JP2008095887A - 絶縁転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸受内輪側に絶縁層を設ける加工工数が少なく低コストで製造できるとともに、チャンファー部の欠陥も生じず、優れた絶縁性を有する絶縁転がり軸受を提供する。
【解決手段】内輪2および外輪3と、これら内外輪の転走面間に介在する複数の転動体4と、内輪2の内周部に嵌合された絶縁スリーブ8とを備えた絶縁転がり軸受であって、絶縁スリーブ8は、軸9に嵌合するスリーブ本体8aと、該スリーブ本体8aの外周面に形成された絶縁層8bとから構成され、このスリーブ本体8aは内輪2の幅面と嵌合するつばを有し、上記絶縁層8bは該スリーブ本体8aの外径面と、つば上の内輪側端面とに形成される。
【選択図】図1
【解決手段】内輪2および外輪3と、これら内外輪の転走面間に介在する複数の転動体4と、内輪2の内周部に嵌合された絶縁スリーブ8とを備えた絶縁転がり軸受であって、絶縁スリーブ8は、軸9に嵌合するスリーブ本体8aと、該スリーブ本体8aの外周面に形成された絶縁層8bとから構成され、このスリーブ本体8aは内輪2の幅面と嵌合するつばを有し、上記絶縁層8bは該スリーブ本体8aの外径面と、つば上の内輪側端面とに形成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、汎用モータ、発電機用ジェネレータ、鉄道車両の主電動機等、主に軸受内部を電流が流れるような構造の装置に用いられる絶縁転がり軸受に関する。
鉄道車両の主電動機に用いられる転がり軸受は、主電動機の電流を車輪からレールへ接地する接地用集電装置が不完全な場合に、主電動機の電流が転がり軸受の内外輪および転動体を通って、車輪とレール間に流れる。このとき、軸受転動体と外輪転走面との間または内輪転走面との間で放電が生じ、放電部分に電食を生じることがある。その他の発電機用ジェネレータ等、軸受内部を電流が流れるような構造の装置に用いられる軸受においても、同様に電食を生じることがある。このような電食を防止する有効な手段としては、従来、軸受軌道輪の外表面にセラミックス等の絶縁体の溶射被膜を形成することが知られている。
しかし、溶射技術を用いて軸受の外径面および幅面にセラミックス層を設ける方法は、熱処理して硬化させた軸受綱の溶射加工時の熱による焼き戻り防止のために、ワークを冷却しながらセラミックス層を成膜せねばならず、非常に煩雑であり、生産性の低下を招いていた。さらに、溶射法で軸受外径面および幅面にセラミックス層を設けようとすると、下地処理としてニッケルアルミ等の層を予め溶射する必要があり、これも生産性の低下を招く原因となっている。
また、溶射法で得られたセラミックス層は、多孔質となるため結露などでの水分の侵入による絶縁抵抗の低下を封孔処理で対策する必要がある。封孔処理については合成樹脂、重合性有機溶剤、並びにフッ素系界面活性剤およびパーフルオロ基含有有機ケイ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する封孔処理剤を用いる方法(特許文献1参照)や、浸透性良好な絶縁樹脂による封孔処理層を下層とし、浸透性が完全でない絶縁樹脂による封孔処理層を上層とする組合せ層を形成することにより封孔する方法(特許文献2参照)等が知られている。しかし、これらの封孔処理方法を用いる場合は、非常にコスト高となるという問題がある。
一方、これらの問題に対処すべく、本発明者はアルミナセラミックス層を外輪外周面等(外径面からチャンファー部を通り幅面まですべて)にエアロゾルデポジション(以下、ADと記す)法で形成したセラミックス絶縁軸受を提案している(特願2006−62638)。
しかしながら、軸受外輪にAD法で絶縁層を形成しようとすると、成膜速度が遅いために、例えば鉄道車両用や風車用の大型軸受では、製造時間が多大になった。軸受内輪に絶縁層を設けることは、外輪に絶縁層を形成することに比べ、相当の製造時間の短縮が期待できた。しかし、AD法で軸受内輪に絶縁層を設けて絶縁軸受とするには、軸受内周面になるべく直角方向からノズルを介して微粒子を吐出させねばならず、回転用モータへの取り付け方法やノズルの形状等の製造装置の構成が非常に困難であり、軸受の仕様によっては不可能な場合もあった。
