本発明は、遊技球の流入により所定の利益を供与する特定領域と、該特定領域よりも利益供与の小さい一般領域と、入賞口から流入した遊技球を特定領域または一般領域のいずれかに誘導する振分け部材とを内部に設けた変動入賞装置を備えたパチンコ遊技機に関する。
パチンコ遊技機には、発射装置から発射された遊技球が転動流下する遊技領域に、遊技球が流入可能な変動入賞装置を備えたものが知られている。この変動入賞装置としては、遊技球を流入する入賞口を備えると共に、その内部に、遊技球の流入により所定の利益を供与する特定領域および一般領域と、入賞口から入った遊技球を特定領域か一般領域のいずれかに振り分ける振分け部材と、入賞口から入った遊技球が振分け部材まで流下する球流下路とを備えている。すなわち、発射装置から発射された遊技球が、変動入賞装置の入賞口から流入すると、当該遊技球は球流下路を通って流下し、振分け部材により特定領域又は一般領域のいずれかに誘導されて入賞し、各々に応じた利益を遊技者に供与するようになっている。
上記した特定領域および一般領域に入賞することによって生じる利益としては、例えば、一般領域に遊技球が流入すると、所定個数の賞球を払い出す制御を行い、また、特定領域に遊技球が流入すると、遊技領域に配設した大入賞口を所定回数繰り返して開閉する開閉ラウンドを行うようにしている。この開閉ラウンドでは、大入賞口に遊技球が流入すると、多数の賞球を払い出すことから、特定領域に遊技球が流入することで生じる利益は、一般領域の利益に比して大きくなっている。
上記した振分け部材にあっては、予め定められた変換パターンに従って、遊技球を特定領域へ誘導する特定誘導位置と一般領域へ誘導する一般誘導位置とに位置変換するように作動制御されている構成が一般的である。すなわち、この変換パターンは、振分け部材を特定誘導位置と一般誘導位置とに位置変換するタイミングを設定したものと言える。また、入賞口から流入した遊技球が球流下路を流下して振分け部材に到達するまでに要する時間は、球流下路の構成から明らかである。そのため、球流下路の上流部に遊技球を検知する入賞検出スイッチを設け、該入賞検出スイッチによる遊技球の検知位置から振分け部材までに遊技球が流下するために要する通過時間を、予め設定予定時間として定めることができる。以上のことから、この設定予定時間と、この入賞検出スイッチによる遊技球の検知タイミングと、前記した予め定められた変換パターンとに基づいて、当該遊技球が振分け部材によって特定領域か一般領域のいずれに誘導されるのかを予測することが可能である。
このような変動入賞装置を備えた構成にあって、上記したように、遊技球が入賞口に流入したタイミングにより、特定領域と一般領域とのいずれに誘導されるかの予測演算を行い、これを報知するようにした構成が提案されている(例えば、特許文献1)。この構成は、上述したように、遊技球が入賞したタイミングと、振分け部材に到達するまでに要する設定予定時間と、振分け部材の変換パターンとに基づいて、当該遊技球が特定領域または一般領域のいずれに誘導されるかを予測し、特定領域に誘導される場合にこれを所定の予報手段で予報するようにしたものである。
特開2002−11166号公報
ところで、上述した変動入賞装置を備えたパチンコ遊技機にあって、比較的長期に亘って使用されると、球流下路に僅かな歪みが生じたり、汚れが付着したりすることがあり得る。このような現象が生じると、その多寡に応じて、球流下路を流下する遊技球の、振分け手段に到達するまでに要する通過時間が、上記した設定予定時間と異なってしまう。上述した従来の、入賞口から入った遊技球が特定領域に入賞することを予測する構成では、該予測を設定予定時間に基づいて行っているため、実際の通過時間が設定予定時間と異なった場合、この予測に従って実行される予報が外れてしまう。さらに、球流下路に生じる歪みや汚れは経年的に生じるものであるから、この後のほとんどの場合、実際の通過時間が設定予定時間と異なり、前記予報がほとんど外れてしまうこととなり得る。尚、遊技店で使用される遊技球の表面に塗布される油脂量の多寡や遊技球の固体差も、前記した振分け手段に到達するまでに要する実際の通過時間が設定予定時間と異なってしまう傾向を示す要因となる。
このように予報が外れる場合が増加すると、該予報により遊技者の期待感や意欲を高める効果が生じないだけでなく、遊技者の意欲を著しく損なうという逆効果を生じることともなり得る。そして、予報がほとんど当たらないことに遊技者が不愉快となり、遊技の打ち切りや当該遊技台の使用を避ける状況が生じれば、遊技店にとっても大きな不利益を被ることにもなってしまう。
本発明は、上記した問題を解決するものであって、特定領域に流入する予報の信頼性を維持し得るパチンコ遊技機を提供するものである。
本発明は、入賞口から流入した遊技球が流下する球流下路と、該球流下路の上流部に設けられ、入賞口から流入した遊技球を検知する入賞検出スイッチと、前記球流下路を流下した遊技球を、所定の利益を供与する特定領域へ誘導する特定誘導位置と、前記特定領域よりも利益供与の小さい一般領域へ誘導する一般誘導位置とに位置変換する振分け部材と、該振分け部材を、予め定められた変換パターンに従って前記特定誘導位置と一般誘導位置とに位置変換作動する駆動装置とを具備する変動入賞装置と、前記入賞検出スイッチによる遊技球の検知タイミングと、入賞検出スイッチの検知位置から振分け部材に至る遊技球の通過時間を予め定めた設定予定時間と、前記振分け部材の変換パターンとに基づいて、当該遊技球が振分け部材により特定領域又は一般領域のいずれに誘導されるかを予測する入賞予測処理工程を実行する制御処理手段と、該入賞予測処理工程により遊技球が特定領域へ誘導されることを予測した場合に、それを報知する予報手段とを備えたパチンコ遊技機において、前記変動入賞装置の球流下路の下流部に、遊技球を検知する通過検出スイッチを少なくとも一つ備えると共に、前記制御処理手段は、前記入賞検出スイッチにより遊技球を検知した入賞検知タイミングと前記通過検出スイッチにより遊技球を検知した通過検知タイミングとに基づいて、当該遊技球が振分け部材に到達する予知到達タイミングを予知し、該予知到達タイミングに振分け部材が特定誘導位置にあるか否かを判定するタイミング判定処理工程と、前記予報手段で遊技球の特定領域流入を予報し、かつ前記タイミング判定処理工程により前記予知到達タイミングに振分け部材が特定誘導位置にないと判定した場合には、当該予知到達タイミングに合わせて、該振分け部材を特定誘導位置に位置変換作動するタイミング補正処理工程とを実行するようにしたことを特徴とするパチンコ遊技機である。ここで、振分け部材の変換パターンとしては、振分け部材を一般誘導位置と特定誘導位置とに位置変換するタイミングを予め設定したものである。また、一般領域としては、遊技球流入により所定個数の賞球を払い出す等の直接的な利益を発生させるようにした構成だけでなく、賞球を払い出す等の利益を発生しないようにした構成をも含む。
かかる構成にあっては、予報手段で遊技球の特定領域への流入を予報した場合に、タイミング判定処理工程により遊技球が特定領域へ流入しないと判定すると、前記予報が正しい結果となるように振分け部材の位置変換作動を補正制御するようにしたものである。すなわち、振分け部材の位置変換作動を補正制御することによって、予報した内容に合致した結果を招来するようにして、予報と結果とに齟齬が生じないようにしている。
ここで、タイミング判定処理工程で予知される予知到達タイミングは、入賞検知タイミングと通過検知タイミングとに基づいて予知されていることから、入賞検出スイッチと通過検出スイッチとの間を流下する動き(速さや時間など)を加味しているため、実際に遊技球が到達するタイミングを正確に予知することができ得る。そのため、タイミング判定処理工程は、入賞検知タイミングに基づいて予測する入賞予測処理工程に比して、遊技球が特定領域に流入するか否かを正確に判定することができる。そして、タイミング補正処理工程では、タイミング判定処理工程で正確に予知した予知到達タイミングに従って補正制御を行うようにしているから、該補正制御を実行することによって、当該遊技球を確実に特定領域に流入させることができる。
本発明の構成では、何らかの原因により、入賞口から流入した遊技球が振分け部材に到達するまでに要する通過時間が、予め設定した設定予定時間と異なった場合にあっても、入賞検知タイミングと通過検知タイミングとに基づいて予知した予知到達タイミングに合わせて、振分け部材を特定誘導位置に位置変換することにより、入賞予測処理工程に基づく予報を、正しい結果とすることができる。したがって、予報手段で遊技球が特定領域へ入賞する予報をした場合に、該予報と結果とが確実に一致することなるため、遊技者の予報に対する信頼感を充分に維持することができ、該予報により生ずる遊技者の期待感と意欲とを高める効果を安定して発揮することができ得る。
そして、上述したように、比較的長期の使用によって球流下路に歪みや汚れが生じる等の経年的な原因により、遊技球が振分け部材に到達するまでに要する通過時間が設定予定時間と異なった場合にあっても、本発明の構成によれば、随時、予報に合わせて振分け部材を補正制御するため、該予報と結果とが一致し、上記した本発明の作用効果を適正に発揮でき得る。
