JP2008100151A - 有機性廃水処理方法ならびに有機性廃水処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】メタンの収量の低下を抑制しつつアルカリ成分の使用量削減を実施させ得る有機性廃水処理方法ならびに有機性廃水処理装置を提供することを課題としている。
【解決手段】有機物を含む被処理水をメタン生成菌で生物学的処理する生物処理工程と、該生物学的処理された後の処理水の一部が混合された状態で前記被処理水を前記生物学的処理させ得るように前記処理水の一部を前記生物処理工程かまたは生物処理工程よりも前段の工程に返送して前記被処理水に混合する混合工程とを実施し、さらに、前記返送される処理水に含まれている炭酸ガスを前記混合工程前に前記処理水から放出させる脱炭酸工程を実施することを特徴とする有機性廃水処理方法と処理装置とを提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機性廃水処理方法とその装置に関し、特に、有機物を含む被処理水をメタン生成菌で生物学的処理する有機性廃水処理方法とその装置に関する。
従来、有機物を含む被処理水(いわゆる「有機性廃水」)から有機物を除去する有機性廃水処理方法において、被処理水を微生物で生物学的に処理して、有機物を分解除去する方法が広く実施されており、この有機性廃水の生物学的処理方法としても種々の方法が検討されている。
例えば、下記特許文献1には、有機性廃水処理において、有機物を含む被処理水を酸生成菌にて生物学的処理する酸生成工程を一旦実施し、この酸生成工程後の酸を含む被処理水をメタン生成菌で生物学的に処理して、発生させたメタンガスを系外に除去する工程を実施することが記載されている。
特許文献1に記載されているようなメタン生成菌による生物処理工程が実施される有機性廃水処理方法においては、このメタンを燃料として有効に利用することができることから、有機性廃水の処理を実施しつつ、エネルギー源を産出することができるという効果を得ることができる。
ところで、有機性廃水は、その排出量の変動が大きく、そのままでは安定した生物学的処理を実施することが困難であることから、処理後の処理水の一部が有機性廃水に混合されて被処理水の水量が調整されて処理されたりしている。
この特許文献1にも生物処理工程で生物処理された処理水の一部を酸生成工程に返送して被処理水に混合することが記載されている。
なお、通常、メタン生成菌による生物学的処理においては、メタンと共に二酸化炭素(以下「炭酸ガス」ともいう)が発生し、処理水には、多くの炭酸ガスが溶存された状態となっている。
一方で、メタン生成菌は、通常、pH6〜8の中性領域の環境下で活発に活動する。
そのため、酸生成工程で生成された酸や、処理水に溶存されている炭酸ガスがメタン生成菌による生物処理工程に供されるとpH値を低下させてメタン生成菌の活性を低下させてしまうおそれを有する。
したがって、通常、被処理水は、メタン生成菌による生物処理工程前において水酸化ナトリウムなどのアルカリ成分が混合されてそのpHが調整されている。
特許文献1には、このpH調整に用いるアルカリ成分の使用量を削減して、有機性廃水処理のランニングコストを低減すべく、この酸生成工程において処理水が混合されている被処理水を曝気して脱炭酸することにより、メタン生成菌で生物処理する前の被処理水から炭酸ガスを除去してpH調整工程におけるアルカリの使用量を削減することが記載されている。
しかし、このように被処理水に対して曝気を実施すると、被処理水に含有されている有機物が酸化分解されてしまったり、炭酸ガスとともに被処理水に含有されている低分子量の有機物(例えば、揮発性脂肪酸等)までもが放出されてしまったりして、メタン生成菌での生物処理におけるメタンの収量を低下させてしまうおそれを有する。
すなわち、メタン生成菌で生物学的処理が実施される有機性廃水処理方法においては、従来、メタンの収量の低下を抑制しつつアルカリ成分の使用量削減を行うことが困難であるという問題を有している。
特開平8−257588号公報
本発明の課題は、メタンの収量の低下を抑制しつつアルカリ成分の使用量削減を実施させ得る有機性廃水処理方法ならびに有機性廃水処理装置を提供することにある。
本発明は、前記課題を解決すべく、有機物を含む被処理水をメタン生成菌で生物学的処理する生物処理工程と、該生物学的処理された後の処理水の一部が混合された状態で前記被処理水を前記生物学的処理させ得るように前記処理水の一部を前記生物処理工程かまたは生物処理工程よりも前段の工程に返送して前記被処理水に混合する混合工程とを実施し、さらに、前記返送される処理水に含まれている炭酸ガスを前記混合工程前に前記処理水から放出させる脱炭酸工程を実施することを特徴とする有機性廃水処理方法を提供する。
また、本発明は、前記課題を解決すべく、有機物を含む被処理水がメタン生成菌で生物学的処理される生物処理槽が備えられ、前記生物処理槽で生物学的処理された処理水の一部と前記被処理水とが混合された状態で前記生物学的処理されるべく前記処理水の一部が前記生物処理槽かまたは生物処理槽よりも前段の工程に返送される処理水返送経路が形成されており、被処理水と処理水との前記混合前に前記処理水に含まれている炭酸ガスが前記処理水から放出される脱炭酸機構がさらに備えられていることを特徴とする有機性廃水処理装置を提供する。
