JP2008089118A - 回転伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スプラグの引きずりトルクを抑制し、静寂で安定的なエンジン始動システムとする。
【解決手段】外周円筒面2aを有する内方部材2と内周円筒面1aを有する外方部材1との間に複数のスプラグ6と弾性部材4とを備えた回転伝達装置において、前記各スプラグ6の軸方向一方側に係止部材12を設けて、その係止部材12が前記各スプラグ6と前記内周円筒面1aとの間に進入、離脱して各スプラグ6を係脱するようにした。その係脱により、各スプラグ6は、前記内周円筒面1aに係合不能な状態と係合可能な状態とに選択的に設定できるようになり、空転時においてスプラグ6を内周円筒面1aから離反させればその引きずりトルクを抑制することができる。また、この回転伝達装置をエンジン始動システムに備えれば、始動、完爆の行程において、ピニオンギヤ8とフライホイールのリングギヤ9とを嵌合、離脱させる必要がなくなり、振動、騒音、噛み合い不良等を生じさせない。
【選択図】図1
【解決手段】外周円筒面2aを有する内方部材2と内周円筒面1aを有する外方部材1との間に複数のスプラグ6と弾性部材4とを備えた回転伝達装置において、前記各スプラグ6の軸方向一方側に係止部材12を設けて、その係止部材12が前記各スプラグ6と前記内周円筒面1aとの間に進入、離脱して各スプラグ6を係脱するようにした。その係脱により、各スプラグ6は、前記内周円筒面1aに係合不能な状態と係合可能な状態とに選択的に設定できるようになり、空転時においてスプラグ6を内周円筒面1aから離反させればその引きずりトルクを抑制することができる。また、この回転伝達装置をエンジン始動システムに備えれば、始動、完爆の行程において、ピニオンギヤ8とフライホイールのリングギヤ9とを嵌合、離脱させる必要がなくなり、振動、騒音、噛み合い不良等を生じさせない。
【選択図】図1
Description
この発明は、スプラグを用いた一方向クラッチを備えた回転伝達装置、特に、その回転伝達装置を備えたエンジン始動システムに関するものである。
自動車用エンジンを始動させるスタータとして、例えば、特許文献1に示すものがある。このスタータは、エンジンのクランクシャフトと一体に回転するフライホイールにリングギヤが取付けられており、そのリンクギヤをエンジン始動時にスタータモータの駆動により回転させるものである。
スタータモータの出力軸には、一方向クラッチを介してピニオンギヤが取付けられており、その出力軸は、電磁スイッチ装置等により、前記一方向クラッチとピニオンギヤとが一体に軸方向に進退するようになっている。
この進退により、出力軸を軸方向に前進させれば、ピニオンギヤがリングギヤと噛み合った状態となり、また、後退すればその噛み合いが解除された状態となる。
この進退により、出力軸を軸方向に前進させれば、ピニオンギヤがリングギヤと噛み合った状態となり、また、後退すればその噛み合いが解除された状態となる。
エンジンを始動させる際には、前記電磁スイッチ装置等を動作させて出力軸を軸方向に前進させ、ピニオンギヤがリングギヤと噛み合った状態で、出力軸を回転させてクランキングが行われる。
クランキングが終了してエンジンが始動すると、一方向クラッチの作用により、出力軸とピニオンギヤとは空転するとともに、出力軸がピニオンギヤとともに後退位置に復帰することにより、ピニオンギヤとリングギヤとの噛み合いが解除される。
クランキングが終了してエンジンが始動すると、一方向クラッチの作用により、出力軸とピニオンギヤとは空転するとともに、出力軸がピニオンギヤとともに後退位置に復帰することにより、ピニオンギヤとリングギヤとの噛み合いが解除される。
なお、出力軸の前端側に、ピニオンギヤの前進方向への移動を規制するためのストッパを設けた技術や、そのストッパに緩衝材を設けた技術も開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特開平11−30174号公報
特開2002−98031号公報
上記スタータでは、ピニオンギヤとフライホイールのリングギヤとの係脱を行うために、スタータモータの出力軸を軸方向へ移動させる。このため、そのピニオンギヤとリングギヤとの噛み合いの際に発生する振動・騒音や、あるいは噛み合い不良が問題となることがある。
