JP2008090028A - 静電荷像現像用トナー及びそれを使用した画像形成装置 - Google Patents

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正喜 塩原
Takashi Shintaku
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Abstract

【課題】連続使用時における画像濃度の安定性が良く、カブリの発生やトナー飛散による機内汚れ発生等が少なく、温度、湿度等の環境条件によらず、適度な帯電性と安定な画像濃度が得られ、トナー粒子中にトナー微粒子がある程度存在していても、カブリやトナー飛散等が発生しにくく、クリーナレスシステム搭載の画像形成装置に用いた場合であっても、感光体上のカブリが少なく、画像濃度低下やゴーストが発生しにくい静電荷像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】少なくとも、下記の成分(1)、(2)、(3)及び(4)を含有するトナー粒子を有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
(1)バインダー樹脂
(2)着色剤
(3)リチウムイオン含有化合物
(4)リチウムイオンと相互作用をするエーテル酸素を含有する化合物
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真法、静電記録等において使用される静電荷像現像用トナーに関するものである。
電子写真法において一般に広く用いられてきた静電荷像現像用トナーに用いるトナー粒子は、スチレン/(メタ)アクリレート系共重合体やポリエステル等のバインダー樹脂、カーボンブラックや顔料のような着色剤に、必要に応じて帯電制御剤、磁性体等を乾式混合した後、押出機等で溶融混練し、次いで粉砕・分級する方法、いわゆる溶融混練粉砕法によって製造されてきた。その後、得られたトナー粒子は必要に応じて外添剤等が添加される外添工程等の後工程を経て静電荷像現像用トナー(以下単に、「トナー」と略記する場合がある)に供される。
電子複写機等で使用される現像剤は、現像工程において例えば静電荷像が形成されている感光体等の像担持体に一旦付着され、次に転写工程において、感光体から転写材上に転写された後、定着工程において転写材上に定着される。また、クリーニング工程において転写材上に転写されずに感光体上に残った転写残トナーは感光体より除去される。このクリーニング工程においては、例えば、ブレード、ファーブラシ、ローラー等により、力学的に転写残トナーを掻き落すものが知られている。
潜像保持面上に形成される静電荷像を現像するための現像剤として、キャリアとトナーから成る二成分現像剤及びキャリアを必要としない一成分現像剤(磁性トナー、非磁性トナー)が知られている。
上記現像剤を構成するトナーには、帯電量を調整する物質として、トナー粒子中に、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、含金染料等の帯電制御剤が含有されている。その他の帯電量を調整する方法として、キャリアに所定の帯電性を付与するためにコーティングする方法、過剰帯電を防ぐために低抵抗の帯電防止剤を含有させる方法等が知られている(特許文献1参照)。
特表平8−500196号公報
しかしながら、帯電性に関する要求は、ますます高くなってきており、かかる公知技術では不十分であり、更なる改善の余地がある。すなわち、上記の方法を採用したトナーであっても、電子複写機等を連続して使用したときの画像濃度の安定性、カブリの発生(画像汚れ)や複写機内部のトナー飛散による機内汚れ発生等の点は問題である。また、カブリの発生やトナー飛散の発生等によりトナーが過剰に消費されるため、一定量トナーでの複写可能な部数が減少してしまう問題もある。
特に、トナーの適度な帯電性を環境(温度、湿度等)変化に対して安定的に維持するのは難しく、使用環境条件の変動によって画像濃度の安定性が損なわれたり、カブリ等の画像汚れが発生したり、或いはトナー飛散により機内汚れが発生する等の点が問題である。
更に、近年プリンターや複写機等には、高画質化が求められており、高画質化を達成するためには、小粒径のトナー粒子を有するトナーが必要であり、トナー粒子の体積平均径(Dv50)は10μm以下、特に7μm以下のものが求められる。トナー粒子の小粒径化は、高画質化には有効であるが、その反面、トナー粒子の小粒径化に伴い、カブリやトナー飛散が発生しやすくなる。
また、小粒径トナー粒子を製造するときには、粉砕工程において所望の粒径よりも小さい粒径のトナー微粒子の副生量が増大する。多量の微粒子トナーを含んだ現像剤を用いた場合には、カブリやトナー飛散が顕著となる。そのため、粉砕工程の後の分級工程においてトナー微粒子量の低減が図られるが、小粒径トナー粒子の場合には、多量のトナー微粒子が存在するため分級工程での負荷が大きくなる上、工程歩留まりも低下するという問題がある。
また更には、近年プリンターや複写機等の小型化が求められ、それを達成するための手段としてクリーナレスシステムが知られているが、このクリーナレスシステムは次の問題を有している。
まず、ブレード、ファーブラシ、ローラー等のクリーナ部材を用いないために感光体上の非画像部に転写残トナーが存在し易く、その結果、帯電工程において帯電を阻害して感光体表面の電位を不十分にし、非画像部であるにもかかわらずトナー担持体から感光体へトナーが飛翔し、非画像部の転写残トナー量の増加を加速して転写画像の白地部にカブリとなって現れてしまうのである。
また、電荷をキャンセルするための露光工程において、転写残トナーが露光を遮るため、感光体表面の電位減衰が不十分となってしまう。このような部位においては、現像電位が小さな値となるためトナー現像量が少なくなり転写画像の画像濃度の低下やゴーストとなる。
従来のクリーナレスシステムに採用される現像剤は、帯電量が不足しているために、上記問題をより顕在化させやすく、十分に解決されたものではなかった。即ち、クリーナレスシステムによる画像形成において、従来の現像剤ではゴーストの発生、画像濃度低下、カブリ悪化を確実に防止することが困難であり、感光体上の転写残トナーの少ないトナー、或いは、感光体上に転写残トナーがあっても部材及び帯電部材が汚染されにくいトナーが必要とされる。
本発明の目的は、連続使用時における画像濃度の安定性が良く、カブリの発生やプリンターや複写機内部のトナー飛散による機内汚れ発生等が少ない静電荷像現像用トナーを提供することにある。また、温度、湿度等の環境条件によらず、適度な帯電性、安定な画像濃度が得られ、カブリやトナー飛散の少ない静電荷像現像用トナーを提供することにある。更には、トナー粒子中にトナー微粒子がある程度存在していても、カブリやトナー飛散等が発生しにくい静電荷像現像用トナーを提供することにある。
また、クリーナレスシステム搭載の、プリンター、複写機等の画像形成装置に用いた場合であっても、感光体上のカブリが少なく、画像濃度低下やゴーストが発生しにくい静電荷像現像用トナーを提供することにある。
本発明者らは、このような問題の解決を目指して鋭意検討した結果、トナー粒子中に特定の成分を含有させることにより、トナー粒子の延いてはトナーの帯電量分布を制御でき、カブリやトナー飛散が少ない等、上記課題を解決できる静電荷像現像用トナーが得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、少なくとも、下記の成分(1)、(2)、(3)及び(4)を含有するトナー粒子を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーを提供するものである。
(1)バインダー樹脂
(2)着色剤
(3)リチウムイオン含有化合物
(4)リチウムイオンと相互作用をするエーテル酸素を含有する化合物