本構成のタイミング判定処理工程にあって、予知到達タイミングを予知する処理としては、入賞検出スイッチの検知位置と、通過検出スイッチの検知位置と、振分け部材との位置関係が明確であることから、例えば、通過検出スイッチの検知位置における遊技球の速度や加速度を求めることにより予知する方法、又は、入賞検出スイッチの検知位置と通過検出スイッチの検知位置との間を遊技球が通過するために要する時間(以下、検知区間通過時間)と、予知到達タイミングとの関係を予め設定しておき、入賞検知タイミングと通過検知タイミングとから得た検知区間通過時間に応じて予知到達タイミングを予知する方法などが好適に用い得る。
ここで、予知到達タイミングとしては、入賞検出スイッチによる入賞検知タイミングから振分け部材に到達するまでに要する通過時間により予知されるタイミングとして設定しても良いし、又は、通過検出スイッチによる通過検知タイミングから振分け部材に到達するまでに要する通過時間により予知されるタイミングとして設定することもできる。
また、当然ながら、タイミング判定処理工程およびタイミング補正処理は、遊技球が振分け部材に到達する前に実行されなければならない。そのため、タイミング判定処理とタイミング補正処理との実行に要する時間に比して、遊技球が通過検出スイッチから振分け部材に到達するまでに要する時間が長くなるように、該通過検出スイッチの配設位置を設定する必要がある。
また、タイミング補正処理工程では、上述したように、タイミング判定処理工程で予知した予知到達タイミングに合わせて、振分け部材を特定誘導位置へ位置変換するように、該振分け部材の変換パターンと異なるタイミングで位置変換作動する補正制御を行う。この補正制御は、予知到達タイミングに合わせて位置変換作動する割込処理などをするようにしても良いし、又は、変換パターンを補正するようにしても良い。さらに、補正制御は、遊技球が特定領域に流入する毎に、元の変換パターンに戻るようにしても良いし、この補正した内容に応じて、以降の変換パターンを調整するようなフィードバック的な制御を行うようにしても良い。
上記のように、タイミング補正処理工程は、予知到達タイミングに合わせて、振分け部材を特定誘導位置に位置変換作動する補正を行う毎に、その予知到達タイミングに振分け部材が特定誘導位置にあるように、振分け部材の変換パターンを調整する処理を行うようにした処理工程である構成が提案される。
かかる構成にあっては、予知到達タイミングに合わせて振分け部材を特定誘導位置へ位置変換作動する補正制御を行う毎に、その補正の内容に応じて変換パターンを調整するという、所謂フィードバック的な処理を行うものである。ここで、補正制御は、現時点における位置変換作動を補正するものであり、また、この補正をする毎に行う変換パターンの調整は、これ以降の変換パターンを変えるものであるから、補正の内容と変換パターンの内容とは関係があるものの、一致しない。
本構成によれば、例えば、上述したようにパチンコ遊技機を比較的長期に亘って使用することにより生じた球流下路の歪みや汚れ等の経年的な原因によって、入賞口から流入した遊技球が振分け部材に到達するまでに要する通過時間が設定予定時間と異なった場合に、実際の通過時間に合わせて変換パターンを調整することとなるため、次回から予報に合わせて振分け部材を位置変換作動することができる。そして、さらに歪みや汚れが増加(又は減少)した場合には、タイミング補正処理により変換パターンをさらに調整する処理を行う。そのため、経年的な原因により予報が外れる場合にあって、タイミング補正処理を実行する回数を抑制できる。
尚、予報が外れる原因が一時的なものであっても、一端調整された変換パターンを、原因の解消後に、再び元の変換パターンに戻すこととなる。そのため、一時的に予報が外れた場合にも、予報に合わせて振分け部材の位置変換作動を補正することができ、上述した本発明の作用効果を適正に発揮し得る。
さらに、本構成では、予報が外れると判断する毎に変換パターンの調整を重ねていくものであるから、補正一回毎の補正幅を比較的小さくすることができる。そのため、補正制御によって実行する位置変換作動を比較的滑らかに行うことができるから、この補正制御による位置変換作動を遊技者にさとられ難くでき、予報に対する遊技者の信頼感を維持するという、本発明の作用効果に優れる。
また、上述したパチンコ遊技機にあって、振分け部材は、特定誘導位置で球流下路の下端に臨み、該球流下路と特定領域とを連通する球誘導路を備え、駆動装置により所定回転速度で回動することによって、前記球誘導路を特定誘導位置と、前記球流通路と連通しない一般誘導位置とに回転変換するものであるとした構成が提案される。
かかる構成にあっては、球誘導路が所定回転速度で回転するものであるから、その回転速度から球誘導路の回転位置を特定することができ、特定誘導位置に位置変換する変換タイミングを明確に認識できるものである。そのため、タイミング判定処理工程では、入賞検知タイミングおよび通過検知タイミングと、振分け部材の特定誘導位置への変換タイミング(振分け部材の回転速度および球誘導路の回転位置)とに基づいて、予知到達タイミングに該振分け部材が特定誘導位置にあるか否かを一層正確かつ安定的に判定することができる。そして、タイミング補正処理では、振分け部材の回転速度を制御することにより、予知到達タイミングに合わせて特定誘導位置へ位置変換作動する補正制御を確実に実行できる。
また、振分け部材を位置変換作動する駆動装置が、ステッピングモータにより構成されていると共に、制御処理手段のタイミング補正処理工程は、前記ステッピングモータのステップ間隔を補正することにより、予知到達タイミングに合わせて振分け部材を特定誘導位置に位置変換するようにした処理工程である構成が提案される。
かかる構成にあっては、上記した球誘導路を備えた振分け部材を、ステッピングモータにより所定回転速度で回動するようにし、変換パターンとしての回転速度を、ステッピングモータのステップ間隔により設定したものである。ここで、ステッピングモータは、1ステップ毎の変位角(以下、ステップ角度)又は/及び1ステップを行う時間間隔(以下、ステップ時間)とを制御することにより、その回転速度を適宜設定できるものである。すなわち、ステップ角度またはステップ時間が本構成のステップ間隔である。
本構成によれば、ステップ角度又はステップ時間を補正することにより、変換パターンとしての振分け部材の回転速度を変化させ、予知到達タイミングに合わせて振分け部材を特定誘導位置に位置変換作動するようにしている。これにより、タイミング補正処理工程により実行する補正制御を、一層正確かつ安定して行うことができ得る。
また、上述したパチンコ遊技機にあって、球流下路は、その下部に、略直線状に傾斜する下案内路部を備え、該下案内路部に、通過検出スイッチが配設されているものである構成が提案される。
ここで、下案内路部は、略直線状に傾斜するものであるから、ここで遊技球は等加速度運動する。そして、通過検出スイッチから振分け部材までの間では、遊技球は比較的安定して流下し易い。これにより、通過検出スイッチにより検知した通過検知タイミングに基づいて、予知到達タイミングを一層精度良く予知することができ得る。そのため、この予知到達タイミングに振分け部材が特定誘導位置にあるか否かの判定と、予知到達タイミングに合わせて振分け部材を特定誘導位置に位置変換作動する補正制御とを、一層正確かつ安定的に行うことができ得る。したがって、予報に対する遊技者の信頼感を維持するという、本発明の作用効果がさらに向上する。
尚、この下案内路部は、比較的緩やかに下方傾斜する形態とすることが好ましい。これにより、該下案内路部での加速度を可及的に小さくでき、タイミング判定処理工程およびタイミング補正処理工程の正確性や安定性をさらに高め得る。
また、上述したパチンコ遊技機にあって、通過検出スイッチが、球流下路に沿って複数配設されると共に、制御処理手段が、入賞検出スイッチにより遊技球を検知した入賞検知タイミングと複数の通過検出スイッチにより遊技球を夫々検知した各通過検知タイミングとに基づいて、当該遊技球が振分け部材に到達する予知到達タイミングを予知し、該予知到達タイミングに従ってタイミング判定処理工程と前記タイミング補正処理工程とを行うようにした構成が提案される。
かかる構成にあっては、複数の通過検出スイッチにより検知した各通過検知タイミングに基づいて、予知到達タイミングを予知するようにしたものである。ここで、各通過検出スイッチは、上述したように、球流下路の下流部に夫々に配設されていることから、それぞれで検知した各通過検知タイミングに基づいて、予知到達タイミングを一層精度良く求めることができ得る。したがって、タイミング判定処理工程およびタイミング補正処理の精度が向上し、予報に対する遊技者の信頼感を維持するという本発明の作用効果がさらに高まる。
ここで、予知到達タイミングは、入賞検知タイミングと各通過検知タイミングとから、入賞検出スイッチと各通過検出スイッチとの各検知位置間を遊技球が通過する検知位置間通過時間をそれぞれ求め、該検知位置間通過時間により予知するようにしている。例えば、各検知位置間通過時間に従って、遊技球の速度および加速度を正確に求めて、予知到達タイミングを算出することができる。また、各検知位置間通過時間に応じて、その所定時間毎に予め予知到達タイミングを複数設定しておき、検知位置間通過時間に適合するものを選出するようにしても良い。