本発明によれば、処理水から炭酸ガスを放出させる脱炭酸工程を実施することから、この炭酸ガスの中和に要するアルカリ成分の使用量を低減させ得る。
しかも、この処理水から炭酸ガスを放出させる脱炭酸工程を処理水と被処理水との混合前に実施することから、生物処理槽に導入される被処理水中に含まれているメタン生成の元となる有機物の含有量が低減されてしまうことを抑制することができ、メタンの収量の低下を抑制させ得る。
すなわち、メタンの収量の低下を抑制しつつアルカリ成分の使用量削減を実施させ得る。
以下に、本発明の好ましい実施の形態について(添付図面に基づき)説明する。
まず、第一の実施形態として図1を参照しつつ説明する。
図1は、有機性廃水処理装置の装置構成を示すブロック図であり、図1の有機性廃水処理装置1における、10は、被処理水を導入して、内部でメタン生成菌等の嫌気性微生物により被処理水中の有機物をメタンなどに分解してメタンなどのガスを排出するとともに、有機物の含有量が低減された処理水を排出する嫌気性の生物処理槽であり、20は、生物処理槽10から排出された処理水の一部を導入して一時貯留するとともにこの処理水から放出された炭酸ガスを系外に除去するための貯留槽である脱炭酸槽を示している。
また、30は、生物処理槽10から排出された処理水に二酸化炭素以外の気体(例えば、空気、窒素など)を供給して処理水中に気泡を形成させてバブリングを実施することにより、処理水に溶存している炭酸ガスを除去するための脱炭酸機構を構成するブロアを示している。
また、40は、この脱炭酸槽20で炭酸ガスが除去された処理水と、この有機性廃水処理装置1に新たに導入された被処理水とを混合して、生物処理槽10に供給するための混合槽である。
すなわち、この第一実施形態の有機性廃水処理装置1においては、生物処理槽10から脱炭酸槽20を経由して生物処理槽10よりも前段の混合槽40に処理水の一部が返送される処理水返送経路が形成されている。
各構成について、さらに詳述すると、前記生物処理槽10は、被処理水とメタン生成菌などの嫌気性微生物から形成されたグラニュール汚泥Aとを収容するための略縦型円筒形状に形成された槽本体部11を有し、該槽本体部11において被処理水中の有機物からメタン生成菌によりメタンが生成され、このメタンを含む気体で槽本体部11中に気泡が形成された際に、この気泡を浮上させて槽本体部11の上端側で捕集させるべく、槽本体部11の上端部にはガス捕集機構が備えられており、しかも、槽本体部11に下方から上方に向けての上方流を形成することによりこの気泡の浮上を促進すべく槽本体部11の下端側に槽本体部11に被処理水を導入するための被処理水供給配管L1が接続され、上端側にこの槽本体部11でグラニュール汚泥Aのメタン生成菌等の微生物により生物学的処理された処理水を系外に排出する処理水排出配管L2と、生物学的処理された処理水を脱炭酸槽20に搬送するための処理水搬送配管L3とが接続されている。
前記槽本体部11は、水平方向の断面が同一の円形断面となる円筒形状に形成された円筒部11bが上下方向中央部分に形成されており、この円筒部11bの下端側には下方に向かって縮径する縮径部11cが形成されている。この縮径部11cの上端部は、円筒部11bの内径と同径に形成され、縮径部11cの下端部は、前記被処理水供給配管L1の内径と同径に形成されており、この縮径部11c下端に前記被処理水供給配管L1が接続されている。
また、円筒部11bの上端側には、この円筒部11bよりも径大な内径を有する円筒形状に形成された径大部11aが形成されており、この径大部11aも前記円筒部11bとの接合部を除いて水平方向断面が同一の円形断面となるように形成されている。
そして、この径大部の側面には、開口部が2箇所形成され、この開口部に前記処理水排出配管L2と処理水搬送配管L3とが接続されている。
ガス捕集機構には、漏斗状の捕集板12が用いられており、この捕集板12は、その漏斗状に形成された径大な側が前記円筒部11bの内径よりも径大で前記径大部11aの内径よりも径小となるように形成され、この径大な側を下方に向けて先端部(径小な側)を槽本体部11上端よりも上方に突出させた状態で前記径大部11aに収容されている。
しかも、この捕集板12は、下端側を径大部11aと円筒部11bとの接合部よりも上方で、且つ、径大部の側面に形成された開口部よりも下方となる位置に配した状態で径大部11aに収容され、この接合部と捕集板12との間に処理水が流通可能な間隙部を形成させている。
すなわち、この捕集板12は、有機性廃水処理装置1の運転時において、下方部分が処理水に浸漬された状態となり、前記円筒部11bを浮上してくるメタンガスを含んだ気泡が捕集板12の径大な側で捕捉され、さらに、この捕集板12を伝って浮上して径小な先端部に集約されるように前記径大部11aに収容されている。
また、この捕集板12は、気泡が付着したグラニュール汚泥Aが浮上してきた場合に、このグラニュール汚泥Aをこの捕集板12に衝突させることにより、グラニュール汚泥から気泡を剥がしグラニュール汚泥を沈降させて、気泡と処理水とグラニュール汚泥Aとを分離する役割を有している。