また、本発明は、E−SPARTによる測定で得られる帯電量分布のピークに対応する帯電量の絶対値(ピーク帯電量絶対値)が、上記成分(3)及び上記成分(4)を含有しないこと以外は同一構成のトナー粒子のピーク帯電量絶対値よりも、0.1femtC/10μm以上大きいトナー粒子を有することを特徴とする上記静電荷像現像用トナーを提供するものである。
また、本発明は、上記の静電荷像現像用トナーを使用し、クリーナレスシステムを搭載していることを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
本発明によれば、トナー粒子延いてはトナーの帯電量分布を制御でき、適度で安定した帯電性を示す等、帯電性能が良好で、連続使用した場合にも安定した画像濃度が得られ、カブリ等の画像汚れもなく、また、プリンターや複写機内のトナー飛散による汚染も少ないトナーを提供することができる。また、トナー粒子中にトナー微粒子を多く含んでいても、カブリやトナー飛散が少なく、環境変化に対しても安定した帯電特性や画像特性を安定して維持することができる静電荷像現像用トナーを提供することができる。また、クリーナレスシステム搭載の画像形成装置に用いた場合であっても、感光体上のカブリが少なく、画像濃度低下やゴーストが発生しにくい静電荷像現像用トナーを提供することができる。
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、任意に変形して実施することができる。
本発明に使用し得る成分(1)バインダー樹脂としては、トナーに適した公知の種類のものが使用できる。具体的には、例えば、ポリスチレン、ポリクロロスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(例えば、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロロアクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(すなわち、スチレン又はスチレン置換体を含む単独重合体若しくは共重合体);塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
このうち、本発明に用いるのに特に好ましい成分(1)バインダー樹脂としては、スチレン系樹脂、飽和若しくは不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。また、上記バインダー樹脂は単独で使用してもよいし、2種以上併用することもできる。
更にまた、特公昭51−023354号公報又は特開昭50−044836号公報に記載されている架橋系バインダー樹脂、或いは、特公昭55−006895号公報又は特公昭63−032180号公報に記載されている非架橋系バインダー樹脂も使用できる。
成分(1)バインダー樹脂のガラス転移温度は、熱分析法(示差熱分析装置、示差走査熱量分析装置等)で測定したときの転移開始温度(変曲点)で定義されるが、50℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度が50℃未満の場合には、40℃以上の高温で長時間トナーを放置したとき、トナーの凝集又は固着を招き使用上問題が生じる場合がある。
本発明に使用する成分(1)バインダー樹脂としては、その体積固有抵抗が1013Ωcm未満であるものが好ましく、1012Ωcm未満であるものが特に好ましい。バインダー樹脂の体積固有抵抗が上記範囲以上だとトナーが過剰帯電する場合がある。そして、トナーが過剰帯電すると、2成分現像方式の場合は、現像され難くなり画像濃度が低下する場合があり、1成分現像方式の場合は、画像濃度は高くなるが過剰現像によりカブリ等が発生する。
一方で、本発明に使用する成分(1)バインダー樹脂の体積固有抵抗は、10Ωcm以上であるものが好ましく、10Ωcm以上であるものが特に好ましい。バインダー樹脂の体積固有抵抗が上記範囲未満だとトナーの帯電量が不足する場合がある。そして、トナーの帯電量が不足すると、電子写真感光体(以下、「OPC」と略記する場合がある)上にトナーが付着せず、例えば、カートリッジ周りでのトナー飛散が発生する場合がある。
好ましいトナーの帯電量は、そのトナーを現像する現像機との組み合わせにより決定される。従って、本発明のトナーに使用される成分(1)バインダー樹脂としては、帯電量が適宜調整できる範囲のものであることが肝要であり、そのために上記範囲の体積固有抵抗を有する成分(1)バインダー樹脂を使用することが好ましい。
本発明で使用する成分(2)着色剤としては、任意の公知の顔料又は染料が使用できる。具体的には、例えば、カーボンブラック、紺青、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン系染料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、アントラキノン染料、モノアゾ及びジスアゾ系染顔料等を単独又は混合して併用できる。すなわち、本発明のトナーは黒色トナーでもカラートナーでもよい。
カーボンブラックには、その他、従来から用いられる「他の着色剤」を併用しても、特に制限されるものではない。かかる「他の着色剤」としては、任意の公知の顔料又は染料が使用できる。例えば、酸化チタン、亜鉛華、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、紺青、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン系染料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、アントラキノン染料、モノアゾ及びジスアゾ系染顔料等が挙げられる。「他の着色剤」は、単独又は混合して併用できる。
成分(2)着色剤の含有量は、現像により可視像を形成することができるようトナーを着色するに十分な量あればよく、特に限定はないが、成分(1)バインダー樹脂100重量部に対して、1〜20重量部とすることが好ましい。特に好ましくは3〜15重量部である。
本発明で用いる成分(3)リチウムイオン含有化合物としてはリチウムの塩であれば特に限定はないが、フッ素含有酸のリチウム塩が、本発明の上記効果を特に奏するために好ましい。フッ素含有酸のリチウム塩としては、トリフルオロ酢酸リチウム等のフッ素含有カルボン酸リチウム;モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム等のフルオロリン酸リチウム;下記一般式(1)で表されるフルオロアルキルスルホン酸リチウム等が挙げられる。このうち、下記一般式(1)で表されるフルオロアルキルスルホン酸リチウムが、本発明の上記効果をより奏する点で好ましい。
2n−m+1SOLi (1)
[式(1)中、nは1以上の整数を示し、mは1以上、2n+1以下の整数を示す。]
一般式(1)中、nは1以上の整数を示すが、好ましくは1〜3の整数、特に好ましくは、1又は2である。また、mは1以上、2n+1以下の整数を示すが、好ましくは3以上、2n+1以下の整数である。
上記一般式(1)で表されるフルオロアルキルスルホン酸リチウムのうちでも、下記一般式(2)で表されるペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムが、本発明の上記効果を特に奏するために好ましい。
2n+1SOLi (2)
[式(2)中、nは1以上の整数を示す。]
一般式(2)中、nは1以上の整数を示すが、好ましくは1〜3の整数、特に好ましくは1又は2であり、工業的に入手し易さの点では、nが1であることが更に好ましい。すなわち、一般式(2)で表されるペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムのうちでも、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムが特に好ましい。