尚、通過検出スイッチは、設置数を多くするほど、予知到達タイミングをより精度良く予知することができるが、各処理に要する時間や設置場所などの関係から、2個〜4個程度を配設する構成が好適である。
本発明は、入賞口から流入した遊技球のタイミングにより、当該遊技球が振分け部材により特定領域に流入する予報を行うパチンコ遊技機であって、入賞口から遊技球が流入すると、球流下路の上流部に設けた入賞検出スイッチによる入賞検知タイミングと該球流下路の下流部に設けた通過検出スイッチによる通過検知タイミングとに基づいて予知した予知到達タイミングに、振分け部材が特定誘導位置にあるか否かを判定するタイミング判定処理工程を行い、振分け部材が特定誘導位置にないと判定され、かつ前記した予報を予報手段で報知していた場合に、予知到達タイミングに合わせて、振分け部材を特定誘導位置に位置変換作動するタイミング補正処理工程を行うようにしたものである。本構成によれば、何らかの原因により、遊技球が振分け部材に到達するまでに要する通過時間が予め設定された設定予定時間と異なった場合にあっても、遊技球が特定領域に流入する予報に合わせて、当該遊技球が振分け部材に到達したときに、該振分け部材を特定誘導位置として特定領域に誘導することができる。そのため、パチンコ遊技機を比較的長期に亘って使用することで生じた、球流下路の歪みや汚れなどによる経年的な原因により、前記通過時間が設定予定時間と異なった場合にあっても、上述した従来構成のようにこれ以降の予報がほとんど外れてしまうこともなく、該予報と結果とを一致させることができ得る。したがって、予報の正確性と信頼性とが維持できるため、遊技者の予報に対する信頼感を保つことができ、該予報により生ずる遊技者の期待感と意欲とを高める効果を安定して発揮することができ得る。
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
図1は、パチンコ遊技機の遊技盤1を示す正面図である。この遊技盤1には、そのほぼ中央部に変動入賞装置2が配設されている。また、この変動入賞装置2の下方には、第一始動口3が配設されている。さらに、変動入賞装置2の右方には、第二始動口4が配設されており、該第二始動口4の下方に、大入賞口6を具備する可変入賞装置5が配設されている。また、遊技盤1には、複数の一般入賞口7も配設されている。
上記した変動入賞装置2は、その外郭を構成するセンターケース9のほぼ中央に、矩形状に開口された奥に深い閉鎖作動領域10が形成されている(図2,3参照)。この閉鎖作動領域10の上方には、図柄表示装置53が設けられている。この図柄表示装置53は、上記した第一始動口3に遊技球が流入することを契機として、変動開始して停止する所定の普通図柄(図示省略)が表示される。
このセンターケース9の左上部には、閉鎖作動領域10内に遊技球を流入可能な入賞役物11が設けられている。この入賞役物11は、遊技球一個を捕球する球受け部12を備え、この球受け部12を上方に開放して遊技球を一個捕球可能とした入賞位置(図1の状態)と、球受け部12を右方向へ約120度回転して、該球受け部12に捕球した遊技球を閉鎖作動領域10へ流入すると共に遊技球を捕球不能とした非入賞位置(図示省略)とに回動するように設けられている。そして、入賞役物11は、常態では非入賞位置にあり、上記した第一始動口3に遊技球が流入することにより図柄表示装置53で変動開始した普通図柄が所定の当り図柄態様で停止した場合に、所定時間だけ入賞位置へ回動するように制御されている。
尚、この入賞役物11が、入賞位置から非入賞位置へ回転することにより、遊技球を閉鎖作動領域10内へ入賞するようにしていることから、球受け部12を回動することによって、本発明にかかる入賞口が構成されている。
変動入賞装置2の閉鎖作動領域10には、上記した入賞役物11により入賞した遊技球が流下する球流下路13が配設されている。この球流下路13は、螺旋形状のスパイラル路部14と、該スパイラル路部14の下端から前方へ下方傾斜する直線状の下案内路部15(図2,3参照)とから構成されている。また、閉鎖作動領域10には、図2,3のように、その床面を構成する振分けテーブル16が設けられている。この振分けテーブル16の後端中央位置には、前記した球流下路13の下案内路部15の下端が接続されている。そして、この振分けテーブル16は、前記した下案内路部15とほぼ同じ傾斜角により下方傾斜している。
振分けテーブル16の前端部には、その中央に上方開口する特定領域17が形成されており、該特定領域17の両側に上方開口する横長の一般領域18,18が形成されている。さらに、この特定領域17および一般領域18,18の前面には、矩形状の遮蔽板45が配設されている。この遮蔽板45は、振分けテーブル16上を流下した遊技球が前方へ飛び出ることを防止し、特定領域17又は一般領域18,18のいずれかに流入するように設けられている。そして、本実施例にあっては、遮蔽板45を透明材料から構成しており、遊技球が特定領域17又は一般領域18,18のいずれに流入したかを遊技者が視認可能となっている。
また、振分けテーブル16には、そのほぼ中央位置に、所定回転速度で回動する円盤形状の振分け部材20が設けられている。この振分け部材20は、図2,3のように、振分けテーブル16の傾斜面に沿って設けられており、該振分けテーブル16上で回転する。振分け部材20には、径方向に沿った直線状の球誘導路22が、振分けテーブル16とほぼ同一平面となるようにして設けられている。そして、振分け部材20を、図2のように、その球誘導路22を前後方向に向いた位置とすることにより、該球誘導路22の後端が上述した球流下路13の下案内路部15の下端に臨み、かつ球誘導路22の前端が特定領域17の直上に位置することとなる。この位置では、球流下路13と特定領域17とが連通するため、該球流下路13を流下した遊技球は、球誘導路22を通過して特定領域17へ誘導されることとなる。すなわち、この球誘導路22が球流下路13の下案内路部15から遊技球を受入れ且つ該遊技球を特定領域17へ誘導可能とする前後方向に向いた位置が、本発明にかかる特定誘導位置である。
振分け部材20の球誘導路22の両側には、該球誘導路22を外側と区画する路側壁23,23が形成されている。そのため、振分け部材20が、前記したように球誘導路22が前後方向の特定誘導位置から回動している位置では、図3のように、球流下路13と特定領域17とは連通しておらず、球流下路13を流下した遊技球は、球誘導路22の路側壁23に阻まれて振分け部材20の両側方へ移動することとなる。そして、振分け部材20の両側方へ移動した遊技球は、一般領域18,18に流入する。すなわち、この球誘導路22を前記した特定誘導位置から回動した位置が、本発明にかかる一般誘導位置である。尚、図3に示す振分け部材20の位置は、一般誘導位置の一例であり、上記した特定誘導位置から回動した全ての位置(特定誘導位置を除いた全ての位置)が一般誘導位置となる。尚、本実施例の特定誘導位置及び一般誘導位置については、後で、振分け部材20を回動するステッピングモータ40のステップ位置を用いて詳述する。
この振分け部材20は、所定回転速度で定速回動することにより、特定誘導位置と一般誘導位置とに交互に位置変換される。そして、上記した入賞役物11から入賞した遊技球が、球流下路13を流下して振分け部材20に到達したときに、該振分け部材20がタイミング良く特定誘導位置(図2参照)にあると、当該遊技球が特定領域17に流入することとなる。一方、遊技球が振分け部材20に到達したときに、該振分け部材20が一般誘導位置(図3参照)にあると、当該遊技球は一般領域18へ流入することとなる。このように、振分け部材20は、その回動により、球流下路13を流下した遊技球を特定領域17又は一般領域18のいずれかに振り分けるものである。尚、振分けテーブル16は、上記したように前方へ下方傾斜していることから、振分け部材20の両側方へ移動した遊技球を、その前方に設けられた一般領域18へ流入し易くしている。
また、変動入賞装置2の図柄表示装置53では、入賞役物11から入賞した遊技球が特定領域17へ流入することの予報を表示するようにしている。この予報は、入賞役物11により遊技球が入賞したタイミングと、当該遊技球が振分け部材20に到達するまでに要する通過時間と、上述した振分け部材20の回動とに基づいて、当該遊技球が振分け部材20に到達したときに該振分け部材20が特定誘導位置にあると判じた場合に、特定領域17へ流入することを報知する。この予報により、遊技者の期待感と遊技に対する意欲を高め得るようにしている。尚、この図柄表示装置53と、該図柄表示装置53を表示制御する図柄表示制御基板102と、該図柄表示制御基板102に図柄表示装置53で予報を報知する命令をする主制御基板100とによって、本発明にかかる予報手段を構成している。また、この遊技球が特定領域17に流入することを判ずる処理を行う工程が、本発明にかかる入賞予測処理工程であり、詳しくは後述する。
一方、図1に示す、変動入賞装置2の右方に配設された第二始動口4は、上述した変動入賞装置2の特定領域17に遊技球が流入することを条件として、遊技球が流入した場合に、その下方に配設された可変入賞装置5の大入賞口6を開閉するものとなっている。
