JP2007225076A - 絶縁転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶射法およびAD法による複層構造の絶縁層を形成することで、高い絶縁性能を維持しつつ、安価で生産性にも優れる絶縁転がり軸受を提供する。
【解決手段】内輪1、外輪2、およびこれら内外輪の軌道面間に介在する複数の転動体4を備えてなり、上記内輪1の内周面および上記外輪2の外周面から選ばれた少なくとも一つの周面に絶縁層7を有する絶縁転がり軸受であって、この絶縁層7は、上記少なくとも一つの周面にエアロゾルデポジション法により形成されるエアロゾルデポジションセラミックス被膜7bの層と、該エアロゾルデポジションセラミックス被膜上に溶射法により形成される溶射セラミックス被膜7aの層とを少なくとも有する複層構造である
【選択図】図1

Description

本発明は、汎用モータ、発電機用ジェネレータ、鉄道車両の主電動機等、主に軸受内部を電流が流れるような構造の装置に用いられる絶縁転がり軸受に関する。
鉄道車両の主電動機に用いられる転がり軸受は、主電動機の電流を車輪からレールへ接地する接地用集電装置が不完全な場合に、主電動機の電流が転がり軸受の内外輪および転動体を通って、車輪とレール間に流れる。このとき、軸受転動体と外輪転走面との間または内輪転走面との間で放電が生じ、放電部分に電食を生じることがある。
このような電食を防止する有効な手段として、従来、軸受軌道輪の外表面にセラミックス等の絶縁体の溶射被膜を形成することが知られている。
しかしながら、溶射技術を用いて軸受の外径面および幅面にセラミックス層を設ける方法は、熱処理して硬化させた軸受綱の溶射加工時の熱による焼き戻り防止のために、ワークを冷却しながらセラミックス層を成膜せねばならず、非常に煩雑であり、生産性の低下を招いていた。さらに、溶射法で軸受外径面および幅面にセラミックス層を設けようとすると、被覆面の粗面化処理(サンドブラスト)や、ニッケルアルミ等の層を予め溶射する下地処理等が必要であり、これも生産性の低下を招く原因となっている。
また、溶射法で得られたセラミックス層は、空孔を有する多孔質となるため結露などでの水分の侵入による絶縁抵抗の低下を封孔処理で対策する必要がある。封孔処理については合成樹脂、重合性有機溶剤、並びにフッ素系界面活性剤およびパーフルオロ基含有有機ケイ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する封孔処理剤を用いる方法(特許文献1参照)や、浸透性良好な絶縁樹脂による封孔処理層を下層とし、浸透性が完全でない絶縁樹脂による封孔処理層を上層とする組合せ層を形成することにより封孔する方法(特許文献2参照)等が知られている。しかし、これらの封孔処理方法を用いる場合は、非常にコスト高となるという問題がある。
また、溶射法で得られたセラミックス層は、絶縁性を得るために原料粉にαアルミナを用いても、溶射過程の高温で絶縁性の劣るγアルミナに変態してしまう。このため、この方法は膜厚を厚くすることで絶縁性を確保せねばならず、コスト高となる。
これに対し、従来、原料セラミックス微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを基材に向けてエアロゾル噴射ノズルより噴射し、エアロゾルをこの基材表面に高速で衝突させ、超微粒子の構成材料からなる被膜を基材上に形成させるエアロゾルデポジション(以下、ADと記す)法が知られている。AD法の例としては、基板上に 50 nm〜5μm の超微粒子脆性材料を接合させて理論密度の 95 %以上で結晶サイズで 100 nm 以下の微結晶を含む脆性材料である超微粒子成形体を得る脆性材料超微粒子成形体の低温成形法が挙げられる(特許文献3参照)。AD法では、数μm〜数十μmの緻密な被膜を密着性良好に形成できるとともに、ワークの冷却不要、ニッケルアルミ等の下地処理不要および封孔処理不要などにより、溶射法と比較して製造コストが大幅に安くなるという利点がある。また、室温で微粒子同士の接合を実現できるため、原料セラミックスとしてαアルミナを用いた場合でも、γアルミナに変態することがなく絶縁性に優れた被膜が得られる。