成分(3)リチウム含有化合物の含有量については、リチウムイオン換算で、トナー粒子全体に対して、質量で5ppm〜220ppmとなるような含有量であることが、ピーク帯電量絶対値が高くなり、帯電量分布がシャープになり、その結果、本発明の前記効果をより奏するトナーを得る点で好ましい。特に好ましくは10ppm〜70ppmであり、更に好ましくは20ppm〜45ppmである。
本発明のトナーにおけるトナー粒子中の成分(3)リチウムイオン含有化合物は、トナー粒子全体に対して、0.01質量%〜0.5質量%が、上記と同様の理由で好ましく、0.015質量%〜0.09質量%が特に好ましく、0.02質量%〜0.06質量%が更に好ましい。
本発明のトナーにおけるトナー粒子中には、成分(4)が含有される。成分(4)は、リチウムイオンと相互作用をするエーテル酸素を含有する化合物であれば特に限定はないが、ポリアルキレンオキサイド鎖を主鎖又は側鎖に有する重合体が本発明の効果を得るために好ましい。ポリアルキレンオキサイド鎖としては、ポリエチレンオキサイド鎖が特に好ましい。
ポリアルキレンオキサイド鎖を主鎖に有する重合体としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフェニレンオキサイド等のポリエーテル類が挙げられる。ポリアルキレンオキサイド鎖を側鎖に有する重合体としては、重合性二重結合を有するビニル系単量体とカルボキシル基(カルボン酸無水物基も含む)含有単量体との共重合体に対して、末端が水酸基のポリアルキレンオキサイドを、該カルボキシル基にエステル結合で導入した重合体等が好ましいものとして挙げられる。かかる重合体としては、ポリオレフィンに無水マレイン酸を付加したオレフィン−無水マレイン酸共重合体に、末端が水酸基のポリエチレンオキサイドをエステル結合で無水マレイン酸部分に導入したもの(以下、「ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマー」と略記する)等が特に好ましいものとして挙げられる。
成分(4)の有するエーテル酸素が、リチウムイオンとする相互作用とは、図4及び図5に示したように、成分(4)が含有されなければ、成分(3)の含有量と共にトナー粒子の帯電量の絶対値が低下していったものが(図中、A0→C1→C2→C3→C4)、成分(4)が含有されることによって、成分(3)の含有量と共に一旦トナー粒子の帯電量の絶対値が上昇するような相互作用をいう(図中、A0→A1→A2)。
成分(4)のトナー粒子中の含有量は特に限定はないが、成分(3)100質量部に対し、成分(4)20質量部〜2000質量部が好ましく、100質量部〜1000質量部が特に好ましい。
成分(3)と成分(4)は、それぞれ成分(1)等と混練してもよいが、成分(3)を予め成分(4)と混合したものを調製し、それを成分(1)等と混練することが、本発明の効果をより奏するため、又は、成分(3)が均一に分散されるために好ましい。すなわち、少なくとも、上記成分(3)と上記成分(4)を予めマスターバッチ化処理したもの、及び、成分(1)バインダー樹脂を混練する工程を経て得られたトナー粒子を有する静電荷像現像用トナーが好ましい。成分(3)と成分(4)が予め混合されている市販品である、サンコノールTBX−35(三光化学工業社製)等も好適に使用できる。
本発明の効果を特に顕著に発現する成分(3)リチウム含有化合物と成分(4)のトナー粒子中の含有量は、トナー粒子の帯電量分布によって決めることができる。すなわち、成分(3)リチウム含有化合物を含有するトナー粒子の帯電量分布のピークに対応する帯電量の絶対値(本発明において、「ピーク帯電量絶対値」と略記する場合がある)が、成分(3)と成分(4)を含有しないこと以外は該トナー粒子と同じ構成のトナー粒子のピーク帯電量絶対値よりも大きくなるように、成分(3)と成分(4)を含有させたときに本発明の効果が特に顕著に発現される。
すなわち、具体的には、後記するE−SPARTによる測定で得られるピーク帯電量絶対値が、上記成分(3)及び成分(4)を含有しないこと以外は同一構成のトナー粒子のピーク帯電量絶対値よりも大きくなるように、成分(3)と成分(4)を含有させたときに、本発明の効果が特に顕著に発現される。
好ましくは、E−SPARTによる測定で、0.1femtC/10μm以上大きくなるように、成分(3)と成分(4)を含有させることであり、特に好ましくは0.5femtC/10μm以上、更に好ましくは1femtC/10μm以上大きくなるように、成分(3)と成分(4)を含有させることである。
上記値が0.1femtC/10μm以上大きくなるようなトナー粒子を得るための、成分(3)のトナー粒子中の含有量は0質量%よりも多く、0.5質量%以下の範囲にある。従って、本発明においては、トナー粒子中に0質量%よりも多く、0.5質量%以下の成分(3)を含有させることが好ましく、特に0.01質量%〜0.4質量%含有させることによって、より上記効果が充分に発揮される。
成分(3)と(4)を含有させて、成分(3)と(4)の何れも含有させないときの帯電量絶対値よりも大きい帯電量絶対値を与えるようにしたトナー粒子が、前記本発明の効果をより奏するために好ましい。このための、成分(3)のトナー粒子中の含有量は、リチウムイオン換算で、トナー粒子全体に対して質量で45ppm以下が好ましく、より好ましくは10ppm〜30ppmである。また、成分(3)自体の含有量は、トナー粒子全体に対して、0.09質量%以下が好ましく、より好ましくは0.02質量%〜0.06質量%である。
上記した範囲であるときに、連続使用でも安定した画像濃度が得られ、カブリがなく、トナー飛散の少ないトナーを提供することができる。また、トナー粒子中にトナー微粒子を多く含んでいても、カブリやトナー飛散が少なく、環境変化に対しても安定した帯電特性や画像特性を有するトナーを提供することができる。また、クリーナレスシステム搭載の画像形成装置に用いた場合であっても、感光体上のカブリが少なく、画像濃度低下やゴーストが発生しにくいトナーを提供することができる。
トナー粒子の帯電量分布は、E−SPART ANALYZER MODEL EST−II(ホソカワミクロン(株)製)(本発明においては、単に、「E−SPART」と略記する場合がある)によって測定する。縦軸を個数(Number Fraction)とし、横軸を直径10μmの粒子に換算したときの帯電量(q/d:femtC/10μm)として表示した測定結果から、「個数のピーク」に対応する帯電量の絶対値を「ピーク帯電量絶対値」とする。ここで、「絶対値」とは数学的な意味であり、帯電量が正の値の場合にはその帯電量の値を、帯電量が負の値の場合には負号を除いた帯電量の値をいう。
ここで、トナー粒子の帯電量分布の測定法について説明する。トナー粒子の帯電量分布の測定方法は、チャージスペクトル法を利用した方法や、レーザードップラー速度計を使用した方法等が知られているが、本発明においては、レーザードップラー速度計を使用したトナー粒子帯電量分布測定装置E−SPARTを用いてトナー粒子の帯電量分布を測定する。
測定は次の手順で行う。まず、トナー粒子とノンコートフェライトキャリア(パウダーテック社製F150)を、トナー粒子濃度4質量%で20mLのガラス容器に投入し、レシプロシェーカー(TAITEC製NR−1型)で、1分間攪拌混合して測定試料を得る。その後、磁石で構成されている現像剤保持台に測定試料を保持させる。次いで、現像剤保持台に保持した測定試料にエアーガンより窒素ガスをブローして、トナー粒子をキャリアから分離し、トナー粒子を測定部に吸引導入する。測定部に吸引導入されたトナー粒子は順次帯電量を計測され、トナー粒子の帯電量分布が得られる。測定の条件は以下の通りである。
窒素ガスブロー圧力 :2.0kg/cm
窒素ガスブローのインターバル:1sec
