JP2008103604A - レーザ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】露光装置の指令によりレーザ運転の全時間に対するパルスレーザ光の発振時間が変化しても、ビームダイバージェンスの大きさとビームポインティングの角度変化を基準レベル以内に収めることができるMOPOシステムを有する露光装置用のレーザ装置を提供する。
【解決手段】露光装置用のレーザ装置において、MOPOシステムの発振段と増幅段の間に、出射されたレーザ光のビームダイバージェンスの大きさおよびビームポインティングの角度変化を基準レベル以下に収めるような拡大率に設定されたビームエキスパンダを設ける。
【選択図】 図4

Description

本発明は露光装置用のレーザ装置に関する。
露光システムに使用される露光装置用レーザ装置には高繰り返し発振周波数で高出力のレーザパルスを出射できることが求められる。
高繰り返し発振周波数で高出力のレーザパルスを出射するレーザ装置として、増幅段に不安定共振器を配置したインジェクションロック方式のレーザ装置が従来から知られている。このように発振段レーザの光を増幅段レーザに注入して増幅発振させるMaster Oscillator Power Oscillator (MOPO)方式の2ステージレーザシステム(=MOPOシステム)という。
しかしながら、上記レーザ装置の場合、発振段レーザの共振器中にピンホールを配置して、横モードをシングルモードとして、細いビームで発振段レーザを発振させたビームを増幅段レーザの不安定共振器の凹面ミラーの中央の穴から注入し、凸面ミラーと凹面ミラーによりビームを拡大して増幅する。
発振段レーザにおいて、シングル横モードの光を生成し、このシード光を増幅段レーザの不安定共振器によりビームを拡大して発振増幅するので、増幅段レーザから出射されるレーザ光の空間的コヒーレンスはさらに高くなり、露光装置用レーザ光源として使用すると、マスク上にスペックル(干渉縞)が発生してしまい、露光むらの原因となる。したがって、増幅段レーザに不安定共振器を採用したレーザは露光システムの露光装置用レーザ光源としては採用できない。
そこで本願発明者等は、上記要望に答えるレーザ装置として、増幅段レーザに安定型共振器を備えたMaster Oscillator Power Oscillator (MOPO)方式の2ステージレーザシステム(=MOPOシステム)を発明した。MOPOシステムは下記の特許文献1に開示されている。
以下に特許文献1に開示されたMOPOシステムについて説明する。
図15は開示されたMOPOシステムを説明するための概念図である。
図15に示すように、MOPOシステム1は、発振段レーザ10と増幅段レーザ20とで構成され、発振段レーザ10を狭帯域化レーザとし、増幅段レーザ20に平行平面ミラー21、22を用いた安定共振器であるファブリペロー型共振器30が配置される。増幅段レーザ20のレーザチャンバ23内には、対向する放電電極24、25が配置される。放電電極24、25には図示しない高繰り返しパルス電源から所定の繰返し周波数の高圧パルスが印加される。
MOPOシステム1では、発振段レーザ10にはシングル横モードを選択するためのピンホールを共振器内に配置せず、発振段レーザ10では、複数の横モードが存在する状態でレーザ発振する。したがって、シード光は空間コヒーレンスが低い(複数の横モードが存在する)状態で、増幅段レーザ20の安定共振器に注入している。したがって、増幅段レーザ20に注入されたシード光は安定共振器内でそのまま横モードが減少せずに共振する。増幅段レーザの安定共振器間には増幅段レーザに配置した放電電極24、25が配置されている。この安定共振器内にシード光が注入されると同期して放電電極24、25の間に高電圧が印加され放電する。そしてこの放電で形成される放電領域でシード光が増幅され、増幅段レーザが発振する。
これにより、増幅段レーザ20により空間コヒーレンスが低いシード光の空間横モードを減少させることなく安定して増幅発振できるので、MOPOシステム1は、高繰り返し周波数で空間的コヒーレンスの低い高出力レーザ光を露光装置側に出射することができる。
MOPOシステムについては後述する。また、安定型共振器と不安定型共振器についても後述する。
ここであとの説明の都合のために、図15の放電電極24、25まわりの方向を定義しておく。
図16は、図15のMOPOシステム1の増幅段レーザ20の放電電極近傍のS−S断面図である。
図16において、紙面内で、増幅段レーザ20のレーザチャンバ23内に上下方向に放電電極24、25が設けられている。レーザ光軸は放電電極の長手方向と平行であり、紙面に対して垂直の方向である。放電電極24,25の対向する方向を「放電電極方向」という。また、レーザ光軸方向と放電電極方向のいずれにも垂直な方向を「放電電極幅方向」という。発振段レーザ10の放電電極まわりの場合も同様に定義される。
さて、現場における露光システムでは、露光装置側の指令により、露光装置用レーザ装置は、レジストの変更や露光条件の変更等により下記のようなレーザ運転を行う。
(1)レーザ運転停止から高負荷レーザ運転へ移行
(2)低負荷レーザ運転から高負荷レーザ運転へ移行
(3)高負荷レーザ運転から低負荷レーザ運転へ移行
高負荷レーザ運転とは、全レーザ運転の時間におけるパルスレーザ光の発振時間の割合が高い運転のことであり、低負荷レーザ運転とは、全レーザ運転の時間におけるパルスレーザ光の発振時間の割合が低い運転のことである。
高負荷レーザ運転あるいは低負荷レーザ運転の程度を数値的に表す指標として、以下に述べる「デューティ比(%)」がある。
デューティ比は、レーザ運転の所定サイクル時間Tの間に発振されるパルス数をN,最大繰り返し発振周波数をfとして式(3)で定義される。
デューティ比(%)=(N/T×f)×100(%) (1)
図17は所定サイクル時間Tにおけるレーザ運転パターン例である。
図17において、ダイ(die)とは個々のウェハーチップに対する露光工程のことであり、ダイあたりの露光時間をTdとする。露光時間Tdはレジスト感度に依存して変化する。ダイを行うためにウェハーチップ間を移動する時間をステージ移動時間Tsとし、ダイ終了後ウェハー交換に要する時間をウェハー交換時間Twとする。また発振周波数は6kHzとし、ウェハーのチップ数(=ダイの数)を100個とする。
図17のレーザ運転パターンによりデューティ比を計算することができる。
(イ) 高負荷レーザ運転の場合(例えば、レジスト感度が低い場合)
図17において、ダイあたりの露光時間Td=1(s)、ステージ移動時間Ts=0.2(s)、ウェハー交換時間Tw=13(s)とすると、
N=100×1(s)×6000(Hz)=600000(パルス)
T×f=(100×(1+0.2)(s)+13(s))×6000(Hz)=798000(パルス)
を式(3)に代入して、ディーティ比=75.2(%)を得る。すなわちデューティ比75.2(%)のレーザ運転は、高負荷レーザ運転に対応する。
(ロ) 低負荷レーザ運転の場合(例えば、レジスト感度が高い場合)
図16において、ダイあたりの露光時間Td=0.06(s)、TsおよびTwを(イ)と同じ値とすると、
N=100×0.06(s)×6000(Hz)=36000(パルス)
T×f=((100×(0.06+0.2)(s)+13(s))×6000(Hz)=234000(パルス)
を式(3)に代入して、デューティ比=15.4(%)を得る。すなわちデューティ比15.4(%)のレーザ運転は、低負荷レーザ運転に対応する。
WO 2004/095661 A1
ところが、たとえば、図15で説明したMOPOシステム1を、露光装置の指令によりレーザ運転のデューティ比が変化する露光装置用レーザ光源として使用すると、以下の問題が発生する。