なお図示しないが、本実施形態の有機性廃水処理装置1には、さらにメタン捕集配管が備えられており、前記捕集板12の先端部は、前記メタン捕集配管に開口されており、メタン捕集配管は、捕集されたメタンガスを捕集板12の開口部から吸引して系外に搬送すべく設けられている。
前記脱炭酸槽20は、前記生物処理槽10の径大部11aに設けられた開口部の形成位置よりも上方に配置されており、生物処理槽10の開口部に一端部が接続されている前記処理水搬送配管L3の他端部がこの脱炭酸槽20に接続されてこの処理水搬送配管L3から処理水が流入されるべく有機性廃水処理装置1に備えられている。
この脱炭酸槽20に接続されている処理水搬送配管L3は、前述のように生物処理槽10の径大部11aに設けられた開口部に接続されていることから、この処理水搬送配管L3は、上下方向に配された状態で生物処理槽10とこの脱炭酸槽20とを連結している。
また、この脱炭酸槽20は、蓋体を備えており、処理水搬送配管L3から導入された処理水を貯留した状態で、貯留された処理水と前記蓋体との間に空間が形成されるように十分な容積を有している。そして、この脱炭酸槽20は、処理水を貯留すると共に、この処理水から脱炭酸されて生じた炭酸ガスを除去し得るように、前記蓋体に炭酸ガス排出口21が備えられている。
また、脱炭酸槽20には、この前記炭酸ガス排出口21から炭酸ガスを排出すべくポンプなどの排気手段が接続されている。
また、この脱炭酸槽20には、前記混合槽40に脱炭酸後の処理水を流出させるべく還流配管L4が接続されており、図示していないが、脱炭酸槽20から混合槽40への処理水の流出量を調整し得るように流量調整機構が備えられている。
前記ブロワ30は、前記処理水搬送配管L3内に開口されたノズル(図示せず)から処理水搬送配管L3内に空気を吹き込んで、処理水中に気泡を発生させ、処理水がこの処理水搬送配管L3を通じて脱炭酸槽20に導入されるまでの間に、処理水中に溶存している炭酸ガスをこの気泡に移行させて脱炭酸工程を実施させるべく設けられている。
すなわち、この第一実施形態においては、このブロア30と処理水搬送配管L3とにより脱炭酸機構が構成されている。
しかも、この第一実施形態におけるブロワ30は、処理水搬送配管L3の径や長さ(生物処理槽10と脱炭酸槽20との高低差)に対して、前記ノズルから噴出された空気で処理水搬送配管L3内に多数の気泡を発生させると共にその気泡の浮上に同伴させて処理水を脱炭酸槽20に揚水(以下「エアリフト」ともいう)させるのに十分な空気吹き込み能力を備えている。
なお、処理水の容積に対する空気の吹き込み量としては、常温常圧の状態において、処理水の容積に対して、通常0.2倍以上とし、5倍以上10倍以下の容積とすることが好ましい。
空気吹き込み量が上記のような範囲であることが好ましいのは、空気吹き込み量が処理水の5倍未満である場合には、十分炭酸ガスを除去できず、処理水のpH値を十分高めることが困難となるおそれがあり、一方、10倍を超える量の空気を処理水に吹き込んでも、それ以上pH値の向上が期待できないばかりでなく、処理水中の溶存酸素量を増大させるおそれがあるためである。
前記混合槽40には、新たに有機性廃水処理装置1に導入された有機物を含む被処理水を導入すべく被処理水流入配管L0が接続され、前記脱炭酸槽20から脱炭酸後の処理水を導入すべく前記還流配管L4が接続されている。
また、混合槽40には、前記脱炭酸槽20から導入される脱炭酸後の処理水と、有機性廃水を含む被処理水とを混合したり、あるいは、さらにpH調整のためのアルカリ成分を混合したりすべく攪拌翼41が備えられている。
また、前記混合槽40には、処理水が混合された後、あるいは、pH調整された後の被処理水を前記生物処理槽10に供給すべく前記被処理水供給配管L1が接続されている。
すなわち、本実施形態の有機性廃水処理装置1においては、生物処理槽10でメタン生成菌により生物処理された処理水が、処理水搬送配管L3を通じてエアリフトにより脱炭酸槽20に導入され、該脱炭酸槽20を経由して生物処理槽10よりも処理前段側に配置された混合槽40に還流配管L4を通じて返送されるべく処理水返送経路が形成されている。
次いで、このような有機性廃水処理装置1を用いて有機性廃水処理を行う方法について説明する。
まず、被処理水流入配管L0から被処理水を混合槽40に導入するとともに、脱炭酸槽20から炭酸ガスの除去された処理水を還流配管L4を通じて混合槽40に導入して攪拌翼41にて攪拌して混合する混合工程を実施する。このとき、この混合液に水酸化ナトリウムなどのアルカリ成分を混合して、生物処理槽10に流入させる被処理水のpHを約7に調整するpH調整工程を同時に実施させる。
この混合工程(pH調整工程)後の被処理水をポンプにより被処理水供給配管L1を通じて生物処理槽10の下端部から生物処理槽10に流入させる。
なお、通常、この流入された被処理水は、生物処理槽10の縮径部11cを通過する間に流速が低減され、その後、円筒部11bで安定した一定流速となる。
また、この生物処理槽10内における被処理水の流速は、通常、生物処理槽10のグラニュール汚泥Aを径大部11a側に噴流させるおそれがなく、この円筒部11b通過中に、被処理水中に含まれている有機物がグラニュール汚泥Aのメタン生成菌で十分分解される滞留時間となるように選定する。