しかしながら、AD法では成膜してセラミックス被膜となる超微粒子は基材上に噴射されたセラミックス微粒子のうち 1 重量%〜10 重量%であり、歩留まりが極めて低く、また成膜速度が遅いため生産性に劣るという問題がある。
特許第3009516号公報 特開2003−183806号公報 特許第3265481号公報
本発明はこのような問題に対処するためになされたもので、溶射法およびAD法による複層構造の絶縁層を形成することで、高い絶縁性能を維持しつつ、安価で生産性にも優れる絶縁転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明の絶縁転がり軸受は、内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在する複数の転動体を備えてなり、上記内輪の内周面および上記外輪の外周面から選ばれた少なくとも一つの周面に絶縁層を有する絶縁転がり軸受であって、上記絶縁層は、上記少なくとも一つの周面にエアロゾルデポジション法により形成されるエアロゾルデポジションセラミックス被膜の層と、該エアロゾルデポジションセラミックス被膜上に溶射法により形成される溶射セラミックス被膜の層とを少なくとも有する複層構造であることを特徴とする。
上記溶射セラミックス被膜は、溶射用アルミナ原料を使用した被膜であることを特徴とする。
上記ADセラミックス被膜は、アルミナ微粒子をエアロゾル原料として使用した被膜であることを特徴とする。
また、上記アルミナ微粒子の平均粒子径は、0.01μm〜2μm であることを特徴とする。なお、本発明において平均粒子径は日機装株式会社製:レーザー式粒度分析計マイクロトラックMT3000によって測定した値である。
本発明の絶縁転がり軸受は、内輪内周面および外輪外周面とから選ばれた少なくとも一つの周面に、AD法によりADセラミックス被膜を形成した後に、該被膜上に溶射法により溶射セラミックス被膜を形成した絶縁層を有するので、絶縁層表面と外輪等とを連通することのない緻密な複層構造の絶縁層により高い絶縁性能を保持できる。また、AD被膜が溶射被膜の下地となるため、溶射時に粗面化処理や下地処理が不要であるとともに、溶射被膜に水分等が侵入してもAD被膜により絶縁性が保持されるので溶射被膜の封孔処理が不要であり、製造コストが安くなる。さらに、AD法のみで被膜を形成する場合よりも成膜時間を短縮でき、生産性の向上が図れる。
また、ADセラミックス被膜は、高温にさらされることがないAD法によりαアルミナを用いて成膜されるので、αアルミナがγアルミナに変態することがなく、絶縁性の高いαアルミナの被膜が得られる。
本発明においてAD法は、原料セラミックスの微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを内輪や外輪等の基材に向けてエアロゾル噴射ノズルより噴射し、エアロゾルをこの基材等の表面に高速で衝突させ、微粒子の構成材料からなる被膜を形成させる方法である。セラミックス微粒子は、衝突により粉砕し、清浄な新生表面を形成し、低温接合を生じさせるので、室温で微粒子同士の接合を実現できる。エアロゾル中ではセラミックスの微粒子は分散状態を維持している。溶射法から得られる溶射セラミックス被膜が多孔質であるのに対し、AD法により得られるADセラミックス被膜は、上記のようにエアロゾルに分散した微粒子から被膜を形成するので、得られる被膜は極めて緻密なセラミックス層となる。
このため、内輪内周面や外輪外周面に、ADセラミックス被膜と、該被膜上に形成された溶射セラミックス被膜とからなる絶縁層を有する絶縁転がり軸受は、結露などで水分にさらされた場合に、もし溶射セラミックス層に水分が侵入したとしても、水分が浸透できる空孔を持たないADセラミックス層に保護されるので通電することがなく、絶縁抵抗の低下を招くこともない。
本発明の絶縁転がり軸受の一実施例を図1に基づいて説明する。図1は外輪外周面に複層構造の絶縁層を形成した絶縁転がり軸受の断面図である。なお、絶縁層を構成する各セラミックス被膜は非常に薄い、数μm〜数十μmの被膜であるが、図1においては説明便宜上、実際よりも厚く図示している。