エンジン始動時の振動・騒音は不快であり、また、噛み合い不良はギヤの損傷等の原因となるので好ましくない。スタータを備えたエンジン始動システムは、より静寂で安定的なものが望まれる。
エンジン始動時の振動・騒音は不快であり、また、噛み合い不良はギヤの損傷等の原因となるので好ましくない。スタータを備えたエンジン始動システムは、より静寂で安定的なものが望まれる。
また、一般に、スプラグを用いた一方向クラッチでは、内方部材と外方部材との空転状態においても、各スプラグが前記内方部材又は外方部材に摺動した状態で維持されるため、相応の引きずりトルクを発生させるという問題がある。
エンジン始動システムをはじめとするスプラグ式の一方向クラッチを用いた各種装置において、大きな引きずりトルクの発生は、その回転伝達の効率を低下させるので好ましくない。
エンジン始動システムをはじめとするスプラグ式の一方向クラッチを用いた各種装置において、大きな引きずりトルクの発生は、その回転伝達の効率を低下させるので好ましくない。
そこで、この発明は、スプラグを用いた一方向クラッチの空転状態における引きずりトルクを抑制するとともに、より静寂で安定的なエンジン始動システムとすることを課題とする。
上記の課題を解決するために、この発明は、外周円筒面を有する内方部材と、内周円筒面を有する外方部材とを同軸状に配置し、前記内外周両円筒面間に複数のスプラグを周方向に沿って配置するとともに、前記各スプラグを前記外周円筒面及び内周円筒面に係合する方向に付勢する弾性部材を備えた回転伝達装置において、前記内方部材と外方部材との間に前記各スプラグに係脱可能な係止手段を設け、その係脱により、前記各スプラグは、前記外周円筒面又は内周円筒面に係合不能な状態と、前記外周円筒面及び内周円筒面に係合可能な状態とに選択的に設定される構成を採用した。
このようにすれば、内方部材と外方部材との空転状態において、各スプラグが前記内方部材又は外方部材に係合不能な状態、すなわち、前記係止手段を備えない従来の一方向クラッチの空転時と比較して、各スプラグと前記外周円筒面又は内周円筒面とが相対的に弱い摩擦力で摺動する状態に維持することができる。このため、引きずりトルクを抑制することができる。
なお、前記係止手段を備えたことにより、内方部材と外方部材との相対回転により各スプラグが係合方向に力を受けた際に、前記各スプラグが前記外周円筒面又は内周円筒面に係合不能な状態、すなわち、各スプラグが前記外周円筒面又は内周円筒面から離反して完全に摺動しない状態、あるいは、各スプラグが前記外周円筒面又は内周円筒面に係合するに足りる摩擦力で摺動する係合可能状態に至らない、いわば弱い摺動状態に維持することも可能である。
なお、前記係止手段を備えたことにより、内方部材と外方部材との相対回転により各スプラグが係合方向に力を受けた際に、前記各スプラグが前記外周円筒面又は内周円筒面に係合不能な状態、すなわち、各スプラグが前記外周円筒面又は内周円筒面から離反して完全に摺動しない状態、あるいは、各スプラグが前記外周円筒面又は内周円筒面に係合するに足りる摩擦力で摺動する係合可能状態に至らない、いわば弱い摺動状態に維持することも可能である。
前記の構成において、前記係止手段は、前記各スプラグと前記外周円筒面又は内周円筒面との間に進入又は離脱し、その進入又は離脱により前記各スプラグに係脱する係止部材である構成を採用し得る。
この構成によれば、係止部材が、各スプラグと外周円筒面又は内周円筒面との間に入り込むことにより、その各スプラグを、前記外周円筒面又は内周円筒面から引き離す方向(離反する方向)に誘導し、その位置で確実に保持することができる。
また、各係止部材を周方向に連結して環状に形成してもよい。各係止部材が環状に連結されていれば、その環状に連結された係止部材を、内方部材の外周又は外方部材の内周に嵌めることができ、その係止部材を進入又は離脱動作させる機構、あるいは固定する機構が簡素になる。さらに、係止部材を全周に亘って連続的に設ければ、スプラグとの周方向位置を合わせる必要がない。
この構成によれば、係止部材が、各スプラグと外周円筒面又は内周円筒面との間に入り込むことにより、その各スプラグを、前記外周円筒面又は内周円筒面から引き離す方向(離反する方向)に誘導し、その位置で確実に保持することができる。
また、各係止部材を周方向に連結して環状に形成してもよい。各係止部材が環状に連結されていれば、その環状に連結された係止部材を、内方部材の外周又は外方部材の内周に嵌めることができ、その係止部材を進入又は離脱動作させる機構、あるいは固定する機構が簡素になる。さらに、係止部材を全周に亘って連続的に設ければ、スプラグとの周方向位置を合わせる必要がない。