この縮径部11cと円筒部11bとを通過させる間に、被処理水の有機物をグラニュール汚泥Aのメタン生成菌で分解してメタンガスを含むガスにより気泡を形成させるとともに、縮径部11cから円筒部11bへの上昇する上昇流により、生物処理槽10のグラニュール汚泥Aで発生されたメタンガスを含む気泡の浮上を加勢し、この気泡を円筒部11bの上部に設けられた捕集板12で捕集させて生物処理槽10から除去する。
また、このメタンガスの除去と共に、この縮径部11c、円筒部11bを通じてグラニュール汚泥Aで生物学的に処理された処理水を、この捕集板12の下端部と生物処理槽10内壁面との間隙を通過させて径大部11aに導入させ、該径大部11aから処理水排出配管L2を通じて排出させる。
この処理水排出配管L2から処理水を排出させるとともに、前記処理水搬送配管L3にも処理水が供給されるようにして前記ブロワ30で処理水搬送配管L3内に気泡を発生させる。
このことにより、処理水を処理水搬送配管L3内に気泡を発生させて該気泡でバブリングするとともに、この気泡が、処理水搬送配管L3を脱炭酸槽20に向けて浮上するのを利用して、気泡との混合状態にある処理水をエアリフトにより脱炭酸槽20側に流動させて脱炭酸槽20で破泡させる。
なお、このエアリフトにより前記生物処理槽10から処理水搬送配管L3側に自動的に処理水を吸引させることができる。
このエアリフトによる移動中において、処理水に溶存している炭酸ガスを気相側に移行させる脱炭酸工程を実施して脱炭酸槽20における処理水液面から脱炭酸槽20の蓋体との間の空間に炭酸ガスを放出させる。
さらに、脱炭酸槽20内に放出された炭酸ガスを炭酸ガス排出口21から系外に排出させる。
次いで、このような脱炭酸された処理水を脱炭酸槽20から還流配管L4を通じて混合槽40に自然流下させる。
このとき混合槽40においては、処理水を脱炭酸槽20から流入させると共に、有機物を含んだ処理水を被処理水流入配管L0から流入させて先に説明したような混合工程を実施する。
なお、混合槽40に返送させた処理水は、pH調整工程にて添加したアルカリ成分が残留した状態であり、しかも、脱炭酸がされていることから、この混合工程とともに実施するpH調整工程におけるアルカリ成分の使用量を削減させることができる。
また、以上のように説明したように、この第一実施形態においては、ブロワ30を用いたエアリフトで生物処理槽10よりも上方に配置された脱炭酸槽20に処理水が搬送され、その後、自然流下により混合槽40に返送される返送経路が形成されており、ポンプなどの搬送動力が用いられていない。
すなわち、この第一実施形態において説明した有機性廃水処理装置1およびこの有機性廃水処理装置1を用いた有機性廃水処理方法においては、バブリングのためのブロア30を搬送動力として兼用すべく作用させることができ、有機性廃水処理装置1の設備コストのみならずランニングコストを低減させる効果を奏する。
しかも、単に、生物処理槽10の処理水排出個所(径大部11a)から自然流下させる場合に比べてエアリフトの揚程分、高い水頭で混合槽40に処理水を返送させることができる。
さらに、この第一実施形態における有機性廃水処理方法では、被処理水との混合前に処理水に対してのみバブリングを実施することから、被処理水と処理水とが混合された後に空気が吹き込まれて脱炭酸されている従来の有機性廃水処理方法に比べて、メタン生成の元となる被処理水中の有機物が、生物処理槽10導入前に低減されてしまうおそれを抑制しつつも、処理水の脱炭酸を行い得るばかりでなく、生物処理槽10に導入される被処理水中の溶存酸素量を低減することが出来、メタン生成菌の活性低下を従来の方法に比べてより確実に防止させ得るという効果も奏する。
次に、図2を参照しつつ、第二の実施形態について説明する。
この第二の実施形態の有機性廃水処理装置1においては、第一実施形態で生物処理槽10よりも上方側に配置されていた脱炭酸槽20が、生物処理槽10から処理水が排出される排出個所よりも下方に配置されており、また、第一実施形態で処理水搬送配管L3内に空気を吹き込むべく設けられていた前記ブロワ30が、この処理水排出個所よりも下方に配置された脱炭酸槽20中に空気を吹き込むべく配されている点で異なっている。
すなわち、第一実施形態においては、ブロア30とノズル、ならびに、処理水搬送配管L3により脱炭酸機構が構成されており、この処理水搬送配管L3内において脱炭酸工程が実施されていたが、この第二の実施形態においては、有機性廃水処理装置1が、脱炭酸槽で脱炭酸工程が実施されるべく構成されている点において異なっている。
なお、このような点を除き、この第二の実施形態の有機性廃水処理装置1は、上記第一実施形態と同様に構成されている。
この第二の実施形態では、脱炭酸機構として、ブロワ30と該ブロワ30により脱炭酸槽20中に空気を吹き込んで気泡を発生させるための散気体22が用いられており、この散気体22は、脱炭酸槽20の底部に収容されている。
したがって、この第二実施形態においては、処理水搬送配管L3内では、脱炭酸が実施されず、処理水は、脱炭酸槽20にいたって、前記散気体でバブリングされて脱炭酸工程が実施されることとなる。
この第二実施形態においては、生物処理槽10から処理水搬送配管L3を通じて脱炭酸槽20に自然流下により処理水が搬送され、その後、自然流下により混合槽40に返送される返送経路が形成されており、ポンプなどの搬送動力が用いられていない点においては第一実施形態と同様である。