このようにして得られる帯電量分布や帯電量分布から求められる帯電量絶対値は、帯電量分布測定に用いるキャリアの種類や測定条件により決まるものであり、キャリアの種類や測定条件を一定にすれば、トナー粒子の特性を的確に一義的に表すものである。ただし、トナー粒子を電子複写機等で実際に使用するときには、トナー粒子ではなく、そこに外添処理がされたトナーが用いられる場合があり、また、上記帯電量分布測定条件とは異なる帯電条件(キャリア種類や、帯電部材の種類、攪拌強度、その他の条件)下で用いられるため、本測定で求められる帯電量分布や帯電量の値は、実際にトナーとして使用するときの帯電量分布や帯電条件におけるトナー帯電量とは、必ずしも一致しない性格の値である。すなわち、本測定方法はトナー粒子の特性の限定に用いられる物性値を得るために使用されるものである。
成分(3)リチウム含有化合物の例として、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムと成分(4)の例として前述の「ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマー」を用いて、その含有量が異なるトナー粒子について測定した帯電量分布の結果を図1と図2に示す。図中、A0〜A5、B0〜B5のトナー粒子は、後述の実施例中の製造例に従って製造したものである。図1はマイナス帯電性トナー粒子についての例であり、図2はプラス帯電性トナー粒子についての例である。なお、本発明は、ここで、成分(3)の例に用いたトリフルオロメタンスルホン酸リチウムや、成分(4)の例に用いた「ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマー」に限定されるものではない。
プラス帯電性トナー粒子とマイナス帯電性トナー粒子の何れの場合も、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムと「ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマー」の含有によりピーク帯電量絶対値が大きくなり、更に含有量を増すとピーク帯電量絶対値は低下する。
ピーク帯電量絶対値がペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムの含有量が増えるに従って大きくなり、更に含有量が増えると低下する。すなわち、ペルフルオロアルキルスルホン酸リチウム含有量とピーク帯電量絶対値との関係は単純増加でもなく、単純減少でもないことは極めて奇異な現象である。しかも、この現象は、トナー粒子中のペルフルオロアルキルスルホン酸リチウム含有量が0.5質量%よりも少ない範囲、すなわち、微量含有の範囲で見られる。
この現象がプラス帯電性トナー粒子とマイナス帯電性トナー粒子の何れの場合にも見られ、かつ単調変化ではないことは、ペルフルオロアルキルスルホン酸リチウム等の成分(3)と「ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマー」等の成分(4)が、単に帯電性付与剤あるいは帯電性制御剤として作用しているだけではないことを示唆している。
この特異な現象はペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムの含有量と帯電量分布との関係を詳細に検討した結果見出されたが、この現象が現れる理由は明らかでない。しかし、この現象とトナー性能とは密接な関係にある。ペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムと「ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマー」の含有量以外は同じ構成として、トナー粒子中のペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムの含有量を0%から1質量%程度まで変化させ、「ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマー」の含有量を0%から20質量%程度まで変化させたトナー粒子について、ピーク帯電量絶対値を調べると、ピーク帯電量絶対値は、ペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムの含有量の増加に伴って、一旦大きくなり、次に減少に転じてペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムを含有しないトナー粒子(含有量0%)と同程度かそれ以下の値となる。
これらの現象とトナー性能との関係を詳細に検討した結果、ピーク帯電量絶対値が、ペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムを含有しないトナー粒子のピーク帯電量絶対値よりも0.1femtC/10μm以上大きいトナー粒子は、連続使用時における画像濃度の安定性が良く、カブリの発生や複写機内部のトナー飛散による機内汚れ発生等が少ない性能を示すことが明らかとなった。
ペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムと「ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマー」を含まないトナー粒子に比べてピーク帯電量絶対値を0.1femtC/10μm以上大きくするだけのペルフルオロアルキルスルホン酸リチウム量は、トナー粒子全体に対して、通常、0質量%よりも多く、0.5質量%よりも少ない量の範囲にある。従って、本発明の実施においては、トナー粒子中に0質量%よりも多く、0.5質量%よりも少ない量のペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムを含有させるのがよく、更には、0.01質量%〜0.4質量%含有させることで十分に効果が発揮される。
本発明の効果は、ペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムをトナー粒子中に少量含有させることにより達成されるものであり、本発明のペルフルオロアルキルスルホン酸リチウム含有量によるトナー粒子の体積固有抵抗の低下に対する効果は殆ど無く、図3に例を示すように、本発明のペルフルオロアルキルスルホン酸リチウム含有量範囲の下限領域付近(例えば、0.02質量%以下の領域)では、むしろ体積固有抵抗が高くなることが見られる。なお、図3では、「ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマー」が、ペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムの含有量の20倍量(質量)がトナー粒子中に含まれている。
本発明においては、ペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムの含有による体積固有抵抗の低下は殆ど無く、むしろ増大する場合もあることから、1013Ωcm以上の体積固有抵抗を有する樹脂を用いることは望ましくない。そのような体積固有抵抗の高い樹脂を本発明の静電荷像現像用トナーに適用した場合には、連続使用時における画像濃度が不安定となり、画像濃度の低下等が見られ好ましくない。従って、本発明においては、体積固有抵抗が大きくない樹脂、すなわち、体積固有抵抗が1013Ωcmよりも小さい樹脂を用いることで発明の好ましい効果が得られる。
本発明の静電荷像現像用トナーのトナー粒子は、従来から用いられる各種トナー粒子製造方法によって製造される。例えば、まず、成分(1)バインダー樹脂、成分(2)着色剤、成分(3)リチウム含有化合物、成分(4)、及び、要すれば、ワックス、帯電制御剤等を混合機で均一に分散混合し、次いで、該混合物を密閉式ニーダー、又は1軸若しくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却後、クラッシャー、ハンマーミル等で粗粉砕し、ジェット式ミル、高速ローター回転式ミル等で細粉砕し、風力分級機(例えば、慣性分級方式のエルボジェット、遠心分級方式のミクロプレックス、DSセパレーター等)等で分級する。粉砕及び分級の条件により、トナー粒子は体積平均径(Dv50)3〜20μm程度の粒子として得られる。