また、前記係止部材を採用した構成において、係止部材の前記進入及び離脱方向は、内方部材及び外方部材の周方向に沿って、あるいはその軸方向に沿ってなど自由な方向に設定してよいが、例えば、係止部材が、前記各スプラグの軸方向一方側から前記各スプラグと前記外周円筒面又は内周円筒面との間に進入し且つ前記各スプラグの軸方向一方側へ離脱するものである場合において、前記各スプラグの前記内径側カム面又は外径側カム面に、前記一方側の端面に向かって徐々に前記外周円筒面又は内周円筒面から遠ざかる傾斜面を形成し、前記係止部材は、前記スプラグの傾斜面と前記外周円筒面又は内周円筒面との間のくさび状空間に進入する構成を採用し得る。
この構成によれば、各スプラグと前記外周円筒面又は内周円筒面との間の空間が、係止部材側に向かってくさび状に広がっているので、係止部材が、各スプラグと前記外周円筒面又は内周円筒面との間に入り込みやすいという効果が期待できる。
なお、スプラグに形成した前記傾斜面の構成としては、平面状のものであってもよいし、その他、例えば、凸状の曲面とした構成なども考えられる。傾斜面が凸状の曲面であれば、各スプラグと係止部材との当接が点接触になりやすく、その各スプラグと係止部材との噛み込み等による不具合を防止することができる。
なお、スプラグに形成した前記傾斜面の構成としては、平面状のものであってもよいし、その他、例えば、凸状の曲面とした構成なども考えられる。傾斜面が凸状の曲面であれば、各スプラグと係止部材との当接が点接触になりやすく、その各スプラグと係止部材との噛み込み等による不具合を防止することができる。
前記スプラグに傾斜面を形成した構成において、前記係止部材は、前記スプラグに形成した傾斜面と同方向の勾配を有する傾斜面を備え、前記係止部材の前記くさび状空間への進入により、その係止部材の傾斜面が前記スプラグの傾斜面に当接する構成を採用することができる。
このようにすれば、同方向の勾配を有する傾斜面同士が当接することにより、係止部材が、前記と同様、各スプラグと前記外周円筒面又は内周円筒面との間に入り込みやすいという効果がさらに高まるとともに、その各スプラグを、前記外周円筒面又は内周円筒面から引き離す方向に確実に保持することができるという効果も高まる。
なお、係止部材に設ける傾斜面の構成としては、スプラグに設けた傾斜面の場合と同様、平面状のものであってもよいし、その他、例えば、凸状の曲面とした構成なども考えられる。また、各係止部材の傾斜面を前記内方部材及び外方部材の軸心と同軸心に形成された円錐面状に形成してもよい。
このようにすれば、同方向の勾配を有する傾斜面同士が当接することにより、係止部材が、前記と同様、各スプラグと前記外周円筒面又は内周円筒面との間に入り込みやすいという効果がさらに高まるとともに、その各スプラグを、前記外周円筒面又は内周円筒面から引き離す方向に確実に保持することができるという効果も高まる。
なお、係止部材に設ける傾斜面の構成としては、スプラグに設けた傾斜面の場合と同様、平面状のものであってもよいし、その他、例えば、凸状の曲面とした構成なども考えられる。また、各係止部材の傾斜面を前記内方部材及び外方部材の軸心と同軸心に形成された円錐面状に形成してもよい。
前記の各構成において、前記弾性部材は、前記各スプラグの内径側カム面又は外径側カム面に形成された周方向溝内に収納されたガータスプリングである構成を採用することができる。
また、上記各構成からなる回転伝達装置を備えたエンジンの始動システムであって、エンジンのフライホイールのリングギヤに噛み合い可能なピニオンギヤを備えた回転軸とスタータモータの出力軸とを備え、前記回転軸及び出力軸の一方を前記外周円筒面を有する内方部材、他方を前記内周円筒面を有する外方部材としたエンジンの始動システムを採用することができる。
このようにすれば、前記係止手段(係止部材)の作用により、スプラグを、適宜の際に前記内方部材又は外方部材から離反させることができるので、従来のように、エンジン始動前後におけるピニオンとフライホイールのリングギヤとの嵌合、離脱の動作を行う必要がなくなる。
このため、ピニオンギヤとリングギヤとの噛み合いの際に発生する振動・騒音や、あるいは噛み合い不良などの問題を解消し、より静寂で安定的なエンジン始動システムとすることができる。
