粉末と、エチルセルロースなどの媒体とを含むペーストを塗布して焼成することにより製造している。
しかし、チタンなどの活性金属粒子を導体ペーストに配合すると、焼成後の導体ペーストの導電性、半田濡れ性などの特性は著しく低下する虞がある。また、活性金属を基板と反応して密着力を発現するために、真空中で焼成する必要があり、生産性が低い。さらに、チタンなどの活性金属粒子は焼成中に結晶成長して粗大粒子になり、導体膜の平滑性を大きく低下させることがある。
その一方で、セラミックスなどの絶縁基板に導体パターンを形成する方法としては、厚膜ペースト法がある。例えば、特開2008―226771号公報(特許文献2)には、厚膜ペースト法として、上記のような活性金属による密着を使用せず、導電性金属粉にガラス粉を配合してペースト状にし、このペーストをセラミックス基板表面に塗布した後、ガラス粉の軟化温度及び金属粉の焼結温度以上に焼成を行い、金属粉を焼結すると共にガラス粉を溶融させて焼結金属膜とセラミックス基板とを接着させる方法が開示されている。
しかし、厚膜用の導体ペーストでは、主にペースト中に配合されるガラス成分により基板との密着性を確保するため、薄膜法やメッキ法の活性金属(Tiなど)による接合ほどの密着強度が得られない。その結果、耐熱衝撃性など長期信頼性が不足する虞がある。さらに、厚膜法のスクリーン印刷では、パターン解像度は100μm程度が限界で、100μm以下の微細パターンの形成は困難である。さらに、パターンの断面形状はかまぼこ状で矩形性がないため、パターン形状や精度の要求の高い高密度実装基板などには使用できない。
特開平6−204645号公報(特許文献3)には、良好なパターン形状を得るために、厚膜用の導体ペーストをパターン印刷ではなく、パターンより大きな面積又は基板全面に塗りつぶし印刷(ベタ印刷)して導体膜を焼成した後、導体膜表面にレジストパターンを形成し、エッチングにより不要な導体の部分を除去して所要なパターンを得る方法も提案されている。
しかし、この方法でも、導体ペースト中に配合しているガラス成分のエッチング耐性が強く、通常エッチング後にも一部のガラス成分が残留するため、パターン間の絶縁性が低下し、微細パターンの形成には不向きである。このような事情から、微細パターンが要求される高性能用途に適用するための配線基板では厚膜法は実現できていない。
特公平6−99199号公報(請求項1、実施例) 特開2008−226771号公報(請求項1、段落[0059]) 特開平6−204645号公報(特許請求の範囲)
従って、本発明の目的は、高い生産性で、絶縁性基板に高性能の導体パターンが形成されたメタライズ基板及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、高い密着力で表面導体層が形成されたメタライズ基板及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、耐熱性、耐熱衝撃性及び信頼性の高いメタライズ基板及びその製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、エッチング適性に優れ、微細なパターンを形成できるメタライズ基板及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討の結果、絶縁性基板と、この絶縁性基板の表面の少なくとも一部の領域に積層され、かつ活性金属層を含む接合層と、この接合層に積層され、かつ多孔質構造を有する導体を含む表面導体層とを組み合わせることにより、高い生産性で、絶縁性基板に高性能の導体パターンを形成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のメタライズ基板は、絶縁性基板と、この絶縁性基板の表面の少なくとも一部の領域に積層され、かつ活性金属層を含む接合層と、この接合層に積層され、導体を含み、かつ多孔質構造を有する表面導体層とを含む。前記活性金属層は、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mn及びAlからなる群より選択された少なくとも1種の活性金属又はこの活性金属を含む合金を含んでいてもよい。前記接合層は、さらに非透過層を含んでいてもよい。この非透過層は、Mo、W、Ni、Pd及びPtからなる群より選択された少なくとも1種のバリア性金属又はこのバリア性金属を含む合金を含んでいてもよい。前記非透過層は、活性金属層と表面導体層との間に介在してもよい。前記接合層は、さらに親和層を含んでいてもよい。この親和層は、表面導体層に含まれる金属と同一又は合金化可能な金属を含んでいてもよい。前記親和層は、表面導体層と接していてもよい。前記表面導体層に含まれる導体は、Ni、Pt、Cu、Ag、Au及びAlからなる群より選択された少なくとも1種の導電性金属又はこの導電性金属を含む合金を含んでいてもよい。前記表面導体層の空隙率は5〜30体積%程度である。前記表面導体層は、ガラス成分を含まなくてもよい。前記表面導体層の平均厚みは、前記接合層の平均厚みに対して5〜1000倍程度である。前記絶縁性基板は、セラミックス基板であってもよい。本発明のメタライズ基板は、前記表面導体層にさらにメッキ層(特に湿式メッキ層)が積層されていてもよい。さらに、本発明のメタライズ基板は、電子基板であってもよい。
本発明には、絶縁性基板の表面に、活性金属層を含む接合層を積層する接合層形成工程、接合層の上に、金属粒子及び有機ビヒクルを含む表面導体層用導体ペーストを塗布する導体塗布工程、塗布した前記導体ペーストに含まれる金属粒子の焼結温度以上に加熱して導体ペーストを焼成し、多孔質構造を有する導体を含む表面導体層を形成する導体焼成工程を含む前記メタライズ基板の製造方法も含まれる。前記接合層形成工程において、活性金属層を形成した後、活性金属層の上に、さらに非透過層及び/又は親和層を積層してもよい。前記接合層形成工程において、物理蒸着法で接合層を形成してもよい。前記導体塗布工程において、導体ペーストの塗布前に、不活性ガス雰囲気中で、400℃以上であり、かつ接合層を構成する全ての金属種の中で最も低融点の金属の融点、及び接合層を構成する合金の融点のいずれか低い方の融点以下の温度で接合層を加熱してアニールしてもよい。本発明の製造方法は、導体焼成工程で得られた表面導体層の上にレジストパターンを形成した後、レジストパターンが形成されていない露出領域の表面導体層及び接合層を除去し、さらにレジストパターンを除去する第1のエッチング工程をさらに含んでいてもよい。さらに、本発明の製造方法は、導体塗布工程において、表面導体層用導体ペーストをパターン印刷するとともに、導体焼成工程の後工程として、表面導体層(パターン)から露出する接合層を除去する接合層除去工程をさらに含んでいてもよい。前記接合層形成工程では、前記絶縁性基板の表面において、活性金属層を含む接合層をパターン状(表面導体層における目的のパターン状)に形成してもよい。本発明の製造方法は、導体焼成工程で得られた表面導体層の表面にメッキ層を形成するメッキ工程をさらに含んでいてもよい。また、本発明の製造方法は、導体焼成工程で得られた表面導体層の上にレジストパターンを形成した後、レジストパターンが形成されていない露出領域の表面導体層の表面に貴金属を含むメッキ層を形成してレジストパターンを除去し、メッキ層が形成されてない露出領域の表面導体層及び接合層を除去する第2のエッチング工程をさらに含んでいてもよい。