成分(3)リチウム含有化合物のトナー粒子中の含有量は上記した通りであるが、このように少量の成分(3)リチウム含有化合物を均一に分散混合するには、成分(3)リチウム含有化合物をポリエーテル、ポリオレフィン又は成分(4)と予め混練したものを用いることが有効である。特に、ポリエーテルを用いるときに、ペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムは均一に分散される。成分(3)と成分(4)は、それぞれ成分(1)等と混練してもよいが、成分(3)を予め成分(4)と混合しマスターバッチを調製し、それを成分(1)等と混練することが、成分(3)が均一に分散されるために好ましい。また、少なくとも、上記成分(3)と上記成分(4)を予め成分(1)バインダー樹脂の一部とマスターバッチ化処理したもの、成分(1)バインダー樹脂の残余、及び上記成分(2)、要すれば、ワックス、帯電制御剤等を混練する工程を経てトナー粒子を製造することも均一分散のために好ましい。
本発明におけるトナー粒子の製造においては、公知の正荷電性又は負荷電性の帯電制御剤を単独又は併用して使用してもよく、その使用量は所望する帯電量見合いで選定すればよく、帯電制御剤の添加量は樹脂100重量部に対し0.05〜10重量部程度が好ましい。正荷電性帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂等が挙げられる。また、負荷電性の制御剤としては、Cr、Co、Al、Fe等の金属含有アゾ染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物等が挙げられる。
高画質の画像を得るためにはトナー粒子の小さいトナー、すなわち、トナー粒子の小粒径化が望まれる。その要求に応えるためにトナー粒子の体積平均径(Dv50)は10μm以下、特に7μm以下とすることが行われるが、トナー粒子中にトナー微粉(トナー粒子の体積平均径(Dv50)の0.7倍の粒径以下のトナー微粒子をいう)が多く存在すると、それが静電荷像現像時のカブリや飛散等の原因となり好ましくない。そのため、粉砕工程の後の分級工程においてトナー微粒子量の低減が図られるが、小粒径トナー粒子の場合には、多量のトナー微粒子が存在するため分級工程での負荷が大きくなる上、工程歩留まりも低下することとなる。
目的とするトナー粒子の体積平均径(Dv50)が小さくなるほど、トナー粒子製造工程で生成する微粉量は相対的に増加し、トナー粒子に含まれる微粉量を減少させるための分級工程の負荷が増すこととなる。そのため、製造面から、トナー微粉が多く存在していても、電荷像現像時のカブリや飛散等が少ないトナーが望まれる。
本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、トナー粒子中のトナー微粉量が相対的に多いときでも、電荷像現像時のカブリや飛散等の不都合が起こりにくい。特に、高画質化に応えるために体積平均径(Dv50)を10μm以下としたトナー粒子において、トナー微粉(すなわち、トナー粒子体積平均径(Dv50)の0.7倍の粒径以下のトナー微粒子)の量が10体積%以上含まれる場合であっても、電荷像現像時のカブリや飛散等が発生しにくいという特徴がある。そのため、相対的にトナー微粉を多く含むトナー粒子を用いて静電荷像現像用トナーとすることができるので、分級工程の負荷の軽減が図られ、更には、製造時の工程歩留まりが向上する利点がある。
トナー微粉を含んでいても電荷像現像時のカブリや飛散等が発生しにくい理由は、明らかでないが、次のように推測される。帯電量分布測定結果を示した図1及び図2から、トナー粒子の帯電量分布は少量の成分(3)と成分(4)を含有することによってシャープになることが読み取れる。このことは、トナー粒子製造において少量の成分(3)と成分(4)を添加することで、溶融混練工程において帯電特性面で均一性の高い混練状態が得られ、その結果、個々のトナー粒子の帯電特性のバラツキが小さいトナー粒子が得られることを示している。
溶融混練工程において帯電特性面での均一性が低い混練状態しか得られない場合には、粉砕された個々のトナー粒子間の帯電特性のバラツキは大きくなり、そのバラツキの程度は、トナー粒径が小さくなるほど顕著になることが考えられる。本発明ではバラツキが小さいため、電荷像現像時のカブリや飛散等が少ないトナーが得られると考えられる。
また、一般には、トナー粒子の体積固有抵抗が小さい場合には、トナー粒子の電荷がリークしてしまい、連続して画像形成を行うときに、帯電量が適切に保持されず、安定した画質が得られない場合がある。本発明では、図3に見られるように、成分(3)と成分(4)の添加によるトナー粒子の体積固有抵抗の低下がない。そのことが、連続使用時におけるトナーの帯電量の適切な保持に寄与していると考えられる。
このように、本発明においては、帯電特性の均一性向上と適切な体積固有抵抗とが相俟って、トナー微粉を含んでいても電荷像現像時のカブリや飛散等が発生しにくい特性が得られるものと思われる。
本発明のトナーが有するトナー粒子の構成成分として、又は、トナーの構成成分として、定着性や流動性を向上させるために、低分子量オレフィン重合体や微粉末のシリカ、アルミナ、チタニア等の添加剤、更には抵抗調整や滑剤の目的でマグネタイト、フェライト、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、導電性チタニア等の無機微粉末や、アクリル樹脂等の有機微粉末を内添剤又は外添剤として含有させてもよい。これら添加剤の使用量は所望する性能により適宜選定すればよく、例えば樹脂100重量部に対し0.05〜10重量部程度が好ましい。
トナー粒子に外添処理してトナーを得る場合には、トナー粒子と外添剤を高速攪拌機等で攪拌混合すればよい。
トナー粒子は、必要に応じて外添処理等の後処理を経てトナーとして用いられるが、本発明の静電荷像現像用トナーは、黒色トナー、カラートナー、フルカラートナーの何れに用いることもできる。
得られたトナーは、キャリアと共に用いる二成分系現像剤として使用することができるが、キャリアを使用しない一成分系現像剤(マグネタイト等の磁性物を含有した磁性一成分トナー、或いは磁性物を含有しない非磁性一成分トナー)としても用いることもできる。
本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いればよく、磁性キャリアとしては、平均径20〜200μm程度の鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉、磁性樹脂キャリア等従来から公知のものが使用できる。また、これら表面に公知のシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等、或いはこれら樹脂の混合物を、単層又は多層に表面コーティングしたものも使用できる。尚、フェライトの芯材としては、一般式(MO)(Feで示されるフェライト粉が好ましく、(MO)成分としては、CuO、ZnO、NiO、FeO、MnO、MgO、BaO等の成分を1種又は2種以上選定して使用すればよい。これらのキャリア粒径には特に制限ないが、10〜200μmの平均径を有するものが好ましい。キャリアとトナーの混合比は、トナー1重量部に対してキャリア5〜100重量部とするのが好ましい。
本発明のトナーは如何なる画像形成装置にも使用可能であるが、クリーナレスシステムを搭載した画像形成装置に特に好適に使用できる。