図1に示すように、絶縁転がり軸受は、内輪1と外輪2との間に保持器3に保持された多数の転動体4を介在させ、外輪2をハウジング5等に収納し、軸6を内輪1の内径に固定する軸受であって、外輪2の外周面2aに絶縁層7が形成されている。絶縁層7は、外周面2aにAD法で形成されるADセラミックス被膜7bと、このADセラミックス被膜7bを覆う形で溶射法で形成される溶射セラミックス被膜7aとの少なくとも2層以上の構造である。内輪1、外輪2および転動体4は、軸受鋼等の金属材からなる。
本発明において絶縁層7を形成する外輪2の外周面2aとは、外輪2の外径面aのみでなく、少なくとも外輪を保持するハウジング5等と外輪2とが接触する範囲の全面である。図1に示す場合において、外輪2の外周面2aは、外輪2の外径面aから幅面bにわたる範囲で、面取部cも含めた範囲の面である。
また、絶縁層7は、上記外輪2の外周面2aの他、内輪1の内周面1aに形成されていてもよい。なお、本発明において内輪1の内周面1aとは、少なくとも内輪1が軸6等と接触する範囲の全面である。
上記のように、外輪とハウジング等とが接触する全面、および、内輪と軸等とが接触する全面の少なくとも一方に絶縁層を形成することにより絶縁性能が担保される。
外輪外周面等への絶縁層の形成方法を図1に基づいて説明する。絶縁層7の形成は、まず、外輪2の外周面2aにAD法によりADセラミックス被膜7bを形成する。
ADセラミックス被膜7bを形成するための、エアロゾル原料となるセラミックス微粒子としては、絶縁性が良好なアルミナ、ジルコニア、チタニア等の酸化物セラミックス微粒子等が挙がられる。それぞれのセラミックスの高純度グレードにおいて、真比重が小さい方がエアロゾル化しやすいことから、アルミナ微粒子が好ましい。
本発明に用いることができるアルミナ微粒子の平均粒子径は、0.01μm〜2μm である。0.01μm 未満では凝集しやすくエアロゾル化は困難であり、2μm をこえるとAD法での膜形成はできない(膜成長しない)。
アルミナ微粒子の粒子径調整方法としては、アルコキシド法やコロイド法、アンモニウム明礬の熱分解法、アンモニウムアルミニウム炭酸塩熱分解法、改良バイヤー法、エチレンクロルヒドリン法の化学的手法や、ガス中蒸発法やスパッタリング(気相酸化)法、アルミニウムの水中火花放電法などの物理的手法を用いて作製された数 10 nm 以下の微細な微粒子を加熱し、粒子径で数 100 nm 程度の2次粒子に凝集させる方法等が挙げられる。また、被膜形成を良好に行なうため、基材等への衝突時にアルミナ微粒子が容易に粉砕するように、ボールミル、ジェットミル等の粉砕機を用いてクラックを予め形成しておくことが好ましい。
AD法では、溶射法と異なり高温処理が不要であるため、高温にさらされることによる原料セラミックスの変態による絶縁性の低下を招くこともない。例えば、絶縁性に優れたαアルミナを用いても溶射法ではγアルミナに変態して絶縁性が低下するため、膜厚を増加させる必要があるが、AD法でαアルミナを用いると絶縁性の高いαアルミナのままで成膜できるので、絶縁性の高いセラミックス層が得られる。
本発明においてAD法によるADセラミックス被膜の形成方法としては、絶縁転がり軸受を固定してエアロゾル噴射ノズルを移動させて被膜を形成する方法、または、エアロゾル噴射ノズルを固定して絶縁転がり軸受を移動させて被膜を形成する方法のいずれも採用できる。
これらの方法の中で、エアロゾルを安定な状態で吹きつけることができ、位置決め用XYテーブルおよび対象物回転用モータを併用し、軸受の内輪または外輪を回転させつつ軸方向に移動させることで、ADセラミックス被膜を容易に塗り重ねて形成できることから、後者の方法を用いることが好ましい。
本発明におけるAD法を図2に基づいて説明する。図2はAD法によるセラミックス被膜形成装置を示す図である。図2に示すように、AD法によるセラミックス被膜形成装置8は真空チャンバー9を有する。真空チャンバー9内には、セラミックス被膜形成対象である絶縁転がり軸受の外輪11と、エアロゾル噴射ノズル16とが配設されている。エアロゾル噴射ノズル16にはエアロゾル発生装置15からエアロゾルが供給される。真空チャンバー9の内部は真空ポンプ10によって減圧される。セラミックス微粒子の混入を防止するため、真空ポンプ10の直前に微粒子フィルター17が設けられている。外輪11は、真空チャンバー9内において、対象物回転用モータ13により回転させられ(図中A)、位置決め用XYテーブル12により軸方向に移動させられる(図中B)。