本発明では、絶縁性基板と、この絶縁性基板の表面の少なくとも一部の領域に積層され、かつ活性金属層を含む接合層と、この接合層に積層され、かつ多孔質構造を有する導体を含む表面導体層とを組み合わせているため、高い生産性で、絶縁性基板に高性能の導体パターンを形成できる。また、高い密着力で表面導体層を形成できる。特に、接合層が特定の活性金属を含むと、耐熱性及び信頼性も高度に向上できる。また、表面導体層が多孔質体であるため、表面導体層と絶縁性基板間との熱膨張率の差によって生じる熱応力が緩和され、耐熱衝撃性も向上できる。また、表面導体層にガラス成分など難エッチング性の添加物を含まないため、エッチング適性に優れ、表面導体層をエッチングしてパターンを形成すると、絶縁信頼性が高く、直角性(矩形性)に優れる微細なパターンを形成できる。
[メタライズ基板]
本発明のメタライズ基板は、絶縁性基板と、この絶縁性基板の表面の少なくとも一部の領域に積層され、かつ活性金属層を含む接合層と、この接合層に積層され、かつ多孔質構造を有する導体を含む表面導体層とを含む。
(絶縁性基板)
絶縁性基板を構成する材質は、焼成工程を経るため、耐熱性が要求され、エンジニアリングプラスチックなどの有機材料であってもよいが、通常、無機材料(無機素材)である。
無機材料としては、例えば、セラミックス{金属酸化物(石英、アルミナ又は酸化アルミニウム、ジルコニア、サファイア、フェライト、チタニア又は酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、ムライト、ベリリアなど)、酸化ケイ素(二酸化ケイ素など)、金属窒化物(窒化アルミニウム、窒化チタンなど)、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化炭素、金属炭化物(炭化チタン、炭化タングステンなど)、炭化ケイ素、炭化ホウ素、金属ホウ化物(ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウムなど)、金属複合酸化物[チタン酸金属塩(チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、チタン酸ニオブ、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウムなど)、ジルコン酸金属塩(ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸鉛など)など]など}、ガラス類(ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、クラウンガラス、バリウム含有ガラス、ストロンチウム含有ガラス、ホウ素含有ガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、シリカガラス、石英ガラス、耐熱ガラスなど)、ケイ素類(半導体ケイ素など)などが挙げられる。無機材料は、これらの無機材料と金属との複合材料(例えば、ほうろうなど)であってもよい。
絶縁性基板は、例えば、セラミックス基板、ガラス基板、シリコン基板、ほうろう基板などの耐熱性基板であってもよい。これらの耐熱性基板のうち、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、窒化ケイ素基板などのセラミックス基板が好ましい。
絶縁性基板は、通常、表面平滑な形状を有している。このような絶縁性基板の表面は、酸化処理[表面酸化処理、例えば、放電処理(コロナ放電処理、グロー放電など)、酸処理(クロム酸処理など)、紫外線照射処理、焔処理など]、表面凹凸処理(溶剤処理、サンドブラスト処理など)などの表面処理がされていてもよい。
絶縁性基板の平均厚みは、用途に応じて適宜選択すればよく、例えば0.01〜10mm、好ましくは0.05〜5mm、さらに好ましくは0.1〜1mm(特に0.2〜0.8mm)程度であってもよい。
(活性金属層)
接合層は、前記絶縁性基板の表面の少なくとも一部の領域に積層された薄膜であり、通常、表面導体層のパターン形状に対応した形状を有している。接合層は、必須の層として活性金属層(絶縁性基板との反応層)を含むことにより、活性金属層が絶縁性基板の構成成分と反応したり化合物を形成し、前記絶縁性基材と表面導体層との密着力を向上させている。
活性金属層は、活性金属又はこの活性金属を含む合金を含む。前記活性金属としては、絶縁性基板の構成成分と反応する金属や前記構成成分と化合物を形成でき、かつ表面導体層を構成する金属と異なる金属であればよく、例えば、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mn、Alなどが挙げられる。これらの活性金属は、単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、二種以上を組み合わせた合金であってもよい。
これらの活性金属のうち、Ti、Zr、Crを含む活性金属が好ましく、通常、これらの活性金属単体が汎用される。
さらに、活性金属は、簡便な膜構造であっても(特に、非透過層を形成することなく)、表面導体層の電気特性と、表面導体層と絶縁性基材との密着性とを両立できる点から、後述する非透過層を構成するバリア性金属(特に、Mo又はW)との合金であってもよい。活性金属とバリア性金属との合金において、バリア性金属の割合は、活性金属100質量部に対して200質量部以下であり、例えば1〜150質量部、好ましくは5〜150質量部、さらに好ましくは10〜100質量部程度である。バリア性金属の割合が多すぎると、絶縁性基板と活性金属層との密着性が低下する虞がある。
活性金属層は、活性金属を含んでいればよく、例えば、活性金属化合物であってもよいが、通常、活性金属単体、活性金属同士の合金、活性金属とバリア性金属との合金である。活性金属化合物としては、加熱により容易に活性金属が生成する化合物(例えば、TiH、ZrHなど)が好ましい。
活性金属層の平均厚みは0.005μm以上であってもよく、例えば0.005〜1.0μm、好ましくは0.01〜0.5μm、さらに好ましくは0.05〜0.3μm(特に0.08〜0.2μm)程度である。活性金属層の厚みが薄過ぎると、表面導体層と絶縁性基板との密着力が低下する虞がある。一方、活性金属層の厚みが厚過ぎると、表面導体層の導電性が損なわれる虞があるとともに、コスト的に不利である。
(非透過層)
接合層は、活性金属層単独で形成されていてもよいが、表面導体層の電気特性と、表面導体層と絶縁性基材との密着性とを高度に向上できる点から、前記活性金属層と表面導体層との間にさらに非透過層を介在させてもよい。接合層が活性金属層単独で形成されている場合、従来のメタライズ基板に対して、高い電気特性と密着性とを有しているが、活性金属層と表面導体層との間で起こる現象として、活性金属層が表面導体層の内部へ拡散すると表面導体層の電気特性が若干低下する虞がある。その一方で、表面導体層を構成する金属が活性金属層へ拡散し、さらに合金化すると絶縁性基板との密着性が若干低下する(拡散、合金化により活性金属膜が絶縁性基板から剥がれる)虞もある。そこで、本発明の効果を更に向上させるために、活性金属層と表面導体層との間に非透過層を介在させると、非透過層がバリアとなり、高温焼成時に活性金属層と表面導体層を構成する金属とが、相互に拡散するのを防止できる。さらに、活性金属層は、形成後、空気中に暴露すると活性金属が酸化され易く、接合層としての機能が低下する虞がある。これに対して、比較的酸化され難い金属を非透過層(バリア層)として被覆することで、活性金属の酸化を抑制できる。