このようにすれば、前記係止手段(係止部材)の作用により、スプラグを、適宜の際に前記内方部材又は外方部材から離反させることができるので、従来のように、エンジン始動前後におけるピニオンとフライホイールのリングギヤとの嵌合、離脱の動作を行う必要がなくなる。
このため、ピニオンギヤとリングギヤとの噛み合いの際に発生する振動・騒音や、あるいは噛み合い不良などの問題を解消し、より静寂で安定的なエンジン始動システムとすることができる。
この発明は、スプラグを、内方部材の外周円筒面又は開放部材の内周円筒面に係合不能な状態と係合可能な状態とに選択的に設定し得る係止手段を設けたので、一方向クラッチの空転状態における引きずりトルクを抑制するとともに、より静寂で安定的なエンジン始動システムとすることができる。
図1乃至図3に、この発明の実施形態を示す。この実施形態は、自動車用エンジンのエンジン始動システムを構成するスタータであり、その構成は、図1に示すように、エンジンのクランクシャフト(図示せず)と一体に回転するフライホイールにリングギヤ9が取付けられており、そのリングギヤ9をエンジン始動時にスタータモータ7の駆動により回転させるものである。
スタータモータ7の出力軸と、前記リンクギヤ9に噛み合うピニオンギヤ8の回転軸とは、スプラグタイプの一方向クラッチを介して軸周り相対回転可能に支持されている。
スタータモータ7の出力軸と、前記リンクギヤ9に噛み合うピニオンギヤ8の回転軸とは、スプラグタイプの一方向クラッチを介して軸周り相対回転可能に支持されている。
その一方向クラッチは、前記ピニオンギヤ8の回転軸に外周円筒面2aが形成されて内方部材2を構成しており、スタータモータ7の出力軸に内周円筒面1aが形成されて外軸(外方部材)1を構成し、その内方部材2と外軸1とが同軸状に配置されている。
前記内外周両円筒面1a,2a間に複数のスプラグ6が周方向に沿って配置されており、その各スプラグ6は、保持器5によって等間隔に保持されている。
各スプラグ6は、そのスプラグ6の軸(一方向クラッチの軸方向)と直交する方向の断面において、図2に示すように、内径側、外径側にそれぞれ突出する凸の曲面状のカム面6u,6dを有する非対称な樽形に形成されている。スプラグ6が直立する姿勢となった際に、前記内径側カム面6dが前記内方部材2の外周円筒面2aに係合し、外径側カム面6uが外方部材1の内周円筒面1aに係合して、内方部材2と外軸1との間にトルクの伝達が行なわれる。また、スプラグ6が周方向に傾斜するにつれて内方部材2は外軸1に対しすべり、トルクの伝達が遮断される。
各スプラグ6は、そのスプラグ6の軸(一方向クラッチの軸方向)と直交する方向の断面において、図2に示すように、内径側、外径側にそれぞれ突出する凸の曲面状のカム面6u,6dを有する非対称な樽形に形成されている。スプラグ6が直立する姿勢となった際に、前記内径側カム面6dが前記内方部材2の外周円筒面2aに係合し、外径側カム面6uが外方部材1の内周円筒面1aに係合して、内方部材2と外軸1との間にトルクの伝達が行なわれる。また、スプラグ6が周方向に傾斜するにつれて内方部材2は外軸1に対しすべり、トルクの伝達が遮断される。
また、各スプラグ6の外径側カム面6uに、周方向溝6aが形成されており、その周方向溝6a内に収納されたガータスプリング(弾性部材)4によって、各スプラグ6は、前記外周円筒面2a及び内周円筒面1aに係合する方向に常時付勢されているとともに、そのガータスプリング4は、前記周方向溝6aを介して、各スプラグ6を内径側へ付勢している。
その内方部材2と外軸1との間の空間に、前記各スプラグ6に係脱可能な係止手段(パイロットプレート)10が設けられている。
係止手段10は、図1及び図3に示すように、前記各スプラグ6の軸方向一方側に設けられて、その各スプラグ6と前記外周円筒面2a又は内周円筒面1aとの間に進入又は離脱可能な係止部材12を備えている。
係止手段10は、図1及び図3に示すように、前記各スプラグ6の軸方向一方側に設けられて、その各スプラグ6と前記外周円筒面2a又は内周円筒面1aとの間に進入又は離脱可能な係止部材12を備えている。
各スプラグ6の前記内径側カム面6dには、その係止部材12側の端面に向かって徐々に前記外周円筒面2aから遠ざかるフラットな傾斜面6bが形成されている(図1参照)。また、その傾斜面6bは、前記前記内径側カム面6dのうち空転側カム面(スプラグ6の空転状態において前記外周円筒面2aに対面する部分)に形成されている(図2参照)。