露光装置用レーザ装置から出射されたレーザ光は、所定の露光性能を出すために、出射されたレーザ光のビームダイバージェンス(Beam Divergence)の大きさ(=BD値)およびビームポインティング(Beam Pointing)の角度変化(=BP値)が所定の基準レベル内に収まっている必要がある。
BD値およびBP値の検出は、次のように行われる。
図15において、出力ミラーの右方に焦点距離fの集光レンズ60が設けられている。さらに右方には集光レンズ60と焦点距離fの長さ分だけ離間した位置にCCD検出器61が設けられている。BD値およびBP値はCCD検出器61により検出することができる。
図18はCCD検出器61で検出されるBD値とBP値を説明するための概念図である。
図18において、横軸は放電電極方向または放電電極幅方向(任意目盛)であり、縦軸はCCD検出器で検出したレーザ光の光強度(任意目盛)である。
図18に示すように、出射されたレーザ光は、最大の光強度領域を中央部に有し、中央部から離れるに従って光強度が低下するような光強度分布を持っている。
BD値は、たとえば中央部の最大光強度Imaxに対して1/e(eは自然対数)の値で決まるレーザ光の幅をWとし、レーザ光を集光する集光レンズの焦点距離をfとして、
BD値=W/f (2)
で定義される。
すなわちBD値はレーザ光の広がり(広がり角)を表す指標であり、露光性能に影響を及ぼす。
またBP値は、たとえば図18の光強度分布の重心位置をGとし、レーザ光を集光する集光レンズの焦点距離をfとして、
BP値=G/f (3)
で定義される。
すなわち、BP値はレーザ光の方向ずれを表す指標であり、露光装置の露光性能に影響を及ぼす。
ところが、露光装置の指令によりデューティ比を変化させて例えばMOPOシステム1のレーザ運転を行うと、出力されたレーザ光の放電電極方向のBD値が変化して基準レベルを超えたり、出力されたレーザ光の放電電極方向のBP値が不安定になり基準レベルを超えてしまうことが明らかになった。
図19(a)は、MOPOシステムを運転したときのBD値の変化を示す図であり、図19(b)は、そのときに同時に検出したBP値の変化を示す図である。横軸はレーザ運転時間(分)であり、縦軸は図19(a)ではBD値(任意目盛)であり、図19(b)ではBP値(任意目盛)である。レーザ運転に使用した発振周波数は6kHzである。
図19(a)、(b)において、MOPOシステムは、運転停止の状態から、約75%のデューティ比で高負荷レーザ運転が開始される。120分後に約15%のデューティ比の低負荷レーザ運転に切り替えられる。
図19(a)に示すように、放電電極方向のBD値は、運転停止の状態から高負荷レーザ運転に移行すると、運転開始(t=0分)から約2分で基準レベル0.67を超え、その後10分までは0.55から0.77まで変化し、その後安定する。120分後に高負荷レーザ運転から低負荷レーザ運転に切り替えると、BD値は0.77から0.48に急激に小さくなり、基準レベル以内に収まる。
一方、放電電極幅方向のBD値に関しては、運転負荷による影響は少なく、レーザ運転の全時間の間、基準レベルを超えることはない。
また図19(b)に示すように、放電電極方向のBP値は、運転停止の状態から高負荷運転に移行すると、運転開始(t=0分)から約20分で基準レベル0.24を超え、その後約60分までは基準レベル0.24を超えている。120分後に高負荷レーザ運転から低負荷レーザ運転に切り替えると、BP値は約0.2から約0.04に急激に小さくなり、基準レベル以内に収まる。
一方、放電電極幅方向のBP値に関しては、運転負荷による影響は少なく、レーザ運転の全時間の間、基準レベルを超えることはない。
以上のように、例えば、MOPOシステムの場合、露光装置の指令によりレーザ運転の全時間に対するパルスレーザ光の発振時間が変化すると、放電電極方向のBD値およびBP値が基準レベル以内に収まらす、そのため、MOPOシステムを露光システムの露光装置用のレーザ光源として使用するには問題があった。
本願発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、露光装置の指令によりレーザ運転の全時間に対するパルスレーザ光の発振時間が変化しても、ビームダイバージェンスの大きさ(=BD値)とビームポインティングの角度変化(=BP値)を基準レベル以内に収めることができる露光装置用のレーザ装置を提供することを目的とする。
以上のような目的を達成するために、第1発明は、
露光装置の指令により、レーザ運転の全時間に対するパルスレーザ光の発振時間が変化するようにパルスレーザ光を出射する、発振段と増幅段を有するレーザ装置であって、
前記レーザ装置の前記発振段と前記増幅段の間に、出射されたレーザ光のビームダイバージェンスの大きさおよびビームポインティングの角度変化を基準レベル以下に収めるような拡大率に設定されたビームエキスパンダを設けたことを特徴としている。
第1発明について、図4を用いて説明する。
第1発明では、図4に示すように、所定の拡大率Mを有するビームエキスパンダ70を発振段レーザ10の出力ミラー12とレーザ光案内ミラー50aとの間に配置している。
そのため、発振段レーザ10で生成したシード光のBD値およびBP値をビームエキスパンダ70により所定値まで低減し、その後BD値およびBP値が低減したシード光を増幅段レーザ20に注入することができる。
第2発明は、
露光装置の指令により、レーザ運転の全時間に対するパルスレーザ光の発振時間が変動するようにパルスレーザ光を出射する、発振段と増幅段を有するレーザ装置であって、
前記レーザ装置の前記発振段と前記増幅段の間にレーザ光を拡大するビームエキスパンダを設け、
前記レーザ装置から出射されたパルスレーザ光のビームダイバージェンスの大きさおよびビームポインティングの角度変化を検出する検出手段と、
前記検出手段で検出した値に基づき、ビームダイバージェンスの大きさおよびビームポインティングの角度変化を基準レベル以下に収めるように、前記ビームエキスパンダの拡大率を制御する制御手段と
を設けたことを特徴としている。
第2発明を図12を用いて説明する。
第2発明は、図12に示すように、MOPOシステム1およびビームエキスパンダ70の配置は第1発明と同じである。
一方、第2発明では、ビームエキスパンダ70を制御するためのビームポインティング調整ドライバ90およびビームダイバージェンス・ビームポインティング調整コントローラ110が設けられている。ビームダイバージェンス・ビームポインティング調整コントローラ110は、レーザ光モニタ手段で検出したBD値及びBP値に基づいて、ビームダイバージェンス調整ドライバ90に所定の拡大率になるように指令する。指令を受けたビームダイバージェンス調整ドライバ90はビームエキスパンダ70の拡大率Mを所定の拡大率になるように設定する。
そのため、レーザ光モニタ手段により検出したBD値およびBP値に基づいて、発振段レーザ10で生成したレーザ光のBD値およびBP値をビームエキスパンダ70により所定値まで低減し、その後BD値およびBP値が低減したレーザ光を増幅段レーザ20に注入することができる。
第3発明は、第1発明または第2発明において、前記増幅段にファブリペロー型の共振器が配置されたことを特徴とする。
第3発明を図4を用いて説明する。
図4に示すように、増幅段レーザ20は、共に平板型の注入ミラー21と出力ミラー22とからなるファブリペロー型共振器(安定共振器)30を備えている。
そのため、発振段レーザ10で生成した空間的コヒーレンスの低いシード光を、増幅段レーザ20に設けたファブリペロー型安定共振器により空間的コヒーレンスを高くすることなく安定共振器より増幅発振して高出力のレーザ光を出射することができる。
第4発明は、第1発明または第2発明において、前記増幅段にリング共振器が配置されたことを特徴とする。