プリンターや複写機等の小型化のためにクリーナレスシステムが用いられるが、それは次の問題を有している。すなわち、クリーナ部材を用いないために、感光体上の非画像部に転写残トナーが存在し易く、その結果、帯電工程において帯電を阻害して感光体表面の電位を不十分にし、非画像部であるにもかかわらずトナー担持体から感光体へトナーが飛翔し、非画像部の転写残トナー量の増加を加速して転写画像の白地部にカブリとなって現れてしまう場合がある。また、電荷をキャンセルするための露光工程において、転写残トナーが露光を遮るため、感光体表面の電位減衰が不十分となってしまう場合がある。このような部位においては、現像電位が小さな値となるためトナー現像量が少なくなり転写画像の画像濃度の低下やゴーストとなる。
しかしながら、本発明におけるトナー粒子延いては本発明のトナーは帯電量分布がシャープで帯電量が大きいために、上記問題をより顕在化させにくく、従来のトナーで発生していた、ゴースト、画像濃度低下、カブリ悪化を確実に防止することができる。また、感光体上の転写残トナーがあっても、部材及び帯電部材が汚染されにくいトナーを提供できる。
成分(3)リチウム含有化合物のうちフッ素含有酸のリチウム塩、特にペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムは、体積固有抵抗が10Ωcm以下の帯電防止剤として知られている。従って、体積固有抵抗が1013Ωcm以上と高い体積固有抵抗を有するバインダー樹脂を用いたトナー粒子に対して、かかるトナー粒子の過剰帯電を安定化させるために、帯電防止作用を有するペルフルオロアルキルスルホン酸リチウム等を含有させることはあった。すなわち、低い体積固有抵抗を有するバインダー樹脂を用いたトナー粒子は過剰帯電の問題がないので、成分(3)を含有させる意味がないと考えられていた。
しかしながら、本発明では、トナー粒子のバインダー樹脂として、体積固有抵抗が1013Ωcm未満のバインダー樹脂を使用した場合であっても、成分(3)はトナー粒子の帯電状態に影響を与え、しかも、成分(3)の含有量によってトナー粒子の帯電性能は左右される。すなわち、本発明のトナーにおけるトナー粒子は、通常、帯電量を下げると考えられていた帯電防止剤である成分(3)を、あえて帯電量等の帯電特性が不十分なトナー粒子に含有させることで、驚くべきことに、逆に帯電量の絶対値が増加するという新規な知見に基づいて得られたものである。
本発明は全く新しい知見に基づいてされたものであり、既知の技術とは異なる。例えば、体積固有抵抗の小さな物質を含有するトナー粒子は、特許文献1において開示されおり、その中で体積固有抵抗の小さな物質の例として、ペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムが示されている。しかしながら、特許文献1に開示されている技術は、ペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムを体積固有抵抗の小さな物質として用いるものであり、本発明のピーク帯電量絶対値に対応する値がペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムを含まないトナー粒子に比べて小さい値のトナー粒子に関するものであり、本発明とは全く異なる技術である。
また、特許文献1の技術は、少なくとも1013Ω・cmの体積固有抵抗を有する正に帯電し得る熱可塑性樹脂を用いるものである。すなわち、体積固有抵抗の大きい樹脂を用いた正帯電トナーに関する技術である。この点においても、大きい体積固有抵抗の樹脂を用いる必要がなく、正帯電だけでなく負帯電トナーについても適用可能な本発明は特許文献1の技術とは技術思想そのものが異なる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限りは以下の実施例により何等制限されるものではない。なお、下記実施例中、単に「部」、「%」とあるのは何れもそれぞれ「重量部」、「質量%」を意味する。
<トナー粒子の体積平均径(Dv50)の測定方法と定義>
本発明におけるトナー粒子の体積平均径(Dv50)は以下のように測定され定義される。すなわち、個数平均径とともに、コールター法による粒度分布解析により測定される。測定装置としては、コールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いる。電解液としては、1級塩化ナトリウムを用いて、約1質量%NaCl水溶液を調製したものを用いる。このような市販の電解液としては、ISOTON−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)がある。
測定方法は以下の通りである。前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として、界面活性剤であるアルキルベンゼンスルホン酸塩を、0.1〜5.0ml加え、更に測定試料を2.0〜20.0mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子の体積及び個数を各チヤンネル毎に測定して、トナー粒子の体積分布と個数分布とを算出する。それから、トナー粒子の個数分布から求めた個数平均径と、トナー粒子の体積分布から求めた体積平均径(Dv50)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求める。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
<トナー粒子の粒度分布の測定方法、及び、体積平均径(Dv50)の0.7倍以下の径を有するトナー粒子のトナー粒子全体に対する割合の求め方>
上記方法で求めた「トナー粒子の体積分布から求めた体積平均径(Dv50)」の0.7倍以下の径を有するものの積算値(総量)を求め、全体の積算値で除して、「体積%」で表した。
<体積固有抵抗の測定方法と定義>
本発明における、成分(1)バインダー樹脂、トナー粒子等の体積固有抵抗は次の方法によって求められ、そのように測定した値として定義される。すなわち、小平製作所製5トンプレスD10−0301C−Mを用いて、約1gの被測定対象物(バインダー樹脂、トナー粒子等)を直径約2cm、厚さ約2mmに成型して試料を作成した後、TR−10C型誘電体損測定器、WBG−9型発振器、BDA−9型平衡点検出器、TO−9型恒温槽、SE−70型電極(18.1mmφ)を有する誘電体損測定装置TRS−10T型(安藤電機(株)製)を用いて、発振器周波数1kHzの条件下で測定し、以下の式により体積固有抵抗を対数値として求める。
logρ=log[(A/t)×(1/Gx)]
logρ:体積固有抵抗(対数値)
Gx=(CONDUCTANCE Ratio)×R
R:CONDUCTANCE測定値
A:電極面積(2.57cm
t:試料厚さ(cm)
<トナー粒子の帯電量の測定方法と定義>
本発明における帯電量の測定方法と定義は以下の通りである。すなわち、トナー粒子0.8gとノンコートフェライトキャリア(パウダーテック社製F150)19.2gを、20mLのガラス容器に投入し、レシプロシェーカー(TAITEC製NR−1型)で、15分間攪拌混合して測定試料を得る。東芝ケミカル社製の吸引ブローオフ粉体帯電量測定装置を用い、以下の条件で測定した。
窒素流量:0.04〜0.05kg/cm
吸引圧 :3.40〜3.50kPa
測定時間:3秒
金網 :400メッシュ
試料 :0.1g
<製造例1>
下記の原材料をヘンシェルミキサーで混合し、二軸押出機で溶融混練した。その後、冷却し、ハンマーミルにて粗粉砕後、ジェットミルにて微粉砕を行い、風力分級機で分級し、所定の粒度分布のトナー粒子を得た。このトナー粒子を「トナー粒子A1」とする。
トナー粒子A1の体積平均径(Dv50)は9μmであった。このトナー粒子100部に対して、下記の外添剤をヘンシェルミキサーで外添して、マイナス帯電性の「トナーα1」を得た。
[原材料]
・成分(1):スチレン−ブチルアクリレート(7/3(質量比))共重合体(重量平均分子量25万)−−−100部
・成分(2):カーボンブラック「REGAL330R」(キャボットスペシャリティーケミカルズインク製)−−−7部