第一実施形態においては、脱炭酸槽20への処理水の搬送をエアリフトにより実施することから、処理水搬送配管L3中を流通させる処理水の流量がエアリフト可能な範囲に制限されることとなるが、この第二実施形態においては、例えば、処理水搬送配管L3に流量調整弁を設けるなど簡便な手段により脱炭酸槽20への処理水の流通量をより広範囲且つ精度良く調整することが可能となる。
さらに、第一実施形態に比べて処理水に対する空気の吹き込み量を調整することも容易であり、処理水に対する溶存酸素量を必要最小限に抑制することが容易となる効果を奏する。
したがって、混合槽40に返送される処理水量とその処理水量中の酸素量とを必要最小限に調整することが容易となることから生物処理槽10に流入される被処理水中の溶存酸素量を十分低減することが出来、メタン生成菌の活性低下をさらに防止させ得る。
次に、図3を参照しつつ、第三の実施形態について説明する。
第二の実施形態において脱炭酸機構として脱炭酸槽20に散気体が配されていたのに対して、この第三の実施形態においては、散気体などが供えられておらず、脱炭酸槽20が一般的な排ガス処理に用いられるスクラバーと同様の構造に形成されている点において異なっている。
通常、スクラバーは、液体をシャワリングするなどして多大な気液界面を形成させて気体中の成分を液体側に吸着させるべく用いられるが、この第三実施形態の有機性廃水処理装置1における脱炭酸槽20では、液体中の炭酸ガスを気体中に放出させるべく用いられる。
すなわち、脱炭酸槽20には、液体を噴出させるシャワリング機構23が内部に備えられており、このシャワリング機構23に処理水を供することにより、脱炭酸槽20内部で処理水と空気の接触する気液界面を増大させることにより、処理水から炭酸ガスを脱炭酸槽20内の気中に放出させるべく脱炭酸槽20が形成されている。
また、例えば、脱炭酸槽20における処理水液面から脱炭酸槽20の蓋体との間の空間に充填材などを配し、該充填材の上方から処理水を充填材にシャワリングし、脱炭酸槽20に導入させた処理水が充填材の表面を伝って下方に滴下されるようにすることで、さらに気液界面を増大させるべく脱炭酸槽20を形成させることも可能である。
この第三の実施形態においても、第一実施形態、第二実施形態と同様に生物処理槽10から処理水搬送配管L3を通じて脱炭酸槽20に自然流下により処理水が搬送され、その後、自然流下により混合槽40に返送される返送経路が形成されており、ポンプなどの搬送動力が用いられていない。
しかも、第一、第二実施形態で用いられている気体供給手段は、この第三実施形態においては用いられておらず、有機性廃水処理装置の運転に必要なエネルギーが、第一、第二実施形態に比べてさらに抑制されており、ランニングコストのさらなる低減を図ることができる。
さらに、第一、第二実施形態においては、処理液中に空気を吹き込んでいたために、処理水は加圧状態の空気と接触される状態となっていたが、この第三実施形態においては、脱炭酸槽20内を大気圧状態とさせることができ、加圧状態の空気と接触される第一、第二実施形態の場合に比べて処理水への溶存酸素量を十分低減させることが出来、生物処理槽10のメタン生成菌の活性低下をさらに防止させ得る。
次に、図4を参照しつつ、第四の実施形態について説明する。
この第四実施形態の有機性廃水処理装置1は、脱炭酸槽20が備えられておらず、処理水搬送配管L3でエアリフトされることにより脱炭酸工程が実施された処理水が直接混合槽40に導入されるように構成されている点を除けば、第一実施形態の有機性廃水処理装置1と同様に構成されている。
したがって、この第四実施形態においては、処理水搬送配管L3と還流配管L4との別なく、一配管により処理水返送経路が形成されている。
また、第一実施形態においては、処理水搬送配管L3において脱炭酸工程が実施された処理水が、脱炭酸槽20において気液分離されて炭酸ガスが系外に除去されていたが、この第四実施形態においては、ブロア30から吹き込まれた空気による気泡が混合槽40にて破泡され、この混合槽40から、炭酸ガスが系外に排出されることとなる。
この第四実施形態においては、脱炭酸槽20が設けられていない分、装置構成が簡略化されており、有機性廃水処理装置1の設備コストを低減させ得るとともに、装置メンテナンスも容易にさせ得る。
なお、上記においては、混合工程を混合槽40において実施する場合を例に説明したが、第一から第三実施形態に例示した有機性廃水処理装置1においては、図5に例示す混合工程を採用することも可能である。
この図5においては、第一実施形態の有機性廃水処理装置を例に、混合工程を混合槽40を用いずに生物処理槽10の縮径部11cにおいて実施させる場合を例示している。
すなわち、還流配管L4が生物処理槽10の縮径部11cに接続されており、この還流配管L4から縮径部11cに流入される処理水と、被処理水供給配管L1から流入される被処理水とがこの縮径部11cで混合されるように有機性廃水処理装置1が形成されている。
また、混合工程に混合槽40を用いない方法については、上記図5を例に説明した方法に代えて還流配管L4を被処理水供給配管L1に接続して、被処理水供給配管L1内で混合工程を実施させることも可能である。