可変入賞装置5は、大入賞口6を開閉するための横長矩形状の開閉部材50を具備し、この開閉部材50が大入賞口ソレノイド51(図5参照)により開閉制御されて、大入賞口6を開放状態又は閉鎖状態とのいずれかに変換する。この可変入賞装置5は、常態では開閉部材50が閉鎖しており、上述したように、変動入賞装置2の特定領域17に遊技球が流入することを条件として、第二始動口4に遊技球が流入すると、開閉部材50が開いて、大入賞口6へ遊技球の流入を可能とする。ここで、開閉部材50は、開放した状態でその上面が案内作用を生じ、大入賞口6へ遊技球を案内する。この開閉部材50は、開放開始から10秒経過、又は大入賞口6への遊技球の10個入賞のいずれかが達成することを契機として、閉鎖するように制御されている。そして、第二始動口4を遊技球が通過することを継続条件として、開閉部材50は、一旦閉鎖した後に再び開放する。このように開閉部材50を開閉する開閉ラウンドは、最大16回実行される。尚、大入賞口6は、一般的なパチンコ遊技機と同様に、他の入賞口に比して、遊技球が流入する毎に払い出される賞球数が多いことから、開閉ラウンドが実行されることは、遊技者が最も望む状態である。
上記した第二始動口4は、常態では他の一般入賞口7と同様に、遊技球の流入によって所定個数の賞球を払い出すものとなっている。
次に、本実施例のパチンコ遊技機の遊技作動を制御する制御回路を、図5を参照して説明する。
マイクロコンピュータを構成する主制御基板100は、遊技の統括的な制御を実行するものであり、各種遊技作動などを制御するための基板回路を備えている。この基板回路上には、主制御用中央制御装置CPUが配設されていると共に、この主制御用中央制御基板CPUに記憶装置ROMと記憶装置RAMとが夫々接続されて設けられている。ここで、記憶装置ROMには、制御プログラム、乱数テーブル、各種固定データなどが格納されている。尚、本実施例にあっては、後述する入賞予測処理工程を行う制御プログラム、タイミング判定処理工程を行う制御プログラム、タイミング補正処理工程を行う制御プログラム、到達時間選出テーブルが格納されている。一方、記憶装置RAMには、各種スイッチ等のON作動による通過記憶等が一時的に記憶される記憶エリア、レジスタ領域、及びワークエリア等が設けられている。
主制御用中央制御装置CPUは、所定データの処理を行う演算ユニット(ALU)を連成した演算装置と、この演算装置に入出力するデータや読み込んだ命令を保管しておくレジスタと、命令を解読するデコーダ等によって構成されている。
この主制御基板100には、第一始動口3に配設されて遊技球を検知する第一始動スイッチS1、第二始動口4に配設されて遊技球を検知する第二始動スイッチS2、大入賞口6に配設されて遊技球を検知するカウントスイッチS3、変動入賞装置2の特定領域17に流入した遊技球を検知する特定領域スイッチS4(図1参照)、一般領域18に流入した遊技球を検知する一般領域スイッチS5(図1参照)、特定領域17又は一般領域18に流入した後に機台から排出する遊技球を検知する排出スイッチS6(図1参照)などが、盤面中継基板105を介して夫々に接続されている。さらには、後述するように、変動入賞装置2の球流下路13に配設された入賞検出スイッチS7(図1参照)と通過検出スイッチS8(図1参照)も接続されている。
さらに、盤面中継基板105を介して、可変入賞装置5の開閉部材50を開閉する大入賞口ソレノイド51、入賞役物11を入賞位置と非入賞位置とに変換する入賞役物ソレノイド54、振分け部材20を回動するステッピングモータ40なども接続されている。
この主制御基板100には、払出制御基板101、図柄表示制御基板102、音源制御基板103、光源制御基板104、盤面中継基板105などが接続されており、所定のデータ又はコマンドを送受信するようになっている。ここで、払出制御基板101は、賞球や貸球を制御するものである。図柄表示制御基板102は、図柄表示装置53で表示する表示態様を制御するものである。音源制御基板103は、スピーカから発生する効果音等を制御するものである。光源制御基板104は、LEDやランプなどの発光を制御するものである。これら各制御基板101〜104は、それぞれ中央制御装置CPU、記憶装置ROM、記憶装置RAMを備えた、一般的に用いられている構成と同じ構成のものを用いており、その詳細については省略する。
次に、上記した制御回路による、本構成のパチンコ遊技機における遊技作動の概略を説明する。
図示しない発射装置から発射された遊技球が、遊技盤1面を転動流下して、第一始動口3へ流入すると、第一始動スイッチS1がON作動する。主制御基板100は、第一始動スイッチS1のON作動を確認すると、図柄表示制御基板102を介して図柄表示装置53で普通図柄(図示省略)を変動開始する処理を行うと共に、所定の乱数テーブルから乱数値を抽出し、その乱数値が予め定められた当り値であるか否かを判定する制御処理を行う。ここで、乱数値が当り値であった場合には、図柄表示装置53で変動する普通図柄を所定の当り図柄態様で停止させる処理を行う。そして、普通図柄を所定の当り図柄態様で停止させて、入賞役物ソレノイド54を作動制御し、入賞役物11を非入賞位置から入賞位置へ位置変換する制御処理を実行する。尚、乱数テーブルから抽出した乱数値が当り値でなかった場合には、普通図柄をハズレ図柄で停止させて、そのまま遊技を継続する。
普通図柄が当り図柄態様で停止して入賞役物11が入賞位置にある場合に、その球受け部12に一個の遊技球が収まり、その後、当該入賞役物11が入賞位置から非入賞位置へ位置変換すると、球受け部12から遊技球が球流下路13へ移動する。遊技球は、球流下路13のスパイラル路部14から下案内路部15を通過して、振分け部材20に到達する。振分け部材20に到達したときに、該振分け部材20が一般誘導位置にあれば、遊技球は一般領域18に流入する。そして、一般領域スイッチS5がON作動し、これに従って主制御基板100は払出制御基板101を介して所定個数の賞球を払い出す処理を行う。
一方、遊技球が到達したときに振分け部材20が特定誘導位置にあれば、遊技球は特定領域17へ流入し、特定領域スイッチS4がON作動する。主制御基板100は、この特定領域スイッチS4のON作動を確認すると、大入賞開放フラグを設定する。そして、この大入賞開放フラグが設定されている状態で、上記した第二始動口4に遊技球が流入して、第二始動スイッチS2がON作動すると、大入賞口ソレノイド51を作動制御して、大入賞口6を開放する。大入賞口6に遊技球が流入する毎に、カウントスイッチS3がON作動し、これに従って主制御基板100は、払出制御基板101を介して所定個数の賞球を払い出す処理を実行する。主制御基板100は、大入賞口ソレノイド51の作動開始から10秒経過するか、又はカウントスイッチS3が10個の遊技球を検知することにより、大入賞口6を閉鎖する作動を行う。また、大入賞開放フラグの設定している間に、さらに第二始動口4に遊技球が流入すると、大入賞口6は、大入賞口6を一旦閉鎖した後、再び開放する作動を実行する。この様な開閉ラウンドは最大15回行われ、大入賞口6に流入した遊技球に応じて賞球を払い出す処理を行う。
次に、上述した振分け部材20の作動制御について詳細に説明する。
振分け部材20は、上記したステッピングモータ40(図5参照)により所定回転速度で定速回動するようにしている。すなわち、このステッピングモータ40が、本発明にかかる駆動装置である。本実施例にあっては、ステッピングモータ40を駆動制御することにより、振分け部材20を10rpmで等速回転している。この振分け部材20の一周回に要する時間は6秒間であり、この6秒間に二回、すなわち半回転する毎に、球誘導路22が球流下路13と特定領域17とを連通する特定誘導位置に位置変換される。また、ステッピングモータ40には、ステップ角度が3度のものを使用しており、120回ステップすることにより振分け部材20を一周回する。すなわち、このステッピングモータ40は、50ミリ秒毎に1ステップ(3度回転)するように制御されており、間歇回動する。この1ステップする時間間隔(50ミリ秒)がステップ時間である。尚、ステッピングモータ40のステップ角度は、3度に固定されていることから、ステップ時間(50ミリ秒)により回転速度が決まっている。
ここで、振分け部材20は、180度回動する毎に、その球誘導路22が球流下路13の下案内路部15と特定領域17とを一直線状に連通する位置(図4(B)参照)となる。この一直線状となる位置では、上記したステッピングモータ40が、60ステップ位置と120ステップ位置とのいずれかとなるように設定している(図6参照)。