しかしながら、軸受外輪にAD法で絶縁層を形成しようとすると、成膜速度が遅いために、例えば鉄道車両用や風車用の大型軸受では、製造時間が多大になった。軸受内輪に絶縁層を設けることは、外輪に絶縁層を形成することに比べ、相当の製造時間の短縮が期待できた。しかし、AD法で軸受内輪に絶縁層を設けて絶縁軸受とするには、軸受内周面になるべく直角方向からノズルを介して微粒子を吐出させねばならず、回転用モータへの取り付け方法やノズルの形状等の製造装置の構成が非常に困難であり、軸受の仕様によっては不可能な場合もあった。
また、軸受内径面、幅面およびチャンファー部を一度に成膜できないため、軸受内径面、表側幅面、表側チャンファー部、裏側幅面および裏側チャンファー部について独立に成膜せねばならず加工工数が甚大であった。チャンファー部は、軸受内径面のように研磨加工されていないため粗い面となっており、AD法でのセラミックス層の成膜では欠陥が生じやすかった。このため、チャンファー部を研磨加工しようとするとコスト増を招いた。
特開2003−183806号公報
特許第3009516号公報
本発明はこのような問題に対処するためになされたもので、軸受内輪側に絶縁層を設ける加工工数が少なく低コストで製造できるとともに、チャンファー部の欠陥も生じず、優れた絶縁性を有する絶縁転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明の絶縁転がり軸受は、内輪および外輪と、これら内外輪の転走面間に介在する複数の転動体と、上記内輪の内周部に嵌合された絶縁スリーブとを備えた絶縁転がり軸受であって、上記絶縁スリーブは、AD法により形成されたセラミックス被膜からなる絶縁層を備えてなることを特徴とする。
上記絶縁スリーブは、軸に嵌合するスリーブ本体と、該スリーブ本体の外周面に形成された上記絶縁層とから構成されることを特徴とする。
また、上記スリーブ本体は上記内輪の幅面と嵌合するつばを有し、前記絶縁層は該スリーブ本体の外径面と、上記つば上の内輪側端面とに形成されることを特徴とする。
また、上記スリーブ本体は上記内輪の幅面と嵌合するつばを有し、前記絶縁層は該スリーブ本体の外径面と、上記つば上の内輪側端面とに形成されることを特徴とする。
上記セラミックス被膜を形成するための、エアロゾル原料となるセラミックス微粒子の平均粒子径は 0.01μm〜2μm であることを特徴とする。
また、上記セラミックス被膜は、窒化珪素の微粒子をエアロゾル原料として使用した被膜であることを特徴とする。
また、上記セラミックス被膜は、窒化珪素の微粒子をエアロゾル原料として使用した被膜であることを特徴とする。
本発明の絶縁転がり軸受は、AD法により形成されたセラミックス被膜からなる絶縁層を設けた絶縁スリーブを軸受内輪内周部に設けることで、直接軸受内輪の内周面に絶縁層を形成しなくても絶縁性を付与することができる。このため、リング状の内側周面であり、セラミックス被膜を形成し難い内輪に絶縁層を設ける場合の加工工数を大幅に軽減でき、チャンファー部の欠陥も生じず、また軸受組込も簡便になる。
また、ワークの冷却不要、ニッケルアルミ等の下地処理不要および封孔処理不要などにより、溶射法を用いる場合と比較して製造コストが大幅に安くなる。
また、ワークの冷却不要、ニッケルアルミ等の下地処理不要および封孔処理不要などにより、溶射法を用いる場合と比較して製造コストが大幅に安くなる。
本発明の絶縁転がり軸受の一実施例を図1に基づいて説明する。図1は絶縁スリーブを有する絶縁転がり軸受の断面図である。なお、絶縁スリーブ8の絶縁層8bは非常に薄い、数μm〜数十μm のセラミックス被膜であるが、説明便宜上、実際よりも厚く図示している。
図1に示すように、絶縁転がり軸受1は、内輪2と、外輪3と、これら内外輪の転走面間に介在する複数の転動体4と、上記内輪2の内周部に嵌合された絶縁スリーブ8とを備える。絶縁スリーブ8は、内輪2が軸9等と接触することを防止できる形状であればよく、図1に示すようにスリーブ外径面で内輪内径面と、つば部分で内輪幅面と嵌合している。絶縁スリーブ8は、軸9に嵌合するスリーブ本体8aと、該スリーブ外周面(外径面、および、つば上の内輪側端面)にAD法により形成されたセラミックス被膜からなる絶縁層8bとから構成される。
なお図1には絶縁転がり軸受1の他の構成部材として転動体4を保持する保持器5と、転動体4の周囲の軸受空間に封入されたグリース7と、軸受空間を密封するシール部材6とが示されている。