第4発明を図8および図9を用いて説明する。
図8に示すように、実施例2においても、実施例1と同様に発振段レーザ10とレーザ光案内ミラー50aとの間に、略放電電極方向のレーザビームを所定の拡大率で拡大するビームエキスパンダ70が設けられる。また、増幅段レーザ20の共振器として、リング共振器部品32、33からなるリング共振器31が設けられる。図9において、リング共振器31は、図の右方のリング共振器部品32と図の左方のリング共振器部品33とで構成され、その中に増幅段のレーザチャンバ23が配置される。
そのため、発振段レーザ10で生成した空間的コヒーレンスの低いシード光を、増幅段レーザ20に設けたリング共振器により空間的コヒーレンスを高くすることなくリング共振器により増幅発振することができる。
第5発明は、第1発明乃至第4発明のいずれかの発明において、前記発振段から出射されたレーザ光が前記ビームエキスパンダで拡大される方向は略放電電極方向であることを特徴とする。
図19(a)、(b)に示すように、放電電極方向のBD値およびBP値がデューティ変化により基準レベル以内に収まらないことが問題であった。
そこで、第5発明では、たとえば図4に示すように、放電電極方向に所定の拡大率Mを有するビームエキスパンダ70を発振段レーザ10の出力ミラー12とレーザ光案内ミラー50aとの間に配置している。
そのため、放電電極方向のBD値およびBP値が(1/M)倍に低減された所定値のBD値およびBP値をもつシード光を増幅段レーザ側に注入することができる。
第6発明は、第1発明乃至第5発明のいずれかの発明において、前記発振段レーザの共振器内に略放電電極方向のレーザビームを狭くするためのスリットが設けられていることを特徴とする。
第6発明を図8を用いて説明する。
図8において、発振段レーザ10のスリット18、18の放電電極方向のスリット幅が放電電極間の幅よりやや小さくなっている。
そのため、発振段レーザ10のシード光は、発振段レーザ10に設けたスリット18、18により放電電極方向のシード光成分が狭められて出射される。すなわち放電電極方向のシード光のBD値が低減される。
第7発明は、前記ビームエキスパンダはプリズム型あるいはウェッジ型のビームエキスパンダであることを特徴とする。
第7発明を図6(b)、(c)を用いて説明する。
プリズム型のビームエキスパンダは図6(b)に示す構成である。また、ウェッジ型のビームエキスパンダは図6(c)に示す構成である。
プリズム型およびウェッジ型のビームエキスパンダの場合、すべて平面加工した光学部品により構成できる。
第8発明は、第2発明において、さらにレーザ光案内ミラーのあおり調整機構が設けられていることを特徴とする。
第8発明を図12を用いて説明する。
図12に示すように、レーザ光モニタ手段80により検出したBD値およびBP値に基づいて、ビームダイバージェンス・ビームポインティング調整コントローラ110からミラー縦あおり調整ドライバ100に指令され、レーザ光案内ミラー50bの回転駆動が行われる。
そのため、レーザ光案内ミラー50bにより、シード光の放電電極方向の角度を調整することができる。
第9発明は、第8発明において、さらに狭帯域化モジュールにあおり調整機構が設けられている。
第9発明を図14を用いて説明する。
図14において、狭帯域化モジュール40内の回折格子11bの放電電極方向の角度を調整するために、発振段レーザ縦あおり調整ドライバ120が設けられる。そのため、増幅段レーザ20で出力したレーザ光のBD値をレーザ光モニタ手段80で検出し、その検出したBD値に基づいて、ビームダイバージェンス・ビームポインティング調整コントローラ110の指示により、発振段レーザ縦あおり調整ドライバ120を駆動して回折格子11bの放電電極方向の角度を調整することができ、所定のBD値を有するシード光を容易に増幅段レーザ20に注入することができる。
第1発明によれば、発振段レーザで生成したレーザ光のBD値およびBP値をビームエキスパンダにより所定値まで低減し、その後BD値およびBP値が低減したレーザ光を増幅段レーザに注入することができるので、露光装置の指令によりレーザ運転の全時間に対するパルスレーザ光の発振時間が変化しても、増幅段レーザから出射されるレーザ光のBD値とBP値を基準レベル以内に収めることができる。
第2発明によれば、レーザ光モニタ手段により検出したBD値およびBP値に基づいて、発振段レーザ10で生成したレーザ光のBD値およびBP値をビームエキスパンダ70により所定値まで低減し、その後BD値およびBP値が低減したレーザ光を増幅段レーザ20に注入することができるので、露光装置側にBD値およびBP値を基準レベル以下に収めたレーザ光を容易に出射することができる。
第3発明によれば、BD値およびBP値が基準レベル以内に収まったレーザ光を露光装置側に出射できるとともに、発振段レーザ10で生成した空間的コヒーレンスの低いシード光を、増幅段レーザ20に設けたファブリペロー型安定共振器により空間的コヒーレンスを高くすることなく安定共振器より増幅発振できるので、増幅段レーザ20から出射されたレーザ光を用いてウェハー面上にスペックル(干渉縞)が発生しない均一なウェハー露光を行うことができる。
第4発明によれば、BD値およびBP値が基準レベル以内に収まったレーザ光を露光装置側に出射できるとともに、発振段レーザ10で生成した空間的コヒーレンスの低いシード光を、増幅段レーザ20に設けたリング共振器により空間的コヒーレンスを高くすることなくリング共振器により増幅発振することができるので、増幅段レーザ20から出射されたレーザ光を用いてウェハー面上にスペックル(干渉縞)が発生しない均一なウェハー露光を行うことができる。
第5発明によれば、放電電極方向のBD値およびBP値が(1/M)倍に低減された所定値のBD値およびBP値をもつシード光を増幅段レーザ側に注入することができるので、増幅段レーザから出射されるレーザ光のBD値およびBP値を基準レベル以内に収めることができる。これによりBD値およびBP値が基準レベル以内に収まったレーザ光を露光装置側に出射することができる。
第6発明によれば、発振段レーザの共振器内に略放電電極方向のレーザビームを狭くするためのスリットが設けられているので、放電電極方向のBD値が低減される。さらに、このビームをM倍に拡大するため、(1/M)倍に低減された所定値のBD値およびBP値をもつシード光が出力される。したがって、BD値及びBP値を低減したシード光を増幅段レーザに注入でき、これによりBD値およびBP値が基準レベル以内に収まったレーザ光を露光装置側に出射することができる。
第7発明によれば、すべて平面加工した光学部品を用いることができるので、製造が容易である。また、短い光路長でビーム拡大および位置調整がし易くなる利点がある。
第8発明によれば、レーザ光案内ミラー50bにより、シード光の放電電極方向の角度を調整することができる。これにより、増幅段レーザ20に注入するレーザ光のBP値を最適化することがさらに容易になる。
第9発明によれば、所定のBD値を有するシード光を容易に増幅段レーザ20に注入することができるので、増幅段レーザで増幅したレーザ光のBD値が基準レベル以内に収まったレーザ光を露光装置側に出射することができる。
本願発明の露光装置用のレーザ装置に適用されるMOPOシステムでは、増幅段レーザ側に安定型共振器が配置される。
そこでまず安定型共振器と不安定型共振器およびMOPOシステムについて説明し、その後、実施例について図を参照しながら説明する。
(安定型共振器と不安定型共振器)
以下では、非特許文献( Anthony E. Siegman : LASERS , pp.744-748(1986), University Science Books , Sausalito , California )に基づき、レーザ装置に設けられる共振器における安定および非安定の意味について説明する。