本実施例の球誘導路22は、図4のように、球流下路13の下案内路部15の下端幅に比して、幅広に形成されたものとしてしていることから、球誘導路22と下案内路部15とが一直線となる位置に対して左右に約9度の範囲ならば、下案内路部15から球誘導路22へ遊技球を流入できる。また、上記した特定領域17の上部開口幅は、球流下路13の下案内路部15の下端幅を同じと設定していることから、遊技球が球誘導路22から特定領域17へ流下できる範囲も、前記同様に、球誘導路22と下案内路部15とが一直線となる位置に対して左右に約9度の範囲となる。さらに、球誘導路22では、球流下路13を流下した遊技球が通過するために要する時間が約100ミリ秒となる。そのため、遊技球が球誘導路22を通過中に、球誘導路22は6度回転することとなる。以上のことから、遊技球が球誘導路22に入って特定領域17へ流入できる範囲は、振分け部材20が、球誘導路22と球流下路13の下案内路部15とが一直線となる位置に対して、その回転前方へ9度傾斜した位置(図4(A)参照)から回転後方へ3度傾斜した位置(図4(C)参照)までの範囲となる。これを、ステッピングモータ40のステップ位置で表すと、図6のように、57ステップ位置〜61ステップ位置の範囲と、117ステップ位置〜1ステップ位置の範囲となる。ここで、振分け部材20を特定誘導位置とするステップ位置(57ステップ位置〜61ステップ位置、117ステップ位置〜1ステップ位置)を、以下、特定誘導ステップ位置と言う。
このようにステッピングモータ40を駆動する制御は、上記した主制御基板100により行われている。すなわち、主制御基板100は、ステッピングモータ40を50ミリ秒毎に1ステップ(3度回転)するように制御しており、これにより、該ステッピングモータ40のステップ位置を認識して、該ステップ位置により球誘導路22の回転位置を把握している。さらに、本実施例にあっては、ステッピングモータ40が、1ステップ位置となる毎に該1ステップ位置に在ることを示す信号を発し、この信号を主制御基板100が検知することにより、正確なステップ位置を常に確認するようにしている。
尚ここで、このようにステッピングモータ40を駆動制御することにより、振分け部材20を回動して、特定誘導位置と一般誘導位置とに繰り返し位置変換する一連の作動態様が、本発明にかかる変換パターンである。すなわち、この変換パターンは、上記したステップ時間により決まる回転速度により定まっており、該変換パターンにより、振分け部材20が特定誘導位置に位置変換する変換タイミング(上述した57ステップ位置〜61ステップ位置の範囲と117ステップ位置〜1ステップ位置の範囲)が正確に設定されている。
一方、上記した球流下路13の上端部位には、入賞役物11により入賞した遊技球を検知する入賞検出スイッチS7が配設されている。また、球流下路13は、上述したようにスパイラル路部14と下案内路部15とから構成されているため、それぞれの傾斜角や距離等は一定である。そのため、この球流下路13を遊技球が流下するために要する時間は、通常では一定となる。これにより、入賞役物11により入賞した遊技球が、前記した入賞検出スイッチS7により検知される検知位置から、球流下路13を流下して振分け部材20に至るまでに要する通過時間を、予め設定予定時間として設定している。
本実施例にあっては、上記した設定予定時間が3.30秒として設定されている。すなわち、入賞役物11により入賞した遊技球は、通常、前記した入賞検出スイッチS7により検知された入賞検知タイミングから3.30秒後に振分け部材20に到達するのである。
そして、この設定予定時間と、入賞検知タイミングと、上述した振分け部材20を回動するステッピングモータ40の変換パターンとにより、入賞検出スイッチS7に検知された遊技球が、振分け部材20により特定領域17または一般領域18のいずれに誘導されるかを予測することができる。すなわち、図6のように、振分け部材20は、上述したように、ステッピングモータ40が特定誘導ステップ位置(57ステップ位置〜61ステップ位置、117ステップ位置〜1ステップ位置)で特定誘導位置となるため、この特定誘導ステップ位置から設定予定時間(3.30秒)を逆算することにより、入賞検知タイミングで、設定予定時間経過後に振分け部材20が特定誘導位置となるステップ範囲が算定される。これは、入賞検知タイミングで、ステッピングモータ40が、51ステップ位置〜55ステップ位置の範囲、又は111ステップ位置〜115ステップ位置の範囲にあると、当該遊技球が特定領域17へ誘導されることを示す。尚、この範囲のステップ位置を、以下、予測用ステップ位置とする。
このように、入賞役物11により入賞した遊技球を、入賞検出スイッチS7により検知することにより、その入賞検知タイミングで、ステッピングモータ40のステップ位置が上記した予測用ステップ位置にあるか否かを判ずる。この処理を行う工程が、本発明にかかる入賞予測処理工程である。そして、この入賞予測処理工程で遊技球が特定領域17へ誘導されると予測した場合には、遊技球が特定領域17に流入することを示す予報を、上記した図柄表示装置53により表示する。さらに、本実施例にあっては、入賞予測処理工程で、遊技球が特定領域17へ誘導されると予測すると、予報フラグをONとする処理を行う。
上記した変動入賞装置2の球流下路13には、その下案内路部15に通過検出スイッチS8が配設されている(図2,3参照)。この通過検出スイッチS8は、通常、上記した入賞検出スイッチS7により検知した入賞検知タイミングから2.75秒後に、遊技球を検知する位置に設けられている。そして、通常、この通過検出スイッチS8により検知した通過検知タイミングから0.55秒後に、遊技球は振分け部材20に到達する。すなわち、入賞検出スイッチS7に検知した後、通常、遊技球が3.30秒後に振分け部材20に達する。この3.30秒が、入賞検出スイッチS7の検出位置から振分け部材20までを遊技球が流下するために要する通過時間であり、上述した設定予定時間である。
ここで、設定予定時間に従って、入賞検出スイッチS7の検出位置から通過検出スイッチS8の検出位置までを遊技球が流下するために要する検知区間通過時間を、設定検知区間通過時間(2.75秒)としている。また、通過検出スイッチS8の検出位置から振分け部材20までを遊技球が流下するために要する通過時間(以下、到達区間通過時間)を、設定到達区間通過時間(0.55秒)としている。
すなわち、通常、入賞役物11により入賞した遊技球は、入賞検出スイッチS7により検知され、球流下路13を流下して、通過検出スイッチS8により検知される。ここで、入賞検出スイッチS7による入賞検知タイミングと通過検出スイッチS8による通過検知タイミングとから、上記した検知区間通過時間が算出され、これが設定検知区間通過時間である2.75秒であると、到達区間通過時間を設定到達区間通過時間である0.55秒として得る。これにより、遊技球が振分け部材20に到達する予知到達タイミングを予知できる。
尚、この予知到達タイミングは、本実施例にあっては、検知区間通過時間と到達区間通過時間とを合算して、入賞検知タイミングを起点として振分け部材20に到達するタイミングとするように設定している。
また、本実施例1では、上記した設定検知区間通過時間と異なる検知区間通過時間に対して、該検知区間通過時間に応じた到達区間通過時間を予め設定している。図7のように、設定検知区間通過時間の前後に所定時間間隔により検知区間通過時間を設定し、それぞれに対応する到達区間通過時間を定めた到達時間選出テーブルを設けている。ここで、到達時間選出テーブルでは、検知区間通過時間の間隔を、ステッピングモータ40の1ステップ毎のステップ時間(間歇間隔)と等しい50ミリ秒間隔で設定している。そして、この検知区間通過時間毎に、該検知区間通過時間を要した遊技球が通過検出スイッチS8の検出位置から振分け部材20に到達するまでに要する到達区間通過時間を夫々に設定している。例えば、入賞検知タイミングと通過検知タイミングとから算出した検知区間通過時間が、2.85秒だとすると、それに対応する到達区間通過時間として0.57秒が到達時間選出テーブルから選出されることとなる。
ここで、入賞検知タイミングと通過検知タイミングとから算出した検知区間通過時間が、2.75秒〜2.79秒の範囲であれば、上記した設定予定時間(2.75秒)の場合と同じ設定到達区間通過時間が選出される。これは、上述したように、ステッピングモータ40が間歇回動するものであるから、そのステップ時間50ミリ秒の範囲内であれば、予知到達タイミングでステッピングモータ40のステップ位置が変わらないためである。すなわち、通過検知タイミングで設定検知区間通過時間からわずかに遅れた場合にも、当該遊技球が振分け部材20に到達したときに、該振分け部材20は設定予定時間から算定したステップ位置にある。
尚、上記した到達時間選出テーブルにより設定されている各検知区間通過時間と到達区間通過時間とは、遊技球が球流下路13を通過する速度が速くなったり遅くなったりした場合を想定して、その速度範囲に対応するように求めた値である。そして、予め検証して、設定している。
上述したように、入賞検知タイミングと通過検知タイミングとから算出した検知区間通過時間に従って到達区間通過時間を選出すると、該検知区間通過時間と到達区間通過時間とを合算して、遊技球が入賞検知タイミングから振分け部材20に到達するまでに要する時間(以下、予定到達時間)を求める。この入賞検知タイミングから予定到達時間経過した時点を、予知到達タイミングとして求める。そして、入賞検知タイミングでのステッピングモータ40のステップ位置に、この予定到達時間に相当するステップ数を加算することにより、予知到達タイミングでのステップ位置を算出する。この予知到達タイミングでのステップ位置が、上述した特定誘導ステップ位置(57ステップ位置〜61ステップ位置か117ステップ位置〜1ステップ位置のいずれか)にあるか否かを判定する。この判定により、遊技球が振分け部材20に到達したときに、該振分け部材20が特定誘導位置か一般誘導位置のいずれにあるかを判定している。