エアロゾル噴射ノズル16は、セラミックス微粒子を、長方形等の開口部を有するノズル先端から、外輪外周面に噴射するものである。なお、エアロゾル噴射ノズル16は、1本であっても複数本であってもよい。また、エアロゾル噴射ノズル16は、真空チャンバー9内で変位可能に構成してもよい。
エアロゾルの搬送ガスとしては、不活性ガスを使用し、ガス供給設備14からエアロゾル発生装置15に供給されている。使用可能な不活性ガスとしては、アルゴン、窒素、ヘリウム等が挙げられる。
固定したエアロゾル噴射ノズル16から、対象物回転用モータ13により所定回転数で回転している外輪11に、セラミックス微粒子を原料とするエアロゾルが噴射され、外輪外周面にADセラミックス被膜が塗り重ねられて形成される。同時に、位置決め用XYテーブル12により外輪11を軸方向に移動させることで、外輪外周面上に均一に被膜が形成される。
被膜形成は、ADセラミックス被膜厚さが 2〜5μm 程度となるまで行なうことが好ましい。2μm 未満であると十分な下地効果が得られない。
なお、以上の操作は、内輪内周面にADセラミックス被膜を形成する場合にも同様である。
次に、上記ADセラミックス被膜7bの上に、溶射法により溶射セラミックス被膜7aを形成する。
外輪2の外周面2aにおけるADセラミックス被膜7b上に、被覆用のセラミックス材料を超高温で溶融したものを、ジェット噴流により該面に衝突させることで溶射セラミックス被膜7aが形成される。なお、溶射セラミックス被膜7aの形成時において密着力を高めるためには、比較的超高速ジェットと超高温が得られる溶射装置を用い、適正な溶射条件を設定することが必要である。
溶射セラミックス被膜7aを形成するセラミックス材料としては、アルミナ、グレーアルミナ、酸化チタン、酸化クロム等の酸化物セラミックス等が用いられる。その形状としては、粒状や、ロッド状等の任意の形状のものを使用できる。
また、下地であるADセラミックス被膜との密着性を向上させるため、ADセラミックス被膜と同種材を使用することが好ましいが、密着かつ成膜可能であり、かつ絶縁性が付与できるものであればセラミック材料は制限されない。例えば酸化イットリウム等を使用できる。
溶射セラミックス被膜7aの厚みは、30μm〜50μm程度とする。通常、溶射セラミックス被膜のみで軸受に絶縁層を形成する場合、十分な絶縁抵抗(例えば、 10 MΩ以上/500V負荷時)を得るためには 150μm〜450μm程度の厚みが必要となるが、本発明では後述する絶縁性に優れたADセラミックス被膜との複層構造とするため、上記範囲の厚さとすることができる。
軸受外周面等、軸受鋼に直接に溶射セラミックス被膜7aを形成する場合、その表面をサンドブラスト等により粗面化処理したり、必要に応じてニッケルアルミ等の層を予め溶射する下地処理を施すことが必要となる。本発明では、粗面であるAD被膜表面上に溶射セラミックス被膜を形成するため、上記粗面化処理が不要となり、また、AD被膜と同種材等を用いて溶射することにより上記下地処理が不要となる。また、溶射被膜は多孔質であることから、通常、表面空孔等の封孔処理が必須となるが、本発明の絶縁層は、AD被膜が溶射被膜の下地となり、溶射被膜に水分等が侵入してもAD被膜により絶縁性が保持されるので、溶射被膜について樹脂等の含浸による封孔処理を行なう必要がない。
これらの結果、本発明の絶縁転がり軸受は、溶射法およびAD法の単独成膜と比較して、低コストで生産性に優れる。
実施例1
図1に示す絶縁転がり軸受を作成し試験用軸受とした。ここで、ADセラミックス被膜7bは、図2に示す装置において、位置決め用XYテーブルおよび対象物回転用モータを併用した軸受駆動装置を用いて、周速 6 mm/分で回転しつつ軸方向に移動する外輪外周面に、100 Pa 以下の減圧下で、開口サイズ 5 mm× 0.3 mm のノズルを通してアルミナ微粒子のエアロゾルを噴射してAD被膜形成を行なった。被膜形成は、AD被膜厚さが 5μm となるまで行なった。