図1に示すように、絶縁転がり軸受1は、内輪2と、外輪3と、これら内外輪の転走面間に介在する複数の転動体4と、上記内輪2の内周部に嵌合された絶縁スリーブ8とを備える。絶縁スリーブ8は、内輪2が軸9等と接触することを防止できる形状であればよく、図1に示すようにスリーブ外径面で内輪内径面と、つば部分で内輪幅面と嵌合している。絶縁スリーブ8は、軸9に嵌合するスリーブ本体8aと、該スリーブ外周面(外径面、および、つば上の内輪側端面)にAD法により形成されたセラミックス被膜からなる絶縁層8bとから構成される。
なお図1には絶縁転がり軸受1の他の構成部材として転動体4を保持する保持器5と、転動体4の周囲の軸受空間に封入されたグリース7と、軸受空間を密封するシール部材6とが示されている。
本発明においてスリーブ本体を形成する材料としては、クリープなどを生じない金属材料であれば特に制限されないが、プレス加工などにより安価にスリーブ形状に成形できる材料であればさらに好適である。
本発明の絶縁転がり軸受の製作方法を以下に説明する。
まず絶縁スリーブの製作については金属板をプレス成形して図1に示すようなつばを有するスリーブ本体8aを得る。
得られたスリーブ本体8aの外径面およびつば上の端面に、セラミックス微粒子をエアロゾル原料として用いたセラミックス被膜からなる絶縁層8bをAD法により形成し、絶縁スリーブ8を得る。
次に絶縁転がり軸受の製作については、得られた絶縁スリーブ8を、予め絶縁スリーブ8を除いて組み立てておいた転がり軸受の内輪2の内周部に嵌合して絶縁転がり軸受を得る。
まず絶縁スリーブの製作については金属板をプレス成形して図1に示すようなつばを有するスリーブ本体8aを得る。
得られたスリーブ本体8aの外径面およびつば上の端面に、セラミックス微粒子をエアロゾル原料として用いたセラミックス被膜からなる絶縁層8bをAD法により形成し、絶縁スリーブ8を得る。
次に絶縁転がり軸受の製作については、得られた絶縁スリーブ8を、予め絶縁スリーブ8を除いて組み立てておいた転がり軸受の内輪2の内周部に嵌合して絶縁転がり軸受を得る。
本発明においてAD法は、原料セラミックスの微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを基材であるスリーブ本体に向けてエアロゾル噴射ノズルより噴射し、エアロゾルをこの基材表面に高速で衝突させ、微粒子の構成材料からなる被膜を基材上に形成させる方法である。セラミックス微粒子は、衝突により粉砕し、清浄な新生表面を形成し、低温接合を生じさせるので、室温で微粒子同士の接合を実現できる。なお、金属基材のみならず、樹脂基材に対しても良好に被膜形成が可能である。
エアロゾル中ではセラミックスの微粒子は分散状態を維持している。溶射法から得られる被膜が多孔質であるのに対し、AD法により得られる被膜は、上記のようにエアロゾルに分散した微粒子から被膜を形成するので、得られる被膜は極めて緻密なセラミックス層となる。このため、該被膜からなる絶縁層を備えた絶縁スリーブを内輪内周部に嵌合した絶縁転がり軸受は、結露などで水分にさらされても、水分が浸透できる空孔を持たないセラミックス層に保護されるので通電することがなく、絶縁抵抗の低下を招くこともない。
またAD法では、溶射法と異なり高温処理が不要であるため、高温にさらされることによる原料セラミックスの変態による絶縁性の低下を招くこともない。例えば、絶縁性に優れたαアルミナを用いても溶射法ではγアルミナに変態して絶縁性が低下するため、膜厚を増加させる必要があるが、AD法でαアルミナを用いると絶縁性の高いαアルミナのままで成膜できるので、膜厚を増加させずに絶縁性の高いセラミックス層が得られる。
エアロゾル中ではセラミックスの微粒子は分散状態を維持している。溶射法から得られる被膜が多孔質であるのに対し、AD法により得られる被膜は、上記のようにエアロゾルに分散した微粒子から被膜を形成するので、得られる被膜は極めて緻密なセラミックス層となる。このため、該被膜からなる絶縁層を備えた絶縁スリーブを内輪内周部に嵌合した絶縁転がり軸受は、結露などで水分にさらされても、水分が浸透できる空孔を持たないセラミックス層に保護されるので通電することがなく、絶縁抵抗の低下を招くこともない。
またAD法では、溶射法と異なり高温処理が不要であるため、高温にさらされることによる原料セラミックスの変態による絶縁性の低下を招くこともない。例えば、絶縁性に優れたαアルミナを用いても溶射法ではγアルミナに変態して絶縁性が低下するため、膜厚を増加させる必要があるが、AD法でαアルミナを用いると絶縁性の高いαアルミナのままで成膜できるので、膜厚を増加させずに絶縁性の高いセラミックス層が得られる。
