JP2008093126A - インプラント用キーパー - Google Patents

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Abstract

【課題】術式が簡単で、しかも長期間の使用でもインプラント本体に装着されるキーパーの緩みが解消されるインプラント用キーパーを提供する。
【解決手段】内側にめねじ部を有する軟磁性材料からなるナット状部材2と、一端側に第1おねじ部31を有し、他端側に第2おねじ部32を有し、かつ第1おねじ部と第2おねじ部との間にロック部33を有する軟磁性材料からなるセットスクリュー3とを具備し、第1おねじ部31はインプラント本体5の内孔部50の下側面に設けられためねじ部51にねじ込まれており、第2おねじ部32はナット状部材2のめねじ部22にねじ込まれているとともに、ロック部33はインプラント本体5のめねじ部51の上端及び/又はナット状部材2のめねじ部22の下端に係止していることを特徴とするインプラント用キーパー。
【選択図】図1

Description

本発明は、義歯用磁性アタッチメントをインプラント本体に固定するためのインプラント用キーパーに関する。
歯科補綴治療の手段として、例えば、口腔内に軟磁性材料からなるキーパーを固設し、補綴物(義歯)に永久磁石を内包してシール用円板で密閉したカップ状ヨークからなる磁性アタッチメント(以下単に義歯アタッチメントという)を設けて、補綴物(義歯)をキーパーに磁気的に吸着させる方式が実用化されている。特に口腔内に歯根が残存していない場合、歯肉(顎骨)にインプラント本体(歯根部)を埋め込み、キーパーをインプラント本体に固定した後に義歯アタッチメントが取り付けられる。
上記キーパーをインプラント本体に固定する手段としては、種々の構造が提案されている。例えば特許文献1(特開2003-250816号)には、顎骨側に配置した固定用支台にキーパーをねじ込む方式の義歯アタッチメントが記載されている。この義歯アタッチメントは、キーパーのネジ部の基端に円錐状のテーパ軸部を設け、さらに被吸着面と反対側にある裏面の外周部においてテーパ軸部との間にリング状の溝を形成するように鋭角先端部を有する軸方向に突出したリング部を設けるとともに、固定用支台にはテーパ軸部と略同じ傾斜角を有する円錐状のテーパ穴部と、開口端部において外周に行くほど後退する傾斜端面を設けた構造を有する。この義歯アタッチメントによれば、テーパ軸部とテーパ穴部とを密着させることにより、鋭角先端部の内面と傾斜端面とが当接して少なくとも突出リング部の鋭角先端部が径方向に弾性変形した状態になるので、ねじ緩み防止力を発揮できるとされている。
しかしながら、特許文献1に示す構造では、図4に示すように、テーパ軸部とテーパ穴部との接触面積及び鋭角先端部と傾斜端面との接触面積が僅かであるため、長期間の使用でキーパーに塑性変形が生じて、キーパーのネジ部の緩みが発生する恐れがある。
この他、複数のインプラント本体に接着した磁性部材用ホルダーにポケットを形成してキーパー磁性部材を一定角度範囲で傾かせることにより、磁性部材の着合面の方向を調整して、最適の咬合位置にて固定する方式も実用化されているが、埋入術式が複雑で治療期間が長くなるという問題があり、磁性部材が接着固定されるため接着剤の経年変化により磁性部材の緩みが発生する恐れがある。
特開2003-250816号公報(第4−5頁、図1−4)
従って本発明の目的は、埋入術式が簡単で、かつ長期間の使用でもインプラント本体とキーパーとの緩みを防止するインプラント用キーパーを提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、セットスクリューの一端側に設けられた第1おねじ部をインプラント本体にねじ込み、他端側に設けられた第2おねじ部に内部にめねじ部を有する軟磁性材料からなるナット状部材をねじ込み、第1おねじ部と第2おねじ部との間にインプラント本体及び/又はナット状部材に係止されるロック部を設けることにより、埋入術式が簡単で、かつ長期間の使用でもインプラント本体とキーパーとの緩みを防止するできることを発見し、本発明に想到した。
すなわち、本発明は具体的に以下の手段により達成することができる。