図1は増幅段レーザに配置された共振器の概念図である。
注入されたレーザ光を増幅する増幅段レーザチャンバは、注入ミラーと出力ミラーで構成された共振器の間に配置される。注入ミラーと出力ミラーにはそれぞれ共振(内側)部に部分反射膜がコーティングされている。それぞれのミラーの外側の面には反射防止膜がコーティングされている。この図では、ミラーの外側の面は平面となっているが、ビームが透過する際にレンズの機能を果たさないように、メニスカスタイプのミラーを設置してもよい。図1の左方(裏面)から、注入ミラーに発振段レーザで生成したレーザ光を注入すると、注入されたレーザ光は増幅段レーザの共振器により増幅発振し、出力ミラーから増幅されたレーザ光が図の右方に出力される。
注入ミラーと出力ミラーの曲率をそれぞれR1、R2とする。ここで、ミラーが共振器の内部方向に向かって凹面になっている場合、曲率を正とし、同様にしてミラーが共振器の内部方向に向かって凸面になっている場合、曲率を負とする。また注入ミラーと出力ミラーの間の距離をLとする。図1では、注入ミラーと出力ミラーがともに曲率が正の場合を示した。
上記2個のミラーで構成された共振器の「gパラメータ」として次のように定義する。
g1=1―L/R1、g2=1−L/R2 (4)
式(4)のg1とg2を用いて、以下の条件式(5)を満たす共振器を「安定共振器」という。ここで、この安定共振器を増幅段レーザに配置したレーザ装置を安定共振器型レーザ装置と定義する。
0≦g1×g2≦1 (5)
式(5)を満たさない共振器を「不安定共振器」という。また、この不安定共振器を増幅段に配置したレーザ装置を不安定共振器型レーザ装置と定義する。
さて、不安定共振器型レーザ装置の場合、発振段レーザでは横モードを選択するために共振器内にピンホールを配置しているので、発振段レーザは細いシングル横モードのシード光を出力する。このシード光はシングル横モードなので空間コヒーレンスは高く、このシード光が増幅段レーザの不安定共振器に注入される。
そのため、増幅段レーザで増幅されたレーザ光は不安定共振器によりビームが拡大されて発振段レーザよりもさらに、空間的コヒーレンス(干渉性)が高くなる。
その結果、不安定共振器型レーザ装置を露光装置用レーザ光源として使用すると、レーザ光が干渉し合うことにより、ウェハー面上にスペックル(干渉縞)が発生してしまい、均一なウェハー露光を行うことができなくなる。したがって、不安定共振器型レーザ装置は露光装置用レーザ光源として採用することができない。
一方、たとえば2個の平行平面ミラーで構成されたファブリペロー型共振器の場合、式(4)において、R1およびR2が無限大であるから、g1×g2=1×1=1となる。したがって、式(5)によりファブリペロー型共振器は安定共振器である。発振段レーザでは横モードを選択せず、空間的コヒーレンスの低い状態でシード光を発振させ、このシード光を増幅段レーザの安定共振器により拡大せず、増幅発振することができる。このようにして、空間コヒーレンスの低い光を出力することができる。
(MOPOシステムについて)
図2は、本願発明の露光装置用のレーザ装置に適用されるMOPOシステムの概念図とビームダイバージェンスとビームポインティングを計測する図である。
なお以下では安定共振器がファブリペロー型である場合について説明するが、他の安定共振器の場合においても基本構成は同じである。
図2において、MOPOシステム1は、シード光を生成する発振段レーザ10と、発振段レーザ10で生成したシード光を増幅して出力する増幅段レーザ20とからなる。
発振段レーザ10のレーザチャンバ13内に設けた放電電極14、15のレーザ光軸上には、ウィンドウ17、17が互いに平行かつブリュースター角になるように設けられる。
増幅段レーザ20のレーザチャンバ23内に設けた放電電極24、25のレーザ光軸上には、ウィンドウ27、27が、互いに平行かつブリュースター角になるように設けられる。
また、ウィンドウ17、17の近傍にはスリット18、18が、ウィンドウ27、27の近傍にはスリット28、28が設けられる。各スリットの放電電極方向のスリット幅は放電電極間の幅と略同じである。
増幅段レーザ20は、共に平板型の注入ミラー21と出力ミラー22とからなるファブリペロー型共振器30を備えており、その間にレーザガスが封止されたレーザチャンバ23が配置される。
ファブリペロー型共振器30を構成する注入ミラー21と出力ミラー22には、所定の反射率を有する部分反射膜がコーティングされ、発振段から注入されたシード光は注入ミラー21と出力ミラー22の間で反射・往復され、その一部が出力ミラー22を通して図の右方に出力される。
発振段レーザ10は、狭帯域化モジュール40内の光学素子11(プリズム11aと回折格子11b)のリアミラーとして機能するリトロー配置された回折格子11bと出力ミラー12とで構成される共振器を備えており、その間にレーザガスが封止されたレーザチャンバ13が配置される。狭帯域化モジュール40で狭帯域化されたシード光は大部分が紙面に対して垂直な偏光成分であり、この偏光成分を保存した状態でシード光が増幅段レーザ20に注入される。
また、発振段レーザ10と増幅段レーザ20との間に、発振段レーザ10で生成したシード光を増幅段レーザ20に案内するためレーザ光案内ミラー50a、50bを備える。
図2において、放電電極14、15および放電電極24、25は、紙面内で図の上下方向に対向して配置してある。これらの1対の放電電極14と15、24と25にそれぞれ図示しない電源から高電圧パルスが印加されることにより、放電電極14、15および放電電極24、25間の空間(放電領域)に放電が発生する。放電が発生すると放電領域のレーザガスは励起される。レーザ光が放電領域を通過する毎にレーザ光のエネルギーは増幅される。ここで、発振段レーザ10の放電電極14、15間の空間で放電が開始されると、発振段レーザはレーザ発振し、シード光が出力される。シード光はミラー50a及びミラー50bにより注入ミラー21に導かれる。シード光が増幅段レーザ20の安定共振器に注入されると同期して、放電電極24、25間の空間で放電が開始され、増幅段レーザ20が増幅発振する。
MOPOシステム1がKrFエキシマレーザ装置のときは、発振段レーザ10、増幅段レーザ20のそれぞれのレーザチャンバ13、23は、クリプトン(Kr)ガス、フッ素(F2)ガスと、ヘリウム(He)やネオン(Ne)等からなるバッファガスとからなるレーザガスが封止される。またMOPOシステム1がArFエキシマレーザ装置のときには、発振段レーザ10、増幅段レーザ20のそれぞれのレーザチャンバ13、23は、アルゴン(Ar)ガス、フッ素(F2)ガスと、ヘリウム(He)やネオン(Ne)等からなるバッファガスとからなるレーザガスが封止される。
図2には、MOPOシステム1から出射されたレーザ光のBD値およびBP値を検出するために、出力ミラー22の右方近傍に焦点距離fの集光レンズ60が設けられ、また集光レンズ60の右方に、集光レンズ60と焦点距離fの位置にCCD検出器61が設けられている。CCD検出器61によりBD値およびBP値が検出される。
(BD値およびBP値の変動の原因)
従来技術で説明したように、たとえばMOPOシステムの場合、図19に示したように、デューティ比が変化すると増幅段レーザ20から出射されるレーザ光のBD値およびBP値が大きく変動してしまい、露光システムの露光装置用レーザ装置として使用するには問題であった。
本願発明者等は、図19におけるBD値およびBP値の変動の原因を以下のように推定した。
図3(a)は、発振段レーザで生成したシード光とシード光を増幅発振させた後のそれぞれのBD値の変化を示す図であり、図3(b)は、それぞれの場合のそのときに同時に検出したBP値の変化を示す図である。