すなわち、還流配管L4から処理水を被処理水供給配管L1に流入させて、被処理水供給配管L1内で、この被処理水供給配管L1を流通する被処理水に処理水を混合させるように有機性廃水処理装置1を構成することも可能である。
上記のように混合工程に混合槽40を用いない方法は、図5で例示しているような、第一実施形態の有機性廃水処理装置1への適用例のみならず、第二、第三実施形態の有機性廃水処理装置1にも採用することができる。
また、その場合には、混合槽40に処理水の収容スペースを確保せずに済むことから、容積の小さな混合槽40を採用することができて有機性廃水処理装置1をコンパクト化させることができる。
また、上記した実施形態では、いずれも、生物処理槽10に接続された処理水搬送配管L3から処理水を返送する場合を例に説明したが、例えば、特に第二実施形態ならびに第三実施形態などにおいては、処理水搬送配管L3が処理水排出配管L2から分岐された状態となるように処理水排出配管L2に接続されて設けられていてもよい。
さらに、処理水の系外への排出経路の途中に、処理水に含まれるグラニュール汚泥Aを沈殿分離して、この沈殿させたグラニュール汚泥Aを生物処理槽10に返送し得るように沈殿槽を設け、該沈殿槽の上澄液を処理水搬送配管L3で返送させるように有機性廃水処理装置1を構成することもできる。
この沈殿槽を用いる場合について、図6、図7を参照しつつ説明する。
上記の図1乃至5を参照しつつ説明した実施形態においては、いずれも、生物処理槽10の槽本体部11として、被処理液の流通方向に向けて(槽下端部から上端部に向けて)順に縮径部11c、円筒部11b、径大部11aが形成されており、被処理液の流路が順に拡径されるように形成されたものが用いられていたが、この図6、図7に例示の有機性廃水処理装置1では、これら縮径部11c、円筒部11b、径大部11aなどの別なく、下端部から上端部まで同一断面積に形成された有底縦型筒状の槽本体部11’が生物処理槽10に用いられている点において異なっている。
また、上記の図1乃至5を参照しつつ説明した実施形態においては、槽本体部11の上端部に捕集板12が設けられており、該捕集板12でメタンガスを含む気泡を捕集して系外に排出させるようにしていたが、この図6、図7に例示の有機性廃水処理装置1では、捕集板12は設けず、代わりに、この槽本体部11’を閉塞させる蓋体12aが槽本体部11’上端部に設けられている。
この蓋体12aにおいても、図示しないが、上記捕集板12と同様に開口部が形成されており、該開口部がメタン捕集配管に接続されている。
また、この図6、図7に例示の有機性廃水処理装置1では、槽本体部11’内で生物学的処理された処理水の液面と前記蓋体12aとの間に空間部が形成されるように、槽本体部11’上端部よりもやや下方となる位置に堰13が設けられており、該堰13から溢れた処理水が処理水排出配管L2を通じて沈殿槽50に導入されるよう形成されている。
前記沈殿槽50としては、例えば、槽底中央部に向けて傾斜した底面51を備え、槽底中央部に汚泥引抜き口52を備えた、一般的な沈殿槽50を用いることができ、この図6、図7に例示の有機性廃水処理装置1では、この沈殿槽50は、生物処理槽10から排出され、処理水排出配管L2を通じて該沈殿槽50に導入される処理水中に含まれるグラニュール汚泥Aを沈殿分離すべく処理水の系外への排出経路(処理水排出配管L2、L2’)の途中に設けられている。
また、図6、図7に例示の有機性廃水処理装置1には、この沈殿槽50で沈殿分離されたグラニュール汚泥Aを生物処理槽10に返送させる汚泥返送配管L5と、沈殿分離後の上澄液を系外に排出させる処理水排出配管L2’とが備えられており、前記汚泥返送配管L5は、その一端部が汚泥引抜き口52に接続され、他端部が生物処理槽10底部に接続された状態で配されている。
また、図6、図7に例示の有機性廃水処理装置1においては、沈殿槽50で沈殿分離された上澄液の一部を返送すべく処理水搬送配管L3が、その一端部を沈殿槽50に接続させて備えられている。
上記のような構成を備えることで、沈殿槽50で沈殿分離後の処理水に脱炭酸を実施することができ、脱炭酸される処理水にグラニュール汚泥Aが含まれることを抑制することができる。
したがって、空気を用いたバブリングにより脱炭酸を実施する場合においても、処理水に含まれたグラニュール汚泥Aが好気的な環境に曝されてしまい活性が低下されたグラニュール汚泥Aが生物処理槽10に返送されてしまうことを、この沈殿槽50を用いる態様を採用することで抑制させることができる。
また、生物処理槽10の槽本体部11’を図6、図7に例示のようなものを採用することにより、図1乃至5に例示したような、槽下端部から上端部に向けて収容スペースが拡大するような槽本体部11を用いる場合に比べて、設置スペースに無駄が生じることを抑制できる。
しかも、この生物処理槽10の後段に沈殿槽50が備えられており、該沈殿槽50から生物処理槽10への汚泥返送経路が形成されていることから、生物処理槽10から排出される処理水にグラニュール汚泥Aが混入するような場合でも、該グラニュール汚泥Aが回収されて生物処理槽10に返送されるとともに、系外に排出される処理水の水質を向上させることができる。
したがって、生物処理槽10の液面近くにまでグラニュール汚泥Aが存在する状態で生物処理槽10の生物学的処理を実施させることができ、より効率の高い有機性廃水処理を実施させることができる。