非透過層は、バリア性金属又はこのバリア性金属を含む合金を含む。前記バリア性金属としては、前述のバリア性を有し、かつ表面導体層を構成する金属と異なっていれば特に限定されず、例えば、Mo、W、Ni、Pd、Ptなどが挙げられる。これらのバリア性金属は、単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、二種以上を組み合わせた合金であってもよい。
これらのバリア性金属のうち、導電性、安定性、表面導体層との密着性、バリア性から、Pd、Pt、Niが好ましく、通常、これらのバリア性金属単体が汎用される。
非透過層は、バリア性金属を含んでいればよく、例えば、バリア性金属化合物であってもよいが、通常、バリア性金属単体、バリア性金属同士の合金である。
非透過層の平均厚みは0.01μm以上であってもよく、例えば0.01〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.5μm、さらに好ましくは0.1〜0.3μm程度である。非透過層の厚みが薄過ぎると、活性金属層の効果が低下したり、表面導体層と絶縁性基板との密着性が低下する虞がある。非透過層の厚みが厚すぎると、コスト的に不利になる。
(親和層)
接合層は、表面導体層と絶縁性基板との密着性をより向上させるために、表面導体層と接する最表面に親和層(表面導体層との親和性を高める層)を含んでいてもよい。親和層は、表面導体層と接触すればよく、活性金属層の上に積層してもよく、非透過層の上に形成してもよい。親和層を表面導体層と接触させることにより、表面導体層との親和性(濡れ性)が高まり、表面導体層と絶縁性基板(詳しくは、活性金属層又は非透過層)とを良好に接合できる。なお、非透過層の金属が親和層の性質をも有する金属である場合は、非透過層は親和層を兼ねることもできる。
親和層は、親和層と接触する層(非透過層又は活性金属層)を形成する金属と異なる金属であり、かつ表面導体層に含まれる金属と同一又は合金化可能な金属(親和用金属)を含む。親和用金属としては、例えば、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Alなどが挙げられる。これらの親和用金属は、単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、二種以上を組み合わせた合金であってもよい。
これらの親和用金属のうち、表面導体層に含まれる金属と同一の金属が好ましい。好ましい親和用金属は、例えば、Ni、Cu、Ag、Au、Alを含む金属であってもよく、通常、これらの金属単体が汎用される。これらの親和用金属は、表面導体層として通常使用される高導電性金属であり、特に、表面導体層に含まれる金属と同一である場合、濡れ性及び密着性を向上できるため、絶縁性基板とより強固に密着できる。
親和層は、親和用金属を含んでいればよく、例えば、親和用金属化合物であってもよいが、通常、親和用金属単体、親和用金属同士の合金である。
親和層の平均厚みは0.01μm以上であってもよく、例えば0.01〜0.5μm、好ましくは0.1〜0.3μm、さらに好ましくは0.15〜0.25μm程度である。親和層の厚みが薄過ぎると、親和層を形成する効果が低下する虞がある。
接合層の平均厚みは0.05μm以上であってもよく、例えば0.1〜1μm、好ましくは0.2〜0.8μm、さらに好ましくは0.3〜0.5μm程度である。
(表面導体層)
表面導体層(又は表面導体膜)は、前記接合層に積層されており、導体(特に焼結導体)を含み、かつ多孔質構造を有することにより、メタライズ基板として高導電性を実現できる。表面導体層は、少なくとも一部の領域で接合層を介在して絶縁性基板に積層されていればよく、接合層を介さずに絶縁性基板に直接表面導体層が積層されている領域が存在してもよい。例えば、経済性を向上させるために、高度な密着力やパターン精度が要求される領域(通常は表面)には接合層を介在させ、高度に要求されない領域(通常は裏面)では接合層を介在させなくてもよい。メタライズ基板の性能の点からは、全ての表面導体層が接合層を介在して絶縁性基板に積層されるのが好ましい。
表面導体層に含まれる導体は、導電性を有する限り特に限定されないが、通常、導電性金属又はこの導電性金属を含む合金である。導電性金属としては、例えば、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Alなどが挙げられる。これらの金属は、単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、二種以上を組み合わせた合金であってもよい。これらのうち、導電性、信頼性、経済性などの点から、Cu又はAgが好ましい。導体は、焼結導体であってもよい。
表面導体層は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、半導体や絶縁体などの非導体(例えば、セラミックなどの充填材、焼成後に残存した有機ビヒクル、ガラス成分などの無機バインダーなど)を含んでいてもよい。表面導体層中の導体の割合は50質量%以上であってもよく、例えば90質量%、好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、特に100質量%(導体単独で形成)であってもよい。表面導体層は、前述のように、接合層を介在させることにより、ガラス成分などの無機バインダーを含まなくても絶縁性基板との密着性を向上できる。そのため、表面導体層は、無機バインダー(特にガラス成分)を実質的に含まなくてもよく、ガラス成分を含まないのが好ましい。無機バインダー(特にガラス成分)の割合は、導体100質量部に対して1質量部以下(特に0.1質量部以下)であり、ガラス成分の割合が多すぎると、密着性及び電気特性が低下する虞がある。
また、表面導体層は、多孔質構造を有する多孔質体であるため、表面導体層の弾性率が低く、表面導体層と絶縁性基板との熱膨張率の差によって生じる熱応力が緩和され、耐熱衝撃性を向上できる。多孔質体の多孔質構造は、特に限定されず、連通性気孔構造、独立性気孔構造、この両者の混合構造のいずれであってもよい。表面導体層の気密性や、メッキ液に対するバリア性から、独立性気孔構造が好ましい。特に、導体ペースト(金属ペースト又は導電性ペースト)を用いて得られた表面導体層は、焼成によって生じた多孔質体(焼結体)であってもよい。多孔質体の平均孔径は、例えば0.01〜5μm、好ましくは0.05〜3μm、さらに好ましくは0.1〜2μm程度である。多孔質体の空隙率は、例えば1〜40体積%、好ましくは5〜30体積%、さらに好ましくは10〜20体積%程度である。空隙率が大きすぎると、導電性が低下する虞があり、小さすぎると、耐熱衝撃性が低下する虞がある。
なお、多孔質体の平均孔径は、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)観察に基づいて測定できる。また、多孔質体の空隙率は、導体ペースト中に含まれる有機成分体積率及び焼成収縮率に基づいて測定でき、詳しくは後述する実施例に記載の方法で測定できる。