このように、入賞検知タイミングと通過検知タイミングとに基づいて、到達区間通過時間を選出して予知到達タイミングを求め、該予知到達タイミングに、振分け部材20が特定領域17にあるか否かを判定する一連の処理が、本発明にかかるタイミング判定処理工程である。また、このタイミング判定処理工程では、通過検出スイッチS8により遊技球を検知した通過検知タイミングで、ステッピングモータ40のステップ位置を確認している。
尚、本実施例にあって、上述した入賞検出スイッチS7による遊技球検知の入賞検知タイミングと通過検出スイッチS8による遊技球検知の通過検知タイミングとから得る検出区間通過時間としては、上述した主制御基板100に接続されたタイマ(図示省略)が刻む単位時間毎に、通過カウンタを累積加算していくことにより得ている。具体的には、入賞検出スイッチS7が遊技球を検知してON作動すると、入賞フラグをONし、前記タイマの示す単位時間毎に通過カウンタを累積加算していく。そして、通過検出スイッチS8が遊技球を検知してON作動すると、その時点での通過カウンタを確認する。この時点での通過カウンタの値と前記タイマの単位時間との積により、上述した検出区間通過時間が得られるのである。尚、この通過カウンタは、入賞フラグのONに従ってリセットされて、上記のように累積加算される。
上述したタイミング判定処理工程により、予知到達タイミングに、振分け部材20が特定誘導位置に無いと判定した場合に、上述したように図柄表示装置53で特定領域17に流入する予報を表示していると、振分け部材20を、予知到達タイミングに特定誘導位置へ位置変換する処理を実行する。
タイミング判定処理工程で得た、通過検知タイミングでのステッピングモータ40のステップ位置から、ステッピングモータ40を上述した特定誘導ステップ位置(57ステップ位置〜61ステップ位置又は117ステップ位置〜1ステップ位置)までのステップ数(以下、補正到達ステップ数)を算出する。本実施例にあっては、補正到達ステップ数を、ステッピングモータ40の59ステップ位置又は119ステップ位置を基準(特定誘導位置とするための基準とした特定誘導ステップ位置)として算出している。尚、ステッピングモータ40の回転方向は、予め定めていることから、その回転方向に向かって補正到達ステップ数を算出する。
ここで、タイミング判定処理工程で得た検知区間通過時間、到達区間通過時間、予定到達時間は、必ずしもステッピングモータ40のステップ時間50ミリ秒の倍数に一致する時間とならない。そのため、次(又は、さらにその次)にステップする時点を補正開始時点として決める。この補正開始時点のステップ位置からの、上記した補正到達ステップ数を算定し、該補正開始時点から予知到達タイミングまでの時間を補正到達時間として算定する。さらに、補正ステップ数を補正到達時間で等分して、1ステップするための補正ステップ時間を算出する。前記したステップ時間50ミリ秒に一致する補正開始時点から、ステッピングモータ40を補正ステップ時間により回動するようにその回転速度を補正する補正制御を行う。これにより、タイミング判定処理工程で求めた予知到達タイミングに、振分け部材20が特定誘導位置となる。
例えば、入賞検知タイミングでのステップ位置が54ステップ位置、検知区間通過時間が2.89秒、通過検知タイミングでのステップ位置が111ステップ位置とすると、到達区間通過時間は到達時間選出テーブルから0.57秒と選出され、予定到達時間は3.48秒と算出される。この場合には、図6のように、予知到達タイミングでのステップ位置は3ステップ位置であるとわかり、振分け部材20が一般誘導位置にあると判定される。ここで、検知区間通過時間が2.89秒であるから、補正開始時点を、該検知区間通過時間から0.06秒経過した時点とする。この補正開始時点におけるステップ位置は113ステップ位置であるから、上記した特定誘導位置の基準とする119ステップ位置までの6ステップを補正ステップ数として算定する。また、補正開始時点から予知到達タイミングまでの0.53秒(=3.48−2.89−0.06)を補正到達時間として算定する。さらに、補正ステップ数である6ステップを、補正到達時間である0.53秒で進めるように、1ステップする補正ステップ時間を0.09秒とする。そして、通過検知タイミングから0.06秒経過すると、ステッピングモータ40を、0.09秒毎に1ステップするように回転速度を補正制御する。
このようにステッピングモータ40の回転速度(ステップ時間)を補正制御することにより、タイミング判定処理工程で求めた予知到達タイミングに、振分け部材20が特定誘導位置となるため、図柄表示装置53で表示した予報が正しく実行されることとなる。尚、このステッピングモータ40を補正制御して、予知到達タイミングに振分け部材20を特定誘導位置に位置変換する処理工程が、本発明にかかるタイミング補正処理工程である。
また、本実施例にあっては、上記した入賞検出スイッチS7が遊技球を検知すると、入賞フラグをONし、通過検出スイッチS8が遊技球を検知すると、通過フラグをONするように処理している。ここで、入賞フラグは、通過フラグがONするとOFFし、通過フラグは、排出スイッチS6が遊技球を検知すると、OFFするようにしている。そして、入賞フラグ又は通過フラグのいずれかがONである状態では、上述した入賞役物11を非入賞位置に保持するように、入賞役物ソレノイド54を駆動制御している。これにより、変動入賞装置2内には、常に、複数の遊技球が同時に流入しないようにしている。
尚、本実施例1にあって、上述したタイミング補正処理工程で行う補正制御は、上記した排出スイッチS6(図5参照)が遊技球を検知すると、ステップ時間を元の50ミリ秒(0.05秒)に戻して終了する。すなわち、予知到達タイミングに、振分け部材20を特定誘導位置に位置変換するための補正制御は、一個の遊技球に対して実行されるだけであり、これ以降は再び初期設定の回転速度(変換パターン)に従って振分け部材20が回動する。
この例示では、遊技球が球流下路13を流下する流下速度が、通常(設定予定時間となる場合)に比して遅くなった場合について説明したが、逆に流下速度が速くなっても同様に、タイミング判定処理工程、タイミング補正処理工程を実行することにより、予報に合わせて振分け部材20の位置変換を補正制御することができる。
次に、上述した入賞予測処理工程、タイミング判定処理工程、タイミング補正処理工程を実行する一連の流れについて、図8に示す予報・補正処理のフロー図に従って改めて説明する。尚、図8のフロー図にあっては、処理の一段階毎にST101〜ST126の段階番号を付している。
予報・補正処理としては、先ず、上記した通過フラグおよび入賞フラグのON/OFFを確認する(ST101,ST104,ST106)。ここで、入賞役物11が入賞位置にあるときに、その球受け部12に遊技球が入らなければ、変動入賞装置2内に遊技球が入らないため、通過フラグおよび入賞フラグはOFFのままである。
一方、遊技球の第一始動口3への流入を契機として図柄表示装置53で普通図柄が変動開始し、該普通図柄が所定の当り図柄態様で停止すると、入賞役物11を非入賞位置から入賞位置へ位置変換する。そして、入賞役物11が入賞位置にあるときに、その球受け部12に遊技球が入ると、この入賞役物11が再び非入賞位置へ戻ることにより、当該遊技球が球流下路13を流下する。そして、入賞検出スイッチS7により検知される(ST108)。この検知された時が入賞検知タイミングとなり、これにより、入賞フラグをONし(ST109)、通過カウンタをリセットし(ST110)、さらに、入賞フラグのONに伴って、上述した入賞予測処理工程により、入賞検知タイミングでのステッピングモータ40のステップ位置を確認し(ST111)、設定予定時間後に振分け部材20を特定誘導位置にあるか否かを判ずる(ST112)。ここで、遊技球が特定領域17に誘導されると判じた場合には、予報フラグをONする(ST113)と共に、図柄表示装置53により所定の予報を演出表示する(ST114)。そして、遊技球が球流下路13を通過していく間、上述したタイマ(図示省略)による単位時間が刻まれる毎に(すなわち、当該予報・補正処理の一サイクル毎に)、通過カウンタを加算していく(ST107)。
その後、遊技球が球流下路13のスパイラル路部14を通過して下案内路部15を流下すると、通過検出スイッチS8により検知される(ST105)。この検知された時が通過検知タイミングであり、これにより、通過フラグをONし(ST115)、入賞フラグをOFFとする(ST116)。この通過フラグのONに伴って、上述したタイミング判定処理工程により、通過カウンタの値を確認する(ST117)と共に、ステッピングモータ40のステップ位置を確認する(ST118)。次に、上述したように通過タウンタの値とタイマの単位時間との積から検知区間通過時間(ST119)を得て、これに応じた到達区間通過時間を上記した到達時間選出テーブルから選出する。この検知区間通過時間と到達区間通過時間とを合算して、予定到達時間を算出し、入賞検知タイミングから予定到達時間経過した後の予知到達タイミングを求める(ST120)。そして、この予知到達タイミングに、振分け部材20が特定誘導位置にあるか否かを判定する(ST121)。ここで、振分け部材20が特定誘導位置に無く、かつ上記した予報フラグがONである(ST122)と、上述したタイミング補正処理工程が行われる。