本発明においてAD法によるセラミックス被膜を形成するための、エアロゾル原料となるセラミックス微粒子としては、絶縁性が良好なアルミナ、マグネシア、ジルコニア、チタニア等の酸化物セラミックスや窒化珪素等の微粒子が挙げられる。これらの中で破壊靭性値や圧縮強さの値が大きいことことから、窒化珪素の微粒子が好ましい。
本発明に用いることができるセラミックス微粒子の平均粒子径は、0.01〜2μm であることが好ましい。0.01μm 未満では凝集しやすくエアロゾル化は困難であり、2μm をこえるとAD法での膜形成はできない(膜成長しない)。なお、本発明において平均粒子径は日機装株式会社製:レーザー式粒度分析計マイクロトラックMT3000によって測定した値である。
また、被膜形成を良好に行なうため、基材への衝突時に窒化珪素微粒子が容易に粉砕するように、ボールミル、ジェットミル等の粉砕機を用いてクラックを予め形成しておくことが好ましい。
本発明に用いることができるセラミックス微粒子の平均粒子径は、0.01〜2μm であることが好ましい。0.01μm 未満では凝集しやすくエアロゾル化は困難であり、2μm をこえるとAD法での膜形成はできない(膜成長しない)。なお、本発明において平均粒子径は日機装株式会社製:レーザー式粒度分析計マイクロトラックMT3000によって測定した値である。
また、被膜形成を良好に行なうため、基材への衝突時に窒化珪素微粒子が容易に粉砕するように、ボールミル、ジェットミル等の粉砕機を用いてクラックを予め形成しておくことが好ましい。
本発明においてAD法によるセラミックス被膜の形成方法としては、スリーブ本体を固定してエアロゾル噴射ノズルを移動させて被膜を形成する方法、または、エアロゾル噴射ノズルを固定してスリーブ本体を移動させて被膜を形成する方法のいずれも採用できる。
これらの方法の中で、エアロゾルを安定な状態で吹きつけることができ、位置決め用XYテーブルおよび対象物回転用モータを併用し、スリーブ本体を回転させつつ軸方向に移動させることで、セラミックス被膜を容易に塗り重ねて形成できることから、後者の方法を用いることが好ましい。
これらの方法の中で、エアロゾルを安定な状態で吹きつけることができ、位置決め用XYテーブルおよび対象物回転用モータを併用し、スリーブ本体を回転させつつ軸方向に移動させることで、セラミックス被膜を容易に塗り重ねて形成できることから、後者の方法を用いることが好ましい。
本発明におけるAD法を図2に基づいて説明する。図2はAD法による被膜形成装置を示す図である。
図2に示すように、AD法による被膜形成装置11は真空チャンバー12を有する。真空チャンバー12内には、被膜形成対象である絶縁転がり軸受のスリーブ本体8aと、エアロゾル噴射ノズル18とが配設されている。エアロゾル噴射ノズル18にはエアロゾル発生装置17からエアロゾルが供給される。エアロゾルの搬送ガスとしては、不活性ガスを使用し、ガス供給設備16からエアロゾル発生装置17に供給されている。使用可能な不活性ガスとしては、アルゴン、窒素、ヘリウム等が挙げられる。
真空チャンバー12の内部は真空ポンプ13によって減圧される。セラミックス微粒子の混入を防止するため、真空ポンプ13の直前に微粒子フィルター19が設けられている。スリーブ本体8aは、真空チャンバー12内において、対象物回転用モータ15により回転させられ(図中A)、位置決め用XYテーブル14により軸方向に移動させられる(図中B)。
図2に示すように、AD法による被膜形成装置11は真空チャンバー12を有する。真空チャンバー12内には、被膜形成対象である絶縁転がり軸受のスリーブ本体8aと、エアロゾル噴射ノズル18とが配設されている。エアロゾル噴射ノズル18にはエアロゾル発生装置17からエアロゾルが供給される。エアロゾルの搬送ガスとしては、不活性ガスを使用し、ガス供給設備16からエアロゾル発生装置17に供給されている。使用可能な不活性ガスとしては、アルゴン、窒素、ヘリウム等が挙げられる。
真空チャンバー12の内部は真空ポンプ13によって減圧される。セラミックス微粒子の混入を防止するため、真空ポンプ13の直前に微粒子フィルター19が設けられている。スリーブ本体8aは、真空チャンバー12内において、対象物回転用モータ15により回転させられ(図中A)、位置決め用XYテーブル14により軸方向に移動させられる(図中B)。