(1) 内側にめねじ部を有する軟磁性材料からなるナット状部材と、一端側に第1おねじ部を有し、他端側に第2おねじ部を有し、かつ前記第1おねじ部と前記第2おねじ部との間にロック部を有する軟磁性材料又は歯科用Ti材からなるセットスクリューとを具備し、前記第1おねじ部はインプラント本体の内孔部の下側面に設けられためねじ部にねじ込まれており、前記第2おねじ部は前記ナット状部材のめねじ部にねじ込まれているとともに、前記ロック部は前記インプラント本体のめねじ部の上端及び/又は前記ナット状部材のめねじ部の下端に係止していることを特徴とするインプラント用キーパー。
(2) 上記(1) のいずれかに記載のインプラント用キーパーにおいて、前記ナット状部材と前記インプラント本体との間にアバットメントを有することを特徴とするインプラント用キーパー。
(3) 上記(1) 又は(2) に記載のインプラント用キーパーにおいて、
、もって前記インプラント本体のめねじ部と前記第1おねじ部との間に、前記セットスクリューを下方に押す張力が発生しており、前記ナット状部材のめねじ部と前記第2おねじ部との間に、前記セットスクリューを上方に押す張力が発生していることを特徴とするインプラント用キーパー。
(4) 上記(1)〜(3) のいずれかに記載のインプラント用キーパーにおいて、前記ロック部の上端が前記ナット状部材のめねじ部の下端と実質的に同じかそれより下に位置することを特徴とするインプラント用キーパー。
(5) 上記(1)〜(4) のいずれかに記載のインプラント用キーパーにおいて、前記各ねじ部の呼び径がM1.6〜M3であるとともに、前記第1おねじ部の長さが前記第1おねじ部のねじピッチの5倍以上であり、かつ前記インプラント本体のめねじ部の有効ねじ部の長さより短く、前記第2おねじ部の前記ナット状部材のめねじ部に螺合される部分における完全ねじ部の長さがねじピッチの2〜4倍であることを特徴とするインプラント用キーパー。
(6) 上記(1)〜(5) のいずれかに記載のインプラント用キーパーにおいて、前記ナット状部材は袋ナットであることを特徴とするインプラント用キーパー。
(7) 上記(1)〜(5) のいずれかに記載のインプラント用キーパーにおいて、前記ナット状部材は六角ナットであることを特徴とするインプラント用キーパー。
本発明によれば、セットスクリューの第1おねじ部をインプラント本体にねじ込み、次いでキーパーを例えば標準締付トルク又はそれ以上のトルクでセットスクリューにねじ込むことにより、ロック部がインプラント本体のめねじ部の上端及びナット状部材のめねじ部の下端の少なくとも一方に係止し、かつセットスクリューとナット状部材及びインプラント本体との間に発生する張力により、セットスクリューの戻り回転が阻止される。したがって長期間の使用においても、キーパーの緩みを防止することができる。
キーパーの緩みが防止されることにより、セットスクリューの破折やインプラント本体のネック部での骨吸収などの力学的合併症が発生する機会を低減することができる。
また本発明のキーパーは部品点数が少なく、埋入術式が簡単なので、従来よりも短い期間でインプラント補綴治療を行うことができる。
本発明を添付図面に基づき以下詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態によるインプラント用キーパーを示す断面図であり、図2は分解図である。
[1] インプラント用キーパー
インプラント用キーパー1(以下単にキーパー1という)は、袋ナットであるナット状部材2と、歯肉4に埋設されたインプラント本体5に挿入されるセットスクリュー3と、ナット状部材2とインプラント本体5との間にアバットメント6とを有する。インプラント本体5及びキーパー1の各部位について以下詳細に説明する。
(1) インプラント本体
インプラント本体5は、歯肉4に埋設され、上方に向って先細りの円錐台状に高さhだけ突出しており、セットスクリュー3がねじ込まれる内孔部50(長さL)を有する。内孔部50の下端側にはめねじ部51(長さLa)が設けられており、上端側には非ねじ部52(内側部分の厚さLb)が設けられている。インプラント本体5の側面を上方に向って先細りの円錐台状にすると義歯をセットしたときに落ち着きが良いという利点がある。またインプラント本体5の上面の周囲は、外に向かって下に傾斜したなで肩構造をしている。これにより後述するアバットメント6との密着性が高められる。また咬み合わせを考慮して、インプラント本体5の根元部の直径Daとインプラント本体5の突出高さhは、いずれも4〜6mmに設定するのが好ましい。