なお、比較のために、図3(a)、(b)には図19における増幅段レーザから出射されたレーザ光のBD値およびBP値もあわせてプロットしてある。
横軸と縦軸の単位および発振周波数は図19の場合と同じである。またBD値およびBP値をCCD検出器で検出する方法は基本的に図19の場合と同じであるのでその説明を省略する。
図3(a)、(b)において、発振段レーザ10は、運転停止の状態から、約75%のデューティ比で高負荷レーザ運転が開始される。120分後に約15%のデューティ比の低負荷レーザ運転に切り替えられる。
図3(a)に示すように、放電電極方向のBD値(▲)は、運転停止の状態から高負荷レーザ運転に移行すると、運転開始(t=0分)直後に基準レベル0.67を超え、その後0.80から0.88の間で安定する。120分後に高負荷運転から低負荷運転に切り替えると、BD値は0.88から約0.60に急激に小さくなり、基準レベル以内に収まる。
一方、放電電極幅方向のBD値(×)に関しては、運転負荷による影響は少なく、レーザ運転の全時間の間、基準レベルを超えることはない。
また図3(b)に示すように、放電電極方向のBP値(▲)は、運転停止の状態から高負荷運転に移行すると、運転開始(t=0分)から約20分で基準レベル0.24を超え、その後約90分までは基準レベル0.24を超えている。120分後に高負荷運転から低負荷運転に切り替えると、BP値は約0.24から約0.04に急激に小さくなり、基準レベル以内に収まる。
一方、放電電極幅方向のBP値(×)に関しては、運転負荷による影響は少なく、レーザ運転の全時間の間、基準レベルを超えることはない。
図3(a)、(b)にあわせてプロットした増幅段レーザ20から出射したレーザ光のBD値およびBP値と、発振段レーザ10から出射したシード光のBD値およびBP値を比較すると、その変化の傾向がほぼ一致していることがわかる。
そこで本願発明者等は、デューティ比の変化によるBD値およびBP値の変動は、発振段レーザ10のシード光の放電電極方向のBD値およびBP値の変動が原因であると推定した。
本願発明者等は、上記推定に基づき、発振段レーザ10のシード光の放電電極方向のBD値の大きさおよびBP値の角度変化を所定値内に収めておけば、その後注入されたシード光を増幅段レーザ20で増幅しても、増幅段レーザ20から出射されるレーザ光のBD値およびBP値は大きくならないであろうと予測し、鋭意実験を行い本願発明をなすに到った。
以下、本願発明に係る実施形態を図を参照しながら詳細に説明する。
図4は、実施例1の構成を説明するための概念図である。
図4に示すように、実施例1の露光システムは、露光装置とMOPOシステム1からなる。MOPOシステム1は、露光装置の指令に応じてレーザ運転のデューティ比を変更し、露光装置側に基準レベル以内のBD値およびBP値を有するレーザパルスを出射する。たとえば露光装置はMOPOシステム1に対して、最初に高デューティ比のレーザ運転を行うように指令し、ある時点で低デューティ比のレーザ運転を行うように指令する。
以下の説明においては、MOPOシステム1に指令する露光装置を前提とし、露光装置に指令されるMOPOシステム1について詳細に説明する。なお、図4において、図2のMOPOシステムと共通する部品番号を用いてある部品は機能上同等であることを意味している。よって同番号の部品につては説明を省略する。
実施例1のMOPOシステム1では、図2のMOPOシステム1と異なり、発振段レーザ10とレーザ光案内ミラー50aとの間に、略放電電極方向のレーザビームを所定の拡大率で拡大するビームエキスパンダ70が設けられる。
ここでビームエキスパンダ70について説明する。
図5は2個のシリンドリカル凸レンズ70a、70bを組み合わせたビームエキスパンダ70の構成図である。シリンドリカル凸レンズ70a、70bの両面には、レンズ表面に略垂直に入射する(零度入射する)レーザ光に対する零度入射反射防止膜がコーティングされている。
図5において、シリンドリカル凸レンズ70aの焦点距離F1はシリンドリカル凸レンズ70bの焦点距離F2より小さい。すなわちF1<F2である。またシリンドリカル凸レンズ70a、70b間の距離はF1+F2である。
図5のレンズ配置において、紙面内で、図の右方からレーザ光軸に対して角度θ1をもつレーザビーム光(矢印A及びB)が、光線Bはシリンドリカル凸レンズ70aの中心に入射し、シリンドリカル凸レンズ70aから焦点距離F1の距離だけ離間した位置Cまで直進し、光線Aはシリンドリカル凸レンズ70aの中心から離れた位置に入射し、屈折して位置Cに到達したとする。
紙面内で、位置Cとレーザ光軸との距離をHとすると、角度θ1が微小と仮定すれば、tanθ1=θ1と近似できるので、
θ1=H/F1 (6)
と表せる。
一方、光線Aの場合、シリンドリカル凸レンズ70aで屈折して位置Cを透過し、シリンドリカル凸レンズ70bの中心を直進するレーザ光(矢印D)を考える。レーザ光軸に対するレーザ光の角度をθ2とすると、角度θ2が微小と仮定すれば、tanθ2=θ2と近似できるので、
θ2=H/F2 (7)
と表せる。
式(6)と式(7)から、
θ2=(F1/F2)θ1 (8)
の関係が導かれる。
実際は、角度θ1で入射したレーザ光(矢印B)はC位置をそのまま直進し、シリンドリカル凸レンズ70bに到達し、その後屈折され、レーザ光(矢印E)となって出射される。ところで、シリンドリカル凸レンズ70bから焦点距離F2の距離だけ離間したC位置から放射されたレーザ光は、レンズの原理によりシリンドリカル凸レンズ70bを通過後互いに平行になる。すなわち、レーザ光(矢印E)とレーザ光(矢印D)は平行光線であり、レーザ光(矢印E)のレーザ光軸に対する角度も式(8)のθ2と同じである。
以上のように、図5の構成のビームエキスパンダ70の場合、レーザ光軸に対して角度θ1でビームエキスパンダ70に入射したレーザ光は、レーザ光軸に対して(F1/F2)θ1の角度でビームエキスパンダ70から出射される。すなわちビームエキスパンダ70を通過後、レーザ光軸に対するレーザ光の角度は(F1/F2)倍に低減される。
ここでビームエキスパンダ70の拡大率Mを
M=F2/F1 (9)
と定義すると、式(8)は
θ2=θ1/M (10)
と表すことができる。すなわち、ビームエキスパンダ70を通過後、レーザ光軸に対するレーザ光の角度は(1/M)倍に低減される。
さて、ビームダイバージェンスはレーザ光軸方向に対する広がり角度であるから、図5の角度θ1に対応するレーザ光のBD値は、ビームエキスパンダ70を通過後、(1/M)倍に低減される。
ビームポインティングについても、方向の角度の低減メカニズムはビームダイバージェンスの場合と同様であり、レーザ光のBP値は、ビームエキスパンダ70を通過後、(1/M)倍に低減される。
実施例1では、このようなエキスパンダ70の性質を利用して、所定の拡大率Mを有するビームエキスパンダ70を発振段レーザ10の出力ミラー12とレーザ光案内ミラー50aとの間に配置し、発振段レーザ10で生成したレーザ光のBD値およびBP値を所定値まで低減させ、ビームエキスパンダ70で拡大後のレーザ光を増幅段レーザ20に注入している。
そのため、増幅段レーザ20は、BD値およびBP値が所定値まで低減したレーザ光を増幅することができるので、BD値およびBP値が基準レベル以内に収まったレーザ光を出射することができる。
上記したビームエキスパンダ70はシリンドリカル凸レンズ70a、70bの組み合わせであったが、実施例1に適用されるビームエキスパンダ70は他の構成であってもよい。
図6(a)〜(c)は、実施例1に適用されるビームエキスパンダを説明するための図である。なお、それぞれの図の右方から発振段レーザのシード光がビームエキスパンダに入射し、図の左方に出射したシード光が増幅段レーザに注入されることは図5の場合と同様である。