エアロゾル噴射ノズル18は、セラミックス微粒子を、長方形等の開口部を有するノズル先端から、スリーブ本体8aの外径面、つば上の端面に噴射するものである。なお、エアロゾル噴射ノズル18は、1本であっても複数本であってもよい。また、エアロゾル噴射ノズル18は、真空チャンバー12内で変位可能に構成してもよい。
固定したエアロゾル噴射ノズル18から、対象物回転用モータ15により所定回転数で回転しているスリーブ本体8aに、セラミックス微粒子を原料とするエアロゾルが噴射され、スリーブ本体8aの外径面にセラミックス被膜が塗り重ねられて形成される。同時に、位置決め用XYテーブル14によりスリーブ本体8aを軸方向に移動させることで、外径面の軸方向にも均一に被膜が形成される。なお、スリーブ本体8aのつば上の内輪側端面には、該装置においてスリーブ本体8aの向きを変えて設置し、上記と同様に行なう。
被膜形成は、被膜厚さが 30μm 程度となるまで行なうことが好ましい。30μm 未満であると十分な絶縁抵抗が得られず、200μm をこえると製造コストが高くなる。
固定したエアロゾル噴射ノズル18から、対象物回転用モータ15により所定回転数で回転しているスリーブ本体8aに、セラミックス微粒子を原料とするエアロゾルが噴射され、スリーブ本体8aの外径面にセラミックス被膜が塗り重ねられて形成される。同時に、位置決め用XYテーブル14によりスリーブ本体8aを軸方向に移動させることで、外径面の軸方向にも均一に被膜が形成される。なお、スリーブ本体8aのつば上の内輪側端面には、該装置においてスリーブ本体8aの向きを変えて設置し、上記と同様に行なう。
被膜形成は、被膜厚さが 30μm 程度となるまで行なうことが好ましい。30μm 未満であると十分な絶縁抵抗が得られず、200μm をこえると製造コストが高くなる。
図1に示す絶縁転がり軸受を以下に示す方法で作成し試験用軸受とした。まずSPCC材からなる金属板をプレス成形後、浸炭処理して図1に示すような内側につばを有するスリーブ本体8aを得た。
得られたスリーブ本体8aの外径面およびつば上の端面に、AD法により窒化珪素微粒子(宇部興産社製、SN−E10平均粒径 0.55μm )をエアロゾル原料とするセラミックス被膜からなる絶縁層8bを 30μm の厚みで形成し絶縁スリーブ8を製作した。AD法は、図2に示すような位置決め用XYテーブルおよび対象物回転用モータを併用した軸受駆動装置を用いて、周速 60 mm/分で回転しつつ軸方向に移動するスリーブ本体に、100 Pa以下の減圧下で、開口サイズ 10 mm× 2.0 mm のノズルを通して上記窒化珪素微粒子のエアロゾルを噴射して被膜形成を行なった。
得られた絶縁スリーブ8を、予め絶縁スリーブ8を除いて組み立てておいた転がり軸受の内輪の内周部に嵌合して絶縁転がり軸受を得た。
得られたスリーブ本体8aの外径面およびつば上の端面に、AD法により窒化珪素微粒子(宇部興産社製、SN−E10平均粒径 0.55μm )をエアロゾル原料とするセラミックス被膜からなる絶縁層8bを 30μm の厚みで形成し絶縁スリーブ8を製作した。AD法は、図2に示すような位置決め用XYテーブルおよび対象物回転用モータを併用した軸受駆動装置を用いて、周速 60 mm/分で回転しつつ軸方向に移動するスリーブ本体に、100 Pa以下の減圧下で、開口サイズ 10 mm× 2.0 mm のノズルを通して上記窒化珪素微粒子のエアロゾルを噴射して被膜形成を行なった。
得られた絶縁スリーブ8を、予め絶縁スリーブ8を除いて組み立てておいた転がり軸受の内輪の内周部に嵌合して絶縁転がり軸受を得た。
得られた軸受の絶縁抵抗を絶縁抵抗計で計測したところ 1000 V 印加で 2000 MΩ以上であった。またJIS K 6911に準じて絶縁破壊電圧を計測したところ 3.1 kV と十分な絶縁破壊特性を示した。
本発明の絶縁転がり軸受は、絶縁層を設けた多層構造を有する絶縁スリーブを軸受内輪の内周部に嵌合させることで、直接軸受内輪内周部に絶縁層を形成しなくても絶縁性を付与することができる。このため各種産業機械に用いられる転がり軸受において電食防止転がり軸受、絶縁転がり軸受として好適に利用できる。
1 絶縁転がり軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 シール部材