タイミング補正処理工程としては、上述したように、検知区間通過時間、到達区間通過時間、入賞検知タイミングでのステッピングモータ40のステップ位置、通過検知タイミングでのステッピングモータ40のステップ位置から、予知到達タイミングに、振分け部材20を特定誘導位置に位置変換するための、補正ステップ数と補正ステップ時間とを算出して(ST123)、これに従ってステッピングモータ40を補正制御する(ST124)。これにより、当該遊技球は、振分け部材20により特定領域17へ誘導され、図柄表示装置53で表示した予報が正しいこととなる。また、ステッピングモータ40を補正制御した後、予報フラグをOFFとする(ST125)。
そして、遊技球が特定領域17に流入すると特定領域スイッチS4がON作動し、続けて排出スイッチS6がON作動する。この排出スイッチS6により遊技球を検知すると(ST101)、通過フラグをOFFとする(ST102)と共に、上記した補正ステップ数と補正ステップ時間とによる補正制御を終了し、初期設定のステップ時間(1ステップを50ミリ秒)に戻す(ST103)。ここで、上述したように、入賞フラグ又は通過フラグのいずれかがONである場合には、入賞役物11が非入賞位置から変動しないようにしていることから、上記したステッピングモータ40の補正制御は、遊技球一球のみに限られて実行される。
この予報・補正処理にあって、図8中のST106〜ST113にかかる処理段階が、本発明の入賞予測処理工程であり、同じくST116〜ST122にかかる処理段階が、本発明のタイミング判定処理工程であり、同じくST123〜ST126にかかる処理段階が、本発明のタイミング補正処理工程である。
尚、本実施例にあっては、図柄表示装置53で、特定領域17へ流入する予報をしなかった場合には、上述したタイミング補正処理工程は行われない。この場合、変動入賞装置2内に入った遊技球は、入賞検出スイッチS7により検知されて入賞フラグをONし、その後、通過検出スイッチS8により検知されて通過フラグをONすると共に入賞フラグをOFFとする。そして、一般領域18に流入して一般領域スイッチS5と排出スイッチS6とを順にON作動して、通過フラグをOFFとする。
このように本実施例1にあっては、入賞検出スイッチS7による入賞検知タイミングに基づいて、遊技球が特定領域17に流入する予報をした場合に、通過検出スイッチS8による通過検知タイミングに基づいて求めた予知到達タイミングで、振分け部材20が特定誘導位置にないと判断すると、該予知到達タイミングに、振分け部材20を特定誘導位置に位置変換する補正制御を行うようにしたものである。これにより、変動入賞装置2内に遊技球が流入した直後に、当該遊技球が特定領域17に流入する予報をしたときに、何らかの原因により、遊技球の流下に要する通過時間が設定予定時間と異なったとしても、振分け部材20の回転速度を補正制御することにより、予知到達タイミングに振分け部材20を特定誘導位置として、予報と結果とが一致するようにしている。特に、遊技球の流下に要する通過時間が設定予定時間と異なった原因が、当該パチンコ遊技機を比較的長期に亘って使用することにより生じた、球流下路13の歪みや汚れなどであると、予報が正しくない状態が連続することとなるが、本実施例によれば、予報を報知する毎に、前記補正制御が実行されるため、必ず予報通りに遊技球を特定領域17に流入でき得る。したがって、遊技者の予報に対する信頼感を維持することができ、遊技に対する期待感や挑戦意欲を保つことができる。
上述した実施例1では、タイミング判定処理工程により遊技球が特定領域17に流入しないと判定する都度、タイミング補正処理工程により振分け部材20の回転速度を補正制御し、当該遊技球が特定領域17に流入した後には、再び初期設定された回転速度(変換パターン)により振分け部材20を回動するようにした構成である。そのため、球流下路13の歪みや汚れなどの経年的な原因により、遊技球の入賞検知タイミングから振分け部材20までに要する通過時間が設定予定時間と異なってしまった場合には、この後も設定予定時間に基づく予報を発する都度、振分け部材20の回転速度を補正する制御を行わなければならない。
これに対して、本実施例2では、タイミング補正処理工程により振分け部材20の回転速度を補正すると、その補正内容に従って、遊技球が特定領域17へ流入した後の、振分け部材20の回転速度(変換パターン)を調整するようにしている。すなわち、タイミング補正処理工程を行う毎に、その補正内容をフィードバックすることにより新たな回転速度に修正し、次回以降はこの回転速度に従って振分け部材20を回動する。これにより、上述した経年的な原因に対しても、その後、これまで通り設定予定時間に基づいて報知される予報が正しくなる。
本実施例2にあっても、上述した実施例1と同様に、予報を報知するための入賞予測処理工程、予知到達タイミングを求めて判定するタイミング判定処理工程が実行される。そして、次のタイミング補正処理工程にあっても、予知到達タイミングに振分け部材20を特定誘導位置とするための補正ステップ数と補正ステップ時間とを算出し、これに従ってステッピングモータ40を補正制御することは、上述した実施例1と同様に行われる。
さらに、このタイミング補正処理工程では、設定予定時間でステッピングモータ40が回動するステップ数を、上記した補正ステップ数と補正ステップ時間とを算出するために用いた予定到達時間(検出区間通過時間と到達区間通過時間との和)で回動するために要するステップ時間を算出する。これを調整ステップ時間として、補正ステップ数と補正ステップ時間とによる補正制御が終了した直後から、ステッピングモータ40の駆動制御を開始する。これにより、ステッピングモータ40のステップ時間を、初期設定値から調整ステップ時間に修正して、該ステッピングモータ40の回転速度(変換パターン)を調整している。
例えば、上述した実施例1での例示と同様に、変動入賞装置2内に入賞した遊技球が球流下路13を流下する通過時間が設定予定時間(3.30秒)より遅れ、通過検知タイミングに基づいて算出した検出区間通過時間が2.89秒であり、到達区間通過時間を0.57秒と選出したとする。この場合には、入賞検知タイミングから振分け部材20に到達するまでに要する予定到達時間が3.48秒と算出され、設定予定時間の3.30秒よりも遅くなっている。ここで、初期設定としては、設定予定時間(3.30秒)でステッピングモータ40は66ステップ回動する。この66ステップを、予定到達時間3.48秒で回動するように、1ステップに要する調整ステップ時間を算出する。この場合には、調整ステップ時間は53ミリ秒として求められ、設定予定時間に対応するステップ時間(初期設定値)の50ミリ秒より長くなる。
そして、上述した実施例1と同様に、補正ステップ数と補正ステップ時間とを算出して、これに従ってステッピングモータ40を補正した後に、遊技球が特定領域17に流入して排出スイッチS6により検知されると、ステッピングモータ40を上記した調整ステップ時間により駆動制御する。この調整ステップ時間が、新たなステップ時間として設定される。この調整ステップ時間は、次回以降にタイミング補正処理工程が実行されてステッピングモータ40が補正制御されるまで継続して使用される。
すなわち、この調整ステップ時間により駆動制御されるステッピングモータ40にあっては、上述した入賞予測処理工程で、入賞検知タイミングにより上述した予測用ステップ位置(51ステップ位置〜55ステップ位置の範囲又は111ステップ位置〜115ステップ位置の範囲)であると判ずると、遊技球が特定領域17に入賞する予報を報知する。そして、タイミング判定処理工程により、通過検知タイミングに基づいて検出区間通過時間が2.89秒と算出され、到達区間通過時間が0.57秒と選出されると、ステップ時間が53ミリ秒であることから、予定到達時間(3.48秒)から予測される予知到達タイミングに、振分け部材20が特定誘導位置にあると判定される。そのため、タイミング補正処理工程は実行されず、遊技球が特定領域17に流入する。
本実施例2の構成では、遊技球が振分け部材20に到達するまでに要する通過時間が設定予定時間と異なってしまった場合に、次回以降、入賞検知タイミングに基づいて行う入賞予測処理工程の結果に合致するように、ステッピングモータ40の回転速度を調整する。そのため、経年的な変化を原因として設定予定時間と異なる場合に、予報をする都度にタイミング補正処理工程を実行しなくとも良く、その実行回数を抑制できる。また、さらに遊技球の通過時間が異なってしまった場合に、タイミング補正処理工程で行う補正制御によるステッピングモータ40の回転速度の補正幅を比較的小さくできるから、遊技者に悟られることなく、振分け部材20を特定誘導位置に位置変換することが可能となる。そのため、遊技者の予報に対する信頼感を維持する効果に一層優れる。