なおインプラント本体5は、生体組織との親和性(歯肉とのなじみ易さ)と耐食性(耐久性)に優れ、しかも咬合圧に耐え得る機械的強度を有する材料、例えばセラミックス(例えばアルミナ系)、商用純チタン(例えばJIS2種)又はチタン合金(例えばTi-6Al-4V)で形成するのが好ましい。特にチタンの弾性係数は110 GPaであり、セラミックス(アルミナ)の弾性係数350〜400 GPaと比較して、生体組織の弾性係数(例えば皮質骨では約20 GPa)に近い弾性係数をもつので、噛合時の力学的適合性が優れているため、上記の材料のうちではチタンが好適である。またチタンは、無機イオンのみの疑似体液中で、その表面に骨の無機成分と類似したりん酸カルシウムを析出させる能力を有するので、優れた生体適合性(界面適合性)を有するが、界面適合性をさらに向上させるために、例えばりん酸カルシウム系セラミックス(ハイドロオキシアパタイトなど)で表面処理を施すことができる。通常のインプラントシステムでは、数種類の太さを有するインプラント本体が準備されており、例えば細いタイプ(外径3〜3.5 mm)、標準タイプ(外径4mm前後)、太いタイプ(外径5mm前後)、極太タイプ(外径6〜6.5 mm)があるが、本発明ではいずれの太さにも適用可能である。またインプラント本体5の長さ(骨肉長)は、例えば標準タイプで10 mm程度とされる。
(2) ナット状部材
ナット状部材2は、図3(a) 及び(b) に示すように、外側面が六角形で上面に円板状の吸着面21(直径Db)を有する袋ナットであり、かつ内側面にめねじ部22を有する。ナット状部材2の上端部は面取りされているのが好ましい。それにより義歯の滑らかな装着が可能になる。吸着面21の直径Dbは装着する義歯に設けられた後述する義歯アタッチメントの大きさにより適宜設定可能である。
ナット状部材2は、機械的強度、耐食性を有し、かつ磁路を形成するために、フェライト系ステンレス鋼で形成することが好ましく、耐食性を考慮するとSUSXM27、SUSU447J1等の孔食電位が高いフェライト系ステンレス鋼で形成することがより好ましい。
ナット状部材2は、例えば以下の方法により製造される。軟磁性材料からなる円筒の外側面を六角形に加工し、内側面にめねじ部22を設けてナット部2aを形成する。さらにナット部2aの上面にリング状に吸着面21aを形成し、上面内側にフタ部2bを裁置するための棚部23を形成する。ナット部2aの棚部23に円盤状の軟磁性材料からなるフタ部2bを裁置した後、フタ部2bの全周溶接を行う。その後、ナット部2aの上面21aとフタ部2bの上面21bとが同一面上になるよう研削等を行う。
(3) セットスクリュー
セットスクリュー3は、図4に示すように、全長がSであり、インプラント本体5の内孔部50内に設けられためねじ部51にねじ込まれる第1おねじ部31(外径da、長さS1)と、ナット状部材2のめねじ部22にねじ込まれる第2おねじ部32(外径db、長さS2)と、両おねじ部31,32の間で設けられた円柱体のロック部33(外径dc、長さS3)とを有する。第1おねじ部31及び第2おねじ部32の両端部はいずれもが平先形状であり、ロック部33の下端部331及び上端部332が平先形状になっている。なお特に断りがなければ、ねじ部の長さは有効ねじ部(完全ねじ部と不完全ねじ部の合計)の長さを示すものとする。「完全ねじ部」とはねじ部のうち実際にねじが設けられている部分であり、「不完全ねじ部」とは完全ねじ部の両端に設けられた平先形状の部分をいう。
第1おねじ部31及び第2おねじ部32は同一のねじれ方向を有する。また第1おねじ部31及び第2おねじ部32とロック部33との間にニゲ部となる縮径された段差部34,35(外径de)をそれぞれ設けられている。段差部34,35の長さは適宜設定可能である。
ロック部33の下端はインプラント本体5のめねじ部51の上端と係止している。すなわち、ロック部33の平先形状の下端部331とめねじ部51の上端部551とが当接しており、それにより、セットスクリュー3がインプラント本体5内にこれ以上侵入するのを防止している。
