JP2008092873A - 切身様食品の製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】安定した量と価格が期待できるとともにコストダウンにも寄与し、動物性蛋白質の摂取を控えている高齢者や菜食主義等の消費者にも供給が可能となり、今後の資源減少と価格上昇に伴い流通量の減少が予測される魚に代わる栄養価が高く且つ消費者が納得する食感・食味を有する切身様食品を提供する。
【解決手段】 粉末大豆蛋白・粉末小麦蛋白・米粉・食酢・植物油・水飴・海洋深層水・昆布エキスと水を混練した練状物を冷蔵して熟成させ、同練状物を蒸加熱した後に冷却して凝固させ、同凝固物を細断して第１素材２を作製し、粉末大豆蛋白・粉末小麦蛋白・片栗粉・蒟蒻粉・海洋深層水と水を混練した第２素材３を作製し、同第２素材３に前記第１素材２を混練した状態にして冷蔵して熟成させ、第２素材に第１素材を混練した練状物を蒸加熱した後に冷却して凝固させ、同凝固物を切身状に裁断して切身様食品１を製造する。
【選択図】 図１

Description

本発明は、植物性蛋白質を豊富に含む切身様食品の製造方法に関する。

従来、一般的に行われている切身の製造方法は、魚を卸して骨を取り除き、適度な大きさの柵状に裁断して味付け調理するものである（例えば特許文献１参照）。この切身の製造に用いる魚は、輸入等海外に依存する割合が非常に高いばかりでなく資源保護のための漁獲規制や中国等諸外国との競合、地球規模の異常気象による資源の枯渇や激減等により、その絶対量は限られている。
実用新案登録第３０９５５９０号公報

本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、安定した量と価格が期待できるとともにコストダウンにも寄与し、動物性蛋白質の摂取を控えている高齢者や菜食主義等の消費者にも供給が可能となり、今後の資源減少と価格上昇に伴い流通量の減少が予測される魚に代わる栄養価が高く且つ消費者が納得する食感・食味を有する切身様食品の製造方法を提供することにある。

かかる課題を解決した本発明の構成は、
１） 粉末大豆蛋白・粉末小麦蛋白・植物澱粉と水を混練した練状物を冷蔵して熟成させ、同練状物を蒸加熱した後に冷却して凝固させ、同凝固物を細断して第１素材を作製し、粉末大豆蛋白・粉末小麦蛋白・植物澱粉と水を混練した第２素材を作製し、同第２素材に前記第１素材を混練した状態にして冷蔵して熟成させ、第２素材に第１素材を混練した練状物を蒸加熱した後に冷却して凝固させ、同凝固物を切身状に裁断して製造することを特徴とする、切身様食品の製造方法
２） 第１素材の原料となる植物澱粉が米粉であって、さらに第１素材に食酢・植物油・水飴・海洋深層水・昆布エキスを混入したものであり、第２素材の原料となる植物澱粉が片栗粉であって、さらに第２素材に蒟蒻粉・海洋深層水を混入したたものである、前記１）記載の切身様食品の製造方法
３） 第１素材に魚エキスを混入し、第２素材に魚醤と魚エキスを混入した、前記２）記載の切身様食品の製造方法
にある。

本発明によれば、蒸加熱して凝固させる工程を第２素材が１回に対して第１素材は２回行うから、得られたものは硬さの異なる素材が混在する状態となり、食感が天然の魚食品に類似する。硬めの部分は魚の筋肉に相当し、軟らかめの部分は魚のゼラチン質と脂質に相当する。また、食酢・植物油・水飴・昆布エキスを混入することで食味が増長されて全体として魚の切身の食感・食味を呈する。原料は全て植物性で骨皮を含まず蛋白質が豊富で栄養価も高く、魚の摂取に抵抗がある高齢者や菜食主義の消費者の嗜好にも合う。また、絶対量が限られる魚と比較して原料は比較的低コストで安定的に入手でき、魚の代替食品に成り得る。