AD法で用いたアルミナ微粒子は、大明化学工業社製:タイミクロンTM-DARを用い、平均粒子径 0.16μm で、10 Pa 以下の減圧下、加熱乾燥処理して使用した。なお、搬送ガスにはヘリウムを用い、粒子速度は搬送ガス流量で制御した。
このADセラミックス被膜7b上に、溶射セラミックス被膜7aとして、αアルミナの造粒原料粉(スルザーメテコ社製:平均粒子径 40 μm)を用いてアルミナ溶射層を 40 μm程度の厚みで形成した。溶射セラミックス被膜7aについて封孔処理は行なわなかった。
得られた試験用軸受は、所定の絶縁抵抗( 10 MΩ以上/500V負荷時)が得られることが確認できた。
また、得られた試験用軸受の絶縁層断面を走査電子顕微鏡(SEM)および電子線マイクロアナリシス(EPMA)で調べたところ、絶縁層と軸受金属面との界面は緻密なアルミナ層で覆われており、気孔(ポア)が無いことが確認された。
比較例1
図1に示す絶縁転がり軸受において、溶射セラミックス被膜のみからなる絶縁層を形成して試験用軸受とした。ここで、溶射セラミックス被膜7aとして、外輪2の外周面2aをサンドブラスト処理した後に、ニッケルアルミ層の溶射層を形成し、その後にαアルミナの造粒原料粉(スルザーメテコ社製:平均粒子径 40 μm)を用いてアルミナ溶射層を 40 μm程度の厚みで形成した。該溶射セラミックス被膜7aについて封孔処理は行なわなかった。
得られた試験用軸受の絶縁層断面を走査電子顕微鏡(SEM)および電子線マイクロアナリシス(EPMA)で調べたところ、絶縁層と軸受金属面との界面層に多数の気孔(ポア)が認められた。
本発明の絶縁転がり軸受は、内輪内周面および外輪外周面とから選ばれた少なくとも一つの周面に、絶縁層表面と外輪素地とを連通することのない緻密な複層構造の絶縁層を形成したので、高い絶縁性能を保持できる。このため各種産業機械に用いられる転がり軸受において電食防止転がり軸受、絶縁転がり軸受として好適に利用できる。
本発明の絶縁転がり軸受の一実施例を示す断面図である。 AD法によるセラミックス被膜形成装置を示す図である。
符号の説明
1 内輪
2 外輪
3 保持器
4 転動体
5 ハウジング
6 軸
7 絶縁層
7a 溶射セラミックス被膜
7b ADセラミックス被膜
8 ADセラミックス被膜形成装置
9 真空チャンバー
10 真空ポンプ
11 外輪
12 位置決め用XYテーブル
13 対象物回転用モータ
14 ガス供給設備
15 エアロゾル発生装置
16 エアロゾル噴射ノズル
17 微粒子フィルター

Claims (4)

  1. 内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在する複数の転動体を備えてなり、前記内輪の内周面および前記外輪の外周面から選ばれた少なくとも一つの周面に絶縁層を有する絶縁転がり軸受であって、
    前記絶縁層は、前記少なくとも一つの周面にエアロゾルデポジション法により形成されるエアロゾルデポジションセラミックス被膜の層と、該エアロゾルデポジションセラミックス被膜上に溶射法により形成される溶射セラミックス被膜の層とを少なくとも有する複層構造であることを特徴とする絶縁転がり軸受。
  2. 前記溶射セラミックス被膜は、溶射用アルミナ原料を使用した被膜であることを特徴とする請求項1記載の絶縁転がり軸受。
  3. 前記エアロゾルデポジションセラミックス被膜は、アルミナ微粒子をエアロゾル原料として使用した被膜であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の絶縁転がり軸受。
  4. 前記アルミナ微粒子の平均粒子径は、0.01μm〜2μm であることを特徴とする請求項3記載の絶縁転がり軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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