セットスクリュー3の全長Sは、第1おねじ部31がインプラント本体5の奥までねじ込まれロック部33の下端がインプラント本体5のめねじ部の上端に係止されたときに、第2おねじ部32がインプラント本体5から突出し、かつ第2おねじ部32の全体がナット状部材2にねじ込まれることができる長さであるのが好ましい。第1おねじ部31の長さS1は、そのねじピッチの5倍以上であり、第1おねじ部31の長さと段差部34の長さとの合計がインプラント本体5のめねじ部の長さより短いのが好ましい。第2おねじ部32の長さS2は、めねじ部22に螺合される部分における完全ねじ部の長さがねじピッチの2〜4倍となる程度の長さであり、第2おねじ部32の長さと段差部35の長さとの合計がめねじ部22の長さより短いのが好ましい。
第1おねじ部31と第2おねじ部32は、製作上の容易さを考慮すると、ピッチ等の仕様が同一である三角ねじ[メートル並目ねじ(JIS B 0205)の場合、呼び径が例えばM1.6〜M3である。]であるのが好ましい。また第1おねじ部31はインプラント本体5のめねじ部51に対応する仕様であるのが必要である。
ロック部33の外径dcは、ロック部33の下端部331がめねじ部51の上端部551と当接した時点でセットスクリュー3の侵入が止まるように、めねじ部51の谷の径[第1おねじ部31の山の径(da)]と実質的に同じ寸法を有するように形成するのが好ましい。
ナット状部材2をセットスクリュー3にねじ入れると、ナット状部材2とインプラント本体5とが接触し、ナット状部材2をさらに締め付けることで、ナット状部材2とインプラント本体5との間に張力を発生する。ナット状部材2とインプラント本体5との間に張力により、後述するように、セットスクリュー3がめねじ部51により下方向に引っ張られ、かつめねじ部22により上方向に引っ張られる張力が発生するため、キーパー1の緩みが確実に防止される。ナット状部材2とインプラント本体5との間に張力が生じるために、セットスクリュー3が係止された時点で、ロック部33の上端がナット状部材2のめねじ部22の下端と実質的に同じ位置かそれより下になっているのが好ましい。従って、ロック部33の長さS3はインプラント本体5の非ねじ部52の厚さLbとアバットメント6の厚さLcの合計の長さ以下であるのが好ましい。
セットスクリュー3は、ナット状部材2に螺合される第2おねじ部32も磁路の一部を構成して吸引力を確保しやすくする点と、口腔内で使用し耐食性が要求される点から、軟磁性材料、例えばナット状部材2と同様のステンレス鋼で形成するのが好ましく、歯科用Ti材(歯科用純Ti又は歯科用Ti合金)で形成しても良い。なおセットスクリュー3は、少なくとも第2おねじ部32をフェライト系ステンレス鋼のような軟磁性耐食性材料で形成し、他の部分をオーステナイト系ステンレス鋼のような非磁性耐食性材料で形成しても良い。
(4) アバットメント
アバットメント6は、図5(a) 及び(b) に示すように、リング状であり、上面の外径はナット状部材2の外径とほぼ一致しており、底面の外径はインプラント本体5の上面の外径とほぼ一致している。このようにアバットメント6により、インプラント本体5の上面の外径とナット状部材2の外径との調整を行うことができる。またアバットメント6の底面の端部にリング状の凸部61が設けられており、内側に向かって傾斜が形成されている。このようにリング状の凸部61を設け底面に傾斜をつけることにより、インプラント本体5の上面の傾斜部分と密着する。その際、インプラント本体5上面の傾斜より凸部61の傾斜のほうが大きいのが好ましい。それにより、大きいトルクでナット状部材2をねじ込んだとき、凸部61の塑性変形により、アバットメント6とインプラント本体5との間に強い張力を発生させることができ、その結果、ナット状部材2とインプラント本体5との間に強い張力が発生する。
またアバットメント6の材料は特に限定されないが、ナット状部材2と同じものや歯科用Ti材(歯科用純Ti又は歯科用Ti合金)を用いることができる。
[2] キーパーの装着
上記のキーパー1は、例えば次の工程に従ってインプラント本体5に装着される。まず歯肉4に埋め込まれたインプラント本体5に、セットスクリュー3の第1おねじ部31をロック部33がめねじ部51の上端と接するまでねじ込む。さらにセットスクリュー3にアバットメント6を通した後、セットスクリュー3の第2おねじ部32にナット状部材2をねじ込むことにより、図1に示すようにキーパー1がインプラント本体5に装着される。ロック部33の下端部331がめねじ部51の上端部551と当接している状態で停止しているため、キーパー1はそれ以上奥まで挿入されない。