さらに、表面導体層は、薄膜である接合層に比べて厚膜であり、表面導体層を形成するにあたり、薄膜法による接合層の形成と厚膜法による表面導体層の形成とを組み合わせて、導体パターンを形成できる。そのため、接合層により、表面導体層は、ガラス成分を用いなくても絶縁性基板との高い密着性を実現できる。本発明では、このような構成により、前記特徴に加えて、密着性、信頼性、導電性(大電流対応)、パターン精度、コストなどの全ての面において特徴を発揮できる。
表面導体層の膜厚は、必要な電流量に応じて設定すればよく、本発明では表面導体層が多孔質体であるため、従来の方法では形成が困難であった厚膜、例えば、200μm以上でも高い信頼性を有する超厚膜の形成も可能である。表面導体層の平均厚みは0.5μm以上であってもよく、例えば1〜1000μm、好ましくは2〜600μm(例えば3〜500μm)、さらに好ましくは4〜300μm(特に5〜200μm)程度である。表面導体層の厚みが薄過ぎると、電気特性や耐メッキ性が低下する虞がある。表面導体層の厚みが厚すぎると、コスト的に不利になる。
表面導体層は接合層に比べて厚肉であり、表面導体層の平均厚みは、接合層の平均厚みに対して3〜5000倍程度の範囲から選択でき、例えば5〜3000倍(例えば5〜1000倍)、好ましくは8〜2000倍(例えば10〜1500倍)、さらに好ましくは10〜1000倍(特に15〜500倍)程度である。表面導体層の厚み比が小さ過ぎると、電気特性が低下する虞があり、逆に厚過ぎると、コスト的に不利である。
(メッキ層)
本発明のメタライズ基板は、前記表面導体層にさらにメッキ層が積層されていてもよい。メッキ層としては、金属種は特に限定されず、例えば、銅メッキ、ニッケルメッキ、銀メッキ、ニッケル金メッキ、ニッケルパラジウム金メッキ、錫メッキ、はんだメッキなどが挙げられる。これらのうち、金、銀、パラジウム、白金などの貴金属を含むメッキ層が好ましく、特に、第2のエッチング工程としてリフトオフ法でパターンを形成する場合に有効である。
メッキ層は、乾式メッキ層であってもよいが、膜厚を容易に調整できる湿式メッキ層が好ましい。湿式メッキとしては、例えば、電気メッキ、無電解メッキなどが挙げられる。さらに、メッキ方法としては、メッキ金属種やメッキ膜厚を幅広く選択できる点から、電気メッキが特に好ましい。
メッキ層の平均厚み(複数のメッキ層を積層する場合、総厚み)は、例えば0.5〜30μm、好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは1.5〜5μm(特に2〜4μm)程度である。
[メタライズ基板の製造方法]
本発明のメタライズ基板は、絶縁性基板の表面に、活性金属層を含む接合層を形成する接合層形成工程、接合層の上に、金属粒子及び有機ビヒクルを含む表面導体層用導体ペーストを塗布する導体塗布工程、塗布した前記導体ペーストに含まれる金属粒子の焼結温度以上に加熱して導体ペーストを焼成し、導体を含み、かつ多孔質構造を有する表面導体層を形成する導体焼成工程を経て得てもよい。
(接合層形成工程)
接合層形成工程では、絶縁性基板の表面に、活性金属層を含む接合層を積層すればよく、活性金属層を形成した後、活性金属層の上に、さらに非透過層及び/又は親和層を積層してもよい。
また、接合層は絶縁性基板の表面全面に形成してもよく、絶縁性基板の表面にパターン形状で形成してもよい。パターンを形成する方法としては、慣用の方法を利用でき、例えば、マスクを用いる方法、フォトレジストパターンを基板表面に形成した後、露出部に接合層を形成する方法、基板表面の全面に接合層を形成した後、フォトリソグラフィーとエッチングとでパターンを形成する方法などが挙げられる。
接合層の形成方法としては、物理蒸着法(PVD法)、化学蒸着法(CVD法)などを利用できるが、容易に金属膜を形成できる点から、物理蒸着法が好ましい。物理蒸着法としては、例えば、真空蒸着法、フラッシュ蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子線エピタキシー法、レーザーアブレーション法などが挙げられる。これらのうち、安定して大量に処理できる点から、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法が好ましい。また、物理的なエネルギーが高く、形成された金属膜と絶縁性基板との間の密着力を向上できる点から、スパッタリング法が特に好ましい。スパッタリング法は、慣用の条件で利用できる。
(導体塗布工程)
導体塗布工程では、接合層の上に、金属粒子及び有機ビヒクルを含む表面導体層用導体ペースト(金属ペースト又は導電性ペースト)を塗布する。
導体ペーストとしては、前記導電性金属で形成された金属粒子を含む。金属粒子の平均粒径(中心粒径)は、100μm以下(特に50μm以下)程度であり、例えば0.001〜50μm、好ましくは0.01〜20μm、さらに好ましくは0.1〜10μm程度である。特に、金属粒子がCu粒子である場合、金属粒子の平均粒径は、例えば0.1〜3μm、好ましくは0.2〜2μm、さらに好ましくは0.3〜1μm程度である。金属粒子がAg粒子である場合、金属粒子の平均粒径は、例えば0.1〜2μm、好ましくは0.1〜1.5μm、さらに好ましくは0.1〜1μm程度である。金属粒子の平均粒径が小さすぎると、導体ペーストの粘度が上昇して取り扱い性が困難となる虞があり、大きすぎると、緻密性向上効果が低下する虞がある。
金属粒子は、ペースト中の金属含有量を向上でき、表面導体層の緻密性及び導電性を向上できる点から、粒径1μm未満(例えば1nm以上1μm未満)の金属小粒子と粒径1〜50μmの金属大粒子とを組み合わせてもよい。金属小粒子の平均粒径(中心粒径)は0.01〜0.9μm(特に0.1〜0.8μm)程度の範囲から選択できる。金属大粒子の平均粒径(中心粒径)は1.5〜30μm(特に2〜10μm)程度の範囲から選択できる。金属小粒子と金属大粒子との配合比は、体積比として、例えば、金属小粒子/金属大粒子=10/90〜50/50、好ましくは20/80〜40/60、さらに好ましくは25/75〜35/65程度である。
金属粒子の粒径の測定方法としては、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置や透過型電子顕微鏡(TEM)で測定でき、詳しくは後述する実施例に記載の方法で測定できる。
有機ビヒクルには、有機バインダー、分散媒(有機溶媒)などが含まれる。なお、前述の金属コロイド粒子に含まれる保護コロイド(カルボン酸や高分子分散剤など)も有機ビヒクルに含まれる。有機ビヒクルは、有機バインダーと分散媒との組み合わせであってもよい。
有機バインダーとしては、例えば、熱可塑性樹脂(オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体など)、熱硬化性樹脂(熱硬化性アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂など)などが挙げられる。これらの有機バインダーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの有機バインダーのうち、アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートなど)、セルロース誘導体(ニトロセルロース、エチルセルロース、ブチルセルロース、酢酸セルロースなど)、ポリエーテル類(ポリオキシメチレンなど)、ポリビニル類(ポリブタジエン、ポリイソプレンなど)などが汎用され、熱分解性などの点から、ポリ(メタ)アクリル酸メチルやポリ(メタ)アクリル酸ブチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−10アルキルエステルが好ましい。