・成分(3):トリフルオロメチルスルホン酸リチウム−−−トナー粒子全体に対して、0.025質量%となる質量
・成分(4):ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマー−−−成分(3)の20倍の質量
(なお、成分(3)と成分(4)は、それらの混合物として市販されている「サンコノールTBX−35」(三光化学工業(株)製)を用いた。)
・帯電制御剤:鉄含金アゾ染料「T−77」(保土ヶ谷化学(株)製)−−−1部
・マグネタイト:「EPT−1000」(戸田工業(株)製)−−−2部
・ポリプロピレンワックス:「NP505」(三井化学(株)製)−−−1部
・ポリエチレンワックス:「PE130」(クラリアントジャパン(株)製)−−−1部
[外添剤]
・シリカ:「R−974」(日本アエロジル(株)製)−−−0.4部
ここで、「ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマー」とは、ポリオレフィンに無水マレイン酸を付加した「オレフィン−無水マレイン酸共重合体」に、末端が水酸基のポリエチレンオキサイドをエステル結合で無水マレイン酸部分に導入したものである。
製造例1において、トリフルオロメチルスルホン酸リチウムとポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマーの含有量を表1に記載した量に変えた以外は、製造例1と同様にして、トナー粒子A2、A3、A4、A5、及び、トリフルオロメチルスルホン酸リチウムもポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマーも含有しない比較用トナー粒子A0を作製した。トナー粒子A0〜A5の体積平均粒径(Dv50)は、何れも9μmであった。
トナー粒子A2〜A5から、製造例1と同様にして、それぞれ、マイナス帯電性のトナーα2〜α5を得た。また、トナー粒子A0から、製造例1と同様にして、マイナス帯電性のトナーα0を得た。
<製造例2>
下記の原材料をヘンシェルミキサーで混合し、二軸押出機で溶融混練した。その後、冷却し、ハンマーミルにて粗粉砕後、ジェットミルにて微粉砕を行い、風力分級機で分級し所定の粒度分布のトナー粒子B1を得た。トナー粒子B1の体積平均径(Dv50)は9μmであった。このトナー粒子B1を100部に対して、下記の外添剤をヘンシェルミキサーで外添して、プラス帯電性のトナーβ1を得た。
[原材料]
・成分(1):スチレンブチルアクリレート(7/3(質量比))共重合体(重量平均分子量25万)−−−100部
・成分(2):カーボンブラック「MA100S」(三菱化学(株)製)−−−6部
・成分(3):トリフルオロメチルスルホン酸リチウム−−−トナー粒子全体に対して、0.025質量%となる質量
・成分(4):ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマー−−−成分(3)の20倍の質量
(成分(3)と成分(4)は、それらの混合物として市販されている「サンコノールTBX−35」(三光化学工業(株)製)を用いた。)
・帯電制御剤:四級アンモニウム塩「P−51」(オリエント化学(株)製)−−−2部
・ポリプロピレンワックス:「NP505」(三井化学(株)製)−−−2部
・ポリエチレンワックス:「PE130」(クラリアントジャパン(株)製)−−−1部
[外添剤]
・シリカ:「TG−820F」(キャボットスペシャリティーケミカルズインク社製)−−−0.4部
製造例2において、トリフルオロメチルスルホン酸リチウムとポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマーの含有量を表1に記載した量に変えた以外は、製造例2と同様にして、トナー粒子B2、B3、B4、B5、及び、トリフルオロメチルスルホン酸リチウムもポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマーも含有しない比較用トナー粒子B0を作製した。トナー粒子B0〜B5の体積平均粒径(Dv50)は、何れも9μmであった。
トナー粒子B2〜B5から、製造例2と同様にして、それぞれ、プラス帯電性のトナーβ2〜β5を得た。また、トナー粒子B0から、製造例2と同様にして、プラス帯電性のトナーβ0を得た。
<製造例3>
製造例1において、成分(4)のポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマーを含有させず、すなわち、「サンコノールTBX−35」(三光化学工業(株))に代えて、成分(3)のトリフルオロメチルスルホン酸リチウムを用い、その含有量を表1に記載した量に変えた以外は、製造例1と同様にして、トナー粒子C0、C1、C2、C3及びC4を得た。トナー粒子C0〜C4の体積平均径(Dv50)は、何れも9μmであった。このトナー粒子C1〜C4を用いて、製造例1と同様に外添して、それぞれ、マイナス帯電性のトナーγ0〜γ4を得た。
トナー粒子C2〜C4から、製造例3と同様にして、それぞれ、マイナス帯電性のトナーγ2〜γ4を得た。また、トナー粒子C0から、製造例3と同様にして、マイナス帯電性のトナーγ0を得た。
Figure 2008090028
測 定 例 1
上記トナー粒子A0〜A5、及び、トナー粒子B0〜B5の粒度分布を測定したところ、これらのトナー粒子の体積平均径(Dv50)の0.7倍以下の径を有するトナー粒子の総量は、何れもトナー粒子全体の10体積%以上であった。
上記製造例で得られたトナーを用いて印刷評価を行った。各評価項目について、評価方法と定義を以下に示す。なお、以下の全ての評価項目は、表2に記載の画像形成装置にて、各トナーを用いて画像面積率5%のチャートで、連続1000枚の出力耐久試験実施後に評価した。
<画像濃度>
分光測色濃度計(日本平版機材社製X−rite938)を用いて、C光源、受光角2度の設定とし、ベタ画像の先端、中間、後端において、各左端、中間、右端の計9箇所について測定し、その平均値を「画像濃度」とした。
<カブリ>
印字前及び印字後の、それぞれの標準紙(FCドリーム;紀州製紙社製)における白地部分の色差を、X−Rite(X−Rite社製)にて測定し、「カブリ」とした。
<機内飛散>
画像形成装置内のトナー汚染状態を目視にて評価した。評価基準は以下の通りとした。
○:良好なレベル
×:実用上問題があるレベル
<スリーブゴースト>
連続1000枚の出力耐久試験実施後、ベタ白部とベタ黒部が隣り合う画像を現像した現像剤担持体の位置が、現像剤担持体の次の回転時に現像位置に来てハーフトーン画像を現像するようにし、このようにして形成されたハーフトーン画像上に現れる濃淡差を目視で観察し、下記の基準で評価した。なお、表2には「ゴースト」と記載した。
○:濃淡差が全く見られない
△:濃淡差がやや見られるが実用可
×:実用上問題となる濃淡差がスリーブ2周分以上出る。
印刷評価例1
上記トナーα1〜α5を用いて、下記の方法により印刷評価1を行った結果、α1、α2及びα3では、画像濃度低下、カブリ悪化、ゴースト発生等の画像欠陥がなく、装置内のトナー飛散もなかった。また、上記トナーα0を用いて、印刷評価1の方法により印刷評価を行った結果、感光体上のカブリトナーが過剰のため、転写されずに感光体上に残ったトナーが感光体の露光を阻害しゴーストが悪化した。結果を表2にまとめて記載した。
<印刷評価1>
評価装置は、市販の非磁性一成分現像方式とクリーニングレスシステムを採用したプリンターを改造して用いた。このプリンターの感光体は、表面層にポリカーボネート樹脂が含有されるドラム状の積層型OPCであり、OPC感光体表面を接触帯電させるローラーが設置されている。クリーニング部材は設置されていない。また、現像装置は現像スリーブに対して、金属ブレード(現像剤層形成部材)が押し当てられている。定着ロールには、オイルは供給しなかった。上記プリンターを温度25℃、相対湿度55%の雰囲気に設置し、トナーを一定量供給して印刷を行った。