なお、この図6、図7に例示の有機性廃水処理装置1を用いた有機性廃水の処理においては、処理水搬送配管L3が生物処理槽10から直接処理水を返送させるか、生物処理槽10より後段に備えられた沈殿槽50から返送させるかの相違を有するものの、図1乃至5を例示して説明した方法と基本的には同じ脱炭酸工程、ならびに、混合工程を実施させ得る。
例えば、この図6に例示の有機性廃水処理装置1では、上記相違部分以外は図1を例示して説明した第一実施形態と同様に有機性廃水を処理させることができる。
すなわち、この図6に例示の有機性廃水処理装置1では、生物処理槽10でメタン生成菌等の微生物により生物処理された処理水が、処理水排出配管L2、沈殿槽50を通じて処理水搬送配管L3に供給され、該処理水搬送配管L3からエアリフトにより脱炭酸槽20に導入され、該脱炭酸槽20を経由して生物処理槽10よりも処理前段側に配置された混合槽40に還流配管L4を通じて返送されるべく処理水返送経路が形成されることとなる。
生物処理槽10に接続された処理水搬送配管L3から処理水を返送させる態様に代えて、この図6に例示したように沈殿槽50を用いて該沈殿槽50から処理水搬送配管L3で処理水(上澄液)を返送させる態様とすることは、上記に説明した第二乃至第四実施形態のいずれの有機性廃水処理装置1にも採用可能であり、さらに、図5に例示した混合槽40を用いない態様と組み合わせて第一乃至第三の実施形態の有機性廃水処理装置1に採用することも可能である。
さらに、この沈殿槽50を備えた有機性廃水処理装置1としては、図7に例示するようなものも採用し得る。
この図7に例示の有機性廃水処理装置1においては、上記第三実施形態において説明したシャワリング機構23’が沈殿槽50に備えられており、処理水排出配管L2が生物処理槽10とシャワリング機構23’とに接続されて備えられている。
したがって、生物処理槽10からは、このシャワリング機構23’によってシャワリングされて沈殿槽50に処理水が導入されることとなる。
この図7に例示の有機性廃水処理装置1においても、上記第三実施形態において説明したような充填材を配した態様を採用することもでき、例えば、沈殿槽50の液面よりも上方部分にこの充填材を配して、該充填材の上方から処理水を充填材にシャワリングし、処理水が充填材の表面を伝って下方に滴下されるようにすることで、さらに気液界面を増大させるという効果を奏させ得る点についても第三実施形態の有機性廃水処理装置1と同様である。
なお、この図7に例示の有機性廃水処理装置1においては、このシャワリング機構23’によって脱炭酸が実施されることとなるため、その他の脱炭酸機構の設置を省略させ得る。
なお、この図7や、図3などに示すシャワリング機構23を備えた態様においては、シャワリングにより処理液から分離された炭酸ガスが再び処理液に溶解してしまうことを防止すべく、例えば、図3の脱炭酸槽20や、図7の沈殿槽50に気体が滞留することを防止する機構を設けることが好ましい。
この気体の滞留を防止する機構としては、例えば、真空ポンプなどによる強制排気を実施するとともに周囲環境から大気を流入させるような機構を例示することができる。
なお、上記には示していないが、有機性廃水処理方法における種々の改良ならびに、有機性廃水処理装置における種々の改良点は、本発明の有機性廃水処理方法、有機性廃水処理装置にも採用することができ、本発明の有機性廃水処理方法および有機性廃水処理装置は、上記例示のものに限定されるものではない。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(脱炭酸工程:空気吹き込み量の検討)
メタン生成菌等を含むグラニュール汚泥により生物学的に嫌気性処理された処理水に対して、曝気による脱炭酸工程を実施し、脱炭酸工程を実施しない処理水のpHと、空気吹き込み量を変化させて脱炭酸工程を実施した処理水の脱炭酸工程後の処理水のpH値とについて調査した。
この処理水に対する脱炭酸工程については、メタン生成菌により生物学的処理された処理水1リットルを収容した槽内に散気体を浸漬させ、この散気体に一分間あたりに常温常圧状態で1リットルの空気を所定時間(0.5分間(30秒間)、1分間、2分間、3分間、10分間)供給して実施した。
この時の空気吹き込み量(空気供給時間(分)×1リットル)と、空気吹き込み(曝気)後の処理水のpH値との関係を調査した。
このpHの測定には、堀場製作所製、型式「D−50」のpHメータを用いた。
結果、図8に示す通りであり、空気吹き込み時間3分、すなわち、処理水に対する空気吹き込み量を3倍とすることで処理水のpH値を7.7とすることができ、空気吹き込み時間10分、すなわち、空気吹き込み量を10倍とすることで処理水のpH値を8.4にまで高めることができた。
また、図8からは、10倍を超えて空気の吹き込みを実施しても、それ以上のpH値の上昇は認められず、溶存酸素量の増大を防止する点から10倍以下であることが好ましいことがわかる。
(pH調整工程:アルカリ成分使用量削減効果の検討)
上記のごとく、0.5分間、1分間、2分間、3分間、10分間の空気吹込み(脱炭酸工程)を実施した処理水、および、空気吹込みを実施しなかった処理水が、pH調整工程でのアルカリ成分の使用量をどの程度削減させ得るかについて評価した。