分散媒としては、例えば、芳香族炭化水素(パラキシレンなど)、エステル類(乳酸エチルなど)、ケトン類(イソホロンなど)、アミド類(ジメチルホルムアミドなど)、脂肪族アルコール(オクタノール、デカノール、ジアセトンアルコールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類(エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなど)、カルビトール類(カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトールなど)、カルビトールアセテート類(エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなど)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、トリエチレングリコール、グリセリンなど)、脂環族アルコール類[例えば、シクロヘキサノールなどのシクロアルカノール類;テルピネオール、ジヒドロテルピネオールなどのテルペンアルコール類(モノテルペンアルコールなど)など]、芳香族アルコール類(メタクレゾールなど)、芳香族カルボン酸エステル類(ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど)、窒素含有複素環化合物(ジメチルイミダゾール、ジメチルイミダゾリジノンなど)などが挙げられる。これらの分散媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの分散媒のうち、ペーストの流動性や塗布性などの点から、ペンタンジオールなどの脂肪族多価アルコール、テルピネオールなどの脂環族アルコールが好ましい。
有機バインダーと分散媒とを組み合わせる場合、有機バインダーの割合は、分散媒100質量部に対して、例えば1〜200質量部、好ましくは5〜100質量部、さらに好ましくは10〜50質量部程度である。
有機ビヒクルの割合は、金属粒子100質量部に対して50質量部以下であってもよく、例えば1〜50質量部、好ましくは3〜40質量部、さらに好ましくは5〜30質量部(特に10〜20質量部)程度である。有機ビヒクルの割合が大きすぎると、塗布後の乾燥や焼成による導体ペーストの収縮率が大きくなり、隙間が発生する虞がある。
導体ペーストは、焼結挙動、熱膨張係数、密着力の調整などの目的で、さらに充填材や無機バインダーを含んでいてもよい。充填材としてはアルミナ粉、シリカ粉など、無機バインダーとしては、例えば、低融点のガラス粉などが挙げられる。
導電性ペーストの塗布方法としては、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー塗布、ローラーコーター塗布、スピンコート塗布、スプレー塗布、浸漬(ディップ)塗布などを利用できる。印刷(塗布)形状は、全面塗布(ベタ印刷)であってもよく、直接パターン印刷であってもよい。直接パターン印刷ではパターン形状の精度が低下する虞があるが、工程が簡素であり、かつ低コストである。また、接合層をパターン形状に形成した場合は、接合層のパターンの上に、スクリーン印刷などにより、接合層のパターンと同一の形状を印刷してもよい。
導体塗布工程において、導体ペーストの塗布前に、接合層を備えた絶縁性基板を不活性ガス雰囲気中で加熱してアニール処理してもよい。アニール処理は、必須ではないが、接合層の種類によっては、アニール処理することなく、焼成工程に供して前記絶縁性基板を高温で焼成すると、焼成時に導体ペーストの金属と接合層とが合金化し、接合層が表面導体層に取り込まれて消失することにより、表面導体層部と絶縁性基板との密着力が低下する虞がある。一方、アニール処理に供することにより、接合層の活性金属は導体ペーストの金属との合金化よりも、絶縁性基板の表面と優先的に反応し、表面に強固な接合層を形成して密着力が向上するとともに、接合層中の異なる金属の合金化も起こる。その結果、導体ペースト焼成時の接合層の金属成分と導体ペーストの金属との合金化を抑制でき、密着力を向上できる。
アニール処理における加熱温度は、400℃以上であり、かつ接合層を構成する全ての金属種の中で最も低融点の金属の融点、及び接合層を構成する合金の融点のいずれか低い方の融点以下の温度であればよく、金属種に応じて選択できる。具体的な加熱温度は、例えば400〜1500℃、好ましくは500〜1200℃、さらに好ましくは600〜1100℃(特に700〜1000℃)程度である。加熱温度が低すぎると、接合層と絶縁性基板との密着力を向上する効果が小さくなる虞があり、高すぎると、金属成分が溶融移動して接合層の均一性が低下したり、基板素地の一部が露出する虞がある。
加熱時間は、例えば1分以上であってもよく、例えば1分〜1時間、好ましくは3〜30分、さらに好ましくは5〜20分程度である。加熱時間が短すぎると、接合層と基板との密着力を向上する効果が小さくなる虞がある。
アニール処理は、空気中などの活性ガス雰囲気下で行ってもよいが、活性金属が酸化せず接合層を効率よく形成して基板との密着性を向上できる点から、真空中や不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなど)雰囲気中で行うのが好ましい。
(導体焼成工程)
導体焼成工程では、塗布した前記導体ペーストに含まれる金属粒子の焼結温度以上に加熱して導体ペーストを焼成し、表面導体層を形成する。
導体焼成工程において、焼成温度は、表面導体層用導電性ペースト中の金属粒子の焼結温度以上であればよい。焼成温度は、例えば、500℃以上であってもよく、例えば500〜1500℃、好ましくは550〜1200℃、さらに好ましくは600〜1000℃程度である。焼成時間は、例えば10分〜3時間、好ましくは20分〜3時間、さらに好ましくは30分〜2時間程度である。
なお、焼成の雰囲気は、金属粒子の種類に応じて選択でき、Agなどの貴金属粒子では、特に限定されず、空気中であってもよいが、Cuなどの金属粒子では、通常、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなど)雰囲気中が好ましい。
(エッチング工程)
接合層形成工程や導体塗布工程において、パターンを形成しない場合、通常、焼成して得られた表面導体層はエッチング工程に供される。エッチング工程では、レジストパターンを利用して表面導体層及び接合層にパターンが形成される。エッチング工程には、レジストパータンを表面導体層及び接合層のパターンとして形成する第1のエッチング工程や、レジストパターンを除く領域を表面導体層及び接合層のパターンとして形成する第2のエッチング工程(リフトオフ法)などが含まれる。