ここで本発明のインプラント用キーパー1ではなく、全長にわたっておねじ部が形成されたセットスクリューを使用した場合、実際に義歯を装着して歯の咬み合わせを行うことにより、キーパー1の軸線方向に外力が繰り返し作用し、各ねじ部に戻り回転が生じて、緩みが発生してしまい、予張力(軸力)が低下する。ここで予張力とは、締付けによってセットスクリューの軸部に発生している引張力とセットスクリューの被締め付け物に発生している圧縮力(締付力)とが、外力の作用がなく互いにつりあっている状態における引張力と圧縮力の総称をいう。すなわち上記通常のセットスクリューを使用した場合、セットスクリューに衝撃が作用すると、セットスクリューの軸力が、締付け状態のおねじとめねじが反発離間する限界値を下回るため、回転方向にフリーな状態となり、戻り回転が生じてしまう。
これに対し、本発明のインプラント用キーパー1は、セットスクリュー3をインプラント本体5にねじ込むと、セットスクリュー3のロック部33がインプラント本体5のめねじ部の上端に係止する。それにより、ロック部33により遊びが取られて、第1おねじ部31と第2おねじ部32にはX方向に向うロッキング力が作用する。
さらにナット状部材2がアバットメント6を介してインプラント本体5に締付けられることにより、アバットメント6を介してインプラント本体5を押圧し、もってナット状部材2とインプラント本体5との間に張力が発生する。そのときの状態を図6を用いてさらに詳しく説明する。
図6に示すように、ナット状部材2を大きいトルクで締付けることにより、インプラント本体5は矢印X方向に向う張力が作用しており、ナット状部材2は矢印X方向の反対側に向う張力が作用している。それにより、インプラント本体5のめねじ部51とセットスクリュー3の第1おねじ部31との間には、セットスクリュー3を矢印X方向に押す方向に張力が発生しており、ナット状部材2のめねじ部22とセットスクリュー3の第2おねじ部32との間には、セットスクリュー3を矢印X方向の反対側に押す方向に張力が発生している。このように、セットスクリュー3は、矢印X方向と反対側方向の両方の張力により両側から引っ張られている状態になっている。従って、セットスクリュー3の十分な軸力が得られるため、キーパー1の緩みを確実に防止することができる。
[3] 本発明の他の実施形態
本発明のインプラント用キーパーは、上記の構造に限らず、その機能を確保するものであれば種々の形態を取ることができる。例えば本発明の第2の実施形態によるインプラント用キーパー100を図7に示す。図1と同一の機能を有する部分は同一の参照符号で示し、その詳細な説明を省略する。
キーパー100は、ナット状部材2として六角ナットを使用しており、かつセットスクリュー3の上面とナット状部材2の上面とが同一面上になるようにする。それにより、ナット状部材2にフタ部2bを設けなくても、同等の機能が得られる。
キーパー100は、アバットメント6を用いず、ナット状部材2とインプラント本体5とを直接接触させている。そのためナット状部材2の底面が図1のアバットメント6の底面と同じ機能を有しており、図7に示すようにナット状部材2の底面周囲には凸部が設けられている。またロック部33は、全体がインプラント本体5に侵入した状態で係止しており、ロック部33の長さS3はインプラント本体5の非ねじ部52の厚さLbよりも短い。それにより、ナット状部材2をセットスクリュー3に締め付けたときに、ナット状部材2とセットスクリュー3とが密着して張力を発生させることができる。
第1おねじ部31とロック部33の間は、縮径された段差部34(外径de)が設けられている。段差部34は実施の形態により適宜変更可能であり、インプラント本体5の内孔部50が長い場合等は、図7に示すように段差部34を広く取っても良い。
本発明の第3の実施形態によるインプラント用キーパー101を図8に示す。図1と同一の機能を有する部分は同一の参照符号で示し、その詳細な説明を省略する。キーパー101では、ロック部33の上端がナット状部材2のめねじ部22の下端に係止している。すなわち、ロック部33の平先形状の上端部332とめねじ部22の下端部222とが当接しており、それによりセットスクリュー3に緩みによる戻り回転が生じるのを防止することができる。また本発明においては、ロック部33がナット状部材2及びインプラント本体5の両方に係止していても良い。すなわち、ロック部33の下端部331とめねじ部51の上端部551とが当接し、かつロック部33の上端部332とめねじ部22の下端部222とが当接しても良い。