具体的には、0.5分間、1分間、2分間、3分間、10分間の空気吹込みを実施した各処理水と空気吹込みを実施しなかった処理水をそれぞれ100ミリリットルずつ採取し、この100ミリリットルの処理水に対して0.1モル/リットルの塩酸を処理水のpHが7.0になるまで滴下して、処理水のpHが7.0になるまでに要した塩酸滴下量を測定した。結果を図9に示す。
この図9の塩酸滴下量の増大分は、pH調整工程でのアルカリ成分の使用量の削減効果を反映させるものであり、空気吹き込み時間3分、すなわち、処理水に対する空気吹き込み量を3倍としたものは、空気の吹き込みを実施していない処理水に比べて2倍以上の塩酸滴下量を示し、空気吹き込み時間10分、すなわち、空気吹き込み量を10倍としたものは、空気の吹き込みを実施していない処理水に比べて4倍以上の塩酸滴下量を示した。
以上のようなことからも、処理水と被処理水との混合前において処理水に脱炭酸工程を実施することにより、pH調整のためのアルカリ成分の使用量を低減させ得ることがわかる。
第一実施形態の有機性廃水処理装置を示すブロック図。 第二実施形態の有機性廃水処理装置を示すブロック図。 第三実施形態の有機性廃水処理装置を示すブロック図。 第四実施形態の有機性廃水処理装置を示すブロック図。 混合槽を用いない態様の有機性廃水処理装置を示すブロック図。 沈殿槽を採用した態様の有機性廃水処理装置を示すブロック図。 沈殿槽で脱炭酸が実施される有機性廃水処理装置を示すブロック図。 脱炭酸工程での空気吹き込み量と脱炭酸工程後の処理水のpHの関係を表すグラフ。 脱炭酸工程での空気吹き込み量と脱炭酸工程後の処理水が混合された被処理水の中和に要するアルカリ成分の量との関係を表すグラフ。
符号の説明
1:有機性廃水処理装置、10:生物処理槽、11:槽本体部(11a:径大部、11b:円管部、11c:縮径部)、12:捕集板、20:脱炭酸槽、21:炭酸ガス排出口、22:散気体、23:シャワリング機構、30:ブロア、40:混合槽、41:攪拌翼、50:沈殿槽、51:底面、52:汚泥引抜き口、A:グラニュール汚泥、L0:被処理水流入配管、L1:被処理水導入配管、L2:処理水排出配管、L3:処理水搬送配管、L4:還流配管、L5:汚泥返送配管

Claims (9)

  1. 有機物を含む被処理水をメタン生成菌で生物学的処理する生物処理工程と、該生物学的処理された後の処理水の一部が混合された状態で前記被処理水を前記生物学的処理させ得るように前記処理水の一部を前記生物処理工程かまたは生物処理工程よりも前段の工程に返送して前記被処理水に混合する混合工程とを実施し、さらに、前記返送される処理水に含まれている炭酸ガスを前記混合工程前に前記処理水から放出させる脱炭酸工程を実施することを特徴とする有機性廃水処理方法。
  2. 前記処理水に対してバブリングを実施して、前記処理水から炭酸ガスを放出させる脱炭酸工程を実施する請求項1記載の有機性廃水処理方法。
  3. 前記処理水を、シャワリングして前記処理水から炭酸ガスを放出させる脱炭酸工程を実施する請求項1記載の有機性廃水処理方法。
  4. 有機物を含む被処理水がメタン生成菌で生物学的処理される生物処理槽が備えられ、前記生物処理槽で生物学的処理された処理水の一部と前記被処理水とが混合された状態で前記生物学的処理されるべく前記処理水の一部が前記生物処理槽かまたは生物処理槽よりも前段の工程に返送される処理水返送経路が形成されており、被処理水と処理水との前記混合前に前記処理水に含まれている炭酸ガスが前記処理水から放出される脱炭酸機構がさらに備えられていることを特徴とする有機性廃水処理装置。
  5. 処理水のバブリングを実施して前記処理水から炭酸ガスを放出させ得るように、前記脱炭酸機構には前記処理水中に気体を供給する気体供給手段が用いられている請求項4記載の有機性廃水処理装置。
  6. 前記処理水返送経路は、処理水が流通される配管が用いられて形成されており、前記気体供給手段が、前記配管中の処理水に気泡を発生させて前記バブリングを実施させ得るように備えられている請求項5記載の有機性廃水処理装置。
  7. 上下方向に配され前記生物処理槽から排出される処理水が下端部から導入されて流通される前記配管が備えられており、該配管内の処理水中に気泡を発生させて前記バブリングを実施させることにより、前記気泡の浮上に同伴させて前記処理水を前記生物処理槽よりも上方に揚水させ得るように前記気体供給手段が備えられている請求項6記載の有機性廃水処理装置。
  8. 前記処理水返送経路には、前記気体供給手段により気泡が形成されている処理水を導入し一旦貯留することにより、前記気体供給手段により発生された処理水中の気泡が破泡される貯留槽が設けられており、該貯留槽を経由して処理水が返送されるべく前記処理水返送経路が形成されている請求項6または7記載の有機性廃水処理装置。
  9. 前記処理水を気中に噴出させることにより処理水を気体に暴露させて前記処理水から炭酸ガスを除去させるべく、処理水を気中に噴出させるシャワリング機構が前記脱炭酸機構に用いられている請求項4記載の有機性廃水処理装置。
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