詳しくは、第1のエッチング工程では、導体焼成工程で得られた表面導体層の上にレジストパターンを形成した後、レジストパターンが形成されていない露出領域の表面導体層及び接合層を除去し、さらにレジストパターンを除去する。一方、第2のエッチング工程(リフトオフ法)では、導体焼成工程で得られた表面導体層の上にレジストパターンを形成した後、レジストパターンが形成されていない露出領域の表面導体層の表面に貴金属を含むメッキ層を形成した後、レジストパターンを剥離し、メッキ層が形成されてない露出領域の表面導体層及び接合層を除去する。レジストパターンを形成してエッチング処理を行うことにより、直接印刷法で対応できない微細なパターンや高精度なパターンの形成が可能になる。
レジストパターンの形成方法としては、特に限定されず、慣用の方法を利用でき、例えば、レジストの直接パターン印刷、又はリソグラフィー法などを利用できる。
表面導体層及び接合層の除去方法としては、特に限定されず、慣用の方法を利用でき、例えば、湿式エッチング、ドライエッチング、ブラスト、レーザーなどが挙げられる。
レジストパターンの除去方法としては、特に限定されず、慣用の方法を利用でき、例えば、剥離除去などが挙げられる。
第2のエッチング工程において、貴金属を含むメッキ層の形成方法としては、後述するメッキ工程と同様の方法を利用できる。
なお、表面導体層及び接合層が、全面塗布(ベタ印刷)ではなく、直接パターン印刷で形成される場合にはエッチング工程は不要である。
(接合層除去工程)
導体塗布工程において、表面導体層用導体ペーストをパターン印刷した場合、接合層除去工程において、形成されたパターンにおいて隣り合う表面導体層と表面導体層との間に存在する接合層を除去してパターン間の絶縁性を実現する。
接合層の除去方法としては、特に限定されず、慣用の方法を利用でき、例えば、湿式エッチング、ドライエッチング、ブラスト、レーザーなどが挙げられる。
(メッキ工程)
得られた表面導体層は、リフトオフ法で表面導体層にメッキ層を形成した場合を除き、更なる導電性の向上や、酸化防止や半田濡れ性向上などの要求に応じて、メッキ処理される。メッキ方法としては、特に限定されず、慣用の方法を利用でき、例えば、電気メッキ法、無電解メッキ法などの化学メッキ法などを利用できる。電気メッキ法としては、特に限定されず、メッキ種に応じてメッキ薬品メーカの推奨条件で行えばよい。無電解メッキの方法としては、特に限定されず、メッキ種に応じて慣用の条件で行えばよい。
なお、エッチング工程とメッキ工程との順番を逆にしてもよい。その場合、レジスト膜を形成した後、露出部に対してメッキを行う(この場合レジスト膜はエッチングレジストではなく、メッキレジストである)。メッキ後にレジスト膜を剥離除去し、レジスト膜の剥離により露出した導体膜をエッチングにより除去する。この場合、最上層のメッキ膜がAuなどで形成された耐エッチング性を有する層であれば、メッキ膜自身がエッチングレジストとして機能する。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた導体ペーストの調製方法、実施例及び比較例で得られた配線基板の評価試験の測定方法を以下に示す。
[導体ペーストの調製方法]
(原料)
中心粒径(D50)7μmのCu粒子:三井金属鉱業(株)製
中心粒径(D50)0.8μmのCu粒子:三井金属鉱業(株)製
中心粒径(D50)0.25μmのAg粒子:三井金属鉱業(株)製
ガラス粒子:平均粒径3μmのホウケイ酸亜鉛系ガラス粉末、軟化点565℃
有機ビヒクル:有機バインダーであるアクリル樹脂と、有機溶媒であるカルビトール及びテルピネオールの混合溶媒(質量比1:1)とを、有機バインダー:有機溶媒=1:3の質量比で混合した混合物。
(導体ペーストの調製例)
表1及び2に示す組成で各原料を秤量し、ミキサーにより混合した後、三本ロールで均一に混練することによって、表面導体層用Cuペースト、表面導体層用Agペーストを調製した。
[導体の空隙率]
導体ペースト中に含まれる有機成分の割合(体積率)及び焼成による収縮率に基づいて、下記式によって算出した。
空隙率(v/v%)=(導体ペースト中の有機成分体積率−焼成収縮率)/(1−焼成収縮率)×100
(式中、焼成収縮率(v/v%)=[(印刷後膜厚−焼成後膜厚)/印刷後膜厚]×100である)。
Figure 2017201686
Figure 2017201686
本発明において、表面導体層用ペーストは活性金属接合層上に形成するため、セラミックス基板と密着するためのガラス成分を配合する必要がない。一方、表面導体層用CuペーストBは、基板表面に活性金属接合層を形成しない比較例に使用するペーストとして、基板と密着するようにガラス成分を配合した。
[金属粒子の平均粒径]
Cu粒子及びAg粒子の平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定した。
[金属膜の厚み]
活性金属層及びバリア層について、蛍光X線膜厚計により、5点の平均厚みを測定した。
[密着力試験(密着性)]
基板表面に形成した2×2mm角の導体パターンに対して、先端部面積1mmのスタッドピンをハンダ(63Sn/37Pb)により垂直に接合し、試験片とした。その試験片(焼成基板)を固定し、引張試験機のチャック部でスタッドピンを掴み、上昇速度33mm/分で垂直上方へ引っ張り、導体膜(表面導体層)が絶縁性基板から剥離する時の破壊荷重を測定した。そして、得られた破壊荷重の測定値と、導体膜の破壊面積から、下記式を用いて密着強度を算出した。
密着強度(MPa)=破壊荷重(kgf)/破壊面積(mm)×9.8(N/kgf)。
なお、測定値は6点の平均とした。密着力は、算出した密着強度の平均値について、以下の基準で評価した。
○:50MPa以上
×:50MPa未満。
[エッチング適性試験(エッチング性)]
エッチング後のパターンを60倍の顕微鏡により観察し、パターン形状や導体の除去状況を確認し、以下の基準で評価した。
○(合格):パターン形状は矩形で、パターンの裾まで導体膜と接合層がきれいに除去されていた
×(不合格):基板表面や裾部に導体膜又は接合層の残留物が存在した。
以下、種々の条件を変えて効果を検証した結果を、実施例1〜23及び比較例1〜3として説明する。また、得られた耐熱試験、密着力試験及びエッチング適性試験の結果を表3及び4に示す。
実施例1
以下に示す方法で、配線基板を作製した。
(接合層の形成工程)
2インチ×2インチ×0.635mm厚みのAlN基板((株)MARUWA製)の片面全面にスパッタリング法により活性金属層として厚み100nmのTi膜、バリア層として厚み150nmのPd膜をこの順で積層し、接合層を形成した。スパッタリング条件は、導入ガス:アルゴン、スパッタ圧力:0.5Pa、基板加熱温度:300℃とした。
(表面導体層(Cu)の形成工程)
接合層を形成した基板の片面に、表1に示す表面導体層用CuペーストA(Cu−A)を、250メッシュ、線径30μmのステンレス版を用いて全面に印刷した後、120℃、20分間乾燥した。基板を窒素雰囲気中、ピーク温度700℃、ピーク保持時間10分間焼成し、片面に膜厚約8μmの表面導体層(Cu膜)を焼き付けたメタライズ基板を得た。
(エッチングレジストパターンの形成)
基板表面の不要な部分の導体膜を除去して所要のパターンを形成するために、基板片面のCu膜の表面に不要な部分が露出するようにエッチングレジストをパターン印刷し、120℃、30分乾燥してエッチング用レジスト膜を形成した。レジスト膜は、基板表面の導電膜の密着力を評価するための2mm×2mmのパターンなど必要な部分を隠すように形成している。