[4] 義歯アタッチメント
本発明においては公知の義歯アタッチメントを使用することが可能であるが、例えば特開2005-261939号公報に記載された構造を有するものが好適であり、その構造の概略を図9により説明する。図9に示す義歯アタッチメント7は、円形断面の凹部70を有する軟磁性材料からなるカップ状ヨーク71と、その凹部70に収納される永久磁石72と、凹部70の開口部に嵌入されたシール板73からなる。シール板73は、永久磁石72を凹部70内に封止するとともに、磁路となる部材であり、軟磁性材料からなる円形の板状ヨーク74と、その外周に固着され板状ヨーク74と同一厚さの非磁性材料からなるシールリング75で構成されている。
上記のカップ状ヨーク71及び板状ヨーク74は耐食性を有する軟磁性材料、例えば、マルテンサイト系又はフェライト系のステンレス鋼(SUS447J1,SUSXM27,SUS444等)を用いるのが好ましい。ただしSUS444のような高Bs材料(例えば1.5 T以上かつ2.2 T未満が好ましい。)によりヨークを作成する場合、このままでは耐食性が低下するので、ヨークの表面を保護膜で被覆するのが望ましい。またシールリング75は耐食性を有する非磁性材料、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS316L等)で形成するのが好ましい。
上記の永久磁石72としては、フェライト磁石又は希土類磁石等の公知の永久磁石を用い得るが、これらのうちでは、他の磁石よりも磁気特性の高いR-T-B系焼結磁石が好適である。R-T-B系焼結磁石は、例えばR(Yを含む希土類元素の一種以上であり、Nd、Dy及びPrのうちの少なくとも1種を必ず含む):24〜34%、B:0.6〜1.8%、TM(Fe又はFeとCo):残部、といった組成(単位:容量%、永久磁石の単位質量当りに含有される元素の質量を百分率で表す)を有するのが好ましい。組成の限定理由は次の通りである。Rは、24%未満であると、保磁力(iHc)が著しく低下し、34%を越えると残留磁束密度(Br)が著しく低下するので、24〜34%の範囲とされる。Bは、0.6%未満であると実用に耐える保磁力得られず、1.8%を超えると、残留磁束密度が著しく低下するので、0.6〜1.8%の範囲とされる。より好ましい組成は、R:27〜32%、B:0.6〜1.8%、Co:0.0001〜20%、M(Al,Si,Cu,Ga,Nb,Mo,Wのうちの1種以上):0.001〜3%、Fe:残部である。
[5] 義歯アタッチメントの固定
インプラント本体5に装着されたキーパー1に図1の矢印X方向から義歯を被せることにより、図10に示すように、義歯がインプラント本体5にセットされる。義歯の内側に設けられた義歯アタッチメント7とキーパー1との磁気吸着力により、義歯が口腔内に固定される。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
図7のキーパー100において、Db=3.4 mmの吸着面21とM2のめねじ部22を有するナット状部材2をSUSXM27で作製し、S=6.5 mm、da=db=dc=2.0 mm、de=1.6mm、S1=2.7mm、S2=1.2 mmとしたセットスクリュー3をSUSXM27で作製した。Da=4.3 mmのアルミナ製インプラント本体5を支持台(図示せず)に固定した後、セットスクリュー3の第1おねじ部31をインプラント本体5にねじ込み、次いで標準締付トルク(25 N・cm)よりも大なるトルク(30 N・cm)でナット状部材2をセットスクリュー3の第2おねじ部32にねじ込みことにより、キーパー1をインプラント本体5に装着した。
キーパー1の吸着面21に矢印X方向から繰返し荷重(200 Nの力で1×106回)を印加した。その結果、キーパー1の緩みは発生しなかった。
実施例2
インプラント本体5として商用純Ti製のものを使用した以外は実施例1と同様の条件でキーパー1の吸着面21に矢印X方向から実施例1と同じ条件で繰返し荷重を印加した。その結果、キーパー1の緩みは発生しなかった。