図6(a)はシリンドリカル凸レンズ70cとシリンドリカル凹レンズ70dを組み合わせたビームエキスパンダの例である。それぞれのレンズの両面には、レンズ表面に略垂直に入射する(零度入射する)レーザ光に対する零度入射光反射防止膜がコーティングされている。
図6(b)は2個のプリズム70e、70fを使用したビームエキスパンダの例である。
プリズムにシード光が零度入射する面には零度入射反射防止膜がコーティングされている。またシード光のプリズムの斜面に対するS偏光成分が反射しないように、斜め入射する面にはS偏光反射防止膜がコーティングされている。
図6(c)は2個のウェッジ基板70g、70hを使用したビームエキスパンダの例である。シード光のウェッジ基板の斜面に対するS偏光成分が反射しないように、それぞれのエッジ基板の両面にはS偏光反射防止膜がコーティングされている。
上記図6(b)、(c)のビームエキスパンダは、すべて平面加工した光学部品により構成できるので製造し易く、短い光路長でビーム拡大可能で、位置調整がし易い利点がある。
図7(a)は、実施例1においてビームエキスパンダの拡大率を1.3としたときのレーザ運転におけるBD値の改善を示す図である。図7(b)は、同時に計測したBP値の改善を示す図である。横軸と縦軸の単位および発振周波数は図19の場合と同じである。
図7(a)によれば、図19(a)の場合と異なり、放電停止状態から高負荷レーザ運転に移行した場合も、高負荷レーザ運転から低負荷運転に移行した場合も、放電電極方向のBD値はすべて基準レベル0.67以内に収まっている。また、放電電極幅方向のBD値は、ビームエキスパンダの拡大に関係しないことから、図19(a)におけるBD値とほとんど変わらすすべて基準レベル内に収まっている。
また図7(b)によれば、放電停止の状態から高負荷レーザ運転に移行した場合も、高負荷レーザ運転から低負荷運転に移行した場合も、放電電極方向のBP値はすべて基準レベル0.24以内に収まっている。また、放電電極幅方向のBP値は、ビームエキスパンダの拡大に関係しないことから、図19(b)におけるBP値とほとんど変わらすすべて基準レベル以内に収まっている。
図7においては、実験結果に基づきBD値およびBP値が基準レベル以内に収まるように、ビームエキスパンダ70の略放電電極方向の拡大率Mを1.3としたが、ビームエキスパンダ70の拡大率Mの値をさらに大きくしてもよいことはあきらかである。ただし、拡大率を大きくすると以下のデメリットがある。シード光の注入効率が悪化し、空間コヒーレンスが高くなる。したがって、拡大率は1から2の間程度でよい。
以上のように、実施例1によれば、図3のMOPOシステム1において、発振段レーザ10と増幅段レーザ20の間に、所定の拡大率に設定されたビームエキスパンダを配置している。そのため、シード光の段階でBD値およびBP値をあらかじめ所定値に設定できる。これにより、露光装置の指令によりレーザ運転の全時間に対するパルスレーザ光の発振時間が変化しても、出射されたレーザ光のBD値およびBP値を基準レベル以内に収めることができる。
実施例1では発振段レーザとレーザ光案内ミラー50aとの間にビームエキスパンダ70を配置したが、ビームエキスパンダ70の配置場所はこの位置に限られるものではなく、発振段レーザ10と増幅段レーザ20の間の任意の場所に設けることができる。このことは他の実施例においても同様である。
なお、実施例1ではMOPOシステム1にファブリペロー型の安定共振器30を用いたが、ファブリペロー型でない他の安定共振器を適宜適用することができる。
図8は実施例2を説明するための概念図である。
図8に示すように、実施例2のレーザ装置を含む露光システムは、露光装置とMOPOシステム1からなる。MOPOシステム1は、露光装置の指令に応じてデューティ比を変更し、露光装置側に基準レベル以内のBD値およびBP値を有するレーザパルスを出射する。たとえば露光装置はMOPOシステム1に対して、最初に高負荷のレーザ運転を行うように指令し、ある時点で低負荷のレーザ運転を行うように指令する。
図8に示すように、実施例2においても、実施例1と同様に発振段レーザ10とレーザ光案内ミラー50aとの間に、略放電電極方向のレーザビームを所定の拡大率で拡大するビームエキスパンダ70が設けられる。
実施例2が実施例1と異なるのは、増幅段レーザ20の共振器として、リング共振器部品32、33からなるリング共振器31が設けられ、かつ、発振段レーザ10のスリット18、18の放電電極方向のスリット幅が放電電極間の幅より小さくなっていることである。なお、スリット18、18のスリット幅を放電電極間の幅と略同じにしておくこともできる。増幅段レーザ20のスリット28、28幅は放電電極24、25間の幅と略同じにしておく。
図9は、図8の紙面内の上方(矢印H)からみたリング共振器31の概念図である。
図9において、リング共振器31は、図の右方のリング共振器部品32と図の左方のリング共振器部品33とで構成され、その中に増幅段のレーザチャンバ23が配置される。
リング共振器部品32は、2個の全反射ミラー32a、32bで構成される。全反射ミラー32a、32bは放電電極方向に略平行に、かつ、互いに略直角になるように配置される。すなわち、リング共振器部品32は、リング共振器部品32側に入射・到達したレーザ光を、入射してきた方向に再び反射する構成をしている。
またリング共振器部品33は、全反射ミラー33aと部分反射ミラー33bとで構成される。全反射ミラー33aと部分反射ミラー33bは放電電極方向に略平行に、かつ、互いに略直角になるように配置される。部分反射ミラー33bは出力ミラーとして機能する。
また、レーザ光案内ミラー50cは、レーザ光案内ミラー50bから案内されたシード光(破線S1)を、放電電極幅方向に平行になるように案内し、その後そのシード光(矢印S2)を全反射ミラー33a側に略45度の入射角度で入射させるミラーである。
次に上記構成されたリング共振器を用いた動作について説明する。
図8および図9において、発振段レーザ10のシード光は、発振段レーザ10に設けたスリット18、18により放電電極方向のシード光成分が狭められて出射される。すなわち放電電極方向のシード光のBD値が低減される。
次に、発振段レーザ10から出射されたシード光は、発振段レーザ10とレーザ光案内ミラー50aの間に設けたビームエキスパンダ70により、放電電極方向のBD値およびBP値が低減される。
BD値およびBP値が低減されたシード光はレーザ光案内ミラー50a、50bで反射され、レーザ光案内ミラー50cに到達する。レーザ光案内ミラー50cで放電電極幅方向に平行になるように案内されたシード光は、リング共振器31内に導入される。リング共振器31内に導入されたシード光は、放電領域を通過してリング共振器部品32側に到達する。
リング共振器32側に到達したレーザ光は、再び反射され放電領域を通過して部分反射ミラー33bに到達する。すなわちリング共振器31に導入されたシード光はリング形状の態様でリング共振器部品33側に再び反射・案内される。この間、放電領域を通過したレーザ光は増幅される。
部分反射ミラー33bに到達したレーザ光の一部は図の左方に出力レーザ光として出力される。また、部分反射ミラー33bで反射されたレーザ光は再び全反射ミラー33aに入射し、その後上記したリング形状の態様で反射・案内され、再び部分反射ミラー33bに到達する。以下はその繰り返しである。
以上のように、実施例2では、まず発振段レーザ10で生成したシード光の放電電極方向のBD値をスリット18、18で低減し、次にビームエキスパンダ70により放電電極方向に対してシード光のBD値およびBP値を低減させ、その後BD値およびBP値が低減したシード光を増幅段レーザ20に注入しているので、さらなるBD値の低減およびBP値の安定化を実現することができる。