(エッチング)
前記エッチングレジスト膜を形成した基板の露出したCu膜及びその下地接合層であるTi/Pd膜を、Cu/Pd/Tiを溶解できるエッチング液(和光純薬工業(株)製「TCL−2シリーズ」)に浸漬し除去した。その後、エッチングレジスト膜を剥離除去し、表面に所要な導体パターンが残留した配線基板を得た。
配線基板の形成は完了したが、Cu膜表面の酸化防止や、半田濡れ性、ワイヤボンディング性の向上などの目的に、導体パターンの最表面にメッキ膜を形成した。
(Cu膜表面のNi/Auメッキ)
基板表面のCu膜に電気メッキによりニッケルメッキ膜、金メッキ膜をこの順で形成した。ニッケルメッキ膜はワット浴を用いて、電流密度2.0A/dm、65℃の温度下で電気メッキを行い、2μm厚みのニッケル膜を形成した。金メッキ膜は、純金浴を用い、電流密度0.5A/dm、70℃の温度下で行い、1μmの金膜を形成した。
(評価)
前記工程で得られた配線基板を、表面導体層と基板間の密着力を評価する密着力試験及びエッチングによりパターンを形成する際、導体膜が良好にエッチングされているかのエッチング性の評価を行った。その結果、全ての評価項目において良好な結果が得られた。
実施例2〜3
表面導体層用Cu膜の印刷を、印刷版を変更して焼成Cu膜厚をそれぞれ5μm及び12μmに変更した以外は実施例1と同一の方法で配線基板を作製した。両方のCu厚膜においても、耐熱性、密着力、エッチング性において有意差がなく、全て良好であった。従って、本発明では、要求に応じてCu膜厚を安価且つ容易に調整できる。
比較例1
接合層形成工程において、活性金属層(Ti膜)の形成を行わない以外は実施例1と同一の工法で配線基板を作製した。
比較例2
接合層形成工程において、Ti膜とPd膜の形成を全て行わない以外は実施例1と同一の工法で配線基板を作製した。
比較例1は、基板との密着力に寄与する活性金属層が存在しないため、表面導体層の密着力が12MPaと非常に低く、エッチング中に一部の剥離が発生した。比較例2は、Ti膜とPd膜ともに存在しないため、Cuペースト膜が殆ど密着せず、容易に剥がれた。
これらの結果から、表面導体層用CuペーストAは、基板と反応して結合できる活性金属層が存在しない比較例1及び2では、表面Cu膜の密着性が得られないことが判明した。
比較例3
表面導体層用CuペーストAの代わりに表面導体層用CuペーストBを使用した以外は比較例2と同一の方法で配線基板を作製した。CuペーストBにはガラス成分が配合しているため、活性金属層が存在しなくても基板と一定の密着力が得られる。また、CuペーストBの密着力を向上させるために、焼成温度は900℃にした。その結果、表面導体層が基板との密着力は、38MPaであり、活性金属接合層を有する実施例と比べると明らかに低かった。また、エッチング後に基板表面に銅膜の残留物が存在した。SEM−EDS分析により、エッチング残留物は主に銅ペースト中のガラス成分であり、Cu成分も残留物中に残存していることが分かった。これらの残留物は、基板の絶縁信頼性に悪影響を与える虞がある。
実施例4及び5
活性金属種としてTiの代わりにCr、Zrを使用した以外は実施例1と同一の方法で配線基板を作製した。密着力は多少低めの傾向があるものの、十分良好であった。
実施例6及び7
接合層形成工程において、バリア金属としてPdの代わりにPt、Niを使用した以外は実施例1と同一の方法で配線基板を作製した。全ての項目に良好な結果を得た。
実施例8
接合層形成工程に、Ti、Pdの順で膜を形成した後、引き続きスパッタリング法によりPd膜の表面に親和層としてCuを0.2μm成膜した以外は実施例1と同一の方法で配線基板を作製した。その結果、耐熱性及びエッチング性は他の実施例と殆ど同じであるが、密着力は高くなった。密着力が向上した原因は、スパッタリング法によるCu膜(親和層)と、表面導体層となるCuペーストとを焼成時に一体化したためであると推定できる。
実施例9
接合層を形成した後、表面導体層用Cuペーストを印刷する前に、接合層を有する基板を窒素雰囲気中、ピーク温度700℃、ピーク温度保持時間10分間でアニール処理を行った以外は実施例1と同一の方法で配線基板を作製した。
実施例10
接合層を形成した後、表面導体層用Cuペーストを印刷する前に、接合層を有する基板を窒素雰囲気中、ピーク温度700℃、ピーク温度保持時間10分間でアニール処理を行った以外は実施例8と同一の方法で配線基板を作製した。
その結果、接合層のアニール処理により、導体膜の密着力は、実施例9及び10において、それぞれ82MPa、85MPaと一層向上した。密着力が向上した原因は、アニール処理により活性金属が優先的に基板と反応したためであると推定できる。一方、アニール処理せずに表面導体層用Cuペーストを印刷して同時に焼成すると、活性金属を含む接合層の金属成分の一部がCuペースト層へ拡散、合金化し、基板と反応する活性金属が減少すると推定できる。
実施例11及び12
耐熱基板を、AlN基板の代わりに、それぞれアルミナ基板(京セラ(株)製「96%アルミナ」)、窒化珪素基板(東芝マテリアル(株)製)に変更した以外は実施例1と同一の方法で配線基板を作製した。2種の配線基板とも、全ての評価項目において良好であった。
実施例13
接合層を形成工程において、Pd金属膜(バリア層)を形成しない以外は実施例1と同一の方法で配線基板を作製した。その結果、実施例1と比較して導体膜密着力は53MPaと低下したが、耐熱性及びエッチング性は良好であった。密着性も通常のメタライズ膜として十分である。
実施例14
接合層形成工程において、Ti膜(活性金属層)を形成した後、Pd膜(バリア層)を形成せず、スパッタリング法によりCu膜(表面層)を形成した以外は実施例1と同一の方法で配線基板を作製した。その結果、全ての評価項目は良好であったが、スパッタリング法によるCu膜のない実施例13と比較して、密着力が向上した。Ti膜上のスパッタリング法によるCu薄膜は、接合層形成後に空気中に暴露する時のTi膜の酸化を防止すると共に、Ti膜に対する表面導体層用Cuペーストの濡れ性を向上させる効果があったため、密着力が向上したと推定できる。
実施例15〜18
接合層形成工程において、Ti膜(活性金属層)の厚みを、それぞれ0.2μm、0.15μm、0.05μm及び0.02μmにした以外は実施例1と同一の方法で配線基板を作製した。その結果、膜厚0.15μm及び0.2μmは、実施例1の膜厚0.1μmと殆ど違いはなかったが、膜厚が0.05μm、0.02μmに薄くなるにつれて、密着力が低下する傾向が見られた。しかし、膜厚0.02μmの場合においても、活性金属膜がない比較例3と比べ、密着力は格段に高い。
実施例19
表面導体層の形成工程において、表面導体層用CuペーストAの代わりに表2に示す表面導体層用Agペーストを用い、600℃の大気中で60分間焼成した以外は実施例1と同一の方法で配線基板を作製した。表面導体層用ペーストをCuからAgへと変更しても、全ての特性において良好であった。
実施例20