スプラグ6に傾斜面6bを設けたことにより、スプラグ6がやや空転側に傾いた状態において、その傾斜面6bと前記内方部材2の外周円筒面2aとの間で、前記係止部材12側に向かって徐々に広がるくさび状空間が形成される。
スプラグ6に傾斜面6bを設けたことにより、スプラグ6がやや空転側に傾いた状態において、その傾斜面6bと前記内方部材2の外周円筒面2aとの間で、前記係止部材12側に向かって徐々に広がるくさび状空間が形成される。
係止部材12は、前記スプラグ6に形成した傾斜面6bと同方向、同一勾配を有する傾斜面12aを備えている。
また、係止部材12は、この実施形態では、全係止部材12が周方向全周に亘って連続的に設けられて環状の前記パイロットプレート10の内径側縁からスプラグ6側に突出した形状を成している。前記傾斜面12aは、前記内方部材2及び外軸1の軸心と同軸心に形成された全周に亘る円錐台の周面となっている。この係止部材12が、内方部材2の外周に軸受部13を介して嵌められて、その内方部材2に対して周方向へ回転可能、軸方向へ進退可能となっている。
また、係止部材12は、この実施形態では、全係止部材12が周方向全周に亘って連続的に設けられて環状の前記パイロットプレート10の内径側縁からスプラグ6側に突出した形状を成している。前記傾斜面12aは、前記内方部材2及び外軸1の軸心と同軸心に形成された全周に亘る円錐台の周面となっている。この係止部材12が、内方部材2の外周に軸受部13を介して嵌められて、その内方部材2に対して周方向へ回転可能、軸方向へ進退可能となっている。
なお、この係止部材12は、必要な際、常に全てのスプラグ6に対して係合でき得る限りにおいて、上記のように周方向に連続的に設けることなく、各スプラグ6に対応する位置毎に断続的に設けられていてもよい(例えば、係止手段10が保持器5と一体に軸周り回転する構成などが考えられる)が、そのスプラグ6及び保持器5に対して係止手段10の相対回転を許容する場合は、上記のように係止部材12を周方向全周に連続的に形成することが望ましい。
このエンジン始動システムの作用を説明すると、エンジンを始動する際には、スタータモータ7を動作させ、スタータモータ7の出力軸の回転により、外軸1から内方部材2へトルクが伝達される。
このとき、係止部材12は、前記くさび状空間から離脱した状態(図1に示す状態)にあるので、各スプラグ6は、外軸1と内方部材2との軸周り相対回転に基づいて係合側へ姿勢変更を行い、外軸1と内方部材2とを係合させるよう機能する。
このとき、係止部材12は、前記くさび状空間から離脱した状態(図1に示す状態)にあるので、各スプラグ6は、外軸1と内方部材2との軸周り相対回転に基づいて係合側へ姿勢変更を行い、外軸1と内方部材2とを係合させるよう機能する。
外軸1から内方部材2へトルクが伝達されるとピニオンギヤ8が回転し、その回転がリングギヤ9に伝達される。リングギヤ9の回転によりエンジンが始動し、エンジン完爆後は、そのエンジンに備えられた前記完爆を検出する手段(図示せず)から信号が発信される。
完爆の信号を受けてアクチュエータ等(例えば、マグネットスイッチ)を動作させ、前記パイロットプレート10の外周の溝10aに接続されたパイロットレバー11を、図1の矢印aのようにスプラグ6側へ移動させる。このパイロットレバー11は、前記パイロットプレート10と一体に設けても良い。
パイロットレバー11の移動とともに、パイロットプレート10が図1の矢印cの方向へ移動すると、係止部材12は、前記くさび状空間へ進入することにより、その係止部材12の傾斜面12aが前記スプラグ6の傾斜面6bに当接する。
この当接により、係止部材12が、各スプラグ6と内方部材2の外周円筒面2aとの間に入り込むことにより、その各スプラグ6を、前記外周円筒面2aから離反する方向に誘導し、その離反した位置で確実に保持(係止)することができる。この状態において、内方部材2と外軸1とは係合が解除されているので、リングギヤ9及びピニオンギヤ8の回転が、スタータモータ7の出力軸に及ばない。
パイロットレバー11の移動とともに、パイロットプレート10が図1の矢印cの方向へ移動すると、係止部材12は、前記くさび状空間へ進入することにより、その係止部材12の傾斜面12aが前記スプラグ6の傾斜面6bに当接する。