なお、スリット18、18の放電電極方向のスリット幅の最適値およびビームエキスパンダの拡大率Mは実験で決定することができる。
実施例1および実施例2ではエキスパンダの拡大率を所定の値にしていたが、出力されるレーザ光のBD値およびBP値に基づいて、エキスパンダの拡大率Mを制御してもよい。
まずエキスパンダの拡大率Mを変更する機構について説明する。
図10は、図6(b)のビームエキスパンダ70を用いて拡大率を変更する機構例である。
図10において、プリズム70fはマイクロメータ72が付いた回転ステージ71に搭載される。プリズム70eはマイクロメータ74が付いた回転ステージ73に搭載される。またプリズム70fが搭載された回転ステージ71とプリズム70eが搭載された回転ステージ73は位置Pを中心にして略反対称の配置になっている。
プリズム70eとプリズム70fを回転することにより、ビームエキスパンダ70の拡大率Mを適宜変化させることができる。その際、レーザ光のビームポインティング(図の右方のレーザ光の方位:矢印N)がプリズム回転前の方位からずれないように、プリズム70eとプリズム70fは互いに逆向きに同じ角度だけ回転させる必要がある。それにはマイクロメータ72と73の調整移動距離N1、N2を同じに変化させ、プリズム70eとプリズム70fを互いに反対方向に同じ角度だけ回転させればよい。
図10では、拡大率M1(破線Q)とそれより大きい拡大率M2(実線R)の場合のプリズム配置が示してある。拡大率がM1の場合のBD値に比較して、拡大率がM2の場合のBD値は小さい(狭い)。
図10の場合、プリズム70eとプリズム70fの角度調整により拡大率Mを設定するにあわせて、プリズム70eとプリズム70fの角度調整によりBP値が基準レベル以内に収まるように調整してもよい。
図10の場合、たとえば圧電素子あるいはパルスモータを用いて電気的にそれぞれのプリズムを回転制御することができる。
なお、図10で説明した機構は図6(c)のエッジ基板を用いたビームエキスパンダにもそのまま適用することができる。
図11(a)、(b)は、シリンドリカルの凸レンズ70jとシリンドリカルの凹レンズ70kを組み合わせたビームエキスパンダ70の例における拡大率Mの制御法を説明するための図である。
図11(a)では、図の上部で固定ねじで移動ブロック76に固定した凸レンズ70jを、図の下方に配置したマイクロメータ75で図の横方向(矢印Q)に移動させた場合の光の波面の様子を説明する。図の右方から発振段レーザの出力ビームが凹レンズ70kに向かって平面波で入射してきたとする。レーザ光は広がり凸レンズ70jを通過すると凹レンズ70kの焦点の位置Kと凸レンズj焦点の位置Jが一致せずに凸レンズ70jの位置が左側になった場合に収束光となる。
次に、発振段のレーザの出力光がかすかに収束する状態で出力された場合に関して説明する。
図11(b)では、図の上部で固定ねじで移動ブロック76に固定した凸レンズ70jを、図の下方に配置したマイクロメータ75で図の横方向(矢印R)に移動させ場合の光の波面の様子を説明する。図の右方から発振段レーザの出力ビームが凹レンズ70kに向かって平面波で入射してきたとする。レーザ光は広がり凸レンズ70jを通過すると凹レンズ70kの焦点の位置Kと凸レンズj焦点の位置Jが一致せずに凸レンズ70jの位置が右側になった場合に発散光となる。そして、図示していないが、凹レンズ70kの焦点の位置と凹レンズj焦点の位置が一致した場合には、平行光となり発振段レーザのビームが拡大されることになる。
以上のように、凹凸レンズの位置調整をパルスモータで行うことにより、BD値の調節を最適化できる。そして、M倍のビームエキスパンダとして機能することにより、BD値及びBP値を低減することが可能となる。
図12は実施例3を説明するための概念図である。
なお、MOPOシステムを適用した露光システムの構成については、実施例1および実施例2から明らかであるので、実施例3ではMOPOシステム1についておもに説明する。
図12において、MOPOシステム1およびビームエキスパンダ70の配置は実施例1と基本的には同じである。ただ発振段レーザ10のスリット18、18の放電電極方向のスリット幅が放電電極間の幅より小さくなっている。すなわち、図12では発振段レーザ10のシード光の放電電極方向のBD値およびBP値を小さくしている。
さらに実施例3では、レーザ光モニタ手段80とビームダイバージェンス調整ドライバ90とミラー縦あおり調整ドライバ100とビームダイバージェンス・ビームポインティング調整コントローラ110が設けられている。
ビームダイバージェンス・ビームポインティング調整コントローラ110は、レーザ光モニタ手段80で検出したBD値とBP値に基づいてビームダイバージェンス調整ドライバ90とミラー縦あおり調整ドライバ100を制御するものである。
レーザ光モニタ手段80は、増幅段レーザ20から出射されたレーザ光の一部を取り出し、レーザ光のBD値およびBP値を検出する手段である。部分反射ミラー80aで反射させたレーザ光のBD値およびBP値は焦点距離fの集光レンズ80bから距離fだけ離間したところに配置したCCD検出器80cにより検出される。検出されたBD値およびBP値はビームダイバージェンス・ビームポインティング調整コントローラ110に入力される。
ビームダイバージェンス調整ドライバ90は、ビームエキスパンダ70の拡大率を調整するためのもので、ビームダイバージェンス・ビームポインティング調整コントローラ110により拡大率の大きさが調整される。
ミラー縦あおり調整ドライバ100は、シード光のBP値を最適化するためのものであり、レーザ光案内ミラー50bを放電電極幅方向に平行な軸を中心にして回転駆動させる(矢印L方向)。
図13は、実施例3におけるBD値とBP値の調整動作を説明するための工程図である。
図12において、MOPOシステム1を所定のデューティ比で運転させ、増幅段レーザ20から出射されたレーザ光のBD値とBP値をレーザ光モニタ手段80で検出する(S100)。検出したBD値とBP値はビームダイバージェンス・ビームポインティング調整コントローラ110に入力される(S101)。BD値の大きさを判断する(S102)。入力されたBD値が基準レベル以内に収まっていればビームエキスパンダの拡大率Mを変更せずそのままとする(S106)。入力されたBD値が基準レベル以内に収まっていなければ、ビームダイバージェンス・ビームポインティング調整コントローラ110は、ビームダイバージェンス調整ドライバ90を駆動してビームエキスパンダ70の拡大率Mを大きくする(S103)。
拡大率Mを大きくした段階で、再度レーザ光モニタ手段によりBD値とBP値を検出し(S104)、BD値の大きさを判断する(S105)。BD値が基準レベル以下であればステップS106に移行する。BD値が基準レベル以下でなければ、ステップS103〜S105を繰り返す。
ステップS106に到達した段階で、BD値とBP値を検出し(S107)、BP値の角度変化を判断する(S108)。BP値が基準レベル以内におさまっていればレーザ光案内ミラー50bを回転駆動せずそのままとする(S109)。BP値が基準レベル以内に収まっていなければ、ミラー縦あおり調整ドライバ100によりレーザ光案内ミラー50bを回転駆動させる(S110)。ミラーの回転方向およびその回転量は予め実験したデータにより決定できる。
ミラーを回転駆動した段階で、BP値を検出し(S111)、BP値の角度変化を判断する(S112)。BP値が基準レベル以下であればステップS109に移行する。BP値が基準レベル以下でなければ、ステップS110〜S112を繰り返す。
以上のように、実施例3によれば、レーザ光モニタ手段で検出したBD値とBP値に基づいて、BD値についてはビームダイバージェンス調整ドライバ90により調整し、BP値についてはミラー縦あおり調整ドライバ100により調整することができる。