印刷評価例2
上記トナーα1〜α5を用いて、下記の方法により印刷評価2を行った結果、α1及びα2では、カブリ悪化等の画像欠陥がなく、装置内のトナー飛散もなかった。上記トナーα0を用いて、印刷評価2の方法により印刷評価を行った結果、カブリが悪化し、装置内にトナー飛散が発生した。結果を表2にまとめて記載した。
<印刷評価2>
評価装置は、市販の二成分現像方式を採用した複写機を改造して用いた。この複写機の感光体は、表面層にポリカーボネート樹脂が含有されるドラム状の積層型OPCであり、OPC感光体を帯電させるスコロトロンが設置されている。クリーニング部材としてウレタンゴム製のクリーニングブレードが感光体に接触押圧されている。定着ロールには、オイルは供給しなかった。上記の複写機を温度25℃、相対湿度55%の雰囲気に設置し、トナーを一定量供給して印刷を行った。
印刷評価例3
上記トナーβ1〜β5を用いて下記の方法により印刷評価3を行った結果、β1及びβ2では、画像濃度低下、カブリ悪化、ゴースト発生等の画像欠陥がなく、装置内のトナー飛散もなかった。上記トナーβ0を用いて、印刷評価3の方法により印刷評価を行った結果、感光体上のカブリトナー過剰のため、転写されずに感光体上に残ったトナーが感光体の露光を阻害しゴーストが悪化、画像濃度が低下、連続プリントで機内にトナー飛散が発生した。結果を表2にまとめて記載した。
<印刷評価3>
評価装置は、市販の非磁性一成分現像方式、クリーニングレスシステムを採用したプリンターを改造して用いた。この複写機の感光体は、表面層にポリカーボネート樹脂が含有されるドラム状の積層型OPCであり、OPC感光体を帯電させるスコロトロンが設置されている。クリーニング部材の代わりにローラで感光体上のトナーを均一化している。定着ロールには、オイルは供給しなかった。上記の複写機を温度25℃、相対湿度55%の雰囲気に設置し、トナーを一定量供給して印刷を行った。
印刷評価例4
上記トナーγ1〜γ4を用いて、上記印刷評価1の方法により印刷評価を行った結果、成分(3)の増加に伴い、単純に画像濃度が低下したり、カブリが悪化したりするだけであった。結果を表2にまとめて記載した。
Figure 2008090028
測 定 例 2
上記トナー粒子A0(トナー粒子C0と同じ)、トナー粒子A1〜A5、トナー粒子C1〜C4の帯電量を測定し、結果を図4と図5にまとめた。図4の横軸は、トナー粒子中のペルフルオロアルキルスルホン酸リチウム含有量(質量%)であり、図5の横軸は、トナー粒子中のペルフルオロアルキルスルホン酸リチウム含有量をLi量に換算したもの(質量ppm)である。なお、図4、図5では、「ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマー」は、常にペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムの含有量の質量で20倍量がトナー粒子中に含まれている。
図4と図5から判る通り、A1〜A5トナーでは微量添加時に帯電量の上昇が見られたが、ペルフルオロアルキルスルホン酸リチウム(CFSOLi)のみを添加したトナー粒子C1〜C4では添加量と共に帯電量が単調に低下した。
本発明の静電荷像現像用トナーは、適度で安定した帯電性を示す等、帯電性能が良好で、連続使用した場合にも安定した画像濃度が得られ、カブリ等の画像汚れもなく、プリンターや複写機内のトナー飛散による汚染も少ない。また、トナー微粒子を多く含んでいても、カブリやトナー飛散が少ない。更に環境変化に対しても安定した画像特性を安定して維持する等、多大な工業的利益を提供するものであり、複写機、レーザープリンター、ファクシミリ、製版機等の電子写真プロセスを用いた装置に広く好適に利用されるものである。
マイナスの帯電量を有するトナー粒子のE−SPARTによる帯電量分布である。 プラスの帯電量を有するトナー粒子のE−SPARTによる帯電量分布である。 トナー粒子中のトリフルオロメチルスルホン酸リチウム(CFSOLi)の含有量とトナー粒子の体積固有抵抗の関係を示すグラフである。 トナー粒子中のトリフルオロメチルスルホン酸リチウム含有量(質量%)と帯電量の関係を示すグラフである。 トナー粒子中のトリフルオロメチルスルホン酸リチウムの含有量をLi量に換算した値(質量ppm)と帯電量の関係を示すグラフである。

Claims (14)

  1. 少なくとも、下記の成分(1)、(2)、(3)及び(4)を含有するトナー粒子を有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
    (1)バインダー樹脂
    (2)着色剤
    (3)リチウムイオン含有化合物
    (4)リチウムイオンと相互作用をするエーテル酸素を含有する化合物
  2. 上記成分(3)リチウムイオン含有化合物が、フッ素含有酸のリチウム塩である請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 上記フッ素含有酸のリチウム塩が、フルオロアルキルスルホン酸リチウムである請求項2記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 上記フルオロアルキルスルホン酸リチウムが、ペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムである請求項3記載の静電荷像現像用トナー。
  5. ペルフルオロアルキルスルホン酸リチウムが、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムである請求項4記載の静電荷像現像用トナー。
  6. トナー粒子中にリチウムイオンが、トナー粒子全体に対して、質量で45ppm以下含有されている請求項1ないし請求項5の何れかの請求項記載の静電荷像現像用トナー。
  7. トナー粒子中に成分(3)リチウムイオン含有化合物が、トナー粒子全体に対して、0.09質量%以下含有されている請求項1ないし請求項6の何れかの請求項記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 上記成分(4)が、ポリエチレンオキサイド鎖を有する化合物である請求項1ないし請求項7の何れかの請求項記載の静電荷像現像用トナー。
  9. 少なくとも、上記成分(3)と上記成分(4)を予めマスターバッチ化処理したもの、及び、成分(1)バインダー樹脂を混練する工程を経て得られたトナー粒子を有するものである請求項1ないし請求項8の何れかの請求項記載の静電荷像現像用トナー。
  10. E−SPARTによる測定で得られる帯電量分布のピークに対応する帯電量の絶対値(ピーク帯電量絶対値)が、上記成分(3)及び上記成分(4)を含有しないこと以外は同一構成のトナー粒子のピーク帯電量絶対値よりも、0.1femtC/10μm以上大きいトナー粒子を有することを特徴とする請求項1ないし請求項9の何れかの請求項記載の静電荷像現像用トナー。
  11. 成分(1)バインダー樹脂の体積固有抵抗が1013Ωcm未満である請求項1ないし請求項10の何れかの請求項記載の静電荷像現像用トナー。
  12. 静電荷像現像用トナーを構成するトナー粒子の体積平均径(Dv50)が10μm以下である請求項1ないし請求項11の何れかの請求項記載の静電荷像現像用トナー。
  13. 静電荷像現像用トナーを構成するトナー粒子の体積平均径(Dv50)の0.7倍以下の径を有するトナー粒子の総量が、トナー粒子全体の10体積%以上である請求項1ないし請求項12の何れかの請求項記載の静電荷像現像用トナー。
  14. 請求項1ないし請求項13の何れかの請求項記載の静電荷像現像用トナーを使用し、クリーナレスシステムを搭載していることを特徴とする画像形成装置。
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