この当接により、係止部材12が、各スプラグ6と内方部材2の外周円筒面2aとの間に入り込むことにより、その各スプラグ6を、前記外周円筒面2aから離反する方向に誘導し、その離反した位置で確実に保持(係止)することができる。この状態において、内方部材2と外軸1とは係合が解除されているので、リングギヤ9及びピニオンギヤ8の回転が、スタータモータ7の出力軸に及ばない。
エンジンが停止し、再度、そのエンジンを始動する際には、前記アクチュエータ等を動作させ、前記パイロットレバー11を、図1の矢印bのようにピニオンギヤ8側へ移動させる。パイロットレバー11の移動とともに、パイロットプレート10が図1の矢印dの方向へ移動すると、係止部材12が、前記くさび状空間から離脱し、スプラグ6の係止が解除される。
このように、係止部材12が、前記各スプラグ6に係脱することにより、前記各スプラグ6は、前記外周円筒面2a又は内周円筒面1aに係合不能な状態と、前記外周円筒面2a及び内周円筒面1aに係合可能な状態とに選択的に設定されるので、エンジンが始動、完爆の行程において、上記係脱を行えば、従来のように、ピニオンギヤ8とフライホイールのリングギヤ9とが嵌合、離脱をする必要がないので、振動・騒音等の問題を生じない。また、ピニオンギヤ8とリングギヤ9との噛み合い不良によるギヤの損傷等も生じさせない。
また、エンジン完爆後の内方部材2と外軸1との空転時において、スプラグ6が内方部材2の外周円筒面2aから完全に離反させることができるので、このようにすれば、スプラグ6の前記外周円筒面2aに対する引きずり抵抗も皆無となる。
また、エンジン完爆後の内方部材2と外軸1との空転時において、スプラグ6が内方部材2の外周円筒面2aから完全に離反させることができるので、このようにすれば、スプラグ6の前記外周円筒面2aに対する引きずり抵抗も皆無となる。
上記実施形態では、係止部材12をスプラグ6と内方部材2の外周円筒面2aとの間に進入、離脱する構成としたが、他の実施形態として、内外逆転させた構成も採用可能である。すなわち、係止部材12をスプラグ6と外方部材1の内周円筒面1aとの間に進入、離脱する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、各スプラグ6を係合方向へ付勢する弾性部材4としてガータスプリングを採用し、そのガータスプリングとして各スプラグ6を内径側へ付勢する縮径バネを採用したが、各スプラグ6を外径側へ付勢する拡径バネを採用してもよい。このとき、ガータスプリングを収納する周方向溝6aを内径側カム面6dに形成した構成を採用し得る。また、ガータスプリングの縮径、拡径の別にかかわらず、そのガータスプリングを収納する溝、又は凹部をスプラグ6の端面に設けても良い。もちろん、ガータスプリング以外の弾性部材4、例えば、スプラグ6を収容する保持器5のポケット毎に、薄板バネのような弾性のある部材を備えたリボンスプリング等を採用してもよい。
さらに、上記実施形態では、スプラグ6に形成する傾斜面6bを、内径側カム面6dの空転側カム面に設けた(係止部材12をスプラグ6と外方部材1の内周円筒面1aとの間に進入、離脱する構成において、外径側カム面6uに傾斜面6bを設ける場合も、空転側カム面に傾斜面6bを設けることが望ましい点は同様)が、スプラグ6の係合時における前記内外周円筒面1a,2aとの係合トルク、係合面積を確保し得る限りにおいて、傾斜面6bを係合側カム面に、あるいは空転側カム面と係合側カム面とに跨って設けてもよい。
1 外方部材(外軸)
1a 内周円筒面
2 内方部材
2a 外周円筒面
3 軸受部
4 ガータスプリング(弾性部材)
5 保持器
6 スプラグ
6a 周方向溝
6b 傾斜面
6d 内径側カム面
6u 外径側カム面
7 スタータモータ
8 ピニオンギヤ
9 リングギヤ(フライホイール)
10 パイロットプレート(係止手段)
11 パイロットレバー
12 係止部材
12a 傾斜面
13 軸受部
1a 内周円筒面
2 内方部材
2a 外周円筒面
3 軸受部
4 ガータスプリング(弾性部材)
5 保持器
6 スプラグ
6a 周方向溝
6b 傾斜面
6d 内径側カム面
6u 外径側カム面
7 スタータモータ
8 ピニオンギヤ
9 リングギヤ(フライホイール)
10 パイロットプレート(係止手段)
11 パイロットレバー
12 係止部材
12a 傾斜面
13 軸受部
Claims (6)