これにより、露光装置の指令によりレーザ運転のデューティ比を変更する場合に、ただちにBD値およびBP値が基準レベル以内に収まるように制御することができ、その後のレーザ運転に支障をきたすことがない。
図12においては、ビームダイバージェンス調整ドライバとミラー縦あおり調整ドライバ100を設けたが、場合によってはビームダイバージェンス調整ドライバ90のみで調整してもよい。すなわち、ビームエキスパンダ70の拡大率Mのみの調整によってBD値とBP値の両方を基準レベル以内に収める制御も可能である。
発振段レーザ10で生成したシード光のBD値は、発振段レーザ10のアライメントにより変化する。
そこで、実施例4では、実施例3の各調整ドライバに加え、発振段レーザ10の狭帯域化レーザモジュール40内に発振段レーザ縦あおり調整ドライバ120が設けられる。なお、MOPOシステムを適用した露光システムの構成については、実施例1および実施例2から明らかであるので、実施例4ではMOPOシステム1についておもに説明する。
図14は実施例4を説明するための概念図である。
図14において、狭帯域化モジュール40内の回折格子11bの放電電極方向の角度を調整するための発振段レーザ縦あおり調整ドライバ120が設けられる。また、実施例3と異なり、ミラー縦あおり調整ドライバ100は、レーザ光案内ミラー50bとともにレーザ光案内ミラー50aを回転駆動している。
そのため、増幅段レーザ20で出力したレーザ光のBD値をレーザ光モニタ手段80で検出し、その検出したBD値に基づいて、ビームダイバージェンス・ビームポインティング調整コントローラ110の指示により、発振段レーザ縦あおり調整ドライバ120を駆動してシード光のBD値が最適になるように制御することができる。
実施例3ではレーザ光案内ミラー50bのみをミラー縦あおり調整ドライバ100で回転駆動していたが、図14に示すように、BP値の調整において、レーザ光案内ミラー50aとレーザ光案内ミラー50bを同時に回転駆動し、BP値を調整することができる。これにより、BP値の調整がさらに容易になる。
以上のように、実施例4によれば、レーザ光モニタ手段で検出したBD値とBP値に基づいて、BD値についてはビームダイバージェンス調整ドライバ90および発振段レーザ縦あおり調整ドライバにより調整し、BP値についてはミラー縦あおり調整ドライバ100により調整することができるので、BD値およびBP値をさらに容易に調整できる。
これにより、露光装置の指令によりレーザ運転のデューティ比を変更する場合に、BD値およびBP値が基準レベル以内に収まるように容易に制御することができ、その後のレーザ運転に支障をきたすことがない。
増幅段レーザに配置された共振器の概念図である。 本願発明の露光装置用のレーザ装置に適用されるMOPOシステムの概念図とビームダイバージェンスとビームポインティングを計測する図である。 (a)は、発振段レーザで生成したシード光とシード光を増幅発振させた後のそれぞれのBD値の変化を示す図であり、(b)は、それぞれの場合のそのときに同時に検出したBP値の変化を示す図である。 実施例1の構成を説明するための概念図である。 2個のシリンドリカル凸レンズ70a、70bを組み合わせたビームエキスパンダ70の構成図である。 (a)〜(c)は、実施例1に適用されるビームエキスパンダを説明するための図である。 (a)は、実施例1においてビームエキスパンダの拡大率を1.3としたときのレーザ運転におけるBD値の改善を示す図である。(b)は、同時に計測したBP値の改善を示す図である。 実施例2を説明するための概念図である。 図8の紙面内の上方(矢印H)からみたリング共振器31の概念図である。 図6(b)のビームエキスパンダ70を用いて拡大率を変更する機構例である。 は、凸レンズ70jと凹レンズ70kを組み合わせたビームエキスパンダ70の例における拡大率Mの制御法を説明するための図である。 実施例3を説明するための概念図である。 実施例3におけるBD値とBP値の調整動作を説明するための工程図である。 実施例4を説明するための概念図である。 開示されたMOPOシステムを説明するための概念図である。 図15のMOPOシステム1の増幅段レーザ20の放電電極近傍のS−S断面図である。 所定サイクル時間Tにおけるレーザ運転パターン例である。 CCD検出器61で検出されるBD値とBP値を説明するための概念図である。 (a)は、MOPOシステムを運転したときのBD値の変化を示す図であり、(b)は、そのときに同時に検出したBP値の変化を示す図である。
符号の説明
MOPO Master Oscillator, Power Oscillator
10 発振段レーザ
20 増幅段レーザ
30 ファブリペロー型共振器
40 狭帯域化モジュール
50 レーザ光案内ミラー
60 集光レンズ
61 CCD検出器
80 レーザ光モニタ手段
90 ビームダイバージェンス調整ドライバ
100 ミラー縦あおり調整ドライバ
110 ビームダイバージェンス・ビームポインティング調整コントローラ
120 発振段レーザ縦あおり調整ドライバ

Claims (9)

  1. 露光装置の指令により、レーザ運転の全時間に対するパルスレーザ光の発振時間が変化するようにパルスレーザ光を出射する、発振段と増幅段を有するレーザ装置であって、
    前記レーザ装置の前記発振段と前記増幅段の間に、出射されたレーザ光のビームダイバージェンスの大きさおよびビームポインティングの角度変化を基準レベル以下に収めるような拡大率に設定されたビームエキスパンダを設けたことを特徴とするレーザ装置。
  2. 露光装置の指令により、レーザ運転の全時間に対するパルスレーザ光の発振時間が変動するようにパルスレーザ光を出射する、発振段と増幅段を有するレーザ装置であって、
    前記レーザ装置の前記発振段と前記増幅段の間にレーザ光を拡大するビームエキスパンダを設け、
    前記レーザ装置から出射されたパルスレーザ光のビームダイバージェンスの大きさおよびビームポインティングの角度変化を検出する検出手段と、
    前記検出手段で検出した値に基づき、ビームダイバージェンスの大きさおよびビームポインティングの角度変化を基準レベル以下に収めるように、前記ビームエキスパンダの拡大率を制御する制御手段と
    を設けたことを特徴とするレーザ装置。
  3. 前記増幅段にファブリペロー型共振器が配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のレーザ装置。
  4. 前記増幅段にリング共振器が配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のレーザ装置。
  5. 前記発振段から出射されたレーザ光が前記ビームエキスパンダで拡大される方向は略放電電極方向であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載のレーザ装置。
  6. 前記発振段レーザの共振器内に略放電電極方向のレーザビームを狭くするためのスリットが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載のレーザ装置。
  7. 前記ビームエキスパンダはプリズム型あるいはウェッジ型のビームエキスパンダであることを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載のレーザ装置。
  8. さらにレーザ光案内ミラーのあおり調整機構が設けられていることを特徴とする請求項2記載のレーザ装置。
  9. さらに狭帯域化モジュールにあおり調整機構が設けられていることを特徴とする請求項9記載のレーザ装置。
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