実施例1の接合層の形成工程において、スパッタリング法により接合層を形成した後、表面導体層の形成工程では、接合層表面への表面導体層用CuペーストAの印刷は、基板片面に対して、全面印刷ではなく、スクリーン版を用いて直接指定形状のパターンを印刷した。その後、120℃、20分間乾燥した。基板を窒素雰囲気中、ピーク温度700℃、ピーク保持時間10分間焼成し、片面に膜厚約9μmの表面導体層(Cu膜)を有するメタライズ基板を得た。その後、基板をエッチング液に浸漬しCuパターン間に存在する接合層を溶解除去した。エッチングレジストを塗布しなかったため、Cuパターン膜も少し溶解されるが、Ti、Pdに対するエッチングレートがCuより高いエッチング液を使用すると共に、接合層の膜厚が薄いため、Cu膜の変化は少なかった。
その後のメッキ工程は、実施例1と同一の方法で行い、配線基板を得た。この工法でも全ての特性において良好であった。なお、パターン形状はかまぼこ状であり、実施例20のパターン形状よりも実施例1のパターン形状の方が優れていた。
実施例21
接合層の形成方法として、スパッタリング法の代わりに真空蒸着法を使用した以外は実施例1と同一の方法で配線基板を得た。真空蒸着は、真空度2×10-3Pa、基板加熱温度300℃で行った。耐熱性、密着力、エッチング性ともスパッタ法と殆ど差がなく、全て良好であった。
実施例22
実施例1と同様にして、接合層の形成工程、表面導体層(Cu)の形成工程を経て、片面に膜厚約8μmの表面導体層(Cu膜)を焼き付けたメタライズ基板を得た。得られたメタライズ基板のCu膜の表面にメッキ用レジストパターンを形成した。メッキ用レジストパターンは、エッチングレジストパターンとは逆に、配線として保留するCu膜を露出し、除去すべき領域のCu膜をレジストでカバーした。露出したCu膜に対して、実施例1と同一の方法でNi/Auメッキを施した。Cu膜がメッキされた基板からレジスト膜を剥離し、エッチングによりメッキを施してない領域のCu/Pd/Ti銅膜を除去した。すなわち、エッチングの際、表面のNi/Au膜をレジストとして機能させた。得られた基板の性能評価結果は、実施例1と同じであった。
実施例23
実施例1の接合層の形成工程において、スパッタリング法により接合層を形成した後、Cuペーストの印刷による表面導体層の形成工程を実施せず、そのままエッチングレジストパターンを形成した。露出した接合層をエッチングにより除去した後、エッチングレジストを剥離・除去し、接合層からなる導体パターンを得た。この導体パターンに積層するように、スクリーン版を用いて表面導体層用CuペーストAで接合層パターンと同じ形状のCu膜を印刷した。接合層にCu膜を印刷した基板を120℃、20分間乾燥した後、窒素雰囲気中、ピーク温度700℃、ピーク保持時間10分間焼成し、膜厚約9μmの表面導体(Cu膜)パターンを有するメタライズ基板を得た。得られたメタライズ基板を、実施例1と同一の方法でメッキ工程に供し、両面配線基板を得た。この工法でも全ての特性において良好であった。なお、パターン形状はかまぼこ状であった。
Figure 2017201686
Figure 2017201686
本発明のメタライズ基板は、回路基板、電子部品、半導体パッケージの基板などの電子基板として利用できる。

Claims (21)

  1. 絶縁性基板と、この絶縁性基板の表面の少なくとも一部の領域に積層され、かつ活性金属層を含む接合層と、この接合層に積層され、導体を含み、かつ多孔質構造を有する表面導体層とを含むメタライズ基板。
  2. 活性金属層が、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mn及びAlからなる群より選択された少なくとも1種の活性金属又はこの活性金属を含む合金を含む請求項1記載のメタライズ基板。
  3. 接合層が、さらに非透過層を含み、この非透過層が、Mo、W、Ni、Pd及びPtからなる群より選択された少なくとも1種のバリア性金属又はこのバリア性金属を含む合金を含み、かつ前記非透過層が、活性金属層と表面導体層との間に介在する請求項1又は2記載のメタライズ基板。
  4. 接合層が、さらに親和層を含み、この親和層が、表面導体層に含まれる金属と同一又は合金化可能な金属を含み、かつ前記親和層が表面導体層と接している請求項1〜3のいずれかに記載のメタライズ基板。
  5. 表面導体層に含まれる導体が、Ni、Pt、Cu、Ag、Au及びAlからなる群より選択された少なくとも1種の導電性金属又はこの導電性金属を含む合金を含む請求項1〜4のいずれかに記載のメタライズ基板。
  6. 表面導体層の空隙率が5〜30体積%である請求項1〜5のいずれかに記載のメタライズ基板。
  7. 表面導体層が、ガラス成分を含まない請求項1〜6のいずれかに記載のメタライズ基板。
  8. 表面導体層の平均厚みが、接合層の平均厚みに対して5〜1000倍である請求項1〜7のいずれかに記載のメタライズ基板。
  9. 絶縁性基板が、セラミックス基板である請求項1〜8のいずれかに記載のメタライズ基板。
  10. 表面導体層にさらにメッキ層が積層されている請求項1〜9のいずれかに記載のメタライズ基板。
  11. メッキ層が湿式メッキ層である請求項10記載のメタライズ基板。
  12. 電子基板である請求項1〜11のいずれかに記載のメタライズ基板。
  13. 絶縁性基板の表面に、活性金属層を含む接合層を積層する接合層形成工程、接合層の上に、金属粒子及び有機ビヒクルを含む表面導体層用導体ペーストを塗布する導体塗布工程、塗布した前記導体ペーストに含まれる金属粒子の焼結温度以上に加熱して導体ペーストを焼成し、導体を含み、かつ多孔質構造を有する表面導体層を形成する導体焼成工程を含む請求項1〜12のいずれかに記載のメタライズ基板の製造方法。
  14. 接合層形成工程において、活性金属層を形成した後、活性金属層の上に、さらに非透過層及び/又は親和層を積層する請求項13記載の製造方法。
  15. 物理蒸着法で接合層を形成する請求項13又は14記載の製造方法。
  16. 導体塗布工程において、導体ペーストの塗布前に、不活性ガス雰囲気中で、400℃以上であり、かつ接合層を構成する全ての金属種の中で最も低融点の金属の融点、及び接合層を構成する合金の融点のいずれか低い方の融点以下の温度で接合層を加熱してアニールする請求項13〜15のいずれかに記載の製造方法。
  17. 導体焼成工程で得られた表面導体層の上にレジストパターンを形成した後、レジストパターンが形成されていない露出領域の表面導体層及び接合層を除去し、さらにレジストパターンを除去する第1のエッチング工程をさらに含む請求項13〜16のいずれかに記載の製造方法。
  18. 導体塗布工程において、表面導体層用導体ペーストをパターン印刷するとともに、導体焼成工程の後工程として、表面導体層から露出する接合層を除去する接合層除去工程をさらに含む請求項13〜17のいずれかに記載の製造方法。
  19. 絶縁性基板の表面において、活性金属層を含む接合層をパターン状に形成する請求項13〜16のいずれかに記載の製造方法。
  20. 導体焼成工程で得られた表面導体層の表面にメッキ層を形成するメッキ工程をさらに含む請求項13〜19のいずれかに記載の製造方法。
  21. 導体焼成工程で得られた表面導体層の上にレジストパターンを形成した後、レジストパターンが形成されていない露出領域の表面導体層の表面に貴金属を含むメッキ層を形成してレジストパターンを除去し、メッキ層が形成されてない露出領域の表面導体層及び接合層を除去する第2のエッチング工程をさらに含む請求項13〜16のいずれかに記載の製造方法。
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