- 外周円筒面2aを有する内方部材2と、内周円筒面1aを有する外方部材1とを同軸状に配置し、前記内外周両円筒面1a,2a間に複数のスプラグ6を周方向に沿って配置するとともに、前記各スプラグ6を前記外周円筒面2a及び内周円筒面1aに係合する方向に付勢する弾性部材4を備えた回転伝達装置において、
前記内方部材2と外方部材1との間に前記各スプラグ6に係脱可能な係止手段10を設け、その係脱により、前記各スプラグ6は、前記外周円筒面2a又は内周円筒面1aに係合不能な状態と、前記外周円筒面2a及び内周円筒面1aに係合可能な状態とに選択的に設定されることを特徴とする回転伝達装置。 - 前記係止手段10は、前記各スプラグ6と前記外周円筒面2a又は内周円筒面1aとの間に進入又は離脱し、その進入又は離脱により前記各スプラグ6に係脱する係止部材12であることを特徴とする請求項1に記載の回転伝達装置。
- 前記係止部材12は、前記各スプラグ6の軸方向一方側から前記各スプラグ6と前記外周円筒面2a又は内周円筒面1aとの間に進入し且つ前記各スプラグ6の軸方向一方側へ離脱するものであり、前記各スプラグ6の前記内径側カム面6d又は外径側カム面6uに、前記一方側の端面に向かって徐々に前記外周円筒面2a又は内周円筒面1aから遠ざかる傾斜面6bを形成し、前記係止部材12は、前記スプラグ6の傾斜面6bと前記外周円筒面2a又は内周円筒面1aとの間のくさび状空間に進入することを特徴とする請求項2に記載の回転伝達装置。
- 前記係止部材12は、前記スプラグ6に形成した傾斜面6bと同方向の勾配を有する傾斜面12aを備え、前記係止部材12の前記くさび状空間への進入により、その係止部材12の傾斜面12aが前記スプラグ6の傾斜面6bに当接することを特徴とする請求項3に記載の回転伝達装置。
- 前記弾性部材4は、前記各スプラグ6の内径側カム面6d又は外径側カム面6uに形成された周方向溝6a内に収納されたガータスプリングであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の回転伝達装置。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の回転伝達装置を備えたエンジン始動システムであって、エンジンのフライホイールのリングギヤ9に噛み合い可能なピニオンギヤ8を備えた回転軸とスタータモータ7の出力軸とを備え、前記回転軸及び出力軸の一方を前記外周円筒面2aを有する内方部材2、他方を前記内周円筒面1aを有する外方部材1としたエンジン始動システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006271929A JP2008089118A (ja) | 2006-10-03 | 2006-10-03 | 回転伝達装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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Family
ID=39373471
Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2008089118A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4862104B2 (ja) * | 2009-05-27 | 2012-01-25 | 株式会社ユニバンス | 動力伝達装置 |
KR101333799B1 (ko) | 2012-06-25 | 2013-11-29 | 주식회사 인팩 | 유성기어 증속기 |
WO2023276409A1 (ja) * | 2021-06-29 | 2023-01-05 | 株式会社椿本チエイン | カムクラッチ |
-
2006
- 2006-10-03 JP JP2006271929A patent/JP2008089118A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2023005554A (ja) * | 2021-06-29 | 2023-01-18 | 株式会社椿本チエイン | カムクラッチ |
JP7227515B2 (ja) | 2021-06-29 | 2023-02-22 | 株式会社椿本チエイン | カムクラッチ |
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