尚、本実施例2は、タイミング補正処理工程で、ステッピングモータ40の調整ステップ時間を算出し、この調整ステップ時間によりステッピングモータ40の回転速度(変換パターン)を調整するようにした以外は、上述した実施例1と同じ構成と同じ処理工程を行うものであり、同じ構成要素には同じ符号を記し、その説明と同じ処理工程の説明とを省略している。
実施例3にあっては、球流下路13の下案内路部15に、第一通過検出スイッチS8と第二通過検出スイッチS9とを配設した構成である。ここで、第一通過検出スイッチS8は、上述した実施例1の通過検出スイッチS8と同じものであり、同じ位置に配設されている。また、第二通過検出スイッチS9は、第一通過検出スイッチS8より下案内路部15に沿った10mm下流位置に配設されている。
本実施例3のタイミング判定処理工程では、第一通過検出スイッチS8により遊技球を検知した第一通過検知タイミングから遊技球の第一流下速度を算出し、第二通過検出スイッチS9により遊技球を検知した第二通過検知タイミングから遊技球の第二流下速度を算出する。そして、第一流下速度と第二流下速度とから加速度を求め、この加速度と、第二流下速度と、第二通過検出スイッチS9の検出位置から振分け部材20までの到達区間距離とから、遊技球が振分け部材20に到達する予知到達タイミングを求めている。
ここで、第一流下速度の算出について説明する。入賞検知タイミングと第一通過検知タイミングとから、入賞検出スイッチS7の検出位置から第一通過検出スイッチS8の検出位置までに遊技球が流下するために要した第一検出区間通過時間を算出する。また、入賞検出スイッチS7の検出位置から第一通過検出スイッチS8の検出位置に至る距離は一定であることから、第一検出区間通過時間を変数として第一流下速度を求める関係式を予め設定している。この関係式に、前記した第一検出区間通過時間を代入して第一流下速度を算出する。尚、この関係式は、実際に第一検出区間通過時間を変化させて、それに応じた第一流下速度を測定することにより、定めている。
また、第二流下速度の算出については、第一通過検知タイミングと第二通過検知タイミングとから、第一通過検出スイッチS8の検出位置から第二通過検出スイッチS9の検出位置までに遊技球が流下するために要した第二検出区間通過時間を算出し、該第二検出区間通過時間と、第一通過検出スイッチS8と第二通過検出スイッチS9との各検出位置間の距離(10mm)とから算出する。
上記した第一流下速度と第二流下速度とに基づいて、下案内路部15を流下する遊技球の加速度を算出する。そして、第二流下速度とこの加速度と到達区間距離とから、当該遊技球が第二通過検知タイミングから振分け部材20に到達するまでに要する到達区間通過時間を算出する。この到達区間通過時間により予知到達タイミングを求める。ここで、本実施例3にあって、予知到達タイミングは、第二通過検出スイッチS9の検出位置を起点として求めている。尚、下案内路部15は、上述したように緩やかに傾斜する形態としていることから、ほぼ等加速度となる。
また、第二通過検出スイッチS9が遊技球を検出した第二通過検知タイミングで、ステッピングモータ40のステップ位置を確認する。そして、この第二通過検知タイミングでのステップ位置と、到達区間通過時間と、ステッピングモータ40のステップ時間(50ミリ秒)とから、予知到達タイミングでのステップ位置を求める。このステップ位置が、上述した特定誘導ステップ位置(51ステップ位置〜55ステップ位置、又は111ステップ位置〜115ステップ位置)にあるか否かを判定することにより、予知到達タイミングに、振分け部材20が特定誘導位置にあるか否かの判定を行う。
次のタイミング補正処理工程にあっては、上述した実施例1と同様に、入賞検知タイミングに基づいて遊技球が特定領域17に流入する予報を発し、かつタイミング判定処理工程で予知到達タイミングで振分け部材20が特定誘導位置にないと判定した場合に実行される。
第二通過検知タイミングでのステッピングモータ40のステップ位置から、補正の基準とした59ステップ位置又は119ステップ位置までの補正到達ステップ数を求める。尚、上述したように、ステッピングモータ40は50ミリ秒間隔で間歇回動するものであるから、第二通過検知タイミングがこのステップ時間と一致するとは限らない。そのため、ステップ時間50ミリ秒と一致する補正開始時点を決めて、この補正開始時点でのステップ位置から、前記した補正到達ステップ数を算定し、該補正開始時点から予知到達タイミングまでの補正到達時間を算出する。そして、補正ステップ数を補正到達時間で等分して、1ステップさせる補正ステップ時間を算出し、補正開始時点から補正ステップ時間によりステッピングモータ40を駆動制御する。これにより、タイミング判定処理工程で求めた予知到達タイミングに、振分け部材20が特定誘導位置となる。
このように本実施例3にあっても、上述した実施例1と同様に、変動入賞装置2内に遊技球が入賞し、当該遊技球が特定領域17に流入する予報を発した場合に、タイミング判定処理工程で当該遊技球が特定領域17に流入しないことを判定すると、タイミング補正処理工程により、遊技球を特定領域17に流入するように振分け部材20を位置変換作動する補正制御を行うものである。したがって、上述した実施例1と同様の作用効果を発揮し得る。
尚、本実施例3は、球流下路13の下案内路部15に第一通過検出スイッチS8および第二通過検出スイッチS9を配設している。そして、下案内路部15を流下する遊技球の流下速度および加速度を算出して予知到達タイミングを求めている。このようにタイミング判定処理工程およびタイミング補正処理工程の処理方法が異なる以外は、上述した実施例1と同じであり、同じ構成要素および処理方法については、その説明を省略した。
上述した実施例1〜3にあっては、タイミング補正処理工程で補正到達ステップ数を求めるための基準とするステッピングモータ40のステップ位置を59ステップ位置又は119ステップ位置に設定しているが、この基準は様々に変更することができる。例えば、タイミング判定処理工程により、予知到達タイミングが設定予定時間に比して遅れている場合には、57ステップ位置又は117ステップ位置を基準とし、早い場合には、61ステップ位置又は1ステップ位置を基準とするように、使い分けることも可能である。
また、上述した実施例3にあって、上述した実施例2と同様に、タイミング補正処理工程により、その補正制御に従ってステッピングモータ40の回転速度(変換パターン)を調整するフィードバック的な処理を行うようにすることもできる。
また、上述した実施例1〜3にあっては、予知到達タイミングに合わせて振分け部材を特定誘導位置に位置変換作動するタイミング補正処理工程を、予報をし、かつ予知到達タイミングで振分け部材が特定誘導位置にない場合には毎回実行するようにした構成であるが、その他の構成として、例えば、2回に1回実行する等のように所定回数の間隔を置いて間欠的に実行する構成としたり、又は、タイミング補正処理工程を実行するか否かについて、「0」と「1」とからなる所定の乱数値から「1」を抽出した場合にのみ実行するようにした構成とすることも可能である。さらに、タイミング判定処理工程の判定結果について、予知到達タイミングに振分け部材が特定誘導位置にないと判定された割合が、所定の閾値となった場合に、タイミング補正処理工程を実行するようにした構成とすることも可能である。
本発明は、これまでに述べた実施形態の他に、本発明の範囲内で適宜変更することは勿論可能である。例えば、振分け部材を上下方向又は左右方向に繰り返し反復移動するものとし、その反復移動する駆動装置を駆動制御する構成とすることもでき得る。
遊技盤1の正面図である。
振分け部材20が特定誘導位置にある状態を示す、変動入賞装置2の斜視図である。
振分け部材20が一般誘導位置にある状態を示す、変動入賞装置2の斜視図である。
ステッピングモータ40が、(A)57ステップ位置又は117ステップ位置の位置にある状態と、(B)60ステップ位置又は120ステップ位置の位置にある状態と、(C)61ステップ位置又は1ステップ位置の位置にある状態とにおける、それぞれの振分け部材20を表す説明図である。
制御回路を示すブロック回路図である。
ステッピングモータ40のステップ位置と、入賞検知タイミング又は振分け部材20の特定誘導位置との関係を表す説明図である。
実施例1のタイミング判定処理工程で、入賞検知タイミングと通過検知タイミングとに基づいて、遊技球が振分け部材20に到達するまでに要する時間(到達区間通過時間)を選出するためのテーブルを表す説明図である。
実施例1の、入賞予測処理工程、タイミング判定処理工程、タイミング補正処理工程を行う予定・予測補正処理を表すフロー図である。
実施例3における、第一通過検出スイッチS8および第二通過検出スイッチS9を配置した変動入賞装置2を表す斜視図である。
符号の説明
1 遊技盤
2 変動入賞装置
11 入賞役物(入賞口)
13 球流下路
15 下案内路部
17 特定領域
18 一般領域
20 振分け部材
22 球誘導路
40 ステッピングモータ(駆動装置)
53 図柄表示装置(予報手段)
S7 入賞検出スイッチ
S8 通過検出スイッチ(第一通過検出スイッチ)
S9 第二通過検出スイッチ(通過検出スイッチ)