7 グリース
8 絶縁スリーブ
8a スリーブ本体
8b 絶縁層
9 軸
11 被膜形成装置
12 真空チャンバー
13 真空ポンプ
14 位置決め用XYテーブル
15 対象物回転用モータ
16 ガス供給設備
17 エアロゾル発生装置
18 エアロゾル噴射ノズル
19 微粒子フィルター
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 シール部材
7 グリース
8 絶縁スリーブ
8a スリーブ本体
8b 絶縁層
9 軸
11 被膜形成装置
12 真空チャンバー
13 真空ポンプ
14 位置決め用XYテーブル
15 対象物回転用モータ
16 ガス供給設備
17 エアロゾル発生装置
18 エアロゾル噴射ノズル
19 微粒子フィルター
Claims (5)
- 内輪および外輪と、これら内外輪の転走面間に介在する複数の転動体と、前記内輪の内周部に嵌合された絶縁スリーブとを備えた絶縁転がり軸受であって、
前記絶縁スリーブは、エアロゾルデポジション法により形成されたセラミックス被膜からなる絶縁層を備えてなることを特徴とする絶縁転がり軸受。 - 前記絶縁スリーブは、軸に嵌合するスリーブ本体と、該スリーブ本体の外周面に形成された前記絶縁層とから構成されることを特徴とする請求項1記載の絶縁転がり軸受。
- 前記スリーブ本体は前記内輪の幅面と嵌合するつばを有し、前記絶縁層は該スリーブ本体の外径面と、前記つば上の内輪側端面とに形成されることを特徴とする請求項2記載の絶縁転がり軸受。
- 前記セラミックス被膜を形成するための、エアロゾル原料となるセラミックス微粒子の平均粒子径は 0.01〜2μm であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の絶縁転がり軸受。
- 前記セラミックス被膜は、窒化珪素の微粒子をエアロゾル原料として使用した被膜であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載の絶縁転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006279950A JP2008095887A (ja) | 2006-10-13 | 2006-10-13 | 絶縁転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006279950A JP2008095887A (ja) | 2006-10-13 | 2006-10-13 | 絶縁転がり軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008095887A true JP2008095887A (ja) | 2008-04-24 |
Family
ID=39378943
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006279950A Pending JP2008095887A (ja) | 2006-10-13 | 2006-10-13 | 絶縁転がり軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008095887A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102013223677A1 (de) * | 2013-11-20 | 2015-05-21 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Wälzkörperkranz mit Sandwichblech |
-
2006
- 2006-10-13 JP JP2006279950A patent/JP2008095887A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102013223677A1 (de) * | 2013-11-20 | 2015-05-21 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Wälzkörperkranz mit Sandwichblech |
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