比較例1
全長にわたってM2のおねじ部が形成されたセットスクリューを用いた以外は実施例1と同様のキーパー1を作製し、インプラント本体5に装着した。実施例1と同様の条件でキーパー1の吸着面21に矢印X方向から繰返し荷重を印加した。その結果、キーパー1の緩みが確認された。
本発明の第1の実施形態によるインプラント用キーパーを示す断面図である。 図1のインプラント用キーパーを示す分解図である。 ナット状部材を示す上面図である。 ナット状部材を示す部分断面図である。 セットスクリューを示す側面図である。 アバットメントを示す上面図である。 アバットメントを示す部分断面図である。 ナット状部材、セットスクリュー及びインプラント本体に係る張力を示す状態図である。 本発明の第2の実施形態によるインプラント用キーパーを示す断面図である。 本発明の第3の実施形態によるインプラント用キーパーを示す断面図である。 義歯アタッチメントを示す断面図である。 キーパーに義歯アタッチメントが装着された状態を示す断面図である。
符号の説明
1,100,101・・・キーパー
2・・・ナット状部材
21・・・吸着面
22・・・めねじ部
3・・・セットスクリュー
31・・・第1おねじ部
32・・・第2おねじ部
33・・・ロック部
34,35・・・段差部
4・・・歯肉
5・・・インプラント本体
50・・・内孔部
51・・・めねじ部
52・・・非ねじ部
6・・・アバットメント
7・・・義歯アタッチメント

Claims (7)

  1. 内側にめねじ部を有する軟磁性材料からなるナット状部材と、一端側に第1おねじ部を有し、他端側に第2おねじ部を有し、かつ前記第1おねじ部と前記第2おねじ部との間にロック部を有する軟磁性材料又は歯科用Ti材からなるセットスクリューとを具備し、前記第1おねじ部はインプラント本体の内孔部の下側面に設けられためねじ部にねじ込まれており、前記第2おねじ部は前記ナット状部材のめねじ部にねじ込まれているとともに、前記ロック部は前記インプラント本体のめねじ部の上端及び/又は前記ナット状部材のめねじ部の下端に係止していることを特徴とするインプラント用キーパー。
  2. 請求項1のいずれかに記載のインプラント用キーパーにおいて、前記ナット状部材と前記インプラント本体との間にアバットメントを有することを特徴とするインプラント用キーパー。
  3. 請求項1又は2に記載のインプラント用キーパーにおいて、前記ナット状部材と前記インプラント本体との間に張力が発生しており、もって前記インプラント本体のめねじ部と前記第1おねじ部との間に、前記セットスクリューを下方に押す張力が発生しており、前記ナット状部材のめねじ部と前記第2おねじ部との間に、前記セットスクリューを上方に押す張力が発生していることを特徴とするインプラント用キーパー。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のインプラント用キーパーにおいて、前記ロック部の上端が前記ナット状部材のめねじ部の下端と実質的に同じかそれより下に位置することを特徴とするインプラント用キーパー。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のインプラント用キーパーにおいて、前記各ねじ部の呼び径がM1.6〜M3であるとともに、前記第1おねじ部の長さが前記第1おねじ部のねじピッチの5倍以上であり、かつ前記インプラント本体のめねじ部の有効ねじ部の長さより短く、前記第2おねじ部の前記ナット状部材のめねじ部に螺合される部分における完全ねじ部の長さがねじピッチの2〜4倍であることを特徴とするインプラント用キーパー。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のインプラント用キーパーにおいて、前記ナット状部材は袋ナットであることを特徴とするインプラント用キーパー。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のインプラント用キーパーにおいて、前記ナット状部材は六角ナットであることを特徴とするインプラント用キーパー。
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