本発明の植物澱粉は第１素材用として米粉を用い、第２素材用として片栗粉を用い、米粉は片栗粉より硬めの食感を得ることができる。第１素材に食酢・植物油・水飴・海洋深層水・昆布エキスを混入すると食感と食味が高まり、これらは炭水化物・アミノ酸・脂質・ミネラルに富み、身体の健康増進に寄与する。第２素材に蒟蒻粉・海洋深層水を混入すると、蒟蒻粉の持つ適度な粘性は食味を増し、海洋深層水の塩分は食材中の塩分濃度を魚肉のそれと相等に調整し、且つ豊富な繊維質とミネラルは健康にも寄与する。また、魚エキスや魚醤を混入すると、魚の旨み成分と昆布の旨み成分との相乗効果により、食材の持つ風味を魚の持つそれにさらに近づけることとなり、且つ大豆蛋白等の持つ特有の臭いを抑える効果がある。魚エキスとしては、かつおエキス・鮪エキス等が用いられる。以下、本発明の各実施例を図面に基づいて具体的に説明する。

図１は実施例１の切身様食品の外観図、図２は実施例１の製造工程を示すフローである。図中、１は切身様食品、２は第１素材、３は第２素材である。各原料の配合割合を以下の表１に示す。

製造工程を図２に基づいて説明する。
１）表１に示す第１素材２の原料を容器に入れて混練し、得た練状物を熨斗餅状に熨す。
２）練状物を冷蔵庫（１〜５℃）に一昼夜入れて熟成させる。
３）熟成した練状物を蒸気で蒸加熱（３０分、１００℃）した後、常温に冷却して凝固させる。
４）凝固物を縦３０ｃｍ、幅３０ｃｍ、厚さ３ｃｍに成形し、これを５ｍｍ角、長さ３０〜５０ｍｍに細断する。このようにして第１素材２を作製する。
５）表１に示す第２素材３の原料を容器に入れて混練し、得た練状物に上記で作製した第１素材２を混入して攪拌する。混入比は第１素材２：第２素材３＝１：１である。第２素材３の作製は第１素材２の作製と並行して行ってもよい。
６）練状物を冷蔵庫（１〜５℃）に一昼夜入れて熟成させる。
７）熟成した練状物を蒸気で蒸加熱（３０分、１００℃）した後、常温に冷却して凝固させる。
８）凝固物を切身状に裁断し、味噌や醤油タレ等に漬け込んで味付けをし、図１に示すような求める切身様食品１を得る。
９）切身様食品１は冷蔵庫（１〜５℃）に一昼夜入れて熟成し、袋詰めして脱気パックし、冷凍した状態で出荷される。

実施例２は切身様食品の他の例である。各原料の配合割合を以下の表２に示す。実施例２の製造方法は実施例１と同じで、原料が異なるのみである。このようにして得た切身様食品は魚エキスや魚醤が混入されているから、実施例１の切身様食品１と比較して魚類切身に風味等が類似し、より魚切身に代わり得る食材となる。

以上説明した各実施例における原料の配合割合・熟成に要する時間や温度・蒸加熱の時間や温度等は一例であり、本発明の目的を達成できる範囲であれば適宜変更可能である。

本発明の切身様食品の製造方法は、天然の魚の代替食品として有用である。また、魚の摂取に抵抗がある高齢者や菜食主義の消費者にも提供できる。

実施例１の切身様食品の外観図である。 実施例１の製造工程を示すフローである。

符号の説明

１ 切身様食品
２ 第１素材
３ 第２素材

Claims (3)

1. 粉末大豆蛋白・粉末小麦蛋白・植物澱粉と水を混練した練状物を冷蔵して熟成させ、同練状物を蒸加熱した後に冷却して凝固させ、同凝固物を細断して第１素材を作製し、粉末大豆蛋白・粉末小麦蛋白・植物澱粉と水を混練した第２素材を作製し、同第２素材に前記第１素材を混練した状態にして冷蔵して熟成させ、第２素材に第１素材を混練した練状物を蒸加熱した後に冷却して凝固させ、同凝固物を切身状に裁断して製造することを特徴とする、切身様食品の製造方法。
2. 第１素材の原料となる植物澱粉が米粉であって、さらに第１素材に食酢・植物油・水飴・海洋深層水・昆布エキスを混入したものであり、第２素材の原料となる植物澱粉が片栗粉であって、さらに第２素材に蒟蒻粉・海洋深層水を混入したものである、請求項１記載の切身様食品の製造方法。
3. 第１素材に魚エキスを混入し、第２素材に魚醤と魚エキスを混入した、請求項２記載の切身様食品の製造方法。

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